JP2012011591A - 紙カップの製造方法および紙カップ - Google Patents

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文 宮坂
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Abstract

【課題】バイオマス樹脂を用いた紙カップを製造するにあたり、ホットエアー法を用いた場合でも、接合部について良好な接着を得ることのできる紙カップの製造方法、および、それにより得られる紙カップを提供する。
【解決手段】胴部を、紙基材21の片面に、バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物からなる樹脂層23を有する胴部材により形成し、底部を、紙基材の片面に、バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物からなる樹脂層を有する底部材により形成する紙カップの製造方法である。胴部材41の片側端部の紙基材21側にスカイブヘミング加工を施した後、胴部材41を、樹脂層23を内側にして筒状とし、胴部材41の両側端部を、少なくとも一部において樹脂層同士を対向させて接合する。
【選択図】図4

Description

本発明は紙カップの製造方法(以下、単に「製造方法」とも称する)および紙カップに関し、詳しくは、バイオマス樹脂を含む樹脂層を有する紙カップの製造方法、および、これにより得られる紙カップに関する。
液状や粘調状の食品、または、固形分を含む液状食品などの容器に用いる紙カップには、防水性が必要となるため、通常、内面にポリエチレンやワックス等の樹脂層が積層されたものが用いられている。このような紙カップは、通常、1回限りの使用で廃棄されるので、ゴミの量を増やすことに加え、ほとんど分解されないので環境への負荷が大きく、投棄された樹脂類により景観が損なわれ、生物系の生活環境が破壊されるなどの問題を引き起こすものである。
かかる問題を解消するためには、生物資源を利用したバイオマス材料、中でも、植物由来の樹脂であるバイオマス樹脂を用いることが有効である。バイオマス樹脂は、使用後に焼却されれば炭酸ガスを経て植物に、また、コンポスト処理などを経た場合も植物に循環し、この植物から再びバイオマス樹脂に循環することで、循環型社会へ向かうための一助となりうる材料である。また、バイオマス樹脂は、炭酸ガスの排出を抑制でき、地球温暖化防止や農業の活性化などにも効果的な材料であり、石油資源を使用しないので省資源の観点からも有用である。
しかし、バイオマス樹脂の成膜加工適性や容器加工適性などの加工適性が悪いために、バイオマス樹脂を用いた紙カップは、容易に製造できないという難点があった。これに対し本発明者らは、特許文献1,2において、加熱バーによる加熱加圧方式または超音波方式を用いることで、バイオマス樹脂を含む層の成膜加工適性を高める製造方法を提案している。これら特許文献1,2に記載の技術によれば、バイオマス樹脂を用いた紙カップを、従来設備において容易かつ低コストで大量生産することが可能である。
特開2008−189340号公報(特許請求の範囲等) 特開2008−189342号公報(特許請求の範囲等)
紙カップの製造においては、特許文献1,2におけるような加熱バーによる加熱加圧方式または超音波方式よりも、接合部に対し熱風を吹き付けて加圧することによりシールを行うホットエアー方式を用いることができれば、より有利である。しかしながら、バイオマス樹脂を含む樹脂層の場合、ホットエアー方式では紙基材との間の接着性が充分に得られず、製造後の紙カップにおいて、液のにじみや液漏れなどが発生するおそれがあった。したがって、バイオマス樹脂を含む紙カップを製造する際にホットエアー法を用いた場合でも、良好な接合を得ることのできる紙カップの製造方法を実現することが求められていた。
そこで本発明の目的は、上記問題を解決して、バイオマス樹脂を用いた紙カップを製造するにあたり、ホットエアー法を用いた場合でも、接合部について良好な接着を得ることのできる紙カップの製造方法、および、それにより得られる紙カップを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、紙カップを製造する際に接合する胴部材の端部について、スカイブヘミング加工を施すことで、接合部における良好な接着性を確保することが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の紙カップの製造方法は、胴部を、紙基材の片面に、バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物からなる樹脂層を有する胴部材により形成し、底部を、紙基材の片面に、バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物からなる樹脂層を有する底部材により形成する紙カップの製造方法において、
