JPH04289191A - 高耐食性表面処理鋼板 - Google Patents

高耐食性表面処理鋼板

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JPH04289191A
JPH04289191A JP2670191A JP2670191A JPH04289191A JP H04289191 A JPH04289191 A JP H04289191A JP 2670191 A JP2670191 A JP 2670191A JP 2670191 A JP2670191 A JP 2670191A JP H04289191 A JPH04289191 A JP H04289191A
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Fumio Yamazaki
文男 山崎
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた耐食性,加工性,
溶接性を有し、自動車用防錆鋼板として好適な高耐食性
表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷延鋼板の耐食性や塗装後耐食性
を向上させ、加工性を損なわずに量産できる表面処理鋼
板として電気亜鉛めっき鋼板が汎用されていることは周
知である。また、近年では寒冷地帯における冬期の道路
凍結防止用の散布岩塩に対する自動車の防錆対策として
亜鉛めっき鋼板の使用が試みられ、苛酷な腐食環境での
高度な耐食性が要求されている。亜鉛めっき鋼板の耐食
性の向上要求に対しては、亜鉛のめっき量(付着量)の
増加という手段があるが、これは溶接性や加工性の点で
問題が多い。そこで亜鉛自身の溶解を抑制し亜鉛めっき
の寿命を延ばす方法として、多くの合金めっきが提案さ
れている。中でもFe,Co,Niといった鉄族金属を
合金成分として含有するZn系合金めっきは、その良好
な裸耐食性や塗装後耐食性が認められ、実用化されてい
る。また、さらに耐食性を向上させる目的で、これら合
金めっきの上に有機皮膜を付与した種々の有機複合型の
めっき鋼板が開発されている。これらは、主として自動
車内面の自動車塗装が付き回りにくく、かつ水や塩分が
たまりやすい部位,すなわちヘム部や合わせ部など、孔
あき錆が問題となる部位に適用されている。一方、自動
車走行中の飛び石による損傷部を起点にしたいわゆる外
面錆の問題に対しても、めっき鋼板の適用による解決が
図られている。車体内外面の防錆性の向上のために、付
着量が多い両面のZnめっきあるいは両面のZn系合金
めっき鋼板に加えて、特開昭60−50181号公報に
開示されているような、片面が有機複合型の合金めっき
,他面が合金めっきというタイプのものも開示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記防
錆鋼板では、耐食性のみならず自動車用鋼板で要求され
る加工性や溶接性という観点からはまだ充分なものとは
言えない。特に、両面めつきの場合には加工性や溶接性
が一層深刻な問題になるばかりでなく、外面側のめっき
に対しては飛び石(チッピング)によるめっき層の剥離
という新たな問題を生じ、自動車用鋼板として両面めっ
き鋼板を適用するためには、多くの問題を解決する必要
があった。本発明者らはかかる事情に鑑み、自動車用防
錆鋼板として適用された場合、車体内外面の耐食性に優
れ、加工性,溶接性にも優れた表面処理鋼板を提供する
ことを目的に、鋭意検討した結果、本発明に到った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、以下の
通りである。 (1) 鋼板の片面に鋼板側から順に付着量10g/m
2以上のZn−Ni系合金めっき層,総Cr付着量10
〜150mg/m2のクロメート皮膜,膜厚0.3〜2
μの有機皮膜が形成され、他面には鋼板側から順に付着
量0.05g/m2以上のNiめっき層,付着量10g
/m2以上のZn−Ni系合金めっき層が形成されたこ
とを特徴とする高耐食性表面処理鋼板, (2)  鋼板の片面に鋼板側から順に付着量0.01
g/m2以上のNiめっき層,付着量10g/m2以上
のZn−Ni系合金めっき層,総Cr付着量10〜15
0mg/m2のクロメート皮膜,膜厚0.3〜2μの有
機皮膜が形成され、他面には鋼板側から順に付着量0.
05g/m2以上のNiめっき層,付着量10g/m2
以上のZn−Ni系合金めっき層が形成されたことを特
徴とする高耐食性表面処理鋼板, (3) クロメート皮膜が水可溶分5%以下の難溶性ク
ロメート皮膜である(1),(2)の高耐食性表面処理
鋼板。 (4)有機皮膜がエポキシ樹脂を30〜70重量%以上
とシリカを5〜50重量%を含有する有機皮膜である(
1),(2)の高耐食性表面処理鋼板にある。
【0005】
【作用】本発明の高耐食性表面処理鋼板の構成を図1に
示す。鋼板1の片面に、鋼板側から順に付着量10g/
m2以上のZn−Ni系合金めっき層2,総Cr付着量
10〜150mg/m2のクロメート皮膜3,膜厚0.
