JPH0439899Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は温水洗浄装置（局所洗浄装置）を便器
に設置した構造に係り、特に噴出時の位置を調節
できるよう改良した温水洗浄装置の設置構造に関
するものである。

［従来の技術］ 便器に取り付けられた温水洗浄装置において
は、臀部の洗浄をなすときに、臀部下方へ洗浄ノ
ズルを移動させ局所へ向け温水の噴出をなすよう
構成するのであるが、かかる洗浄ノズルの移動を
なすものとして、シリンダ状の基端ノズルと、該
基端ノズルの先端から出没自在な洗浄ノズルとを
備えた温水洗浄装置が知られている。

第２図は従来の温水洗浄装置の構成を示す断面
図である。第２図において、符号１０で示す便器
の便鉢１２には、その奥側の上部部分に開口１２
ａが設けられ、温水洗浄装置１４が取付部材１６
を介して設置されている。この温水洗浄装置１４
は、取付部材１６に固定されている基端ノズル１
８と、この基端ノズル１８の先端側から出没自在
な洗浄ノズル２０とから主として構成されてい
る。

基端ノズル１８はシリンダ状であつて、その後
端側に温水受入口２２を備え、温水供給系統に接
続されている。洗浄ノズル２０の基端部は、フラ
ンジ状に拡径してピストン部２０ａとなつてお
り、基端ノズル１８内周面と摺動可能とされてい
る。またこのピストン部２０ａと基端ノズル１８
先端との間にはリターンスプリング２４が設置さ
れている。かかる構成において、温水供給系統を
作動させて開口２２から温水を基端ノズル１８内
に導入すると、その水圧によつて洗浄ノズル２０
が押圧されて基端ノズル１８から突出し、先端開
口２６から温水が臀部の被洗浄箇所に向けて噴出
される。

なお、基端ノズル１８内には洗浄ノズル２０突
出時に当接するストツパ（図示せず）が設けられ
ており、洗浄ノズル２０はこのストツパに係合す
る位置まで突出する。

このような従来の温水洗浄装置においては、洗
浄ノズル２０の噴出口２６からの温水の噴出は、
洗浄ノズル２０がストツパによつて決められた位
置にまで突出した状態で行われるので、突出時の
噴出口の位置は一定であり、便座に座つている人
間の男女差に応じた噴出口位置変更はできない。

かかる噴出口の位置調整を可能としたものとし
て第３図に示すものが知られている。第３図の温
水洗浄装置においては、便器１０にブラケツト２
７を介して取り付けられているモータ２８によつ
て洗浄ノズル２０の出没がなされる。即ち洗浄ノ
ズル２０の周面には、モータ２８の回転軸に固着
されたピニオン３０と噛み合うラツク３２が形成
されており、モータ２８を正転又は逆転すること
により、洗浄ノズル２０を突出又は後退させ、噴
出口２６の噴出時の位置を所望位置にシフトさせ
ることが可能である。

［考案が解決しようとする問題点］ 前記した第２図の従来装置においては、温水洗
浄をなすときの噴出口の位置は一定であり、座っ
ている人間の男女差に応じた噴出口の位置変更が
できない。

また第３図に示す従来装置によれば、温水の噴
出を行つて洗浄をなすには、必ず、洗浄ノズル突
出のためのモータ２８の操作及び湯の噴出のため
の温水供給系統の操作という二つの操作が必要で
あり、温水洗浄装置の操作が煩雑である。また、
モータ２８により洗浄ノズル２０を退避位置から
洗浄位置まで突出させる必要があるから、ラツク
などの螺子部材をかなり長目に設けなければなら
ず、製作コストも高いものとなる。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、先端が開放し後端が封じられた有底
筒形状であつて、洗浄用の温水が後端側から導入
されるシリンダ状の基端ノズルと、該導入される
水圧によつて該基端ノズルの先端から突出される
洗浄ノズルとを備えた温水洗浄装置を便器に取り
付け、該基端ノズルを温水供給系統に接続した温
水洗浄装置の設置構造において、 前記基端ノズルを便器に対し、該基端ノズルに
摺動自在に外嵌したリング状の取付部材を介して
該基端ノズルの長手方向移動可能に取り付けると
共に、前記洗浄ノズルの第１洗浄位置と第２洗浄
位置との間隔分、該基端ノズルをその長手方向に
移動させる駆動装置を設けた温水洗浄装置であつ
て、 該基端ノズルの外周面及び取付部材の内周面の
一方には該基端ノズルの長手方向にキー溝が延設
されると共に、他方には該キー溝に摺動自在に係
合したキーが設けられており、 前記駆動装置は、前記基端ノズルの後端に刻設
された螺子と、該螺子に回転可能に螺合した螺子
体と、該螺子体に連結されたモータと、を備えて
なることを特徴とする。なお、本考案において、
第１洗浄位置とは、肛門洗浄を行う場合の洗浄ノ
ズルの突出位置をいい、第２洗浄位置とは所謂ビ
デ洗浄を行う場合の洗浄ノズルの突出位置をい
う。

