JPH05125693A - 製紙用ロジン系エマルシヨンサイズ剤及びサイジング方法 - Google Patents

製紙用ロジン系エマルシヨンサイズ剤及びサイジング方法

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JPH05125693A
JPH05125693A JP34847991A JP34847991A JPH05125693A JP H05125693 A JPH05125693 A JP H05125693A JP 34847991 A JP34847991 A JP 34847991A JP 34847991 A JP34847991 A JP 34847991A JP H05125693 A JPH05125693 A JP H05125693A
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Abstract

(57)【要約】 〔構成〕ロジン類と多価アルコール類、多価フェノール
類とのエステルを含有するロジン系物質を疎水性基を有
するカチオン性(メタ)アクリルアミド系分散剤を用い
て水中に分散させた製紙用ロジン系エマルジョンサイズ
剤及びこれを用いたサイジング方法。 〔効果〕酸性領域はもちろん、炭酸カルシウムを含む中
性領域の抄紙系においてもすぐれたサイズ効果を発揮
し、機械的安定性、保存安定性に優れ、発泡性が少ない
製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤、及びこれを用い
たサイジング方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製紙用ロジン系エマル
ションサイズ剤及びこれを用いたサイジング方法に関す
るものである。さらに詳しくは、3価以上の多価アルコ
ール類及び多価フェノール類の少なくとも1種とロジン
類とのエステル及びその強化物の少なくとも1種を所定
重量%含有するロジン系物質を、疎水性基を有するカチ
オン性アクリルアミド系ポリマー及び/又はメタアクリ
ルアミド系ポリマー(以下、カチオン性ポリ(メタ)ア
クリルアミドという)で直接水中に乳化、分散し、それ
自体の機械的安定性及び保存安定性に優れ、かつ酸性か
ら中性領域での抄紙系において優れたサイズ効果を発揮
し、しかも抄紙系での発泡が大幅に低減するロジン系エ
マルションサイズ剤及びこれを用いたサイジング方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】製紙業界では、紙質の向上、抄紙系のク
ローズド化等に対応する対策が急がれているとともに、
炭酸カルシウムを含んだ古紙や損紙を製紙原料として使
用することに伴う問題等の課題を抱えており、その解決
策として硫酸バン土の添加率を減らして中性領域で抄紙
を行なおうとする傾向が強まってきている。
【0003】従来の硫酸バン土の添加率の多い抄紙系で
使用されているロジン系サイズ剤、特に強化ロジンのア
ルカリ中和物である溶液型ロジンサイズ剤は、硫酸バン
土の添加率を減らして抄紙pHを高くし、中性抄紙領域
に近付けると、サイズ効果は急激に低下する。特に抄紙
系に炭酸カルシウムが混入するとその傾向が著しくな
る。このサイズ効果の低下を防ぐ対策として、結局、多
量の硫酸バン土を添加しなくてはならず、その結果酸性
領域での抄紙が行われることとなり、紙質の低下や操業
面、コスト面に問題を残していた。また、前記溶液型ロ
ジンサイズ剤よりサイズ効果に優れ、より広いpH範囲
の抄紙系に適用されるアニオン性ロジンエマルジョンサ
イズ(強化ロジンをアニオン性の乳化分散剤を用いて水
中に微細粒子として分散させたもの)を使用した場合に
は、溶液型ロジンに比べれば硫酸バン土の添加率を減ら
すことはできるが、しかしなお抄紙pHを中性領域に到
るまで硫酸バン土を減らしたり、あるいは抄紙系に炭酸
カルシウムが混入した場合のサイズ効果の大きな低下は
避けられず、満足できるものではなかった。
【0004】また、カチオン性を有するロジンエマルジ
ョンサイズ剤(強化ロジンをカチオン性の乳化分散剤を
用いて水中に微細粒子として分散させたもの)はパルプ
繊維に対する自己定着性をもち、所定のサイズ効果の発
現に要求される硫酸バン土の使用量を低減することが可
能であり、中性付近のpH領域の抄紙系でも優れたサイ
ズ効果を発揮することが示されている(TAPPI P
apermakersConference 1988
pp.161−188)。しかし、カチオン性ロジン
エマルジョンは、従来一般的であったアニオン性のもの
に比べると、工業的に製造が難しく、また、製品の静置
安定性、炭酸カルシウム含有抄紙系でのサイズ性能及び
抄紙系内での発泡性にまだ問題点を残しており、さらに
改良が求められている。
【0005】このような事情から中性領域で抄紙を行な
う際に用いる中性抄紙用サイズ剤が開発され、これらに
はアルケニル無水コハク酸やアルキルケテンダイマー等
を水等の分散媒に分散させたサイズ剤が挙げられるが、
どちらも高価格であるため製紙のコストアップを招くと
いう大きな問題点があるのみならず、抄紙系内の例えば
プレスロール等に汚れを発生し易いなど作業性が悪いこ
と、サイズ効果の立ち上がりが遅いことなどの問題を抱
えている。また、これらのものはいずれも機械パルプの
ような高収率パルプに対するサイズ効果がロジン系サイ
ズ剤に比べ劣るという問題もある。
【0006】中性抄紙系におけるロジンサイズ剤のサイ
ズ効果を改良する方法として、3価、4価のアルコール
とロジン類とのエステルを含むサイズ剤(特開昭62−
223393、62−250297)が知られている
が、エステル化物の含有量が20重量%以上好ましくは
40重量%以上も必要である上に、酸性抄紙系でのサイ
ズ効果は優れず、そのため広い抄紙pH(4〜8)領域
では使用できない場合があり、また、比較的高価格のロ
ジンエステル量が多いためサイズ剤のコスト高を招くと
いう問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のことから、酸性
pH領域は勿論のこと、硫酸バン土の添加率が低く、中
性に近いpH領域、特に炭酸カルシウム含有の中性抄紙
系においても優れたサイズ効果を速やかに発揮し、機械
的安定性及び保存安定性に優れ、さらに抄紙系での発泡
が著しく低減するロジン系エマルジョンサイズ剤及びこ
れを用いたサイジング方法の開発がのぞまれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(A)3価以上の多価アルコールを主成
分に有するアルコール類及び多価フェノールを主成分に
有するフェノール類の少なくとも1つとロジン類とのエ
ステル及びその強化物の少なくとも1種を1.5〜30
重量%含有するロジン系物質、(B)疎水性基を有する
カチオン性アクリルアミド系ポリマー及び/又はメタア
クリルアミド系ポリマーを含有し、かつ上記(A)成分
を上記(B)成分により直接水に分散させた組成物であ
って、この組成物の粒子のゼータ電位がpH4〜8にお
いて正であり、重量基準粒径分布における累積50%径
が1μm以下である製紙用ロジン系エマルションサイズ
剤を提供するものである。
【0009】この際、(A)成分が上記エステル及びそ
の強化物の少なくとも1種を4.5〜25重量%含有す
るロジン系物質であること、このエステルがロジン類の
カルボキシル基と多価アルコール及び/又は多価フェノ
ールの水酸基とのモル比(−COOH/―OH)を0.
