JP2012012039A - 紙容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来に比し、より優れた保香性および耐熱性を有する紙容器を提供する。
【解決手段】紙基材21の少なくとも片面に、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂層23が押出ラミネーション法で積層された積層体20からなり、ポリブチレンテレフタレート樹脂の、融点が200〜230℃であり、メルトインデックスが3〜13g/10分であり、ガラス転移温度Tgが30〜35℃であって、保香性および耐熱性を有する紙容器である。紙絞りトレーまたは紙カップの形状を有する紙容器とすることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、紙容器に関し、詳しくは、紙絞りトレーや紙カップ等の形状で用いられる紙容器に関する。
液状や粘調状の食品、固形分を含む液状食品、または、固形食品などの容器に用いる紙容器には、防水性や浸透防止性が必要となるため、通常、内面にポリエチレンやワックス等の樹脂層が積層されたものが用いられている。また、かかる紙容器においては、食品を電子レンジで加熱する際に必要とされる耐熱性や、匂いの強い食品を充填した際に匂い成分を外部へ逃がさないための保香性も、重要性能となる。
紙容器に係る改良技術としては、例えば、特許文献1に、保香性樹脂層(A)、ポリプロピレン層(B)、接着性樹脂層(C)、ガスバリア層(D)、紙との接着強度(180度剥離、剥離スピード300mm/min.)が150g/15mm幅以上のエチレン系共重合体層(E)からなる積層体が、紙と(E)層面で接着された多層容器が開示されている。また、特許文献2には、ポリプロピレン樹脂50〜97重量%、α−オレフィン共重合体を3〜50重量%含有する樹脂組成物を空冷式インフレーション成形製膜してなるポリプロピレンフィルムを、少なくとも紙層と積層させて積層材を構成し、積層材の最内層をポリプロピレンフィルム層とした紙容器である包装体が開示されている。
特開2000−135764号公報(特許請求の範囲等) 特開2003−312718号公報(特許請求の範囲等)
上述のように、紙容器については、従来、種々検討がなされてきているが、未だ十分なものではなく、特に、保香性および耐熱性に関し、より優れた性能を有する紙容器の実現が求められていた。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、従来に比し、より優れた保香性および耐熱性を有する紙容器を提供することにある。
樹脂材料の中でも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂は、優れた保香性および耐熱性を有することが知られている。しかし、一般にPBT樹脂は、紙基材上に樹脂層を形成する際における積層加工性が悪いので、PBT樹脂を用いた紙容器は、容易に製造できないという難点があった。
本発明者は、かかるPBT樹脂の加工性に着目して鋭意検討した結果、特定の範囲の物性値を有するPBT樹脂を用いることで、紙基材上への樹脂層の形成を容易に行うことができ、これにより優れた保香性および強度を有する紙容器を実現することが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の紙容器は、紙基材の少なくとも片面に、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂層が押出ラミネーション法で積層された積層体からなり、該ポリブチレンテレフタレート樹脂の、融点が200〜230℃であり、メルトインデックスが3〜13g/10分であり、ガラス転移温度Tgが30〜35℃であって、保香性および耐熱性を有することを特徴とするものである。
本発明の紙容器は、紙絞りトレーまたは紙カップの形状を有するものとすることが好ましい。
本発明によれば、上記構成としたことにより、従来に比し、より優れた保香性および耐熱性を有する紙容器を実現することが可能となった。
本発明の紙容器の一例を示す斜視図である。 本発明に係る積層体の一構成例を示す模式的断面図である。 図1中のA−A’断面を示す断面図である。 図1中のB−B’断面を示す断面図である。 本発明の紙容器の他の例を示す断面図および平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の紙容器の一例の紙カップを示す斜視図を示す。図示する紙カップ10は、略円筒状の胴部11と、胴部11の下端に接合される底部13とからなり、胴部11の上端部にはカール15が形成されている。また、図2は、本発明の紙容器に用いる積層体の一構成例を示す模式的断面図である。
