JPH05123920A - 切断機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ワークＷを支持するバイス３、６を備えた切
断機のベース盤１に突設するブラケット７ヘ微小角度の
回転を許容して軸支するジョイント部材１０を設け、そ
のジョイント部材１０の上部へ基端側を軸支し、且つ先
端部に切断砥石１９及びその切断砥石１９を回転駆動す
るモーター２４を一体的に備えたアーム１４を設け、ベ
ース盤１及びアーム１４の間に、アーム１４への取り付
け位置がベース盤１への取り付け位置よりブラケット側
に位置する圧縮スプリング２１を設けた。 【効果】 アーム１４が前後へ常に往復動し、最良の状
態に修正されながら切断が行なわれ、切削力低下による
目詰りの防止、切削幅の増加及び切削力の向上が可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ベース盤上へバイス
によってワークを支持し、回転駆動される切断砥石をア
ームの回動操作でワークに押し付け、ワークを切断する
切断機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記切断機としては、上面にワー
ク支持用のバイスが設けられたベース盤にブラケットを
突設し、そのブラケットの上端へ、回転駆動される切断
砥石を備えたアームの基端を枢着し、ブラケットとアー
ムとの間に、アームを反押し付け側へ付勢するスプリン
グを介装したものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】切断砥石を押し付けて
ワークを切断する場合、切り始めは順調でも切断砥石と
ワークとが接触する切断部の長さが増大するにつれ、抵
抗が大きくなって切れ味が鈍ってくる。切断砥石はアー
ムの枢着点を中心とした一定の弧上を移動するだけであ
るから、その場合ワークの位置や姿勢をずらせて接触部
を変更させなければならず、そのような作業は極めて煩
雑である。そこでこの発明の課題は、簡単な構成により
切断砥石がワークに接触する切断部の長さを、切断砥石
側において変更可能とした切断機を提供する。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本願に係る発明は、ワークを支持するバイスを備
えたベース盤に突設するブラケット、前記ブラケットヘ
微小角度の回転を許容して軸支するジョイント部材、そ
のジョイント部材の上部へ基端側を軸支し、且つ先端部
に切断砥石及びその切断砥石を回転駆動するモーターを
一体的に備えたアーム、並びにベース盤及びアームの間
に、アームへの取り付け位置がベース盤への取り付け位
置よりブラケット側に位置する付勢部材を備える切断機
であって、その付勢部材により付勢されるアームの押し
付けまたは引き離し動作によって前記バイスに支持され
たワークに対して切断砥石を前後往復動可能とするもの
である。

【０００５】尚、ベース盤に突設したブラケットヘジョ
イント部材を微小角度の回転を許容して軸支すると共
に、前記アームの基端をそのジョイント部材の上部へ軸
支することによりそのアームの回動支点を微小量だけ前
後方向へ往復動自在と成し、またベース盤、アーム及び
ジョイント部材の各相互間の適当な部位へ、切断砥石を
ワークへ押し付ける力と、アームの回動支点がワーク側
へ変動しようとする力にそれぞれ抗する反発力を、少な
くとも前記切断砥石をワークに対して押し付け作動時
に、付与する付勢部材を設けることが望ましい。これに
より、前記付勢部材は、ジョイント部材をバイス側へ傾
倒してアームの回動支点をバイス側へ変動させ、且つア
ームを水平にした状態で、アームの回動支点付近に圧縮
スプリングの上端を取り付けると共に、他端をベース盤
上の前記圧縮スプリング取り付け部位よりバイス側寄り
の位置に取付ければ、切断砥石をワークへ押し付ける力
に抗して引き離す力と、ジョイント部材を反ワーク側へ
引き離す力とを、前記一つの圧縮スプリングにより同時
に付与することができる。

【０００６】

【作用】アームは、ジョイント部材に軸支される回動支
点と、ジョイント部材を介してアームの回動支点を水平
方向変動させる支点とを有するので、切断砥石をワーク
へ押し付けた状態でワークとの接触長さを意図的に変更
できる。又使用に際しては、ワークへの押し付け力に対
する切削抵抗が変化すると、付勢部材により前記ジョイ
ント部材を反ワーク側へ押し戻す力と、切断砥石をワー
クに押し付ける力、その反力等のバランスが崩れて回動
支点が頻繁に移動する。