［作用］ 本考案の温水洗浄装置においては、基端ノズル
内に温水供給系統から温水を導入すると、洗浄ノ
ズルはその水圧によつて基端ノズルから突出して
局所洗浄可能な位置にまで移動すると共に、その
先端噴出口から局所へ向けての温水噴出がなされ
る。しかして、温水供給系統からの基端ノズルへ
の温水の導入に先立つて、もしくは洗浄ノズルが
突出し温水洗浄が行われているときに、駆動装置
を操作すると、洗浄ノズルのノズル長手方向への
移動がなされ、噴出口の位置を第１又は第２洗浄
位置に移動させ、所要箇所の洗浄をなすことが可
能である。

［実施例］ 以下図面を参照して実施例について説明する。

第１図は本考案の実施例に係る温水洗浄装置３
４の設置構造を示す構成図、第４図は第１図の
部の拡大図である。

この実施例に係る温水洗浄装置３４において、
基端ノズル１８は取付部材３６を介してその長手
方向に移動可能に便器１０に対して取り付けられ
ている。この取付部材３６は短い筒形状のもので
あり、その先端側が鍔状に拡大し便鉢１２の奥側
上部表面に係止可能な構造となつており、その内
周面と基端ノズル１８外周面との間にはシールリ
ング３８が介在されている。また取付部材３６に
は、その筒軸方向に延在するキー溝４０が形成さ
れており、基端ノズル１８の側周面から突出する
キー４２が該キー溝４０と係合し基端ノズル１８
の軸回りの回転を防止し、該基端ノズル１８の軸
線方向への移動を案内している。

基端ノズル１８の後端からは、内周面に雌螺子
４４が形成された筒状部４６が延出されている。
この雌螺子４４には雄螺子体４８が螺合し、この
雄螺子体４８はモータ５０のロータシヤフトに接
続された回転軸（本実施例では可撓性を有するワ
イヤ）５１の先端に固着されている。

基端ノズル１８の先端側からは、洗浄ノズル２
０が出没可能とされており、この洗浄ノズル２０
の先端には温水の噴出口２６が開口されている。
なお、該洗浄ノズル２０の先端内部には逆止弁
（図示せず）が設けられている。洗浄ノズル２０
の基端側にはピストン部２０ａが形成され、基端
ノズル１８の内周面と摺動する。また、該ピスト
ン部２０ａと基端ノズル１８の先端側との間にリ
ターンスプリング２４が介在されている。第４図
の符号１８ａは基端ノズル１８の先端側の内周面
を細径化することにより設けられたストツパであ
り、ピストン部２０ａが該ストツパ１８ａに当接
することにより洗浄ノズル２０の突出時の位置決
めが行われる。

次に、基端ノズル１８に温水を供給する温水供
給系統５２の構成について説明する。

符号５４は温水タンクであつて、内部の水を加
温するためのヒータ５６、サーモスタツト５８な
どが備えられており、温水流出口５４ａが基端ノ
ズル１８の開口２２と配管６０を介して接続され
ている。温水タンク５４の水道水受入口５４ｂに
は配管６２が接続され。この配管６２の上流側は
洗浄強さ調整弁６４及びメーンバルブ６６を介し
て水道管に接続されている。

また配管６２の温水タンク５４と洗浄強さ調整
弁６４との間からは配管６８が分岐され、この配
管６８の先端は温水洗浄装置３４の先端部分に配
置され、基端ノズル１８の先端から出没する洗浄
ノズル２０の周面に水道水を噴射してその洗浄を
なすことができるよう構成されている。なお、符
号６４ａは前記調整弁６４のダイヤルである。