前記胴部材の片側端部の前記紙基材側にスカイブヘミング加工を施した後、該胴部材を、前記樹脂層を内側にして筒状とし、該胴部材の両側端部を、少なくとも一部において該樹脂層同士を対向させて接合することを特徴とするものである。
本発明の製造方法においては、前記胴部材の両側端部を、ホットエアー法により熱接着して接合することが好ましい。また、前記バイオマス樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂を好適に用いることができる。さらに、前記合成樹脂としては、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、酸変性ポリオレフィンおよびアイオノマーのうちのいずれか一種または2種以上の組み合わせを用いることが好ましい。さらにまた、前記バイオマス樹脂と合成樹脂との配合割合は、質量基準で10〜90:90〜10とすることが好ましい。さらにまた、本発明の製造方法においては、前記樹脂層を、前記紙基材上に、押出ラミネーション法で積層することが好ましい。
また、本発明の紙カップは、上記本発明の紙カップの製造方法により製造されてなることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記構成としたことにより、バイオマス樹脂を用いた紙カップを製造するにあたり、ホットエアー法を用いた場合でも、接合部について良好な接着を得ることのできる紙カップの製造方法、および、それにより得られる紙カップを実現することが可能となった。
本発明の紙カップの一例を示す斜視図である。 図1中のA−A’断面を示す断面図である。 図1中のB−B’断面を示す断面図である。 本発明の紙カップの製造方法に係る説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の紙カップの一例を示す斜視図を示す。図示する紙カップ10は、略円筒状の胴部11と、胴部11の下端に接合される底部13とからなり、胴部11の上端部にはカール15が形成されている。
また、図2および図3は、図1中のA−A’断面およびB−B’断面をそれぞれ示す断面図である。図示する紙カップにおいては、胴部11を、紙基材21の片面に、バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物からなる樹脂層23を有する胴部材41により形成し、底部13を、紙基材21の片面に、バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物からなる樹脂層23を有する底部材43により形成している。
本発明においては、かかる紙カップを製造するにあたり、図4に示すように、胴部材41の片側端部の紙基材21側にスカイブヘミング加工を施した後(図中の(a),(b))、胴部材41を、樹脂層23を内側にして筒状とし、胴部材41の両側端部を、少なくとも一部において樹脂層23同士が対向するようにして接合する(図中の(c))。このように、胴部材41の片側端部にスカイブヘミング加工を施して、胴部材41の両側端部の少なくとも一部において樹脂層23同士を対向させたことで、この部分において、樹脂層23同士を接着させることができる。これにより、バイオマス樹脂を含む樹脂層23を有する胴部材41について、熱風の吹き付けによるホットエアー法を用いて接合を行った場合でも、胴貼部分31において良好な接着性を得ることが可能となる。
本発明において、胴部材41の両側端部を接合するに際してホットエアー法による熱接着の手法を用いる場合、その吹き付ける熱風の温度としては、400℃〜600℃とすることが好ましい。この温度が低すぎると、胴貼部分31において十分な接着性が得られず、一方、高すぎてもそれ以上の接着性は得られず、また、樹脂の劣化が生ずるおそれもある。
本発明の製造方法においては、上記スカイブヘミング加工に係る一連の工程により胴部材41の両側端部を接合する点のみが重要であり、これにより、本発明の所期の効果を得ることができるものである。本発明の製造方法においては、紙カップの製造における上記以外の工程については、常法に従い適宜実施することができ、特に制限されるものではない。
