JP6583120B2 - 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 - Google Patents
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Description
本発明は、以下のような構成を有している。
以下、本実施形態を構成する各部材について説明する。
一般に部分ケン化ポリビニルアルコールは、完全ケン化ポリビニルアルコールに比べて表面張力が低いため、紙基材上に皮膜を成形する場合、より均質な皮膜を形成することができる。そのため、紙基材上に部分ケン化ポリビニルアルコールの皮膜が形成されていると、加熱発泡時に、紙基材からの水蒸気の発生量が場所によってばらつくことが抑制され、部分的な過発泡の発生が低減される。その結果、発泡形態が均一となり、断熱性と表面の美麗性の両方において、より優れた発泡断熱紙を得ることができる。
そこで、部分ケン化ポリビニルアルコールのサイズ剤について検討を加えた。サイズ剤としては、部分ケン化ポリビニルアルコールの成膜性を阻害させないために、分子量の小さいものが望ましく、また、少量でサイズ効果の高いものが望ましい。AKDは、部分ケン化ポリビニルアルコールの成膜性を維持し、紙基材のサイズ性を向上させて、発泡断熱紙の断面から発泡断熱紙表面が濡れ広がることを適度に抑制することができる。
紙基材上に強固に密着した部分ケン化ポリビニルアルコールの皮膜が形成されると、水蒸気の透過量を適度に制御して、水蒸気の透過量の場所によるばらつきを抑制することができる。その結果、熱可塑性樹脂層の発泡状態を均一にさせることができ、断熱性と美麗性を向上させることができる。
(パルプ)
本実施形態において、紙基材を構成するパルプの種類は特に限定されない。パルプの種類としては、例えば、針葉樹材の晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹材の晒クラフトパルプ(LBKP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、脱墨パルプ(DIP)等の木材系パルプ、靭皮パルプ、リンターパルプ、麻パルプ等の非木材パルプ等の天然パルプが挙げられる。これらのパルプは、1種単独、または2種以上を組合せて使用することができる。なかでも、品質やコストの面から木材パルプを使用することが好ましい。
紙基材の抄紙方法および抄紙機の型式は、特に限定されるものではなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公知の抄紙方法および抄紙機が選択可能である。
また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙基材の表面にアルカリ性薬剤を塗布してもよい。
紙基材を抄紙する際に配合する填料は、製紙分野で一般に使用されている填料が使用可能であり、特に限定されない。填料の例としては、クレー、焼成カオリン、デラミネートカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの有機填料が例示できる。これらの填料は単独または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。前記の酸性抄紙であれば一般に、これらの填料から酸溶解性のものを除いたものが使用される。
紙基材を抄紙する際に、各種内添助剤を必要に応じて適宜選択して使用することが可能である。内添助剤の例としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルこはく酸無水物(ASA)等の各種の内添サイズ剤、ノニオン性、カチオン性、両性の各種歩留まり向上剤、濾水度向上剤、紙力向上剤、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変性物等、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が挙げられる。本実施形態においては、特に、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルこはく酸無水物(ASA)等の内添サイズ剤を添加することが好ましい。
紙基材表面のpHは、6以下とすることが好ましい。紙基材表面のpHが6以下の酸性側であると、パルプから水が放出され易い状態となるため、熱可塑性樹脂の発泡性が良好になると考えられる。紙面pHの測定は、JAPAN TAPPINo.49−2(塗布法)に準じて測定される。
本実施形態の発泡断熱紙容器用紙基材は、前記したように、紙基材の少なくとも片面にAKDを含有する部分ケン化ポリビニルアルコール層を有しており、以下に説明する特性を有している。
発泡断熱紙容器用紙基材の坪量あたりの透気抵抗度(透気抵抗度/坪量)は、0.3〜2.0s/g/m2であることが好ましい。坪量あたりの透気抵抗度がこの範囲にあると、得られる発泡断熱紙容器用シート及びそれを用いた発泡断熱紙容器において、水蒸気の透過量を適度に抑制して、熱可塑性樹脂層の発泡状態が均一となるため、断熱性と美麗性のバランスが良好となる。坪量あたりの透気抵抗度は、より好ましくは0.5〜1.9s/g/m2、更に好ましくは0.8〜1.8s/g/m2、特に好ましくは1.3〜1.8s/g/m2である。透気抵抗度は、JIS P8117;2009に記載の王研式試験機法に準じて測定される。
