JPH04318145A - 強度かつ耐食性に優れるAl−Mg系超塑性アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

強度かつ耐食性に優れるAl−Mg系超塑性アルミニウム合金板及びその製造方法

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JPH04318145A JP11237891A JP11237891A JPH04318145A JP H04318145 A JPH04318145 A JP H04318145A JP 11237891 A JP11237891 A JP 11237891A JP 11237891 A JP11237891 A JP 11237891A JP H04318145 A JPH04318145 A JP H04318145A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は結晶粒を微細にした材料
で発現する微細結晶粒超塑性アルミニウム合金板及びそ
の製造方法に係り、更に詳しくは、強度及び耐食性に優
れるAl−Mg系超塑性アルミニウム合金板及びその製
造方法に関する。
【0002】なお、本発明において、超塑性とは、ある
加工条件の下で材料がくびれ(ネッキング)なしに数1
00〜1000%もの巨大な伸びを生じる現象を言う。 本発明はである。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】通常の
Al−Mg系アルミニウム合金材は、軟質化材であって
も、伸びはたかだか30%程度で、より成形の難しい加
工品には超塑性材の開発が望まれており、種々の方法に
よって結晶粒を微細化し、500〜550℃程度の温度
での変形で超塑性を得る試みが、
【表1】 に示すように行われている。
【0004】ところで、従来は、超塑性化のポイントと
なる結晶粒の微細化に開発の重点が置かれていたが、実
用化を迎えつつある現在は、下記のような相反する問題
が顕在化してきた。
【0005】すなわち、■Al−Mg系アルミニウム合
金材では材料の強度(耐力、σy)は、所謂、ホール=
ペッチの式(1)
【数1】 で表わされる。
【0006】この式(1)において、σyは材料の摩擦
力で、Al−Mg系アルミニウム合金の場合は、主とし
てMgとAl原子との原子半径の差(約10%)に基づ
く固溶体強化によるもので、大きさはMgの含有量に比
例する。dは結晶粒径である。KyはMgと転位との固
着の強さ等に比例する定数で、具体的には強度(耐力)
の結晶粒径依存性を示し、したがって、式(1)は結晶
粒径が小さいほど、材料の強度は大きくなることを示す
【0007】ところで、超塑性材では、結晶粒径(d)
は、通常の軟質材の場合が30〜40μm(
【数2】 )であるのに対し、10〜20μm(
【数3】 )と
【数4】 が大きくなり、材料は結晶粒が小さくなることにより、
固着強化される。したがって、Al−Mg系アルミニウ
ム合金超塑性材料は、『Mgによる固溶体強化+結晶粒
微細化による固着強化』の二重の強化機構により強化さ
れていることになる。
【0008】■Al−Mg系アルミニウム合金材では、
Mg量が多くなると、使用環境により固溶していた結晶
粒界上にβ′−Mg2Al3が析出してきて、応力腐食
割れ(SCC)が発生し易くなり、SCCの恐れのある
構造材では、通常はMg量は4%以下に規制されている
【0009】したがって、上記の■の材料強度と、■の
耐食性については、お互いに矛盾する材料設計が要求さ
れていた。
【0010】本発明は、かゝる要請に応えるべくなされ
たものであって、Al−Mg系アルミニウム合金材料に
おいて、強度と耐食性に優れたAl−Mg系超塑性アル
ミニウム合金板を提供し、並びにその製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は、次の2点につき、鋭意研究開発に努め
た。 (1)まず、耐食性を向上させるには、Mg量を制限し
、代わりに、従来のジュラルミン系のAl−Cu−Mg
系合金で良く知られる、S.S.(固溶体)→G.P.