具体的には、まず、(1)胴部11を形成する胴部材41を準備するとともに、(2)底部13を形成する底部材43を準備し、(3)胴部材41を円錐台形に打ち抜いて胴部ブランクとし、(4)底部材43を円形に打ち抜いて底材ブランクとする。次いで、(5)あらかじめ上述したスカイブヘミング加工を施した胴部ブランクを、樹脂層23が内側となるように筒状に巻いて、その側端部を樹脂層23同士が対向するようにして部分的に重ね合せて胴貼部分31とし(図2参照)、この胴貼部分31にホットエアー法により加熱処理を行い押圧することで、筒状の胴部11を形成する。次いで、(6)筒状の胴部11の底端部へ、底板ブランクの外周を筒状に起立成形させて起立成形部33とした底部材を挿入し、底部材と、底部材が挿入された胴部の底端部との接合する部分に熱風などを吹き付けて、当該部分に存在する樹脂層23を加熱溶融し、次いで、カール用型により筒状の胴部11の先端部を内方に折り曲げて起立形成部33に被せ、上記筒状の胴部11の先端部と底部13の起立成形部33との胴貼部分31に内径側からローレット掛けすることにより、胴部11と底部13とを密接着させて接合部をシールする(図3参照)。次いで、(7)胴部11の上端部を外側にカールしてカール15を形成する。なお、上記胴貼部分31以外の部分のシール方式としては、通常、ホットエアー方式が用いられるが、その他一般的に用いられる方法を使用してもよく、特に制限はない。
本発明において樹脂層23に用いるバイオマス樹脂としては、澱粉、ポリ乳酸系樹脂、微生物産生ポリエステル、脂肪族または芳香族ポリエステルなどがある。バイオマス樹脂には生分解するものと生分解しないものがあるが、本発明においてはいずれであってもよく、好ましくは生分解性の樹脂であり、より好ましくは、生分解性や強度の点でポリ乳酸系樹脂を用いる。
ポリ乳酸系樹脂としては、モノマーの質量に換算して、乳酸成分を50質量%以上含むものであればよく、例えば、ポリ乳酸、乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体、乳酸と脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との共重合体、および、これらのうちいずれか2種以上の組み合わせの混合物などが例示できる。乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸若しくはそれらの混合物、または、乳酸の環状2量体であるラクタイドなどがある。具体的には例えば、三井化学(株)製のポリ乳酸樹脂「レイシア」(商品名)が挙げられ、その銘柄としては、例えば、H−100,H−400,H−440,H−360,H−280,100J,H−100E,M−151SQ04,M151S Q52などがある。
また、バイオマス樹脂とともに樹脂層23を構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、ヒートシール性のあるポリオレフィン系樹脂またはその変性体が好適である。かかるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、オレフィンと他のモノマーとの共重合体であるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、カルボン酸をグラフト重合した酸変性ポリオレフィン、アイオノマーを挙げることができ、中でも、混練性が良く成膜加工適性が良好である点から、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、酸変性ポリオレフィンおよびアイオノマーのうちのいずれか一種または2種以上の組み合わせが好適である。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)があり、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中の不飽和カルボン酸単位含有量としては、2〜25質量%、特には5〜20質量%が好ましい。
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
