JP4713187B2 - 紙カップ - Google Patents

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Description

本発明は、飲料等の液体やヨーグルト等の半固体やスナック等の固体を収納するのに用いられる紙カップに関するものである。更に詳しくは、段差部等の隙間の樹脂埋めも良好であり、ピンホール、シール抜けによる漏れがなく密封性の安定した紙カップ容器を製造可能であり、かつ、カップ成形機に対する滑り性、ブランク抜き適性等の機械適性に優れ、高速、かつ、品質的に安定して紙カップ容器を製造することが可能となる紙カップに関する。
従来、図1に示すような紙カップが知られている。この紙カップは、胴シール部Mにて貼り合わされた胴紙Wの下部に底紙Fを巻き締めし、上方開口縁に外向きカール部Lを形成して作成されている。すなわち、筒状の胴部となる扇状の胴紙Wと胴部の下方内側に巻き締める円形状の底紙Fとで構成されている。
そして、この胴紙W及び底紙Fに用いられる包材としては、外側から、カップ原紙とポリエチレン樹脂とを順次積層する層構成の積層体や、ポリエチレン樹脂とカップ原紙とポリエチレン樹脂を順次積層する層構成からなる積層体等が一般的である。
更に、上記の積層体において、バリヤ性付与のために、他の素材、例えばアルミ箔、各種蒸着加工等を形成したフィルムを含むプラスチックフィルム等を前記カップ原紙の表裏に積層することがある。
通常、このような紙カップを製造するに際して、まず、底紙Fは、巻取から送られてくる原反を打ち抜き機で円板状に打ち抜いたものが使用される。そして、凹凸の深絞り用金型を用いて底紙Fをその周囲に起立部のある皿状に成型する。
一方、胴部ブランクWを筒状に貼り合わせるために、胴部ブランクWの貼り合わせ部を熱風で予熱し、表面の樹脂を溶融させる。次に、胴部ブランクWを胴巻き型(マンドレル)に巻き付け、圧着し、筒状の胴部材Wに成型する。
しかる後、胴部材Wの中に底部ブランクFを嵌め込み、同時に、胴部材Wおよび底部ブランクFの接着部分のポリエチレン樹脂を熱風で予熱する。
そして、前記の胴部シール部が、底紙をプレス成形して形成した起立部と胴紙の端部分を内側にカールして、折り曲げて底紙の曲げ部分を組み込んだ状態にしてから、ローレットロールという金属ローラにて上部から加圧してシールされ、底締め加工を行う。
上記の底締め加工の際、胴部材Wが動かないようにガイドリングで抑える。上記の底締め加工が完了すると、胴部材Wの上端を外側にカールし、トップカールLを成形し、紙カップが製造され、スタッカーへ運ばれる。
上記の紙カップは、胴シール部Mと底紙周囲の底部シール部N(以下「ローレットシール部」とももいう)の2箇所のシール部からなる。
これらのシール部においては、完全に密封されることが必要であり、特に、底紙周囲の底部シール部Nにおいて、段差の空隙部を完全に埋めて、密封性を確実にすることが、漏れ防止のために必要である。
紙カップ容器Pは、カップ成形後に内面となる面、又は、前記カップ原紙の両面に熱接着可能な合成樹脂を設ける。
従来は、前記の熱接着可能な合成樹脂として、低密度ポリエチレンを用いて、密着性を確実にするために成形条件を適正に保持するために細心の注意を払って生産を行っている。
しかしながら、上記のように細心の注意を払っても、成形条件のバラツキ等による密封不良が発生して、シール抜けによる漏れが発生したり、胴部貼り合わせ時に特に紙カップを構成する積層体にアルミニウム箔を使用した場合に、バブリングが生じやすい等の問題があった。
この欠点を解消した漏れのない密封性良好な紙カップとして、カップを構成する胴部材と、底部材の最内層にシングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体を使用した紙カップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9-76375号公報
しかしながら、上記の層構成の紙カップでは、特に胴部材のブランクの機械適性に劣るという問題点がある。
即ち、上記の層構成の紙カップでは、内面の滑り性が悪いため、胴部材のブランクをマンドレルに巻き付ける際、胴部シール部の位置ずれを生じた結果、漏れの原因となるという問題点がある。
また、紙カップを構成する胴部材のブランクを打ち抜く際、抜き不良を発生してしまい、機械停止の原因となり、生産性が低下するという問題点がある。
本発明の目的は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、ピンホール、シール抜けによる漏れがなく、段差部等の隙間の樹脂埋めも良好であり、また、部材ブランクの内面の滑り性、打ち抜き適性等に優れるので、もれのない密封性の安定した紙カップ容器を高速、かつ、品質的に安定して製造が可能であり、生産効率が向上する紙カップ容器を提供することにある。
