JP2008189342A - 紙カップ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
環境への負荷を低減し、さらには省資源、循環型社会へ近づくバイオマス樹脂を用いても、該バイオマス樹脂を含む層の加工性がよく積層体とすることができ、また紙カップの製造では、従来設備で、容易に製造できる紙カップの製造方法及び紙カップを提供する。
【解決手段】
紙基材21の片面にバイオマス樹脂と合成樹脂の混練物からなる樹脂層23を有する胴部材を用い、紙基材21の少なくとも片面にバイオマス樹脂と合成樹脂の混練物からなる樹脂層23を有する底部材を用い、前記胴部材の樹脂層23を内側にして筒状とし、両側端部の1部を重ね合わせた胴貼部分31の熱接着法が超音波方式であることを特徴とし、上記樹脂層23のバイオマス樹脂と合成樹脂の配合割合が質量基準で50〜75:50〜25で、上記バイオマス樹脂がポリ乳酸系樹脂であり、上記樹脂層23が押出ラミネション法で紙基材21へ積層されてなることも特徴とする。
【選択図】 図1
Description
従って、バイオマス樹脂を用いた紙カップの製造方法としては、環境への負荷を低減し、さらには省資源、循環型社会へ近づくバイオマス樹脂を用いても、該バイオマス樹脂を含む層の成膜加工適性がよく積層体とすることができ、また紙カップの製造では従来設備で、容易に低コストで、大量製造できることが求められている。
また、生分解性の微生物産生ポリエステル又は脂肪族ポリエステルを用いた紙カップで、ホットエアーで接着のための媒体を用いないシール方式が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、ホットエアー方式では、シール条件が狭い範囲に限られ、充分なシール強度が得られないという欠点がある。
さらに、紙に生分解性を有するプラスチックを積層した紙からなる紙容器、一軸ないし二軸方向に延伸した熱接着性を有する生分解性プラスチックを内面に備えた紙基材からなる紙容器が知られている(例えば、特許文献3、4参照。)。しかしながら、積層紙から紙容器への製造方法は公知の方法(一般論)が記載されているのみで、具体的な製造方法については記載も示唆もされていない。
さらにまた、紙/生分解性シーラント層(ポリ乳酸)からなる蓋材が知られている(例えば、特許文献5〜6参照。)。しかしながら、蓋材と紙カップとのシール方法として超音波シールが例示されているが、該シール部は容器側の生分解性シーラント層(ポリ乳酸)と蓋材の生分解性シーラント層(ポリ乳酸)との同じもの同士のシールであり、いずれの公報にも、紙と生分解性シーラント層(ポリ乳酸)とのシールについては記載も示唆もされていない。
さらにまた、本出願人も紙及び生分解性プラスチックからなるカップ形状の育苗ポットであって、紙の一方の面に分解性の速い生分解性プラスチックを貼り合わせ、もう一方の面には分解性の遅い生分解性プラスチックを貼り合わせた積層シートを用いて、少なくとも胴部は、分解性の遅い生分解性プラスチック面を内側にしてカップ状に形成したことを特徴とする育苗ポットを開示している(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、胴部を筒状とするための胴貼部(側端部の重ね合わせ部分)のシールは、スカイブヘミング方式によりブランクの一方のサイドを折り曲げて積層シートの断面が露出しないように保護し、もう一方のサイドを重ね合わせてサイドシールして胴貼部を形成することから、生分解性プラスチック同士のシールであり、紙と生分解性プラスチックとのシールではなく、分解性プラスチック同士を接着することになるので、ホットエア等による熱融着ができるとの記載もあり、紙と生分解性プラスチックとのシールの困難性を示唆している。このようなシールの困難性を解消し本発明に至ったものである。
請求項2の発明に係わる紙カップは、請求項1に記載紙カップの製造方法で製造されてなるように、したものである。
請求項3の発明に係わる紙カップは、請求項2において、上記樹脂層のバイオマス樹脂と合成樹脂の配合割合が質量基準で50〜75:50〜25であるように、したものである。
請求項4の発明に係わる紙カップは、請求項2〜3のいずれかにおいて、上記バイオマス樹脂がポリ乳酸系樹脂であるように、したものである。
請求項5の発明に係わる紙カップは、請求項2〜4のいずれかにおいて、上記樹脂層が押出ラミネション法で紙基材へ積層されてなるように、したものである。
請求項2〜4の本発明によれば、環境への負荷を低減し、さらには省資源、循環型社会へ近づくバイオマス樹脂を用いた紙カップが提供される。
請求項5の本発明によれば、請求項2〜4の効果に加えて、バイオマス樹脂を含む樹脂層の加工性がよく樹脂層の厚薄差が少なく、ロールツーロール方式で安定して、低コストで生産できる紙カップが提供される。
図1は、本発明の1実施例を示す紙カップの斜視図である。
図2は、図1のAA‘断面図である。
図3は、図1のBB‘断面図である。
(エチレンー不飽和カルボン酸エステル共重合体)エチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)などがある。