3〜2μの有機皮膜4が形成され、自動車の内面側を構
成する。他面には付着量0.05g/m2以上のNiめ
っき層5,付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金
めっき層6が形成され、自動車の外面側を構成する。鋼
板1とZn−Ni系合金めっき層2の間に付着量0.0
1g/m2以上のNiめっき層5′を介在させてもよい
【0006】まず、自動車の内面を構成する片面側につ
いて述べる。この片面側は、Zn−Ni系合金めっき層
をベースとし、上層にクロメート皮膜と薄い有機皮膜を
有する薄膜型の有機複合めっき層で構成される。Zn−
Ni系合金めっきはその電気化学的電位が、Znめっき
や他のZn系合金めっきに比べて鋼素地に近いため、め
っきの消耗速度が小さい。これを有機皮膜の下地に適用
すると、有機皮膜のバリヤー効果によってなお一層消耗
速度が低下し、ヘム部や合わせ部など腐食環境の激しい
部位に適用しても優れた耐食性を発揮する。このような
組合せ効果は、Znめっきや他のZn系合金めっきには
認められず、Zn−Ni系合金めっき特有の効果である
。このZn−Ni系合金めっき層の付着量は10g/m
2以上とする。10g/m2未満では耐食性不足の懸念
がある。上限は特に制約されないが、加工性,溶接性の
観点からは50g/m2以下が好ましい。ここでZn−
Ni系合金めっきとは、主としてNiを含有するZnめ
っきであり、具体的にはZn−Ni,あるいはZn−N
i−Co, Zn−Ni−Fe,Zn−Ni−Cr,Z
n−Ni−Fe−CrなどZn−Niに他の金属成分を
含有するものを指す。Ni含有率は5〜20重量%が好
ましい。 5重量%未満では耐食性が不足し、20重量
%を超えると加工性が劣化するので好ましくない。より
好ましい範囲は7〜15重量%である。Ni以外の金属
成分は、総量で5重量%未満が好ましく、5重量%以上
ではNiの効果が減殺されるので好ましくない。Zn−
Ni系合金めっき層の形成方法は、公知の方法に従えば
よく、例えばZnイオン,Niイオン,及び必要に応じ
て他の金属イオンを含有する硫酸酸性のめっき液を用い
て、電流密度10〜300A/dm2で鋼板を陰極とし
て所定時間電解を施せばよい。
【0007】次にクロメート皮膜は、下層のZn−Ni
系合金めっき層と上層の有機皮膜を密着させると共に、
耐食性にも寄与する。クロメート皮膜の付着量は、総C
r量として10〜150mg/m2とする。10mg/
m2未満では有機皮膜の密着性が不十分であり、 15
0mg/m2を超えると加工性, 溶融性低下の懸念が
ある。より好ましい範囲は、総Cr量20〜100mg
/m2である。クロメート皮膜の形成方法としては、電
解型,塗布型,反応型が考えられ、何れも適用可能であ
るが、反対面側のめっき表面へのクロメート付着の防止
という観点からは、ロールコーターによる塗布型クロメ
ートが最も適する。電解型や反応型,あるいは浸漬やス
プレーによる塗布型クロメートの場合には、反対面側へ
のクロメート付着が避けられないため、反対側めっき表
面のクロメート除去を行なう必要がある。塗布型,反応
型クロメート処理としては、Cr6+,Cr3+を主成
分として、他にSiO2やTiO2などの無機コロイド
類、りん酸やモリブデン酸などの酸類やその塩類,ふっ
化物,水溶性ないしはエマルジョン型の有機樹脂を含有
するものが適用できる。また、電解型クロメート処理と
しては、Cr6+,Cr3+を主成分として、他に硫酸
やハロゲンイオンを含有するものや、さらにSiO2や
TiO2などの無機コロイド類,CoやZnなどの金属
イオンを含有するものが適用できる。通常は鋼板を陰極
として電解するが、陽極電解や交流電解を付加すること
もできる。これらの方法で形成されるクロメート皮膜は
、水可溶分が5%以下の難溶性クロメート皮膜であるこ
とが好ましい。 これは自動車製造時に行なわれる化成処理や電着塗装の
際に、これら処理液中へのクロメート皮膜からのクロム
溶出を避けるためである。クロメート皮膜から溶出する
クロムは皮膜中のCr6+に起因するので、難溶性クロ
メート皮膜を得るにはCr3+主体のクロメート皮膜が
形成されやすい電解型や反応型が有利である。しかし、
塗布型においてもりん酸やコロイド類によってCr6+
を固定するなど処理浴の工夫により難溶性クロメート皮
膜を得ることができる。
【0008】次に有機皮膜は内面側の耐食性を向上させ
る上で、重要な役割を担う。有機皮膜の厚みは0.3〜
2μとする。0.3μ未満では充分な耐食性が得られず
