JPH04363137A - 塩水氷パック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は食肉、生鮮魚介類、生鮮
野菜等、水分含有量の多い食品の貯蔵、保存、輸送にあ
たつて、これらの食品より惨出する惨出液、特に生鮮魚
介類から惨出する塩分を含んだ惨出液を吸水性樹脂によ
り吸収し、同時に、鮮度保持性、抗菌性を有するセラミ
ックスの作用によって細菌類の繁殖を抑止する効果を有
するパック、或はこのパックに塩水を吸収せしめた上で
凍結させてなる冷却能力を有する塩水氷パックを提供す
る。

【０００２】

【従来の技術】食肉、生鮮魚介類、生鮮野菜等、水分含
有量の多い食品を貯蔵、保存、店頭にて陳列する場合、
これら食品より惨出液（以下ドリップという）が出る。 ドリップは容器、トレー等の低部にたまり容器内の食品
の外観を汚染し、食品を変色せしめたり、悪臭を発した
り、保存性を低下させる。

【０００３】このためドリップの除去が必要となる。ド
リップの除去を容器の交換によって行うことは、作業が
繁雑となり保存経費が増加する。そこで従来は、紙、不
織布等のドリップを吸収するシートを容器、トレーの低
部に敷き、ドリップを吸収、除去する方法が一般に行わ
れていた。しかし、これだけでは吸水量が充分でないた
め、近年は、吸水性樹脂を紙、或は不織布にてパックし
た吸水性シートが使用され始めている。

【０００４】この場合、ドリップが真水ならば充分に吸
収できるが、生鮮魚介類から惨出する塩水ドリップにな
ると充分に吸収するには到らない。この場合、生鮮魚介
類の鮮度保持、変色防止効果は期待できない。

【０００５】更には、食肉、生鮮魚介類、生鮮野菜等の
食品を遠距離輸送する場合、専用の冷凍庫、冷凍車や、
氷、ドライアイスが一般に使用される。しかし、これら
の方法では遠距離運送においては、搬送する食品の量と
輸送時間に限界があり、一定の距離を越えて、特に生鮮
魚介類を鮮度を保ちながら輸送することは困難とされて
来た。

【０００６】

【発明が解決しようとする問題点】このような従来技術
の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、生鮮食品の貯蔵
、保存、輸送に当たって発生するドリップの吸収能力が
大きく、容器内における生鮮食品の変色や、細菌類の発
生繁殖を抑制する効果を有し、食品衛生上も問題のない
ドリップ吸液パックであつて、且つ特に生鮮魚介類の貯
蔵、保存、輸送にあたっては冷凍効果、塩水ドリップ吸
収効果、鮮度保持効果を発揮する塩水氷パックについて
、その組成、構成、機能等について鋭意、検討した結果
本発明に到ったものである。

【０００７】

【問題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、粒状あるいは粉末状の吸水性樹脂（Ａ）と
、粒状あるいは、粉末状または、顆粒状の鮮度保持性あ
るいは抗菌性を有するセラミックス粉末（Ｂ）とを（Ａ
）／（Ｂ）＝９９／１から１／９９、好ましくは７０／
３０から３０／７０（重量比）で混合し、あるいは、上
記の組成物を抗菌加工を施した紙、不織布、有孔ポリマ
ーシートでなるプラスチックフィルムあるいはそれらの
複合物に収容してパックとし、あるいは、このパックに
塩化ナトリウム濃度にして０．１から５．０重量パーセ
ント塩水を飽和量あるいは飽和に達せる量吸液せしめて
塩水吸液パックとし、あるいは、この塩水吸液パックを
冷凍して凍結せしめたたものである。

【０００８】

【実施例】以下に本発明の構成に添付図面に示す実施例
を参照して詳細に説明する。本発明に用いられる吸水性
樹脂は、水に不溶で吸水能力が真水に対してのみならず
、低濃度塩水に対しても、高いことが必須条件であるが
その他に以下の各項の要件を満足させるものであること
が望ましい。 （イ）毒性が無いこと（ロ）ほぼ中性であること（ハ）
油脂、酸、熱、紫外線等に対し、安定なこと（ニ）使用
条件下で腐敗、変質するおそれのある、例えば澱粉質の
天然物を含まないこと（ホ）吸水後も粒子形状がくずれ
ないこと。

