JPH04341169A - 食品用保存剤 - Google Patents

食品用保存剤

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JPH04341169A
JPH04341169A JP16502691A JP16502691A JPH04341169A JP H04341169 A JPH04341169 A JP H04341169A JP 16502691 A JP16502691 A JP 16502691A JP 16502691 A JP16502691 A JP 16502691A JP H04341169 A JPH04341169 A JP H04341169A
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中島 智恭
Kazuhiko Nozaki
一彦 野崎
Chiaki Arai
千秋 新井
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品用保存剤に関する
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】唐辛子
等の香辛料中に含まれる抗菌性物質については、今まで
に多くの研究がなされているが、これまで抗菌性が報告
されているのは、いずれも有機溶媒を用いて唐辛子から
抽出した成分に関するものである。唐辛子等の香辛料か
らの有機溶媒抽出成分は優れた抗菌性を有することが報
告されているが、この抽出成分のうち抗菌作用を有する
ものは香辛味成分であることが判明している。
【0003】しかしながら、このような香辛味成分を抗
菌剤として食品に添加すると、香辛料の味や香りが食品
に付加され、食品本来の味や香り色等を損なうため、従
来の唐辛子等の香辛料からの抽出成分は、優れた抗菌性
を有しながら食品用保存剤として用いるには大きな問題
があった。
【0004】本発明者らは上記の点に鑑み鋭意研究した
結果、唐辛子の果実から水性溶媒により抽出した水溶性
画分に、香辛味成分以外の抗菌性物質が含有されること
を見出した。また、唐辛子の水溶性画分中に含まれる抗
菌性作用を有する物質が蛋白質であることを見出し、更
に鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の食品用保存
剤は、唐辛子の果実から、水性溶媒により抽出した水溶
性画分を有効成分とするものである。特に水溶性画分中
に、乾燥物として2重量%以上の水溶性蛋白質が含有さ
れることが好ましい。また上記唐辛子の水溶性画分と、
グリシン、酢酸ナトリウム、リゾチーム、甘草抽出抗菌
性物質、低級脂肪酸エステル、グルコノデルタラクトン
、シュガーエステル、ビタミンB1 エステル、重合リ
ン酸縁、プロタミン、ポリリジン、アスコルビン酸及び
その塩からなる群より選ばれたる1種または2種以上と
併用したものでも良い。
【0006】本発明の食品用保存剤の原料の唐辛子(学
名:Capsicumannuum L.およびCap
sium frutescens L.)は、ナス科に
属する植物で、果菜として知られているものである。唐
辛子は南アメリカ原産といわれ、熱帯から温帯に広く栽
培されている。一般に、唐辛子は、レッド・ペッパー、
チリ・ペッパー、鷹の爪、八房等といわれ、品種改良も
なされて多くの品種、形状のものが知られている。味は
甘味が強くて辛味のないものと、辛味が強烈なもの等種
々のものがあるが、本発明ではいずれの品種でも用いる
ことができる。
【0007】本発明の食品用保存剤として用いる唐辛子
の水溶性画分は、唐辛子の果実を水性溶媒で抽出して得
られる。水性溶媒としては水や、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセ
トン等を用いることができ、これらを併用することもで
きる。水溶性画分は通常、乾燥して粉末化して用いる。 また、塩析、等電点沈澱等の手段によって含有量を高め