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の紙カップでは、筒状のカップ胴部材と、当該筒状のカップ胴部材の底部を密閉する底部材とからなる紙カップにおいて、当該底部材の最内層が、密度、0.88g/cm3〜0.92g/cm3、メルトインデックス、15g/10分〜22g/10分であるメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層からなり、かつ、当該胴部材の最内層が、密度、0.91g/cm3〜0.93g/cm3、メルトインデックス、g/10分〜g/10分である低密度ポリエチレン樹脂層からなることを特徴とする。
また、本発明の紙カップにおいて、前記の胴部材と底部材が、外側から、紙基材層、バリア層、前記の最内層とを順次積層する層構成からなることを特徴とする。
また、本発明の紙カップにおいて、前記の胴部材と底部材の最外層が、ヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂層からなることを特徴とする。
また、本発明の紙カップにおいて、前記の底部基材の最内層が、低密度ポリエチレンとメタロセン触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との共押出積層樹脂層からなることを特徴とする。
本発明の紙カップ容器は、上記の構成を採ることにより、ピンホール、シール抜け等による漏れがなく、段差部等の隙間の樹脂埋めも良好となり、もれのない密封性の安定した紙カップ容器の作成が可能であると共に、部材ブランクの内面が、滑り性や打ち抜き適性等に優れるので、紙カップ容器の製造を高速、かつ、品質的に安定して生産することが可能であり、生産効率が向上するという利点を有する。
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる紙カップを構成する積層材等の構成についてその一二例を例示して図面を用いて説明すると、図2は、本発明にかかる紙カップを構成する積層材についての層構成を示す概略的断面図であり、図3は、本発明にかかる紙カップを示す一部断面図である。
まず、本発明にかかる紙カップは、カップ胴部材と、当該筒状のカップ胴部材の底部を密閉する底部材とから構成される。
そして本発明にかかるカップ胴部材を構成する積層材Aとしては、図2(a)に示すように、少なくとも、紙基材2、密度、0.91g/cm3〜0.93g/cm3、メルトインデックス、15g/10分〜14g/10分である低密度ポリエチレン樹脂層からなる最内層6aの順で積層した構成を基本構造とするものである。
また、底部材を構成する積層材Bとしては、図2(b)に示すように、少なくとも、紙基材2と、密度、0.88g/cm3〜0.92g/cm3、メルトインデックス、g/10分〜g/10分であるメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層からなる最内層6bの順で積層した構成を基本構造とするものである。
例えば、本発明においては、図示しないが、上記のような図2に示す積層材の構成において、紙基材の表面に、例えば、ヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂層からなる最外層を設けることができるものである。
また、例えば、本発明においては、上記のような積層材の構成において、必要に応じて板紙の表面にインキ層7、さらにその上にオーバーコートニス層1を形成することができる。
また、例えば、本発明においては、上記のような積層材の構成において、アルミニウム箔等のガスバリア性層4を紙基材層2と最内層6a、6bとの層間に接着層3を介して積層することが望ましいものである。
更に、他の基材を任意に積層して、種々の形態からなる積層材を設計して製造することができるものである。
更にまた、本発明において、最内層6a、6bとしては、密閉性等を向上させるために、その総厚を厚くすることが望ましく、そして、その手法としては、本発明において、図示しないが、最内層を単層ないし多層に構成することができ、更には、ガスバリア性層4と最内層6a、6bとの層間に、低密度ポリエチレン等のヒートシール性を有する強度保持層5等を設けることができるものである。
上記の例示は、本発明にかかる紙カップを構成する積層材についてその一二例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
次に、本発明において、本発明にかかる紙カップの構成についてその一例を例示して説明すると、上記の図2に示すカップ胴部材を構成する積層材Aと、底部材を構成する積層材Bとを使用した場合で説明すると、まず、上記の図2(a)に示す積層材Aを使用し、これを紙カップの胴部を作るに必要な所定の形状、例えば、円錐台形等に合わせて、打ち抜き加工して、胴部材を形成した。
次いで、例えば、回転中心から放射状に複数のマンドレルを備え、これらを間欠移動させて各ステージで所定の加工を行うようにした紙カップ加工機を使用することができる。
上記の紙カップ加工機を使用して、当該胴部材を筒状に巻いてその両側端部を部分的に重ね合わせ、その重合部分にフレ−ム処理、あるいは、ホットエア−処理等の加熱処理を行い、上記の重合部分に存在する最内層、あるいは、最外層と最内層とを構成する樹脂層を加熱溶融する。