発泡断熱紙容器用紙基材の水分量は、紙基材が含有する水分量と部分ケン化ポリビニルアルコール層が含有する水分量の合計となる。紙基材が含有する水分量は、紙基材の坪量及び含水率によって決定される。発泡断熱紙容器用紙基材の水分量は、好ましくは5〜60g/m2であり、より好ましくは10〜40g/m2であり、さらに好ましくは15〜40g/m2である。水分量は、調湿後、JIS P8127;2010に準じて測定される。
発泡断熱紙容器用紙基材の坪量は、好ましくは100〜400g/m2であり、より好ましくは200〜400g/m2であり、さらに好ましくは220〜400g/m2である。坪量が100g/m2未満であると、水分量の関係から発泡が不十分になりやすく、得られた発泡断熱紙容器を手で把持したときに熱さを感じやすい。一方、坪量が400g/m2を超えると、発泡断熱紙容器の成形加工適性が低下する傾向がある。
発泡断熱紙容器用紙基材の密度は、所望に応じて適宜設定すればよく、特に限定されることはないが、0.60〜0.99g/cm3とすることが好ましい。発泡断熱紙容器用紙基材の密度が低いと、熱可塑性樹脂層を発泡させる際に水蒸気が紙基材を通りやすくなり、発泡性が向上する傾向が見られる。しかし、発泡断熱紙容器用紙基材の密度が0.60g/cm3未満であると、発泡断熱紙容器に必要な紙力が得られないことがある。一方、発泡断熱紙容器用紙基材の密度が0.99g/cm3を超えると、熱可塑性樹脂層を発泡させる際に水蒸気が紙基材を通りにくくなり、発泡性が低下する傾向がある。
本実施形態の発泡断熱紙容器用シートは、前記したように、紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を有し、紙基材と熱可塑性樹脂層との間に、AKDを含有する部分ケン化ポリビニルアルコール層を有している。発泡断熱紙容器用シートは、上記の発泡断熱紙容器用紙基材の部分ケン化ポリビニルアルコール層が形成されている表面上に熱可塑性樹脂層を設けることによって形成される。発泡断熱紙容器用シートを加熱処理することによって、紙基材と部分ケン化ポリビニルアルコール層に含まれる水分が加熱蒸発して、発生した水蒸気によって熱可塑性樹脂層は発泡樹脂層となる。
熱可塑性樹脂層に使用する熱可塑性樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール層上に形成可能であり、かつ発泡させることが可能であれば特に制限されず、結晶性樹脂および非結晶性樹脂のいずれの熱可塑性樹脂も使用することが可能である。
本実施形態の発泡断熱紙容器用シートは、紙基材の熱可塑性樹脂層を形成した面とは反対側の面に、熱可塑性樹脂層よりも融点の高い高融点熱可塑性樹脂層やアルミニウム箔等の金属層を積層してもよい。このような高融点熱可塑性樹脂層や金属層を有すると、発泡断熱紙容器用シートを加熱して熱可塑性樹脂層を発泡させる際に、紙基材の熱可塑性樹脂層を形成した面と反対側の面から水蒸気が蒸散することが抑制され、熱可塑性樹脂層の発泡性が向上する。
熱可塑性樹脂層および高融点熱可塑性樹脂層の形成方法は特に制限されず、押出しラミネート法、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の各種方法を適宜使用して紙基材上に積層すればよい。押出しラミネート法とは、紙基材の表面に、熱可塑性樹脂をTダイから溶融樹脂膜の状態で押出し、クーリングロールとこれに対向するニップロールとの間で冷却しつつ押圧・圧着する方法である。紙基材と熱可塑性樹脂層との密着性、および熱可塑性樹脂層の発泡性が良好となるため、押出しラミネート法が好ましい。
発泡断熱紙容器用シートを用いて発泡断熱紙容器を成形する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いて製造することができる。具体例としては、以下に説明する一般的なカップ成形機によって成形する方法がある。
本実施形態では、胴部材ブランクと底板部材ブランクを組み立てて容器の形とした後、加熱処理を行う。加熱処理を行うと、胴部材ブランクや底板部材ブランクの紙基材等に含まれる水分が気化し、発生した水蒸気によって熱可塑性樹脂層が発泡されて、発泡断熱紙容器となる。発泡断熱紙容器は、胴部材および底板部材の少なくとも一方に発泡断熱紙を用いており、当該発泡断熱紙は、紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる発泡樹脂層を有している。
(発泡断熱紙容器用紙基材)
パルプとして広葉樹晒クラフトパルプLBKP(C.S.F.380ml)を使用し、固形分換算でパルプ原料100部に対し、硫酸アルミニウム2部、ロジンサイズ剤0.35部を添加した紙料スラリーを長網抄紙機で抄紙して紙基材(原紙)を得た。その後、部分ケン化ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA217、鹸化度87.0〜89.0%)とAKD(星光PMC社製、製品名:AD1606)を質量比70:30で含有し、塗工液濃度(固形分濃度)が合計で3%である塗工液(水溶液)を調製した。当該塗工液を用いて、上記紙基材(原紙)の両面に、カレンダーサイズプレスにより、片面あたり固形分で0.27g/m2(両面で0.54g/m2)となるように塗工、乾燥して、実施例1の発泡断熱紙容器用紙基材を得た。実施例1の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.90g/cm3、水分量22.5g/m2、坪量あたりの透気抵抗度1.33s/g/m2であった。