本発明の紙容器は、図2に示すような、紙基材21の片面または両面に、PBT樹脂からなる樹脂層23を有する積層体20からなり、保香性および耐熱性を有することを特徴とするものである。かかる構成としたことで、耐熱性および保香性に優れた紙容器とすることができ、匂いの強い食品に好適に使用できるとともに、電子レンジ等への使用にも適した紙容器を実現することが可能となった。
また、本発明の紙容器の樹脂層23を構成するPBT樹脂としては、融点が200〜230℃であり、235℃、2160g荷重の条件下におけるメルトインデックスが3〜13g/10分、好適には3〜6.5g/10分であって、ガラス転移温度Tgが30〜35℃であるものを用いることが必要である。この範囲の物性値を有するPBT樹脂を用いたことで、紙基材上に樹脂層を形成する際の加工性を担保して、容易に製造可能な紙容器とすることが可能となった。かかる物性値を満足するPBT樹脂としては、例えば、ポリプラスチックス(株)製の、ジュラネックス600FP,700FP,800FPが挙げられる。
なお、上記PBT樹脂には、所望に応じ、着色剤、顔料、体質顔料、充填剤、滑剤、可塑剤、界面活性剤、増量剤などの添加剤を加えてもよい。
紙基材21としては、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、例えば、晒または未晒の紙、板紙、加工紙などが挙げられ、具体的には、伸縮性があり、紙カップ製造適性のよいカップ原紙などが例示できる。また、紙基材は、各種の添加剤などを含有していてもよい。紙基材としては、坪量約80〜600g/mのもの、特には、坪量約100〜450g/mのものを使用することが好ましい。
紙基材としては、クラフトパルプと、サイズ剤としてのロジンおよび/またはアルキルケテンダイマーとを含むことが、紙容器に強度を与え、高サイズ度であることから好ましく、内容物などが滲み込みにくいので、耐水性の紙カップや紙絞りトレーなどが製造できる点でも好ましい。その配合割合は、質量基準でクラフトパルプ:サイズ剤=100:0.15〜1.5とすることが好ましい。サイズ剤の配合量が少なすぎると、サイズ度が不足して内容物などが滲み込みやすく、サイズ剤の配合量が多すぎると、サイズ度が高過ぎて樹脂層との接着性が低下する。
上記樹脂層23は、紙基材21上に、押出ラミネーション法を用いて積層される。すなわち、本発明においては、上記PBT樹脂を、押出ラミネーション法で樹脂層として、基材上に積層する。押出ラミネーション法は、いわゆる、当業者がエクストルージョンコーティング(EC)と呼ぶ方法である。まず、押出機で、押出樹脂を加熱し溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させて、カーテン状に押し出す。溶融樹脂を紙基材上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、押出樹脂層の形成と、紙基材への接着および積層とが同時に行われ、また、ロールツーロールの巻取状で加工ができるので、極めて生産効率が良い方法である。
EC方式を用いて、押出機でPBT樹脂を加熱して溶融させ、Tダイスからカーテン状に押し出す際の溶融樹脂の温度は、220〜270℃、好ましくは240〜260℃程度である。溶融樹脂の温度がこの範囲未満では、接着不良や加工不良が生ずるおそれがある。一方、溶融樹脂の温度がこの範囲を超えると、樹脂の分解温度に近づくので、Tダイスから出た樹脂の流れが乱れたり、着色したりしてしまう。
成膜と積層体が同時にできるEC方式では、高速加工が低コスト化できるメリットがあり、基材上に、通常80m/分以上、好ましくは100m/分以上、より好ましくは120m/分以上の高速で、樹脂層を押出ラミネーション法により積層することができる。また、1回のEC法での樹脂層23の成膜厚さとしては、通常5〜200μm、好ましくは20〜100μmとすることができる。樹脂層23の成膜厚さがこの範囲未満では、EC加工時にTダイスから流下した樹脂の樹脂温度が低下しやすく、また、熱容量が少なく紙基材との接着性が悪くなる。一方、樹脂層23の成膜厚さがこの範囲を超えると、紙基材との接着性は良くなるが、Tダイスから出た樹脂の溶融粘度が高いためか、膜切れしやすく、EC加工性が著しく低下する。厚さが必要な場合には、複数回のEC加工を繰り返せばよい。
