JPH04372991A - 電子楽器の鍵盤装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電子楽器の鍵盤装置に関
するものであり、特にアコースティックピアノに近いタ
ッチを有する鍵盤装置を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、電子楽器用鍵盤においてはタッチ
の良いものが求められるようになっており、特に電子ピ
アノにおいてはアコースティックピアノにできるだけ近
いタッチを実現する取組みが行われているが、コストを
かけ、構造が複雑になる割にピアノに近いタッチを得る
ことは難しかった。

【０００３】以下図面を参照ながら、上述した従来の鍵
盤装置について説明する。図５は従来の鍵盤装置を示す
概略断面図である。図５において１は鍵盤シャーシ、２
は鍵盤シャーシに支点２ａで支持された上下に揺動自在
な鍵、３は鍵２の下部に設けられた金属等の十分な質量
を有する材質で作られたハンマーでありその略中央部を
支点３ａにより支持され鍵２の押下げと連動して上下に
揺動運動を行うように配設されている。４は長方形状を
した板ばねで、ハンマー３の支点３ａ後方の溝３ｂと鍵
２の内後端部２ｂとの間に架設され、ハンマー３，鍵２
のそれぞれが矢印Ａ方向に復帰するよう付勢している。

【０００４】以上のように構成された従来の鍵盤装置に
ついて以下その動作について説明する。

【０００５】図６は動作図であり、鍵２を下方に押下げ
ると十分な質量を有するハンマー３の先端部３ｃが押下
げられ、支点３ａを中心として後端部３ｄが持上げられ
る。その結果、アコースティックピアノと同じようなハ
ンマーを動かす際の大きな慣性力を指先に感ずることが
できた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらアコース
ティックピアノでは、鍵の押圧曲線が図８に示すように
鍵ストロークの終端近くで脱進メカニズムにより押圧力
が急激な変化を示す。すなわち図８、Ｐ部に示すように
押圧力の山と谷（押圧力が急上昇したあと急減少）を経
由して、最後に再び急上昇するという特性を示す。これ
に対し前記した従来の電子楽器の鍵盤装置の鍵の押圧曲
線は、図７に示すように鍵ストロークＳ〜Ｔの間では押
し下げストロークに関係なく押圧力がほぼ一定となり、
鍵ストロークの最後で急激に大きくなる。このように従
来の電子楽器の鍵盤装置は、鍵ストロークの終端近くの
押圧力の急激な山と谷がないので、アコースティックピ
アノのタッチとはかなり違うという欠点を有していた。

【０００７】本発明はこのような従来の課題を解消する
ものであり、簡単な構成で脱進メカニズムによる急激な
変化部を疑似的に付加できる電子楽器の鍵盤装置を提供
することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の電子楽器の鍵盤装置は、音高順に配設されそ
の先端が上下に揺動自在に支持された鍵と、前記鍵の下
部に配設された支点で中央部が支持され前記鍵の押し下
げ運動により前記支点を中心として上下に揺動運動する
質量の大きいハンマーと、前記ハンマーの一端に形成さ
れた低摩擦材で覆われた円弧部と、先端にくさび状のカ
ムをもつくさび体と、前記くさび体を前記円弧部と前記
鍵の下面との当接位置に押し込む弾性体とを有し、鍵の
押圧前の状態では前記円弧部と前記鍵の下面との間に前
記弾性体の弾性力により侵入していた前記くさび体のカ
ムが、押圧ストロークの終端近くで押圧力が一定の値を
越えると前記円弧部と前記鍵の下面との間から押し出さ
れて押圧力を瞬間的に減少させることにより押圧ストロ
ークの押圧動作終了直前で押圧力の急激な山と谷を形成
したものである。

【０００９】

【作用】この構成によって得られる鍵盤装置の特性は図
４に示すように押鍵開始後、鍵ストロークＭ〜Ｎの間は
押下げストロークに関係なく押下げ力がほぼ一定である
が、押鍵終了直前に押下げ力が急激に上昇（Ｑ部）し、
一定の押下げ力以上になると押下げ力が瞬時に下降（Ｒ
部）して押鍵動作を終了するという特性が得られるため
のアコースティックピアノの押圧曲線のような脱進メカ
ニズムによる急激な変化部が疑似的に付加できる。また
、これを実現するための構成としては従来の鍵盤装置の
構成部品に対して弾性クサビ体を追加するだけでよいと
いうコスト的長所もある。