【０００７】

【実施例】以下、この発明を具体化した実施例を図面に
基づいて説明する。１は切断機の下面四隅端に脚片２を
備えたベース盤であって、そのベース盤１の上面には、
ねじにより固着された固定バイス片３と、この固定バイ
ス片３との間にワークＷを挟持するための送りハンドル
４を側端に有し、ねじ５により移動可能に設けられた移
動バイス片６とが設けられている。７はベース盤１上面
の後端、図１において右端に立設されたブラケットであ
って、図２に示すように左右一対の起立板状のブラケッ
ト７に穿設された軸挿通孔へ挿通され、且つナット８に
よりねじ止めされた連結軸９を介してジョイント部材１
０が回転可能に軸支されている。そのジョイント部材１
０の下部はベース盤１と隙間を形成しているので、ジョ
イント部材１０の下部の前端１１及び後端１２はジョイ
ント部材１０が傾倒するとベース盤１の上面に接触し、
ジョイント部材１０を微小角度の回転を許容してブラケ
ット７に軸支している。またそのジョイント部材１０の
上部には、中空の支軸１３を介してアーム１４が回転可
能に軸支され、支軸１３の両端は、各々ジョイント部材
１０にねじ１７、１８によって固着された蓋体１５、１
６で閉塞及び抜け止めが図られている。尚前記蓋体１５
は、図１に示すようにスパークガイドと兼用になってい
る。又前記ねじ１７は、アーム１４の基端部に延設した
突起１４ａに、図４に破線で示すようにその頭部が係止
し、アーム１４の上方向への回動を規制するストッパを
構成する。

【０００８】１９はアーム１４の上端へ、回転可能に軸
支された切断砥石であって、その切断砥石を覆うカバー
の近辺にはアーム１４を移動操作させるためのハンドル
２０がアーム１４に取り付けられている。２１はハンド
ル２０を押し下げて下方に傾動したアーム１４を上方へ
弾性復帰させるための圧縮スプリングであって、圧縮ス
プリング２１の上端は、断面コ字状のアーム１４の内壁
面に、またその下端は、ベース盤１の上面に突設された
取り付け部材２２によって支持され、アーム１４への圧
縮スプリング２１の上端の取り付け位置がベース盤１へ
のその下端の取り付け位置よりブラケット側に位置して
いる。また前記取り付け部材２２はベース盤１にその裏
面からねじにより螺合されており、圧縮スプリング２１
を組付ける際は、取り付け部材２２の突出長さを短かく
しておいて、アーム１４の内壁面と取り付け部材２２の
先端との間に圧縮スプリング２１を介装し、取り付け部
材２２を上方へ繰り出すことにより簡単に取り付けるこ
とができる。

【０００９】図３の平面図において、アーム１４に取り
付けられた切断砥石１９は、ヘリカルギヤ２３を介して
モーター２４の回転軸から切断砥石軸２５を介して駆動
力が伝達される。一般にギヤと駆動軸とは、キーを介し
て組み付け固着されるが、実施例では、駆動軸に面取り
を施し面取り部２５ａを形成すると共に、ヘリカルギヤ
２３の軸挿通孔をその面取りされた駆動軸に合致した形
状にして嵌合させ、組み付け性の向上と、キー溝加工の
省略によってコストダウンを図っている。２６はモータ
ー２４を冷却するためのファンであり、ファン２６によ
り送り込まれる空気内に含まれている粉塵が、モーター
２４の駆動軸を支える軸受２７などの内部に入り込まな
いようにダストシール２８が取り付けられている。更
に、ダストシール２８に粉塵が送風されないように前記
ファン２６と軸受２７との境にギヤハウジングから突起
２９が突設されている。

【００１０】図４において、３０は切断砥石１９を押し
下げ過ぎて地面に接触し破損するのを防止するストッパ
ーであって、ストッパー３０の上端に穿設された長穴３
１に挿通する蝶ねじ３２をアーム１４に螺合し、ストッ
パー３０の上端の両側のアーム１４には傾動防止突起３
３、３３が突設されている。図５は図４のストッパー３
０を螺合する蝶ねじ３２の頭部を省略して表した図面で
あって、（Ａ）はストッパー３０を掛けた状態を示すも
のである。ストッパー３０の長穴３１の下方に蝶ねじ３
２のねじ部３４を位置させ蝶ねじ３２を締結すると、傾
動防止突起３３、３３にストッパー３０の上端が係合す
るので、アーム１４の前後往復動によりストッパー３０
の下端がベース盤１に接触してもストッパー３０が傾動
することを防止できる。また切断砥石１９が切削磨耗に
より半径が減少して当初より下方にアームを下降する必
要がある時には、蝶ねじ３２を緩め、長穴３１の上方に
蝶ねじ３２のねじ部３４を位置するまでストッパー３０
を下降してから図５（Ｂ）に二点鎖線で示す方向へ回動
し、更に図４に二点鎖線で示す位置において再び蝶ねじ
３２によりストッパー３０を螺合することにより、スト
ッパーを解除しワークの切断を続けることができる。

