JP2012214024A - 紙製食品容器用積層体、およびそれを用いた紙製食品容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 紙支持体の片面に少なくとも1層以上の樹脂層を設けた紙製食品容器用積層体において、紙支持体の樹脂層を設けていない面に、ポリビニルアルコールが塗工されていることを特徴とする紙製食品容器用積層体、およびそれを用いた紙製食品容器。
【選択図】 図1
Description
さらに、近年の美食化傾向の高まりによって、例えば、紙製食品容器にグラタンを充填した後に、グラタン表面に焦げ目を付け、その後に冷蔵及び冷凍され流通・販売されるようになってきている。この場合、グラタン表面に焦げ目を付けるため、紙製食品容器上面(グラタン表面)を加熱する工程が付加されるため、耐熱性を有する紙製食品容器が求められるようになってきている。
本発明で用いるPVAとしては、完全ケン化型PVA、部分ケン化型PVA、カルボキシ変性PVA、カチオン変性PVAなどの変性PVAなどを例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、PVAのケン化度、重合度などの物性は特に限定されるものではないが、耐水性、皮膜強度などの点から、ケン化度が95%以上、重合度が1000〜2400である完全ケン化型PVAを使用することが好ましい。
紙支持体の非樹脂層面にPVAが塗工されることにより、PVAが紙支持体を構成するパルプ同士の接着性を向上させると共に、紙支持体の表面に強度が高い皮膜が形成されるため、紙支持体の表面強度が増加し、割れを防止しているものと推測される。なお、この効果はPVA特有のものであり、他の水溶性高分子であるデンプン等ではこの効果は見られない。
また、割れ防止効果および成形・加工性の点から、PVAは1層よりも2層以上塗工されている方が好ましい。PVAが2層以上塗工される場合、最初に塗工された(1層目の)PVAが紙支持体の表面に皮膜を形成した後に、更にその上に塗工された(2層目以降の)PVAが皮膜を形成するため、紙支持体の表面に1層塗工の場合より強固な皮膜が形成され、紙支持体の表面強度が更に増加し、効果的に割れが防止可能となるものと推測される。
CMCのエーテル化度、重合度などの物性は特に限定されるものではないが、溶解性や安定性などの点から、エーテル化度が0.55〜1.0mol/C6の範囲であることが好ましい。
本発明において、CMCの乾燥塗工量は、割れの防止効果および成形・加工性の点から0.02〜0.40g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.30g/m2である。CMCの乾燥塗工量が0.30g/m2を超えると割れの防止効果は飽和するため、コストアップにつながる。また、成形・加工性が低下する可能性がある。
本発明において使用する樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等を例示することができ、これらを単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができるが、これらに限定されるものではない。
また、樹脂層の厚さは特に限定されないが、耐熱性、耐油性、耐熱性、成形・加工性等が良好であるため、通常15〜40μm程度である。
紙支持体上に樹脂層を設ける方法は、押出しラミネーション、ウェットラミネーション、ドライラミネーション、ホットメルトラミネーション、サーマールラミネーション等の各種方法が使用可能であり、特に限定されない。
また、紙支持体の樹脂層面やPVA塗工面(すなわち非樹脂層面)、あるいはPVAを塗工した面上に、美麗性等を付与するための各種印刷を施すことも可能である。
さらに、コストや生産効率の面からは、ロール状の紙製食品容器用積層体を用いて、雄金型と雌金型からなるプレス成形機で罫線加工と打ち抜きプレス加工を連続して行い、食品容器を成形する方法であると好ましい。抜き加工した罫線つきの枚葉紙製食品容器用積層原紙を別工程でプレス加工して食品容器を成形する方法であると、工程が一つ増えることによりコストアップや生産効率低下につながる。また、工程間の運搬・保管に時間を要することにより、枚葉紙製食品容器用積層原紙にカールが生じて不良品の発生率が上がるといった問題が生じる。
[実施例1]
坪量300g/m2の紙支持体(伸び率(縦/横)=2.2%/5.1%、水分量=6.6%)の一方の面(非樹脂層面)に、PVA(完全ケン化型PVA、商品名:PVA117、重合度:1700、ケン化度:98%、クラレ社製)を乾燥塗工量が0.07g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工・乾燥した。
次に、グラビア輪転印刷機(機名・型番:グラビア輪転8色機 L950 ボブストチャンブレン社製)を用いて紙支持体の両面に印刷を施し、紙支持体のPVAが塗工されていない面側(樹脂層面側)の印刷面上にポリブチレンテレフタレート(商品名:500FP、ウィンテックポリマー社製)を厚さ25μmとなるように押し出しラミネートしてロール状に巻き取り、ポリブチレンテレフタレート層/印刷/紙支持体/PVA層/印刷からなるロール状の紙製食品用積層体を得た。