5〜50で仕込み、加熱して得られる反応生成物である
こと、また、(B)成分が(b−1)カチオン性モノマ
ー 2〜30モル%、(b−2)アニオン性モノマー
5モル%以下、(b−3)疎水性モノマー 3〜50モ
ル%、(b−4)アクリルアミド及び/又はメタアクリ
ルアミド 15〜95モル%からなる組成のモノマーを
用いて得られた重合物であること、(B)成分が全固形
分に対して0.5〜20重量%であること、固形分が2
0〜60重量%であることが好ましい。
【0010】また、本発明は、上記の製紙用ロジン系エ
マルションサイズ剤を用いてサイジングするサイジング
方法を提供するものである。
【0011】本発明において、3価以上の多価アルコー
ルを主成分に有するアルコール類及び多価フェノールを
主成分に有するフェノール類の少なくとも1種とロジン
類とのエステル(以下、ロジン−多価アルコール等エス
テルという)とは、ロジン類と上記のアルコール類及び
/又はフェノール類とが脱水反応によりエステル化した
化合物であり、完全エステル化物、部分エステル化物、
あるいは両者の混合物よりなる化合物である。また、上
記エステルの強化物とは、上記エステルを後述する強化
ロジンを得ると同様にして強化したものである。
【0012】本発明において、ロジン類とは、ガムロジ
ン、トール油ロジン、ウッドロジン及びこれらのロジン
の変性物が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上の
混合物として用いられる。前記ロジン変性物としては、
一部あるいは実質的に完全に水素化されたもの、不均化
されたもの、重合化されたもの、あるいはホルムアルデ
ヒドで変性されたものなどが挙げられる。また、これら
ロジン類には、α,β−不飽和カルボン酸類を付加反応
せしめた強化ロジンも用いられる。このα,β−不飽和
カルボン酸類の代表的なものは、フマル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シ
トラコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸及びメタク
リル酸などが挙げられ、これらは単独又は併用される。
【0013】また、本発明において3価以上の多価アル
コールとは、例えばグリセリン、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、3−メチルプロパン−
1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジグ
リセリン、ソルビトールなどを例示することができる。
【0014】また、多価フェノールとしてはヒドロキノ
ン、ピロガロール、ビスフェノールA、フェノール樹脂
などを例示することができる。
【0015】上記多価アルコール、多価フェノールはそ
れぞれ又は両者にまたがって2種以上併用することもで
きる。1価あるいは2価のアルコール又は1価フェノー
ルとロジン類とのエステルでは、3価以上のアルコール
や多価フェノールとロジン類とのエステルに見られるよ
うなサイズ性能等の効果は得られないが、これらを多価
アルコール、多価フェノールと併用しても良い。
【0016】上記ロジン−多価アルコール等エステルの
製造方法は、公知のエステル化条件下で行うことがで
き、ロジン類と上記アルコール類及び/又はフェノール
類とを仕込んだ後、常圧、減圧又は加圧下において触媒
の存在、あるいは非存在下、150〜300℃の温度で
3〜30時間攪拌しながら、脱水反応を行なえば良い。
この際、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶剤を使
用して共沸下に脱水を行っても良い。
【0017】ロジン類と多価アルコール及び/又は多価
フェノールとの仕込み割合は、(ア)ロジン−多価アル
コール等エステルが収率良く得られる割合、すなわちロ
ジン類のカルボキシル基と、多価アルコール類の水酸基
との当量比〔−COOH(eq)/−OH(eq)〕が
0.5〜3になるように仕込むか(後述するように後に
ロジン類を加えてロジン−多価アルコール等エステルが
1.5〜30重量%含まれるロジン系物質とする)、又
は(イ)ロジン類中にロジン−多価アルコール等エステ
ルが1.5〜30重量%含まれるような割合、すなわち
上記当量比が3〜50になるように仕込むことが好まし
く、その後、脱水反応を行う。なお、この場合の当量比
におけるロジン類のカルボキシル基には、強化ロジンの
ようなロジン類に付加したα,β−不飽和カルボン酸類
に起因するカルボキシル基は含まない。この当量比が
0.5未満ではロジン−多価アルコール等エステル中の
残存水酸基量が多く、サイズ性能等の良好な効果が得ら
れないことがあり、また、50以上ではロジン−多価ア
ルコール等エステルの含有量が1.5重量%以下にな
り、好ましくないことがある。
【0018】本発明において、ロジン系物質とは、上記
ロジン−多価アルコール等エステルと上記ロジン類との
混合物であり、ロジン−多価アルコール等エステルがロ
ジン系物質中、好ましくは1.5〜30重量%、より好
ましくは4.5〜25重量%含まれることである。1.
