JPH0431151Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、吸殻受けとされたインナーケースを
アウターケースに収納された非使用位置から手前
側へ突出させた使用位置へ摺動可能とした自動車
用灰皿に関する。

（従来の技術） 一般に、自動車用灰皿としては、アウターケー
ス内に収納された吸殻受け用のインナーケースの
前面に把手部を形成し、該把手部を手前に引張つ
てインナーケースをアウターケースより引き出す
ようにした形式のものが広く用いられている。然
し乍ら、このような形式のものにおいては、ひの
引き出し操作が煩わしく、それ故、例えば自動車
の運転中において運転者が灰皿を使用しようとし
て、上記のごとく引き出し操作をする場合には、
前方に対する注意力等が散漫する虞があつた。

そこで、例えば特公昭60−45920号公報に記載
されているように、より操作性に優れた自動車用
の灰皿が提供されている。この灰皿は、所謂プツ
シユ・プツシユタイプと称されるものであつて、
アウターケースにガイド部材を、また一方、イン
ナーケースには上記ガイド部材に係合する係合部
材を夫々設けると共に、該インナーケースの前面
部を押圧することにより、上記係合部材をガイド
部より離脱させてインナーケースを手前に回動あ
るいは摺動させることにより該インナーケースを
アウターケースより突出させた使用状態と、アウ
ターケース内に収納させた非使用状態とに簡単に
切換え得るようにしたものである。これにより、
当該灰皿の使用時における操作性が一段と向上す
ると共に、運転中にこれを使用する場合における
運転者の前方に対する注意力等が低下することの
ないように図られている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記のような従来の灰皿において
は、これを使用する場合に、インナーケースを手
前に回動あるいは摺動させてアウターケースより
突出させるのであるが、該インナーケースをアウ
ターケースの所定位置に架設された支軸を中心と
して回動させてアウターケースより突出させる場
合には、該インナーケースを大きく手前に回動さ
せることができない。即ち、インナーケースを余
り大きく手前に回動させ過ぎると、該インナーケ
ース内に溜つた吸殻が外部（車室内）に散乱する
等の問題があり、その為、インナーケースの回動
範囲が規制されることになつて、該インナーケー
スの容量を十分に確保することがてきず、頻繁に
インナーケースの全体をアウターケースより取り
外して、その都度インナーケースに溜つた吸殻を
所定の場所に捨てなければならないことになり、
また、該インナーケースの上面の開口部を十分広
く開放できないため、灰皿としての良好な使用性
が得られないことになるのである。

また、一方、インナーケースを手前に摺動させ
てアウターケースより突出させる場合には、上記
のごとくインナーケースを回動させる場合に比べ
て、該インナーケースの容量を比較的大きくとる
ことが可能となるが、その分、手前側への突出量
が大きくなる。その為、例えばアウターケースよ
り突出した状態にある上記インナーケースの近傍
にシフトレバーが配設されている場合には、該シ
フトレバーの操作時、特にある特定方向へのシフ
ト操作時に上記インナーケースが障害となつて、
シフト操作を円滑に行い難いといつた問題が生じ
ることになる。また、これを回避しようとすれ
ば、使用時におけるインナーケースの手前側への
突出量が制限され、そのため、上記の回動式の場
合と同様、インナーケース上面の開口部を広く開
放することができなくなつて、灰皿としての良好
な使用性が得られないことになる。

そこで、本考案は、この種の自動車用灰皿とし
て、容量が大きく且つ使用時にインナーケース上
面の開口部が広く開放され、しかも、手前側への
突出量が極力抑制された自動車の灰皿を提供する
ことを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案は次のよ
うに構成したことを特徴とする。

即ち、車室内の所定位置に固設されるアウター
ケースと、該アウターケースに摺動自在に保持さ
れてアウターケース内に収納された非使用位置と
アウターケースより突出した使用位置とに切換え
られる吸殻受け用のインナーケースとを有する自
動車の灰皿において、上記インナーケースを非使
用位置から使用位置へ手前側斜め下方に突出させ
るガイド機構が設けると共に、該ガイド機構を、
非使用位置ではインナーケースを手前側が奥側よ
り高くなる傾斜姿勢に保持し、この位置から手前
側へ斜め下方に突出させて、使用位置では該イン
ナーケースをアウターケースの下方で水平姿勢に
保持するように構成する。