なお、本発明においては、樹脂層と基材とを強固に接着させるために、アンカーコート剤(AC剤)と呼ばれる接着促進剤などを塗布してもよく、また、アンカーコート剤の代わりに、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、オゾンガス処理などの易接着処理を施してもよい。アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートなどの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤などがある。アンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコートなどの公知のコーティング法で塗布して、乾燥すればよい。アンカーコート剤の厚さは、通常0.01〜10.0μm、好ましくは0.1〜5.0μmとすることができる。
本発明の紙容器は、紙絞りトレーや紙カップ等の形状とすることができる。
本発明の紙容器を図1に示すような紙カップ形状にて製造する際の製造方法としては、公知の製造方法を用いることができる。すなわち、まず、(1)胴部11を形成する胴部材41を準備するとともに、(2)底部13を形成する底部材43を準備し、(3)胴部材41を円錐台形に打ち抜いて胴部ブランクとし、(4)底部材43を円形に打ち抜いて底材ブランクとする。次いで、(5)胴部ブランクを、樹脂層23が内側となるように筒状に巻いて、その側端部を部分的に重ね合せて胴貼部分31とし(図3参照)、この胴貼部分31に加熱処理を行い押圧することで、筒状の胴部11を形成する。次いで、(6)筒状の胴部11の底端部へ、底板ブランクの外周を筒状に起立成形させて起立成形部33とした底部材を挿入し、底部材と、底部材が挿入された胴部の底端部との接合する部分に熱風などを吹き付けて、当該部分に存在する樹脂層23を加熱溶融し、次いで、カール用型により筒状の胴部11の先端部を内方に折り曲げて起立形成部33に被せ、上記筒状の胴部11の先端部と底部13の起立成形部33との胴貼部分31に内径側からローレット掛けすることにより、胴部11と底部13とを密接着させて接合部をシールする(図4参照)。次いで、(7)胴部11の上端部を外側にカールしてカール15を形成する。シール方式としては、通常、ホットエアー方式が用いられるが、その他一般的に用いられる方法、例えば、超音波方式や加熱バーによる加熱加圧方式を使用してもよく、特に制限はない。
図5に、本発明の紙容器の他の例の紙絞りトレーを示す斜視図を示す。図示する紙絞りトレー110は、公知の方法で絞り成形されてなり、上部が開口し、底面111と、底面111から側壁面113を経て開口部周縁に外向きのフランジ部115とを備え、角部117は罫線で折り畳まれてフランジ部へ立ち上がり、トレー状ないし皿状を呈している。紙絞りトレーの外形は、図示例では長方形であるが、三角形などの多角形または円形、楕円形など任意であってよく、深さやフランジ形状も任意に決定することができる。図示はしないが、本発明の紙容器を紙絞りトレーの形状とする場合には、紙絞りトレー110の上部を覆う蓋材を、フランジ部115にヒートシールして密封することができる。但し、本発明の紙容器を電子レンジで加熱する用途に用いる際には、紙容器の一部に穴を空けたり、一部開封したり、あらかじめ開封窓を設けるなどしておくのが好ましい。
本発明の紙容器を形成する積層体の層間および/または層表面には、必要に応じて、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウムなどの無機化合物層、金属蒸着層、金属箔などのガスバリア層、耐熱性および/または機械的強度に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや2軸延伸ポリアミド(ON)フィルム等のプラスチックフィルム層などの保護層を任意に積層してもよい。また、各層の積層の際には、接着力やその他の機能を向上させるための、接着層、プライマ層、コロナ処理などの易接着のための層および/または処理を施してもよい。ガスバリヤ層、保護層、プライマ層などを用いた積層方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、2液硬化型ポリウレタン系接着剤などを用いたドライラミネート法、アンカーコート剤を介した押出しコート法やサンドイッチラミネート法などが例示できる。
