JP2532999C - - Google Patents

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は優れた耐食性、加工性、溶接性を有し、自動車用防錆鋼板として好適
な高耐食性表面処理鋼板に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、冷延鋼板の耐食性や塗装後耐食性を向上させ、加工性を損なわずに量産
できる表面処理鋼板として電気亜鉛めっき鋼板が汎用されていることは周知であ
る。 また、近年では寒冷地帯における冬期の道路凍結防止用の散布岩塩に対する自
動車の防錆対策として亜鉛めっき鋼板の使用が試みられ、過酷な腐食環境での高
度な耐食性が要求されている。亜鉛めっき鋼板の耐食性の向上要求に対しては、
亜鉛のめっき量(付着量)の増加という手段があるが、これは溶接性や加工性の
点で問題が多い。そこで亜鉛自身の溶解を抑制し亜鉛めっきの寿命を延ばす方法
として、多くの合金めっきが提案されている。中でもFe,Co,Niといった
鉄族金属を合金成分として含有するZn系合金めっきは、その良好な裸耐食性や
塗装後耐食性が認められ、実用化されている。また、さらに耐食性を向上させる
目的で、これら合金めっきの上に有機皮膜を付与した種々の有機複合型のめっき
鋼板が開発されている。これらは、主として自動車内面の自動車塗装が付き回り
にくく、かつ水や塩分がたまりやすい部位、すなわちヘム部や合わせ部など、孔
あき錆が問題となる部位に適用されている。一方、自動車走行中の飛び石による
損傷部を起点にしたいわゆる外面錆の問題に対しても、めっき鋼板の適用による
解決が図られている。 車体内外面の防錆性の向上のために、付着量が多い両面のZnめっきあるいは
両面のZn系合金めっき鋼板に加えて、特開昭60−50181号公報に開示さ
れているような、片面が有機複合型の合金めっき、他面が合金めっきというタイ
プのものも開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記防錆鋼板では、耐食性のみならず自動車用鋼板で要求され
る加工性や溶接性という観点からはまだ充分なものとは言えない。特に、両面め
っきの場合には加工性や溶接性が一層深刻な問題になるばかりでなく、外面側の
めっきに対しては飛び石(チッピング)によるめっき層の剥離という新たな問題
を生じ、自動車用鋼板として両面めっき鋼板を適用するためには、多くの問題を 解決する必要があった。 本発明者らはかかる事情に鑑み、自動車用防錆鋼板として適用された場合、車
体内外面の耐食性に優れ、加工性、溶接性にも優れた表面処理鋼板を提供するこ
とを目的に、鋭意検討した結果、本発明に到った。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明の要旨は、以下の通りである。 (1)自動車用鋼板において、自動車の内面を構成する片面側に鋼板側から順に
付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層、総Cr付着量10〜15
0mg/m2のクロメート皮膜、膜厚0.3〜2μの有機皮膜が形成され、自動
車の外面を構成する反対面側には鋼板側から順にSを0.01〜10重量%含有
した付着量0.05g/m2以上のNiめっき層、付着量10g/m2以上のZn
−Ni系合金めっき層が形成されたことを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。 (2)自動車用鋼板において自動車の内面を構成する片面側に鋼板側から順にS
を0.01〜10重量%含有した付着量0.01g/m2以上のNiめっき層、
付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層、総Cr付着量10〜15
0mg/m2のクロメート皮膜、膜厚0.3〜2μの有機皮膜が形成され、自動
車の外面を構成する反対面側には鋼板側から順にSを0.01〜10重量%含有
した付着量0.05g/m2以上のNiめっき層、付着量10g/m2以上のZn
−Ni系合金めっき層が形成されたことを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。 (3)クロメート皮膜が水可溶分5%以下の難溶性クロメート皮膜である(1)
、(2)の高耐食性表面処理鋼板。 (4)有機皮膜がエポキシ樹脂を30重量%以上とシリカを5〜50重量%を含
有する有機皮膜である(1)、(2)の高耐食性表面処理鋼板にある。 【0005】 【作用】 本発明の高耐食性表面処理鋼板の構成を図1に示す。鋼板1の片面に、鋼板側
から順に付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層2、総Cr付着量
10〜150mg/m2のクロメート皮膜3、膜厚0.3〜2μの有機皮膜4が 形成され、自動車の内面側を構成する。他面にはSを0.01〜10重量%含有
した付着量0.05g/m2以上のNiめっき層5、付着量10g/m2以上のZ
n−Ni系合金めっき層6が形成され、自動車の外面側を構成する。鋼板1とZ
n−Ni系合金めっき層2の間にSを0.01〜10重量%含有した付着量0.