、2μを超えると加工性,溶接性が低下する。より好ま
しい範囲は0.5〜1.7μである。有機皮膜の構成と
しては、エポキシ樹脂を30重量%以上とシリカを5〜
50重量%を含有するものが好適である。エポキシ樹脂
は、耐水性,耐アルカリ性が優れ、下地との密着性も良
好であり、数有る有機樹脂の中でも本発明用途に最も適
している。有機皮膜中のエポキシ樹脂が30重量%未満
では皮膜が脆く加工性が不十分である。エポキシ樹脂と
しては、数平均分子量300〜100,000のビスフ
ェノール型エポキシ樹脂が最適である。数平均分子量が
300未満,もしくは100,000超では充分な架橋
反応がなされず、したがって充分な耐食性が発揮されな
い。シリカは耐アルカリ性が極めて優れ、エポキシ樹脂
中に分散して含まれることにより、有機皮膜の耐食性能
を一段と高める。有機皮膜中のシリカが5重量%未満で
は耐食性への効果が小さく、50重量%超では加工性が
低下する。より好ましい範囲は15〜30重量%である
。使用されるシリカとしては、平均一次粒径が1〜10
0mμのドライシリカが好適である。ドライシリカは耐
アルカリ性の他に耐水性にも優れ、またエポキシ塗料と
の相溶性も良好である。1mμ未満,もしくは100m
μ超では充分な耐食性が得られない。有機皮膜の構成成
分として、上記のエポキシ樹脂とシリカ以外に、低温焼
付けを可能とするためのポリイソシアネート化合物やブ
ロックポリイソシアネート化合物などの硬化剤,加工性
を向上させるためのポリエチレンワックスなどの潤滑剤
を含有してもよい。これら成分が有機溶剤に溶解ないし
は分散されて塗料組成物が得られる。有機溶剤としては
ケトン系有機溶剤が好適であり、これを塗料中に40重
量%以上含有せしめ、かつ塗料中の固形分を10〜50
重量%に調整することにより、容易に均一な薄膜を形成
させることができる。ケトン系有機溶剤としては、メチ
ルイソブチルケトン,アセトンシクロヘキサノン,イソ
ホロンなどが好適なものとして例示される。有機皮膜の
形成方法については特に限定されないが、均一塗布の点
からはロールコート法が最適であり、熱風炉や誘導加熱
炉で最終到達温度100〜200℃の条件で焼付け処理
を行なえばよい。
【0009】次に、自動車の外面を構成する片面側につ
いて述べる。この片面側は、Niめっき層とZn−Ni
系合金めっき層で構成される。Niめっき層は鋼板とZ
n−Ni系合金めっき層との密着力を強固なものとし、
自動車の外面に適用した場合に問題となる耐チッピング
性の向上をもたらす。Zn−Ni系合金めっき層はその
内部応力がZnめっきよりも大きく、めっき密着性はZ
nめっきよりも低い。車体外面においては、かかるZn
−Ni系合金めっき層の上にカチオン電着塗装,中塗り
塗装,上塗り塗装からなる3コート塗装が合計100μ
以上の厚みで塗装されるため、塗装焼付け時に生じる収
縮応力がさらに加わる。また、冬期の寒冷地帯では気温
が氷点以下に低下し、この影響で塗膜の収縮が進行する
ため、めっき層に作用する応力がさらに大きくなり、め
っき密着性は一段と低くなる。このような条件下で、道
路走行中の自動車に路面から跳ね上げられた小石や散布
岩塩が衝突すると、その衝撃力でめっき層が剥離してし
まうという重大な欠点を内在する。Niめっき層はこの
欠点を克服するためのものであり、鋼板面にまず0.0
5g/m2以上のNiめっき層を施し、しかる後にZn
−Ni系合金めっき層を施すと、優れた耐チッピング性
が得られる。また、Niめっき層は耐食性,特に塗装後
耐食性の向上にも有効である。これはZn−Ni系合金
めっき層のめっき密着性向上によるものと推定される。 0.05g/m2未満では、Niめっき層が鋼板面を均
一に被覆できないため、耐チッピング性は不十分なもの
となる。上限は耐チッピング性の観点からは特に制約さ
れないが、5g/m2を超えると耐食性低下の概念を生
じるので好ましくない。塗装後耐食性をも考慮すると、
1〜2g/m2がより好ましい。Niめっき層中にはS
を0.01〜10重量%含有させてもよく、かくするこ
とによってNiめっき層の均一被覆性が向上し、Niめ
っき量が少なくても上層のZn−Ni系合金めっき層の
耐チッピング性を充分に良好ならしめることができる。 この場合、0.01重量%未満では効果的ではなく、1
0重量%を超えると耐食性への悪影響が懸念されるので
好ましくない。Niめっき層の形成方法は特に限定され
ないが、鋼板表面を微量の付着量で均一に被覆する目的
からは、硫酸酸性液を用いて電流密度10〜100A/