【０００９】従って現に商業的に供給されている吸水性
樹脂グレードの中から上記要件を勘案して選択すればポ
リビニルアルコール系、ポリアクリル酸系等の合成吸水
性樹脂が好ましい。本発明に用いられるセラミックス粉
体は、アルミナ、アルミナシリケート、シリカ、ムライ
ト、ゼオライト、バーミュキュライト、パーライト等の
酸化物セラミックス粉体であって、別途生鮮食品の鮮度
保持にプラス効果を有することが証明されているもの、
または上記の酸化物セラミックスに銀イオン、銅イオン
等の重金属イオンを付着ないし、イオン交換により吸蔵
せしめて合成した、別途抗菌性を有することが証明され
ているものから選択して用いるが、更に以下の各項の要
件を満足せしめるものであることが好ましい。

【００１０】（イ）毒性がないこと（ロ）ほぼ中性であ
ること（ハ）化学的に安定であること（ニ）ほぼ白色に
近いこと（ホ）顆粒状あるいは微粉末状で比表面積が大
きいこと、又、吸水した後も原形状を保っていること（
ヘ）重金属イオン含有抗菌性セラミックスにあっては、
重金属イオンの溶出量が食品衛生上許容できる範囲にあ
ることが、本発明に用いられる吸水性樹脂対セラミック
ス粉体の配合割合は９９対１から１対９９の範囲で任意
に選べるが、塩水吸水性と生鮮魚介類の鮮度保持性ない
しは抗菌性を両立させるためには、７０対３０から３０
対７０の範囲が好ましい。

【００１１】又、本発明に用いられるパックの包袋材は
抗菌加工を施した紙、不織布、孔あきプラスチックフィ
ルム或はこれらの任意の複合物が用いられるが、この場
合、透水性がありながら内容物である吸水性樹脂やセラ
ミックス粉末が外部に漏れ出すものであってはならない
。特に吸水性樹脂が吸水して膨張した場合に開裂するお
それがない包材、或は包装方法を選ぶよう注意すべきで
ある。

【００１２】本発明が適用される対象としては、食肉、
生鮮魚介類、生鮮野菜等があるが特に、海産の魚介類の
貯蔵、保存、輸送時に使用するのが好適である。以下実
施例にて本発明の効果を示すが、本発明は実施例のみに
制約されるものではない。

【００１３】（実施例−１）本実施例では本発明で種類
の異なるセラミックス粉末を用いたときの塩水吸収速度
と塩水吸収量について述べる。即ち、不織布からなる袋
（５５ミリ×９０ミリ、四方シール）に、実施例として
吸水性樹脂（スミカゲルＮ−１００、以下の実施例でも
同じ）２．５グラムとセラミックス粉末として表１に示
す各種のセラミックス粉末を２．５グラム同時に封入し
てなるパックと、比較例として吸水性樹脂のみで５．０
グラム封入してなるパックを調製した。これらのパック
を塩化ナトリウム濃度１．７重量パーセントを含む塩水
に含浸して、時間経過に対する塩水吸水重量を測定した
ところ、図１及び表１に示す結果を得た。

【００１４】

【表１】

【００１５】上記表１においておいて、＊印はスミカゲ
ル　　Ｎ−１００を示し、＊＊印は朝日化学調製品Ａｇ
含有抗菌性加工セラミックスを示している。

【００１６】これらの結果、実施例では比較例に比べ１
パック内に包含している吸水性樹脂重量が少ないにもか
かわらず塩水吸収速度が速く、飽和塩水吸収量でも全く
遜色がないことがわかった。　　又、各種セラミックス
粉末を比較したときシリカゲル、ゼオライトよりアルミ
ナシリケートまたはバーミュキュライトが吸収性におい
て優れているといえる。

【００１７】（実施例−２）本実施例では、本発明の組
成物で特定のセラミックス粉末を用いたときの塩水吸収
速度と塩水吸収量についてのべる。すなわち、不織布と
孔あきポリエチレンフィルムからなる袋（５５ミリ×９
０ミリ　　四方シール）に実施例として吸水性樹脂とセ
ラミックス粉末として、バーミュキュライト（（Ｍｇ，
Ｆｅ）３、（Ｓｉ，Ａｌ，Ｆｅ）４Ｏ１０，（ＯＨ）２
，４Ｈ２Ｏ）とを表２に示すように配分割合をかえて、
合計５．０グラム封入した、パックを調製した。

【００１８】

【表２】

【００１９】比較例としては、吸水性樹脂単独で５．０
グラム封入したパックを調製したこれらのパックを塩化
ナトリウム濃度、１．７重量パーセント含む塩水に含浸
して、時間経過に対する吸水重量を測定したところ、図
２に示す結果を得た。

