JPH0430363Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はスケルトン構造を有するエンジンのシ
リンダブロツク構造に関する。

（従来技術） 従来からスケルトン構造のシリンダブロツクに
おける冷却水およびオイルのシールには、例えば
実願昭55−67756号に示すようなパツキンを使用
している。しかし、このようなパツキンをシリン
ダブロツクに押圧させるパネルは、ボルトなどに
よりシリンダブロツクに締結せざるを得ず、した
がつてシリンダブロツクの振動はボルトを通じ伝
達されてパネルを振動させるのでエンジン騒音の
低減を充分に図ることができない傾向にある。

また、エンジン騒音の低減を図るためにシリン
ダブロツクを囲む内側パネルと外側パネルとを有
した２重壁構造にした例えば実公昭57−41380号
公報に示すようなものがある。

ところで、この公報に示すようなシリンダブロ
ツクにおいて、シリンダブロツクの振動が外側パ
ネルに伝達されないようにするため、外側パネル
をシリンダブロツクからフローテイング状態にす
る必要がある。そのため、冷却水をシールするパ
ツキンを押圧している内側パネルと外側パネルと
の間に中空ゴムを介在させて、外側パネルから挿
入されたボルトにより内側パネルとシリンダブロ
ツクとを締結させている。

したがつて、内側パネルとシリンダブロツクと
の締結力の向上を図ることは難しく、冷却水のシ
ール性も乏しい。また、外側パネルをシリンダヘ
ツドからフローテイング状態にするための中空ゴ
ムなどの部品点数も増加する傾向にある。

このように、スケルトン構造のシリンダブロツ
クにおいては、冷却水およびオイルのシール性と
低騒音効果とには相反するものがある。

（考案の目的） 本考案は上記従来の問題点に鑑みてなされたも
ので、スケルトン構造のシリンダブロツクとパネ
ルとの間の冷却水およびオイルのシール性を向上
させるとともに低騒音化を図ることができるエン
ジンのシリンダブロツク構造を提供することを目
的とする。

（考案の構成） 本考案は、外壁部が少なくとも環状骨組み部と
この環状骨組み部に取着される高振動減衰性のパ
ネルとからなるシリンダブロツクにおいて、凹部
を有してこの凹部周縁の壁面により上記環状骨組
み部の内周面部に対応する圧入部が形成され、か
つ、この圧入部に連なる板状部分により上記環状
骨組み部の表面部に対応する圧接部が形成されて
いる高振動減衰性の凹状内側パネルと、この内側
パネルの外方に位置する高振動減衰性の外側パネ
ルとを備え、上記圧入部が上記環状骨組み部の内
周面部に圧入され、かつ上記圧接部が上記環状骨
組み部の表面部に圧接されて、上記環状骨組み部
の内周面部および表面部をシールする状態で、上
記内側パネルが環状骨組み部に固着され、この内
側パネルの凹部の内方に冷却水またはオイルが存
在する空間が形成されるとともに、この内側パネ
ルに上記外側パネルが、弾性結合部材により結合
されている構成としたものである。

この構成により、内側パネルは環状骨組み部の
内周面部および表面部の冷却水およびオイルに対
するシール性を高め、シリンダブロツクからの振
動は内側パネルおよび外側パネルで低減され、騒
音が減少する。

（実施例） 第１図は本考案のエンジンのシリンダブロツク
の斜視図で、第２図は上記シリンダブロツク構造
の第１実施例を説明するための断面図である。

第１図において、外壁部が少なくとも環状骨組
み部とこの環状骨組み部に取着される高振動減衰
性のパネルとからなるいわゆるスケルトン構造の
シリンダブロツク１は、シリンダ部２と、このシ
リンダ部２のアツパーデツキ２ａに締結されるシ
リンダヘツド（図示せず）と、シリンダ部２のミ
ドルデツキ２ｂに締結されるスカート部３とから
なる。シリンダブロツク２は気筒４を形成するラ
イナー部５とウオータジヤケツト６およびオイル
通路７，８を囲む高振動減衰性の凹状の内側パネ
ル９とを有する。スカート部３は、ライナー部５
の下方位置にクランクシヤフト（図示せず）の軸
方向に並んで設けられたベアリングバルク１０を
有する。

シリンダ部２と内側パネル９との間にあるシリ
ンダ部２の周囲にはアツパーデツキ２ａとミドル
デツキ２ｂとを接続する環状骨組み部１１が設け
られ、この環状骨組み部１１によりシリンダブロ
ツク１の全体の剛性が高まる。

ここで、第２図を参照してエンジンのシリンダ
ブロツク構造の第１実施例を説明する。 凹状内
側パネル９は、凹部を有し、この凹部周縁の壁面
により上記環状骨組み部１１の内周面部１１ａに
対応する圧入部９ａが形成され、かつ、この圧入
部９ａに連なる板状部分により上記環状骨組み部
１１の表面部１１ｂに対応する圧接部９ｂが形成
されたものであり、上記圧入部９ａが上記環状骨
組み部１１の内周面部１１ａに圧入され、かつ上
記圧接部９ｂが上記環状骨組み部１１の表面部１
１ｂに圧接され、上記環状骨組み部の内周面部お
よび表面部をシールしている。そして当実施例で
は、環状骨組み部１１の内周面部１１ａに対する
圧入部９ａの圧入力で凹状内側パネル９が環状骨
組み部１１に固着されている。上記環状骨組み部
１１における凹状内側パネル９の凹部の内方に
は、冷却水またはオイルが存在する空間、例えば
ウオータジヤケツト６が形成されている。