dm2で行なうことが最良である。また、Sを含有させ
るためには硫酸酸性液を用いてNiめっきを施した後、
水洗を行なわずにZn−Niめっきを行なえばよく、S
の含有率はNiめっき時の電流密度で制御できる。
【0010】外面側に相当するZn−Ni系合金めっき
層の詳細については反対面側と同様であるが、外面側の
特殊性を考慮すると、以下のような最表面の仕上げ処理
を行なうことが好ましい。すなわち、外面側のZn−N
i系合金めっき層表面は、反対面側のクロメート処理や
有機皮膜の焼付けによってクロメート汚れや表面酸化を
生じる恐れがある。これらは化成処理性や電着塗装性を
阻害する懸念があるため、ブラッシング処理や電解剥離
,電解還元などの電解処理を有機皮膜の焼付け後に最終
仕上げとして行なうとよい。ブラッシング処理について
は、ナイロン系ブラシロールやスコッチブライトロール
などをモーター負荷電流1〜50Aでめっき面に押しつ
ける方法が簡便で確実である。ブラッシの中にはアルミ
ナや炭化珪素などの砥粒を含ませるとさらに効果的であ
る。電解処理については、りん酸塩を0.05〜2モル
/l含有するpH4〜9の電解液中でめっき面を陽極と
して電解剥離するか陰極として電解還元すればよい。 ブラッシング処理や電解処理は外面側のZn−Ni系合
金めっき最表面の状態に応じて適宜組合せればよい。例
えば、電解型クロメートの場合にはクロメート汚れが激
しいので電解剥離とブラッシング処理を併用してクロメ
ートを完全に除去する必要がある。また、クロメート汚
れは無いものの有機皮膜の焼付け時間が長く酸化が進行
している場合には電解還元により酸化膜を除去する必要
がある。無論、ロールコート法による塗布型クロメート
により外面側のクロメート汚れを完全に回避し、有機皮
膜の焼付けを30秒以下の短時間で行なうことにより表
面酸化も抑制すれば上記のような最終仕上げを行なう必
要はない。
【0011】本発明においては、自動車の外面側を構成
する片面に耐チッピング性の向上を目的としたNiめっ
き層を必須とするが、自動車の内面側を構成する他面に
も鋼板とZn−Ni系合金めっき層の間にNiめっき層
を介在させてもよい。すなわち、自動車用鋼板に対する
加工性や強度などの要求品質の高度化により、鋼中への
添加成分や製造条件の制御により超深絞り鋼板や高強度
鋼板が開発されている。これらはZn−Ni系合金めっ
き層のめっき密着性に必ずしも無関係ではなく、概して
めっき密着性を阻害する。したがって、これらの鋼板を
下地とする場合には、Zn−Ni系合金めっき層のめっ
き密着性の改善が必要である。この改善策として、外面
側と同じく、Niめっき層を鋼板とZn−Ni系合金め
っき層の間に形成させることが有効である。この場合、
Niめっき層の付着量範囲は、0.01g/m2以上が
適当であり、0.01g/m2未満では効果がない。上
限はめっき密着性の観点からは特に制約されないが、5
g/m2を超えると耐食性低下の懸念があるので好まし
くない。耐食性をも考慮すると、より好ましい範囲は1
〜2g/m2である。また、外面側と同様Niめっき層
中にSを0.01〜10重量%含有させるとさらに効果
的である。なお、内面側と外面側のZn−Ni系合金め
っき層の組成と付着量は必ずしも同一である必要はなく
、目的に応じてめっき組成や付着量を内外面で変えても
よいが、製造上は同一とした方が有利である。上記のよ
うな構成とすることにより、車体内外面に同時に適用で
きる表面処理鋼板が得られる。以下実施例にて本発明を
さらに詳細に説明する。
【0012】
【実施例】冷延鋼板を、アルカリ脱脂し、 5%硫酸水
溶液で酸洗した後、片面もしくは両面にNiめっき,両
面にZn系分散めっきを施し、次いで片面のみにクロメ
ート,及び有機皮膜を施し、さらに有機皮膜を施さない
外面側の一部については、最表面の仕上げ処理を行ない
、表1に示す両面の表面処理鋼板を得た。これらについ
て、以下の性能評価を行ない、その結果を表2にまとめ
た。表1における注釈は以下の通りである。 1)内面クロメート皮膜 ・塗布型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他にS
iO2とりん酸を含む処理液を用いて、ロールコート方
式で塗布し、板温80℃で焼き付けた。水可溶分はCr
6+,Cr3+及びりん酸の比率で制御した。外面側の
めっき表面はクロメート汚染無し。 ・電解型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他に硫
