JPH0511345A - フレネル反射スクリーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は良好な指向性を発揮するフレネル反
射スクリーンを提供することを目的とするものである。 【構成】 傾斜面６を反射面とし、棚面６'を吸光面と
したフレネル形状部材２のフレネル面２'に透明樹脂層
３を介して透明フィルム４を付設し、この透明フィルム
４の表面に水平方向の拡散性を付与せしめる凹凸４'を
スクリーン縦方向に形成し、水平方向,垂直方向ともに
ほぼ等しい状態の拡散性を付与せしめる光拡散剤５を前
記透明樹脂層３内に配在せしめたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液晶プロジェクター等
に使用するフレネル反射スクリーンに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】昨今、液晶プロジェクターの登場により
反射スクリーンの需要が高まってきている。

【０００３】これらの従来の反射スクリーンとしては、
反射面にガラスビーズを付したもの、或いは反射面をホ
ワイトマット状にしたもの、或いは反射面にアルミ箔を
付したもの等の平面スクリーン、また、反射面がシリン
ドリカル面、或いは球面のスクリーンがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
ビーズ,ホワイトマット状スクリーンは輝度ゲインが低
く、外光によるコントラストの低下が激しく、暗室でし
か使用できないという欠点があり、また、アルミ箔スク
リーン,シリンドリカルスクリーン,球面スクリーンは特
性的には秀れているものの、これらのスクリーンは巻き
取りが不可能であり、運搬等に不便であり、手軽に持ち
運べるプロジェクターとは対照的である。上記両者の欠
点を解決すべく、サーキュラー或いはリニアフレネル形
状のスクリーンがアイデアとして以前から提案されてい
るが、これらのスクリーンの反射面に指向性を付与する
技術即ち、水平方向,垂直方向の拡散性が異なる状態と
なるような微細な傷を反射面に付する技術は未だ確立さ
れておらず実用品は未だ市場には存しない。

【０００５】ところで、このような指向性を有するスク
リーンの反射面を合成樹脂により量産しようとすれば、
当然金型が必要となる。従って、金型面に前記異なる拡
散性を付与せしめる為の微細な傷を形成して、この微細
な傷をスクリーンに転写形成することが該スクリーンの
必須条件となる訳であるが、現状においては金型面に異
なる拡散性(指向性)を付与せしめる為の傷(指向性を発
揮させる為の傷)を形成する手段は提案されていない。

【０００６】本発明は、水平方向と垂直方向との拡散性
が異なる状態となる傷即ち指向性を付与する為の傷を量
産用の金型面に形成しなければならないという従来の発
想を全く切り替え、水平方向,垂直方向ともにほぼ等し
い拡散性を付与せしめる部材即ち無指向性を付与せしめ
る部材を反射面前側に配設し、この部材と水平方向の拡
散性を付与せしめる凹凸との組み合わせにより指向性良
好にして量産可能なフレネル反射スクリーンを提供する
ことが技術的課題である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。

【０００８】傾斜面６を反射面とし、棚面６'を吸光面
としたフレネル形状部材２のフレネル面２'に透明樹脂
層３を介して透明フィルム４を付設し、この透明フィル
ム４の表面に水平方向の拡散性を付与せしめる凹凸４'
をスクリーン縦方向に形成し、水平方向,垂直方向とも
にほぼ等しい状態の拡散性を付与せしめる光拡散剤５を
前記透明樹脂層３内に配在せしめたことを特徴とするフ
レネル反射スクリーンに係るものです。

【０００９】

【作用】プロジェクター７からの光は、フレネル面２'
の傾斜面６で反射され観察者に集光される。一方、外光
８は、フレネル形状部材２の棚面６'で吸光されるか又
は下方に進み、観察者には届かない(図２参照)。

【００１０】この際、水平方向の拡散性を付与せしめる
凹凸４'が形成された透明フィルム４と,水平方向,垂直
方向の拡散性をほぼ等しい状態で付与せしめる光拡散剤
５とにより本発明に係るスクリーンはスクリーンとして
最も望ましい即ち、水平方向の拡散性が広く、垂直方向
の拡散性が狭い良好な指向性を発揮し得ることになる。

【００１１】

【実施例】図面は、本発明の一実施例を図示したもので
ある。以下に説明する。

【００１２】水平方向の拡散性を付与せしめる透明フィ
ルム４としては、厚さが５μm〜１００μmの高透過フィ
ルム(例えばＰＥＴ,ＰＰ,ＰＶＣ,ＴＡＣ,ＡＣ等)を用い
る。