なお、図示しないが、通常、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、筒状のカップ胴部を構成する胴シ−ル部の内側端面には、例えば、スカイブ・ヘミング処理等を施して端面処理が行われている。
他方、図2(b)に示すように、上記の胴部材を構成する積層材Aと最内層の異なる積層材Bを使用し、これを円形状に打ち抜き加工して、底部を構成する円板を製造し、次いで、当該円板の外周部を筒状に起立成形して、起立成形部を有する底部材を製造する。
本発明にかかる紙カップは、図3に示すように、外側に向けてカール状に形成されたフランジ部Lを有するものである。なお、上記以外に内側に向けてカール状に形成したフランジ部を有するものであってもよい。
次に、本発明において、本発明にかかる紙カップ等を構成する材料、製造法等について更に詳しく説明すると、まず、本発明にかかる紙カップを構成する紙基材2としては、これが紙カップを構成する基本素材となることから、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができ、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、その他等の各種の紙基材を使用することができる。
また、本発明において、上記の紙基材としては、坪量約80〜600g/m2位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位の紙基材等を使用することができる。
なお、本発明において、上記の紙基材には、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他等の所望の印刷絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成することができるものである。
まず、前記の底部材および胴部材の最内層6a、6bは、前記の最外層と同様な素材を同様に使用して形成することができ、具体的には、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂を使用することができる。
本発明において、本発明にかかる胴部材を構成する最内層6aとしては、密度、0.91g/cm3〜0.93g/cm3、メルトインデックス、3g/10分〜14g/10分である低密度ポリエチレン樹脂層であることが必要であり、更に、上記において、メルトインデックス、4g/10分〜9g/10分位がより好ましい。
このことによって、胴部材のブランクの打ち抜き適性に優れ、胴部材の内面が、滑り性に優れるので、胴部材ブランクを一枚ずつマンドレルに送り出す際、2枚差しすることなく送り出し、胴部材のブランクをマンドレルに巻き付ける際、胴部シール部の位置ずれを回避できるので、位置精度良く巻き付け可能で、安定してヒートシールできるので、紙カップ容器の製造を高速、かつ、品質的に安定して生産することが可能であり、生産効率が向上するため好ましいものである。
密度が、0.91g/cm3未満であると、ブランク抜き適性が悪くなるので好ましくなく、密度が、0.93g/cm3を超えると、段差部等の隙間の密封性に劣り、ピンホール、シール抜け等による漏れを発生しやすくなるため、好ましくない。
メルトインデックスが、上記の範囲外であると、通常の方法、例えば、押出法、Tダイキャスト法、インフレーション法等による安定した製膜ができなくなるので好ましくなく、また、15g/10分未満であると、ピンホール、シール抜け等の原因となるため好ましくない。
また、本発明にかかる胴部材および底部材を構成する最内層を構成する樹脂の融点としては、105℃〜115℃位が好ましく、105℃〜110℃位がより好ましい。
このことによって、250℃〜300℃位の低温シ−ルを可能とし、ピンホ−ルの発生を防止し、シ−ル不良、液漏れ等を回避することができるので好ましいものである。
最内層を構成する樹脂の融点が、110℃を超えると、シ−ル温度が、320℃〜350℃位となり、高いシ−ル温度が必要であることからピンホ−ルを発生し、シ−ル不良、液漏れ等を起こす原因となり易いため、好ましくない。
本発明において、最内層の膜厚としては、10μm〜300μm位が好ましく、20μm〜100μm位がより好ましい。
本発明において、本発明にかかる底部材を構成する最内層6bとしては、密度、0.88g/cm3〜0.92g/cm3、メルトインデックス、0.5g/10分〜22g/10分であるメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層であることが必要であり、更に、上記において、密度、0.88g/cm3〜0.90g/cm3位、メルトインデックス、15g/10分〜22g/10分位がより好ましい。
