JP2004106369A - 紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、使用後、焼却されずに埋め立てられたり、自然環境中に散乱した場合でも、環境中の微生物の作用により分解性を有する、優れた生分解性もしくは生分解性とガスバリア性の両方の特性を有する、紙製基材を主体とする紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器を提供すること目的とするものである。
【解決手段】紙製基材のいずれかの面に、少なくとも印刷インキ層と樹脂層のいずれかの層もしくは印刷インキ層と樹脂層との両方の層を形成してなる紙製積層体において、前記印刷インキ層および樹脂層が、生分解性樹脂からなることを特徴とする紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器である。
【選択図】図1
【解決手段】紙製基材のいずれかの面に、少なくとも印刷インキ層と樹脂層のいずれかの層もしくは印刷インキ層と樹脂層との両方の層を形成してなる紙製積層体において、前記印刷インキ層および樹脂層が、生分解性樹脂からなることを特徴とする紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器に係わり、さらに詳細には、優れた生分解性もしくは生分解性とガスバリア性の両方の特性を持つ紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器に関する。特に、この紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、特に、洗剤、たばこ等の防湿性、保香性を要求される包装材料や容器、あるいは保存期間の長い食品を収納する包装材料や容器として好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題の意識の高まりから包装材料ならびに包装容器類の易廃棄性が必要とされ、易焼却性、リサイクル性の材料を用いた包装材料ならびに包装容器類の消費量が年々増加している。それに伴い、使用後の廃棄物の量も増加している。これらの廃棄物は、現在、主に焼却あるいは土中埋設により処理されている。
【0003】
しかしながら、プラスチック製品からなる廃棄物等は、微生物分解性(通常「生分解性」という)がなく、使用後に廃棄する際に焼却処分ではなく、埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合には、分解せずにそのままの形で残るため、埋立処理場の寿命短縮や環境汚染の原因となっている。今後の包装材料ならびに容器類の消費量から考慮すると、現在の処理方法では限界があり、新しい処理方法に対応できる紙等の天然素材または生分解性材料を用いた包装材料ならびに包装容器類の商品の開発が盛んに行われている。
【0004】
天然素材としての紙等は、それ自体生分解性を有しているが、しかしながら、紙自体は気体や水蒸気等のガスバリア性を持たず、さらに通常一般に使用されている生分解性材料はガスバリア性を有しているとしてもガスバリア性が不十分であるので、これらの紙等の天然素材や生分解性材料を主体とする包装材料およびその包装材料を成形してなる包装容器類は、気体や水蒸気等のガスバリア性を要求される、特に、洗剤、たばこ等の防湿性や保香性を要求される分野の包装材料や容器または保存期間の長い食品を包装する分野の包装材料や容器としては使用できない。
【0005】
このようなことから、近年、紙等の天然素材を主体とする基材からなる包装材料ならびに包装容器類に生分解性または生分解性と気体や水蒸気等のガスバリア性の両方の特性を付与することが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の技術的背景を考慮してなされたものであって、優れた生分解性もしくは生分解性とガスバリア性の両方の特性を有する、紙製基材を主体とする紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器を提供すること目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
紙製基材のいずれかの面に、少なくとも印刷インキ層および/または樹脂層を形成してなる紙製積層体において、
前記印刷インキ層および樹脂層が、生分解性樹脂からなることを特徴とする紙製積層体である。
【0008】
請求項2に係る発明は、
請求項2記載の紙製積層体において、前記生分解性樹脂が、ポリ乳酸もしくは少なくとも乳酸残基を含有する樹脂であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、
請求項1または2記載の紙製積層体において、前記印刷インキ層が、硝化綿系樹脂を含有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙製積層体において、前記紙製積層体を構成するいずれかの層に無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を塗布形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙製積層体において、前記紙製積層体を構成するいずれかの層に無機層状化合物と樹脂と金属アルコキシドの加水分解物からなる被覆層を塗布形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、
請求項4または5記載の紙製積層体において、前記無機層状化合物が、モンモリナイトであることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、
請求項4または5記載の紙製積層体において、前記樹脂が、水溶性高分子であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、
請求項7記載の紙製積層体において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体に罫線を設けて、折り曲げて組み立てたことを特徴とする紙製容器である。
【0016】