酸を含む処理液を用いて、電流密度10A/dm2で陰
極電解し、水洗乾燥した。外面側のめっき表面はクロメ
ート汚染有り。 ・水可溶分:50℃の蒸留水に30分浸漬し、前後のク
ロム量の差と初期クロム量の比率を算出した。 2)内面側有機皮膜 ・種類A:樹脂は数平均分子量2900のビスフェノー
ル型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径8mμのドラ
イシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソシア
ネートのアセト酢酸エチルブロック体,及び潤滑剤とし
てポリエチレンワックスを含有するもの。 ・種類B:樹脂は数平均分子量900のビスフェノール
型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径40mμのドラ
イシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソシア
ネート,及び潤滑剤としてポリエチレンワックスを含有
するもの。 ・種類C:樹脂は数平均分子量15000のビスフェノ
ール型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径20mμの
ドライシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソ
シアネートを含有するもの。 3)外面側最表面の処理 ・処理A:pH7,液温40℃のりん酸ナトリウム1モ
ル/l水溶液中で通電量5C/dm2の電解剥離処理・
処理B:スコッチブライトでめっき面を軽く研削処理・
処理C:上記の電解剥離処理+研削処理
【0013】表
2における評価方法は以下の通りである。 (1)内面側ヘム部耐食性 試料2枚を用いて有機皮膜を塗布した面を内面側として
ヘムモデルを作成し、浸漬型りん酸塩処理,及びカチオ
ン電着塗装を行なって、下記のサイクル腐食試験に供し
た。 4000サイクル後にヘムモデルを解体し、ヘム部の板
厚減少量を調査し、評価した。 ◎:0.1mm以下 ○:0.2mm以下 △:0.3mm以下 ×:0.3mm超 (2)内面側加工性 エリクセン9mm押出し後テーピング試験を行ない、評
価した。 ◎:剥離無し ○:極軽度の剥離 △:軽度の剥離 ×:剥離大 (3)内面側クロム溶出性 浸漬型りん酸塩処理工程で露出した総Cr量で評価した
。 ◎:5mg/m2以下 ○:10mg/m2以下 △:20mg/m2以下 ×:20mg/m2超 (4)外面側耐チッピング性 浸漬型りん酸塩処理,カチオン電着塗装,及び中塗り,
上塗りを行なって、合計膜厚100μとし、試験片温度
−30℃でJIS7号砕石250gを150km/hr
の速度で衝突させ、テーピング試験後めっき剥離面積を
評価した。 ◎:3%以下 ○:5%以下 △:10%以下 ×:10%超 (5)外面側塗装後耐食性 浸漬型りん酸塩処理,カチオン電着塗装,及び中塗り,
上塗りを行なって、合計膜厚100μとし、地鉄に達す
るクロスカット疵を入れ、下記のサイクル腐食試験に供
した。 100サイクル後、クロスカット部のふくれ巾で評価し
た。 ◎:3mm以下 ○:5mm以下 △:8mm以下 ×:8mm超 (6)溶接性 先端径6mmφのCF型電極を用いて、加圧力200k
g,電流10kA,通電時間10サイクルで連続スポッ
ト溶接を行ない、連続打点数で評価した。 ◎:3000点以上 ○:2000点以上 △:1000点以上 ×:1000点未満
【0014】表1−(3),表1−(4)の比較例につ
いて説明すると、比較例1はZn−Ni系合金めっき層
の付着量が少ないため、内外面とも耐食性が不良である
。比較例2はクロメート皮膜量が少ないため、有機皮膜
の密着性が不足し、結果的に内面側の耐食性と加工性が
不良であり、比較例3はクロメート皮膜量が多すぎるた
め、内面側加工性と溶接性が不良である。比較例4はク
ロメート皮膜の水可溶分が多すぎるため、クロム溶出性
が不良である。比較例5は有機皮膜厚が少ないため、内
面側の耐食性と加工性が不良であり、比較例6は有機皮
膜厚が多すぎるため、内面側加工性と溶接性が不良であ
る。比較例7は有機皮膜中の樹脂分が少なくシリカが多
すぎるため内面側加工性が不良であり、比較例8は有機
皮膜中のシリカが少ないため内面側耐食性が不良である
。また比較例2〜5は外面側のNiめっき層の付着量が
少ないため、比較例6〜10は外面側のNiめっき層が
ないため、何れも外面側の耐チッピング性が不良である