01g/m2以上のNiめっき層5´を介在させてもよい。 【0006】 まず、自動車の内面を構成する片面側について述べる。 この片面側は、Zn−Ni系合金めっき層をベースとし、上層にクロメート皮膜
と薄い有機皮膜を有する薄膜型の有機複合めっき層で構成される。Zn−Ni系
合金めっきはその電気化学的電位が、Znめっきや他のZn系合金めっきに比べ
て鋼素地に近いため、めっきの消耗速度が小さい。これを有機皮膜の下地に適用
すると、有機皮膜のバリヤー効果によってなお一層消耗速度が低下し、ヘム部や
合わせ部など腐食環境の激しい部位に適用しても優れた耐食性を発揮する。この
ような組合わ効果は、Znめっきや他のZn系合金めっきには認められず、Zn
−Ni系合金めっき特有の効果である。このZn−Ni系合金めっき層の付着量
は10g/m2以上とする。10g/m2未満では耐食性不足の懸念がある。上限
は特に制約されないが、加工性、溶接性の観点からは50g/m2以下が好まし
い。ここでZn−Ni系合金めっきとは、主としてNiを含有するZnめっきで
あり、具体的にはZn−Ni,あるいはZn−Ni−Co,Zn−Ni−Fe,
Zn−Ni−Cr,Zn−Ni−Fe−CrなどZn−Niに他の金属成分を含
有するものを指す、Ni含有率は5〜20重量%が好ましい。5重量%未満では
耐食性が不足し、20重量%を超えると加工性が劣化するので好ましくない。よ
り好ましい範囲は7〜15重量%である。Ni以外の金属成分は、総量で5重量
%未満が好ましく、5重量%以上ではNiの効果が減殺されるので好ましくない
。Zn−Ni系合金めっき層の形成方法は、公知の方法に従えばよく、例えばZ
nイオン,Niイオン,及び必要に応じて他の金属イオンを含有する硫酸酸性の
めっき液を用いて、電流密度10〜300A/dm2で鋼板を陰極として所定時
間電解を施せばよい。 【0007】 次にクロメート皮膜は、下層のZn−Ni系合金めっき層と上層の有機皮膜を
密着させると共に、耐食性にも寄与する。クロメート皮膜の付着量は、総Cr量
として10〜150mg/m2とする。10mg/m2未満では有機皮膜の密着性
が不十分であり、150mg/m2を超えると加工性、溶融性低下の懸念がある
。より好ましい範囲は、総Cr量20〜100mg/m2である。クロメート皮
膜の形成方法としては、電解型、塗布型、反応型が考えられ、何れも適用可能で
あるが、反対面側のめっき表面へのクロメート付着の防止という観点からは、ロ
ールコーターによる塗布型クロメートが最も適する。電解型や反応型、あるいは
浸漬たスプレーによる塗布型クロメートの場合には、反対面側へのクロメート付
着が避けられないため、反対側めっき表面のクロメート除去を行う必要がある。
塗布型、反応型クロメート処理としては、Cr6+,Cr3+を主成分として、他に
SiO2やTiO2などの無機コロイド類、りん酸やモリブデン酸などの酸類やそ
の塩類、ふっ化物、水溶性ないしはエマルジョン型の有機樹脂を含有するものが
適用できる。また、電解型クロメート処理としては、Cr6+,Cr3+を主成分と
して、他に硫酸やハロゲンイオンを含有するものや、さらにSiO2やTiO2
どの無機コロイド類、CoやZnなどの金属イオンを含有するものが適用できる
。通常は鋼板を陰極として電解するが、陽極電解や交流電解を付加することもで
きる。これらの方法で形成されるクロメート皮膜は、水可溶分が5%以下の難溶
性クロメート皮膜であることが好ましい。これは自動車製造時に行われる化成処
理や電着塗装の際に、これら処理液中へのクロメート皮膜からのクロム溶出を避
けるためである。クロメート皮膜から溶出するクロムは皮膜中のCr6+に起因す
るので、難溶性クロメート皮膜を得るにはCr3+主体のクロメート皮膜が形成さ
れやすい電解型や反応型が有利である。しかし、塗布型においてもりん酸やコロ
イド類によってCr6+を固定するなど処理浴の工夫により難溶性クロメート皮膜
を得ることができる。 【0008】 次に有機皮膜は内面側の耐食性を向上させる上で、重要な役割を担う。有機皮
膜の厚みは0.3〜2μとする。0.3μ未満では充分な耐食性が得られず、2
μを超えると加工性、溶接性が低下する。より好ましい範囲は0.5〜1.7μ である。有機皮膜の構成としては、エポキシ樹脂を30重量%以上とシリカを5
〜50重量%を含有するものが好適である。エポキシ樹脂は、耐水性、耐アルカ