(酸変性ポリオレフィン)酸変性ポリオレフィンとしてはポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などがある。
(アイオノマー)アイオノマーとしては、側鎖イオン基が存在するもの、両末端のカルボン酸基が金属イオンで中和したもの、主鎖に陽イオンに陰イオンが結合したものなどがあるが、特に限定されない。例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体アイオノマーなどが例示でき、1種のみ又は必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。アイオノマー中の不飽和カルボン酸単位含有量としては、2〜25重量%、特に5〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは、エチレン−メタアクリル酸共重合体アイオノマーである。
この範囲未満ではEC加工時に加工適性が悪く、Tダイスから出た樹脂の流れが悪く、膜切れもしやすく、この範囲を越えるとTダイスから出た樹脂の流れが早過ぎて乱れたり、厚薄ムラが大きく、均一な膜が得られない。
樹脂層組成物としては、レイシアH−100(三井化学社製、ポリ乳酸商品名)60質量部に、ハイミラン1652(三井ポリケミカル社製、アイオノマー商品名)40質量部を加えて加熱混練したもの(MFR3.5g/10分)を用いた。
紙カップの底部材としては、紙基材として坪量255g/m2のカップ原紙を用いて、その片面へインラインでコロナ処理を施しながら、前記樹脂層組成物を260℃で押出ラミネーション法で厚さ30μmの樹脂層を形成し、さらに、反対面へもインラインでコロナ処理を施しながら、前記樹脂層組成物を245℃で押出ラミネーション法で厚さ30μmの樹脂層を形成して、樹脂層23/紙基材21/樹脂層23からなる両面樹脂層の積層体を用いた。
上記の胴部材を円錐台形に打ち抜きブランク板とし、該ブランク板を樹脂層を内側に筒状に巻いて、その側端部を部分的に重ね合せて胴貼部分31とし、該胴貼部分の内側を受け台で受けながら、胴貼部分の外側から、超音波ホーンより出力97%(MAX4000W)で0.158秒間の超音波を照射して筒状の胴を形成した。
該筒状の胴部の底端部へ、底板ブランクの外周を筒状に起立成形させた底部材を挿入し、底部が挿入された胴の底端部とを、その接合する部分へ熱風などを吹き付けて、その接合する部分に存在する樹脂層を加熱溶融し、次いで、カール用型により筒状のカップ胴部の先端部を内方に折り曲げて、上記の底部を構成する起立形成部にかぶせて、上記の筒状のカップ胴部の先端部と底部の起立成形部との胴貼部分を内径側からローレットによりローレットがけすることにより、カップ胴部と底部とを密接着させて接合部をシールした。
胴部の上端部を外側にカールさせて、容量500mlの実施例1の紙カップを得た。
接着状況は胴部材同士を剥離した際に、シール部の80〜100%紙剥けするものを「◎印」で、シール部の50〜79%紙剥けするものを「○印」で、49%以下紙剥けするものを「△印」で、紙剥けしないものを「×印」で示す。「◎印」及び「○印」は合格とし、「△印」及び「×印」は不合格とした。なお、紙剥け現象は紙面と樹脂層面との接着がよいときに、最も弱い部分である紙基材が凝集破壊して起きる現象で、良接着の指標である。
ホットエアー方式の条件は、所定温度(200、500、600℃)のホットエアーを圧力150kPaで0.3秒の吹きつけを2回繰返して行った後に、加熱していない工具鋼製のバーを500Nの加重下で0.3秒の加圧を1回行った。その結果を表1に示す。
なお、実施例1〜4の紙カップ10へ、中性界面活性剤0.3%、赤インキ0.5%(漏れを見やすくするため)を含む水を注ぎ入れて、蓋を嵌合して、常温で10分間放置したが漏れもなく、紙カップも着色せず、変形などの異常は認められなかった。また、内容物を廃棄した紙カップの胴部の胴貼部を破壊したところ、すべてがシール部分の50%以上が紙剥け状態と良好であった。
11:胴部
13:底部
15:カール
21:紙基材
23:樹脂層
31:胴貼部分
33:起立成形部
41:胴部材
43:底部材
Claims (5)
- 胴部として紙基材の片面にバイオマス樹脂と合成樹脂の混練物からなる樹脂層を有する胴部材を用い、底部として紙基材の少なくとも片面にバイオマス樹脂と合成樹脂の混練物からなる樹脂層を有する底部材を用いた紙カップの製造方法において、前記胴部材の樹脂層を内側にして筒状とし、両側端部の1部を重ね合わせた胴貼部分の熱接着法が超音波方式であることを特徴とする紙カップの製造方法。
- 請求項1に記載紙カップの製造方法で製造されてなることを特徴とする紙カップ。
- 上記樹脂層のバイオマス樹脂と合成樹脂の配合割合が質量基準で50〜75:50〜25であることを特徴とする請求項2記載の紙カップ。
- 上記バイオマス樹脂がポリ乳酸系樹脂であることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の紙カップ。
- 上記樹脂層が押出ラミネション法で紙基材へ積層されてなることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の紙カップ。
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