アイオノマーとしては、側鎖イオン基が存在するもの、両末端のカルボン酸基が金属イオンで中和したもの、主鎖の陽イオンに陰イオンが結合したものなどがあるが、特に限定されるものではない。例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体アイオノマーなどが挙げられ、これらのうちの1種のみ、または、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。アイオノマー中の不飽和カルボン酸単位含有量としては、2〜25質量%、特には5〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは、エチレン−メタアクリル酸共重合体アイオノマーである。
また、樹脂層23を構成するバイオマス樹脂と合成樹脂との混練物には、所望に応じ、着色剤、顔料、体質顔料、充填剤、滑剤、可塑剤、界面活性剤、増量剤などの添加剤を加えてもよい。
樹脂層23におけるバイオマス樹脂と合成樹脂との配合割合は、質量基準で10〜90:90〜10程度とすることができ、好ましくは50〜75:50〜25とする。バイオマス樹脂の配合量がこの範囲未満では、環境負荷の低減や省資源化、循環型社会の形成の目的に対し効果が少ない。一方、バイオマス樹脂の配合量がこの範囲を超えると、積層体に加工する際の加工適性が悪く、均一な膜が得られず、また、紙への接着力も低下する。
樹脂層23の、JIS K−7210に準拠して190℃、2160g荷重の条件において測定したメルトフローレート(MFR)は、通常0.5〜20g/10分程度であり、好ましくは1〜15g/10分、より好ましくは4〜6g/10分である。樹脂層23のMFRがこの範囲未満では、基材上への積層加工時における加工適性が悪く、Tダイスから出た樹脂の流れが悪く、膜切れもしやすい。一方、樹脂層23のMFRがこの範囲を超えると、Tダイスから出た樹脂の流れが速すぎて乱れたり、厚薄ムラが大きくなり、均一な膜が得られない。
ポリ乳酸系樹脂と合成樹脂とを配合し混練して樹脂組成物とする方法としては、特に限定されないが、例えば、1軸または多軸の押出し機や、ミキサーなどの公知の方法を用いることができ、特に、溶融混練の手法を用いることが好ましい。
紙基材21としては、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、例えば、晒または未晒の紙、板紙、加工紙などが挙げられ、具体的には、伸縮性があり、紙カップ製造適性のよいカップ原紙などが例示できる。また、紙基材は、各種の添加剤などを含有していてもよい。紙基材としては、坪量約80〜600g/mのもの、特には、坪量約100〜450g/mのものを使用することが好ましい。なお、胴部材および底部材の紙基材は、同一のものであっても、異なっていてもよい。
紙基材としては、クラフトパルプと、サイズ剤としてのロジンおよび/またはアルキルケテンダイマーとを含むことが、包装体に強度を与え、高サイズ度であることから好ましく、内容物などが滲み込みにくいので、耐水性の紙カップや紙絞りトレーなどが製造できる点でも好ましい。その配合割合は、質量基準でクラフトパルプ:サイズ剤=100:0.15〜1.5とすることが好ましい。サイズ剤の配合量が少なすぎると、サイズ度が不足して内容物などが滲み込みやすく、サイズ剤の配合量が多すぎると、サイズ度が高過ぎてバイオマス樹脂を含む樹脂層との接着性が低下する。
上記樹脂層23は、紙基材21上に、押出ラミネーション法を用いて積層することが好ましい。すなわち、上記バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物を、押出ラミネーション法で樹脂層とし、紙基材上に積層する。押出ラミネーション法は、いわゆる、当業者がエクストルージョンコーティング(EC)と呼ぶ方法である。まず、押出機で、押出樹脂を加熱し溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させて、カーテン状に押し出す。溶融樹脂を紙基材上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、押出樹脂層の形成と、紙基材への接着および積層とが同時に行われ、また、ロールツーロールの巻取状で加工ができるので、極めて生産効率が良い方法である。バイオマス樹脂、特にポリ乳酸系樹脂は溶融時の張力が低く、押出ラミネーション法ではTダイスから出た樹脂のネックインが大きく、特に両端部が厚くなって巻取りにくくなり、さらに樹脂層の厚薄ムラが大きく、また膜切れもしやすいので、薄膜の樹脂層は成膜し難かったが、本発明においては、合成樹脂との混練物としたことで、幅方向の厚薄ムラが少なく、既存の従来設備で、ロールツーロールの巻取状で加工することができ、極めて生産効率がよく容易に、大量生産ができるものとなった。