内側パネル９の表面側には低騒音化を図るため
の高振動減衰性の外側パネル１２が弾設される。
すなわち、この外側パネル１２は弾性結合部材と
しての接着性パツキン１３により内側パネル９の
表面側に接着される。

ところで、内側パネル９は冷却水およびエンジ
ンオイルのシールを主目的とし、この内側パネル
９はシリンダブロツク１の環状骨組み部１１へ圧
入し、さらに液体シール剤などを用いてシールを
完全なものにする。そのうえで外側パネル１２
は、接着性パツキン１３を用い内側パネル９に接
合することによりシリンダブロツク１からの振動
を減衰させる。したがつて、外側パネル１２自体
の振動は少なくなり、外側パネル１２からの発音
は減少する。さらにライナー部５からの例えば燃
焼音に対しては、内側パネル９および外側パネル
１２による２重壁化により透過を減少させること
ができる。

なお、この第１実施例のような構造にすること
により、外側パネル１２は強度、シール性への考
慮を払う必要がなくなり、発音効果の悪い軟質材
を使用することができる。

第３図は本考案の第２実施例の構成を説明する
ための断面図である。この第２実施例は、ボルト
１４が接着性パツキン１３付近から環状骨組み部
１１まで設けられている。したがつて内側パネル
９が上記ボルト１４によりさらに強く環状骨組み
部１１の表面部１１ｂに圧接される。なお、ボル
ト１４は補助的なものであり、内側パネル９の四
隅に使用する程度とする。この第２実施例におい
ては、ボルト１４を設けたことにより、内側パネ
ル９と環状骨組み部１１との圧接力が増加し、冷
却水およびオイルに対するシール性が向上する。

第４図は本考案の第３実施例の構成を説明する
ための構成図である。この第３実施例において
は、ボルト１５が外側パネル１２の外側から環状
骨組み部１１まで設けられ、また、内側パネル９
と外側パネル１２との間のボルト１５の周囲には
防振性パツキン１３が設けられている。さらに、
この第３実施例において、ゴム１６は、ボルト１
５の頭部付近から外側パネル１２および防振性パ
ツキン１３を介して内側パネル９の表面側まで設
けられている。なお、上記ボルト１５は、その途
中に形成された段部が内側パネル９の圧接部９ｂ
に押し当つた状態で、この段部より先のねじ部が
環状骨組１１に締着されており、従つて、ボルト
１５の締結力は内側パネル９に加わるだけで外側
パネル１２には加わらないようになつている。

この第３実施例によれば、防振性パツキン１３
によりシリンダブロツク１から外側パネル１２に
与えられる振動は減少し、低騒音化が図れる。ま
た、ボルト１５により、環状骨組み部１１と内側
パネル９との圧接力が増加し、冷却水およびエン
ジンオイルに対するシール性が向上される。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、環状骨組み部の
内周面部に圧入され、この内周面部をシールする
圧入部と、この圧入部から延び上記環状骨組み部
の表面部に圧接され、この表面部をシールする圧
接部とが一体的に形成された高振動減衰性の凹状
内側パネルと、この内側パネルの外方に位置する
外側パネルとを備え、環状骨組み部に対して上記
圧入部の圧入等で内側パネルが固着される一方、
外側パネルは内側パネルに弾性結合部材により結
合されて、上記内側パネルの固着力は外側パネル
に及ばないようになつている。このため、凹状内
側パネルはシリンダブロツクの冷却水通路および
オイル通路のシール性を向上させ、外側パネルお
よび内側パネルは有効に騒音を低減させる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るエンジンのシリ
ンダブロツクの要部斜視図、第２図は上記シリン
ダブロツクの第１実施例を説明するための断面
図、第３図は上記シリンダブロツクの第２実施例
を説明するための断面図、第４図は上記シリンダ
ブロツクの第３実施例を説明するための断面図で
ある。 １……シリンダブロツク、９……凹状内側パネ
ル、９ａ……圧入部、９ｂ……圧接部、１１……
環状骨組み部、１１ａ……内周面部、１１ｂ……
表面部、１２……外側パネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外壁部が少なくとも環状骨組み部とこの環状骨
   組み部に取着される高振動減衰性のパネルとから
   なるシリンダブロツクにおいて、凹部を有してこ
   の凹部周縁の壁面により上記環状骨組み部の内周
   面部に対応する圧入部が形成され、かつ、この圧
   入部に連なる板状部分により上記環状骨組み部の
   表面部に対応する圧接部が形成されている高振動
   減衰性の凹状内側パネルと、この内側パネルの外
   方に位置する高振動減衰性の外側パネルとを備
   え、上記圧入部が上記環状骨組み部の内周面部に
   圧入され、かつ上記圧接部が上記環状骨組み部の
   表面部に圧接されて、上記環状骨組み部の内周面
   部および表面部をシールする状態で、上記内側パ
   ネルが環状骨組み部に固着され、この内側パネル
   の凹部の内方に冷却水またはオイルが存在する空
   間が形成されるとともに、この内側パネルに上記
   外側パネルが、弾性結合部材により結合されてい
   ることを特徴とするエンジンのシリンダブロツク
   構造。