て用いることもできる。
【0008】水溶性画分中の成分の組成、含有比等は、
原料の違い、抽出に用いる水性溶媒の違い等によっても
異なるが、水性溶媒として水を用いた場合、乾燥物とし
て通常、0.5〜5重量%の蛋白質が含有される。本発
明の食品用保存剤の有効成分である唐辛子の水溶性画分
中に含まれている抗菌性物質は、主として水溶性蛋白質
であろうと考えられる。唐辛子の水溶性画分中に含まれ
る水溶性蛋白質の含有量は、同一原料を用いても抽出方
法の違い等によって異なるが、水溶性蛋白質の含有量が
2重量%以上であることが好ましい。水溶性画分中の蛋
白質の存在は紫外線吸収スペクトル、ニンヒドリン法等
によって確認することができ、また含有量はケルダール
法、ローリー法等で定量することができる。
【0009】上記唐辛子の水溶性画分は、酵母、カビ等
の菌に対し強い抗菌活性を有し、この抗菌活性はpHに
影響されることがなく、また熱に対しても安定であるが
、他の菌に対する優れた抗菌性を有する、グリシン、酢
酸ナトリウム、リゾチーム、甘草抽出抗菌性物質、低級
脂肪酸エステル、グルコノデルタラクトン、シュガーエ
ステル、ビタミンB1 エステル、重合リン酸塩、プロ
タミン、ポリリジン、アスコルビン酸及びその塩の1種
または2種以上と併用すると食品の保存効果が更に向上
するため好ましい。
【0010】上記、グリシン、酢酸ナトリウム、グルコ
ノデルタラクトン、アスコルビン酸及びその塩は、食品
に添加できるグレードのものであれば良い。またリゾチ
ームは、通常食品用として市販されているものを使用す
ることができる。
【0011】甘草抽出抗菌性物質としては、本出願人が
先に提案した特願昭60−17298号に記載されてい
るように、甘草から芳香族炭化水素、アセトン、エタノ
ール等で抽出した物質を用いることができる。この甘草
抽出抗菌性物質の実体は現在のところ不明であるが、い
わゆる甘味料として用いられているグリチルリチンとは
全く別の物質であると考えられる。
【0012】低級脂肪酸エステルとしては、例えばカプ
ロン酸、カプリル酸、ラウリン酸等と、グリセリンとの
エステルを用いることができる。またシュガーエステル
は食品添加物として許可されているものであればいずれ
も使用できる。ビタミンB1 エステルとしては、ビタ
ミンB1 硫酸塩、例えばラウリル硫酸塩、セチル硫酸
塩等が挙げられる。更にポリリジンは、ストレプトマイ
セス属に属するポリリジン産生菌を培養して得られる培
養物から分離採取することができる。
【0013】唐辛子の水溶性画分の食品に対する添加量
は0.0005〜10重量%、特に0.005〜5重量
%が好ましい。上記した唐辛子の水溶性画分と併用する
物質の添加量は、食品の風味、味覚、色等に影響を及ぼ
さない範囲であれば良い。通常、唐辛子の水溶性画分1
重量部に対し、0.001〜20000重量部、好まし
くは0.005〜500重量部である。
【0014】本発明の食品用保存剤の対象とする食品は
、例えば穀類、野菜、果実類、海草等を主原料とする惣
菜類(佃煮等)、漬物類(浅漬、古漬等)の他、かまぼ
こ、ちくわ、はんぺん、魚肉ハム等の水産練製品、水産
珍味、ソーセージ、ウィンナーソーセージ、ベーコン、
ハンバーグ、ミートボール等の畜肉製品、豆腐、豆乳等
や缶入りコーヒー等の飲料である。
【0015】本発明保存剤の添加方法に制約はなく、唐
辛子の水溶性画分を他の抗菌剤と併用する場合、これら
を一緒に添加しても別々に添加しても良い。また本発明
の食品用保存剤を水溶液として用いる場合には食品に噴
霧しても、食品を水溶液に浸漬しても良い。本発明保存
剤の添加時期にも特に制限はなく、食品の製造過程のど
の工程において行ってもよく、例えば加工食品であれば
、一般に加熱成形した後の包装前に水溶液を噴霧したり
水溶液に浸漬する方法により添加する。本発明保存剤に
よる食品の防腐効果をより有効に発現させるためには、
本発明保存剤を添加後に食品を加熱することが好ましい
。加熱温度は通常の調理、殺菌を目的とする加熱温度ま
たはそれ以下で良いが、内部温度が50℃以上になるよ