本発明の紙容器においては、胴部などの接合部において、特に、紙容器の内側に紙の端面が露出する場合には、スカイブ・ヘミングやヘミング、テープ貼りなどの公知の端面処理方法を用いて、紙の端面の露出を防止することで、耐水性や密封性を向上させることもできる。また、紙容器の天部、底部および/または胴部の外側接合部に紙の端面が露出していてもよく、もちろん、必要に応じて適宜、スカイブ・ヘミングやヘミング等の処理方法を用いて、紙の端面を隠し、耐水性や密封性を向上させてもよい。例えば、図3に示す胴部材41(胴部ブランク)においては、片側端部にスカイブ・ヘミング加工を施して、胴貼部分31における接着性を向上し、耐水性や密封性を高めている。さらに、紙容器には、内容物の取出口として、蓋材や、プルタブ形式の開封機構などを、容器の形状に応じて適宜設けることができる。さらにまた、紙容器にレーザー光照射や機械的手段による開封用のハーフカット線またはハーフカットのミシン目線などを設けて、取り出し口を形成してもよい。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1>
紙基材として秤量255g/mのカップ原紙を用いて、その片面にインラインでコロナ処理を実施しながら、PBT樹脂(ジュラネックス800FP、ポリプラスチックス社製)を用いて、押出ラミネーション法で240℃にて厚さ30μmの樹脂層を形成して、紙基材255μm/樹脂層30μmからなる積層体(胴部材および底部材)を得た。
上記の胴部材を円錐台形に打ち抜きブランク板とし、このブランク板を、樹脂層が内側となるよう筒状に巻いて、その側端部を部分的に重ね合わせて、その胴貼部分を、工具鉄製の所定温度の加熱バーで2回加圧して、筒状の胴部を形成した。
この筒状の胴部の底端部に、底板ブランクの外周を筒状に起立成型させた底板を挿入し、底部と、底部が挿入された胴部の底端部とが接合する部分に所定温度の熱風を吹き付けて、当該部分に存在する樹脂層を加熱溶融し、次いで、カール用型により筒状の胴部の先端部を内方に折り曲げて起立成型部に被せ、上記筒状の胴部の先端部と底部の起立成型部との胴貼部分に内径側からローレット掛けすることにより、胴部と底部とを密接着させて接合部をシールした。次いで、胴部の上端部を外側にカールさせてカールを形成し、容量500mlの実施例1の紙カップを得た。
<実施例2>
実施例1で作製した積層体を用いて、樹脂層を内側にして上下の金型で加圧する公知の紙絞り成形法により、短辺100mm×長辺150mm×深さ35mm×フランジ幅7mmの紙絞りトレーを成形して、実施例2の紙絞りトレーを得た。
<比較例1>
PBT樹脂に代えて低密度ポリエチレン(LDPE)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の紙カップを得た。
<評価方法>
<保香性>
各実施例および比較例で作製した紙カップまたは紙絞りトレーに、日本茶、コーヒーおよび固形カレーをそれぞれ充填し、同じ積層体で作製した蓋材でシールした。これらの紙カップまたは紙絞りトレーを密封容器に入れ、常温で1週間保管した後、密封容器内の匂いの有無を確認した。
<耐熱性>
各実施例および比較例で作製した紙カップまたは紙絞りトレーの上端部の開口部から、カレー300gを充填し、電子レンジで500Wで3分間加熱した後に、カレーを注ぎ出した。その後、空の紙カップまたは紙絞りトレーを水で洗浄し、内面の樹脂層を目視で観察した。油の染み込みがないものを合格とし、油の染み込みがあるものを不合格とした。
<評価結果>
<保香性>
実施例1,2では、すべての内容物に関して密封容器内には匂いが感じられず、保香性の効果を確認できた。これに対し、比較例1では密封容器内に匂いが感じられ、保香性の効果が認められなかった。
<耐熱性>
実施例1,2では、すべてに油の染み込みがなく合格であり、また、カレーと接触していた樹脂層にも、着色や柚子肌状の変形はなかった。これに対し、比較例1では油が染み込み不合格であり、また、カレーと接触していた樹脂層は黄色に着色され、柚子肌状の変形も見られた。
10 紙カップ
11 胴部
13 底部
15 カール
20 積層体
21 紙基材
23 樹脂層
31 胴貼部分
33 起立成形部
41 胴部材
43 底部材
110 紙絞りトレー
111 底部
113 側壁部
115 フランジ部
117 角部

Claims (2)

  1. 紙基材の少なくとも片面に、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂層が押出ラミネーション法で積層された積層体からなり、該ポリブチレンテレフタレート樹脂の、融点が200〜230℃であり、メルトインデックスが3〜13g/10分であり、ガラス転移温度Tgが30〜35℃であって、保香性および耐熱性を有することを特徴とする紙容器。
  2. 紙絞りトレーまたは紙カップの形状を有する請求項1記載の紙容器。
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