JPH0446225Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はスキヤニングソナーのリアルタイム画
像と、新旧複数の画像信号を重ね書きした重ね書
き画像とを同一画面上に併画可能な表示装置に関
するものである。

（従来の技術） スキヤニングソナーの表示画面にリアルタイム
の画像と過去の単一の画像とを併画表示する装置
は周知である。この種の従来の装置は、船底等に
配置される超音波送受波器によつて得られるリア
ルタイムの画像信号を記憶する新情報記憶素子
と、該リアルタイム画像信号よりも所定周期前の
過去の旧い単一の画像情報を記憶する旧情報記憶
素子とを具備しており、前記新情報記憶素子と旧
情報記憶素子から同時にそれぞれの画像信号がカ
ラーブラウン管表示器へ供給され、例えば、カラ
ーブラウン管表示器の上半部にはリアルタイム画
像が表示され、下半部には所定時間前の過去の単
一の画像が表示されるものである。

これら新旧両画像を見較べることにより、魚群
等ターゲツトの移動の速度や向きを知ることがで
き、この表示装置によりターゲツトの追跡を効率
よく行おうとするものである。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来の装置において、船舶
のローリングやピツチング等が生じた場合には、
超音波送受波器が船舶の動揺に連動して傾くた
め、ターゲツトが超音波ビームの照射領域から外
れてしまうという事態が発生する。

このような場合には、その動揺時に、カラーブ
ラウン管表示器のリアルタイム画像が空白表示と
なり、また、その空白表示を記憶して所定時間経
過後に表示される過去の画像も空白表示となる。

このように、リアルタイム画像と過去の画像と
の一方又は両方が空白表示となるため、両方の画
像を見較べることができなくなり、したがつて、
ターゲツトの移動速度やその移動の向きを的確に
判断できないという問題が発生する。

本考案は上記従来の問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的は、たとえ船舶のロ
ーリングやピツチングによる動揺によつてリアル
タイム画像からターゲツトを見失つたとしても、
ターゲツトの移動速度および移動の向きを的確に
判断することができるスキヤニングソナーの二画
面併画表示装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記目的を達成するために次のように
構成されている。すなわち、本考案は、スキヤニ
ングソナーのリアルタイム画像信号を記憶する新
情報記憶素子と； 前記リアルタイム画像信号よ
りも順に旧い複数の画像信号を記憶する旧情報記
憶素子と； 旧情報記憶素子が記憶している複数
の画像信号をその周期が旧い順にその振幅レベル
を一方向に変化させ、かつ、各画像信号の重なり
部は新しい画像信号を優先させて前記各画像信号
を重ね書きする重ね書き処理部と； 前記新情報
記憶素子から供給されるリアルタイム画像信号に
よるリアルタイム画像と重ね書き処理部から供給
される重ね書き画像信号による重ね書き画像とを
共通画面上に併画表示するカラーブラウン管表示
器と； を有するスキヤニングソナーの二画面併
画表示装置である。

（作用） 上記構成からなる本考案において、リアルタイ
ム画像と重ね書き画像との併画表示は次のように
行われる。まず、超音波送受波器によつて得られ
たリアルタイム画像信号は時々刻々新情報記憶素
子に記憶される。一方、旧情報記憶素子はリアル
タイム画像信号よりも順に旧い複数の画像信号を
記憶しており、該旧情報記憶素子はこれらの各旧
情報画像信号を重ね書き処理部へ読み出す。

重ね書き処理部では前記読み出された旧情報画
像信号を重ね書きするが、このとき、旧い画像信
号ほど信号レベルを低く（又は高く）し、かつ、
各画像情報が重なり合う部分は新しい方の画像情
報を採用し旧い画像情報を捨て去るようにする。

この旧画像信号の重ね書きは旧画像信号同志の
み、あるいは、リアルタイム画像信号と各旧画像
信号同志のいずれか所望の態様で行われる。

前記新情報記憶素子に記憶されているリアルタ
イム画像信号および重ね書き処理部で重ね書きさ
れた画像信号は直接的又は間接的（例えば、表示
用の記憶素子へ記憶させた後）にカラーブラウン
管表示器へ読み出され、カラーブラウン管の画面
にリアルタイム画像と重ね書き画像とが併画され
るのである。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。第１図には本考案に係る一実施例の構成を
示すブロツク図が示されている。図において、超
音波送受波器から増幅器等を通つて送られてくる
リアルタイム画像信号は新情報記憶素子１へ加え
られている。この新情報記憶素子１はリアルタイ
ム画像信号を記憶するとともに、その記憶したリ
アルタイム画像信号を表示用記憶素子２と旧情報
記憶素子３へ分岐供給している。前記表示用記憶
素子２は記憶部の上半部に前記リアルタイム画像
信号によるリアルタイム画像４を記憶する。