5重量%未満では中性pH付近での抄紙系におけるサイ
ズ効果の程度が大きくなく、また、30重量%より多く
含まれても中性pH付近でのサイズ効果に寄与する程度
は小さくなり、さらには酸性抄紙系でのサイズ効果を低
下させる原因になることがある。また、ロジン系物質中
のロジン類としては、サイズ効果の点からいうと、α,
β―不飽和カルボン酸類を付加反応した強化ロジン類が
好ましい。
【0019】本発明のサイズ剤を製造するに際し、ロジ
ン−多価アルコール等エステルをロジン系物質中に上記
割合含有せしめる方法としては、例えば上記(ア)の割
合で仕込み加熱して得られた反応生成物とロジン類とを
ロジン−多価アルコール等エステルが上記割合含まれる
ように混合、加熱、溶融した後乳化分散するか、あるい
は上記(イ)の割合で仕込み加熱して得られた反応生成
物をそのままか、あるいはα,β―不飽和カルボン酸類
で強化した後に乳化分散するか、いずれの方法でも可能
である。
【0020】本発明における(B)成分の疎水性基を有
するカチオン性ポリ(メタ)アクリルアミドは、特開平
3−227481号公報に記載されているものと同様
に、モノマー成分として(b−1)カチオン性モノマー
2〜30モル%、(b−2)アニオン性モノマー5モル
%以下、(b−3)疎水性モノマー3〜50モル%から
なる組成のモノマーを用いて得られた重合物である。上
記(B)のポリマーのモノマー成分組成比が上記範囲外
である場合には、その範囲内にある場合にくらべ乳化性
が低下するかあるいは得られた製紙用サイズ剤の保存安
定性あるいはサイズ性能が低下する傾向にある。
【0021】上記(b−1)カチオン性モノマーはポリ
(メタ)アクリルアミドにカチオン性を付与し、得られ
るロジンエマルション粒子のゼータ電位がpH4〜8で
正であるのに寄与する。カチオン性モノマーとしては、
例えば(モノ―またはジ−アルキル)アミノアルキル
(メタ)アクリレート、(モノ―またはジ−アルキル)
アミノヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、
(モノ―またはジ−アルキル)アミノアルキル(メタ)
アクリルアミド、(モノ―またはジ−アルキル)アミノ
ヒドロキシルアルキルビニルエーテル、ビニルピリジ
ン、ビニルイミダゾール、ジアリルアミンなどや、さら
にはこれらの第4級アンモニウム塩を挙げることがで
き、これらより一種又は二種以上を混合して用いられ
る。
【0022】上記(b−2)アニオン性モノマーとして
は、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸などのカル
ボン酸基を有するモノマー、ビニルスルホン酸、(メ
タ)アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸、スルホン化スチレンなどのスル
ホン酸基を有するモノマー、あるいはヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレートのリン酸エステルなどのリン酸
エステル基を有するモノマーを挙げることができ、これ
らは一種又は二種以上を混合して用いられる。
【0023】上記(b−3)疎水性モノマーは、ポリマ
ーに疎水性を付与し、ロジン粒子に対する吸着性を上げ
るためのものであるが、本発明で限定された3〜50モ
ル%の疎水性モノマーを導入することにより、ロジン系
物質の乳化性、得られたエマルションの安定性及びサイ
ズ性能において著しい改善がみられた。疎水性モノマー
がこれらの効果に寄与する理由については明らかではな
い。上記(b−3)疎水性モノマーとしては、以下のも
のを例示できる。アクリル酸アルキルエステルまたはメ
タアクリル酸アルキルエステルが下記一般式(I)
【0024】
【化1】
【0025】〔式中、R1はH又はメチル基、R2は炭
素数1〜22のアルキル基又はアルケニル基、シクロヘ
キシル基、フェニル基、ベンジル基、グリシジル基、
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】(式中、R3はH又はメチル基、R4はH
又は低級アルキル基、フェニル基、炭素数1〜22のア
ルキルフェニル基、炭素数1〜22のアラルキルフェニ
ル基又は
【0030】
【化5】
【0031】である。)または
【0032】
【化6】
【0033】{式中、R5はH又はメチル基、
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】(式中、R6は炭素数1〜22のアルキル
基、炭素数3〜22のアルケニル基又は
【0037】
【化9】
【0038】である。)である。}を示す。〕で表され
るモノマー、さらにはスチレンあるいはその誘導体が一
般式(II)
【0039】
【化10】
【0040】(ここで、R7はH又はメチル基、R8は
H又はメチル基、
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】などの低級アルキル基である。)で表され
るモノマー、炭素数6〜22のオレフィン類、(メタ)
アクリロニトリル、酢酸ビニル若しくはプロピオン酸ビ
ニルなどのビニルエステル類又は炭素数1〜22のアル
キルビニルエーテルなどが挙げられ、これらのモノマー
の一種又は二種以上を組合わせて使用できる。これらの
モノマーを全モノマーに対して50モル%より多く用い
ると、ロジン系物質に対する乳化性が低下するため、得
られるエマルションの安定性は低下し、また、安定にす
るためにカチオン性ポリ(メタ)アクリルアミドの量を
多く用いると、結果としてサイズ性能の低下をもたらす
ことがある。
【0044】前記(B)の疎水性基を有するカチオン性
ポリ(メタ)アクリルアミドの合成方法としては、従来
公知の方法が適用できる。例えば、前記(b−1)〜
(b−4)のモノマーをメチルアルコール、エチルアル
コール、イソプロピルアルコールあるいはターシャリー
ブチルアルコールなどの低級アルコール類、アセトン、
メチルエチルケトンあるいはジオキサンなどの有機溶剤
中、あるいはこれらの有機溶剤と水との混合液中におい
てラジカル重合触媒によって重合させ、重合終了後有機
溶剤を留去するこことによって得られる。ラジカル重合
触媒としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリ
ウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、これら過硫酸
塩と還元剤の組み合わせによるレドックス系重合触媒、
あるいは2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの
アゾ系触媒を挙げることができる。また、必要に応じて
公知の連鎖移動剤を適宜併用しても良い。
【0045】このようにして得られる上記(B)のポリ
