JP2004231211A - 生分解性を有する蓋材 - Google Patents

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英信 三宅
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正樹 寺田
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Abstract

【課題】蓋材全体が生分解性を有し、埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解してそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命を短縮したり、環境を汚染することもない。環境負荷が低減された環境対応に優れ、かつ防湿性、遮光性等の機能を持つ生分解性を有する蓋材を提供する。
【解決手段】少なくとも、防湿性樹脂層12、シーラント層15および遮光性インキ層13を有する紙基材層11,14を主体とする構成の蓋材10であって、前記防湿性樹脂層12、シーラント層15および遮光性インキ層13が生分解性材料からなることを特徴とする生分解性を有する蓋材10である。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する蓋材に関するもので、さらに詳細には、生分解性を有し、かつ防湿性、遮光性等の機能を持つ蓋材に関する。この蓋材は、生分解性紙容器、特にカップ状紙容器として好適に使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題の意識の高まりから包装材料の易廃棄性が必要とされ、易焼却性、リサイクル性の材料を用いた包装材料の消費量が年々増加している。それに伴い、使用後の廃棄物の量も増加している。これらの廃棄物は、現在、主に焼却あるいは土中埋設により処理されている。
【0003】
食品や非食品等の包装に用いられる、蓋材などの包装材料には、基材としてポリエステルフィルムやナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの汎用のプラスチックを用いる場合が多い。また、包装材料が気相の水と接触した場合の水(湿気)の透過に対する抵抗性、所謂防湿性を付与するために、ポリビニリデンコートフィルム、アルミニウム蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、延伸もしくは無延伸のポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルムやアルミニウム箔などの金属箔からなる防湿層を蓋材の構成中に設けることが一般に行われている。
【0004】
しかしながら、プラスチック材料からなる包装材料の廃棄物等は、微生物分解性(通常「生分解性」という)がなく、使用後に廃棄する際に焼却処分ではなく、埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合には、分解せずにそのままの形で残るため、埋立処理場の寿命短縮や環境汚染の原因となっている。今後の包装材料の消費量から考慮すると、現在の処理方法では限界があり、新しい処理方法に対応できる生分解性材料を用いた包装材料や包装容器等の開発が盛んに行われている。
【0005】
そこで、この様な問題を解決すべく、環境中で分解されて水と二酸化炭素にまでなる生分解性樹脂からなる基材が上市されている。例えば、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシブチレート/ブァリレート[P(3HB−3HV)]、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート/アジペート((PBSA)、乳酸を化学重合して得られるポリ乳酸(PLA)、乳酸系共重合ポリエステル(ポリ乳酸/脂肪族ポリエステル)、ラクトンの開環重合によって得られるポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチルアジペート/テレフタレートや変性ポリエチレンテレフタレート(PET)などの脂肪族・芳香族ポリエステル、酢酸セルロース、でんぷん、キトサン/セルロース/でんぷん、でんぷん/脂肪族ポリエステルなどの天然に由来する天然高分子、その他ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0006】
生分解性を有する蓋材として、上記に例示した生分解性樹脂を用いて、紙基材層/生分解性樹脂層から構成される蓋材が開発されているが、生分解性樹脂だけでは防湿性、遮光性等の機能は十分でなく、防湿性、遮光性等の機能を要求される蓋材としては用いることができない。
【0007】
また、紙基材層/カーボンブラックを混練した着色生分解性樹脂層からなる構成の蓋材や紙基材層/天然色素で着色した樹脂層からなる構成の蓋材等も開発されているが、生分解性、遮光性を持つものの十分な防湿性を満足するものは得られない。
