JP2008188812A - 紙積層体 - Google Patents
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Abstract
その目的は、環境への負荷を低減し、さらには省資源、循環型社会へ近づけるバイオマス樹脂を含む層の加工性がよく、また紙絞りトレーや紙カップなどの紙容器の製造では従来設備で製造できる紙積層体を提供する。
【解決手段】
紙基材21にバイオマス樹脂と合成樹脂の混練物からなる樹脂層23を有し、好ましくは前記合成樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、酸変性ポリオレフィン、アイオノマーのいずれか又はその組み合わせであり、前記バイオマス樹脂がポリ乳酸系樹脂であり、バイオマス樹脂と合成樹脂の配合割合が質量基準で50〜75:50〜25であり、上記樹脂層23が樹脂温度230〜270℃で押出ラミネション法で紙基材21へ積層されてなり、厚さが20〜100μmであることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
また、乳酸系樹脂(成分(A))及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(成分(B))、並びに/又は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー成分(C))を含んでなる乳酸系樹脂組成物を含んでなる層と紙層を含んで構成される紙積層体が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、紙基材へより高速で樹脂層を押出ラミネション法で積層する際に未だ不足であるという欠点がある。
請求項2の発明に係わる紙積層体は、前記合成樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、酸変性ポリオレフィン、アイオノマーのいずれか又はその組み合わせであるように、したものである。
請求項3の発明に係わる紙積層体は、上記バイオマス樹脂がポリ乳酸系樹脂であるように、したものである。
請求項4の発明に係わる紙積層体は、バイオマス樹脂と合成樹脂の配合割合が質量基準で50〜75:50〜25であるように、したものである。
請求項5の発明に係わる紙積層体は、上記樹脂層が押出ラミネション法で紙基材へ積層されてなるように、したものである。
請求項6の発明に係わる紙積層体は、押出しラミネーション法の温度条件が、樹脂温度230〜270℃であるように、したものである。
請求項7の発明に係わる紙積層体は、押出しの厚さが20〜100μmであるように、したものである。
請求項8の発明に係わる紙積層体は、上記紙基材がクラフトパルプと、ロジン及び/又はアルキルケテンダイマーのサイズ剤を含み、配合割合が質量基準でクラフトパルプ:サイズ剤=100:0.15〜1.5であるように、したものである。
請求項2の本発明によれば、請求項1の効果に加えて、成膜加工適性がよりよい積層体とすることができる紙積層体が提供される。
請求項3の本発明によれば、請求項1〜2の効果に加えて、環境への負荷をより低減できる紙積層体が提供される。
請求項4の本発明によれば、請求項1〜3の効果に加えて、環境への負荷をより低減でき成膜加工適性がよりよい積層体とすることができる紙積層体が提供される。
請求項5の本発明によれば、請求項1〜4の効果に加えて、バイオマス樹脂を含む層の成膜加工をより高速でより効率よく積層することができる紙積層体が提供される。
請求項6の本発明によれば、請求項1〜5の効果に加えて、さらに成膜加工適性がよりよい積層体とすることができる紙積層体が提供される。
請求項7の本発明によれば、請求項1〜6の効果に加えて、さらに成膜加工適性がよりよい積層体とすることができる紙積層体が提供される。
請求項8の本発明によれば、請求項1〜7の効果に加えて、より強度があり、耐水性の紙カップや紙絞りトレーなどが製造できる紙積層体が提供される。
図1は、本発明の1実施例を示す紙積層体の断面図である。
図2は、本発明の1実施例を示す紙カップの斜視図である。
図3は、図1のAA‘断面図である。
図4は、図1のBB‘断面図である。
図5は、本発明の1実施例を示す紙絞りトレーの断面及び平面図である。
図6は、本発明の1実施例を示す紙容器の斜視図である。
(エチレンー不飽和カルボン酸エステル共重合体)エチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)などがある。
(酸変性ポリオレフィン)酸変性ポリオレフィンとしてはポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などがある。
(アイオノマー)アイオノマーとしては、側鎖イオン基が存在するもの、両末端のカルボン酸基が金属イオンで中和したもの、主鎖に陽イオンに陰イオンが結合したものなどがあるが、特に限定されない。例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体アイオノマーなどが例示でき、1種のみ又は必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
アイオノマー中の不飽和カルボン酸単位含有量としては、2〜25重量%、特に5〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは、エチレン−メタアクリル酸共重合体アイオノマーである。
上記の紙基材21の片面へインラインでコロナ処理を施しながら、上記の樹脂層組成物をEC法(押出ラミネーション法)で厚さ30μmの樹脂層を形成して、紙基材21/樹脂層23からなる実施例1の紙積層体20を得た。
ECは、乾燥し樹脂層組成物を90mm径押出し機で加熱溶融し、Tダイからカーテン状に拡張し樹脂温度245℃で、引取り速度80m/分で、幅1200mmの紙基材をインラインでコロナ処理を施しながら積層したが、カーテン状に拡張した溶融樹脂は波打ちや耳ゆれもなく、ネックイン(樹脂の流れの狭まり)も安定しており問題なく高速でEC加工ができた。
ECは、乾燥し樹脂層組成物を90mm径押出し機で加熱溶融し、Tダイからカーテン状に拡張し樹脂温度245℃で、引取り速度120m/分で、幅1200mmの紙基材をインラインでコロナ処理を施しながら積層したが、カーテン状に拡張した溶融樹脂は波打ちや耳ゆれもなく、ネックインも安定しており問題なく高速でEC加工ができた。