マー溶液の粘度は、20重量%水溶液で10〜5000
センチポイズ(但し、ブルックフィールド粘度計による
毎分60回転での25℃における測定値)のものが好ま
しく、特に上記粘度が50〜2000センチポイズのも
のが好ましい。この粘度が上記範囲外の時にはロジン系
物質に対する乳化性が低下するため、乳化剤の使用量を
多くする必要があり、結果としてサイズ性能が向上しな
いことがある。
【0046】本発明のサイズ剤は基本的には上記したよ
うにロジン−多価アルコール等エステルを含有するロジ
ン系物質、疎水性基を有するカチオン性ポリ(メタ)ア
クリルアミドを含有するものであるが、このロジン系物
質と疎水性基を有するカチオン性ポリ(メタ)アクリル
アミドの使用割合は、生成したエマルションが長期間に
わたって安定であり、抄紙系に添加するとき又は抄紙に
おいて加わる剪断力に対して安定であり、しかもサイズ
剤としての効果を十分発揮する範囲にすることが好まし
い。従って、疎水性基を有するカチオン性ポリ(メタ)
アクリルアミドの使用量は製品の安定性、サイズ性能及
び経済性の面からロジン系物質に対し固形分で0.5〜
20重量%が好ましく、より好ましくは1〜15重量
%、さらに好ましくは3〜10重量%である。このポリ
マーをこの範囲より多く使用しても安定な製品が得られ
るが、経済性あるいはサイズ性能の面から好ましくない
ことがある。
【0047】また、本発明のサイズ剤の全固形分は20
〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%であ
る。
【0048】本発明のサイズ剤は必要に応じてカチオン
性又は非イオン性の界面活性剤を含んでも良い。このよ
うな界面活性剤としては、カチオン性のものとしては、
テトラアルキルアンモニウムクロライド、トリアルキル
ベンジルアンモニウムクロライド、アルキルアミン酢酸
塩、アルキルアミン塩酸塩、オキシエチレンアルキルア
ミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げら
れる。非イオン性のものとしては、例えばポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニ
ルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレン
グリコールグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪
酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、シヨ糖
脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸ジエ
タノールアミドなどが挙げられる。
【0049】本発明のサイズ剤の製造法は、特に限定さ
れないが、例えば特公昭54−36242号公報に記載
されているように、上記(A)成分のロジン系物質を予
め油溶性の溶剤に溶かした溶液と上記(B)成分及び水
を混合しホモジナイザー処理した後、溶剤を留去し、水
中油型エマルジョンを製造する、いわゆる溶剤法、特公
昭53−32380号公報に記載されているように、溶
融した上記(A)成分のロジン系物質を高温高圧下で上
記(B)成分と水とを混合しホモジナイザーを通して水
中油型エマルションを製造する、いわゆるメカニカル
法、特開昭54−77206号公報に記載されているよ
うに、溶融した上記(A)成分のロジン系物質に上記
(B)成分と一部の水を攪拌下で混合しさらには水を加
えて油中水型エマルションを形成し、反転水を添加し水
中油型エマルションに相転移させる、いわゆる転相法な
どが用いられる。
【0050】本発明のロジン系エマルションの平均粒子
径(重量基準粒径分布における累積50%径)は1μm
以下、好ましくは0.5μm以下である。1μmを越え
る粒径の場合、保存中に沈澱物を生じ易く、また機械的
安定性が劣る傾向がある。平均粒子径はMaster
Siser(マルバーン社製)で測定できる。また、本
発明のロジン系エマルションの粒子のゼータ電位はpH
4〜8において正である。この測定はLASER ZE
E METER MODEL501(PEN KEM社
製)によって測定できる。
【0051】本発明のサイズ剤は、1.5〜30重量%
といった比較的少量のロジン−多価アルコール等エステ
ルを含有したロジン系物質を疎水性基を有するカチオン
性ポリ(メタ)アクリルアミドの高分子系分散剤を用い
て乳化分散することにより、ロジン−多価アルコール等
エステルのみによる効果と、カチオン性ポリ(メタ)ア
クリルアミドの高分子系分散剤のみによる効果から予想
される以上の卓越した諸性能を有する製紙用サイズ剤で
ある。具体的には従来のカチオン性ロジンエマルション
サイズ剤やロジンエステルを含有したロジンサイズ剤に
比較し、非常に保存安定性及び機械的安定性に優れてお
り、さらに酸性抄紙系はもとより、特に中性抄紙系にお
いても、従来のロジン系サイズ剤にはみられなかったよ
うな卓越したサイズ効果を発揮する上に、抄紙系での泡
立ちも著しく少ないという利点を有している。
【0052】そこで、 硫酸バン土を使用できない
か、その使用量が少量に限定される抄紙系、例えば中性
純白ロール紙、中性ライナー、防錆ライナー及び金属台
紙、古紙原料から炭酸カルシウムが混入する抄紙系,
例えば石膏ボード原紙、白板、コート原紙、中質紙、一
般ライナー及び中芯、 填料として炭酸カルシウムを
使用する抄紙系、例えば中性印刷筆記用紙、中性コート
原紙、中性PPC用紙、中性感熱原紙、中性感圧原紙、
中性インクジェット用紙及び中性情報用紙、定着剤の
使用量が限定される抄紙系、例えばクラフト紙などにお
いても、本発明のサイズ剤は、従来のロジン系サイズ剤
にはない優れたサイズ性能を発揮する。また、従来の中
性サイズ、例えばアルキルケテンダイマー及びアルケニ
ルコハク酸無水物などのサイズ剤に比べ、高収率パルプ
を含有するパルプに対するサイズ効果が優れること、サ
イズの立ち上がりが速いこと、プレスロール、ドライヤ
ーキャンパスなどの抄紙用具の汚れが少ないこと等の特
長がある。また、本発明のサイズ剤は硫酸バン土の使用
量が多い抄紙系でも優れたサイズ効果を発揮する。
【0053】本発明のサイジング方法は、紙又は板紙の
製造工程において、本発明の製紙用ロジン系エマルショ
ンサイズ剤を例えばウェット・エンド部に添加すること
により実施される。具体的には、本発明の製紙用サイズ
剤をパルプの水性分散液にその乾燥重量に対して0.0
05〜10固形分重量%、好ましくは0.05〜5固形
分重量%添加する。
【0054】上記種々の紙又は板紙を製造するにあたっ
て、パルプ原料としては、クラフトパルプあるいはサル
ファイトパルプなどの晒あるいは未晒化学パルプ、砕木
パルプ、機械パルプあるいはサーモメカニカルパルプな