（作用） 上記の構成によれば、アウターケース内に収納
された非使用位置からインナーケースを手前側へ
突出させて使用位置に位置させる時、該インナー
ケースは手前側が奥側より高くなつた傾斜姿勢か
らガイド機構に案内されて水平姿勢に移行しなが
ら斜め下方へ突出することになるので、該インナ
ーケースの容量を十分に確保し且つ使用位置での
インナーケース上面の開口部を上方に広く開放す
ることができると共に、手前側への突出量を極力
抑制することが可能となる。これにより、灰皿と
しての良好な使用性が得られると共に、例えば、
アウターケースより突出して使用位置にあるイン
ナーケースの近傍にシフトレバーが配設されてい
る場合においても、該シフトレバーと使用位置に
ある上記インナーケースとの間に十分空間が確保
されることになつて、該シフトレバーの操作時、
特にある特定方向へのシフト操作時においても上
記インナーケースが障害となつて、該シフトレバ
ーのシフト操作が阻害されることがない。

（実施例） 次に本考案の具体的な実施例を図面に基づいて
説明する。

第１図に示すように、自動車のインストルメン
トパネル１の中央部２には、カーステレオ３等が
組込まれていると共に、該中央部２の下方にシガ
ーライター４ならびに本実施例の灰皿５が配設さ
れている。また、図示しないけれども、上記灰皿
５の手前側にはシフトレバーが配設されている。

そして、上記灰皿５は、第２〜第６図に示すよ
うに、上記インストルメントパネル１における中
央部２の下方内面に固設されるアウターケース６
と、該アウターケース６に保持されるインナーケ
ース７とを有し、該インナーケース７の一側面７
ａには一対のガイドピン８ａ，８ｂが所定の曲率
半径上に位置するように固設され、且つ他側面７
ｂには円弧状のラツク９が夫々固設されており、
これらガイドピン８ａ，８ｂおよびラツク９が、
上記アウターケース６の両側面６ａ，６ｂの内面
に一体的に形成された上下一対のガイドレール１
０ａ，１０ｂおよびラツク受け部材１１に夫々係
合ないしは支持されていることにより、該インナ
ーケース７の全体がアウターケース６に対して摺
動自在に保持されている。その場合に、上記ガイ
ドレール１０ａ，１０ｂ及びラツク受け部材１１
は第４図及び第６図に示すように上に凸の円弧状
であつて、手前側が奥側より低くされている。そ
して、このガイドレール１０ａ，１０ｂ及びラツ
ク受け部材１１に上記一対のガイドピン８ａ，８
ｂ及びラツク９が係合されて案内されることによ
り、インナーケース７が手前側が奥側よりも高く
なつた傾斜姿勢でアウターケース６に収納された
非使用位置から、水平姿勢に移行しながら手前側
へ斜め下方に突出した使用位置へ案内されるよう
になつている。なお、第２、第４図に示すよう
に、上記アウターケース６の上面部両側には、該
アウターケース６をビス等の固定部材を介して所
定位置に取付けるための複数の取付け用ボス部６
ｃ…６ｃが形成されている。また、上記アウター
ケース６の後部に一体的に形成されたフランジ部
６ｄに固設された支持軸１２には、コイルバネ１
３が巻装されており、該コイルバネ１３の一端が
上記フランジ部６ｄに、また他端が上記インナー
ケース７の後面に夫々当接されていることによ
り、該インナーケース７がアウターケース６より
車室内側に突出する方向に付勢されている。更
に、上記インナーケース７の一側面７ｂに固設さ
れたラツク９に噛合するピニオンギア１４が、該
ギア１４の回転速度を規制するためのダンパー１
５と一体的に上記アウターケース６における一方
の側面６ｂの内周に固設されており、これによ
り、上記コイルバネ１３によりインナーケース７
の全体がアウターケース６より突出する場合にお
ける該インナーケース７の突出速度を調節して、
該インナーケース７の急激な飛び出しを防止する
ように構成されている。