前記メーンバルブ６６は、ソレノイド６６ａに
よつて、その内部に備えられた弁体の開閉作動を
なすものであり、このソレノイド６６ａ及び前記
モータ５０は電源回路７０から直流電流が供給可
能とされている。

電源回路７０はプラグ７２によつて商用電源の
供給を受け、これを整流して直流出力となす。電
源回路７０には３本の出力用の配線７４，７６，
７８が接続されており、配線７４は電源回路７０
とソレノイド６６ａとを接続し、配線７８は電源
回路７０とモータ５０とを接続している。また配
線７６は、切替スイツチ８０を介して配線７６ａ
と７６ｂとに分岐し、配線７６ａは切替スイツチ
の端子８０ａとソレノイド６６ａとを接続してい
る。また配線７６ｂは、モータ５０と端子８０
ｂ，８０ｃとを接続している。切替スイツチ８０
は、配線７６が端子８０ａ，８０ｂ，８０ｃのい
ずれか一つに接続されて回路を構成可能とする操
作片８２を備えている。符号８４は反転スイツチ
であつて、操作片８２が該反転スイツチ８４に当
接すると、電源回路７０からの配線７６，７８へ
の出力電流の正負が反転する。

なお、電源回路７０や切替スイツチ８０等は、
一つのコントロールボツクスに収容されている。

かかる構成において、温水洗浄装置３４を作動
させて局所洗浄を行う使用例を次に説明する。

まず、操作片８２を操作し配線７６と端子８０
ａとを接続する。これにより電源回路７０からの
直流出力はソレノイド６６ａにのみ供給され、メ
ーンバルブ６６が開とされる。そして洗浄強さ調
整弁６４のダイヤル６４ａを調節することによ
り、水道管からの水道水がメーンバルブ６６、洗
浄強さ調整弁６４を経て配管６２から温水タンク
５４内に導入される。温水タンク５４内ではヒー
タ５６及びサーモスタツト５８により適温（例え
ば40℃前後）に加温された温水が貯留されてお
り、導入された水道水圧によつてこの温水が流出
口５４ａ、配管６０を経て基端ノズル１８内に導
入される。これにより洗浄ノズル２０の突出がな
されると共に、噴出口２６からの温水の噴出が開
始する。

なお、配管６２から分岐した配管６８を通つて
水道水が洗浄ノズル２０の周面に吹き付けられ、
該洗浄ノズル２０の外周面の洗浄が行われる。

しかして、この洗浄を行つているときに洗浄ノ
ズル１８の突出位置の変更を行う必要が生じた場
合には、操作片８２を操作し、配線７６を端子８
０ｂと８０ｃのいずれか一方に接続する。本実施
例では端子８０ｂはモータ５０を正転させる方向
に直流電圧をモータ５０に伝達するものであり、
この配線７６と端子８０ｂとの接続によりモータ
５０が正転すると、シヤフト５２の先端に固着さ
れた雄螺子体４８が回転し、該雄螺子体４８と噛
み合う筒状部４６及び該筒状部４６と一体の基端
ノズル１８は前進する。また、切替スイツチ８０
の操作片８２を配線７６が端子８０ｃと接続され
るように回動させると、この操作片８２と端子８
０ｃに近づいたときに反転スイツチ８４と当接
し、配線７６，７８に加えられる直流出力の正負
が逆となる。そして操作片８２が配線７６と端子
８０ｃとを接続すると、モータ５０には前進時と
逆の電流が流れ、モータ５０は逆回転する。これ
により基端ノズル１８は後退する。

なお基端ノズル１８にはその外周面からアーム
１８ｂが突出すると共に、該基端ノズル１８の近
傍には、基端ノズル１８が最大前進時に当接する
リミツトスイツチ８６と最大後退時に当接するリ
ミツトスイツチ８８とが設置されている。リミツ
トスイツチ８６，８８はそれぞれアーム１８ｂが
当接すると電源回路７０をオフとする作用を有し
ており、従つて基端ノズル１８はアーム１８ｂが
両リミツトスイツチ８６，８８の間の位置に存在
するように前後進する。