一方、前記旧情報記憶素子３は第１の記憶素子
５と第２の記憶素子６と第３の記憶素子７とから
なる。第１の記憶素子５にはリアルタイム画像信
号より１周期前の画像信号が記憶されており、ま
た、第２の記憶素子６にはリアルタイム画像信号
より２周期前の画像信号が記憶されており、さら
に、第３の記憶素子７にはリアルタイム画像信号
より３周期前の画像信号が記憶されている。

この状態で新情報記憶素子１から読み出された
一方のリアルタイム画像信号は重ね書き処理部８
と前記第１の記憶素子５へ加えられる。

第１の記憶素子５はこのリアルタイム画像信号
を記憶するとともに、今まで記憶していた１周期
前の画像信号を重ね書き処理部８と第２の記憶素
子６へ送出する。第２の記憶素子６は前記１周期
前の画像信号を記憶するとともに、今まで記憶し
ていた２周期前の画像信号を重ね書き処理部８と
第３の記憶素子７へ送出する。そして、第３の記
憶素子７は加えられた２周期前の画像信号を記憶
するとともに今まで記憶していた３周期前の画像
信号を重ね書き処理部８へ送出する。

このように、旧情報記憶素子３は、今まで記憶
していた画像信号よりも新しい画像信号が入る度
に、その新しい画像信号を記憶するとともに、旧
い画像信号を重ね書き処理部８に送出し、かつ、
その旧い画像信号を下位の記憶素子に書き込ませ
る。したがつて、第１の記憶素子５乃至第３の記
憶素子７はリアルタイム画像信号が旧情報記憶素
子３へ入力するごとに、それぞれ１周期新しい画
像信号に更新されるのである。ところで、前記重
ね書き処理部８はレベル変換回路９と画像優先回
路１０とからなる。レベル変換回路９はリアルタ
イム画像信号と前記１周期前から３周期前の画像
信号との相対的な信号レベルの変換を行う。

すなわち、リアルタイム画像信号の信号レベル
を１番強くし、次に、旧い画像信号になるに従い
信号レベルを低く調整する。一方、画像優先回路
１０はレベル変換回路９によつてレベル調整され
たリアルタイム画像信号と１周期前の画像信号と
２周期前の画像信号と３周期前の画像信号とを重
ね書きするが、このとき、各画像信号が重なり合
う場合は、新しい画像信号のレベルを優先させて
重ね書きする。例えば、第２図に示すように、タ
ーゲツトのリアルタイム画像信号のA₀と同ター
ゲツトの１周期前乃至３周期前の画像信号A₁、
同A₂および同A₃とが重なり合う場合において、
まず、リアルタイム画像信号A₀が１周期前の画
像信号A₁と重なり合う場合は、リアルタイム画
像信号を優先させて、その重なり部の信号レベル
をリアルタイム画像信号のレベルにする。

同様に、１周期前の画像信号A₁と２周期前の
画像信号A₂とが重なり合う場合は、１周期前の
画像信号A₁の信号レベルを優先させる。

また同様に、２周期前の画像信号A₂と３周期
前の画像信号A₃とが重なり合う場合は２周期前
の画像信号A₂のレベルを優先させる。

このように、各画像信号が重なり合う場合に
は、その重なり合う互いの信号レベルを単純に加
算するのでなく、重なり合う中で最新の画像信号
の信号レベルによつて表わすのである。

このようにして重ね書きされた画像信号は表示
用記憶素子２へ送られ、該表示用記憶素子２の記
録部の下半部に前記重ね書きされた画像信号（重
ね書き画像１３）が書き込み記憶される。

本実施例では、この表示用記憶素子２の画素配
列はカラーブラウン管表示器１１の表示画面の画
素配列に対応している。このカラーブラウン管表
示器１１には図示されていない周知の色付け回路
が設けられており、表示用記憶素子２から読み出
されたリアルタイム画像信号および重ね書きされ
た画像信号はその信号レベルに応じた色が付せら
れ、カラーブラウン管表示器１１の表示画面の上
半部にリアルタイム画像信号によるリアルタイム
画像がカラー表示される。そして、同様に、カラ
ーブラウン管表示器１１の表示画面の下半部に重
ね書き画像信号による重ね書き画像がカラー表示
されるのである。上記のように、本実施例によれ
ば、重ね書き画像信号はリアルタイム画像信号と
その前の旧い複数の画像信号との重ね書きによつ
て形成されるから、たとえ、船舶のローリングや
ピツチング等によつて、リアルタイム画像からタ
ーゲツトを見失つても、重ね書きの画像中にはそ
のターゲツトの過去の情報が表示される。この場
合、重ね書きの画像信号は、信号レベルの変換に
より新しい画像信号に近いほど強いレベルになつ
ており、しかも、各画像信号の重なり部はそのう
ちで、最新の画像信号を優先しているから、リア
ルタイム画像中からターゲツトを見失つても重ね
書きの画像を見るだけでターゲツトの移動速度や
その移動の向きを的確に判断できるという利益が
得られる。ところで、本実施例においては、船舶
の移動速度や移動の向きの変化によつてカラーブ
ラウン管表示器１１の表示画像中のターゲツトの
移動速度や移動方位が影響を受けないようにする
ため、画像記憶補正回路１２が設けられている。