上記発泡断熱紙容器用紙基材の熱可塑性樹脂層を形成する側の面に、厚さ50μmとなるように熱可塑性樹脂(低密度ポリエチレン、密度918kg/m3、融点103℃)を溶融温度330℃、積層速度50m/分で押出した。その後、クーリングロールとニップロール(JIS−A硬度:90)を用いて、線圧20kgf/cmで押圧・圧着し、熱可塑性樹脂層を形成した。
実施例2の発泡断熱紙容器用紙基材では、部分ケン化ポリビニルアルコールとして、クラレ社製PVA617(鹸化度94.5〜95.5%)を使用した。また、塗工液として、当該部分ケン化ポリビニルアルコールとAKDを質量比70:30で含有し、塗工液濃度が合計で5%である塗工液を調製した。当該塗工液を用いて、片面あたり固形分で0.51g/m2(両面で1.02g/m2)となるように塗工した。それ以外は実施例1と同様である。実施例2の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.90g/cm3、水分量23.4g/m2、坪量あたりの透気抵抗度1.43s/g/m2であった。その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例2の発泡断熱紙容器用シートを得た。
実施例3の発泡断熱紙容器用紙基材では、部分ケン化ポリビニルアルコールとして、クラレ社製部分ケン化エチレン変性ポリビニルアルコールRS2817(鹸化度95.5〜97.5%)を使用した。また、塗工液として、当該部分ケン化ポリビニルアルコールとAKDを質量比70:30で含有し、塗工液濃度が合計で5%である塗工液を調製した。当該塗工液を用いて、片面あたり固形分で0.48g/m2(両面で0.96g/m2)となるように塗工した。それ以外は実施例1と同様である。実施例3の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.91g/cm3、水分量23.1g/m2、坪量あたりの透気抵抗度1.87s/g/m2であった。その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例3の発泡断熱紙容器用シートを得た。
実施例4の発泡断熱紙容器用紙基材では、塗工液として、部分ケン化ポリビニルアルコールとAKDを質量比70:30で含有し、塗工液濃度が合計で2%である塗工液を調製した。当該塗工液を用いて、片面あたり固形分で0.18g/m2(両面で0.36g/m2)となるように塗工した。それ以外は実施例1と同様である。実施例4の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.90g/cm3、水分量22.1g/m2、坪量あたりの透気抵抗度0.35s/g/m2であった。その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例4の発泡断熱紙容器用シートを得た。
実施例5の発泡断熱紙容器用紙基材では、塗工液として、部分ケン化ポリビニルアルコールとAKDを質量比70:30で含有し、塗工液濃度が合計で5%である塗工液を調製した。当該塗工液を用いて、片面あたり固形分で1.91g/m2(両面で3.82g/m2)となるように塗工した。それ以外は実施例1と同様である。実施例5の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.90g/cm3、水分量22.4g/m2、坪量あたりの透気抵抗度2.00s/g/m2であった。その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、実施例5の発泡断熱紙容器用シートを得た。
比較例1の発泡断熱紙容器用紙基材では、AKDを使用せず、部分ケン化ポリビニルアルコールのみを100%含有する塗工液として、塗工液濃度が2%である塗工液を調製した。当該塗工液を用いて、片面あたり固形分で0.15g/m2(両面で0.30g/m2)となるように塗工した。それ以外は実施例1と同様である。比較例1の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.89g/cm3、水分量21.6g/m2、坪量あたりの透気抵抗度1.34s/g/m2であった。その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、比較例1の発泡断熱紙容器用シートを得た。
比較例2の発泡断熱紙容器用紙基材では、AKDを使用せず、クラレ社製PVA217とスチレン系サイズ剤(星光PMC社製、SS2533、アニオン性サイズ剤)を質量比70:30で含有し、塗工液濃度が合計で3%である塗工液を調製した。当該塗工液を用いて、片面あたり固形分で0.30g/m2(両面で0.60g/m2)となるように塗工した。それ以外は実施例1と同様である。比較例2の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.90g/cm3、水分量23.2g/m2、坪量あたりの透気抵抗度0.31s/g/m2であった。その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、比較例2の発泡断熱紙容器用シートを得た。