うに加熱することが好ましい。
【0016】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0017】実施例1 唐辛子の水溶性画分(水溶性蛋白質含有量2重量%)を
、100ppm 、300ppm 、500ppm 、
700ppm 、1000ppm 添加したトリプトソ
イ寒天培地(pH=6.0)に、被検菌として4種の菌
を接種して30℃で72時間培養後、菌の発育の有無を
観察した。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示す試験において用いた菌の種類及
び評価基準は以下の通りである。 ■菌の種類 菌A:Sacchromyces cerevisia
e菌B:Hansenula anomala菌C:P
ichia membranaefaciens菌D:
Penicillium decumbens■評価基
準 +:菌の発育が認められる。 −:菌の発育が認められない。
【0020】実施例2 スケソウダラ冷凍すり身2.5kg、食塩75g、味醂
50g、グルタミン酸ナトリウム25g、砂糖25g、
馬鈴薯でんぷん175g及び氷水1kgを配合した基本
組成に、表2に組成を示す保存剤を添加し(基本組成に
対する添加剤の各成分の割合が、表2に示す割合となる
ように添加した。尚、表2中の各成分の割合は重量%で
ある。)、30分擂潰後、塩化ビニリデンフィルム(折
径4〜5mm)に約100gずつ充填し、90℃の熱水
中で30分間加熱した後、流水で30分間冷却して得た
蒲鉾を、同様にして製造した保存剤無添加の蒲鉾ととも
に保存試験標本とした。保存試験はケーシング蒲鉾を1
試験区当たり10本ずつ25℃の恒温器中で保存し、保
存性を肉眼で観察し、防腐効果を判定した。 0点:変化なし。 0.5点:極めて小さなスポット出現 1点:コロニー様スポット1個又は部分膨張1個、離水
少し濁る。 2点:コロニー様スポット2個以上又は部分膨張2個以
上、離水濁る。 3点:コロニー様スポット多数又は小さな部分膨張多数
。 4点:部分膨張又は部分軟化。 5点:全体が軟化、膨張。 として評価し、10本の試験標本の各々について評価が
1点に達するまでの日数を求め、その平均を有効保存日
数とした。結果を表3に示す。尚、官能検査の結果、本
発明保存剤を添加した試験区は、対照品を添加した対照
区に比べて味、色、におい等において全く差が認められ
ず、添加による品質上の悪影響は認められなかった。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】実施例3 強力粉500g、水60ミリリットル及びかん粉5gを
配合した基本組成に、表2に組成を示す保存剤を添加し
、充分混合した後、小型製麺機により麺線を作り、沸騰
水中で4分間ゆであげ、水冷した。水切り後、ポリエチ
レン袋に収納して密封し、1試験区当たり10袋ずつを
25℃の恒温器中に保存して外観の変化を観察した。 0点:変化なし。 1点:変色、軟化、ネト、カビが1箇所に発生。 2点:変色、軟化、ネト、カビが2箇所に発生又は1箇
所の変敗が広がる。 3点:変色、軟化、ネト、カビが全体の1/2に広がる
。 4点:変色、軟化、ネト、カビが全体の3/4に広がる
。 5点:変色、軟化、ネト、カビが全体に広がる。 として評価し、10袋の試験標本の各々について評価が
1点となるまでの日数を求めその平均を有効保存日数と
した。結果を表4に示す。
【0024】
【表4】
【0025】実施例4 合挽き肉1000g、玉葱300g、食塩10g、小麦
粉60g、水50gを配合した基本組成に表2に示す保
存剤を添加し、充分混合した後、成形して25分間蒸し
あげ、冷却した。その後、1試験区当たり10個ずつを
25℃で保存して外観の変化を観察し、有効保存日数を
実施例1と同様の基準で求めた結果を表5に示す。また
本発明保存剤を添加した試験区は、対照区に比べて味、
色、におい、形態等において全く差が認められず、添加
による品質上の悪影響は認められなかった。