【００１０】

【実施例】以下本発明の一実施例について図面を参照し
ながら説明する。

【００１１】図１は本発明の一実施例における電子楽器
の鍵盤装置の構成を示す概略断面図であり、１１は鍵盤
シャーシ、１２は鍵で鍵盤シャーシに支点１２ａで支持
され上下方向に揺動自在である。１３は鍵１２の下部に
設けられた金属等の十分な質量を有する材質で作られた
ハンマーであり、その略中央部を支点１３ａにより支持
され、鍵１２の押下げと連動して上下方向に揺動運動を
行うよう配設されている。１４は長方形状の板ばねでハ
ンマー１３の支点１３ａ後方の溝１３ｂと鍵１２の内後
端部１２ｂとの間に架設され、ハンマー１３，鍵１２の
それぞれが矢印Ｂ方向に復帰するように付勢している。 １５はハンマー１３の先端部１３ｃに嵌入されたゴム製
の緩衝キャップであり表面にテフロンシートを貼付加工
した円弧面１５ａを有する。１６は弾性クサビ体であり
ハンマー１３と一体的に形成されている。この弾性クサ
ビ体１６は自らの弾性帯１６ａの弾性力によって鍵１２
の下面と緩衝キャップ１５の円弧面１５ａの間に矢印Ｃ
方向に付勢されている。またクサビ体１６のクサビ部１
６ｂは鍵１２の下面に設けたリブ１２ｃに当接する位置
まで付勢されるとともにクサビ部１６ｂの下方に形成し
たカム山１６ｃが緩衝キャップ１５の円弧面１５ａの片
端から外れて段落ちする位置まで後退することができる
。１７は鍵盤シャーシに固定されたハンマー支点部材、
１８は鍵１２の傾きを防止する鍵ガイド部材であり鍵盤
シャーシ１１に嵌入されている。１９はプリント配線基
板保持片であり鍵盤シャーシに嵌入されている。２０は
プリント配線基板でありビス２１でハンマー支点部材１
７に固定されている。２２は鍵ストローク検出用のゴム
スイッチ部材でありプリント配線基板２０と鍵盤シャー
シ１１の間に保持されている。このゴムスイッチ部材２
はハンマー１３の下面に設けたアクチュエータ部１３ｄ
の下降によって押されて変形し回路をＯＮし、上昇によ
って形を回復し回路をＯＦＦさせる。

【００１２】以上のように構成された電子楽器の鍵盤装
置について以下その動作を説明する。

【００１３】図２は鍵押下げ開始時の主要断面図であり
、鍵１２の下面に設けたリブ１２ｃに当接した位置まで
弾性クサビ体１６のクサビ部１６ｂが侵入しており、ク
サビ部１６ｂの下方に形成したカム山１６ｃは緩衝キャ
ップ１５の円弧面１５ａ上にある。このような状態で鍵
１２を下方に押下げるとハンマー１３の先端部１３ｃが
押下げられ、支点１３ａを中心として十分な質量をもつ
ハンマー後端部１３ｄが持ち上げられる。その結果、ア
コースティックピアノと同じようなハンマーを動かす際
の大きな慣性力を指先に感ずることができる。このよう
な状態は、図４で鍵１２の押下げ開始後、鍵ストローク
Ｍ〜Ｎの間は維持されるがＮ点の位置でハンマー後端部
１３ｄが後部フェルト２３に当接してハンマー１３の動
きが強制阻止されるため押鍵力は急激に増加する（図４
のＱ部）。このように押鍵力が一定の力以上になると図
３に示すように弾性クサビ体１６は、クサビ部１６ｂの
下方に形成したカム山１６ｃが緩衝キャップ１５の円弧
面１５ａと鍵１２の下面に挟まれることにより弾性帯１
６ａの弾性力に抗して矢印Ｄ方向に押出されて後退し円
弧面１５ａの片端から外れて段落ちする。このとき瞬間
的に押鍵力は減少する（図４のＲ部）。さらに鍵１２の
下面と緩衝キャップ１５の円弧面１５ａが密着する位置
まで鍵１２が押下げられて押下げを終了する。そして、
このような鍵盤装置で鍵１２が復帰するとき、復帰終了
直前まで図３の状態が維持されるが、終了直前の位置で
後部フェルト２４でハンマー後端部１３ｄの動きが強制
阻止されるため、ハンマー１３の動作が先に終了するが
、鍵１２はさらに上昇して鍵下面と緩衝キャップ１５の
円弧面１５ａの間に遊びが生じるため、弾性クサビ体１
６のクサビ部１６ｂが弾性帯１６ａの弾性力により再び
侵入して図２の状態に戻る。

