JPH0451342Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【産業上の利用分野】 本考案は、恒温庫におけるブライン冷却装置に
関し、特に、ブラインと冷却器との熱交換を高効
率で行い、安定した庫内恒温状態及び冷凍部の省
エネルギー効果を得るための新規な改良に関する
ものである。

【従来の技術】

従来、ブライン冷却装置としては、種々の構成
のものが提案され、採用されているが、その中の
代表的なブライン冷却装置について、平面で示す
第５図及び断面で示す第６図を参照して説明す
る。 第５図及び第６図において、符号１で示される
ものは、断熱材が充填された箱形構造の冷却用ブ
ラインタンクであり、この冷却用ブラインタンク
１の底部１ａ上には、蛇管からなる冷却器２を保
持するための３枚の遮蔽板３が所定の間隔で垂設
されている。 各遮蔽板３は、基端がブラインタンク１の一側
に取着され、先端３ａがブラインタンク１の他側
に向かつて延びその手前で終端していて、上記先
端３ａと冷却用ブラインタンク１の内壁１ｂとの
間には、間〓４がある。 更に、冷却用ブラインタンク１の上端部１ｃ上
には、ブライン吐出管５が配設されると共に、そ
の底部１ａの近傍位置には、ブライン吸込管６の
吸込口が開口している。 また、ブライン吸込管６の吸込口の近傍には、
ブライン温度検知部７が設けられ、ブライン吸込
管６に吸入されるブライン８の温度を検出するよ
うになつている。 冷却器２には、圧縮機（図示せず）からの冷媒
が循環供給される。ブライン吐出管５からブライ
ンタンク１にブライン８を供給し、ブライン吸込
管６からブライン８を吸い込むことにより、冷却
器２により冷却されたブライン８の循環が行われ
るが、その際、ブライン８は、第５図に破線で示
すように、各遮蔽板３の先端３ａと内壁１ｂとの
間に形成された〓間４を流過し、平面的にみて蛇
行状態でブラインタンク１内を流れながら、冷却
器２の直線部２ａに対してほぼ直交状態で流過す
ることによつて、冷却器２と熱交換を行う。

【考案が解決しようとする課題】

従来の恒温庫におけるブライン冷却装置は、以
上のように構成されているため、ブラインの流路
が蛇行状態となり、ブラインが流れる距離が極め
て長くなるので、特にブライン流路の下流側で
は、流速が弱くなると共に、直交する冷却器との
熱交換率が悪くなつていた。 また、遮蔽板３の基端と冷却用ブラインタンク
１の内壁１ｂとによつて画成される角部９におい
ては、ブライン８の滞留が発生し易く、この滞留
が発生すると、冷却用ブラインタンク１の各角部
９とブライン８が順調に流れる部分との間に温度
のバラツキが生じ、庫内の温度に大きく影響を与
えていた。 更に、前述のようにタンク内のブライン８が部
分的に温度差を有すると、ブライン温度検知部７
による温度検知データも不安定なものとなるの
で、この温度検知データに基づいて制御される冷
凍部の正確な制御ができなくなるため、省エネル
ギ化にも逆行すると共に、ブライン８の温度は
益々不安な状態となり、庫内の温度も前述と同様
に、極めて不安定となつていた。 従つて、本考案の目的は、ブラインと冷却器と
の熱交換を高効率で行い、安定した庫内恒温状態
及び冷凍部の省エネルギ効果を得るようにした恒
温庫におけるブライン冷却装置を提供することで
ある。

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成するため、本考案によるブラ
イン冷却装置は、熱媒体としてのブラインが通流
する熱交換器を恒温室内に有する恒温庫におい
て、前記ブラインを収容した冷却用ブラインタン
クと、該ブラインタンク内に、同ブラインタンク
の内壁から離間して配設され、環状空間部を前記
ブラインタンクと協働して画成する良熱伝導性の
金属からなる遮蔽枠と、該遮蔽枠の外周に同遮蔽
枠と接触状態で配設され、圧縮機に接続された冷
却器と、前記遮蔽枠内に開口する吸込口を有して
前記熱交換器に流体連通するよう接続されたブラ
イン吸込管と、前記熱交換器からの熱交換後のブ
ラインを前記環状空間部内に吐き出す吐出口を有
するブライン吐出管とを備え、前記遮蔽枠には、
前記環状空間部と前記遮蔽枠内とを流体連通させ
るブライン通過路が形成され、前記ブライン吐出
管は、その吐出口から前記環状空間部内に吐き出
されるブラインを前記遮蔽枠の外周に沿つて流れ
させるように、方向付けられているものである。