然して、本実施例においては、インナーケース
７の前面７ｃに開閉用リツド１６が配設され、こ
の開閉用リツド１６はその両側面下方を支軸１７
ａ，１７ｂを介してインナーケース７の両側面７
ａ，７ｂに夫々枢着されていることにより、イン
ナーケース７に対して回動自在に支持されている
と共に、一方の支軸１７ｂに巻装されたコイルバ
ネ１８により、両支軸１７ａ，１７ｂを中心とし
て第４図に示す矢印X₁方向に常時付勢されてい
る。更に、上記開閉用リツド１６の一側面上部に
はロツクピン１９が固設されていると共に、該ロ
ツクピン１９が、上記アウターケース６における
一側面６ｂの前端部内周に支軸２０を介して回動
自在に枢支されたロツクプレート２１に係合され
ている。このロツクプレート２１は、第７図に示
すように、上記ロツクピン１９を係合する突起部
Ａと、該ロツクピン１９を案内させるガイド溝Ｂ
と、同じくロツクピン１９が当接する円弧面Ｃと
が形成されている。そして、該ロツクプレート２
１が上記支軸２０に巻装されたコイルバネ２２に
より、該支軸２０を中心として、第５図に示す矢
印X₂方向に常時付勢されている。

尚、第３図および第５図に示すように、インナ
ーケース７の上部にはフアイヤーカツトプレート
２３が介装され、図示のごとくインナーケース７
がアウターケース６内に収納されている状態にお
いては、該インナーケース７の上部を覆うことに
より、インナーケース７内に捨てられた吸殻等の
不意の炎上を防止すると共に、インナーケース７
がアウターケース６より突出した状態において
は、フアイヤーカツトプレート２３の全体がその
後端を支持する支軸２４を中心に上方に回動し
て、吸殻を捨てる場合に支障をきたすことのない
ように構成されている。

上記の構成によれば、アウターケース６の後部
における支軸１２に巻装されたコイルバネ１３に
より、インナーケース７がアウターケース６より
突出する方向に付勢されているのであるが、該イ
ンナーケース７の前面に回動自在に支持された開
閉用リツド１６に固設されたロツクピン１９が、
上記アウターケース６の一側面６ｂの前端部内周
に回動自在に枢着されたロツクプレート２１に係
合されていることにより、インナーケース７の全
体が図示のごとくアウターケース７内に収納され
た非使用位置に保持されることになる。

そして、上記インナーケース７が非使用位置に
収納された状態において、該インナーケース７の
前面７ｃにおける開閉用リツド１６を押圧するこ
とにより、該開閉用リツド１６と上記ロツクプレ
ート２１との係合が解除されて、インナーケース
７の全体が、第４図および第６図に鎖線で示すよ
うに、アウターケース６より手前側斜下方へ突出
した使用位置へ突出されることになるのである
が、上記開閉用リツド１６とロツクプレート２１
との係合を解除させてインナーケース７を使用位
置に突出させる場合について、第８図を用いて更
に詳しく説明する。

即ち、第８図イにおいては、開閉用リツド１６
に固設されたロツクピン１９が、ロツクプレート
２１における突起部Ａに係合されたロツク状態と
なつているので、この状態においては、開閉用リ
ツド１６と一体の上記インナーケース７がアウタ
ーケース６内に収納された非使用位置に保持され
ている。そして、この状態より上記開閉用リツド
１６を、第８図ロに示すように、支軸１７ｂに巻
装されたコイルバネ１８に抗して該支軸１７ｂを
中心に矢印Y₁方向に押圧することにより、ロツ
クピン１９がロツクプレート２１の突起部Ａを押
圧することになつて、該ロツクプレート２１が支
軸２０を中心に該支軸２０に巻装されたコイルバ
ネ２２に抗して矢印Y₂方向に回動されることに
なる。これにより、ロツクピン１９が上記ロツク
プレート２１の突起部Ａを乗り越えることになつ
て、その後、第８図ハに示すように、該ロツクピ
ン１９がロツクプレート２１に形成されたガイド
溝Ｂ内に達することになる。この時、開閉用リツ
ド１６がインナーケース７の前面に支軸１７ａ，
１７ｂを介して支持されていることにより、該イ
ンナーケース７を使用位置に付勢するコイルバネ
１３の付勢力により該開閉用リツド１６がロツク
ピン１９をガイド溝Ｂに案内されつつ前方に押し
出されることになる。これにより、第８図ニに示
すようにインナーケース７の全体が、該インナー
ケース７の両側面７ａ，７ｂに固設されたガイド
ピン８ａ，８ｂならびにラツク９を、夫々ガイド
レール１０ａ，１０ｂおよびラツク受け部材１１
により案内されて傾斜姿勢の非使用位置から手前
側の使用位置へ水平姿勢に移行しながら突出され
ることになる。そして、このインナーケース７の
使用位置への突出は斜め下方へ行われるので、第
４図に示すように、該インナーケース７の上面と
アウターケース６の上面との間に間隔Ｈが生じ、
そのため、該インナーケース７の前端のアウター
ケース６の前端からの突出量Ｌを少なく抑制しな
がら、インナーケース７の上面開口部が上方に広
く開放されることになり、これにより灰皿として
の良好な使用性が得られることになる。また、該
インナーケース７をアウターケース６内の非使用
位置に収納する場合には、第８図ニに示す状態よ
り開閉用リツド１６を押圧して、インナーケース
７を押し上げると、該開閉用リツド１６における
ロツクピン１９がロツクプレート２１における円
弧面Ｃに当接し、該ロツクプレート２１を第８図
ロに示した矢印Y₂方向に回動させて、再び第８
図イに示すようにロツクピン１９がロツクプレー
ト２１に係合されたロツク状態になつて、インナ
ーケース７の全体をアウターケース６内に収納さ
せた非使用位置に保持することが可能となる。