EC方式を用いて、押出機で上記混練物からなる樹脂組成物を加熱して溶融させ、Tダイスからカーテン状に押し出す際の溶融樹脂の温度は、180〜300℃、好ましくは210〜280℃、より好ましくは230〜270℃である。溶融樹脂の温度がこの範囲未満では、接着不良や加工不良が生ずるおそれがある。一方、溶融樹脂の温度がこの範囲を超えると、樹脂の分解温度に近づくので、Tダイスから出た樹脂の流れが乱れたり、着色したりしてしまう。
成膜と積層体が同時にできるEC方式では、高速加工で低コスト化できるメリットがあり、基材上に、通常80m/分以上、好ましくは100m/分以上、より好ましくは120m/分以上の高速で、樹脂層を押出ラミネーション法により積層することができる。また、1回のEC法での樹脂層23の成膜厚さとしては、通常5〜200μm、好ましくは20〜100μmとすることができる。樹脂層23の成膜厚さがこの範囲未満では、EC加工時にTダイスから流下した樹脂の樹脂温度が低下しやすく、また、熱容量が少なく紙基材との接着性が悪くなる。一方、樹脂層23の成膜厚さがこの範囲を超えると、紙基材との接着性は良くなるが、Tダイスから出た樹脂の溶融粘度が高いためか、膜切れしやすく、EC加工性が著しく低下する。厚さが必要な場合には、複数回のEC加工を繰り返せばよい。
なお、本発明においては、樹脂層と基材とを強固に接着させるために、アンカーコート剤(AC剤)と呼ばれる接着促進剤などを塗布してもよく、また、アンカーコート剤の代わりに、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、オゾンガス処理などの易接着処理を施してもよい。アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートなどの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤などがある。アンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコートなどの公知のコーティング法で塗布して、乾燥すればよい。アンカーコート剤の厚さは、通常0.01〜10.0μm、好ましくは0.1〜5.0μmとすることができる。
また、本発明においては、紙基材に、ポリエチレンイミン(PEI)やPLAを含有させてもよい。含有させる方法としては、紙基材に抄き込んだり、塗布するなどすればよく、好ましくはPEIを含有させる。紙基材に塗布する方法としては、水、アルコールおよび/または有機溶媒などを用いて溶液として、紙基材への含浸、スタンプコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティングなどにより塗布して、乾燥させればよい。含有させる部位としては、紙カップとする際に熱接着する部分が好ましいが、もちろん全面に含有させてもよい。このようにすることで、バイオマス樹脂を含む樹脂層面と紙基材面との異質材料間のシールであっても接着性が向上するので、より低い条件でも充分な接着性が得られるものとすることができる。PEIの塗布量としては、通常0.001g/m〜5g/m、好ましくは0.01g/m〜1g/mである。PEIの塗布量がこの範囲未満では、接着性向上の効果が低く、一方、PEIの塗布量がこの範囲を超えても、それ以上の効果は得られない。
本発明の紙カップを形成する胴部材および底部材における紙基材と樹脂層との層間および/または層表面には、必要に応じて、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウムなどの無機化合物層、金属蒸着層、金属箔などのガスバリア層、耐熱性および/または機械的強度に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや2軸延伸ポリアミド(ON)フィルム等のプラスチックフィルム層などの保護層を任意に積層してもよい。また、各層の積層の際には、接着力やその他の機能を向上させるための、接着層、プライマ層、コロナ処理などの易接着のための層および/または処理を施してもよい。ガスバリヤ層、保護層、プライマ層などを用いた積層方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、2液硬化型ポリウレタン系接着剤などを用いたドライラミネート法、アンカーコート剤を介した押出しコート法やサンドイッチラミネート法などが例示できる。