比較例3の発泡断熱紙容器用紙基材では、AKDを使用せず、クラレ社製PVA217とスチレン系サイズ剤(星光PMC社製、SS2700、カチオン性サイズ剤)を質量比70:30で含有し、塗工液濃度が合計で3%である塗工液を調製した。当該塗工液を用いて、片面あたり固形分で0.31g/m2(両面で0.62g/m2)となるように塗工した。それ以外は実施例1と同様である。比較例3の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.90g/cm3、水分量21.2g/m2、坪量あたりの透気抵抗度0.13s/g/m2であった。その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、比較例3の発泡断熱紙容器用シートを得た。
比較例4の発泡断熱紙容器用紙基材では、部分ケン化ポリビニルアルコールを使用せず、クラレ社製完全ケン化ポリビニルアルコールPVA117、鹸化度98.0〜99.0%)とAKDを質量比70:30で含有し、塗工液濃度が合計で5%である塗工液を調製した。当該塗工液を用いて、片面あたり固形分で0.5g/m2(両面で1.0g/m2)となるように塗工した。それ以外は実施例1と同様である。比較例4の発泡断熱紙容器用紙基材は、坪量300g/m2、密度0.90g/cm3、水分量22.3g/m2、坪量あたりの透気抵抗度0.62s/g/m2であった。その後、実施例1と同様に高融点熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層を形成して、比較例4の発泡断熱紙容器用シートを得た。
[サイズ性]
得られた発泡断熱紙製容器用シートから、タテ9cm×ヨコ6cmのサンプルを切り出した。23℃の水中に1時間浸漬し、浸漬前の重さに対する浸漬前後の重さの差の倍率からサイズ性を以下の基準で評価した。
◎:浸漬前後の重さの差が1.020倍未満で、サイズ性が十分である。
○:浸漬前後の重さの差が1.020倍以上1.030倍未満で、サイズ性が十分である。
△:浸漬前後の重さの差が1.030倍以上1.045倍未満で、サイズ性がやや不十分である。
×:浸漬前後の重さの差が1.045倍以上で、サイズ性が不十分である。
得られた発泡断熱紙容器用シートから、A4サイズのサンプルを切り出した。熱可塑性樹脂層が外側となるようにして、円筒を作成した。その後、熱風を使用して、加熱温度120℃、加熱時間6分間で、円筒の外側の熱可塑性樹脂層を発泡させた。
得られた発泡断熱紙の発泡前後の厚さから、発泡倍率を算出し、以下の基準で評価した。
◎:発泡倍率21倍以上で、断熱性は十分である。
○:発泡倍率19倍以上、21倍未満で、断熱性が十分である。
△:発泡倍率15倍以上、19倍未満で、断熱性はある。
×:発泡倍率15倍未満で、断熱性が不十分である。
得られた発泡断熱紙容器用シートから、1辺100mmの正方形の試験片を切り出した。その後、熱風を使用して、加熱温度120℃、加熱時間6分間で、熱可塑性樹脂層を発泡させた。発泡後の熱可塑性樹脂層の表面を目視で観察し、以下の基準で美麗性を評価した。
◎:過発泡が見られず、形成された発泡セルは小さく均質であり、表面は概ね平坦である。
○:過発泡が見られず、形成された発泡セルは小さく表面も概ね平坦であるが、発泡セルの大きさにバラツキが見られる。
△:形成された発泡セルがやや大きく、大きさにバラツキも見られるが、表面の凹凸は小さく過発泡は見られない。
×:過発泡が発生しているなど、表面に大きな凹凸がある。
2 部分ケン化ポリビニルアルコール層
3 発泡断熱紙容器用紙基材
4 熱可塑性樹脂層
5 発泡断熱紙容器用シート
6 胴部材
7 底板部材
8 発泡断熱紙容器
9 発泡樹脂層
10 高融点熱可塑性樹脂層
Claims (9)
- 紙基材の少なくとも片面に、アルキルケテンダイマーを含有する部分ケン化ポリビニルアルコール層を有する発泡断熱紙容器用紙基材。
- 坪量あたりの透気抵抗度が0.3〜2.0s/g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の発泡断熱紙容器用紙基材。
- 前記部分ケン化ポリビニルアルコール層の形成量が片面で0.1〜4.0g/m2であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡断熱紙容器用紙基材。
- 密度が0.60〜0.99g/cm 3 であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器用紙基材。
- 水分量が5〜60g/m2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器用紙基材。
- 紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を有する発泡断熱紙容器用シートであって、
前記紙基材と前記熱可塑性樹脂層との間に、アルキルケテンダイマーを含有する部分ケン化ポリビニルアルコール層を有することを特徴とする発泡断熱紙容器用シート。 - 前記熱可塑性樹脂層の厚さが30〜80μmであることを特徴とする請求項6に記載の発泡断熱紙容器用シート。
- 前記熱可塑性樹脂がポリエチレンであることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の発泡断熱紙容器用シート。
- 胴部材および底板部材の少なくとも一方に発泡断熱紙を用いた発泡断熱紙容器であって、
前記発泡断熱紙は、紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる発泡樹脂層を有し、
前記紙基材と前記発泡樹脂層との間に、アルキルケテンダイマーを含有する部分ケン化ポリビニルアルコール層を有することを特徴とする発泡断熱紙容器。
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