【００１３】このフィルムの表面状態はスクリーン縦方
向に微少ピッチに並んだレンチキュラー形状又は、縦方
向に傷状に凹凸が刻まれた形状のものとし、この表面の
凹凸４'は水平方向の拡散性が２０°〜４０°(Ｈ／３＝
２０°〜４０°)となるようなものを採用する。

【００１４】また、透明樹脂層３としては、透過率の高
い、紫外線硬化型樹脂(例えばウレタン,エポキシ,ポリ
エステル等のアクリレート)を用いる。

【００１５】また、光拡散剤５としては、数μmの球形
状ＳiＯ₂・ＴiＯ₂、又はガラスビーズを用いる。光拡散
剤５の量は、透明フィルム４の凹凸４'の度合を考慮し
て決定する。

【００１６】また、フレネル形状部材２は、黒色顔料入
りの紫外線硬化型樹脂を用いる。表面のリニアフレネル
面２'は、上方から下方に従って、山の角度θを順次小
さく形成している。この山の角度θはゲイン,スクリー
ンサイズ,サービスエリア等を考慮して計算により算出
する。フレネル面２'の傾斜面６には金属蒸着(Ａl蒸着)
を行い、傾斜面６を反射面に形成する。このフレネル形
状部材２は、厚さ５０μm〜２５０μmの基材１(ＰＥＴ
フィルム等の紫外線透過フィルムを採用)上に形成され
る。

【００１７】次にスクリーンの具体的製法について説明
する。

【００１８】まず、金型及び黒色顔料入りの紫外線硬化
型樹脂を用いて基材１(ＰＥＴフィルム等の紫外線透過
フィルム)上にフレネル形状部材２を形成する。

【００１９】このようにして成型したフレネル形状部材
２の傾斜面６に金属蒸着(Ａl蒸着)を行う。

【００２０】続いて、フレネル形状部材２に光拡散剤５
を混入した紫外線硬化型樹脂を塗布してフレネル形状部
材２に透明フィルム４を貼着し、紫外線を照射して樹脂
硬化させて本実施例の係るスクリーンを成形する。

【００２１】本実施例は以上の工程により製造される
為、連続成型が可能となり、従って、量産性に秀れたも
のとなる。

【００２２】従来から、フレネルスクリーンに指向性を
与える為には、フレネル面２'に当然のことながらこれ
らの特性を付与せしめる為の微細な凹凸(傷)を形成しな
ければならない。従って、このような良好な特性を有す
るフレネルスクリーンを連続的に量産せしめる為にはそ
の金型表面に水平方向の拡散性,垂直方向の拡散性が異
なる状態となるような微細な凹凸を形成しなければなら
ない。

【００２３】しかし、この金型表面にこのような微細な
傷を付する手段が未だ確立されていないことは前記従来
例の項で説明した通りである。

【００２４】実施例に係るスクリーンは、光拡散剤５を
使用する為、金型表面に微細な凹凸を付するというよう
な手段は全く不要となり、この光拡散剤５と透明フィル
ム４の凹凸４'とで良好な指向性が発揮され、且つ量産
性に非常に秀れたものとなる。

【００２５】

【発明の効果】本発明は上述のように構成したから、次
のような効果を発揮する。

【００２６】外光下においてもコントラストの良いス
クリーン(ハイコントラストスクリーン)となる。

【００２７】ゲインの高いスクリーン(ハイゲインス
クリーン)となる。

【００２８】巻き取り可能なスクリーンとなる。

【００２９】両面がフラットの為表面ウォッシブルな
スクリーンとなり、従って、メインテナンスが容易とな
る。

【００３０】反射面(フレネル形状部材のフレネル面)
が樹脂層により保護されている為、耐久性に秀れたもの
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一部の断面図である。

【図２】本発明の光学特性の説明図である。

【符号の説明】

２ フレネル形状部材 ２' フレネル面 ３ 透明樹脂層 ４ 透明フィルム ４' 凹凸 ５ 光拡散剤 ６ 傾斜面 ６' 棚面

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 傾斜面を反射面とし、棚面を吸光面とし
   たフレネル形状部材のフレネル面に透明樹脂層を介して
   透明フィルムを付設し、この透明フィルムの表面に水平
   方向の拡散性を付与せしめる凹凸をスクリーン縦方向に
   形成し、水平方向,垂直方向ともにほぼ等しい状態の拡
   散性を付与せしめる光拡散剤を前記透明樹脂層内に配在
   せしめたことを特徴とするフレネル反射スクリーン。