どの晒あるいは未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古
紙、段ボール古紙あるいは脱墨古紙などの古紙パルプの
いずれも使用することができる。また、上記パルプ原料
と石綿、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等
との混合物も使用することができる。
【0055】填料、染料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向
上剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤などの添加物も、各
々の紙種に要求される物性を発現するために、必要に応
じて使用しても良い。填料としては、クレー、タルク、
重質又は軽質炭酸カルシウム等が挙げられ、これら単独
あるいは併用しても良い。乾燥紙力向上剤としては、ア
ニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリル
アミド、両性ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉等が
挙げられ、これらは単独あるいは併用しても良い。湿潤
紙力向上剤としては、ポリアミド・エピクロルヒドリン
樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂、尿素・ホルマリン樹
脂等が挙げられ、これらは単独あるいはアニオン性ポリ
アクリルアミドと併用しても良い。歩留り向上剤として
は、アニオン性又はカチオン高分子量ポリアクリルアミ
ド、シリカゾルとカチオン化澱粉の併用、ベントナイト
とカチオン性高分子量ポリアクリルアミドの併用等が挙
げられる。濾水性向上剤としては、ポリエチレンイミ
ン、カチオン性ポリアクリルアミド等が挙げられる。ま
た、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレー
ドコーター、キャレンダーなどで、澱粉、ポリビニルア
ルコール、染料、コーテイングカラー、表面サイズ剤、
防滑剤などを必要に応じて塗布しても良い。また、硫酸
バン土は本発明のサイズ剤を添加する前、添加した後、
あるいは同時に必要に応じて添加して使用される。
【0056】前記の添加物、ロジン類は必要に応じてサ
イズ剤中に上記ロジン−多価アルコール等エステルを含
有するロジン系物質と同時に、あるいは別々に同じ方法
や異なる方法を用いて含有させることもできる。
【0057】本発明の製紙用ロジン系エマルションサイ
ズ剤は表面サイズ剤としても使用可能であり、この場
合、抄紙された湿紙に噴霧、浸漬、塗布などの慣用的方
法が適用される。
【0058】
【実施例】以下、ロジン−多価アルコール等エステル等
の製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体
的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるもの
ではない。なお、各例中、部及び%は特記しないかぎり
すべて重量基準である。
【0059】 ロジン−多価アルコール等エステルの
製造 以下のようにして、ロジン−多価アルコール等エステル
(A−1〜A−11)と、(A−12〜A−14)を製
造した。 −1(A−1)の製造 攪拌機、温度計、窒素導入管、分水器及び冷却器を備え
た1l容積のフラスコに、酸価170のガムロジン60
0部とグリセリン55部(仕込当量比(−COOH/−
OH=1.0)、及び燐酸0.2部を仕込み、窒素気流
中下270℃まで加熱し、同温度で15時間保つことで
ロジン−多価アルコールエステル(A−1)を得た。反
応生成物の酸価は17であり、これが酸価170のガム
ロジンによるものであるとすると、反応生成物中の未反
応ガムロジンの含有量は約10%となり、反応生成物に
含まれるロジン−多価アルコールエステルの含有量は約
90%と算出される。以下これに準じて反応生成物中の
エステル含有量を算出した。 −2(A−2〜A−11)及び(A−12〜A−1
3)の製造 表1に示すロジン類と多価アルコール類、多価フェノー
ルの種類及び仕込み比に従って、上記A−1の製造方法
と同様にしてロジン−多価アルコール等エステル(A−
2〜A−11)及び(A−12、A−13)を製造し
た。 ―3 A−14の製造 特開昭62−223393号公報に従い、以下のように
して製造した。攪拌機、温度計、窒素導入管、分水器及
び冷却器を備えた1l容フラスコに、酸価170のガム
ロジン100部とグリセリン8部を仕込み、250℃で
12時間反応させてロジン−多価アルコールエステルA
−14を得た。
【0060】 フマル酸強化ロジン類の製造 以下のようにして、フマル酸強化ロジン類(F−1〜F
−4)(実施例用)及びF−5(比較例用)を製造し
た。 −1 F−1の製造 約200℃で溶融状態にある酸価170のガムロジン4
60部にフマル酸70部を徐々に加えていき、ほとんど
全部のフマル酸が反応し終わった後、さらにホルムアル
デヒド処理(変性率3%)トール油ロジンを470部加
え、溶融攪拌して均質化し、その後に、反応生成物を室
温に冷却した。このフマル化反応生成物F−1はフマル
酸が7%付加されたロジンであった。 −2 F−2(A−1のフマル化物)の製造 −2において得られたロジン類と多価アルコールとの
反応生成物A−1の465部を200℃まで加熱、溶解
し、フマル酸35部を加え、200℃で3時間加熱保温
し、フマル化反応生成物F−2を得た。この生成物中の
ロジン−多価アルコールエステルの含有量は上記で製造
したA−1中に含まれるロジン−多価アルコールエステ
ル含有量とほぼ同様に約90%であった。 −3 F−3(A−4のフマル化物)及びF−4(A
−5のフマル化物)及びF−5(A−13のフマル化
物)の製造 −2において得られたロジン−多価アルコールエステ
ルA−4、A−5、A−13をそれぞれ用いて、F−2
の製造方法と同様にしてフマル化反応生成物F−3〜F
−5をそれぞれ得た。これら生成物中のロジン−多価ア
ルコールエステルの含有量はそれぞれ約5%、約2%、
約1%であった。
【0061】 疎水性基を有するカチオン性ポリ(メ
タ)アクリルアミド系分散剤の製造特開平3−2274
81号公報に記載した実施例に従い、以下のようにして
疎水性基を有するカチオン性ポリ(メタ)アクリルアミ
ド系分散剤B−1〜B−2(実施例用)を製造した。 −1 B−1の製造 攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた1
l容の4つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタク
リレート31.4部、アクリルアミドの50%水溶液8
5.3部、スチレン20.8部、イオン交換水100.
