JPH0510077Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はトンネルの止水シート、特に不織布が
貼られたトンネル覆工用の複層型止水シートに関
する。

従来技術 一般にトンネル覆工用の止水シートは、トンネ
ル地山の凹凸に対応するよう、それに見合う広い
目のものを採用し、その広い分、弛ませるように
して一次覆工面に張られるのが実際である。かく
て、二次覆工コンクリートを打設すると、コンク
リート打設が下方から進むため、止水シートが打
設コンクリートで下方へ引つ張られて、弛みがな
くなる。弛みが消去されても、止水シートが不織
布の張られていないもの、つまり単層体であれ
ば、その柔軟性の下、進行する二次覆工コンクリ
ートの打設圧により、地山の凹凸になじんで一次
覆工面に押付けられる。しかし、防水シート単層
体だけの場合は、シートが一次覆工面に押付けら
れれば押付けられる程、地山からの湧水を排水す
るための空間が減少し、湧水を効果的に排水管ま
で導くことができない。

これに対し、不織布が張られた複層型止水シー
トは不織布をトンネルの一次覆工面側にして、一
次覆工面に張ると、複層型止水シートの防水シー
トによる漏水処理工が一次覆工面に施されると同
時に、防水シート背面に不織による透水空隙が形
成されるので、地山からの湧水を止水シートに沿
つて排水管まで有効に導くことができる。

不織布によるシートは、織物などを防水シート
に貼つたものに比べて、シート内の透水空間（空
隙率）が大きく、また繊維量に比して一般に織物
などより厚みが大きいため、防水シートが一次覆
工面の突起により破損することを防ぐ保護層とし
ての役割の効果も大きいので、複合材料としては
最も有用である。

しかし、不織布が貼られた複層型止水シートそ
れ自体は、単層型止水シート程の柔軟性は無く、
二次覆工コンクリートの打設圧で、単層型止水シ
ートのように地山の凹凸になじんで一次覆工面に
うまく押付けられる保証はない。

前述したように従来、不織布が貼られた複層型
止水シートにつき、トンネル地山の凹凸に対する
なじみ性を単層型止水シートのそれに近いものに
良化し、二次覆工コンクリートの打設圧による、
複層型止水シートの一次覆工面への押付けを良化
することは体現されていない。これがなされない
と、不織布貼りの複層型止水シートが地山の凹部
相当個所の一次覆工面より浮くことがあり、二次
覆工コンクリートが当該凹部に十分に填充される
保証はない。填充が不良な二次覆工コンクリート
は、十分な強度が確保されず、好ましくない。

考案が解決しようとする課題 解決しようとする課題点は、上記従来技術によ
る前示問題点である。

即ち、本考案の目的は、不織布が貼られた複層
型止水シートをして、トンネル地山の凹凸に対す
るなじみ性を単層型止水シートのそれに近いもの
に良化し、二次覆工コンクリートの打設圧による
止水シートの一次覆工面への押付けを良化せしめ
るという、従来で欠如する技術的課題を解決する
にある。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本考案は防水シー
トとこれに点的接着下に貼られた不織布とによる
トンネル覆工用の複層型止水シートにおいて、そ
れの側縁と平行に延在して或いは間隔を隔てて中
間止め片が、前記不織布のみについてその中央領
域部に取付けられていることを特徴とする。

上記中間止め片を不織布のみに取付ける理由
は、一次覆工面への止水シート取付け後、二次覆
工コンクリート打設時に止水シートが打設コンク
リートの重みで下方へ引つ張られる際、当該引つ
張り力により防水シートの破損が生じるのを防ぐ
ためである。

実施例 次に本考案の実施態様例を示す添付図面を参照
して本考案を説明する 図で１が止水シートであり、防水シート１には
不織布２が点的接着下に貼られている。防水シー
ト１は熱溶着性のものが適用されている。防水シ
ート１の両側縁部Ａ，Ａは、不織布２と遊離した
熱溶着用部、不織布２の防水シート１と遊離した
両側縁部２１，２１は、釘Ｐ止め用部である。