このことによって、ピンホール、シール抜け等による漏れがなく、段差部等の隙間の樹脂埋めも良好となり、通常の方法、例えば、押出法、Tダイキャスト法、インフレーション法等による安定した製膜が可能であり、もれのない密封性の安定した紙カップ容器の作成が可能であるため好ましいものである。
本発明において、最内層の膜厚としては、10μm〜300μm位が好ましく、20μm〜100μm位がより好ましい。
密度が、0.88g/cm3未満であると、ブランク抜き適性が悪くなるため、好ましくなく、密度が、0.92g/cm3を超えると、段差部等の隙間の密封性に劣り、ピンホール、シール抜け等による漏れを発生しやすくなるため、好ましくない。
メルトインデックスが、上記の範囲外であると、押出法、Tダイキャスト法、インフレーション法等による安定した製膜ができなくなるので好ましくなく、また、15g/10分未満であると、ピンホール、シール抜け等の原因となるため好ましくない。
本発明において、最内層の膜厚としては、10μm〜300μm位が好ましく、20μm〜100μm位がより好ましい。
本発明においては、上記のような樹脂を使用し、これを押出機等を用いて溶融押出して、例えば、アンカ−コ−ト剤層等を介して、溶融押出樹脂層を溶融押出積層することにより、あるいは、上記のような樹脂を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、その樹脂のフィルムないしシ−トを、ラミネ−ト用接着剤層等を介してドライラミネ−ト積層することにより、最内層を形成することができる。
また、本発明においては、上記のような樹脂に他のヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂を使用し、これらを共押出機等を用いて溶融共押出した2層以上からなる共押出積層樹脂層としても使用することができる。
本発明において、上記の他のヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ-ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
上記の樹脂を共押出多層製膜することにより、バリア性層4のピンホール発生を防止することが可能であり、内容物と接する側の樹脂層の膜厚を厚くし、その他方の樹脂層の膜厚を薄くすることが好ましく、また、成形速度が低下することがないため、生産性に優れる。
例えば、上記の共押出積層フィルムとして、総厚30〜60μmの2層フィルム等が優れた密封性、ピンホール防止のために効果的である。
上記で使用するメタロセン触媒とは、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているものである。
ここで、メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、IVB族から選ばれる遷移金属[チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)]に、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオニル基又は置換フルオニル基が1乃至2結合しているか、或いは、これらのうちの二つの基が共有結合で架橋したものが結合しており、他に水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アセチルアセトナート基、カルボニル基、窒素分子、酸素分子、ルイス塩基、ケイ素原子を含む置換基、不飽和炭化水素等の配位子を有するものが使用できる。
上記シングルサイト系触媒を担持させる無機物としては、シリカゲル、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等が挙げられ、また、これらの重合はバッチ法であっても連続法であってもよい。重合条件は、通常、重合温度:−100〜250℃、重合時間:5分〜10時間、反応圧力:常圧300kg/m2 である。
なお、上記の樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド)、難燃化剤、無機および有機充填剤、染料、顔料などを適宜添加してもよい。
次に、本発明において、本発明にかかる紙カップを構成するガスバリア性層4について説明すると、ガスバリア性、水蒸気の遮断性の機能を有するものであればよく、例えば、アルミ箔が一般的に用いられるが、アルミ箔以外にも各種蒸着(シリカ、アルミ、アルミナ等)加工等を施されたフィルムを用いることも可能である。
上記の蒸着膜を設けるフィルムとしては、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムを使用する。
具体的には、本発明において、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂のフィルム等を使用することができる。
上記の基材フィルムの膜厚としては、6〜100μm位が好ましく、9〜50μm位がより好ましい。