6部、イソプロピルアルコール143.3部、n−ドデ
シルメルカプタン0.6部を仕込み、20%酢酸水溶液
にてpH4.5に調節した。この混合液を攪拌しながら
窒素ガス雰囲気下で、60℃まで昇温した。重合開始剤
として過硫酸アンモニウムの5%水溶液2.3部を加え
80℃まで昇温し、1.5時間保持した後、過硫酸アン
モニウムの5%水溶液0.7部を追加した。さらに、1
時間保持した後、イオン交換水100部を加え、イソプ
ロピルアルコールの留去を行った。留去終了後、イオン
交換水を加えて得られたポリマー溶液のポリアクリルア
ミド系分散剤B−1の固形分濃度は20.4%、25
℃、毎分60回転で測定したブルックフィールド粘度
(以下、粘度という)は340センチポイズ(cps)
であった。 ―2 B−2の製造 B−1の製造方法と同様にして、ジメチルアミノプロピ
ルメタアクリルアミド12部、メタクリル酸2部、アク
リルアミドの50%水溶液144部、イソブチルメタク
リレート8部、n−ドデシルメルカプタン0.5部をイ
ソプロピルアルコール−水混合溶媒中、過硫酸アンモニ
ウムを触媒として重合反応を行い、固形分濃度20.2
%、粘度590cpsのポリマー水溶液のポリアクリル
アミド系分散剤B−2を得た。
【0062】 アニオン性高分子系分散剤B−3(比
較例用)の製造 特開昭61−108796号公報の参考例10の製造方
法に従い、以下のようにして、スチレン−メタクリル酸
系共重合体ケン化物分散剤B−3を製造した。スチレン
55部、メタクリル酸30部、イタコン酸5部、アクリ
ル酸ラウリル10部、10%ナフタレンスルホン酸ナト
リウムホルマリン縮合物50部、過硫酸アンモニウム1
部及び水200部を混合攪拌し、加圧下、150℃で3
0分間加熱した。次いで70℃まで冷却し、48.5%
水酸化ナトリウム35.5部と水7部を徐々に滴下し、
30分間攪拌した後室温まで冷却することにより、固形
分30%のポリマー分散液であるスチレン−メタクリル
酸系共重合体ケン化物分散剤B−3を得た。
【0063】 製紙用サイズ剤の製造 −1 実施例1 ―1で得たロジン−多価アルコールエステル(A−
1)20部と、−1で得たフマル酸強化ロジン(F−
1)80部とを混合し、約150℃に加熱溶融し、激し
く攪拌しながらポリアクリルアミド系分散剤(B−1)
25部を添加混合して油中水型のエマルジョンとした。
これに熱水を徐々に加えて転相させ水中油型のエマルシ
ョンとし、これにさらに熱水を素速く添加して安定な水
中油型エマルションとした後、冷却した。かくして得ら
れたエマルションの固形分は50.3%であり、Mas
terSizer(マルバーン社)で測定した重量基準
粒径分布における累積50%径(以下、平均粒子径と称
する)は0.38μmであり、長期間安定なものであっ
た。
【0064】−2 実施例2〜12、17 表2に示す配合比(固形分重量比)で前記A−1〜A−
3、A−6、A−11、A−12、F−2〜F−4のロ
ジン−多価アルコールエステルとフマル酸強化ロジンF
−1との溶融混合物100部を、前記ポリアクリルアミ
ド系分散剤(B−1)25部を用いて、実施例1と同様
の方法により実施例2〜12、17のロジン系エマルシ
ョンサイズ剤を得た。
【0065】−3 実施例13、14 A−7、A−8のそれぞれのロジン−多価アルコールエ
ステル30部とフマル酸強化ロジン(F−1)120部
を170℃で溶融混合し、これと前記ポリアクリルアミ
ド系分散剤(B−1)39部及び水205部とを高温高
圧下で混合し、この混合物を約150Kg/cm(単
位平方センチメートル当たりのKg)の圧力で2回にわ
たって工業用ホモジナイザーに通し、それぞれ固形分約
40%のロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0066】―4 実施例15、16 A−9、A−10のロジン−多価アルコールエステル3
0部とフマル酸強化ロジン(F−1)120部とをトル
エン150部に溶解し、これと前記ポリアクリルアミド
系分散剤(B−2)39部と水345部とを混合した。
この混合物を約150Kg/cmの圧力で2回にわた
って工業用ホモジナイザーを通し、その後減圧蒸留によ
り全てのトルエンを除去、各々固形分約35%のロジン
系エマルションサイズ剤を得た。
【0067】−5 比較例1〜7 表2に示したロジン−多価アルコールエステルとフマル
酸強化ロジンF−1との配合比(合計重量100部)
で、前記ポリ(メタ)アクリルアミド系(B−1)25
部又は(B−3)16部を用いて、実施例1と同様にし
てロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0068】−6 比較例8(アニオン分散剤を用い
た例) 表2に示した配合比でA−14のロジン−多価アルコー
ルエステルとフマル酸強化ロジンF−1との合計150
部をトルエン150部に溶解し、これと30%ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(B−4)15部
と水275部とを混合した。この混合物を約150Kg
/cmの圧力で2回にわたって工業用ホモジナイザー
を通し、その後減圧蒸留により全てのトルエンを除去、
固形分35.1%のロジン系エマルションサイズ剤を得
た。前記実施例、比較例のサイズ剤の組成及び性状を表
2に示す。
【0069】以上の実施例、比較例のサイズ剤を用い
て、下記試験条件でサイズ効果試験を行った結果を表3
に示す。添加薬品はすべてパルプ絶乾重量に対する固形
分重量比で示した。 サイズ効果試験 −1 サイズ効果試験1 晒クラフトパルプ(針葉樹対広葉樹のパルプ比が1対4
である混合パルプ)をパルプ濃度が2.5%になる量の
硬度100ppmの希釈用水で、ビーターを用いて35
0mlのカナディアンスタンダードフリーネスまで叩解
した。次いでこのパルプスラリー1.2lを離解機に秤
取し、0.2%の前記実施例、比較例のサイズ剤と2.