リ性が優れ、下地との密着性も良好であり、数有る有機樹脂の中でも本発明用途
に最も適している。有機皮膜中のエポキシ樹脂が30重量%未満では皮膜が脆く
加工性が不十分である。エポキシ樹脂としては、数平均分子量300〜100,
000のビスフェノール型エポキシ樹脂が最適である。数平均分子量が300未
満、もしくは100,000超では充分な架橋反応がなされず、したがって充分
な耐食性が発揮されない。シリカは耐アルカリ性が極めて優れ、エポキシ樹脂中
に分散して含まれることにより、有機皮膜の耐食性能を一段と高める。有機皮膜
中のシリカが5重量%未満では耐食性への効果が小さく、50重量%超では加工
性が低下する。より好ましい範囲は15〜30重量%である。使用されるシリカ
としては、平均一次粒径が1〜100mμのドライシリカが好適である。ドライ
シリカは耐アルカリ性の他に耐水性にも優れ、またエポキシ塗料との相溶性も良
好である。1mμ未満、もしくは100mμ超では充分な耐食性が得られない。
有機皮膜の構成成分として、上記のエポキシ樹脂とシリカ以外に、低温焼付けを
可能とするためのポリイソシアネート化合物やブロックポリイソシアネート化合
物などの硬化剤、加工性を向上させるためのポリエチレンワックスなどの潤滑剤
を含有してもよい。これら成分が有機溶剤に溶解ないしは分解されて塗料組成物
が得られる。有機溶剤としてはケトン系有機溶剤が好適であり、これを塗料中に
40重量%以上含有せしめ、かつ塗料中の固形分を10〜50重量%に調整する
ことにより、容易に均一な薄膜を形成させることができる。ケトン系有機溶剤と
しては、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロンな
どが好適なものとして例示される。有機皮膜の形成方法については特に限定され
ないが、均一塗布の点からはロールコート法が最適であり、熱風炉や誘導加熱炉
で最終到達温度100〜200℃の条件で焼付け処理を行なえばよい。 【0009】 次に、自動車の外面を構成する片面側について述べる。 この片面側は、Niめっき層とZn−Ni系合金めっき層で構成される。Niめ
っき層は鋼板とZn−Ni系合金めっき層との密着力を強固なものとし、自動車 の外面に適用した場合に問題となる耐チッピング性の向上をもたらす。Zn−N
i系合金めっき層はその内部応力がZnめっきよりも大きく、めっき密着性はZ
nめっきよりも低い。車体外面においては、かかるZn−Ni系合金めっき層の
上にカチオン電着塗装、中塗り塗装、上塗り塗装からなる3コート塗装が合計1
00μ以上の厚みで塗装されるため、塗装焼付け時に生じる収縮応力がさらに加
わる。また、冬期の寒冷地帯では気温が氷点以下に低下し、この影響で塗膜の収
縮が進行するため、めっき層に作用する応力がさらに大きくなり、めっき密着性
は一段と低くなる。このような条件下で、道路走行中の自動車に路面から跳ね上
げられた小石た散布岩塩が衝突すると、その衝撃力でめっき層が剥離してしまう
という重大な欠点が内在する。Sを0.01〜10重量%含有したNiめっき層
はこの欠点を克服するためのものであり、鋼板面にまずSを0.01〜10重量
%含有した0.05g/m2以上のNiめっき層を施し、しかる後にZn−Ni
系合金めっき層を施すと、優れた耐チッピング性が得られる。また、Sを0.0
1〜10重量%含有したNiめっき層5´は耐食性、特に塗装後耐食性の向上に
も有効である。これはZn−Ni系合金めっき層のめっき密着性向上によるもの
と推定される。0.05g/m2未満では、Niめっき層が鋼板面を均一に被覆
できないため、耐チッピング性は不十分なものとなる。上限は耐チッピング性の
観点からは特に制約されないが、5g/m2を超えると耐食性低下の概念を生じ
るので好ましくない。塗装後耐食性をも考慮すると、1〜2g/m2がより好ま
しい。Niめっき層中にはSを0.01〜10重量%含有させる。かくすること
によってNiめっき層の均一被覆性が向上し、Niめっき量が少なくても上層の
Zn−Ni系合金めっき層の耐チッピング性を充分に良好ならしめることができ
る。この場合、0.01重量%未満では効果的ではなく、10重量%を超えると
耐食性への悪影響が懸念されるので好ましくない。Niめっき層の形成方法は特
