JPH05106554A - 可変容量圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな冷房能力を必要とされる高負荷時にお
いて、吐出室からクランク室への冷媒ガスの流出を抑え
て冷房能力の低下を防止し、動力損失を抑えることがで
きるとともに、容量変更時の応答性を良好に確保し、し
かも差圧弁の開閉を確実にする。 【構成】 クランク室２と吸入室４とを連通する抽気通
路２５にクランク室２から吸入室４への冷媒ガスの逃し
量を調整する弁２６を設け、吐出室５とクランク室２と
を連通する給気通路２７には吐出室圧力Ｐｄ及びクラン
ク室圧力Ｐｃの関係がＰｄ≫Ｐｃとなる所定の差圧以上
のときに給気通路２７を閉鎖する差圧弁２８を設ける。
さらに、この差圧弁２８の弁体には吐出室５側からクラ
ンク室２側への冷媒ガスの通過を許容する連通孔３５を
形成するとともに、連通孔３５の一部には絞り手段とし
てのオリフィス３６を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は吸入室と吐出室とクラン
ク室とを備え、クランク室内に設けられた揺動斜板の駆
動軸に対する傾斜角がピストンの背面に作用するクラン
ク室圧力とピストンの前面に作用する吸入室圧力との差
圧に応じて変更されて圧縮容量を制御するようにした可
変容量圧縮機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の可変容量圧縮機として図７に示
すような圧縮機が知られている。即ち、クランク室５０
と吐出室５１とを連通する給気通路５２に固定絞り弁５
３が設けられている。前記クランク室５０と吸入室５４
とを連通する抽気通路５５には吸入室５４の圧力Ｐｓを
検知してクランク室５０内の冷媒ガスを吸入室５４へ逃
がす弁５６が設けられている。

【０００３】しかし、この圧縮機においては給気通路５
２の固定絞り弁５３を介して常時吐出室５１とクランク
室５０とが連通された状態にある。そのため、容量の可
変が不要な１００％運転時の冷房能力が低下するととも
に、動力損失が大きくなるという問題があった。

【０００４】この問題を解決するため例えば特開昭６２
−１９１６７３号公報に示されている圧縮機がある。即
ち、図８に示すように、この圧縮機はクランク室５０と
吸入室５４とを連通する互いに独立した第１通路５７及
び第２通路５８と、前記クランク室５０と吐出室５１を
連通する第３通路５９と、前記第１通路５７に介装され
且つ前記吸入室５４の圧力が所定設定値以下の時閉弁し
且つ所定設定値以上になると開弁して前記第１通路５７
を介して前記クランク室５０と前記吸入室５４とを連通
する圧力制御弁６０と、前記吐出室５１の圧力が所定設
定値以下になると前記第１通路５７を閉塞すると同時に
前記第２通路５８及び第３通路５９を開放し且つ前記吐
出室５１の圧力が前記所定設定値以上になると前記第１
通路５７を開放すると同時に前記第２通路５８及び第３
通路５９を閉塞する切換弁６１と、前記第２通路５８に
介装され且つ第２通路５８の断面積が前記第３通路５９
の断面積より小さくなる如く絞る絞り機構６２とからな
っている。

【０００５】この圧縮機では吐出室５１内の吐出室圧力
Ｐｄが所定設定値以上の状態（通常負荷状態）にある
時、切換弁６１は図６に示すように第２通路５８及び第
３通路５９を閉塞するとともに第１通路５７の第２連通
孔５７ｂを開放する位置に配置される。そして、吸入室
５４内の吸入圧力Ｐｓが所定設定値以下にあれば圧力制
御弁６０が第１通路５７の第１連通孔５７ａを閉塞する
状態となり、吸入室５４内の吸入圧力Ｐｓが所定設定値
以上になると圧力制御弁６０のベローズが縮小して第１
通路５７の第１連通孔５７ａを開放する状態となる。