請求項10に係る発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体を、カップ状に成形したことを特徴とする紙製容器である。
【0017】
請求項11に係る発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体を、絞り成形したことを特徴とする紙製容器である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい一実施例としての実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の紙製積層体は、紙製基材のいずれかの面に、少なくとも印刷インキ層と樹脂層のいずれかの層もしくは印刷インキ層と樹脂層との両方の層を形成してなる紙製積層体において、
前記印刷インキ層および樹脂層が、生分解性樹脂からなることを特徴とするものである。図1〜図3は、本発明の紙製積層体の構成例を示した概略断面図である。
【0019】
本発明の紙製積層体について、図1に示す本発明の紙製積層体の構成の一例を挙げて説明する。本発明の紙製積層体1は、紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4を順次設け、さらに紙製基材のもう一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3を設けた構成の紙製積層体である。
【0020】
また、本発明の紙製積層体の別の構成例として、例えば、図2に示す紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4を順次設けた構成の紙製積層体5であってもよい。
【0021】
また、本発明の紙製積層体のさらに別の構成例として、例えば、図3に示す紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる樹脂層4を設け、紙製基材2のもう一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3を設けた構成の紙製積層体6であってもよい。
【0022】
本発明の紙製積層体とこの積層体を成形してなる紙製容器は、基材として天然素材の紙を用い、印刷インキ層と樹脂層に生分解性を付与した構成であることから、黴、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、ポリマーがオリゴマーやモノマー、あるいはさらに低分子の物質にまで分解される性質を有し、最終的には、水、炭酸ガス、メタン等にまで分解され、さらに紙自体も生分解性を有することから、本発明の紙製積層体とこの積層体を成形してなる紙製容器全体が生分解性となり、埋立処理場や自然環境中において分解する。埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解しそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命が短縮したり、環境を汚染することもない。
【0023】
本発明における紙製基材2の素材としては、特に限定されず、通常用いられる針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、等の化学パルプ、GP、MP等の機械パルプ、ケナフ、麻等の非木材原料から得られるパルプなどからなる一般に使用される紙を用いることができる。
本発明の紙製積層材料を用いて、特に製函して箱などを成形する場合は、坪量が30〜2000g/m2の範囲の紙を用いるのが望ましい。また、でんぷんにカオリンを添加したクレーコート層もしくはポリビニルアルコール系のコート層を設けたコート紙を使用することで包装材料としての美粧性を向上することもできる。
【0024】
本発明における印刷インキ層3と樹脂層4に生分解性を付与するために用いられる生分解性材料としては、特に限定されず、微生物合成系生分解性材料であるポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレート/バリレート共重合体、化学合成系系生分解性材料であるポリブチレンサクシネート/カーボネート混合物、ポリ乳酸、乳酸系共重合ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリエステル、天然高分子系生分解性材料である酢酸セルロース、でんぷん、キトサン、セルロース等の樹脂が挙げられる。これらの生分解性樹脂の単体または混合物を使用することができる。
その中でも特に、ポリ乳酸もしくは乳酸残基を含有する、例えば乳酸系共重合ポリエステル等の生分解性樹脂は、安価であることから好適に使用できる。
【0025】
本発明における印刷インキ層3は、この層の上に樹脂層や被覆層を形成する成分が紙製基材層に浸透するのを防止する下塗り層としての機能を奏するものであり、また一般に行われている公知の印刷方式により文字、図形、記号、絵柄、その他の任意の印刷模様を印刷して形成することができるので、包装材料として美粧性を向上することができる。印刷インキ層の厚さは、ガスバリア性も考慮して適宜選択できる。
【0026】
本発明における印刷インキ層3のインキ組成物としては、上記に列挙した生分解性材料から選択した生分解性樹脂をインキバインダーとして、インキ顔料、溶剤、必要に応じてその他の樹脂、顔料分散剤、粘度調整剤等を配合し、生分解性インキ組成物とすることができる。インキバインダーとしての生分解性樹脂とインキ顔料、溶剤の配合比率は、目的、用途に応じて適宜選択すればよい。これらの生分解性樹脂を重量比で50%以上であれば、各種添加剤やその他樹脂等の非生分解性の物質を添加してもよい。ただし、非生分解性の物質を50%以上添加することは、生分解性が著しく低下するため好ましくない。さらに、上記インキ組成物にその他の樹脂として硝化綿系樹脂を配合することができる。硝化綿系樹脂を配合することで、印刷インキ層に耐熱性、耐摩擦性を付与することができる。
【0027】
本発明における樹脂層4は、紙製基材だけでは防湿等のバリア性が不十分であるので、この樹脂層を設けることで防湿性を付与することを目的とするものである。
【0028】