Bゾーン(T4状態)→S′−CuMgAl2(T6状
態)の析出強化機構を利用検討する。 (2)応力腐食割れは、結晶粒界と結晶粒内との腐食電
位の差により、電位的に卑な結晶粒界が優先的に腐食す
るものであるから、粒内に析出し易い粒子を検討し、粒
界と粒内の電位差を少なくし、応力腐食割れ感受性を低
下させる。
【0012】その結果、Al−Mg系合金に上記2点の
効果を付与し、強度かつ耐食性に優れたAl−Mg系超
塑性アルミニウム合金を製造できる冶金的手段及び製造
方法を見い出し、ここに本発明をなしたものである。
【0013】すなわち、本発明は、Mg:2〜5%及び
Cu:0.04〜0.10%を含有し、遷移元素のCr
:0.10〜0.25%、Zr:0.05〜0.15%
及びMn:0.10〜0.20%からなる群より選んだ
少なくとも1種以上を含有し、残部がAl及び不純物で
、かつ、不純物のうちSi:0.10%以下、Fe:0
.15%以下に規制したアルミニウム合金において、結
晶粒径を20μm以下に制御し、かつ遷移元素系金属間
化合物の平均直径を300〜2000Å、その体積分率
を0.05〜0.1%に制御してなることを特徴とする
強度かつ耐食性に優れるAl−Mg系超塑性アルミニウ
ム合金板を要旨とするものである。
【0014】また、その製造方法は、上記の化学成分を
有するアルミニウム合金鋳塊に450〜550℃で均質
化熱処理を施し、250〜550℃の温度で熱間圧延し
、必要に応じて中間圧延を施した後、120〜230℃
の温度で0.5〜30時間保持する熱処理を施し、50
%以上の冷間加工率で仕上圧延を行った後、500℃/
min以上の昇温速度で400〜550℃の温度に加熱
して再結晶処理することにより、結晶粒径を20μm以
下に制御し、かつ遷移元素系金属間化合物の平均直径を
300〜2000Å、その体積分率を0.05〜0.1
%に制御することを特徴とするものである。
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。
【0016】
【作用】まず、本発明における合金の化学成分の限定理
由について説明する。
【0017】Mg:Mgはそれ自体の固溶体強化、及び
後述のCuと結合した時効析出物(G.P.Bゾーン或
いはS′−CuMgAl2)との析出硬化により強度を
付与すると同時に、電位的卑なS′−CuMgAl2が
結晶粒内に析出し、粒界と粒内の電位差を小さくし、応
力腐食割れ感受性を低下させる作用がある。しかし、2
%未満では十分な強度が得られず、また5%を超えると
、応力腐食割れ感受性が大きくなり、実用に供し得ない
。よって、Mg含有量は2〜5%の範囲とする。
【0018】Cu:Cuは時効析出物(G.P.B.ゾ
ーン或いはS′−CuMgAl2)により強度の付与と
応力腐食割れ感受性を低減させる作用がある。しかし、
0.04%未満では十分な強度と耐食性の改善が得られ
ず、また0.10%を超えると溶体化処理後に過剰のS
′−CuMgAl2が結晶粒内に析出し、一般耐食性を
損ねたり、鋳造時にCu2FeAl7が晶出し、伸び、
成形性が大きく低下する。よって、Cu含有量は0.0
4〜0.10%の範囲とする。
【0019】遷移元素Cr、Zr、Mn:Cr、Zr、
Mnは鋳造後の均質化熱処理時にAlと金属間化合物(
dispersoids)ZrAl3、Cr2Mg3A
l18、MnAl6を生成することにより、超塑性材に
必要な20μm以下の微細な結晶粒を付与し、また、材
料が約500℃位の高温での超塑性変形中に結晶粒が粗
大化して、超塑性変形態が低下するのをこれらの金属間
化合物がその粗大化を阻止し、所望の超塑性変形を維持
させる重要な効果を有している。 しかし、Cr、Zr、Mnが各々0.10%、0.05
%、0.10%より少ないと上記の効果が十分に得られ
ず、また各々0.25%、0.15%、0.20%を超
えると粗大な金属間化合物が生成し、超塑性変形態を大
きく低下させる。よって、Cr含有量は0.10〜0.