【０００６】また、吐出室圧力Ｐｄが所定値以下に低下
した時（低負荷時）は切換弁６１により、第１通路５７
が遮断状態となり吐出室５１から第３通路５９を介して
クランク室５０内に流入する冷媒ガス量よりも、クラン
ク室５０から第２通路５８を介して吸入室５４へ流出す
る冷媒ガス量が少なくなる。従って、クランク室５０内
がある圧力に保持され揺動斜板がある傾斜角を保って作
動する。

【０００７】この圧縮機においては、負荷状態ではクラ
ンク室５０と吐出室５１とを連通する第３通路５９が閉
塞状態にあるため１００％運転時に吐出室５１からクラ
ンク室５０への冷媒ガスの流出はなく、冷房能力の低下
はない。しかし、１００％運転時以外の通常負荷状態で
も第３通路５９が閉塞状態にあるため、通常負荷状態に
おいて第３通路５９を通って吐出室５１からクランク室
５０への冷媒ガスの流出がない。そのため、クランク室
５０の圧力上昇はブローバイガスにのみ依存しているた
め、揺動斜板を小容量側へ早く移動させたい場合に応答
性が悪いという問題がある。

【０００８】そこで、本願出願人はこの問題を解決する
可変容量圧縮機として図９に示すような構造のものを先
に提案した。即ち、クランク室５０と吸入室５４とを連
通する抽気通路５５にクランク室５０から吸入室５４へ
の冷媒ガスの逃し量を調整する弁５６が設けられてい
る。前記クランク室５０と吐出室５１とを連通する給気
通路５２には固定絞り弁５３が設けられている。この固
定絞り弁５３より吐出室５１側には吐出室５１内の圧力
がクランク室５０内の圧力よりも所定圧以上高くなった
ときに給気通路５２を閉鎖する差圧弁６３が設けられて
いる。

【０００９】図１０に示すように、前記給気通路５２の
吐出室５１側には吐出室５１からクランク室５０に向か
って縮径するバルブシート６４ａを有する弁室６４が形
成されている。同弁室６４内にはボール６５とコイルス
プリング６６が収容され、前記差圧弁６３が構成されて
いる。

【００１０】そして、前記抽気通路５５に設けられた弁
５６が吸入室５４の圧力に応じて開放されると、クラン
ク室５０と吸入室５４との圧力差が少なくなって揺動斜
板の傾斜角、即ち駆動軸と直交する面と揺動斜板のなす
角度が大きくなるため、ピストンのストロークが増大す
るとともに、圧縮容量が増大する。また、１００％運転
を必要としない通常運転時には、吐出室５１の圧力が高
くないため、前記給気通路５２に設けられた差圧弁６３
が開放状態に保持され、即ちコイルスプリング６６の付
勢力によりボール６５がバルブシート６４ａから離間す
ることにより、吐出室５１内の冷媒ガスが給気通路５２
の固定絞り弁５３を通ってクランク室５０内に流入す
る。一方、吐出室５１内の圧力がクランク室５０内の圧
力よりも所定値以上高くなる高負荷時には吐出室５１の
圧力により差圧弁６３が給気通路５２を閉塞し、即ちコ
イルスプリング６６の付勢力に抗してボール６５がバル
ブシート６４ａに密着することにより、吐出室５１から
クランク室５０への冷媒ガスの流入が阻止される。