次に、本発明の紙製積層体およびこの積層体を成形してなる紙製容器に気体もしくは水蒸気等のガスバリア性を付与して、特に、洗剤、たばこ等の防湿性や保香性を要求される包装材料や容器、あるいは保存期間の長い食品用包装材料や容器として使用可能とするために、本発明の紙製積層体を構成するいずれかの層にガスバリア性層としての無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を塗布形成することができる。図4〜図6は、本発明の紙製積層体として、さらに無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を設けた構成例を示した概略断面図である。
【0029】
本発明のガスバリ性被覆層を設けた紙製積層体について、図4に示した本発明の紙製積層体の構成の一例を挙げて説明する。
本発明の紙製積層体7は、紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4とガスバリ性層としての無機層状化合物と樹脂からなる被覆層8を順次設け、さらに紙製基材のもう一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3を設けた構成の紙製積層体である。
【0030】
また、本発明の被覆層を設けた紙製積層体の別の構成例として、図5に示すように、紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4との間にガスバリ性層としての無機層状化合物と樹脂からなる被覆層8を設けた構成であっても良い。
【0031】
また、本発明の被覆層を設けた紙製積層体のさらに別の構成例として、図6に示すように、紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4とを順次設け、紙製基材2のもう一方の側の面にガスバリア性層としての無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を直接設けた構成であってもよい。この場合、被覆層を形成する紙製基材の面にポリビニルアルコール等の生分解性下塗り層を設けるのが望ましい。
【0032】
本発明の積層体を構成する印刷インキ層3もしくは樹脂層4の上に、上記被覆層8を塗布形成する際には、被覆層を塗布する印刷インキ層もしくは樹脂層の表面にコロナ放電処理等を施すたり、さらに望ましくは、被覆層を塗布する印刷インキ層もしくは樹脂層の表面の濡れ指数を40dyne以上とすることで、被覆層のガスバリア性を顕著に発現できる。
【0033】
本発明における被覆層8は、基本的に無機層状化合物と樹脂からなる。ここで、無機層状化合物として、カオリナイト族、スメクタイト族、およびマイカ族等の粘土鉱物等であって、層状構造を有する結晶性の無機化合物である。これら無機層状化合物の種類、粒径、およびアスペクト比等は、適宜選択され、特に限定されるものでない。この中で、モンモリロナイト、ヘクトライト、およびサポナイト等のスメクタイト族が好適で、無機層状化合物の層間に樹脂を取り込み、複合体を形成し易い。特に、この族の中でも、モンモリロナイトは溶融状態での安定性、塗工性が最も優れている。
【0034】
また、使用される樹脂は、前述の無機層状化合物の層間に取り込まれ易いものであれば特に限定されないが、水溶性高分子を用いることが好ましい。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂およびアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。特に、ポリビニルアルコール(PVA)を本発明のガスバリア性積層体のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから、酢酸基が数%しか残存していない完全けん化PVAまでを含み、特に限定されるものではない。
【0035】
また、本発明のバリア層としての被覆層8は、さらに金属アルコキシドの加水分解・重縮合生成物を含有した組成としてもよい。この金属アルコキシドは、Mを金属、Rをアルキル基、およびnをアルコキシ基の配位数とした場合、下記一般式、M(OR)n で示される化合物である。Mが、Si、Ti、ArおよびZrからなる群より選ばれ、Rが、メチル基、エチル基から選ばれるのが好ましい。特に、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などを用いると、アルコキシドの加水分解生成物が、水系の溶媒中で比較的安定に存在するために好ましい。
【0036】
上述した各成分を単独またはいくつかを組み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらにコーティング剤のバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を加えることができる。
【0037】
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体などがある。
【0038】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられる、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。皮膜の厚さはコーティング剤の種類によって異なるが、乾燥後の厚さが約0.01〜100μmの範囲であればよいが、50μm以上では、膜にクラックが生じやすくなるため、0.01〜50μmとすることが望ましい。
【0039】
上記で得られた本発明の紙製積層体を、所定の形状に打ち抜き、そして同時に形成した罫線から折り曲げ、紙製容器を製造することができる。例えば、図7に示すたばこ用の箱11、図9に示す洗剤用の箱13を製造することができる。上記のような箱にすることにより、密封フィルムなしでたばこ、洗剤等の香りを必要とする内容物、湿気を嫌う内容物の容器として優れたものとなる。
【0040】
また、本発明の紙製積層体を、例えば、紙カップ成形機(PMC機)にて成形して、図11に示すカップ状紙製容器15を得ることができる。食品分野等の紙製容器として使用される。
【0041】
