JP7215189B2 - 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 - Google Patents
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Description
しかし、発泡ポリスチレン製容器は断熱性において非常に優れている反面、材料に石油を多く使用すること、嵩高でありゴミの量を増加させること、焼却処分の際に高熱を発して焼却炉に影響を及ぼす恐れがあること等の問題を有していた。また、発泡ポリスチレン製容器の外表面には微小な凹凸が多数存在するため模様等を鮮明に印刷し難く、さらに、強度が不足するため大きなサイズの容器には対応しづらい等の問題もあった。
また、特許文献1には、前記発泡断熱紙製容器用シートを胴部材および/または底板部材に用いた発泡断熱紙容器として、前記紙基材が含有する水分を加熱蒸発させ、前記熱可塑性樹脂層を発泡させたものが開示されている。
本発明は、以下のような構成を有している。
前記紙基材の坪量あたりの透気抵抗度が0.35~1.92s/g/m2であることを特徴とする発泡断熱紙容器用紙基材。
本発明に係る発泡断熱紙容器用シートは、前記発泡断熱紙容器用紙基材を用いて製造されているため、熱可塑性樹脂層の発泡を均一化することができる。
本発明に係る発泡断熱容器は、前記発泡断熱紙用シートを用いて製造されているため、発泡が均一化された発泡樹脂層を備え、断熱性と表面の美麗性において優れている。
図4は、発泡断熱紙容器用紙基材3の一例の模式的な断面図である。発泡断熱紙容器用紙基材3は、紙基材1の片面に水溶性樹脂層2を有している。水溶性樹脂層2上に熱可塑性樹脂層4を積層することによって、発泡断熱紙容器用シート5が形成される。
前記紙容器を加熱することによって、紙基材1や水溶性樹脂層2中に含まれる水分が気化し、水蒸気となって水溶性樹脂層2を透過し、加熱された熱可塑性樹脂層4中に浸透し、熱可塑性樹脂を発泡させて、熱可塑性樹脂層4を発泡樹脂層9へと変える。その結果、前記紙容器は断熱性を有した発泡断熱紙容器8となる。
[紙基材]
(パルプの種別)
紙基材1はセルロースパルプを主成分としている。ここで主成分とは、紙基材1を構成する成分のうち50質量%以上を占める成分をいう。
紙基材1を構成可能なパルプには、例えば、木材系パルプとして針葉樹材の晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、広葉樹材の晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)等の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプが挙げられ、非木材パルプとしては、麻パルプ等が該当する。これらのパルプは、1種単独、または2種以上を組み合わせて使用することができる。紙基材1を構成するパルプとしては、品質やコストの面から、LKPであるアカシア材やユーカリ材、NKPであるラジアータパイン材等の木材系パルプが適している。
セルロースパルプは直鎖アルコールと直鎖脂肪酸とを含有する。植物内においては、一般に酢酸を出発物質としてアルコールや脂肪酸が合成されるため、合成されたアルコールや脂肪酸の炭素数は偶数となる。
紙基材1を構成するパルプのJIS P 8121:2012に準じて測定したろ水度(カナダ標準ろ水度)は、300~600mlに調整することが好ましく、300~450mlに調整することがより好ましい。
2種類以上のパルプを使用する場合には、別々に叩解したパルプを混合して上記範囲にしてもよいし、予め混合したパルプを叩解して上記範囲に調整してもよい。
ろ水度が300ml以上であると、抄紙工程における脱水に長時間を要さず、操業性が向上する。一方、ろ水度が600ml以下であると、紙力が低下するおそれがない。
紙基材1(後記するパルプ層11)には製紙分野で一般に使用される填料を配合可能である。例えば、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、カオリン、デラミネーテッドカオリン、水和ケイ素、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、若しくは、水酸化亜鉛等の等の無機顔料や尿素・ホルマリン樹脂微粒子、若しくは微小中空粒子などの有機顔料等を、その目的に応じて配合できる。紙基材1に填料を配合しないことも可能である。紙基材1に填料を配合しなければ、紙基材1中の水分で熱可塑性樹脂層4を発泡させる際、発泡性が向上する。
紙基材1(パルプ層11)を抄紙する際に、各種内添助剤を適宜添加することが可能である。内添助剤の例として、サイズ剤、歩留まり剤、ろ水向上剤、嵩高材、紙力向上剤、カチオン化澱粉等の各種澱粉類、硫酸バンド、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が挙げられる。紙基材1(パルプ層11)は、内添助剤としてカチオン化澱粉を含んでいることが好ましい。