【0008】
さらに、十分な防湿性と遮光性等の機能を持たせるために、紙基材層/アルミニウム箔/生分解性樹脂層の構成からなる蓋材が開発されているが、アルミニウム等の金属からなる金属箔等を用いたものは、防湿性、遮光性に優れるものの、樹脂層に生分解性樹脂を用いたとしても、使用後焼却するとアルミニウム等の残渣の処理の問題や焼却しないで再生利用するとしてもアルミニウム等と紙基材とを分離させるのが困難である。廃棄の際は不燃物として処理しなければならないなどの問題点がある。また、検査の際金属探知器が使用できないなど多くの欠点を有し問題がある。
このように、蓋材全体が生分解性を有し、かつ防湿性、遮光性等の機能を持つ蓋材の開発が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点や要望点を考慮してなされたものであり、蓋材全体が生分解性を有し、かつ防湿性、遮光性等の機能を持つ生分解性を有する蓋材を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
少なくとも、防湿性樹脂層、シーラント層および遮光性インキ層を有する紙基材層を主体とする構成の蓋材であって、
前記防湿性樹脂層、シーラント層および遮光性インキ層が生分解性材料からなることを特徴とする生分解性を有する蓋材である。
【0011】
請求項2に係る発明は、
請求項1記載の生分解性を有する蓋材において、前記防湿性樹脂層が、天然ガムまたはその誘導体と、天然樹脂、ワックス類またはこれらの誘導体とを混合してなる樹脂組成物からなる樹脂層であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、
請求項1または2のいずれか1項に記載の生分解性を有する蓋材において、前記紙基材層を構成する紙基材の坪量が、30〜100g/mの範囲であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性を有する蓋材の全光線透過率が、0.3%以下であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の生分解性を有する蓋材を生分解性紙容器に用いることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例としての好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の生分解性を有する蓋材の構成の一例を示す断面図である。また、図2は、本発明の生分解性を有する蓋材の構成の他の例を示す断面図である。図3は、本発明の蓋材を用いたカップ状紙容器の断面図である。図4は、図3に示したカップ状紙容器の平面図である。
図1に示すように、本発明の一実施例としての生分解性を有する蓋材10は、外表面より、第1紙基材層11、防湿性樹脂層12、遮光性インキ層13、第2紙基材層14、シーラント層15を順次積層した構成の蓋材であって、紙基材層11,14は、元来、天然に由来する紙自体生分解性を有するものであり、また、防湿性樹脂層12、遮光性インキ層13およびシーラント層14も生分解性材料からなり、蓋材全体が生分解性を有することを特徴とするものである。
【0016】
上記の遮光性インキ層13は、図2に示すように、第2紙基材層24、シーラント層25の間に遮光性インキ層23を設けることもできる。
【0017】
そして、防湿性樹脂層12と遮光性インキ層13,23を設けたことで、蓋材に防湿性、遮光性等の機能を付与したものである。
【0018】
本発明における防湿性樹脂層12は、天然ガムまたはその誘導体と、天然樹脂、ワックス類およびこれらの誘導体から選択される材料を配合してなる組成物からなる生分解性樹脂層であり、蓋材に防湿性能を付与する層である。
【0019】
天然樹脂、ワックス類としては、エステルガム、ダンマル、コーパル、コパイババルサム、ベンゾインガム、ニュウコウ、オポパナックス、サンダラック、グアヤク、マスチック、ミルラ、レッチュデバカ、カウリガム、ロシン、ファーバルサム、エレミ、チクル、ジェルトン、ソルバ、ペリージョ、ベネズエラチクル、ニガーグッタ、ニスペロ、チクブル、チルテ、グッタカチュウ、ツヌー、ソルビンハ、クラウンガム、マッサランドバチョコレート、マッサランドババラタ、バラタ、ロシディンハ、グアユーレ、グッタペルカ、シェラック、マイクロクリスタリンワックス、オウリキュウリロウ、カルナバロウ、カンデリラロウ、ゲイロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、ミツロウ、モクロウ、モンタンロウ、油糧種子ロウ、ウルシロウ、シェラックロウ、ラノリンが採用可能で、天然ゴム又はその誘導体にこれらまたはこれらの誘導体の一つ以上を混合する。
【0020】
防湿性樹脂層12を紙基材に形成する方法としては、特に、限定されないが溶融押出コーティング方法が望ましい。また、天然ガムまたはその誘導体と、天然樹脂、ワックス類およびこれらの誘導体から選択される材料を配合してなる組成物を溶剤に溶解させたコーティング液を塗布機で塗布形成することもできる。塗布量は、20〜50g/mの範囲が望ましい。