さらに、本発明の紙製積層体を絞り成形して、例えば、図13に示すフランジ部21を有する密封型の深絞りトレー状紙製容器19を得ることができる。フランジ部を有する密封型の深絞りトレー状紙製容器を作製する工程を簡単に説明すると、まず、深絞りトレー状紙製容器を作成するには、図14に示すように、あらかじめブランク24を打ち抜き加工で作成しておく。このブランク24には、あらかじめシワの入りやすい部分に罫線22を多数本施しておくことが、より成形をしやすくする。この罫線22の加工は、打ち抜き加工と同時に行うことができる。
【0042】
つぎに、このブランク24を深絞りトレー状紙製容器に成形するが、この成形は、図15に示すように、雄型26および雌型27の間にブランク24を供給し、水噴霧装置(図示せず)を介して水を噴霧して、プレス成形することにより行われる。また、金型を加熱することにより、成形の効果が向上する。このようにして、図13に示すフランジ部21を有する深絞りトレー状紙製容器本体20を成形して、蓋材23で密封する密封型の深絞りトレー状紙製容器19を得ることができる。
【0043】
上記で得られる本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、基材として天然素材の紙を用い、印刷インキ層と樹脂層に生分解性を付与した構成であることから、黴、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、ポリマーがオリゴマーやモノマー、あるいはさらに低分子の物質にまで分解される性質を有し、最終的には、水、炭酸ガス、メタン等にまで分解され、さらに紙自体が生分解性であるため、本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器全体が生分解性となり、埋立処理場や自然環境中において分解する。埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解しそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命が短縮したり、環境を汚染することもない。さらに、積層体を構成するいずれかの層にガスバリ性層としての被覆層を設けることで、本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、ガスバリア性を要求される、特に、洗剤、たばこ等の防湿性、保香性を要求される包装材料や容器、もしくは保存期間の長い食品を収納する包装材料や容器として好適に使用されるものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、基材として天然素材の紙を用い、印刷インキ層と樹脂層に生分解性を付与した構成であることから、紙が本来有している生分解性を失うことなく、本発明の紙製積層体およびその積層体を成形してなる紙製容器全体が生分解性であるという特徴を有している。そのため、本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、使用後、焼却されずに埋め立てられたり、自然環境中に散乱した場合でも、環境中の微生物の作用により、分解性を有している。従って、従来の紙製包装材料や容器よりも環境に与える悪影響が少ない紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器を提供できる。
【0045】
また、積層体を構成するいずれかの層にガスバリ性層としての被覆層を設けることで、本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、ガスバリア性を要求される、特に、洗剤、たばこ等の防湿性、保香性を要求される包装材料や容器、もしくは保存期間の長い食品を収納する包装材料や容器として好適に使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙製積層体の構成の一例を示した断面図である。
【図2】本発明の紙製積層体の構成の別の例を示した断面図である。
【図3】本発明の紙製積層体の構成のさらに別の例を示した断面図である。
【図4】本発明のガスバリア性を付与した紙製積層体の構成の一例を示した断面図である。
【図5】本発明のガスバリア性を付与した紙製積層体の構成の別の例を示した断面図である。
【図6】本発明のガスバリア性を付与した紙製積層体の構成のさらに別の例を示した断面図である。
【図7】本発明の一実施例としてのトレー状紙製容器の斜視図である。
【図8】図7に示したトレー状紙製容器の展開図である。
【図9】本発明の一実施例としての箱形紙製容器の斜視図である。
【図10】図9に示した箱形紙製容器の展開図である。
【図11】本発明の一実施例としてのカップ状紙製容器の斜視図である。
【図12】図11に示したカップ状紙製容器の展開図である。
【図13】本発明の一実施例としての深絞りトレー状紙製容器の斜視図である。
【図14】図13に示した深絞りトレー状紙製容器のブランクを示す平面図である。
【図15】本発明の深絞りトレー状紙製容器の製造方法による製品を成形する工程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1、5、6、7、9、10・・・紙製積層体
2・・・紙製基材
3・・・印刷インキ層
4・・・樹脂層
8・・・被覆層
11・・・トレー状紙製容器
12・・・トレー状紙製容器のブランク
13・・・箱形紙製容器
14・・・箱形紙製容器のブランク
15・・・カップ状紙製容器
16・・・側面の部材
17・・・底面の部材
18・・・カップ状紙製容器のブランク
19・・・深絞りトレー状紙製容器
20・・・深絞りトレー状紙製容器本体
21・・・フランジ部
22・・・罫線
23・・・蓋材
24・・・深絞りトレー状紙製容器のブランク
25・・・深絞り成形機
26・・・雄金型
27・・・雌金型
28・・・押さえ板
29・・・スプリング