【００１１】以上のように、図１０の構成においては、
通常負荷時においてはクランク室５０と吐出室５１とが
連通状態にあるため、クランク室５０内の圧力上昇をブ
ローバイガスの外に吐出室５１の圧力を利用できる。従
って、揺動斜板を小容量側へ迅速に移動させることがで
き、応答性に優れる。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記構成に
おいて給気通路５２には固定絞り弁５３と差圧弁６３と
の間に中間圧部６７が形成され、この中間圧部６７の内
部圧力は吐出室５１内の圧力とクランク室５０内の圧力
との間の圧力を示す。そして、差圧弁６３の作動はクラ
ンク室５０内の圧力と吐出室５１内の圧力の差圧に応じ
て行われるのではなく、クランク室５０内の圧力より高
い中間圧部６７の圧力と吐出室５１内の圧力の差圧に応
じて行われる。そのため、高負荷時に吐出室５１内の圧
力がクランク室５０内の圧力よりも所定値だけ高くなっ
ても、差圧弁６３は閉鎖作動しない。これを防止するた
めには、ボール６５を開放方向に付勢するコイルスプリ
ング６６のばね力を弱くすればよい。しかし、このよう
にすると、クランク室５０内の圧力と吐出室５１内の圧
力との差が小さくなって、ボール６５が開放される必要
がある場合でも開放しないおそれがある。このように、
図１０の構成においては、差圧弁６３の開閉が所期のと
おり確実に行われず、容量制御を正常に行い得ないとい
う問題点があった。

【００１３】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であって、その目的は大きな冷房能力を必要とされる高
負荷時において吐出室からクランク室への冷媒ガスの流
出を抑えて冷房能力の低下を防止し、動力損失を抑える
ことができるとともに、容量変更時の応答性を良好に確
保し、かつ差圧弁の開閉を確実にした可変容量圧縮機を
提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明では、吸入室と吐出室とクランク室とを備え、ク
ランク室内に設けられた揺動斜板の駆動軸に対する傾斜
角がピストンの背面に作用するクランク室圧力とピスト
ンの前面に作用する吸入室圧力との差圧に応じて変更さ
れて圧縮容量を制御するようにした可変容量圧縮機にお
いて、クランク室と吸入室とを連通する抽気通路にクラ
ンク室から吸入室への冷媒ガスの逃し量を調整する弁を
設け、吐出室とクランク室とを連通する給気通路には吐
出室圧力Ｐｄ及びクランク室圧力Ｐｃの関係がＰｄ≫Ｐ
ｃとなる設定された差圧以上のときに給気通路を閉鎖す
る差圧弁を設け、同差圧弁の弁体には吐出室側からクラ
ンク室側への冷媒ガスの通過を許容する連通孔を形成す
るとともに、その連通孔の一部には絞り手段を設けた可
変容量圧縮機をその要旨としている。

【００１５】

【作用】クランク室と吸入室とを連通する抽気通路に設
けられた弁が吸入室の圧力に応じて開放されると、吸入
室とクランク室との圧力差が小さくなって、揺動斜板の
傾斜角が増大してピストンのストロークが増大し、圧縮
容量が増大する。また、１００％運転を必要としない通
常運転時には、吐出室とクランク室とを連通する給気通
路に設けられた差圧弁は開放状態に保持され、吐出室内
の冷媒ガスが差圧弁を介してクランク室内に流入する。
高負荷時には吐出室内の圧力がクランク室内の圧力に比
較して非常に大きくなって吐出室内の圧力とクランク室
内の圧力とが設定された差圧以上になると、差圧弁が給
気通路を閉塞する状態に保持され、吐出室からクランク
室へ冷媒ガスが流入するのが阻止される。