【0021】
また、本発明で用いられる第1または第2紙基材層11,24としての紙基材は、通常用いられる針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、等の化学パルプ、GP、MP等の機械パルプ、ケナフ、麻等の非木材原料から得られるパルプなどからなる一般に使用される原紙を用いることができる。本発明における第1または第2紙基材層の紙層厚みは、蓋材としての強度低下が大きく変化しない程度であれば特に限定されないが、坪量として30〜100g/mの範囲のものを使用する。
【0022】
本発明における遮光性インキ層13,23は、遮光性を有するインキ層を形成するインキを用いて印刷により形成する。遮光性インキは、遮光性顔料含有のインキ、特に、黒色インキ(墨・ブラック)であるのが好ましい。顔料としては、例えば、ブラックカーボンが挙げられる。また、黒色インキ以外に、遮光性顔料として酸化チタン等を用いた白色インキを使用することもできる。さらに、黒色インキと白色インキを使用して、黒色インキ層/白色インキ層の2層構成からなる遮光性インキ層を形成することもできる。遮光性インキは、インキバインダー樹脂として生分解性を有する、例えばポリ乳酸樹脂からなる樹脂と遮光性顔料を主要成分とし、その他可塑剤、乾燥剤、安定剤等を添加してインキとすることで、生分解性を有する遮光性インキ層を形成できる。印刷方法は、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの周知の印刷方式や、また、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。厚さは、0.1〜2.0μmでよい。
【0023】
遮光性インキ層13,23は、紙基材に印刷されるのが好ましい。遮光性インキ層は、遮光性色剤を紙中に抄き混んだり、樹脂に分散混練させたりするよりも、顔料等の遮光性色剤が少量ですむため、使用後に回収した際、紙繊維や樹脂からの脱墨が容易である
【0024】
蓋材の外表面側の第1紙基材層11の表面には、印刷による任意の配色や絵柄等の印刷層を設けることもできる。この印刷層は、蓋材として実用的に用いられるために、外観用の文字、図形、記号、絵柄等の美麗な装飾模様が形成されるものである。印刷を形成するインキは、遮光性インキと同様、インキバインダー樹脂として生分解性を有する、例えば、ポリ乳酸樹脂からなる樹脂と遮光性顔料を主要成分とし、その他可塑剤、乾燥剤、安定剤等を添加してインキとすることで、生分解性を有する印刷層を形成できる。形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの周知の印刷方式や、また、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。厚さは、0.1〜2.0μmでよい。
【0025】
本発明で用いられるシーラント層15は、本発明の蓋材を、例えば、容器などに形成する際に接着層として設けられるものである。シーラント層に生分解性を付与するために生分解性樹脂を使用する。
【0026】
生分解性樹脂としては、熱可塑性樹脂でシール性を持つものであれば特に限定されない。例えば、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシブチレート/ブァリレート[P(3HB−3HV)]、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート/アジペート((PBSA)、ポリ乳酸(PLA)、乳酸系共重合ポリエステル(ポリ乳酸/脂肪族ポリエステル)等が挙げられる。その中でも、特に、ポリ乳酸樹脂は、融点などの調整が比較的容易であって、熱溶着性にも優れることから、好適に用いられる。
【0027】
シーラント層15の形成方法としては、紙基材上に溶融押出コーティング方法でシーラント層を設けることが好ましいが、シーラント層として、シーラントフィルムを用いる場合は、押出サンドラミネーション、ドライラミネーションもしくは熱ラミネーション法による方法でシーラント層を形成することもできる。もちろん、シーラントフィルム、サンドラミ材の材質は、生分解性材料を使用する。ドライラミネーションの場合の接着剤は、加水分解性の接着剤を使用する。厚さは、目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
【0028】
本発明の生分解性を有する蓋材を製造する方法の一例について図1を参照して説明する。
防湿層を形成する生分解性材料として、天然ガムまたはその誘導体と、天然樹脂、ワックス類またはこれらの誘導体とを混合してなる樹脂組成物を調合し、第1紙基材層11の片面に、例えば、溶融押出コート法により、生分解性組成物を塗布形成し、防湿性樹脂層12を形成する。
一方、第2紙基材層14の片面に、溶融押出法により所定の厚さのシーラント層14を形成し、もう一方の側の面に、例えば、グラビア印刷により遮光性インキ層を形成する。