【００１４】以上のように本実施例によれば、揺動自在
に支持された鍵と、鍵の下部にあって鍵の押下げにより
揺動運動をするハンマーと、鍵のハンマーの接触点（揺
動運動を鍵からハンマーに伝達する力の作用点）に隣接
して弾性クサビ体を設け、押鍵前（鍵が復帰した状態）
では鍵とハンマーの接触点は離れ、この間に自らの弾性
力により付勢された弾性クサビ体が侵入し、押鍵動作終
了直前に一定の力以上の押鍵力が働くと、弾性クサビ体
が瞬時に押出され鍵とハンマーの接触点が密着するよう
構成することにより、押鍵開始から終了直前までは押下
げストロークに関係なく押下げ力がほぼ一定であるが、
押鍵終了直前に押下げ力が急激に増加し、一定の押下げ
力以上になると押下げ力が瞬時に減少して押鍵動作を終
了するという特性が得られるため、アコースティックピ
アノの押圧曲線のような脱進メカニズムによる急激な変
化部が疑似的に付加でき、演奏時においてアコースティ
ックピアノのタッチに非常に近い電子楽器の鍵盤装置を
提供することができる。

【００１５】なお、本実施例において弾性クサビ体１６
はハンマー１３と一体的に形成したが、弾性クサビ体１
６のクサビ部１６ｂを軟質材料の別部品として弾性帯１
６ａに嵌入あるいはアウトサート成形して押鍵時の機雑
音防止をはかってもよい。また、弾性帯１６ａを金属製
の板ばねとしてハンマー１３およびクサビ部１６ｂとと
もに同時成形して弾性部の寿命向上をはかってもよい。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明は、揺動自在に支持
された鍵と、鍵の下部にあって鍵の押下げにより揺動運
動をするハンマーと、鍵とハンマーの接触点（揺動運動
を鍵からハンマーに伝達する力の作用点）に隣接して弾
性クサビ体を設け、押鍵前（鍵が復帰した状態）では鍵
とハンマーの当接点に自らの弾性力により付勢された弾
性クサビ体が侵入し、押鍵動作終了直前に一定の力以上
の押鍵力が働くと、上記当接点から弾性クサビ体が瞬時
に押出されることにより押鍵終了直前に押下げ力が瞬時
に減少して押鍵動作を終了するという特性が得られるた
め、アコースティックピアノの押圧曲線のような脱進メ
カニズムによる急激な変化部が疑似的に付加でき、演奏
時においてアコースティックピアノのタッチに非常に近
い電子楽器の鍵盤装置を提供することができる。また、
これを実現するための構成としては従来の鍵盤装置の構
成部品に対して弾性クサビ体を追加するだけでよいとい
う簡単な構成でありコスト的長所を併せもつ優れた電子
楽器の鍵盤装置を実現できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における電子楽器の鍵盤装置
の構成を示す概略断面図

【図２】鍵押下げ開始時の主要断面図

【図３】鍵押下げ終了時の主要断面図

【図４】本発明の一実施例における鍵押圧力／ストロー
ク特性図

【図５】従来の電子楽器の鍵盤装置の構成を示す概略断
面図

【図６】図５の動作図

【図７】従来例の鍵押圧力／ストローク特性図

【図８】
アコースティックピアノの鍵押圧力／ストローク特性図

【符号の説明】

１１　　　　鍵盤シャーシ １２　　　　鍵 １３　　　　ハンマー １４　　　　ばね １５　　　　緩衝キャップ １６　　　　弾性クサビ体 １７　　　　ハンマー支点部材 １８　　　　鍵ガイド部材 １９　　　　保持片 ２０　　　　プリント配線基板 ２２　　　　ゴムスイッチ部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　音高順に配設されその先端が上下に揺
   動自在に支持された鍵と、前記鍵の下部に配設された支
   点で中央部が支持され前記鍵の押し下げ運動により前記
   支点を中心として上下に揺動運動する質量の大きいハン
   マーと、前記ハンマーの一端に形成された低摩擦材で覆
   われた円弧部と、先端にくさび状のカムをもつくさび体
   と、前記くさび体を前記円弧部と前記鍵の下面との当接
   位置に押し込む弾性体とを有し、鍵の押圧前の状態では
   前記円弧部と前記鍵の下面との間に前記弾性体の弾性力
   により侵入していた前記くさび体のカムが、押圧ストロ
   ークの終端近くで押圧力が一定の値を越えると前記円弧
   部と前記鍵の下面との間から押し出されて押圧力を瞬間
   的に減少させることにより押圧ストロークの押圧動作終
   了直前で押圧力の急激な山と谷を形成した電子楽器の鍵
   盤装置。
2. 【請求項２】　　くさび体が弾性体によりハンマーに連
   結された請求項１記載の電子楽器の鍵盤装置。