尚、上記インナーケース７を第４図および第６
図に鎖線で示した使用位置より、更に手前側に引
張ることにより、該インナーケース７の一側面７
ｂに固設されたラツク９がこれを支持するための
ラツク受け部材１１より離脱し、該ラツク９とピ
ニオンギア１４との噛合状態が解除されて、該イ
ンナーケース７の全体をアウターケース６より抜
去することができる。

（考案の効果） 以上のごとく本考案は、車室内の所定位置に固
設されるアウターケースに、吸殻受け用のインナ
ーケースを摺動自在に支持させて、該インナーケ
ースをアウターケース内に収納された非使用位置
からアウターケースより手前側へ突出した使用位
置に摺動させるようにした自動車の灰皿におい
て、上記インナーケースを手前側斜下方の使用位
置に突出させるようにしたので、該インナーケー
スの容量を十分に確保し、且つ使用位置でインナ
ーケースの上面開口部を上方に広く開放すること
ができると共に、該インナーケースの手前側への
突出量を極力低く押えることが可能となり、これ
により、灰皿としての良好な使用性を確保しなが
ら、例えば、インナーケースの近傍にシフトレバ
ーが配設されている場合においても、該シフトレ
バーとインナーケースとの間に空間が確保される
ことになつて、シフトレバーの操作時にアウター
ケースより手前側に突出したインナーケースが障
害となることがなく、シフト操作を円滑に行うこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
本実施例の灰皿の取付状態を示す斜視図、第２図
は本実施例の灰皿の正面図、第３〜第６図は夫々
第２図−、−、−および−切断
線よりみた断面図、第７図はロツクプレートの斜
視図であり、また、第８図はロツクプレートと開
閉用リツドとの係脱状態を示す概略図である。 ５……灰皿、６……アウターケース、７……イ
ンナーケース、８ａ，８ｂ……ガイドピン、９…
…ラツク、１０ａ，１０ｂ……ガイドレール、１
１……ラツク受け部材、１３……コイルバネ、１
６……開閉用リツド、１９……ロツクピン、２１
……ロツクプレート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車室内の所定位置に固設されるアウターケース
   と、該アウターケースに摺動自在に保持されてア
   ウターケース内に収納された非使用位置とアウタ
   ーケースより突出した使用位置とに切換えられる
   吸殻受け用のインナーケースとを有する自動車の
   灰皿であつて、上記インナーケースを非使用位置
   から使用位置へ手前側に突出させるガイド機構が
   設けられていると共に、このガイド機構は、非使
   用位置ではインナーケースを手前側が奥側より高
   くなる傾斜姿勢に保持し、この位置から手前側へ
   斜め下方に突出させて、使用位置では該インナー
   ケースをアウターケースの下方で水平姿勢に保持
   するように設けられていることを特徴とする自動
   車の灰皿。