次に、上記で得られた片面に防湿性樹脂層12を形成した第1紙基材層11の防湿性樹脂層12面と、片面にシーラント層15を、反対面に遮光性インキ層13を形成した第2紙基材層14の遮光性インキ層の面とを、熱圧着による熱ラミネーション法により積層して、第1紙基材層11/防湿性樹脂層12/遮光墨インキ層13/第2紙基材層14/シーラント層15からなる、本発明の生分解性を有する蓋材10を製造することができる。
【0029】
本発明の蓋材は、上記で詳細に説明したように、元来、天然に由来する紙自身生分解性を有する紙基材を主体とし、さらに天然ガム等からなる樹脂層組成物からなる防湿層や蓋材を容器に形成する際の接着剤層として機能するシーラント層が生分解性を有する材料を使用した構成であることから、蓋材全体が、黴、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、ポリマーがオリゴマーやモノマー、あるいはさらに低分子の物質にまで分解される性質を有し、最終的には、水、炭酸ガス、メタン等にまで分解され、埋立処理場や自然環境中において分解する。埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解してそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命を短縮したり、環境を汚染することもない。環境負荷が低減された環境対応に優れた蓋材を提供できる。
【0030】
本発明の蓋材は、蓋材構成中に、天然ガムまたはその誘導体と、天然樹脂、ワックス類またはこれらの誘導体とを混合してなる樹脂組成物からなる樹脂層を設けたことによる防湿性能と、遮光性インキ層を設けたことにより全光線透過率が0.3%以下の遮光性能を有するものであって、吸湿を嫌う食品や非食品の生分解性包装紙容器、太陽光や照明等の光線を透過して、保存期間中に内容物の有効成分等を(例えばビタミン等)減少したり、腐敗、変質等の品質低下する内容物を包装する生分解性紙容器の蓋材として好適に用いられる。
【0031】
例えば、図3に示すように、本発明の生分解性を有する蓋材を生分解性カップ状紙容器に使用した例を示したものである。胴部31と底部32とからなる紙カップ本体30であって、カップ状を呈し、上部にカールされたフランジ部33が形成された紙容器のフランジ部33に本発明の生分解性を有する蓋材40が接着されてなるカップ状紙容器である。
紙容器本体を構成する基材は、例えば、外面から生分解性樹脂層/原紙/白着色樹脂層/生分解性樹脂層からなり、原紙の内外面に生分解性材料からなる樹脂層を形成したものであり、白着色樹脂層は、ポリビニルアルコール樹脂層に酸化チタン顔料と生分解樹脂からなるバインダーを主成分とする生分解性を有する白インキ印刷層を設けて着色する。
フランジ部33に本発明の生分解性を有する蓋材40を接着する方法は、ヒートシール、高周波シール、超音波シールなどの接着方法により接着される。
【0032】
【実施例】
本発明の生分解性を有する蓋材の一例について具体的な実施例を挙げて説明する。
【0033】
<実施例1>
図1に示す構成の蓋材として、防湿層を形成する生分解性材料として、天然ガム、変性エステルロジン、ワックス、ソルバ、グリセリン脂肪酸エステルからなる材料を用いて、天然ガム/変性エステルロジン/ワックス/ソルバ/グリセリン脂肪酸エステルの配合比率(重量比)が、20/62.4/14/2/1.6からなる生分解性組成物を得た。
坪量50g/mの原紙11の片面に、溶融押出スロットノズルコート法により上記の生分解性組成物を30g/m塗布し、防湿性樹脂層12を形成した。
【0034】
一方、坪量30g/mの原紙14の片面に、50μmの厚さの脂肪族ポリエステルのポリ乳酸樹脂(PLA)((株)島津製作所製の商品名「ラクティ」)を溶融押出法によりシーラント層15を形成し、原紙14のもう一方の側の面に、可食墨インキをグラビア印刷により5g/m(固形分換算)塗布し、遮光性インキ層13を形成した。
【0035】
次に、上記で得られた片面に防湿性樹脂層12を形成した原紙11の防湿性樹脂層12面と、片面にPLA樹脂層からなるシーラント層15を、反対面に遮光性インキ層13を形成した原紙14の遮光性インキ層13の面とを、140℃の温度で熱圧着による熱ラミネーション法により積層して、下記の構成の本発明の生分解性を有する蓋材10を作成した。
原紙11(50g/m)/防湿性樹脂層12(35g/m)/遮光墨インキ層13(5g/m)/原紙14(30g/m)/シーラント層15(PLA50μm)
【0036】
<比較例1>
実施例1において、坪量30g/mの原紙14の片面に、50μmの厚さの脂肪族ポリエステルのポリ乳酸樹脂(PLA)((株)島津製作所製の商品名「ラクティ」)を溶融押出法によりシーラント層15を形成し、原紙14のもう一方の側の面に、遮光性インキ層13を形成しない以外は実施例1と同様にして蓋材を得た。
【0037】
<比較例2>
実施例1において、坪量30g/mの原紙14の片面に、50μmの厚さの脂肪族ポリエステルのポリ乳酸樹脂(PLA)((株)島津製作所製の商品名「ラクティ」)を溶融押出法によりシーラント層15を形成し、原紙14のもう一方の側の面に、可食墨インキをグラビア印刷により2g/m(固形分換算)塗布し、遮光性インキ層13を形成した以外は実施例1と同様にして蓋材を得た。