【００１６】このとき、絞り手段は給気通路内ではな
く、差圧弁自体に設けられているため、差圧弁と絞り手
段との間に中間圧部が形成されることはなく、差圧弁は
吐出室内の圧力とクランク室内の圧力との差圧によって
作動することとなる。従って、差圧弁は吐出室内の圧力
とクランク室内の圧力の変動に応じて円滑に作動する。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図１〜
図４に従って説明する。図１に示すようにシリンダブロ
ック１の前端面（図１の左端面）には内部にクランク室
２が形成されたフロントハウジング３が接合固定され、
後端面には吸入室４及び吐出室５が形成されたリヤハウ
ジング６がバルブプレート７を介して接合固定されてい
る。シリンダブロック１とフロントハウジング３との間
には駆動軸８が一対のラジアルベアリング９を介して回
転自在に支持され、該駆動軸８に一体回転可能に嵌着固
定された回転体１０には回転駆動板１１が連結ピン１２
を介して一体回転可能かつ傾動可能に取付けられてい
る。前記駆動軸８上にはスライダ１３が軸線方向へ摺動
可能に嵌挿され、スライダ１３の対称位置に突設された
一対のピン１４に対して前記回転駆動板１１がその支持
筒部１１ａにおいて傾動可能に支持されている。そし
て、回転駆動板１１の支持筒部１１ａには、揺動斜板１
５が相対回転可能かつ同期傾動可能に支持されている。
揺動斜板１５は前記シリンダブロック１に形成されたシ
リンダボア１ａ内に収容されたピストン１６に対してピ
ストンロッド１７を介して連結されると共に、フロント
ハウジング３に駆動軸８と平行に形成された案内溝１８
により回転が規制されている。

【００１８】前記回転体１０とフロントハウジング３の
内壁との間にはスラストベアリング１９が、駆動軸８の
後端部とバルブプレート７との間にはスラストベアリン
グ２０がそれぞれ配設されている。駆動軸８の前記スラ
イダ１３と前記回転体１０との間にはスライダ１３に作
用して揺動斜板１５の傾斜角を増大させる方向に付勢す
るコイルスプリング２１が嵌挿されている。また、駆動
軸８のスライダ１３より後部寄り所定位置には環状の支
持部材２２が嵌着固定されるとともにスライダ１３と支
持部材２２との間にコイルスプリング２３が嵌挿されて
いる。

【００１９】リヤハウジング６の外壁に形成された膨出
部には室２４が形成されている。室２４はシリンダブロ
ック１、バルブプレート７及びリヤハウジング６に形成
されるとともに、クランク室２と吸入室４とを連通する
抽気通路２５の途中に設けられている。この室２４内に
はクランク室２から吸入室４への冷媒ガスの逃し量を調
整する弁２６が収納されている。弁２６は吸入室４内の
吸入圧力Ｐｓを検知し、吸入圧力Ｐｓが所定設定値以上
になるとクランク室２内の冷媒ガスを吸入室４へ逃がし
てクランク室２内の圧力Ｐｃが減少するようになってい
る。

【００２０】また、シリンダブロック１及びバルブプレ
ート７には吐出室５とクランク室２とを連通する給気通
路２７が形成され、給気通路２７の吐出室寄りには差圧
弁２８が設けられている。即ち、図３に示すように、給
気通路２７の端部には吐出室５側からクランク室２側に
向かって縮径となる円錐台状部２９ａを有する弁室２９
が形成され、この弁室２９内にはスプール３０が摺動可
能に配設されている。このスプール３０は吐出室５側の
弁体３１とクランク室２側のボール３８とからなってい
る。弁体３１の段差部３３と前記弁室２９のクランク室
２側の端面との間にはコイルスプリング３４が介装さ
れ、前記スプール３０を吐出室５側へ付勢している。

【００２１】前記弁体３１内には弁室２９と吐出室５と
を連通する連通孔３５が貫設され、その吐出室５側は縮
径された（例えば直径が約0.3mm ）の絞り手段としての
オリフィス３６となっている。前記弁体３１のクランク
室２側端面は円錐部３７となり、この円錐部３７に前記
ボール３８が溶接固定されている。なお、Ｏリング４０
は弁体３１の外周面と弁室２９の内周壁との間のシール
性を保持するようになっている。