上記防水シート１とこれに点的接着下に貼られ
た不織布２との複合型止水シートＳには、中間止
め片３が該シートＳの側縁と平行に延在して不織
布２の中央領域に取付けられている。中間止め片
３は、第１図に示されるような所定方向沿いに一
連に延びる帯状のものを有利に適用できる。中間
止め片は、シートｓの側縁と平行に一連に延在す
るのではなく、間隔を隔てて並ぶものも有利に適
用できる。不織布２に対する中間止め片３の取付
けは、図面に示されているように、不織布２につ
いてのみであり、防水シート１も含めてではな
い。中間止め片３を不織布２に取付けるには縫着
により行えばよい。

作 用 複層型止水シートｓは、不織布２をトンネル一
次覆工ｃ面側にして、不織布の側縁部２１，２１
を釘ｐ止めする、及びトンネル円周方向に延べ広
げるという仕様で、一次覆工ｃ面に張られる。二
枚の複層型止水シートｓ，ｓの隣り合う側端部
Ａ，Ａは熱溶着される。

複層型止水シートｓの上記張設に当つて、中間
止め片３は複層型止水シートｓ片側の側縁部２１
を一次覆工ｃ面に釘止めした後、残る側縁部２２
を該面に釘止めする前に、該止め片３で以て、複
層型止水シートｓ中間部領域を一次覆工ｃ面に釘
ｐ止め固定するのに充当すればよい。

一次覆工ｃ面に対する複層型止水シートｓの張
設及び防水シート１の溶着についての施工要領
は、概略、第３図から第６図に示す順序の如くで
ある。

こうして、複層型止水シートｓによる止水工、
及びその複層型止水シートにおける不織布２によ
る透水空隙が一次覆工面に施される。

上記のように、本考案に係る複層型止水シート
は、それの側縁と平行に延在して或いは間隔を隔
てて中間止め片３が不織布２に対してのみその中
央領域部に取付けられ、該不織布２が防水シート
１に点的接着下に貼られた構成を有する。この構
成は、複層型止水シートｓを上記のようにトンネ
ル一次覆工面へ張つた後、これに二次覆工コンク
リートを打設すると、その打設コンクリートの重
みで防水シート１が下方へ引つ張られて、防水シ
ート１の中間止め片３相当個所が不織布２より剥
れ、トンネル地山の凹凸に対する防水シート１の
なじみ性を少なくとも中間領域部において、単層
型止水シートのそれと同等に良化することをもた
らす。

なお、中間止め片が不織布だけでなく防水シー
トにまで取付けられていると、止水シートが打設
コンクリートの重みで下方へ引つ張られる際、当
該引つ張り力により防水シートが破損するおそれ
があり、好ましくない。

考案の効果 即ち、本考案の複層型止水シートによれば、不
織布に取付けられた中間止め片と、防水シートと
不織布との点的接着との相互作用によつて、不織
布が貼られた止水シートをして、トンネル地山の
凹凸に対するなじみ性を、単層型止水シートのそ
れに近いものに良化し、二次覆工コンクリートの
打設圧による、複層型止水シートの一次覆工面へ
の押付けを良化せしめることができる。しかも、
これを不織布貼りの複層型止水シートの、不織布
による透水空隙及び防水シートでの止水工を一次
覆工面に同時形成し得ることの有用性を生かした
形で奏功することが保証される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る複層型止水シートの好適
な一実施例を示す平面図、第２図は第１図〜
線断面図、第３図から第６図は、一次覆工面に対
する本考案複層型止水シートの張設要領の概略を
施工工程順に示す断面図である。 １……防水シート、２……不織布、３……中間
止め片、ｃ……一次覆工、ｓ……複層型止水シー
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 防水シートとこれに点的接着下に貼られた不織
   布とによるトンネル覆工用の複層型止水シートで
   あつて、それの側縁と平行に延在して或いは間隔
   を隔てて中間止め片が前記不織布のみについてそ
   の中央領域部に取付けられていることを特徴とす
   るトンネル覆工用の複層型止水シート。