また、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、MXDポリアミド系樹脂、ポリナフタレンテレフタレ−ト系樹脂等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等も使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μm〜300μm位が好ましく、10μm〜100μm位がより好ましい。
次に、本発明において、本発明にかかる紙カップPを構成する最外層としては、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂、その他等を使用することができる。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ-ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
そして、本発明においては、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出機等を用いて溶融押出して、例えば、紙基材の一方の面に、アンカ−コ−ト剤層等を介して、溶融押出樹脂層を溶融押出積層することにより、あるいは、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、その樹脂のフィルムないしシ−トを、紙基材の一方の面にラミネ−ト用接着剤層等を介してドライラミネ−ト積層することにより、最外層を形成することができる。
なお、本発明において、最外層の厚さとしては、5〜200μm位が好ましく、10
〜100μm位がより好ましいものである。
次に、本発明においては、本発明にかかる紙カップPを構成する積層材を形成するいずれかの層間に所望の印刷模様層7を形成することができるものである。
上記の印刷模様層としては、通常のグラビアインキ組成物、オフセットインキ組成物、凸版インキ組成物、スクリーンインキ組成物、その他のインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、その他の印刷方式を使用し、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他からなる所望の印刷絵柄を形成することにより構成することができる。
上記インキ組成物について、インキ組成物を構成するビヒクルとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロースなどの繊維素系樹脂、塩化ゴム、環化ゴムなどのゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼインなどの天然樹脂、アマニ油、大豆油などの油脂類、その他の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
本発明において、上記のようなビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、染料・顔料などの着色剤の1種ないし2種以上を加え、さらに必要ならば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤、その他の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤などで充分に混練してなる各種の形態からなるインキ組成物を使用することができる。
更に、本発明においては、上記の印刷絵柄層を保護するために表面保護層を設けることが好ましく、例えば、樹脂のフィルムないしシートをラミネートすることにより、あるいは樹脂をビヒクルの主成分とする組成物をコーティングしてコーティング膜等を形成することによって、表面保護層を設けることができる。
上記の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
そして、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他等の前処理を任意に施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ト剤、あるいは、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ-ト用接着剤等のアンカ−コ−ト剤、ラミネ−ト用接着剤等を任意に使用することができる。
本発明において、本発明にかかる積層材を製造する方法について、具体的に述べると、例えば、ラミネート用接着剤によるラミネート用接着剤層を介して積層するドライラミネーション法、あるいは、溶融押し出し接着性樹脂による溶融押し出し樹脂層を介して積層する押し出しラミネーション法などで行うことができる。
上記において、ラミネート用接着剤としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などのラミネート用接着剤を使用することができる。
上記ラミネート用接着剤のコーティング法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