次に、得られたロール状の紙製食品用積層体を、打ち抜き・プレス成形機(機名・型番:SDE−6016C/B0、アマダ社製)を用いて放射状の凹凸となるように容器成形用の罫線を設け、続けて非樹脂層面が紙製食品容器の外面に、樹脂層面が内面になるように縁巻きトレー形状(図1、図2)に抜き、成形加工をして、紙製食品容器を得た。
紙支持体を坪量300g/m2の紙支持体(伸び率(縦/横)=2.3%/5.1%、水分量=6.8%)に変更し、PVAの乾燥塗工量が0.40g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工した以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。
[実施例3]
PVAの乾燥塗工量が0.70g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工した以外は実施例2と同様にして紙製食品容器を得た。
[実施例4]
PVAをPVA(完全ケン化型PVA、商品名:PVA105、重合度:500、ケン化度:98%、クラレ社製)に変更した以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。
[実施例5]
PVAをPVA(完全ケン化型PVA、商品名:PVA110、重合度:1000、ケン化度:98%、クラレ社製)に変更した以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。
[実施例6]
PVAをPVA(部分ケン化型PVA、商品名:PVA217、重合度:1700、ケン化度:88%、クラレ社製)に変更した以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。
紙支持体を坪量300g/m2の紙支持体(伸び率(縦/横)=2.4%/5.4%、水分量=6.9%)に変更し、PVAの乾燥塗工量がそれぞれ0.10g/m2(第1層)、0.35g/m2(第2層)となるようにエアナイフコーターで塗工した以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。なお、第2層は乾燥させた第1層上に塗工した。
[実施例8]
紙支持体を坪量300g/m2の紙支持体(伸び率(縦/横)=2.5%/5.5%、水分量=7.1%)に変更し、紙支持体の両面にPVAの乾燥塗工量が片面あたり0.10g/m2(非樹脂層面:0.10g/m2+樹脂層面:0.10g/m2=両面の合計:0.20g/m2)となるように2ロールサイズプレスで塗工した以外は実施例1と同様にして紙製食品用容器を得た。
[実施例9]
紙支持体の両面にPVAの乾燥塗工量が片面あたり0.04g/m2(非樹脂層面:0.04g/m2+樹脂層面:0.04g/m2=両面の合計:0.08g/m2)となるように2ロールサイズプレスで塗工した以外は実施例8と同様にして紙製食品用容器を得た。
[実施例10]
紙支持体を坪量300g/m2の紙支持体(伸び率(縦/横)=2.5%/5.5%、水分量=7.0%)に変更し、PVAの乾燥塗工量が0.40g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工した後、PVAの上にCMC(商品名:サンローズF10LC、エーテル化度:0.60mol/C6、日本製紙ケミカル社製)を乾燥塗工量が0.05g/m2となるようにグラビア輪転印刷機(機名・型番:グラビア輪転8色機 L950 ボブストチャンブレン社製)で塗工した以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。なお、CMCは乾燥させたPVA上に塗工した。
[実施例11]
紙支持体を坪量300g/m2の紙支持体(伸び率(縦/横)=2.7%/5.5%、水分量=7.2%)に変更し、紙支持体の両面にPVAの乾燥塗工量が片面あたり0.10g/m2(非樹脂層面:0.10g/m2+樹脂層面:0.10g/m2=両面の合計:0.20g/m2)となるように2ロールサイズプレスで塗工した後、非樹脂層面側のPVAの上にCMC(商品名:サンローズF10LC、エーテル化度:0.60mol/C6、日本製紙ケミカル社製)を乾燥塗工量が0.18g/m2となるようにグラビア輪転印刷機(機名・型番:グラビア輪転8色機 L950 ボブストチャンブレン社製)で塗工した以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。なお、CMCは乾燥させた非樹脂層面側のPVA上に塗工した。
[実施例12]
紙支持体を坪量300g/m2の紙支持体(伸び率(縦/横)=2.5%/5.5%、水分量=7.1%)に変更し、紙支持体の両面にPVAの乾燥塗工量が片面あたり0.02g/m2(非樹脂層面:0.02g/m2+樹脂層面:0.02g/m2=両面の合計:0.04g/m2)となるように2ロールサイズプレスで塗工した後、非樹脂層面側のPVA(第1層)の上に第2層となるPVA(完全ケン化型PVA、商品名:PVA117、重合度:1700、ケン化度:98%、クラレ社製)を乾燥塗工量が0.02g/m2となるようにグラビア輪転印刷機(機名・型番:グラビア輪転8色機 L950 ボブストチャンブレン社製)で塗工した以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。なお、第2層は乾燥させた第1層上に塗工した。
[実施例13]