紙基材1は、パルプ層11と澱粉層12とを交互に重ねた多層材であることが好ましい。多層材を紙基材1とすると、紙基材1の地合いを均一化できるため、加熱時に紙基材1から発生する水蒸気の透過量が、紙基材1全体でより均一となり、熱可塑性樹脂層4の過発泡が抑えられ、発泡樹脂層9の発泡形態がより均一となる。
澱粉層12は、パルプ層11とパルプ層11との間を強固に接着するものである。澱粉層12に使用する澱粉は、特に限定されないが、カチオン化澱粉が好ましい。
紙基材1(パルプ層11)の抄紙方法および抄紙機の型式としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー等の公知の抄紙方法および抄紙機が選択可能である。中でもインレットを複数持つ多層抄きが可能な形式が好ましい。また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよい。
澱粉層12は、塗布法、転写法、含浸法、噴霧法等の種々の公知の方法で、公知の装置を用いて形成することができる。例えば、澱粉層12はワイヤー上でパルプ層11の表面に噴霧することで均一な澱粉層を形成することができる。
本発明者等は、検討の結果、紙基材1の坪量あたりの透気抵抗度が0.35~1.92s/g/m2であると、紙基材1から発生する水蒸気の透過を熱可塑性樹脂の発泡に過不足ない範囲に制御できることを見出した。紙基材1の坪量あたりの透気抵抗度が0.35s/g/m2以上であると、水蒸気の透過が好適に制御されるため、熱可塑性樹脂層4の部分的な過発泡が発生せず、発泡断熱紙容器8の美麗性が向上する。一方、紙基材1の坪量あたりの透気抵抗度が1.92s/g/m2以下であると、水蒸気の透過を過剰に妨げないため、熱可塑性樹脂層が十分に発泡し、発泡断熱紙容器8の断熱性が向上する。
このように、坪量あたりの透気抵抗度を上記範囲内に調製すると、紙基材1で水蒸気の透過を制御できるため、紙基材1を水溶性樹脂層2で厚く被膜せずとも、発泡断熱紙容器8の美麗性を向上させる事が可能になる。
紙基材1の坪量あたりの透気抵抗度は、より良好な断熱性を得る観点から1.85s/g/m2以下とするのが好ましく、1.80s/g/m2以下とするのがより好ましい。
紙基材1の坪量あたりの透気抵抗度は、水溶性樹脂層2を塗工する前の紙基材1について測定することも、発泡断熱紙容器用紙基材3から水溶性樹脂層2を除いて得た紙基材1について測定することも可能である。
透気抵抗度はJIS P 8117:2009の王研式試験機法に準じて測定する。
水溶性樹脂は水に溶解する樹脂であり、水溶液として紙基材1の表面に塗工され、被膜(水溶性樹脂層2)を形成する。水溶性樹脂は、造膜性を有する水溶性高分子であれば特に限定されないが、加工適性の観点から、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉、ポリアクリルアミド類が好ましく、中でもPVAが好ましい。本実施形態における水溶性樹脂としては、これらを単独、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
ポリビニルアルコール(PVA)は、化学式[-CH2CH(OH)-]n[-CH2CH(OCOCH3)-]mで表される。前記化学式において、nはけん化部分を示し、mは未けん化部分を示す。
PVAの平均重合度は、JIS K 6726:1994に準拠して測定した場合には、300~4000が好ましく、500~3000がより好ましく、1000~2000がさらに好ましい。平均重合度を300以上とすると成膜性が向上し、4000以下とすると水への溶解性が向上する。平均重合度は、PVAの製造工程中の酢酸ビニルモノマーの重合において酢酸ビニルモノマーをどれだけ結合するかによって調節できる。
未変性PVAとは、水酸基(OH基)や酢酸基(OCOCH3基)以外の官能基を導入していないPVAを指す。変性PVAとは、カルボキシル基やカルボニル基、スルホン酸基等の官能基を導入したPVAを指す。
PVAのけん化度(モル%)は{n/(n+m)}×100で表され、PVAの製造工程中のポリ酢酸ビニル樹脂のけん化において、酢酸基をどれだけ水酸基に置換するかによって調節可能であり、JIS K 6726:1994に準じて測定できる。けん化度が80モル%以上であると、PVAの水溶性が高まり、成膜性が向上するため、好ましい。
水溶性樹脂として使用できる澱粉類としては、未変性の澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉等が挙げられる。ポリアクリルアミド(PAM)類としては、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、ノニオン性ポリアクリルアミド等が挙げられる。