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器に係わり、さらに詳細には、優れた生分解性もしくは生分解性とガスバリア性の両方の特性を持つ紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器に関する。特に、この紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、特に、洗剤、たばこ等の防湿性、保香性を要求される包装材料や容器、あるいは保存期間の長い食品を収納する包装材料や容器として好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題の意識の高まりから包装材料ならびに包装容器類の易廃棄性が必要とされ、易焼却性、リサイクル性の材料を用いた包装材料ならびに包装容器類の消費量が年々増加している。それに伴い、使用後の廃棄物の量も増加している。これらの廃棄物は、現在、主に焼却あるいは土中埋設により処理されている。
【0003】
しかしながら、プラスチック製品からなる廃棄物等は、微生物分解性(通常「生分解性」という)がなく、使用後に廃棄する際に焼却処分ではなく、埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合には、分解せずにそのままの形で残るため、埋立処理場の寿命短縮や環境汚染の原因となっている。今後の包装材料ならびに容器類の消費量から考慮すると、現在の処理方法では限界があり、新しい処理方法に対応できる紙等の天然素材または生分解性材料を用いた包装材料ならびに包装容器類の商品の開発が盛んに行われている。
【0004】
天然素材としての紙等は、それ自体生分解性を有しているが、しかしながら、紙自体は気体や水蒸気等のガスバリア性を持たず、さらに通常一般に使用されている生分解性材料はガスバリア性を有しているとしてもガスバリア性が不十分であるので、これらの紙等の天然素材や生分解性材料を主体とする包装材料およびその包装材料を成形してなる包装容器類は、気体や水蒸気等のガスバリア性を要求される、特に、洗剤、たばこ等の防湿性や保香性を要求される分野の包装材料や容器または保存期間の長い食品を包装する分野の包装材料や容器としては使用できない。
【0005】
このようなことから、近年、紙等の天然素材を主体とする基材からなる包装材料ならびに包装容器類に生分解性または生分解性と気体や水蒸気等のガスバリア性の両方の特性を付与することが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の技術的背景を考慮してなされたものであって、優れた生分解性もしくは生分解性とガスバリア性の両方の特性を有する、紙製基材を主体とする紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器を提供すること目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
紙製基材のいずれかの面に、少なくとも印刷インキ層および/または樹脂層を形成してなる紙製積層体において、
前記印刷インキ層および樹脂層が、生分解性樹脂からなることを特徴とする紙製積層体である。
【0008】
請求項2に係る発明は、
請求項2記載の紙製積層体において、前記生分解性樹脂が、ポリ乳酸もしくは少なくとも乳酸残基を含有する樹脂であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、
請求項1または2記載の紙製積層体において、前記印刷インキ層が、硝化綿系樹脂を含有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙製積層体において、前記紙製積層体を構成するいずれかの層に無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を塗布形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙製積層体において、前記紙製積層体を構成するいずれかの層に無機層状化合物と樹脂と金属アルコキシドの加水分解物からなる被覆層を塗布形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、
請求項4または5記載の紙製積層体において、前記無機層状化合物が、モンモリナイトであることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、
請求項4または5記載の紙製積層体において、前記樹脂が、水溶性高分子であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、
請求項7記載の紙製積層体において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体に罫線を設けて、折り曲げて組み立てたことを特徴とする紙製容器である。
【0016】
請求項10に係る発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体を、カップ状に成形したことを特徴とする紙製容器である。
【0017】
請求項11に係る発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体を、絞り成形したことを特徴とする紙製容器である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい一実施例としての実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の紙製積層体は、紙製基材のいずれかの面に、少なくとも印刷インキ層と樹脂層のいずれかの層もしくは印刷インキ層と樹脂層との両方の層を形成してなる紙製積層体において、
前記印刷インキ層および樹脂層が、生分解性樹脂からなることを特徴とするものである。図1〜図3は、本発明の紙製積層体の構成例を示した概略断面図である。
【0019】
本発明の紙製積層体について、図1に示す本発明の紙製積層体の構成の一例を挙げて説明する。本発明の紙製積層体1は、紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4を順次設け、さらに紙製基材のもう一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3を設けた構成の紙製積層体である。
【0020】
また、本発明の紙製積層体の別の構成例として、例えば、図2に示す紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4を順次設けた構成の紙製積層体5であってもよい。
