JPH0453397Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、枠組足場において用いる布枠、特
に床の段差部や傾斜部に対して用いて有効な布枠
に関するものである。

「従来の技術」 周知のように、建築工事において足場を設ける
場合には枠組足場が広く用いられている。枠組足
場は、フレーム状の建枠間に作業通路となる布枠
を水平に架け渡すようにしたものであり、それら
のフレーム、布枠には一定の規格寸法が定められ
ている。

ところで、従来、枠組足場を階段室に設ける場
合には、第８図に示すように、建枠ａを階段の踏
面に立てて、これらに布枠ｂを斜めに取り付ける
とともに、踊場にも建枠ｃを立てて、ここには水
平に布枠ｄを取り付けるようにしている。そし
て、階段上に設けた足場の布枠ｂと、踊場に設け
た足場の布枠ｄとの間には隙間が生じるとともに
段差が生じることが多いので、その場合、両布枠
ｂ，ｄ間に足場板ｅ等を架け渡して針金等で固定
し、隙間を塞いで通路を確保するようにしてい
る。

「考案が解決しようとする問題点」 ところが、上記のように階段と踊場との間に足
場板ｅ等を載置して固定することは、手間がかか
つて面倒であるばかりでなく、強固に固定するこ
とが難しく不安定な状態になりがちで、また、第
８図に示すように、布枠ｂ，ｄ上に足場板ｅの端
部が突出して作業通路に大きな段差が生じてしま
うことがあつて作業員がつまずく恐れがあるとい
う、安全管理上の問題もあつた。

このことは、階段室における場合に限らず、布
枠の傾斜部や段差部において共通に生じている問
題である。

この考案は、上記の事情に鑑みてなされたもの
で、床の段差部や傾斜部においても、容易に組み
立て、解体を行うことができるとともに、安全な
通路を確保することのできる布枠を提供すること
を目的とする。

「問題点を解決するための手段」 この考案は、それぞれ平面視矩形の二つの床板
の側縁部同士を対向させた状態で、これら床板を
相対回動可能に連結し、上記二つの床板の一方に
は、他方の床板が連結された側縁部の反対側の側
縁部に、建枠を把持可能なフツクを取り付けてな
ることを特徴としている。

「実施例」 以下、この考案の実施例について第１図ないし
第７図を参照して説明する。

第１図および第２図は、この実施例の布枠Ａの
概略構成を示す図であつて、図中符号１，２はそ
れぞれ床板である。床板１は、枠組足場における
従来の布枠と同様の材料によつて曲げ加工されて
形成されており、その上面を作業員が歩行可能な
ように充分な剛性を有しているものである。ま
た、床板２は、チエツカープレート等の鋼板を曲
げ加工して形成され、この床板２も充分な剛性を
有している。

これら床板１，２は、それらの側縁部１ａ，２
ａ同士を互いに対向させた状態で、ピン３……に
より相対回動自在に連結されている。第２図中の
二点鎖線は、床板１に対して床板２が回動した状
態を示している。

また、床板１の、床板２が連結された側縁部１
ａの反対側の側縁部１ｂには、二つのフツク４，
４が取り付けられている。このフツク４，４は、
建枠の水平部を把持できるもので、従来の布枠に
取り付けられているフツクと同一規格のものを用
いる。なお、この布枠Ａの幅寸法（図中Ｗで示
す）は従来の布枠の規格幅寸法と同一とすること
が望ましい。

次に、以上のように構成された布枠Ａの使用方
法について、第３図ないし第７図を参照して説明
する。（なお、これらの図では、建枠を簡略化し
て示しており、また、建枠を固定するためのブレ
ース等の部材の図示は省略している。） まず、第３図ないし第６図は、建築物の外壁コ
ーナー部等において、それぞれ建枠５，５および
建枠６，６に取り付けられて互いに直交する方向
に延び、それらの間に隙間かつ段差を有して配置
されている布枠Ｂ，Ｃ（従来の規格型の布枠）間
に、上記の布枠Ａを取り付けた場合の例を示すも
のである。