紙基材1上に強固に密着した水溶性樹脂層2は、水蒸気の透過量を制御して、水蒸気の透過量を紙基材1全体で均一化することができる。その結果、熱可塑性樹脂層4の発泡状態を均一化し、発泡断熱紙容器8の断熱性を向上させることができる。
水溶性樹脂層2は、水溶性樹脂を主成分とする層であるが、必要に応じて、発明の効果を妨げない範囲で適宜他の樹脂成分を含有させてもよい。
図4のように、本実施形態の発泡断熱紙容器用紙基材3は、紙基材1の両面に、水溶性樹脂層2を形成することにより製造される。なお、水溶性樹脂層2は、紙基材1の片面のみに設けても良い。
水溶性樹脂層2の形成方法については特に制限されないが、水溶性樹脂の塗工量や紙基材1への浸透厚さを均一化する観点から、ブレードコーターまたはロッドコーターを用いて水溶性樹脂を塗工する方法が好ましい。
ブレードコーターは、紙基材1に対して斜めに傾けて近接して配置された、紙基材1を横断する長さのブレードでもって、紙基材1と前記ブレードとの隙間を通過できない余分な塗工液を削り落とすことで、塗工液を高速かつ平滑に塗工する。
塗工量はブレードの押し付け圧や角度等によって調整可能である。
ロッドコーターは、紙基材1に対して近接して配置された紙基材1を横断する長さのロッドでもって、紙基材1と前記ロッドとの隙間を通過できない余分な塗工液を削り落とすことで塗工液を高速かつ平滑に塗工する。ロッドコーターをバーコーターとも呼称する。
塗工量はロッドに巻いたピアノ線やステンレス線等の直径を変更することで調整可能である。
高濃度の塗工液は、溶液粘度が高いため紙基材1に浸透し難く、水溶性樹脂の紙基材1への浸透厚さを減少させ、かつ、水溶性樹脂層2中の水溶性樹脂濃度を増加させることができる。そのため、ブレードコーターまたはロッドコーターを用いれば、水溶性樹脂の塗工量が少量であっても、効果的に紙基材1から発生する水蒸気の透過量を制御できる。
塗工層の乾燥方法は、公知の方法から適宜選択すればよい。また、水溶性樹脂層2の形成後、必要に応じて平滑化処理を行うことができる。
水溶性樹脂層2の片面あたりの形成量は、固形分で0.03~6.00g/m2であることが好ましい。特に水溶性樹脂としてPVAを使用した場合は0.05~0.50g/m2であることが好ましく、0.06~0.10g/m2であることがより好ましい。澱粉を使用した場合は0.80~6.00g/m2であることが好ましく、1.50~3.00g/m2であることがより好ましい。PAMを使用した場合は0.03~0.70g/m2であることが好ましく、0.05~0.60g/m2であることがより好ましい。
一方、水溶性樹脂層2の片面あたりの形成量が、各水溶性樹脂の好ましい形成量の下限値以上であると、紙基材1から発生した水蒸気の透過量を発泡断熱紙容器用紙基材3全体で均一化できる。水蒸気の透過量の均一化により、熱可塑性樹脂層4の過発泡を防止することで、表面の美麗性の高い発泡断熱紙容器8を得ることができる。水溶性樹脂層2の形成量とは平均形成量を表し、乾燥前後の重量変化、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡などで確認できる。
水溶性樹脂を含有する塗工液を紙基材1の表面に塗工すると、塗工液は紙基材1の内部に向けて浸透する。その後、塗工液は乾燥によって固化し、水溶性樹脂層2となる。本実施形態では、紙基材1に浸透して固化した水溶性樹脂も水溶性樹脂層2の一部とみなす。
水溶性樹脂の紙基材1への浸透厚さは、ブレード等の圧力、角度、ブレード等-紙間の隙間寸法、塗工液の粘度等によって調整できる。水溶性樹脂の紙基材1への浸透厚さは、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等を用いて断面の拡大写真から測定することができる。
(坪量)
発泡断熱紙容器用紙基材3の坪量は、好ましくは100~400g/m2であり、より好ましくは200~400g/m2であり、さらに好ましくは220~400g/m2であり、特に好ましくは260~350g/m2である。
坪量が100g/m2以上であると、紙基材1等の含有する水分によって、熱可塑性樹脂層4が十分に発泡するようになるので、得られた発泡断熱紙容器8を手で把持したときに熱さを感じづらい。一方、坪量が400g/m2以下であると、発泡断熱紙容器8の剛性が大きくなりすぎず、成形加工適性が向上する傾向にある。
発泡断熱紙容器用紙基材3の密度は、0.60~1.05g/cm3であることが好ましい。密度が0.60g/cm3以上であると、発泡断熱紙容器8に必要な紙力が得られ易い。一方、密度が1.05g/cm3以下であると、熱可塑性樹脂層4を発泡させる際に水蒸気が発泡断熱紙容器用紙基材3を十分に透過するため、熱可塑性樹脂層4の発泡性が向上し、得られた発泡断熱紙容器8を手で把持したときに熱さを感じづらい。
発泡断熱紙容器用紙基材3の紙厚は、好ましくは130~430μmであり、より好ましくは230~430μmであり、さらに好ましくは250~430μmである。