25%、Zr含有量は0.05〜0.15%、Mn含有
量は0.10〜0.20%の範囲とする。
【0020】不純物Si、Fe:Si、Feは元来不純
物としてAl地金に含有されるものであるが、Si量が
0.10%、Fe量が0.15%を各々超えて含有する
と、Mg2SiやCu2FeAl7が鋳造時に晶出し(
晶出物の生成)、超塑性変形中にボイドの起点となり、
超塑性変形能を大きく低下させる。よって、不純物のう
ちSi量は0.10%以下、Fe量は0.15%以下に
規制する。なお、Tiは、鋳塊の組織を微細化する効果
があるため、0.005〜0.05%の範囲で添加する
ことができる。
【0021】次に、製造方法について説明する。上記の
化学成分を有するアルミニウム合金を鋳造して得られた
鋳塊について、内部に不均質に分布している主要元素の
均質化、及び遷移元素とAlとの金属間化合物、すなわ
ち“dispersoids”と呼ばれる平均直径が3
00〜2000ÅのCr2Mg3Al18、ZrAl3
、MnAl6Åの体積分率を0.05〜0.1%に制御
するために、450〜550℃の温度で均質化熱処理を
施す。なお、均質化熱処理時間は特に制限されないが、
例えば、450℃の低温度側では8〜12時間、高温度
側の550℃では4〜8時間でよい。金属間化合物の大
きさは、低温・短時間程小さく、逆に高温・長時間程大
きく、且つ遷移元素の種類によってAl合金中の拡散係
数や結晶構造が異なるが、一般にはZrAl3<Cr2
Mg3Al18<MnAl6の順になり、ZrAl3で
約300〜500Å、MnAl6で約1000〜200
0Åとなる。また、体積分率が0.05%未満では、超
塑性変形中の微細粒維持効果が小さくなり、0.1%を
超えると、逆に応力集中源となり、超塑性変形能を損ね
る。よって、金属間化合物の体積分率は0.05〜0.
1%の範囲に制御する。
【0022】均質化熱処理後、550〜250℃の温度
で熱間圧延を行い、粗い鋳塊組織を展伸材組織に加工す
る。この際、上記の金属間化合物(dispersoi
ds)が結晶粒の粗大化を阻止し、未再結晶粒組織或い
は細かい再結晶粒組織を付与する。次いで、必要に応じ
て、仕上圧延時の冷間圧延率を調整するために、中間圧
延(冷間圧延)を行い、所望の板厚に加工する。
【0023】次いで、120〜230℃の温度で0.5
〜30時間保持の熱処理を施す。この熱処理により、β
′−Mg2Al3やS′−CuMgAl2が焼鈍中に析
出し、次の冷間圧延中にこれらの析出物回りに高密度の
転位が生成され、微細結晶粒の核となる。120℃より
低い温度や230℃より高い温度では、これらの析出物
が生成されにくいので、熱処理温度は120〜230℃
の温度域が好ましい。また、熱処理時間は、熱処理温度
により異なり、例えば200℃以上の温度域では0.5
時間で十分であり、120℃の温度域では30時間が必
要となるので、0.5〜30時間の範囲とする。
【0024】次に、50%以上の冷間加工率で仕上圧延
を実施する。この時、上記のように先の熱処理により生
成した析出物の回りに高密度の転位が生成されるのであ
る。しかし、50%未満の冷間加工率では十分な転位密
度が得られず、所望の微細結晶粒が得られない。したが
って、仕上圧延時の冷間加工率は50%以上とする。
【0025】最後に、500℃/min以上の昇温速度
で400〜550℃の温度域に加熱し、20μm以下の
微細結晶粒を再結晶させる。この時の昇温速度が500
℃/min未満では再結晶の核生成頻度が減少し、所望
の微細結晶粒が得られない。また、400℃未満の温度
域では再結晶が工業的に短時間で完了せず、550℃を
超える温度域ではバーニングの危険性が大きくなる。し
たがって、再結晶処理は500℃/min以上の昇温速
度で、400〜550℃の温度域に加熱して実施する。
【0026】このようにして得られた超塑性材において
は、約500℃の温度での加工中に上記の均質化熱処理
工程で生成されたCr2Mg3Al18、ZrAl3、
MnAl6等の金属間化合物(dispersoids
)が高温時の結晶粒の粗大化を抑制し、加工中に微細結
晶粒組織を維持し、所望の超塑性が得られるのである。
【0027】次に本発明の実施例を示す。
【0028】
【実施例1】
【表2】 に示す化学成分を有するアルミニウム合金鋳塊に460
℃×12時間の均質化熱処理を施し、450〜300℃
の温度の熱間圧延により3.3mm厚の板材にした。次
に160℃×8時間の熱処理を施し、仕上圧延により1
.5mm厚の板材にした(冷間加工率55%)。最後に
昇温速度500℃/minで500℃に加熱し、0.1
時間保持の再結晶処理を施した。
【0029】得られた材料のL(圧延方向)−ST(圧
延方向に直角方向)面を研磨した後、200倍の光学顕
微鏡で撮影し、L方向(圧延方向)の結晶粒径を切断法
で求めた。また、透過電子顕微鏡観察により、試料厚さ
が2000Åの部位で観察を行い、写真から金属間化合
物(dispersoids)の体積分率を求めた。更
に、圧延方向にJIS5号引張試験片を切り出して機械
的性質を求めた。更にまた、材料から曲げ半径15mm
のU字曲げ試験片を作製し、3.5%NaCl水溶液中
の通電法により1000分間の試験を行い、耐応力腐食
割れ性を評価した。最後に、ゲージ部の幅8mm×長さ
15mmの超塑性試験片を作製し、500℃に加熱後、
初期変形速度1×10−4/secで超塑性変形能(伸
び)を調査した。その結果を
【表3】 に示す。
【0030】表3より明らかなように、本発明例No.