そのコーティング量としては、好ましくは0.1g/m2〜10g/m2 (乾燥状態)位、より好ましくは1g/m2〜5g/m2 (乾燥状態)位である。なお、上記ラミネート用接着剤には、例えば、シランカップリング剤などの接着促進剤を任意に添加することができる。
また、上記において、溶融押し出し接着性樹脂としては、前述のヒートシール性樹脂層を形成するヒートシール性樹脂を同様に使用することができ、低密度ポリエチレン、特に、線状低密度ポリエチレン、酸変性ポリエチレンを使用することが好ましい。
上記の溶融押し出し接着性樹脂による溶融押し出し樹脂層の膜厚は、好ましくは5μm〜100μm位、さらに好ましくは、10μm〜50μm位である。
上記において、膜厚が、10μm未満であると、その機能が喪失する傾向にあることから好ましくなく、また、膜厚が、100μmを越えると、底部およびトップ部の成形性が悪くため好ましくないものである。
なお、本発明において、上記の積層を行う際に、より強固な接着強度を得る必要がある場合には、アンカーコート剤などの接着改良剤などをコートすることもできる。
上記アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートなどの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、その他の水性または油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。本発明においては、上記アンカーコート剤を、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤などを乾燥して、アンカーコート剤層を形成することができる。上記アンカーコート剤の塗布量としては、0.1g/m2〜5g/m2(乾燥状態)位が好ましい。
紙カップ容器の底紙Fは、コの字状に成形して起立部Sを形成し、胴紙Wの底部を内側に折り込んで前記底紙の起立部Sを挟み、ローレットシール部Nにおいて熱接着される。
この際、胴シール部Mが前記底紙の起立部Sと接する部分で、この部分において完全密封されることが必要である。胴シール部Mと底紙のローレットシール部Nにおいて、胴紙の厚みの段差による空隙部Kが形成される。前記ローレットシールにより、胴紙および底紙の内面又は両面に積層された熱可塑性合成樹脂を溶融加圧して、前記空隙部Kを埋めて密封を完全にする。
本発明において、底部の熱可塑性合成樹脂として、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層を用い、カップ原紙と積層した材料によりカップを成形すると該メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層の低温シール性および溶融時の流動特性により、前記空隙部が溶融状態の上記の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層により埋められ、その結果、密封性に極めて優れた効果を示す。
紙カップ容器には、フランジカール(又はリップカール)があるが、これはカップ開口部の形状を保持し、内容物を直接飲む時の口あたりをよくするだけでなく、前述のように、流通容器として紙カップを用いる場合の蓋をシールしたり、オーバーキャップを嵌合する際のフランジとして利用できる。
前記の流通容器として用いる際に、フランジカール部は、蓋材とのシール性を良くするために、プレスし、平坦化することがある。
以上、紙カップとしては丸型形状カップを例として説明したが、本発明は胴紙と底紙とにより成形する紙容器として例えば、楕円型のカップ、角形カップ、丸筒容器、各種の筒形容器等のような丸型とは異なった形の紙カップ容器においても適用できる技術であり、丸型紙カップに限定されるものではない。
相当する部材としてカップ原紙の替わりに、例えば、ポリスチレン樹脂からなるプラスチックシートとシーラントを接着層を介して積層して、真空成形により、コの字状に成形して用いる場合にも適用できる。従って、胴部が紙主体の積層体で構成されたノンテーパー角筒容器形状であり、天部、底部がアルミ箔主体の積層体により成形された容器等にも、同様に適用し得るものである。
次にまた、本発明において、本発明にかかる紙カップとしては、例えば、その形状としては、三角形、四角形、五角形、六角形、その他等の角形形状、あるいは、丸形等の円筒形状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
更に、本発明において、本発明にかかる紙カップ容器は、例えば、各種の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品、その他等の種々の物品を充填包装すると、ピンホール、シール抜けによる漏れがなく、段差部等の隙間の樹脂埋めも良好であり、また、部材ブランクの内面の滑り性、打ち抜き適性等に優れるので、もれのない密封性の安定した紙カップ容器を高速、かつ、品質的に安定して製造が可能であり、生産効率が向上するものである。