に限定されないが、鋼板表面を微量の付着量で均一に被覆する目的からは、硫酸
酸性液を用いてNiめっきを施した後、電流密度10〜100A/dm2で行な
うことが最良である。また、Sを含有させるためには硫酸酸性液を用いて水洗を
行わずにZn−Niめっきを行えばよく、Sの含有量はNiめっき時の電流密度
で制御できる。 【0010】 外面側に相当するZn−Ni系合金めっき層の詳細について反対面側と同様で
あるが、外面側の特殊性を考慮すると、以下のような最表面の仕上げ処理を行う
ことが好ましい。すなわち、外面側のZn−Ni系合金めっき層表面は、反対面
側のクロメート処理や有機皮膜の焼付けによってクロメート汚れや表面酸化を生
じる恐れがある。これらは化成処理性や電着塗装性を阻害する懸念があるため、
ブラッシング処理や電解剥離、電解還元などの電解処理を有機皮膜の焼付け後に
最終仕上げとして行なうとよい。ブラッシング処理については、ナイロン系ブラ
シロールやスコッチブライトロールなどをモーター負荷電流1〜50Aでめっき
面に押しつける方法が簡便で確実である。ブラッシの中にはアルミナや炭化珪素
などの砥粒を含ませるとさらに効果的である。電解処理については、りん酸塩を
0.05〜2モル/l含有するpH4〜9の電解液中でめっき面を陽極として電
解剥離するか陰極として電解還元すればよい。ブラッシング処理や電解処理は外
面側のZn−Ni系合金めっき最表面の状態に応じて適宜組合せれば良い。例え
ば、電解型クロメートの場合にはクロメート汚れが激しいので電解剥離とブラッ
シング処理を併用してクロメートを完全に除去する必要がある。また、クロメー
ト汚れは無いものの有機皮膜の焼付け時間が長く酸化が進行している場合には電
解還元により酸化膜を除去する必要がある。無論、ロールコート法により塗布型
クロメートにより外面側のクロメート汚れを完全に回避し、有機皮膜の焼付けを
30秒以下の短時間で行なうことにより表面酸化も抑制すれば上記のような最終
仕上げを行なう必要はない。 【0011】 本発明においては、自動車の外面側を構成する片面に耐チッピング性の向上を
目的としたNiめっき層を必須とするが、自動車の内面側を構成する他面にも鋼
板とZn−Ni系合金めっき層の間にNiめっき層を介在させてもよい。すなわ
ち、自動車用鋼板に対する加工性や強度などの要求品質の高度化により、鋼中へ
の添加成分や製造条件の制御により超深絞り鋼板や高強度鋼板が開発されている
。これらはZn−Ni系合金めっき層のめっき密着性に必ずしも無関係ではなく
、慨してめっき密着性を阻害する。したがって、これらの鋼板を下地とする場合 にがは、Zn−Ni系合金めっき層のめっき密着性の改善が必要である。この改
善策として、外面側と同じく、Sを0.01〜10重量%含有したNiめっき層
を鋼板とZn−Ni系合金めっき層の間に形成させることが有効である。この場
合、Niめっき層の付着量範囲は、0.01g/m2以上が適当であり、0.0
1g/m2未満では効果がない。上限はめっき密着性の観点からは特に制約され
ないが、5g/m2を超えると耐食性低下の懸念があるので好ましくない。耐食
性をも考慮すると、より好ましい範囲は1〜2g/m2である。また、外面側と
同様Niめっき層中にSを0.01〜10g重量%含有させることが必要である
。なお、内面側と外面側のZn−Ni系合金めっき層の組成と付着量は必ずしも
同一である必要はなく、目的に応じてめっき組成や付着量を内外面で変えてもよ
いが、製造上は同一とした方が有利である。 上記のような構成とすることにより、車体内外面に同時に適用できる表面処理
鋼板が得られる。以下実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。 【0012】 【実施例】 冷延鋼板を、アルカリ脱脂し、5%硫酸水溶液で酸洗した後、片面もしくは両
面にNiめっき、両面にZn−Ni系合金めっきを施し、次いで片面のもにクロ
メート、及び有機皮膜を施し、さらに有機皮膜を施さない外面側の一部について
は、最表面の仕上げ処理を行ない、表1に示す両面の表面処理鋼板を得た。これ
らについて、以下の性能評価を行ない、その結果を表2にまとめた。 表1における注釈は以下の通りである。 1)内面クロメート皮膜 ・塗布型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他にSiO2とりん酸を含む処理液