【0021】
また、本発明の紙製積層体のさらに別の構成例として、例えば、図3に示す紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる樹脂層4を設け、紙製基材2のもう一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3を設けた構成の紙製積層体6であってもよい。
【0022】
本発明の紙製積層体とこの積層体を成形してなる紙製容器は、基材として天然素材の紙を用い、印刷インキ層と樹脂層に生分解性を付与した構成であることから、黴、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、ポリマーがオリゴマーやモノマー、あるいはさらに低分子の物質にまで分解される性質を有し、最終的には、水、炭酸ガス、メタン等にまで分解され、さらに紙自体も生分解性を有することから、本発明の紙製積層体とこの積層体を成形してなる紙製容器全体が生分解性となり、埋立処理場や自然環境中において分解する。埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解しそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命が短縮したり、環境を汚染することもない。
【0023】
本発明における紙製基材2の素材としては、特に限定されず、通常用いられる針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、等の化学パルプ、GP、MP等の機械パルプ、ケナフ、麻等の非木材原料から得られるパルプなどからなる一般に使用される紙を用いることができる。
本発明の紙製積層材料を用いて、特に製函して箱などを成形する場合は、坪量が30〜2000g/m2の範囲の紙を用いるのが望ましい。また、でんぷんにカオリンを添加したクレーコート層もしくはポリビニルアルコール系のコート層を設けたコート紙を使用することで包装材料としての美粧性を向上することもできる。
【0024】
本発明における印刷インキ層3と樹脂層4に生分解性を付与するために用いられる生分解性材料としては、特に限定されず、微生物合成系生分解性材料であるポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレート/バリレート共重合体、化学合成系系生分解性材料であるポリブチレンサクシネート/カーボネート混合物、ポリ乳酸、乳酸系共重合ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリエステル、天然高分子系生分解性材料である酢酸セルロース、でんぷん、キトサン、セルロース等の樹脂が挙げられる。これらの生分解性樹脂の単体または混合物を使用することができる。
その中でも特に、ポリ乳酸もしくは乳酸残基を含有する、例えば乳酸系共重合ポリエステル等の生分解性樹脂は、安価であることから好適に使用できる。
【0025】
本発明における印刷インキ層3は、この層の上に樹脂層や被覆層を形成する成分が紙製基材層に浸透するのを防止する下塗り層としての機能を奏するものであり、また一般に行われている公知の印刷方式により文字、図形、記号、絵柄、その他の任意の印刷模様を印刷して形成することができるので、包装材料として美粧性を向上することができる。印刷インキ層の厚さは、ガスバリア性も考慮して適宜選択できる。
【0026】
本発明における印刷インキ層3のインキ組成物としては、上記に列挙した生分解性材料から選択した生分解性樹脂をインキバインダーとして、インキ顔料、溶剤、必要に応じてその他の樹脂、顔料分散剤、粘度調整剤等を配合し、生分解性インキ組成物とすることができる。インキバインダーとしての生分解性樹脂とインキ顔料、溶剤の配合比率は、目的、用途に応じて適宜選択すればよい。これらの生分解性樹脂を重量比で50%以上であれば、各種添加剤やその他樹脂等の非生分解性の物質を添加してもよい。ただし、非生分解性の物質を50%以上添加することは、生分解性が著しく低下するため好ましくない。さらに、上記インキ組成物にその他の樹脂として硝化綿系樹脂を配合することができる。硝化綿系樹脂を配合することで、印刷インキ層に耐熱性、耐摩擦性を付与することができる。
【0027】
本発明における樹脂層4は、紙製基材だけでは防湿等のバリア性が不十分であるので、この樹脂層を設けることで防湿性を付与することを目的とするものである。
【0028】
次に、本発明の紙製積層体およびこの積層体を成形してなる紙製容器に気体もしくは水蒸気等のガスバリア性を付与して、特に、洗剤、たばこ等の防湿性や保香性を要求される包装材料や容器、あるいは保存期間の長い食品用包装材料や容器として使用可能とするために、本発明の紙製積層体を構成するいずれかの層にガスバリア性層としての無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を塗布形成することができる。図4〜図6は、本発明の紙製積層体として、さらに無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を設けた構成例を示した概略断面図である。
【0029】
本発明のガスバリ性被覆層を設けた紙製積層体について、図4に示した本発明の紙製積層体の構成の一例を挙げて説明する。
本発明の紙製積層体7は、紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4とガスバリ性層としての無機層状化合物と樹脂からなる被覆層8を順次設け、さらに紙製基材のもう一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3を設けた構成の紙製積層体である。
【0030】
また、本発明の被覆層を設けた紙製積層体の別の構成例として、図5に示すように、紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4との間にガスバリ性層としての無機層状化合物と樹脂からなる被覆層8を設けた構成であっても良い。
【0031】