しかして、リミツトスイツチ８８は噴出口２６
から噴出される温水が後部局所（肛門）の洗浄を
なす第１洗浄位置となるように設置されており、
リミツトスイツチ８６は洗浄ノズル１８から噴出
される温水が前部局所の洗浄（所謂ビデ洗浄）を
なす第２洗浄位置をとるように設置されている。

従つて、前部局所の洗浄を行つた後、後部局所
の洗浄を行う場合、あるいは逆に後部局所の洗浄
を行つた後に、前部局所の洗浄を行う場合には、
まず、操作片８２を端子８０ａに接続し、洗浄ノ
ズルの突出及び温水噴出を行い、しかる後、操作
片８２を端子８０ｂ又は８０ｃに接続し、基端ノ
ズル１８を前進又は後退させる。このようにし
て、臀部の所望複数箇所を使用者が姿勢を変える
ことなく洗浄でき、極めて快適な温水洗浄を行え
る。

上記使用例では、温水の噴出を先に行つている
が、基端ノズルの位置シフトを行つてから温水の
供給及び噴出をなすような使用も可能である。

なお、本実施例では、切替スイツチ８０が、端
子８０ａ〜ｃのいずれか１つにのみ接続される操
作片８２を備えているので、ソレノイド６６ａの
オン作動とモータ５０の回転作動とが択一的に行
われる。即ち、モータ５０が作動するときにはソ
レノイド６６ａはオフとなり、メーンバルブ６６
が閉じ、基端ノズル１８内への温水導入が停止さ
れる。そのため、洗浄ノズルが移動している最中
には、温水の噴出は停止しており、洗浄不要な臀
部箇所に温水がかけられるという不具合がない。

また、本実施例では、モータ５０のロータシヤ
フトに接続された回転軸５１が可撓性のワイヤで
あるので、雄螺子体４８とモータ５０とを非同軸
配置できる。従つて、モータ５０を便器内の所望
位置に配置でき、便器内のスペースの有効利用が
図れる。

本実施例では、駆動装置にモータ５０が採用さ
れているが、ソレノイドを用いても良い。また、
温水供給系統は水道管に直結されているが、ポン
プを介して各種タンクに接続しても良い。

また本考案では、基端ノズルが第１及び第２洗
浄位置のいずれに位置しているかを表示するラン
プ等の表示手段を設けても良い。

［考案の効果］ 以上詳述した通り、本考案は、温水水圧によつ
て基端ノズルから突出作動される洗浄ノズルを備
えた温水洗浄装置を、該基端ノズルの位置変更可
能に設けたものであり、使用者が姿勢を変えるこ
となく臀部の所望複数箇所の快適洗浄をなすこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を説明する断面図。第
２図及び第３図は従来例を説明する断面図、第４
図は第１図の要部拡大図である。 １０……便器、１２……便鉢、１４，３４……
温水洗浄装置、１８……基端ノズル、２０……洗
浄ノズル、２６……噴出口、４４……雌螺子、４
６……筒状部、４８……雄螺子体、５０……モー
タ、５４……温水タンク、６６……メーンバル
ブ、６６ａ……ソレノイド、７０……電源回路、
８０……切替スイツチ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 先端が開放し後端が封じられた有底筒形状であ
   つて、洗浄用の温水が後端側から導入されるシリ
   ンダ状の基端ノズルと、該導入される水圧によつ
   て該基端ノズルの先端から突出される洗浄ノズル
   とを備えた温水洗浄装置を便器に取り付け、該基
   端ノズルを温水供給系統に接続した温水洗浄装置
   の設置構造において、 前記基端ノズルを便器に対し、該基端ノズルに
   摺動自在に外嵌したリング状の取付部材を介して
   該基端ノズルの長手方向移動可能に取り付けると
   共に、前記洗浄ノズルの第１洗浄位置と第２洗浄
   位置との間隔分、該基端ノズルをその長手方向に
   移動させる駆動装置を設けた温水洗浄装置であつ
   て、 該基端ノズルの外周面及び取付部材の内周面の
   一方には該基端ノズルの長手方向にキー溝が延設
   されると共に、他方には該キー溝に摺動自在に係
   合したキーが設けられており、 前記駆動装置は、前記基端ノズルの後端に刻設
   された螺子と、該螺子に回転可能に螺合した螺子
   体と、該螺子体に連結されたモータと、を備えて
   なることを特徴とする温水洗浄装置の設置構造。