【作用】

本考案による恒温庫におけるブライン冷却装置
においては、ブライン吐出管は、その吐出口から
環状空間部内に吐き出されるブラインを遮蔽枠の
外周に沿つて流れさせるように、方向付けられて
いるので、恒温室即ち庫内の熱交換器を経由し吐
き出されたブラインは、環状空間部内を流速がそ
れほど低下せずに且つ滞留することなく循環す
る。 しかも、冷却器は良熱伝導性の金属からなる遮
蔽枠に接触状態で設けられているため、ブライン
は上述のように循環しながら、遮蔽枠を囲撓する
冷却器内の冷媒と効果的に熱交換して、冷却され
る。 一方、遮蔽枠にはブライン通過路が形成されて
いるため、冷却されたブラインは、上記ブライン
通過路から遮蔽枠内に入り、そして同遮蔽枠内に
開口する吸込口を有するブライン吸込管を介して
庫内の熱交換器に導出される。 従つて、ブラインと冷却器との間には、極めて
高効率の状態で熱交換が行われ、常にほぼ所定温
度に冷却されたブラインが、ブライン吸込管から
庫内の熱交換器に供給され、庫内を常に恒温状態
に保つ。

【実施例】

以下、図面と共に本考案による恒温庫における
ブライン冷却装置の好適な実施例について詳細に
説明する。尚、従来例と同一又は同等部分につい
ては、同一符号を用いて説明する。 第１図から第４図は、本考案の好適な実施例に
関する図で、第１図及び第２図は冷却用ブライン
タンクを示し、第３図は冷却系統図を示し、第４
図は恒温庫の全体構成を示している。 まず、第１図及び第２図において、符号１で示
されるものは、断熱材が充填された箱形構造の冷
却用ブラインタンクであり、この冷却用ブライン
タンク１内の底部１ａ上には、熱伝導性の良い適
宜の金属からなる上下端開放の角筒状の遮蔽枠１
０が設けられている。この遮蔽枠１０は、その下
端に形成されたフランジ状の取付部１０ａにおい
て、取付ビス１１により底部１ａに固定されてい
る。 遮蔽枠１０の外周には、多段状に巻回して冷却
器２が接触状態で配設されている。即ち、この冷
却器２は、その一部の内面を遮蔽枠１０の一部の
外面と溶接又は接着等の手段で接続することによ
り、遮蔽枠１０と一体状に形成されている。 遮蔽枠１０の下方部位には、ブライン通過孔
（路）１２が形成されている。また、冷却用ブラ
インタンク１の上方には、ブライン吐出管５が設
けられており、このブライン吐出管５の吐出口の
配設位置及び向きは、第２図に示すように、平面
的にみて、冷却器２の外側位置即ち該冷却器２の
外面２ａと冷却用ブラインタンク１の内壁１ｂと
の間に形成された空間部１ｃ内にあり、吐き出さ
れたブラインを空間部１ｃに沿つて循環させるよ
うになつている。 冷却用ブラインタンク１の底部１ａには、ブラ
イン吸込管６が横Ｌ字状に配設されている。この
ブライン吸込管６の吸込口６ａは、ブライン通過
孔１２よりも相対的に上方部位に、即ち実施例で
は遮蔽枠１０内のほぼ中央に位置決めされると共
に、吸込口６ａの上方には、サーミスタ等からな
るブライン温度検知部７が配設されている。 前述のように構成された冷却用ブラインタンク
１において、冷却器２は、第３図に示すように圧
縮機１３に接続され、また、ブライン８は、ブラ
イン吸込管６に設けられたブライン循環ポンプ１
４及び熱交換器１５を経てブライン吐出管５に導
かれており、熱交換器１５へ連続的に循環するよ
うになつている。 第４図は、前述の冷却用ブラインタンク１等を
装着した恒温庫を示すものである。断熱材が充填
された壁体により画成された恒温室１９を有する
本体ケース１６の前部側に形成された開口部１７
には、複数個の開閉扉１８が設けられ、恒温室１
９の後部側には、冷却ダクト２０が配設されてい
る。 この冷却ダクト２０の上方にある天板２１の下
側には、排水皿２２を介して前記熱交換器１５が
設けられ、また、天板２１の上側には、前述の冷
却用ブラインタンク１及び圧縮機１３等が設けら
れている。 更に、熱交換器１５の近傍には、庫内フアン２
３が設けられると共に、前記排水皿２２は、本体
ケース１６の後壁２４に設けられた排水管２５に
連通している。 本考案による恒温庫におけるブライン冷却装置
は、前述したように構成されており、以下に、そ
の動作について説明する。 冷却用ブラインタンク１内のブライン８の温度
は、ブライン温度検知部７によつて検知され、該
検知温度に基づいて圧縮機１３の作動を制御する
ことにより、冷却器２との熱交換によつてほぼ一
定の温度に冷却維持される。 このようにして一定の温度に冷却されたブライ
ン８は、ブライン循環ポンプ１４を作動させるこ
とにより、ブライン吸入管６から熱交換器１５を
経て、ブライン吐出管５を介して冷却用ブライン
タンク１の空間部１ｃ内に循環供給される。 従つて、恒温室１９内の熱交換器１５には、常
時ほぼ一定の温度のブライン８が供給されるた
め、庫内フアン２３によつてブラインとの熱交換
を促進された恒温室１９内の冷気は一定の温度と
なり、恒温室１９を恒温状態に維持することがで
きる。 また、前述の冷却用ブラインタンク１内に供給
されるブライン８は、第１図及び第２図に示され
るように、まず、ブライン吐出管５から遮蔽枠１
０の外側の空間部１ｃに吐出され、この空間部１
ｃに沿つて、点線で示される経路で冷却器２を周
回し、冷却器２と十分に熱交換をした後、遮蔽枠
１０の下方部位に形成されたブライン通過孔１２
を経て遮蔽枠１０内に入り、ブライン吸入管６の
吸込口６ａから吸入されて、熱交換器１５に供給
される。 従つて、ブライン吐出管５から吐出されたブラ
イン８は、吐出された時の速度からそれほど減速
されずに冷却器２及び遮蔽枠１０に沿つて流れな
がら、冷媒が通流する冷却器２と、熱伝導性の良
い遮蔽枠１０の壁面とを介して熱交換を行うた
め、極めて効率よくブライン８を冷却させること
ができる。 また、ブライン８は、速い流速で冷却器２及び
遮蔽枠１０の外側を周回するため、ブライン８の
滞留は発生せず、しかも熱伝導性の良い金属から
なる遮蔽枠１０の内壁面を介してもブライン８を
冷却することができるので、熱交換器１５に供給
されるブライン８の温度を一定に保つことができ
る。 更に、ブライン吸込管６の吸込口６ａの上方に
ブライン温度検知部７が配設されているため、バ
ラツキのないブライン８の温度検知ができ、この
ブライン温度検知部７の検知データに基づいて圧
縮機１３の作動が制御されるため、ブライン８の
温度が正確に維持される。 尚、前述のブライン吸込管６は一例を示したも
のであり、若干形状を変更した場合についても前
述と同様の作用効果が得られることは、述べるま
でもない。