また、本発明の被覆層を設けた紙製積層体のさらに別の構成例として、図6に示すように、紙製基材2の一方の側の面に生分解性樹脂からなる印刷インキ層3と生分解性樹脂からなる樹脂層4とを順次設け、紙製基材2のもう一方の側の面にガスバリア性層としての無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を直接設けた構成であってもよい。この場合、被覆層を形成する紙製基材の面にポリビニルアルコール等の生分解性下塗り層を設けるのが望ましい。
【0032】
本発明の積層体を構成する印刷インキ層3もしくは樹脂層4の上に、上記被覆層8を塗布形成する際には、被覆層を塗布する印刷インキ層もしくは樹脂層の表面にコロナ放電処理等を施すたり、さらに望ましくは、被覆層を塗布する印刷インキ層もしくは樹脂層の表面の濡れ指数を40dyne以上とすることで、被覆層のガスバリア性を顕著に発現できる。
【0033】
本発明における被覆層8は、基本的に無機層状化合物と樹脂からなる。ここで、無機層状化合物として、カオリナイト族、スメクタイト族、およびマイカ族等の粘土鉱物等であって、層状構造を有する結晶性の無機化合物である。これら無機層状化合物の種類、粒径、およびアスペクト比等は、適宜選択され、特に限定されるものでない。この中で、モンモリロナイト、ヘクトライト、およびサポナイト等のスメクタイト族が好適で、無機層状化合物の層間に樹脂を取り込み、複合体を形成し易い。特に、この族の中でも、モンモリロナイトは溶融状態での安定性、塗工性が最も優れている。
【0034】
また、使用される樹脂は、前述の無機層状化合物の層間に取り込まれ易いものであれば特に限定されないが、水溶性高分子を用いることが好ましい。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂およびアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。特に、ポリビニルアルコール(PVA)を本発明のガスバリア性積層体のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから、酢酸基が数%しか残存していない完全けん化PVAまでを含み、特に限定されるものではない。
【0035】
また、本発明のバリア層としての被覆層8は、さらに金属アルコキシドの加水分解・重縮合生成物を含有した組成としてもよい。この金属アルコキシドは、Mを金属、Rをアルキル基、およびnをアルコキシ基の配位数とした場合、下記一般式、M(OR)n で示される化合物である。Mが、Si、Ti、ArおよびZrからなる群より選ばれ、Rが、メチル基、エチル基から選ばれるのが好ましい。特に、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などを用いると、アルコキシドの加水分解生成物が、水系の溶媒中で比較的安定に存在するために好ましい。
【0036】
上述した各成分を単独またはいくつかを組み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらにコーティング剤のバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を加えることができる。
【0037】
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体などがある。
【0038】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられる、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。皮膜の厚さはコーティング剤の種類によって異なるが、乾燥後の厚さが約0.01〜100μmの範囲であればよいが、50μm以上では、膜にクラックが生じやすくなるため、0.01〜50μmとすることが望ましい。
【0039】
上記で得られた本発明の紙製積層体を、所定の形状に打ち抜き、そして同時に形成した罫線から折り曲げ、紙製容器を製造することができる。例えば、図7に示すたばこ用の箱11、図9に示す洗剤用の箱13を製造することができる。上記のような箱にすることにより、密封フィルムなしでたばこ、洗剤等の香りを必要とする内容物、湿気を嫌う内容物の容器として優れたものとなる。
【0040】
また、本発明の紙製積層体を、例えば、紙カップ成形機(PMC機)にて成形して、図11に示すカップ状紙製容器15を得ることができる。食品分野等の紙製容器として使用される。
【0041】
さらに、本発明の紙製積層体を絞り成形して、例えば、図13に示すフランジ部21を有する密封型の深絞りトレー状紙製容器19を得ることができる。フランジ部を有する密封型の深絞りトレー状紙製容器を作製する工程を簡単に説明すると、まず、深絞りトレー状紙製容器を作成するには、図14に示すように、あらかじめブランク24を打ち抜き加工で作成しておく。このブランク24には、あらかじめシワの入りやすい部分に罫線22を多数本施しておくことが、より成形をしやすくする。この罫線22の加工は、打ち抜き加工と同時に行うことができる。
【0042】
つぎに、このブランク24を深絞りトレー状紙製容器に成形するが、この成形は、図15に示すように、雄型26および雌型27の間にブランク24を供給し、水噴霧装置(図示せず)を介して水を噴霧して、プレス成形することにより行われる。また、金型を加熱することにより、成形の効果が向上する。このようにして、図13に示すフランジ部21を有する深絞りトレー状紙製容器本体20を成形して、蓋材23で密封する密封型の深絞りトレー状紙製容器19を得ることができる。
【0043】