【００２２】そして、弁室２９内においてコイルスプリ
ング３４の付勢力により差圧弁２８は常には吐出室５側
に位置して前記ボール３８は円錐台状部２９ａから離間
した位置にある。従って、給気通路２７は弁室２９に連
通されるようになっている。一方、コイルスプリング３
４のばね力をＳｐとして、吐出室圧力Ｐｄ及びクランク
室圧力Ｐｃの関係がＰｄ≫Ｐｃかつ（Ｐｄ−Ｐｃ）≧Ｓ
ｐの条件が満たされたときには、図４に示すように、コ
イルスプリング３４の付勢力に抗して差圧弁２８はクラ
ンク室２側に移動してボール３８が円錐台状部２９ａに
密着することにより給気通路２７が閉鎖されるようにな
っている。

【００２３】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。圧縮機が運転されると、駆動軸８の回転に伴
い回転駆動板１１が駆動軸８と一体的に回転する。一
方、揺動斜板１５は案内溝１８との係合により回転が規
制されるため、回転駆動板１１の回転に伴い揺動斜板１
５が回転駆動板１１と共に揺動し、ピストンロッド１７
を介してピストン１６が往復動されて冷媒ガスの圧縮動
作が行われる。又、クランク室２内の圧力が弁２６によ
り制御され、クランク室圧力Ｐｃと吸入圧力Ｐｓとの差
圧に応じて揺動斜板１５の傾斜角が変化してピストン１
６のストロークすなわち圧縮容量が変更される。

【００２４】吐出室圧力Ｐｄがそれほど大きくない通常
運転時には、給気通路２７の途中に設けられた差圧弁２
８のコイルスプリング３４の付勢力が吐出室圧力Ｐｄと
クランク室圧力Ｐｃとの差（Ｐｄ−Ｐｃ）より大きいた
め、図３に示すようにボール３８が弁室２９の円錐台状
部２９ａから離間した位置に配置され、差圧弁２８が開
放状態に保持される。この状態では吐出室５の冷媒ガス
がオリフィス３６、連通孔３５、給気通路２７を介して
クランク室２へ常時流入するため、ブローバイガスのみ
を利用する場合と異なり、前記抽気通路２５に設けられ
た弁２６の作動によりクランク室圧力Ｐｃと吸入圧力Ｐ
ｓとの差を変更して揺動斜板１５の傾斜角すなわち圧縮
機の容量を変更する場合の応答性が向上する。

【００２５】一方、吐出室圧力Ｐｄ及びクランク室圧力
Ｐｃの関係がＰｄ≫Ｐｃ（例えばＰｄ＝２０ｋｇ／ｃｍ
² 、Ｐｃ＝３ｋｇ／ｃｍ² ）の場合は、（Ｐｄ−Ｐｃ）
の値がコイルスプリング３４の付勢力より大きくなる。
そのため、図４に示すように、スプール３０がコイルス
プリング３４の付勢力に抗してクランク室２側に移動さ
れ、ボール３８が円錐台状部２９ａに密着した状態に保
持されて差圧弁２８が閉塞状態となる。従って、吐出室
５内の冷媒ガスが給気通路２７を介してクランク室２へ
流出するのが阻止され、冷房能力の低下が防止される。
そして、吐出室圧力Ｐｄが前記のように大きくなる場合
は、高負荷時で容量１００％運転を必要とする状態であ
るため容量変更は不要となり、クランク室圧力Ｐｃを上
昇させる必要がないため、吐出室５内の冷媒ガスが給気
通路２７からクランク室２へ供給されなくても支障はな
い。

【００２６】この圧縮機においては、オリフィス３６は
差圧弁２８自体に設けられているため、従来のように給
気通路に設けられた固定絞り弁の抵抗などによる吐出室
圧力Ｐｄとクランク室圧力Ｐｃとの中間圧は生じない。
その結果、差圧弁２８は吐出室圧力Ｐｄとクランク室圧
力Ｐｃとの差圧に基づいて直接的に作動することとな
り、両者の圧力変動に追従して確実に作動する。従っ
て、差圧弁２８が開閉される条件はコイルスプリング３
４のばね定数により設定され、所望の条件に対応して差
圧弁２８を確実に開閉動作させることができる。