。比較例9,10はそれぞれ鋼板が超深絞り鋼板と高張
力鋼板であり、内面側にNiめっき層がないため、めっ
き密着性が不足し、結果的に内面側加工性が不良である
。比較例11,12はそれぞれZnめっき,Zn−Fe
合金めっきをベースとするものであるが、内面側耐食性
その他が不良である。これらに比較すると、本発明例は
内面側,外面側の性能において何れも良好な結果を示し
た。具体的に説明すると、本発明例22〜25と26〜
29はそれぞれ超深絞り鋼板と高強度鋼板を素地鋼板と
するものであるが、内面側にNiめっき層を有するため
、めっき密着性が良好であり、 結果的に内面側加工性
が優れる。内外面のNiめっき層にSを含有するものは
Niめっき量が少なくても加工性ないしは耐チッピング
性がさらに優れる。本発明例15〜21と26〜29は
クロメート皮膜が電解型であるため、外面側Zn−Ni
系合金めっき層最表面がクロメートで汚染されるが、最
表面の仕上げ処理(本発明例15,17,20,26,
27)を行なったものは、無処理のもの(本発明例16
,18,19,21,28,29)に比べて塗装後耐食
性がさらに良好である。
【0015】
【表1−1】
【0016】
【表1−2】
【0017】
【表1−3】
【0018】
【表1−4】
【0019】
【表2−1】
【0020】
【表2−2】
【0021】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明は、Zn−Ni
系合金めっきをベースとし、片側にクロメート皮膜,有
機皮膜を有する両面タイプの高耐食性表面処理鋼板であ
り、耐食性のみならず耐チッピング性,加工性,溶接性
に優れる。特に、自動車ボディーの内外面の要求特性を
同時に満足しうるものであることから、自動車材料とし
て好適である。
【0022】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高耐食性表面処理鋼板の構成を示す。
【符号の説明】
1  鋼板 2  付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっ
き層 3  総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメー
ト皮膜 4  膜厚0.3〜2μの有機皮膜 5  付着量0.05g/m2以上のNiめっき層5′
付着量0.01g/m2以上のNiめっき層6  付着
量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層である

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  鋼板の片面に鋼板側から順に付着量1
    0g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層, 総Cr
    付着量 10〜150mg/m2のクロメート皮膜,膜
    厚0.3〜2μの有機皮膜が形成され、 他面には鋼板
    側から順に付着量0.05g/m2以上のNiめっき層
    ,付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層
    が形成されたことを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】  鋼板の片面に鋼板側から順に付着量0
    .01g/m2以上のNiめっき層,付着量10g/m
    2以上のZn−Ni系合金めっき層,総Cr付着量10
    〜150mg/m2のクロメート皮膜,膜厚0.3〜2
    μの有機皮膜が形成され、 他面には鋼板側から順に付
    着量0.05g/m2以上のNiめっき層,付着量10
    g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層が形成された
    ことを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】  クロメート皮膜が水可溶分5%以下の
    難溶性クロメート皮膜である請求項1及び2記載の高耐
    食性表面処理鋼板。
  4. 【請求項4】   有機皮膜がエポキシ樹脂を30重量
    %以上とシリカを5〜50重量%を含有する有機皮膜で
    ある請求項1及び2記載の高耐食性表面処理鋼板。
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