そして、本発明において、本発明にかかる紙カップは、特に、例えば、酒、果汁飲料等のジュ−ス、ミネラルウオ−タ−、醤油、ソ−ス、ス−プ等の液体調味料、あるいは、カレ−、シチュ−、ス−プ、その他等の種々の液体飲食物を充填包装する包装用容器として有用なものである。
(胴材の作製)
紙カップ容器の胴材として、図2(a)に示す積層体を作製した。
まず、紙層に片面コート紙(三菱製紙株式会社製、商品名:DMSC、坪量260g/m2 )を用い、その非コート面にコロナ処理を施してから、低密度ポリエチレン樹脂(日本ユニカー会社製、商品名:NUC8007、密度:0.92g/cm3 、メルトインデックス:7.0g/10分、融点:108℃)を15μmの厚さで押出しコーティングして低密度ポリエチレン樹脂層を形成し、その上に厚さ7μmのアルミニウム箔を貼り合わせた。
次いで、アルミニウム箔の上に、エチレン・メタクリル酸共重合体(三井・デュポン ポリケミカル会社製、商品名:N0908C、密度:0.93g/cm3 、メルトインデックス:8.0、融点:99℃)と低密度ポリエチレン樹脂(日本ユニカー会社製、商品名:NUC8007、密度:0.92g/cm3 、メルトインデックス:7.0g/10分、融点:108℃)を共押出しして、それぞれ厚さが18μmのエチレン・メタクリル酸共重合体層と低密度ポリエチレン樹脂層19μmを積層し、その結果、層構成、コート紙/低密度ポリエチレン樹脂層15μm/アルミニウム箔7μm/エチレン・メタクリル酸共重合体18μm/低密度ポリエチレン樹脂層19μmの積層体を作製した。
(底材の作製)
一方、紙カップ容器の底材として、図2(b)に示す積層体を作製した。
上記の底材の構成材料は、紙層をカップ原紙(坪量:175g/m2 )とし、最内層をメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層(東ソー会社製、商品名:04P51A、密度:0.90g/cm3 、メルトインデックス:21g/10分、融点:103℃)に変え、その他は同一の仕様とし、同じ工程により、層構成、コート紙/低密度ポリエチレン樹脂層15μm/アルミニウム箔7μm/エチレン・メタクリル酸共重合体18μm/メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層19μm作製した。
(紙カップの作製)
次いで、上記で製造した積層材を使用し、当該積層材から紙カップの胴部を作る円錐台形のブランク板を打ち抜き加工し、更に、スカイブ・ヘミング等の端面処理を行った。
次に、上記のブランク板を筒状に巻いてその両側端部を部分的に重ね合わせ、その重合部分にフレ−ム処理、あるいは、ホットエア−処理等の加熱処理を行い、上記の重合部分に存在する最外層と最内層とを構成する低密度ポリエチレン樹脂層を加熱溶融し、次いで、熱板等によって押圧して胴貼りを行って胴シ−ル部を形成して、紙カップを構成する筒状のカップ胴部を製造した。
他方、上記と同様に、上記で製造した積層材を使用し、これを円形状に打ち抜き加工して、底部を構成する円板を製造し、次いで、当該円板の外周部を筒状に起立成形して、起立成形部を有する底部を製造した。
次いで、上記で製造した筒状のカップ胴部に、同じく上記で製造した底部を挿入し、しかる後、その筒状のカップ胴部と底部とを、その接合部分に熱風等を吹きつけてその接合部分に存在する最外層と最内層を構成する低密度ポリエチレン樹脂層を加熱溶融し、次いで、カ−ル用型により筒状のカップ胴部の先端部を内方に折り曲げて、上記の底部を構成する起立成形部にかぶせて、上記の筒状のカップ胴部の先端部と底部の起立成形部との重合部分を内径側からロ−レットによりロ−レットがけすることにより、上記の筒状のカップ胴部と底部とを密接着させて接合部を形成して、上記の筒状のカップ胴部と底部とからなる紙カップ底部を形成した。
しかる後、上記の筒状のカップ胴部の底部を密接着させて接合部を形成した側と反対側の先端端部を、上記と同様にカ−ル用型により外方に折り曲げながらカ−ルさせて、上端フランジ部を形成して、本発明にかかる満杯容量353ccの紙カップを製造した。
上記で製造した紙カップは、底部のシール部において、ピンホール、シール抜けによる漏れがなく、段差部等の隙間の樹脂埋めも良好であり、密封性に優れ、もれのない密封性の安定した紙カップ容器であって、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、保香性に優れ、また、胴部材ブランクの内面の滑り性に優れるため、胴部材のブランクをマンドレルに巻き付ける際、位置精度良く巻き付くため、胴部シールを精度良く行え、また、打ち抜き適性等の機械適性に優れるものであるため、もれのない密封性の安定した紙カップ容器を高速、かつ、品質的に安定して製造が可能であった。
実施例で得られた紙カップ容器について、シール適性評価、滑り性、ブランク抜き適性、及び、バブリング抑制について次の様にして評価した。評価結果は表1に纏めて示す。
〔シール適性評価〕