【0026】
【表5】
【0027】実施例5 卵黄160g、牛乳1440g、砂糖38g、小麦粉6
.5g、コーンスターチ6.5gを基本組成とし、これ
に表6に示す保存剤を添加し(表6中の各成分の量は、
基本組成に対する重量%である。)、充分に攪拌しなが
ら弱火で加熱し総重量の1割を煮つめた。このカスター
ドクリームを冷却後、カップに充填して、25℃で保存
し外観の変化を観察し、一般生菌数が、1×106個/
gに達するまでの日数を有効保存日数とした。結果を表
7に示す。また官能試験を行った結果、本発明保存剤を
添加した試験区は、対照区に比べて味、色、におい、形
態等において全く差が認められず、添加による品質上の
悪影響は認められなかった。
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【0030】実施例6 市販の原豆乳(pH=7.0)40〜50ミリリットル
をガラスビンに分注し、オートクレーブ滅菌を行った。 表6に示す組成の保存剤の水溶液(水溶液中の各成分の
量が、表6に示す量となるように水溶液を調整した。尚
、表6中の各成分の量は重量%である。)を、ろ過滅菌
した後、滅菌豆乳に添加混合し、全量を50ミリリット
ルとした。次いでバチルス・ズブチリスIAM1069
の胞子懸濁液を豆乳中約102 個/ミリリットルとな
るように接種し、90℃の水浴中で40分間加熱した後
、水冷し、25℃で保存して経日的に菌数測定を行った
。菌数が106 個/ミリリットルとなるまでの日数を
有効保存日数とした。結果を表8に示す。
【0031】
【表8】
【0032】実施例7 豚肉及びマトンの挽き肉の等量の混合物6kgに対し、
豚脂15重量%、食塩2.5重量%、重合リン酸塩0.
1重量%、スパイス0.5重量%、亜硝酸ナトリウム7
0ppm 及び氷水10重量%を加え、サイレントカッ
ターで10分間カッティングした。得られたエマルジョ
ン肉を手動式スタッファーを用いて約15gずつ羊腸に
充填した。これをスモークハウスで40分間乾燥後、ス
モーク及び蒸煮を行い、中心部温度が75℃となるよう
に加熱してウィンナーソーセージを製造した。このウィ
ンナーソーセージを一夜冷蔵庫に保管後、表6に示す組
成の保存剤の水溶液(水溶液中の各成分の量が、表6に
示す量となるように水溶液を調整した。)に2分間浸漬
し、水切り風乾後、滅菌シャーレ1枚にウィンナーソー
セージ2本ずつ入れたものを1試験区10枚用意し、2
5℃で保存して外観の変化を観察した。実施例1と同様
の基準によって有効保存日数を求めた。結果を表9に示
す。
【0033】
【表9】
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明の保存剤を添
加した食品は、保存性を著しく向上することができる。 また本発明の保存剤は、食品本来の味覚、風味、色等を
変化させることがなく、添加による品質上の悪影響がな
い等の優れた食品用保存剤である。しかも唐辛子の水溶
性画分を他の抗菌性を有する物質と併用すると、更に食
品の保存性を向上することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  唐辛子の果実から、水性溶媒により抽
    出した水溶性画分を有効成分とする食品用保存剤。
  2. 【請求項2】  水溶性画分中に乾燥物として2重量%
    以上の水溶性蛋白質を含有する請求項1記載の食品用保
    存剤。
  3. 【請求項3】  請求項1または2記載の唐辛子の水溶
    性画分と、グリシン、酢酸ナトリウム、リゾチーム、甘
    草抽出抗菌性物質、低級脂肪酸エステル、グルコノデル
    タラクトン、シュガーエステル、ビタミンB1 エステ
    ル、重合リン酸塩、プロタミン、ポリリジン、アスコル
    ビン酸及びその塩からなる群より選ばれたる1種または
    2種以上とからなる食品用保存剤。
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