を用いて、ロールコート方式で塗布し、板温80℃で焼き付けた。水可溶分はC
6+,Cr3+及びりん酸の比率で制御した。外面側のめっき表面はクロメート汚
染無し。 ・電解型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他に硫酸を含む処理液を用いて、電
流密度10A/dm2で陰極電解し、水洗乾燥した。外面側のめっき表面はクロ
メート汚染有り。 ・水可溶分:50℃の蒸留水に30分浸漬し、前後のクロム量の差と初期クロム
量の比率を算出した。 2)内面側有機皮膜 ・種類A:樹脂は数平均分子量2900のビスフェノール型エポキシ樹脂、シリ
カは平均1次粒径8mμのドライシリカ、他の硬化剤としてヘキサメチレンジイ
ソシアネートのアセト酢酸エチルブロック体、及び潤滑剤としてポリエチレンワ
ックスを含有するもの。 ・種類B:樹脂は数平均分子量900のビスフェノール型エポキシ樹脂、シリカ
は平均1次粒径40mμのドライシリカ、他の硬化剤としてヘキサメチレンジイ
ソシアネート、及び潤滑剤としてポリエチレンワックスを含有するもの。 ・種類C:樹脂は数平均分子量15000のビスフェノール型エポキシ樹脂、シ
リカは平均1次粒径20mμのドライシリカ、他に硬化剤としてヘキサメチレン
ジイソシアネートを含有するもの。 3)外面側最表面の処理 ・処理A:pH、液温40℃のりん酸ナトリウム1モル/l水溶液中で通電量5
C/dm2の電解剥離処理+研削処理 ・処理B:スコッチブライトでめっき面を軽く研削処理 ・処理C:上記の電解剥離処理+研削処理 【0013】 表2における評価方法は以下の通りである。 (1)内面側ヘム部耐食性 試料2枚を用いて有機皮膜を塗布した面を内面側としてヘムモデルを作成し、
浸漬型りん酸塩処理、及びカチオン電着塗装を行なって、下記のサイクル腐食試
験に供した。 4000サイクル後にヘムモデルを解体し、ヘム部の板厚減少量を調査し、評
価した。 ◎:0.1mm以下 ○:0.2mm以下 △:0.3mm以下 ×:0.3mm超 (2)内面側加工性 エリクセン9mm押出し後テーピング試験を行ない、評価した。 ◎:剥離無し ○:極軽度の剥離 △:軽度の剥離 ×:剥離大 (3)内面側クロム溶出性 浸漬型りん酸塩処理工程で露出した総Cr量で評価した。 ◎:5mg/m2以下 ○:10mg/m2以下 △:20mg/m2以下 ×:20mg/m2超 (4)外面側耐チッピング性 浸漬型りん酸塩処理、カチオン電着塗装、及び中塗り、上塗りを行なって、合
計膜厚100μとし、試験片温度−30℃でJIS7号砕石250gを150k
m/hrの速度で衝突させ、テーピング試験後めっき剥離面積を評価した。 ◎:3%以下 ○:5%以下 △:10%以下 ×:10%超 (5)外面側塗装後耐食性 浸漬型りん酸塩処理、カチオン電着塗装、及び中塗り、上塗りを行なって、合
計膜厚100μとし、地鉄に達するクロスカット疵を入れ、下記のサイクル腐食 試験に供した。 100サイクル後、クロスカット部のふくれ巾で評価した。 ◎:3mm以下 ○:5mm以下 △:8mm以下 ×:8mm超 (6)溶接性 先端径6mmφのCF型電極を用いて、加圧力200kg,電流10KA,通
電時間10サイクルで連続スポット溶接を行ない、連続打点数で評価した。 ◎:3000点以上 ○:2000点以上 △:1000点以上 ×:1000点未満 【0014】 表1−(3)、表1−(4)の比較例について説明すると、比較例1はZn−
Ni系合金めっき層の付着量が少ないため、内外面との耐食性が不良である。比
較例2はクロメート皮膜量が少ないため、有機皮膜の密着性が不足し、結果的に
内面側の耐食性と加工性が不良であり、比較例3はクロメート皮膜量が多すぎる
ため、内面側加工性と溶接性が不良である。比較例4はクロメート皮膜の水可溶
分が多すぎるため、クロム溶出性が不良である。比較例5は有機皮膜厚が少ない
ため、内面側の耐食性と加工性が不良であり、比較例6は有機皮膜厚が多すぎる
ため、内面側加工性と溶接性が不良である。比較例7は有機皮膜中の樹脂分が少
なくシリカが多すぎるため内面側加工性が不良であり、比較例8は有機皮膜中の
シリカが少ないため内面側耐食性が不良である。また比較例2〜5は外面側のN iめっき層の付着量が少ないため、比較例6〜10は外面側のNiめっき層がな