上記で得られる本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、基材として天然素材の紙を用い、印刷インキ層と樹脂層に生分解性を付与した構成であることから、黴、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、ポリマーがオリゴマーやモノマー、あるいはさらに低分子の物質にまで分解される性質を有し、最終的には、水、炭酸ガス、メタン等にまで分解され、さらに紙自体が生分解性であるため、本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器全体が生分解性となり、埋立処理場や自然環境中において分解する。埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解しそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命が短縮したり、環境を汚染することもない。さらに、積層体を構成するいずれかの層にガスバリ性層としての被覆層を設けることで、本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、ガスバリア性を要求される、特に、洗剤、たばこ等の防湿性、保香性を要求される包装材料や容器、もしくは保存期間の長い食品を収納する包装材料や容器として好適に使用されるものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、基材として天然素材の紙を用い、印刷インキ層と樹脂層に生分解性を付与した構成であることから、紙が本来有している生分解性を失うことなく、本発明の紙製積層体およびその積層体を成形してなる紙製容器全体が生分解性であるという特徴を有している。そのため、本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、使用後、焼却されずに埋め立てられたり、自然環境中に散乱した場合でも、環境中の微生物の作用により、分解性を有している。従って、従来の紙製包装材料や容器よりも環境に与える悪影響が少ない紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器を提供できる。
【0045】
また、積層体を構成するいずれかの層にガスバリ性層としての被覆層を設けることで、本発明の紙製積層体およびその積層体からなる紙製容器は、ガスバリア性を要求される、特に、洗剤、たばこ等の防湿性、保香性を要求される包装材料や容器、もしくは保存期間の長い食品を収納する包装材料や容器として好適に使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙製積層体の構成の一例を示した断面図である。
【図2】本発明の紙製積層体の構成の別の例を示した断面図である。
【図3】本発明の紙製積層体の構成のさらに別の例を示した断面図である。
【図4】本発明のガスバリア性を付与した紙製積層体の構成の一例を示した断面図である。
【図5】本発明のガスバリア性を付与した紙製積層体の構成の別の例を示した断面図である。
【図6】本発明のガスバリア性を付与した紙製積層体の構成のさらに別の例を示した断面図である。
【図7】本発明の一実施例としてのトレー状紙製容器の斜視図である。
【図8】図7に示したトレー状紙製容器の展開図である。
【図9】本発明の一実施例としての箱形紙製容器の斜視図である。
【図10】図9に示した箱形紙製容器の展開図である。
【図11】本発明の一実施例としてのカップ状紙製容器の斜視図である。
【図12】図11に示したカップ状紙製容器の展開図である。
【図13】本発明の一実施例としての深絞りトレー状紙製容器の斜視図である。
【図14】図13に示した深絞りトレー状紙製容器のブランクを示す平面図である。
【図15】本発明の深絞りトレー状紙製容器の製造方法による製品を成形する工程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1、5、6、7、9、10・・・紙製積層体
2・・・紙製基材
3・・・印刷インキ層
4・・・樹脂層
8・・・被覆層
11・・・トレー状紙製容器
12・・・トレー状紙製容器のブランク
13・・・箱形紙製容器
14・・・箱形紙製容器のブランク
15・・・カップ状紙製容器
16・・・側面の部材
17・・・底面の部材
18・・・カップ状紙製容器のブランク
19・・・深絞りトレー状紙製容器
20・・・深絞りトレー状紙製容器本体
21・・・フランジ部
22・・・罫線
23・・・蓋材
24・・・深絞りトレー状紙製容器のブランク
25・・・深絞り成形機
26・・・雄金型
27・・・雌金型
28・・・押さえ板
29・・・スプリング
Claims (11)
- 紙製基材のいずれかの面に、少なくとも印刷インキ層と樹脂層のいずれかの層もしくは印刷インキ層と樹脂層との両方の層を形成してなる紙製積層体において、
前記印刷インキ層および樹脂層が、生分解性樹脂からなることを特徴とする紙製積層体。 - 前記生分解性樹脂が、ポリ乳酸もしくは少なくとも乳酸残基を含有する樹脂であることを特徴とする請求項1記載の紙製積層体。
- 前記印刷インキ層が、硝化綿系樹脂を含有することを特徴とする請求項1または2記載の紙製積層体。
- 前記紙製積層体を構成するいずれかの層に無機層状化合物と樹脂からなる被覆層を塗布形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙製積層体。
- 前記紙製積層体を構成するいずれかの層に無機層状化合物と樹脂と金属アルコキシドの加水分解物からなる被覆層を塗布形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙製積層体。
- 前記無機層状化合物が、モンモリナイトであることを特徴とする請求項4または5記載の紙製積層体。
- 前記樹脂が、水溶性高分子であることを特徴とする請求項4または5記載の紙製積層体。
- 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項7記載の紙製積層体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体に罫線を設けて、折り曲げて組み立てたことを特徴とする紙製容器。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体を、カップ状に成形したことを特徴とする紙製容器。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙製積層体を、絞り成形したことを特徴とする紙製容器。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050707 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070802 |