【００２７】そして、前述のように給気通路２７内に中
間圧部が形成されず、差圧弁２８がクランク室２内の圧
力と吐出室５内の圧力との差に応じて確実に閉鎖動作す
るので、コイルスプリング３４としてばね力の弱いもの
を使用する必要がない。従って、クランク室２内の圧力
と吐出室５内の圧力との差が小さくなった場合、コイル
スプリング３４のばね力により差圧弁２８を確実に開閉
動作させることができる。

【００２８】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、例えば次のような態様で具体化してもよ
い。 （イ）図５に示すように、差圧弁２８におけるボール３
８を省略するとともに、弁体３１のクランク室２側を前
記円錐台状部２９ａと対応する円錐台面４１とするこ
と。なお、前記オリフィス３６は筒状の絞り部材４３の
圧入により形成される。 （ロ）図６に示すように、前記円錐台状部２９ａに代え
てこの部分を平坦面２９ｂとするとともに、弁体３１の
クランク室２側を平坦面４２とすること。この場合、両
平坦面２９ｂ，４２が密着して離間不能となるおそれを
防止するために、両平坦面２９ｂ，４２を粗状にしたり
する工夫を加えてもよい。なお、この場合もオリフィス
３６は筒状の絞り部材４３の圧入により形成される。 （ハ）この発明を揺動斜板により容量が変更される構成
で、前記実施例とは異なる構成の圧縮機に具体化するこ
と。 （ニ）前記実施例ではオリフィス３６を連通孔３５の吐
出室５側の端部に設けたが、クランク室２側の端部に設
けること。

【００２９】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、差
圧弁を設けるのみの簡単な構成で大きな冷房能力を必要
とされる高負荷時において吐出室からクランク室への冷
媒ガスの流出を抑えて冷房能力の低下を防止でき、かつ
動力損失を抑えることができるとともに、容量変更時の
応答性を良好に確保し、しかも差圧弁の開閉を確実にで
きるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具体化した一実施例の揺動斜板式圧縮
機を示す断面図である。

【図２】吸入室、クランク室、吐出室、抽気通路、給気
通路及び各弁の関係を示す模式図である。

【図３】差圧弁が開いた状態を示す部分断面図である。

【図４】差圧弁が閉じた状態を示す部分断面図である。

【図５】本発明の別例を示す部分断面図である。

【図６】本発明のさらに別の例を示す部分断面図であ
る。

【図７】従来装置を示す模式図である。

【図８】別の従来装置の要部断面図である。

【図９】さらに別の従来装置を示す模式図である。

【図１０】図９の装置の要部断面図である。

【符号の説明】

２…クランク室、４…吸入室、５…吐出室、８…駆動
軸、１５…揺動斜板、１６…ピストン、２５…抽気通
路、２６…弁、２７…給気通路、２８…差圧弁、３１…
弁体、３５…連通孔、３６…絞り手段としてのオリフィ
ス、Ｐｃ…クランク室圧力、Ｐｄ…吐出室圧力。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸入室と吐出室とクランク室とを備え、
   クランク室内に設けられた揺動斜板の駆動軸に対する傾
   斜角がピストンの背面に作用するクランク室圧力とピス
   トンの前面に作用する吸入室圧力との差圧に応じて変更
   されて圧縮容量を制御するようにした可変容量圧縮機に
   おいて、 クランク室と吸入室とを連通する抽気通路にクランク室
   から吸入室への冷媒ガスの逃し量を調整する弁を設け、
   吐出室とクランク室とを連通する給気通路には吐出室圧
   力Ｐｄ及びクランク室圧力Ｐｃの関係がＰｄ≫Ｐｃとな
   る設定された差圧以上のときに給気通路を閉鎖する差圧
   弁を設け、同差圧弁の弁体には吐出室側からクランク室
   側への冷媒ガスの通過を許容する連通孔を形成するとと
   もに、その連通孔の一部には絞り手段を設けた可変容量
   圧縮機。