いため、何れも外面側の耐チッピング性が不良である。比較例9,10はそれぞ
れ鋼板が超深絞り鋼板と高張力鋼板であり、内面側にNiめっき層がないため、
めっき密着性が不足し、結果的に内面側加工性が不良である。比較例11,12
はそれぞれZnめっき、Zn−Fe合金めっきをベースとするものであるが、内
面側耐食性その他が不良である。 これらに比較すると、本発明例は内面側、外面側の性能において何れも良好な
結果を示した。具体的に説明すると、本発明例22〜25と26〜29はそれぞ
れ超深絞り鋼板と高強度鋼板を素地鋼板とするものであるが、内面側にNiめっ
き層を有するため、めっき密着性が良好であり、結果的に内面側加工性が優れる
。内外面のNiめっき層にSを含有するものはNiめっき量が少なくても加工性
ないしは耐チッピング性がさらに優れる。本発明例15〜21と26〜29はク
ロメート皮膜が電解型であるため、外面側Zn−Ni系合金めっき層最表面がク
ロメートで汚染されるが、最表面の仕上げ処理(本発明例15,17,20,2
6,27)を行なったものは、無処理のもの(本発明例16,18,19,21
,28,29)に比べて塗装後耐食性がさらに良好である。 【0015】 【表1−1】 【0016】 【表1−2】 【0017】 【表1−3】 【0018】 【表1−4】 【0019】 【表2−1】 【0020】 【表2−2】 【0021】 【発明の効果】 以上述べた如く、本発明は、Zn−Ni系合金めっきをベースとし、片側にク
ロメート皮膜、有機皮膜を有する両面タイプの高耐食性表面処理鋼板であり、耐
食性のみならず耐チッピング性、加工性、溶接性に優れる。特に、自動車ボディ
ーの内外面の要求特性を同時に満足しうるものであることから、自動車材料とし
て好適である。 【0022】
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の高耐食性表面処理鋼板の構成を示す。 【符号の説明】 1 鋼板 2 付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層 3 総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜 4 膜厚0.3〜2μの有機皮膜 5 Sを0.01〜10重量%含有した付着量0.05g/m2以上のNiめ
っき層 5´Sを0.01〜10重量%含有した付着量0.01g/m2以上のNiめ
っき層 6 付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 自動車用鋼板において、自動車の内面を構成する片面側に鋼板
    側から順に付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層、総Cr付着量
    10〜150mg/m2のクロメート皮膜、膜厚0.3〜2μの有機皮膜が形成
    され、自動車の外面を構成する反対面側には鋼板側から順にSを0.01〜10
    重量%含有した付着量0.05g/m2以上のNiめっき層、付着量10g/m2
    以上のZn−Ni系合金めっき層が形成されたことを特徴とする高耐食性表面処
    理鋼板。 【請求項2】 自動車用鋼板において、自動車の内面を構成する片面側に鋼板
    側から順にSを0.01〜10重量%含有した付着量0.01g/m2以上のN
    iめっき層、付着量10g/m2以上のZn−Ni系合金めっき層、総Cr付着
    量10〜150mg/m2のクロメート皮膜、膜厚0.3〜2μの有機皮膜が形
    成され、自動車の外面を構成する反対面側には鋼板側から順にSを0.01〜1
    0重量%含有した付着量0.05g/m2以上のNiめっき層、付着量10g/
    2以上のZn−Ni系合金めっき層が形成されたことを特徴とする高耐食性表
    面処理鋼板。 【請求項3】 クロメート皮膜が水可溶分5%以下の難溶性クロメート皮膜で
    ある請求項1及び2記載の高耐食性表面処理鋼板。 【請求項4】 有機皮膜がエポキシ樹脂を30重量%以上とシリカを5〜50
    重量%を含有する有機皮膜である請求項1及び2記載の高耐食性表面処理鋼板。

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