実施例で得られた積層体を使用してカップ成形機により紙カップ容器を作製し、得られた紙カップ容器300ケについて、成形されたカップに、シールチェック液(レッドチェック液:(株)タセト カラーチェック染色浸透探傷剤浸透液第1液FP−S標準型)を入れ、密封性のレベルはシールチェック液による滲みの程度として、ピンホール、およびシール抜けの確認した。
〔滑り性〕
静および動摩擦係数については、材質がステンレス(SUS304)のガイドピンを用い、各サンプルの内面とステンレス間についてJIS P−8147に基づいて試験を行った。
上記の静および動摩擦係数は、東洋精機製作所株式会社製、滑り試験機(型式TR−2)により、測定条件、速度:100mm/min、MeanLength:30mm、ロードセル:10N、スレッド:1.96Nでの静摩擦係数、動摩擦係数を測定した値である。
胴巻きブランクが、静および動摩擦係数が、各々0.4μs未満、および0.4μd未満であれば、胴巻きブランクを1枚ずつ搬送する際、2枚差しを回避可能であり、マンドレルに巻き付ける際、胴部シール部の位置ずれを生じにくくなるため、機械適性に優れると評価することができる。
〔ブランク抜き適性〕
紙カップ本体の各部材は、胴部材、底部材のブランク(300個)を打ち抜く際、ブランク抜き適性をJIS Z 1702に基づいて試験を行った。
〔バブリング抑制〕
紙カップおよび蓋材をヒートシールする際に、紙カップを構成する紙層に含まれる水分が水蒸気となって、紙層に積層しているフィルムを押し上げて所謂バブリング現象を起こして、紙カップの表面に凹凸が生じていないかを確認した。
その結果、表面が平坦な状態を保ったままで紙カップの成形のヒートシールが行われたことを確認した。
Figure 0004713187
表1に示すように、得られた実施例に係る紙カップ容器300ケについてシール適性評価の結果、ピンホールおよびシール抜けによる滲みは見られなかったため、実施例に係る紙カップ容器は、底部と胴部の段差部の隙間における樹脂埋めも良好であり、胴シール部および底シール部のシール適性に優れるものであることが確認できた。
また、実施例に係る胴巻きブランクの静および動摩擦係数について測定した結果、各々0.34μs、および0.35sであった。このことより、実施例に係る胴巻きブランクはカップ成形機に対しての機械適性に優れるものであることが確認できた。
また、実施例に係る胴部材および底材のブランク抜き適性については、15kN/m以下であり打ち抜き適性は良好であった。
また、実施例に係る胴部材および底材のバブリング抑制については、表面が平坦な状態を保ったままで紙カップの成形のヒートシールが行われたことを確認できた。
従来の紙カップの構成を示す概略的構成図である。 本発明にかかる紙カップを構成する積層材についての層構成を示す概略的断面図である。 本発明にかかる紙カップを示す一部断面図である。
符号の説明
1 オーバーコートニス
2 紙基材層
3 接着層
4 ガスバリア性層
5 強度保持層(熱可塑性樹脂層)
6a 最内層(低密度ポリエチレン樹脂層)
6b 最内層(メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層)
7 印刷絵柄層
8 接着層
9 最内層
A 胴部材を構成する積層材
B 底部材を構成する積層材
P 紙カップ
W 胴紙
F 底紙
L 外向きカール部
M 胴シール部
N ローレットシール部
Q 蓋材
X 胴シール部Mとローレットシール部Nの交差する部分

Claims (4)

  1. 筒状のカップ胴部材と、当該筒状のカップ胴部材の底部を密閉する底部材とからなる紙カップにおいて、
    当該底部材の最内層が、密度、0.88g/cm3〜0.92g/cm3、メルトインデックス、15g/10分〜22g/10分であるメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層からなり、
    かつ、当該胴部材の最内層が、密度、0.91g/cm3〜0.93g/cm3、メルトインデックス、g/10分〜g/10分である低密度ポリエチレン樹脂層からなることを特徴とする紙カップ。
  2. 前記の胴部材と底部材が、外側から、紙基材層、バリア層、前記の最内層とを順次積層する層構成からなることを特徴とする請求項1記載の紙カップ。
  3. 前記の胴部材と底部材の最外層が、ヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂層からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載する紙カップ。
  4. 前記の底部基材の最内層が、ポリオレフィン系樹脂とメタロセン触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との共押出積層樹脂層からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載する紙カップ。
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