【００１１】次に、上記のように構成されたこの実施例
の切断機の作用及び効果について図６に基づいて説明す
る。切断機の切断砥石１９は従来例と同様に、作業者が
圧縮スプリング２１の付勢力に抗してハンドル２０を下
方に押し下げることで、切断砥石１９をワークＷへ押し
付け、切断することができる。そこでワークＷの幅が切
断砥石１９の有効切断幅より僅かに大きい場合は、切断
砥石１９を前後方向へ移動させることで、移動させた分
だけ切断能力をアップして対応できる。ワークＷの幅が
切断砥石の有効切断幅以内のとき、切断開始直後は、切
削抵抗も少なく、軽い押し付け力で切断でき、このとき
ジョイント部材１０は後方へ傾倒している。切断が進む
につれ接触長さが増大し、切削抵抗が増加した場合は、
意図的に水平方向への移動力を加える。それによって図
６に二点鎖線で示すようにジョイント部材１０をワーク
側へ傾倒してアーム１４の支軸１３の回動支点をワーク
側へ変動させ、接触長さが短かくなるよう変更する。そ
の状態で再び接触長さが増大したら、再度水平方向への
移動力を加え、今度はジョイント部材１０をワークＷと
反対側へ傾倒してアーム１４の回動支点を反ワーク側で
あるブラケット側へ変動させ、以後それを繰り返す。又
意図的に水平方向への移動力を加えなくても、ワークへ
の押し付け力に対する切削抵抗が変化すると、その切削
抵抗による反力と前記ジョイント部材１０を反ワーク側
へ引き離す力とのバランスが崩れて回動支点が頻繁に移
動し、アーム１４に対して一種の前後往復動を惹起させ
る。それによって、結果的ではあるが、常に切れ味が最
も良い位置を捜し、その位置に修正しながら切断してい
ることになる。

【００１２】尚実施例では、圧縮スプリング２１がアー
ム１４を上方向へ引き離す力と、常に水平方向の分力と
が同時に作用するよう配置されているので、一つの圧縮
スプリングしか備えていないが、上方向と水平方向への
付勢力を夫々独立した付勢部材により付与することもで
きる。本発明は、切断砥石をワークへ押し付ける力、切
断抵抗及び付勢部材による反ワーク側水平方向へ引き戻
し力相互間の微妙な変化によってジョイント部材１０が
許容された回動角度の範囲内を頻繁に移動し、切断砥石
の前後往復動状態を作り出し、切断砥石の切れ味が最も
良い位置により切削を行なうものであり、各部材は実施
例の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸
脱しない範囲で各部の形状並びに構成を任意に変更して
具体化してかまわない。

【００１３】

【発明の効果】以上に詳述したように、この発明によれ
ば、切断砥石を前後及び上下方向へ同時に移動できるの
で、切断砥石を意図的に前後方向へ移動させ、その切断
砥石とワークとの接触長さを変更し、切削抵抗を少なく
して目詰りを防止すると共に、切削幅を増加して、切削
力を向上することができる。また、従来と同様な使い方
をしても、アームが前後往復動し、最良の状態に修正さ
れながら切断が行なわれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す切断機の部分断面図で
ある。

【図２】切断機のベース盤とアームとの連結部の説明図
である。

【図３】切断機の部分断面平面図である。

【図４】アームを押し付けた状態の切断機の説明図であ
る。

【図５】ストッパーの説明図である。

【図６】前後往復動する切断機の説明図である。

【符号の説明】

Ｗ・・ワーク、１・・ベース盤、２・・脚片、３・・固
定バイス片、４・・ハンドル、５・・ねじ、６・・移動
バイス片、７・・ブラケット、８・・ナット、９・・連
結軸、１０・・ジョイント部材、１１・・前端、１２・
・後端、１３・・支軸、１４・・アーム、１４ａ・・突
起、１５、１６・・蓋体、１７、１８・・ねじ、１９・
・切断砥石、２０・・ハンドル、２１・・圧縮スプリン
グ、２２・・取り付け部材、２３・・ヘリカルギヤ、２
４・・モーター、２５・・切断砥石軸、２５ａ・・面取
り部、２６・・ファン、２７・・軸受、２８・・ダスト
シール、２９・・突起、３０・・ストッパー、３１・・
長穴、３２・・蝶ねじ、３３・・傾動防止突起、３４・
・ねじ部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワークを支持するバイスを備えたベース
   盤に突設するブラケット、前記ブラケットヘ微小角度の
   回転を許容して軸支するジョイント部材、そのジョイン
   ト部材の上部へ基端側を軸支し、且つ先端部に切断砥石
   及びその切断砥石を回転駆動するモーターを一体的に備
   えたアーム、並びにベース盤及びアームの間に、アーム
   への取り付け位置がベース盤への取り付け位置よりブラ
   ケット側に位置する付勢部材を備えるものであって、そ
   の付勢部材により付勢されるアームの押し付けまたは引
   き離し動作によって前記バイスに支持されたワークに対
   して切断砥石を前後往復動可能とした切断機。