紙厚が130μm以上であると、紙基材1等の含有する水分によって、熱可塑性樹脂層4が十分に発泡するようになるので、得られた発泡断熱紙容器8を手で把持したときに熱さを感じづらい。一方、紙厚が430μm以下であると、発泡断熱紙容器8の剛性が大きくなりすぎず、成形加工適性が向上する傾向にある。
発泡断熱紙容器用紙基材3の坪量あたりの透気抵抗度は1.0~6.0s/g/m2であることが好ましい。発泡断熱紙容器用紙基材3の坪量あたりの透気抵抗度は、紙基材1の透気抵抗度を増減させるか、紙基材1に積層する水溶性樹脂層2の形成量を増減させることによって調整することができる。
坪量あたりの透気抵抗度は、より良好な美麗性を得る観点から1.2s/g/m2以上であることがより好ましく、1.5s/g/m2以上であることがさらに好ましい。坪量あたりの透気抵抗度は、より良好な断熱性を得る観点から4.7s/g/m2以下であることがより好ましく、4.5s/g/m2以下であることがさらに好ましい。
透気抵抗度はJIS P 8117:2009の王研式試験機法に準じて測定される。
発泡断熱紙容器用紙基材3中の水分量は、好ましくは4.5~8.0%であり、より好ましくは5.0~7.5%である。
発泡断熱紙容器用紙基材3中の水分量が4.5%以上であると、十分な発泡樹脂層9の厚みを得られる。また、8.0%以下であると、過発泡となり難く、美麗性が損なわれ難い。
発泡断熱紙容器用紙基材3中の水分量は、例えば、発泡断熱紙容器用紙基材3を紙容器に成形し発泡させるまでに保管する保管環境の相対湿度を増減させること等により制御することができる。
図3のように、本実施形態の発泡断熱紙容器用シート5は、紙基材1の両面に水溶性樹脂層2を有する発泡断熱紙容器用紙基材3と、発泡断熱紙容器用紙基材3の片面の水溶性樹脂層2上に積層された熱可塑性樹脂層4とを有する。なお、前述の通り、水溶性樹脂層2は、紙基材1の片面のみに設けても良い。
発泡断熱紙容器用シート5を加熱処理すると、紙基材1と水溶性樹脂層2に含まれる水分が蒸発し、発生した水蒸気によって熱可塑性樹脂層4が発泡し、発泡樹脂層9となる。
以下、発泡断熱紙容器用シート5について説明するが、既に説明した構成要素については説明を省略する。
熱可塑性樹脂層4には、水溶性樹脂層2上に形成可能で、かつ水分で発泡させることが可能なものであれば、結晶性樹脂と非結晶性樹脂のいずれの熱可塑性樹脂も使用できる。
結晶性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。非結晶性樹脂の例としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)等が挙げられる。また、環境負荷低減を目的に、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等の生分解性樹脂も使用可能である。
熱可塑性樹脂層4の厚さについては特に限定されないが、断熱性や加工性の観点から、厚さが30~80μmであることが好ましい。
さらに、図2のように、発泡断熱紙容器用シート5上に、熱可塑性樹脂層4よりも融点の高い高融点熱可塑性樹脂や金属からなる蒸散抑止層10を設けても良い。蒸散抑止層10は前記物質を複数積層させても良い。
紙基材1の熱可塑性樹脂層4のない面に蒸散抑止層10を積層すると、熱可塑性樹脂層4の発泡時に、紙基材1の熱可塑性樹脂層4のない面から水蒸気が蒸散してしまうことを抑制できる。水蒸気の蒸散が抑制されると、紙基材1から発生する水蒸気の多くが熱可塑性樹脂層4に向かうようになるため、熱可塑性樹脂層4の発泡性を向上させることができる。
なお、複数の種類の樹脂を積層した場合の融点の差とは、熱可塑性樹脂層4に使用した樹脂のうち最も高い融点を有する樹脂と、蒸散抑止層10に使用した樹脂のうち最も低い融点を有する樹脂との融点の差を指す。
熱可塑性樹脂層4および蒸散抑止層10は、押し出しラミネート法、ウェットラミネート法等の各種公知の方法を適宜使用して紙基材1上に積層すればよいが、熱可塑性樹脂層が単層の場合は、押し出しラミネート法の使用が好ましい。押し出しラミネート法の操業条件は、一般に溶融温度は200~370℃程度、積層速度は30~300m/分程度である。
また、蒸散抑止層10に複数の層を設ける場合は、発泡断熱紙基材と蒸散抑止層の密着性や生産効率の観点から、いわゆる共押し出しラミネート法が好ましい。
発泡断熱紙容器用シートは、例えば以下のように容器状に成形される。
まず、発泡断熱紙容器用シート5の所定箇所に各種絵柄やバーコード等の印刷を施した後、所定の形状に打ち抜くことで、胴部材ブランクおよび底板部材ブランクを用意する。
なお、発泡断熱紙容器8に望む断熱性の程度によっては、胴部材ブランクと底板部材ブランクのどちらか一方だけを発泡断熱紙容器用シート5から作成してもよい。