本発明の紙カップは、上記本発明の製造方法により製造されたものであればよく、これにより、バイオマス樹脂を用いつつ、良好な接着性を有し、液の漏れやにじみ等の生じない高品質の紙カップとすることができる。また、かかる本発明の紙カップは、炭酸ガスの排出を抑制できるので、地球温暖化防止や農業の活性化などにも効果的であり、石油資源の使用量を少なくすることができるので、省資源化にも寄与できるものである。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例>
紙基材として秤量255g/mのカップ原紙を用いて、その片面にインラインでコロナ処理を実施しながら、以下の樹脂層組成物を用いて、押出ラミネーション法で240℃にて厚さ30μmの樹脂層を形成して、紙基材255μm/樹脂層30μmからなる積層体(胴部材および底部材)を得た。樹脂層組成物としては、PLA(レイシアH−100,三井化学(株)製)70質量部にアイオノマー樹脂(ハイミラン1652,三井デュポンポリケミカル(株)製)30質量部を加えて、加熱混練したものを用いた。
上記の胴部材を円錐台形に打ち抜きブランク板とし、このブランク板の片側端部の紙基材側にスカイブヘミング加工を施した後、このブランク板を、樹脂層が内側となるよう筒状に巻いて、その側端部を、樹脂層同士を対向させて部分的に重ね合わせた。この胴貼部分に、所定温度のホットエアーを2回吹き付け、加圧して筒状の胴部を形成した。
この筒状の胴部の底端部に、底板ブランクの外周を筒状に起立成型させた底板を挿入し、底部と、底部が挿入された胴部の底端部とが接合する部分に所定温度の熱風を吹き付けて、当該部分に存在する樹脂層を加熱溶融し、次いで、カール用型により筒状の胴部の先端部を内方に折り曲げて起立成型部に被せ、上記筒状の胴部の先端部と底部の起立成型部との胴貼部分に内径側からローレット掛けすることにより、胴部と底部とを密接着させて接合部をシールした。次いで、胴部の上端部を外側にカールさせてカールを形成し、容量353mlの実施例1の紙カップを得た。
<比較例>
胴部材として、スカイブヘミング加工を施さないものを用いた以外は、実施例と同様に実施して、比較例の紙カップを得た。
<評価方法>
各実施例および比較例で作製した紙カップの胴貼部分の接着状態を、目視で確認した。
<評価結果>
実施例のカップの胴貼部分は良好な接着を有し、全面紙剥けしたが、比較例では接着が弱く、紙剥けも微量であった。なお、紙剥け現象とは、紙面と樹脂層面との接着が良好である場合に、最も弱い部分である紙基材が凝集破壊して起きる現象であり、良接着の指標である。
10 紙カップ
11 胴部
13 底部
15 カール
20 積層体
21 紙基材
23 樹脂層
31 胴貼部分
33 起立成形部
41 胴部材
43 底部材

Claims (7)

  1. 胴部を、紙基材の片面に、バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物からなる樹脂層を有する胴部材により形成し、底部を、紙基材の片面に、バイオマス樹脂と合成樹脂との混練物からなる樹脂層を有する底部材により形成する紙カップの製造方法において、
    前記胴部材の片側端部の前記紙基材側にスカイブヘミング加工を施した後、該胴部材を、前記樹脂層を内側にして筒状とし、該胴部材の両側端部を、少なくとも一部において該樹脂層同士を対向させて接合することを特徴とする紙カップの製造方法。
  2. 前記胴部材の両側端部を、ホットエアー法により熱接着して接合する請求項1記載の紙カップの製造方法。
  3. 前記バイオマス樹脂としてポリ乳酸系樹脂を用いる請求項1または2記載の紙カップの製造方法。
  4. 前記合成樹脂として、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、酸変性ポリオレフィンおよびアイオノマーのうちのいずれか一種または2種以上の組み合わせを用いる請求項1〜3のうちいずれか一項記載の紙カップの製造方法。
  5. 前記バイオマス樹脂と合成樹脂との配合割合を質量基準で10〜90:90〜10とする請求項1〜4のうちいずれか一項記載の紙カップの製造方法。
  6. 前記樹脂層を、前記紙基材上に、押出ラミネーション法で積層する請求項1〜5のうちいずれか一項記載の紙カップの製造方法。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか一項記載の紙カップの製造方法により製造されてなることを特徴とする紙カップ。
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