0%の硫酸バン土を同時に添加し、苛性ソーダでpHを
4.5に調節し、その後30分間攪拌した。次いでpH
4.5の希釈水でこのパルプスラリーを濃度0.25%
まで希釈し、定着剤としてカチオン性ポリアクリルアミ
ド(ディック・ハーキュレス社製エピノックスDS51
0)を0.05%添加し、ノーブルアンドウッド抄紙機
で抄紙(パルプスラリーの温度は40℃)し、坪量65
g/cm(単位平方センチメートル当たりのg)の試
験紙を得た。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて
100℃で60秒間の条件下で行った。得られた試験紙
を恒温恒湿(20℃、60%相対湿度)環境下で24時
間調湿した後、サイズ度をステキヒト法で測定した。こ
のサイズ効果試験は、硫酸バン土を使用してpHを酸性
にした酸性抄紙系において、抄造する条件に相当する。
【0070】−2 サイズ効果試験2 前記のサイズ効果試験1と同一条件で叩解したパルプス
ラリー1.2lを離解機に秤取し、0.4%の前記実施
例、比較例のサイズ剤と0.2%の硫酸バン土を同時に
添加し、苛性ソーダでpHを7.5に調節し、その後3
0分間攪拌した。次いでpH7.5の希釈水でこのパル
プスラリーを濃度0.25%まで希釈し、定着剤として
カチオン性ポリアクリルアミド(ディック・ハーキュレ
ス社製エピノックスDS510)を0.05%添加し、
ノーブルアンドウッド抄紙機で抄紙(パルプスラリーの
温度は40℃)し、坪量65g/cm(単位平方セン
チメートル当たりのg)の試験紙を得た。湿紙の乾燥
は、ドラムドライヤーを用いて100℃で60秒間の条
件下で行った。得られた試験紙を恒温恒湿(20℃、6
0%相対湿度)環境下で24時間調湿した後、サイズ度
をステキヒト法で測定した。このサイズ効果試験は、硫
酸バン土の使用を少量に限定される抄紙系において例え
ば中性純白ロール紙及び金属合紙等を抄造する条件に相
当する。 −3 サイズ効果試験3 前記のサイズ効果試験1と同一条件で叩解したパルプス
ラリー1.2lを離解機に秤取し、0.5%の前記実施
例、比較例のサイズ剤と1.0%の硫酸バン土及び定着
剤として前記DS510を0.2%添加し、その後10
分間攪拌した。次いでpH8の希釈水でこのパルプスラ
リーを濃度0.25%まで希釈し、軽質炭酸カルシウム
(奥多摩工業製タマパール121S)を10%及び歩留
り剤として高分子量のカチオン性ポリアクリルアミド
(ディック・ハーキュレス社製ハイレテン104)を
0.01%添加し、ノーブルアンドウッド抄紙機に抄紙
(パルプ・スラリー温度40℃)し、坪量65g/m
(単位平方メートル当たりのg)の試験紙を得た。湿紙
の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で60秒
間の条件で行った。得られた試験紙を恒温恒湿(20
℃、60%相対湿度)環境下で24時間調湿した後、サ
イズ度をステキヒト法で測定した。このサイズ効果試験
は、填料として炭酸カルシウムを使用する抄紙系におい
て例えば中性印刷筆記用紙、中性コート紙、中性PPC
用紙、中性感熱原紙、中性感圧原紙、中性インクジェッ
ト用紙及び中性情報用紙等を抄造する条件に相当する。
【0071】−4 サイズ効果試験4 段ボール古紙をパルプ濃度2.5%になる量の硬度10
0ppmの希釈用水で、ビーターを用いて400mlカ
ナディアンスタンダードフリーネスまで叩解した。次い
でこのパルプスラリー1.2lを離解機に秤取し、次い
で0.2%の前記実施例、比較例のサイズ剤を添加し、
10分間攪拌した。ついでpH7.0の希釈水でこのパ
ルプスラリーを濃度0.25%まで希釈し、定着剤とし
て前記DS510を0.05%添加し、ノーブルアンド
ウッド抄紙機で抄紙(パルプスラリー温度40℃)し、
坪量100g/mの試験紙を得た。湿紙の乾燥は、ド
ラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件下で
行った。得られた試験紙を恒温恒湿(20℃、60%相
対湿度)環境下で24時間調湿した後、サイズ度を1分
間のコブ法で測定した。このサイズ効果試験は、硫酸バ
ン土を使用できない抄紙系において例えば中性ライナー
及び防錆ライナー等を抄造する条件に相当する。
【0072】−4 サイズ効果試験5 コート古紙と広葉樹の晒クラフトパルプが2対8からな
る混合物をパルプ濃度が2.5%になる量の硬度100
ppmの希釈用水で、ビーターを用いて350mlカナ
ディアンスタンダードフリーネスまで叩解した。このパ
ルプスラリー中に含まれている炭酸カルシウム量はパル
プに対して7%であった。このパルプスラリー1.2l
を離解機に秤取し、0.5%の硫酸バン土を添加し、1
分間攪拌した。次いでpH7.5の希釈水でこのパルプ
スラリーを濃度0.25%まで希釈し、前記実施例、比
較例のサイズ剤を0.5%添加し、次いで定着剤として
前記DS510を0.05%添加し、ノーブルアンドウ
ッド抄紙機で抄紙(パルプスラリー温度40℃)し、坪