【0038】
<比較例3>
実施例1において、坪量30g/mの原紙14の片面に、50μmの厚さの脂肪族ポリエステルのポリ乳酸樹脂(PLA)((株)島津製作所製の商品名「ラクティ」)を溶融押出法によりシーラント層15を形成し、原紙14のもう一方の側の面に、可食墨インキをグラビア印刷により4g/m(固形分換算)塗布し、遮光性インキ層13を形成した以外は実施例1と同様にして蓋材を得た。
【0039】
<比較例4>
実施例1において、坪量30g/mの原紙14の代わりに坪量70g/mの原紙を用いた以外は実施例1と同様にして蓋材を得た。
【0040】
上記の実施例1および比較例1〜4で得られた蓋材について、下記に示す方法に基づいて防湿性(透湿度)および遮光性(全光線透過率)について評価した。その結果を表1に示した。
【0041】
(防湿性の評価方法)
JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠して評価した。
【0042】
(遮光性の評価方法)
JIS K7105「全光線透過率」に準拠して評価した。
【0043】
【表1】
Figure 2004231211
【0044】
【発明の効果】
本発明により、天然に由来する生分解性を有する紙基材を主体とし、さらに防湿性層として機能する天然ガムを主体とする防湿層や蓋材を容器に形成する際の接着剤層として機能するシーラント層が生分解性を有する材料を使用した構成であることから、蓋材全体が、黴、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、最終的には、水、炭酸ガス、メタン等にまで分解され、埋立処理場や自然環境中において分解する。埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解してそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命を短縮したり、環境を汚染することもない。環境負荷が低減された環境対応に優れた生分解性を有する蓋材を提供できる。
【0045】
本発明の生分解性を有する蓋材は、さらに防湿性、遮光性等の性能を有するものであって、吸湿を嫌う食品や非食品の生分解性包装紙容器、あるいは太陽光や照明等の光線を透過して、保存期間中に内容物の有効成分等を減少したり、腐敗、変質等により品質低下する虞のある内容物を包装する生分解性紙容器の蓋材として好適に用いられる。
【0046】
本発明の生分解性を有する蓋材は、遮光性を付与するために、遮光性インキ層を設けたことで、遮光性色剤を紙中に抄き混んだり、樹脂に分散混練させたりするよりも、顔料等の遮光性色剤が少量ですむため、使用後に回収した際、紙繊維や樹脂からの脱墨が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性を有する蓋材の構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の生分解性を有する蓋材の構成の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の生分解性を有する蓋材を用いたカップ状生分解性紙容器の断面図である。
【図4】図2示した本発明の生分解性を有する蓋材を用いたカップ状生分解性紙容器の平面図である。
【符号の説明】
10、20、40・・・蓋材
11、21・・・第1紙基材層
12、22・・・防湿性樹脂層
13、23・・・遮光性インキ層
14、24・・・第2紙基材層
15、25・・・シーラント層
30・・・紙容器本体
31・・・胴部
32・・・底部
33・・・フランジ部

Claims (5)

  1. 少なくとも、防湿性樹脂層、シーラント層および遮光性インキ層を有する紙基材層を主体とする構成の蓋材であって、
    前記防湿性樹脂層、シーラント層および遮光性インキ層が生分解性材料からなることを特徴とする生分解性を有する蓋材。
  2. 前記防湿性樹脂層が、天然ガムまたはその誘導体と、天然樹脂、ワックス類またはこれらの誘導体とを混合してなる樹脂組成物からなる樹脂層であることを特徴とする請求項1記載の生分解性を有する蓋材。
  3. 前記紙基材層を構成する紙基材の坪量が、30〜100g/mの範囲であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の生分解性を有する蓋材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性を有する蓋材の全光線透過率が、0.3%以下であることを特徴とする生分解性を有する蓋材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の生分解性を有する蓋材を生分解性紙容器に用いることを特徴とする生分解性を有する蓋材。
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