【考案の効果】

(1) 冷却用ブラインタンク内のブラインが冷却器
及び熱伝導性の良い金属からなる遮蔽枠に沿つ
て滞留することなく流れ、極めて高効率の熱交
換が行われるため、ブラインの温度を所定の設
定温度に確実に維持することができる。 (2) 第１項の効果により、熱交換器の温度を一定
とすることができるため、庫内温度を一定とす
ることができ、生鮮食品類の鮮度維持管理が容
易となる。 また、本考案の好適な実施例によれば、ブライ
ン温度検知部がブライン吸込管の吸込口近傍に配
設されているため、滞留を拌わないブラインの流
過状態の温度を検知することができ、正確なブラ
イン温度の維持ができる。そのため、ブライン温
度検知部によつてその作動が制御されている圧縮
機の運転率が低くなり、省エネルギ効果を得るこ
ともできる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は、本考案による恒温庫におけ
るブライン冷却装置を示すためのもので、第１図
は、ブライン冷却装置の側断面図、第２図は、第
１図の平面図、第３図は、第１図及び第２図に示
したブラインタンク内のブラインの循環冷却系を
示す概要図、第４図は、第１図のブライン冷却装
置を装着した恒温庫を示す側断面図、第５図及び
第６図は、従来のブライン冷却装置を示すための
もので、第５図は、その平面図、第６図は、第５
図のＡ−A′線による断面図である。 １……冷却用ブラインタンク、１ｃ……環状空
間部、２……冷却器、５……ブライン吐出管、６
……ブライン吸込管、６ａ……吸込口、８……ブ
ライン、１０……遮蔽枠、１２……ブライン通過
孔（路）、１３……圧縮機、１５……熱交換器、
１９……恒温室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱媒体としてのブライン８が通流する熱交換器
   １５を恒温室１９内に有する恒温庫において、前
   記ブライン８を収容した冷却用ブラインタンク１
   と、該ブラインタンク１内に、同ブラインタンク
   １の内壁から離間して配設され、環状空間部１ｃ
   を同ブラインタンク１と協働して画成する良熱伝
   導性金属からなる遮蔽枠１０と、該遮蔽枠１０の
   外周に接触状態で巻回され、圧縮機１３に接続さ
   れた冷却器２と、前記遮蔽枠１０内に開口する吸
   込口６ａを有して、前記熱交換器１５に流体連通
   するよう接続されたブライン吸込管６と、前記熱
   交換器１５からの熱交換後のブラインを前記環状
   空間部１ｃ内に吐き出す吐出口を有するブライン
   吐出管５とを備え、前記遮蔽枠１０には、同遮蔽
   枠１０と前記環状空間部１ｃとを流体連通させる
   ブライン通過路１２が形成され、前記ブライン吐
   出管５は、その吐出口から前記環状空間部１ｃ内
   に吐き出されるブラインを前記遮蔽枠１０の外周
   に沿つて流れさせるように、方向付けられてい
   る、恒温庫におけるブライン冷却装置。