量80g/mの試験紙を得た。湿紙の乾燥は、ドラム
ドライヤーを用いて100℃で70秒の条件下で行っ
た。得られた試験紙を恒温恒湿(20℃、60%相対湿
度)環境下で24時間調湿した後、サイズ度を1分間の
コブ法で測定した。このサイズ効果試験は、古紙原料か
ら炭酸カルシウムが混入する抄紙系において例えば石膏
ボード原紙及び白板等を抄造する条件に相当する。
【0073】また、泡立ち性、機械的安定性試験及び静
置安定性試験の試験結果を表4に示す。 泡立ち性試験 前記サイズ効果試験1と同じパルプスラリーを用いて同
様に0.6%の前記実施例、比較例のサイズ剤と0.2
5%の硫酸バン土とを同時に添加し、苛性ソーダでパル
プスラリーをpH7.5に調節した。3分間攪拌した
後、pH7.5の希釈用水でこのパルプスラリーを0.
25%に希釈し、定着剤としてDS510を0.05%
添加し、さらに1分間攪拌した後、円筒形の容器に入
れ、このパルプスラリーの一部をポンプで循環してこれ
を1mの高さから容器中に落下させ、10分間後の液面
に蓄積する泡の面積を求め、液面全体に対する蓄積した
泡面積を百分率で表した。試験温度は40℃とした。 機械的安定性試験 前記実施例、比較例の各サイズ剤50gをカップに入
れ、温度25℃、荷重20Kg、回転数800rpmに
て10分間マーロン式安定性試験を行った。生成した凝
集物を325メッシュ金網にて濾過して全固形分に対す
る析出量を測定し百分率で表した。 静置安定性試験 長さ30cm、内径2.1cmの試験管に100mlの
前記実施例、比較例のサイズ剤サンプルを入れ、3ケ月
静置後、底部に沈澱した沈澱物の高さ(mm)を測定し
た。
【0074】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ロジン
−多価アルコール等エステルを含有するロジン系物質を
疎水性基を有するカチオン性ポリ(メタ)アクリルアミ
ドを用いて乳化分散させた水性ロジン系エマルションか
らなる製紙用サイズ剤は機械的安定性及び保存安定性に
優れ、また、酸性抄紙系はもとより、中性抄紙系におい
ても、従来のアニオン性及びカチオン性ロジン系サイズ
剤にはみられなかったような卓越したサイズ効果を発揮
する上に、抄紙系での泡立ちも少ないという利点を備え
ている。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)3価以上の多価アルコールを主成
    分に有するアルコール類及び多価フェノールを主成分に
    有するフェノール類の少なくとも1つとロジン類とのエ
    ステル及びその強化物の少なくとも1種を1.5〜30
    重量%含有するロジン系物質、(B)疎水性基を有する
    カチオン性アクリルアミド系ポリマー及び/又はメタア
    クリルアミド系ポリマーを含有し、かつ上記(A)成分
    を上記(B)成分により直接水に分散させた組成物であ
    って、この組成物の粒子のゼータ電位がpH4〜8にお
    いて正であり、重量基準粒径分布における累積50%径
    が1μm以下である製紙用ロジン系エマルションサイズ
    剤。
  2. 【請求項2】 (A)成分が上記エステル及びその強化
    物の少なくとも1種を4.5〜25重量%含有するロジ
    ン系物質である請求項1記載の製紙用ロジン系エマルシ
    ョンサイズ剤。
  3. 【請求項3】 (A)成分に含有されるエステルがロジ
    ン類のカルボキシル基と多価アルコール及び/又は多価
    フェノールの水酸基とのモル比(―COOH/―OH)
    を0.5〜50で仕込み、加熱して得られる反応生成物
    である請求項1又は2記載の製紙用ロジン系エマルショ
    ンサイズ剤。
  4. 【請求項4】 (B)成分が (b−1)カチオン性モノマー 2〜30モル% (b−2)アニオン性モノマー 5モル%以下 (b−3)疎水性モノマー 3〜50モル% (b−4)アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミ
    ド 15〜95モル% からなる組成のモノマーを用いて得られた重合物である
    請求項1ないし3いずれかに記載の製紙用ロジン系エマ
    ルションサイズ剤。
  5. 【請求項5】(B)成分が全固形分に対して0.5〜2
    0重量%である請求項1ないし4いずれかに記載の製紙
    用ロジン系エマルションサイズ剤。
  6. 【請求項6】 固形分が20〜60重量%である請求項
    1ないし5いずれかに記載の製紙用ロジン系エマルショ
    ンサイズ剤。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6いずれかに記載の製紙
    用ロジン系エマルションサイズ剤を用いてサイジングす
    るサイジング方法。
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