1〜No.5は金属間化合物(dispersoids
)の平均直径が350〜1200Å、その体積分率が0
.05〜0.09%、かつ結晶粒径が12〜19μmに
制御されており、360〜480%の良好な超塑性変形
能を示している。
【0031】本発明例No.1と比較例No.7、及び
本発明例No.2と比較例No.9の比較からわかるよ
うに、同一のMg量の材料において、本発明例は、比較
例よりも強度(耐力)が20〜30N/mm2(約20
%)向上しており、また、いずれも良好な耐食性を示し
ている。また、比較例No.6は強度及び超塑性伸びが
低く、比較例No.8は耐応力腐食割れが劣り、No.
10は一般耐食性が劣り、比較例No.11〜No.1
8は超塑性伸びがいずれも300%未満であって、いず
れの比較例も、良好な強度、耐食性及び超塑性変形能を
合わせ持つ材料とは言えない。
【0032】
【実施例2】表2に示したNo.1〜No.3と同一の
化学成分を有するアルミニウム合金鋳塊を用い、
【表4
】 に示す製造条件で1.5mm厚の板材を得た。次いで、
実施例1と同様の試験法で各種性能を調査した。その結
果を
【表5】 に示す。
【0033】表5より明らかなように、本発明例No.
1〜No.5は、金属間化合物(dispersoid
s)の平均直径が350〜400Å、その体積分率が0
.05〜0.06%、かつ結晶粒径が11〜19μmに
制御されており、420〜470%の良好な超塑性変形
能を示している。 また、いずれも耐力が113N/mm2以上と高い。更
にいずれも良好な耐食性を示している。
【0034】一方、比較例No.7〜No.15は、い
ずれも、超塑性伸びが250%未満であり、その耐力も
本発明例より低く、良好な強度及び超塑性変形能を合わ
せ持つ材料とは言えない。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
強度と耐食性に優れたAl−Mg系超塑性アルミニウム
合金板を提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  重量で(以下、同じ)、Mg:2〜5
    %及びCu:0.04〜0.10%を含有し、遷移元素
    のCr:0.10〜0.25%、Zr:0.05〜0.
    15%及びMn:0.10〜0.20%からなる群より
    選んだ少なくとも1種以上を含有し、残部がAl及び不
    純物で、かつ、不純物のうちSi:0.10%以下、F
    e:0.15%以下に規制したアルミニウム合金におい
    て、結晶粒径を20μm以下に制御し、かつ遷移元素系
    金属間化合物の平均直径を300〜2000Å、その体
    積分率を0.05〜0.1%に制御してなることを特徴
    とする強度かつ耐食性に優れるAl−Mg系超塑性アル
    ミニウム合金板。
  2. 【請求項2】  請求項1に記載の化学成分を有するア
    ルミニウム合金鋳塊に450〜550℃で均質化熱処理
    を施し、250〜550℃の温度で熱間圧延し、必要に
    応じて中間圧延を施した後、120〜230℃の温度で
    0.5〜30時間保持する熱処理を施し、50%以上の
    冷間加工率で仕上圧延を行った後、500℃/min以
    上の昇温速度で400〜550℃の温度に加熱して再結
    晶処理することにより、結晶粒径を20μm以下に制御
    し、かつ遷移元素系金属間化合物の平均直径を300〜
    2000Å、その体積分率を0.05〜0.1%に制御
    することを特徴とする強度かつ耐食性に優れるAl−M
    g系超塑性アルミニウム合金板の製造方法。
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