【００２０】この結果、驚くべきことに実施例では比較
例に比べ１パック内に包含している吸水性樹脂量が少な
いにもかわらず、塩水吸水速度が高いことがわかった。

【００２１】（実施例−３）本実施例では、本発明組成
からなるパックに塩水を吸収させた後、凍結、解凍させ
た場合のパック内の温度及びその経時変化について述べ
る。即ち、実施例として、表２に示すように、実施例１
−２で使用したものと同一のパックを用いて１つは塩化
ナトリウム３重量パーセントの塩水を、他は真水を飽和
吸収させた。比較例としては、吸水性樹脂単独で５．０
グラム封入したパックに真水を飽和吸水させ表３に表し
た。

【００２２】

【表３】

【００２３】これらの吸水したパックをまずマイナス２
０度の冷凍庫内に一定時間、置き、凍結するに到らしめ
た。その間のパック内の経時的温度降下曲線を図３に示
した。次に凍結したパックを２３度の室温状態のなかで
、一定時間放置し解凍するに到らしめた。その間のパッ
ク内の経時的温度上昇曲線を図４に示した。

【００２４】図３と図４より本発明になる組成分を包含
するパック、就中塩水を吸収したパックは、比較例の吸
水性樹脂単独を包含するパックに比べて、冷却、凍結期
には、温度の降下が緩慢であるが、解凍期にも温度の上
昇が緩慢で、低温域により長時間維持できることがわか
った。

【００２５】（実施例−４）　　本実施例では、本発明
になる組成物のパックに塩化ナトリウム３重量パーセン
トの塩水を飽和吸収させた後、冷凍、凍結させて塩水氷
パックを調製し、発砲ポリスチロール製トレーの底に、
この塩水氷パックを置き、その上に、鮪の刺身を並べて
、その上からラッピングをして温度０度のオープンケー
スの中に置き、時間経過に伴う、トレー内の温度及び状
況の変化を観察した。表４、表５に使用したパック内容
物の組成と対比して観察結果を示した。

【００２６】

【表４】

【００２７】

【表５】

【００２８】この結果から本発明の塩水氷パックを使用
して、鮪刺身をオープンケース内に陳列した場合には、
少なくとも６．５時間ドリップの発生も切身の変色もな
く、新鮮な状態を維持することが分かった。

【００２９】（実施例−５）　　本実施例では、実施例
４と同様に調製した塩水氷パックをトレーの底に敷き、
その上に頭付き、皮付き甘エビを並べ、そのうえからラ
ッピングして、温度０度のオープンケース内に置き、日
数経過に伴うトレー内の状況変化を観察した。表６、表
７に使用したパック内容物の組成と対比して観察結果を
示した。

【００３０】

【表６】

【００３１】

【表７】

【００３２】この結果から本発明の塩水氷パックを用い
てオープンケース内に収納しておけば、甘エビのように
変色しやすいものでも四日間程度は変色もなく鮮度を保
持することができることが分かった。

【００３３】（実施例−６）本実施例では、実施例４と
同様であるが、吸水性樹脂３グラムとアルミナシリケー
ト粉末３グラムを不織布にて封入したパックに塩化ナト
リウム３重量パーセントを含む塩水を飽和吸収させた後
、凍結して塩水氷パックを調製した。一方海水２リット
ル中に生存している活サザエを入れ、間接冷却で水温を
１２度から５度の範囲に保っておく。実施例ではこの中
に塩水氷パックを１ケ／回投下し、１回／日の頻度でこ
れを交換し日数経過に伴う状況変化を観察した。比較例
としては、塩水氷パックを投下せずに水温のみ１２度か
ら５度の範囲に保持した。表８に経過日数に伴う水の状
況及び活サザエの観察結果を示した。

【００３４】

【表８】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の表１の時間経過を表すグラフである。

【図２】本発明の表２の時間経過を表すグラフである。

【図３】本発明の表３のマイナス２０度における時間経
過を表すグラフである。

【図４】本発明の表３の２３度における時間経過を表す
グラフである。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　粒状あるいは粉末状の吸水性樹脂（Ａ
   ）と、粒状あるいは、粉末状または、顆粒状の鮮度保持
   性あるいは抗菌性を有するセラミックス粉末（Ｂ）とを
   （Ａ）／（Ｂ）＝９９／１から１／９９、好ましくは７
   ０／３０から３０／７０（重量比）で混合してなる組成
   物。
2. 【請求項２】　　第１項に記載した組成物を抗菌加工を
   施した紙、不織布、有孔ポリマーシートでなるプラスチ
   ックフィルムあるいはそれらの複合物に収容してなるパ
   ック。
3. 【請求項３】　　第２項に記載したパックに塩化ナトリ
   ウム濃度にして０．１から５．０重量パーセント塩水を
   飽和量あるいは飽和に達せる量吸液せしめた塩水吸液パ
   ック。
4. 【請求項４】　　第３項に記載した塩水吸液パックを冷
   凍して凍結せしめた塩水氷パック。