前記紙容器に対して、熱風、電熱、電子線など任意の手段で加熱処理を行い、胴部材ブランクや底板部材ブランクの紙基材1等に含まれる水分を気化させ、発生した水蒸気によって熱可塑性樹脂層4が発泡し、発泡樹脂層9となることで、発泡断熱紙容器8が得られる。加熱温度・時間は特に制限されないが、加熱温度は熱可塑性樹脂4の熱可塑性樹脂の融点よりも5℃~10℃程度高く、蒸散抑止層10の熱可塑性樹脂の融点よりも低いことが好ましい。
一般に、加熱温度は100~200℃程度、加熱時間は1~6分間程度である。
発泡樹脂層9の厚さが800μm以上であると十分な断熱性が得られる。一方、発泡樹脂層9の厚さが1500μm以下であると美麗性が向上する。発泡断熱紙容器8は、ホットコーヒーなどの充填用の発泡断熱紙容器、熱湯を注入するインスタント食品用の発泡断熱紙容器等として使用することができる。
発泡断熱紙容器においては、手で把持した際の手触り、持ち心地も重要である。発泡断熱紙容器の発泡樹脂層があまりに柔らかいと、把持による圧力で凹みすぎてしまい、内容物の熱さが肌に伝わって持ちづらくなってしまう。一方、発泡樹脂層があまりに固いと、発泡樹脂層特有の弾力性のある手触りが失われてしまう。
本発明者は、検討の末、発泡断熱紙容器の圧縮エネルギーと圧縮回復性とが所定の範囲内にあると、当該発泡断熱紙容器の柔らかさと凹みづらさの両立による良好な手触りが得られることを見出した。以下に発泡断熱紙容器の圧縮エネルギーと圧縮回復性とについて詳細を述べる。
圧縮エネルギーとは、測定対象に印加した荷重と、当該荷重によって測定対象に発生した凹みの深さとの積分を表す値であり、圧縮エネルギーの値が大きいほど、測定対象は圧縮されやすく、柔らかいと評価できる。発泡断熱紙容器の圧縮エネルギーは、例えば発泡樹脂層の発泡の程度、換言すれば発泡セルの大きさを増減させることによって制御できる。発泡樹脂層の発泡セルが大きく、空気を多く含むほど、発泡断熱紙容器の柔らかさは増し、圧縮エネルギーは増大する傾向にある。
圧縮回復性とは、測定対象の加圧による凹みからの回復性を示す値であり、圧縮回復性の値が100%に近いほど、圧縮後の回復性が良いと評価できる。発泡断熱紙容器の圧縮回復性は、例えば発泡樹脂層の発泡の程度、換言すれば発泡セルの大きさを増減させることによって制御できる。発泡樹脂層の発泡セルが大きく、空気を多く含むほど、発泡断熱紙容器の柔らかさは増し、圧縮回復性は低下する傾向にある。
発泡断熱紙容器8の最外層の高精細形状測定システムKS-1100(KEYENCE)を用いて測定した表面粗さは、5~75μmであることが好ましく、15~60μmであることがより好ましい。
なお、発泡断熱紙容器8の最外層としては、発泡樹脂層が該当する場合もあれば、発泡樹脂層の上に設けられた蒸散抑止層が該当する場合もある。ここでいう表面粗さとは、最外層の表面の平均面に対して各点の高さの差をとり、その絶対値の平均を表した算術平均高さである。なお、平均面とは評価点の平均高さを示す。測定は、まず、ISO25178に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)において、発泡断熱紙容器の底をカッター等で切り取り、円錐台状の側面に母線に沿って切れ目を1箇所入れ、扇形に開く。扇形状のサンプルを発泡面が上になるように測定台に設置し、移動速度7500μm、測定ピッチ10μmで1cm2の試験片の最外層側の表面の高さを測定することにより行った。
パルプのろ水度は、JIS P 8121:2012に準じて測定した。
発泡断熱紙容器用紙基材の坪量は、JIS P8124:2011に準じて測定した。
発泡断熱紙容器用紙基材の密度は、JIS P8118:1998に準じて測定した。
発泡断熱紙容器用紙基材の坪量あたりの透気抵抗度は、JIS P 8117:2009に記載の王研式試験機法に準じて測定した。
発泡断熱紙容器の圧縮エネルギーおよび圧縮回復性は、KES-FB3-AUTO-A自動化圧縮試験機(カトーテック株式会社製)を用いて、ISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)において、2cm2の加圧板と受圧板間にサンプルを設置し、速度50秒/mmで加圧板を下降させることにより測定した。
(発泡断熱紙容器用紙基材)
パルプとしてアカシア材晒クラフトパルプ(ろ水度430m1)を使用し、固形分換算でパルブ原料100質量%に対し、カチオン化殿粉0.5質量%、ポリアクリルアミド系紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.1質量%、アルキルケテンダイマー系サイズ剤0.30質量%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂(PAE系湿潤紙力増強剤)0.1質量%を添加した紙料スラリーを調製し、5層抄きの長網抄紙機で抄紙した。各層間にカチオン化殿粉を固形分で1.0g/m2の塗工量でスプレー塗布され、パルプ層が5層となる紙基材(原紙)を得た。紙基材の坪量あたりの透気抵抗度は1.49s/g/m2であった。