PVAの乾燥塗工量が1.20g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工した以外は実施例2と同様にして紙製食品容器を得た。
PVAをデンプン(SK−20、日本コーンスターチ社製)に変更した以外は実施例2と同様にして紙製食品容器を得た。
[比較例2]
PVAを塗工しなかった以外は実施例1と同様にして紙製食品容器を得た。
[比較例3]
PVAをデンプン(SK−20、日本コーンスターチ社製)をに変更し、デンプンの上にCMC(商品名:サンローズF10LC、エーテル化度:0.60mol/C6、日本製紙ケミカル社製)を乾燥塗工量が0.05g/m2となるようにグラビア輪転印刷機(機名・型番:グラビア輪転8色機 L950 ボブストチャンブレン社製)で塗工した以外は実施例2と同様にして紙製食品容器を得た。なお、CMCは乾燥させたデンプン上に塗工した。
[比較例4]
坪量300g/m2の紙支持体(伸び率(縦/横)=2.3%/5.1%、水分量=6.8%)の一方の面(非樹脂層面)に、ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、ケン化度:98%、クラレ社製)を乾燥塗工量が0.40g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工・乾燥した。
次に、グラビア輪転印刷機(機名・型番:グラビア輪転8色機 L950 ボブストチャンブレン社製)を用いて紙支持体の両面に印刷を施し、紙支持体のPVAが塗工されていない面側の印刷面上にポリブチレンテレフタレート(商品名:500FP、ウィンテックポリマー社製)を厚さ25μmとなるように押し出しラミネートした(これを、「ポリブチレンテレフタレート層A」とする。)。
次に、紙支持体のPVAが塗工されている面側の印刷面上にポリブチレンテレフタレート(商品名:500FP、ウィンテックポリマー社製)を厚さ25μmとなるように押し出しラミネートして(これを、「ポリブチレンテレフタレート層B」とする。)ロール状に巻き取り、ポリブチレンテレフタレート層A/印刷/紙支持体/PVA層/印刷/ポリブチレンテレフタレート層Bからなるロール状の紙製食品用積層体を得た。
次に、得られたロール状の紙製食品用積層体を、打ち抜き・プレス成形機(機名・型番:SDE−6016C/B0、アマダ社製)を用いて放射状の凹凸となるように容器成形用の罫線を設け、続けて非樹脂層面が紙製食品容器の外面に、樹脂層面が内面になるように縁巻きトレー形状(図1、図2)に抜き、成形加工をして、紙製食品容器を得た。
<割れ>
比較例4で得た紙製食品容器以外の紙製食品容器については非樹脂層面の割れの状態を、比較例4で得た紙製食品容器についてはポリブチレンテレフタレート層B面の割れの状態を、それぞれ目視で観察して評価した。
A:割れがない。
B:極く微細なひびや毛羽立ちが部分的に見られるが、割れはない。
C:点状の微細な割れが見られるが、実用上支障がない。
D:線状の割れがある(最大の割れの長さが5mm未満)。
E:線状の割れがある(最大の割れの長さが5mm以上)。
<デラミネーション>
得られた紙製食品容器を200℃で5分間加熱した後、比較例4で得た紙製食品容器以外の紙製食品容器については非樹脂層面のデラミネーション(紙支持体と樹脂層の剥離)の状態を、比較例4で得た紙製食品容器についてはポリブチレンテレフタレート層B面のデラミネーションの状態を、それぞれ目視で観察して評価した。
A:デラミネーションがない。
B:僅かにデラミネーションがあるが、実用上支障がない。
C:デラミネーションがある。
Claims (6)
- 紙支持体の片面に少なくとも1層以上の樹脂層を設けた紙製食品容器用積層体において、紙支持体の樹脂層を設けていない面に、ポリビニルアルコールが塗工されていることを特徴とする紙製食品容器用積層体。
- 前記紙支持体の樹脂層を設けていない面に塗工された前記ポリビニルアルコールの乾燥塗工量が0.05〜0.80g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の紙製食品容器用積層体。
- 前記ポリビニルアルコールが前記紙支持体の樹脂層を設けていない面に2層以上塗工されていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙製食品容器用積層体。
- 前記紙支持体の樹脂層を設けていない面に塗工された前記ポリビニルアルコールの上に、更にカルボキシメチルセルロースが塗工されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙製食品容器用積層体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙製食品容器用積層体を用いた紙製食品容器。
- ロール状の紙製食品容器用積層体に、罫線加工と打ち抜きプレス加工を連続して成形されたことを特徴とする請求項5に記載の紙製食品容器。
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- 2012-03-15 JP JP2012058548A patent/JP5884574B2/ja active Active
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