この画像記憶補正回路１２は船舶の速度信号お
よび進行方位信号（例えば、ジヤイロ信号）によ
つて演算された補正信号を受け、この補正信号を
第１の記憶素子５、第２の記憶素子６および第３
の記憶素子７へ分配供給する。これらの補正信号
によつて、第１の記憶素子５、第２の記憶素子６
および第３の記憶素子７に記憶されている信号が
補正を受け、船舶の速度や進行方位の影響を受け
ない正しいターゲツト情報を記憶するようになつ
ている。したがつて、この補正された画像信号に
よつて表示される画像は、たとえ船舶がどのよう
に速度や進行方位を変更しても表示画面の南北線
と東西線を示す基準線に対して正しい方位位置に
ターゲツトが表示されることとなり、また、重ね
書き画像中に表わされるターゲツトの移動速度と
移動の向きは船舶との相対値でなくターゲツトの
真の情報を表示することとなるのである。

なお、上記実施例では、重ね書きの画像信号を
リアルタイム画像信号とそれより１周期乃至３周
期前の画像信号とを重ね合わせて形成している
が、これをリアルタイム画像信号を除き、旧い各
画像信号のみの重ね合わせによつて形成するよう
にしてもよい。また、本実施例のレベル変換回路
９は旧い画像信号になるほど信号レベルを低くな
るようにレベル変換を行つているが、これを逆
に、旧い画像信号になるほど信号レベルを高くな
るようにレベル変換することも可能である。

さらに、本実施例では、リアルタイム画像信号
と重ね書き画像信号とをいつたん表示用記憶素子
２に記憶し、この記憶されている信号を表示用記
憶素子２からカラーブラウン管表示器１１へ読み
出すように構成しているが、この表示用記憶素子
２を省略し、新情報記憶素子１からのリアルタイ
ム画像信号と重ね書き処理部８からの重ね書き画
像信号とを直接カラーブラウン管表示器１１へ供
給するようにしてもよい。この場合には、まず、
新情報記憶素子１からのリアルデータ画像信号を
カラーブラウン管表示器１１の上半分の表示部へ
読み出し、この読み出し完了と同時に信号読み込
み端を重ね書き処理部８へ切り換え、該重ね書き
処理部８からの重ね書き画像信号をカラーブラウ
ン管表示器１１の下半分の表示部へ読み出すよう
に構成すればよい。

（考案の効果） 本考案は以上説明したような構成と作用とを有
しているので、カラーブラウン管表示器の１画面
に、リアルタイム画像信号によるリアルタイム画
像と重ね書き画像信号による重ね書き画像とを同
時に併画することが可能となる。

したがつて、船舶のローリングやピツチング等
によつてリアルタイム画像からターゲツトを見失
つても、重ね書き画像中にはリアルタイム時より
も順に旧い画像信号によつて複数のターゲツトが
表示されるから、ターゲツトの移動速度および移
動の向きを的確に判断することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る一実施例の構成を示すブ
ロツク図、第２図は各画像信号の重ね書きの状態
を示す説明図である。 １……新情報記憶素子、２……表示用記憶素
子、３……旧情報記憶素子、４……リアルタイム
画像、５……第１の記憶素子、６……第２の記憶
素子、７……第３の記憶素子、８……重ね書き処
理部、９……レベル変換回路、１０……画像優先
回路、１１……カラーブラウン管表示器、１２…
…画像記憶補正回路、１３……重ね書き画像。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スキヤニングソナーのリアルタイム画像信号を
   記憶する新情報記憶素子と； 前記リアルタイム
   画像信号よりも順に旧い複数の画像信号を記憶す
   る旧情報記憶素子と； 旧情報記憶素子が記憶し
   ている複数の画像信号をその周期が旧い順にその
   振幅レベルを一方向に変化させ、かつ、各画像信
   号の重なり部は新しい画像信号を優先させて前記
   各画像信号を重ね書きする重ね書き処理部と；
   前記新情報記憶素子から供給されるリアルタイム
   画像信号によるリアルタイム画像と重ね書き処理
   部から供給される重ね書き画像信号による重ね書
   き画像とを共通画面上に併画表示するカラーブラ
   ウン管表示器と； を有することを特徴とするス
   キヤニングソナーの二画面併画表示装置。