次いで、得られた紙基材の両面に、ロッドコーターによりボリビニルアルコール(PVA)(日本酢ビ・ポパール株式会社製、製品名:JM17、けん化度96.5モル%)を片面あたり固形分で0.08g/m2(両面で0.16g/m2)となるように塗工、乾燥して、実施例1の発泡断熱紙容器用紙基材を得た。なお、PVAの紙基材への浸透厚さは18.5μmであった。
実施例1の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度1.04g/cm3、紙厚0.289mm、坪量あたりの透気抵抗度5.04s/g/m2であった。
上記発泡断熱紙容器用紙基材の一方の面に、厚さ40μmとなるように高融点熱可塑性樹脂(中密度ポリエチレン、密度940kg/m3、融点133℃)を溶融温度360℃、積層速度50m/分で押し出した。その後、クーリングロールとニップロール(JIS-A硬度:70)を用いて、線圧2kgf/cmで押圧・圧着し、高融点熱可塑性樹脂層を形成した。
次いで、発泡断熱紙容器用紙基材の他方の面に、厚さ50μmとなるように熱可塑性樹脂(低密度ポリエチレン、密度918kg/m3、融点103℃)を溶融温度360℃、積層速度50m/分で押し出した。その後、クーリングロールとニップロール(JIS-A硬度:70)を用いて、線圧2kgf/cmで押圧・圧着し、熱可塑性樹脂層を形成して、実施例1の発泡断熱紙容器用シートを得た。
この発泡断熱紙容器用シートから、胴部材ブランクおよび底板部材ブランクを打ち抜き、これらを組み立ててカップ成形機で成形し、直径100mm、高さ110mmの紙容器を得た。この紙容器を温度120℃の乾燥機で6分間加熱し、発泡させることにより、実施例1の発泡断熱紙容器を得た。
実施例2では、実施例1と同様の紙基材に対して、ブレードコーターにより酸化澱粉(王子コーンスターチ製、製品名:エースA)を片面あたり固形分で1.00g/m2(両面で2.00g/m2)となるように塗工、乾燥し、発泡断熱紙容器用紙基材を得た。実施例2の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度104g/cm3、紙厚0.289mm、坪量あたりの透気抵抗5.26s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例2の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて実施例2の発泡断熱紙容器を得た。
実施例3では、パルプとしてアカシア材晒クラフトパルプ(ろ水度430ml)を40質量%、ユーカリ材晒クラフトパルプ(ろ水度430ml)を60質量%使用して紙基材を得た。紙基材の坪量あたりの透気抵抗度は0.78s/g/m2であった。
この紙基材に対して、ロッドコーターにより酸化澱粉(王子コーンスターチ製、製品名:エースA)を片面あたり固形分で1.00g/m2(両面で3.00g/m2)となるように塗工、乾燥し、発泡断熱紙容器用紙基材を得た。実施例3の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.94g/cm3、紙厚0.318mm、坪量あたりの透気抵抗度2.76s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例3の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて実施例3の発泡断熱紙容器を得た。
実施例4では、パルプとしてアカシア材晒クラフトパルプ(ろ水度430ml)を20質量%、ユーカリ材晒クラフトパルプ(ろ水度430ml)を80質量%使用して紙基材を得た。紙基材の坪量あたりの透気抵抗度は0.48s/g/m2であった。
この紙基材に対して、実施例3と同様に塗工液を塗工し、発泡断熱紙容器用紙基材を得た。実施例4の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量299g/m2、密度0.91g/cm3、紙厚0.328mm、坪量あたりの透気抵抗度1.68s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例4の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて実施例4の発泡断熱紙容器を得た。
実施例5では、パルプとしてアカシア材晒クラフトパルプ(ろ水度430ml)を80質量%、ラジアータパイン材晒クラフトパルプ(ろ水度430ml)を20質量%使用して紙基材を得た。紙基材の坪量あたりの透気抵抗度は0.92s/g/m2であった。
この紙基材に対して実施例3と同様に塗工液を塗工し、発泡断熱紙容器用紙基材を得た。実施例5の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量291g/m2、密度1.01g/cm3、紙厚0.289mm、坪量あたりの透気抵抗度3.22s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例5の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて実施例5の発泡断熱紙容器を得た。