ECは、乾燥し樹脂層組成物を90mm径押出し機で加熱溶融し、Tダイからカーテン状に拡張し樹脂温度245℃で、引取り速度120m/分で、幅1200mmの紙基材をインラインでコロナ処理を施しながら積層したが、カーテン状に拡張した溶融樹脂は波打ちや耳ゆれもなく、ネックインも安定しており問題なく高速でEC加工ができた。しかしながら、紙基材と樹脂層とを剥離した際の紙ムケは僅かで、接着力は充分でなかった。
ECは、乾燥し樹脂層組成物を90mm径押出し機で加熱溶融し、Tダイからカーテン状に拡張し樹脂温度245℃で、引取り速度120m/分で、幅1200mmの紙基材をインラインでコロナ処理を施しながら積層したが、カーテン状に拡張した溶融樹脂は波打ちや耳ゆれもなく、ネックインも安定しており問題なく高速でEC加工ができた。
ECは、実施例1と同様の条件で積層し、カーテン状に拡張した溶融樹脂は波打ちや耳ゆれもなく、ネックインも安定しており問題なく高速でEC加工ができた。
該紙積層体20の紙基材21と樹脂層23との間を剥離したところ、紙剥れし接着は良好であった。
ECは、実施例2と同様の条件で積層し、カーテン状に拡張した溶融樹脂は波打ちや耳ゆれもなく、ネックインも安定しており問題なくより高速でEC加工ができた。
ヒートシール強度は、実施例1、2、3,4及び比較例1、2の紙積層体20から15mm幅の2片を切り出して、2片の紙基材21面と樹脂層23面とを重ねて、温度を変えた加熱シールバーと加熱していない受け台との間で、0.3MPaで1秒間加熱加圧してヒートシールした。該2片の幅15mmの紙積層体20を剥離角度90°(Tピール)、剥離速度300mm/分で剥離するヒートシール強度を測定した。さらに、剥離面を目視で観察し、剥離部分の80〜100%紙剥けするものを「◎印」で、50〜79%紙剥けするものを「○印」で、49%以下紙剥けするものを「△印」で、紙剥けしないものを「×印」で示す。「◎印」及び「○印」は合格とし、「△印」及び「×印」は不合格とした。
なお、紙剥け現象は紙面と樹脂層面との接着がよいときに、最も弱い部分である紙基材が凝集破壊して起きる現象で、良接着の指標である。
また、バイオマス度とは樹脂層中のバイオマス樹脂の割合で、バイオマス樹脂の割合が80%以上であるものを「◎印」、50%〜79%であるものを「○印」、25%〜49%であるものを「△印」、0%〜24%であるものを「×印」で示す。
その結果を表1に示す。
紙面/樹脂面のヒートシールでのヒートシール強度については、実施例1及び4では200℃以上で◎印で合格、実施例2及び比較例2では180℃以上で◎印で合格であったが、実施例3では180℃以上でも△印で、260℃でも△印のままで、合格に至らず、比較例1ではECできず評価できなかった。
さらに、実施例2の紙積層体20を胴部材とし、実施例6の紙積層体20を底部材として用い、胴部材を円錐台形に打ち抜きブランク板とし、該ブランク板を樹脂層を内側に筒状に巻いて、その側端部を部分的に重ね合せて胴貼部分31とし、該胴貼部分を工具鋼製の所定の温度の加熱バーで2回加圧して筒状の胴を形成した。該筒状の胴部の底端部へ、底板ブランクの外周を筒状に起立成形させた底部材を挿入し、底部が挿入された胴の底端部とを、その接合する部分へ熱風などを吹き付けて、その接合する部分に存在する樹脂層を加熱溶融し、次いで、カール用型により筒状のカップ胴部の先端部を内方に折り曲げて、上記の底部を構成する起立形成部にかぶせて、上記の筒状のカップ胴部の先端部と底部の起立成形部との胴貼部分を内径側からローレットによりローレットがけすることにより、カップ胴部と底部とを密接着させて接合部をシールした。胴部の上端部を外側にカールさせることで、容量500mlの紙カップ10が得られた。
さらにまた、実施例5の積層体を用いて、公知の製造方法でゲーベルトップ形に製函して、内容量500mlの紙容器(所謂、ミルクカートン)を得た。
上記の紙絞りトレー、紙カップ及び紙容器へ、中性界面活性剤0.3%、赤インキ0.5%(漏れを見やすくするため)をを含む水を注ぎ入れて、常温で10分間放置したが漏れもなく、紙カップも着色や変形などの異常は認められなかった。また、内容物を廃棄した紙容器のシール部を破壊したところ、すべてがシール部分の50%以上が紙剥け状態と良好であった。
11:胴部
13:底部
15:カール
21:紙基材
23:樹脂層
31:胴貼部分
33:起立成形部
41:胴部材
43:底部材
Claims (8)
- 紙基材と、該紙基材の少なくとも片面にバイオマス樹脂を含む合成樹脂層を有する積層体において、前記合成樹脂層がバイオマス樹脂と合成樹脂の混練物であることを特徴とする積層体。
- 前記合成樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、酸変性ポリオレフィン、アイオノマーのいずれか又はその組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 上記バイオマス樹脂がポリ乳酸系樹脂であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の積層体。
- バイオマス樹脂と合成樹脂の配合割合が質量基準で50〜75:50〜25であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 上記樹脂層が押出ラミネション法で紙基材へ積層されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 押出しラミネーション法の温度条件が、樹脂温度230〜270℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- 押出しの厚さが20〜100μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 上記紙基材がクラフトパルプと、ロジン及び/又はアルキルケテンダイマーのサイズ剤を含み、配合割合が質量基準でクラフトパルプ:サイズ剤=100:0.15〜1.5であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
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