この場合、第５図および第６図に示すような横
架部材７を用意する。この横架部材７は、従来の
建枠の水平部と同径の鋼管７ａの両端部にフツク
７ｂ，７ｂを取り付けてなるもので、この横架部
材７の長さは従来の布枠の規格寸法長と同一と
し、また、フツク７ｂの形状は従来の布枠に取り
付けられているフツクと同一規格のもの（したが
つて、布枠Ａのフツク４とも同一のもの）を用い
る。

この横架部材７を、布枠Ｂが架け渡されている
建枠５，５の水平部５ａ，５ａ間に横架する。そ
して、この横架部材７に、布枠Ａのフツク４を架
けて固定するとともに、布枠Ａの床板２を布枠Ｃ
上に載置する。

これにより、布枠Ｂ，Ｃ間の隙間および段差の
状況に応じて、床板１，２が所定の角度をなすよ
うに回動し、その隙間および段差は布枠Ａにより
解消されてほぼ滑らかに連続する作業通路を確保
することがてきる。しかも、この布枠Ａは、フツ
ク４により従来の布枠と同様に、簡単にかつ強固
に、横架部材７を介して建枠５，５に固定するこ
とができるから、組み立ておよび解体が極めて容
易であり、さらに、繰り返し使用できるので経済
的でもある。

なお、布枠Ａの傾斜している床板１の上面にア
ングル８を取り付ければ、スリツプの防止を図る
ことができる。

次に第７図は、布枠Ｃが階段上に傾斜して設け
られており、この布枠Ｃと、踊場に設けられてい
る布枠Ｂとの間に、上記の布枠Ａを設けた場合の
例を示す。この場合も上記の横架部材７を建枠５
の水平部５ａ間に架け渡し、この横架部材７に布
枠Ａのフツク４を架けて固定し、布枠Ａの床板１
の下面を建枠６の水平部６ａ上に載置する。これ
により、布枠Ａの床板２は下方に回動してその端
部は傾斜している布枠Ｃに接し、布枠Ｂ，Ｃ間に
ほぼ滑らかに連続する通路が確保できる。

なお、上記の使用例では、いずれも横架部材７
を用いてこれに布枠Ａを取り付けることとした
が、これに限らず、建枠の水平部に直接取り付け
て用いることも、勿論可能である。

「考案の効果」 以上詳細に説明したように、この考案によれば
二つの床板を相対回動可能に連結し、上記二つの
床板の一方には、建枠を把持可能なフツクを取り
付けた構成としたので、二つの床板が足場の段差
部や傾斜部の状況に対応して所定の角度をなし、
ほぼ滑らかに連続する作業通路を確保することが
でき、また、簡単にかつ強固に建枠に取り付ける
ことができる。したがつて、安全性および作業性
に優れた足場を得ることができるという効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第７図は、この考案の実施例を示
す図である。第１図および第２図はこの実施例の
布枠の概略構成を示す図であつて、第１図は平面
図、第２図は側面図である。第３図ないし第７図
はこの布枠の使用方法を説明するための図であつ
て、第３図はこの布枠を足場の段差部に設けた場
合の斜視図、第４図はその立面図、第５図および
第６図はこの使用方法において用いる横架部材を
示し、第５図は部分側面図、第６図は部分平面図
である。第７図はこの布枠を足場の傾斜部に設け
た場合の使用方法を示す立面図である。第８図は
足場の傾斜部における従来の枠組足場の使用方法
を示す立面図である。 Ａ……布枠、１，２……床板、１ａ，２ａ……
側縁部、４……フツク、５……建枠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建築工事において用いられる枠組足場の、床の
   段差部あるいは傾斜部において建枠に取り付けて
   用いる布枠であつて、それぞれ平面視矩形の二つ
   の床板の側縁部同士を対向させた状態で、これら
   床板を相対回動可能に連結し、上記二つの床板の
   一方には、他方の床板が連結された側縁部の反対
   側の側縁部に、上記建枠を把持可能なフツクを取
   り付けてなることを特徴とする枠組足場用布枠。