実施例6では、実施例3と同様の紙基材に、実施例1と同様に塗工液を塗工して発泡断熱紙容器用紙基材を得た。実施例6の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.94g/cm3、紙厚0.318mm、坪量あたりの透気抵抗度2.64s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例6の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて実施例6の発泡断熱紙容器を得た。
実施例7では、実施例4と同様の紙基材に、実施例1と同様に塗工液を塗工して発泡断熱紙容器用紙基材を得た。実施例7の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量299g/m2、密度0.91g/cm3、紙厚0.328mm、坪量あたりの透気抵抗度1.61s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例7の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて実施例7の発泡断熱紙容器を得た。
実施例8では、実施例5と同様の紙基材に、実施例1と同様に塗工液を塗工して発泡断熱紙容器用紙基材を得た。実施例8の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量291g/m2、密度1.01g/cm3、紙厚0.289mm、坪量あたりの透気抵抗度3.08s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例8の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて実施例8の発泡断熱紙容器を得た。
比較例1では、パルプとしてユーカリ材晒クラフトパルプ(ろ水度430ml)を100質量%使用して紙基材を得た。紙基材の坪量あたりの透気抵抗度は0.26s/g/m2であった。
この紙基材に対して実施例1と同様に塗工液を塗工して発泡断熱紙容器用紙基材を得た。比較例1の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量299g/m2、密度0.88g/cm3、紙厚0.339mm、坪量あたりの透気抵抗度0.87s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、比較例1の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて比較例1の発泡断熱紙容器を得た。
比較例2では、パルプとしてアカシア材晒クラプトパルプ(ろ水度430ml)を5質量%、ユーカリ材晒クラフトパルプを95質量%(ろ水度430ml)使用して紙基材を得た。紙基材の坪量あたりの透気抵抗度は0.32s/g/m2であった。
この紙基材に対して実施例3と同様に塗工液を塗工して、発泡断熱紙容器用紙基材を得た。比較例2の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量299g/m2、密度0.88g/cm3、紙厚0.341mm、坪量あたりの透気抵抗度1.14s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、比較例1の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて比較例2の発泡断熱紙容器を得た。
比較例3の発泡断熱紙容器用紙基材では、パルプとしてラジアータパイン材晒クラフトパルプ(ろ水度430ml)を100質量%使用して紙基材を得た。紙基材の坪量あたりの透気抵抗度は0.28s/g/m2であった。
この紙基材に対して実施例3と同様に塗工液を塗工して、発泡断熱紙容器用紙基材を得た。比較例3の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量278g/m2、密度0.88g/cm3、紙厚0.315mm、坪量あたりの透気抵抗度0.99s/g/m2であった。
その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、比較例1の発泡断熱紙容器用シートを得た。さらに、この発泡断熱紙容器用シートを実施例1と同様に成形、発泡させて比較例3の発泡断熱紙容器を得た。
以上のようにして得られた発泡断熱紙容器用シートについて、以下の評価を行った。実施例、比較例の評価結果は表1に記載の通りであった。
得られた発泡断熱紙容器用シートから、A4サイズのサンプルを切り出した。熱可塑性樹脂層が外側となるようにして、円筒を作製した。その後、熱風を使用して、加熱温度120℃、加熱時間6分間で、円筒の外側の熱可塑性樹脂層を発泡させた。
得られた発泡断熱紙の発泡前後の厚さから、発泡倍率を算出し、以下の基準で評価した。なお、◎、○、△が合格であり、×が不合格である。
◎:発泡倍率21倍以上で、断熱性が十分である。
○:発泡倍率19倍以上、21倍未満で、断熱性が十分である。
△:発泡倍率15倍以上、19倍未満で、断熱性がある。
×:発泡倍率15倍未満で、断熱性が不十分である。
得られた発泡断熱紙容器用シートから、辺100mmの正方形の試験片を切り出した。その後、熱風を使用して、加熱温度120℃、加熱時間6分間で、熱可塑性樹脂層を発泡させた。発泡後の熱可塑性樹脂層の表面を目視で観察し、以下の基準で美麗性を評価した。なお、◎、○、△が合格であり、×が不合格である。
◎:過発泡が見られず、形成された発泡セルは小さく均質で、表面は概ね平坦である。
○:過発泡が見られず、形成された発泡セルは小さく表面も概ね平坦であるが、発泡セルの大きさにばらつきが見られる。
△:形成された発泡セルがやや大きく、大きさにばらつきも見られるが、表面の凹凸は小さく過発泡は見られない。
×:過発泡の発生などにより、表面に大きな凹凸がある。
発泡断熱紙容器に90℃のお湯を入れ、3分後、容器外壁面を手で触り次の基準で評価した。なお、◎、○、△が合格であり、×が不合格である。
◎:あまり熱くなく、手で容器を十分に保持することができ、使用するに特に適した弾力と滑らかさを有している。
○:やや熱いが、手で容器を保持し続けることができ、使用するに適した弾力と滑らかさを有している。
△:熱く、手で容器を十分に保持することはやや難しいが、使用するに支障のない弾力と滑らかさを有している。
×:かなり熱く、手で容器を保持することが難しく、使用するに不適である。
比較例1~3の発泡断熱紙容器用シートは、紙基材の坪量あたりの透気抵抗度が低すぎたため、水蒸気の透過量が過剰になり、過発泡の発生等によって表面に大きな凹凸が生じていた。そのため、比較例1~3の発泡断熱紙容器用シートは、表面の美麗性において劣っていた。また、比較例1~3の発泡断熱紙容器用シートで成形した発泡断熱容器は、滑らかさに欠け、さらに、把持したときに凹みすぎるため熱が手に伝わりやすく、手で容器を保持することが難しいものとなっていた。
2 水溶性樹脂層
3 発泡断熱紙容器用紙基材
4 熱可塑性樹脂層
5 発泡断熱紙容器用シート
6 胴部材
7 底板部材
8 発泡断熱紙容器
9 発泡樹脂層
10 蒸散抑止層
11 パルプ層
12 澱粉層
Claims (11)
- セルロースパルプを主成分とする紙基材と、当該紙基材の少なくとも一方の面上に積層された水溶性樹脂層とからなる発泡断熱紙容器用紙基材であって、
前記紙基材の坪量あたりの透気抵抗度が0.35~1.92s/g/m2であることを特徴とする発泡断熱紙容器用紙基材。 - 坪量あたりの透気抵抗度が1.0~6.0s/g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の発泡断熱紙容器用紙基材。
- 前記紙基材が多層材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡断熱紙容器用紙基材。
- 前記セルロースパルプとしてアカシア材パルプを10質量%以上含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器用紙基材。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器用紙基材と、前記水溶性樹脂層上に積層された熱可塑性樹脂層とを備えることを特徴とする発泡断熱紙容器用シート。
- 前記熱可塑性樹脂層の厚さが30~80μmであることを特徴とする請求項5に記載の発泡断熱紙容器用シート。
- 前記熱可塑性樹脂層がポリエチレン層であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の発泡断熱紙容器用シート。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器用紙基材と、前記水溶性樹脂層上に積層された発泡樹脂層を備えることを特徴とする発泡断熱紙容器。
- 前記発泡樹脂層がポリエチレン層であることを特徴とする請求項8に記載の発泡断熱紙容器。
- 圧縮回復性が55~90%であり、圧縮エネルギーが0.10~0.95N・m/m2であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の発泡断熱紙容器。
- 最外層の表面粗さが5~75μmであることを特徴とする請求項8~10のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器。
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