JPH05115838A - 耐食性および溶接性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼板 - Google Patents

耐食性および溶接性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼板

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JPH05115838A
JPH05115838A JP28003991A JP28003991A JPH05115838A JP H05115838 A JPH05115838 A JP H05115838A JP 28003991 A JP28003991 A JP 28003991A JP 28003991 A JP28003991 A JP 28003991A JP H05115838 A JPH05115838 A JP H05115838A
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JP
Japan
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silica
weight
corrosion resistance
steel sheet
plating
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JP28003991A
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English (en)
Inventor
Kenji Takao
尾 研 治 高
Tsutomu Komori
森 務 小
Toru Honjo
庄 徹 本
Koji Yamato
和 康 二 大
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要 約】 【目的】 自動車車体外面は耐衝撃剥離性・耐外面錆性
に優れ、自動車車体内面は穴あき耐食性に優れた表裏異
種表面処理鋼板を提供する。 【構成】 鋼板の片面に金属CoおよびCo酸化物を全
Co量として0.1〜10wt%、Cr酸化物およびC
r水酸化物を全Cr量として0.05〜5wt%、Al
酸化物およびAl水酸化物を全Al量として0.05〜
8wt%含有させてなるZn系複合電気めっきが20〜
60g/m2施され、前記鋼板の他面はZn系めっき上にC
6+量が全クロム量に対して70%以下で付着量がクロ
ム換算で5〜500mg/m2 のクロメート処理が施され、
その上にシリカおよび数平均分子量が2000以上の有
機樹脂組成物を有する塗料組成物が塗布されてなること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性および溶接性に
優れる自動車用表裏異種表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用鋼板の高耐食化が社会的
な要請として注目されており、この課題に応えるために
各種の防錆鋼板が提案され次第に定着しつつある。これ
らの防錆鋼板には、溶融亜鉛めっき、溶融亜鉛系合金め
っき、電気亜鉛めっき、電気亜鉛系合金めっきおよび有
機皮膜系のジンクリッチ塗装などによって表面処理を行
なったものがある。
【0003】しかし、車体の外面と内面ではその腐食形
態や環境条件が異なるため、近年、自動車車体外板の表
裏で特性の異なる鋼板が要求されはじめた。
【0004】まず車体の内面、特に袋構造部や曲り部
(ヘミング部)では腐食環境が厳しく、さらに電着塗装
のつきまわり性も悪いので、その表面には高度な耐食性
が要求される。それゆえ種々の防錆処理鋼板が検討され
たが、上記の表面処理鋼板では、耐食性が十分でない。
そこで、めっき鋼板に有機被覆を施す複合被覆鋼板が開
発された。しかし、この防錆塗装鋼板においても、プレ
ス成形等の加工部では皮膜の剥離を生じ、耐食性が劣化
してしまうという問題がある。さらに、これらの改良を
目的として、導電顔料を全く使用しない薄膜(0.3〜
3μm)で電着塗装を可能にした鋼板が、特開昭62−
289274号、同63−22637号、同63−35
798号に提案されている。
【0005】これらの塗装鋼板においては、高耐食性、
溶接性、プレス成形性、電着時の外観および電着後の耐
水二次密着性に改善が認められるものの、いずれも皮膜
を十分に架橋剤で架橋した場合を前提としている。
【0006】さらに、最近では、プレス成形前は降伏強
度が低く焼き付け塗装時に降伏強度が増加する、いわゆ
る焼き付け硬化性を有する素材が使用されつつあるが、
この焼き付け硬化性を生かすには、有機皮膜の焼き付け
温度が150℃以下であることが必要条件である。ま
た、生産性向上のために150℃到達時間が1分以内、
保持時間なしという有機皮膜の乾燥、硬化の観点からは
極めて厳しい条件が要求される。
【0007】一方、車体外面における腐食は、フード・
フェンダー・ドアなどでは走行時に凍結防止剤が散布さ
れた路面からはねあげられた小石や砂等が塗膜面に当っ
て素地に達する損傷を生じ、この損傷部分に凍結防止
剤、水分が浸潤することに起因する。したがって、従来
の片面防錆処理鋼板では、外側に石はね等で損傷部を生
じると、素地が腐食し赤錆が発生するので、外面側にも
何等かの防錆処理が必要である。すなわち、車体外面に
使用する場合は、外面側に塗装後の衝撃剥離性の優れた
処理が要求される。
【0008】この問題に対し表裏異種表面処理鋼板がい
くつか提案されている(例えば、特開昭57−2071
93号、同58−81991号、同58−84990
号、同58−91185号、 同58−100691
号、同58−117891号、同58−123892号
および同58−204193号等参照)。
【0009】これらの考え方をまとめると、 車体内面には、Zn,Zn−Ni,Zn−Fe等の耐
穴あき性用めっきを施す。 車体外面は、Zn−Ni,Zn−Fe等の合金めっき
およびFe系めっきを上層に施した二層めっきとする等
である。
【0010】つまり、外面に対しては亜鉛−鉄系のめっ
きを提案するものが多く、これは鉄系めっきの塗料密着
性が優れた点を重視したものである。また、亜鉛−ニッ
ケルめっきの耐赤錆性に注目したものも見られる。一
方、内面に対しては特に明瞭な思想は見られない。
【0011】すなわち、従来の表裏異種表面処理鋼板に
おいては、表裏の防錆処理の概念が明確に分離されてお
らず、表裏が異なっためっきであってもかまわないとう
程度の発想に過ぎない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来、車体外面に対し
塗料密着性などの塗装性を重視するためにFe系Zn合
金めっきを、また耐赤錆性を重視するためNi系のZn
合金めっきを使用することが提案されてきた。しかし、
車体外面は常に傷つき環境にさらされるものであり、素
地に達する傷がついた場合、Zn−Fe合金めっきはめ
っき中のFeによる黄〜赤錆が発生しやすい。また、Z
n−Niめっきは当初は適度の犠牲防食機能を有する
が、腐食の進行に伴いZnが優先溶解し、めっき層中に
NiまたはNiリッチ相が残留し始めるとガルバニック
電流が逆にZnの溶解を促進するように働き、赤錆発生
を早めることが実環境テストで判明した。
【0013】むしろ、犠牲防食能が前記合金めっきより
も強く、Znを主体(95%以上)とするZn−Al2
3 系分散めっきが、実環境では傷つき部の赤錆を発生
しにくい。
【0014】さらに低温環境における飛石衝撃性につい
ても、従来の前記合金めっきはZnめっき、Zn−Al
2 3 系分散めっきよりもめっきが硬く、めっき内部応
力も高いため、そのままでは低温時の耐衝撃性が劣って
おり、種々の衝撃対策が提案されてきた(例えば、特公
昭63−18677号、同61−439号、同63−1
5358号、特開昭59−107095号、同62−8
3487号、同62−221397号、同63−739
3号、同63−76892号参照)。これらの方法は、
通常のめっきを施す前に前処理を行ない、上層と異なる
めっき相を形成させるものである。このように合金めっ
きを車体外面に使用する場合は、低温時の耐衝撃剥離性
を改善するために、鋼板と合金めっきの界面に何等かの
前処理が必要であり、そのために製造安定性や経済性に
不具合をきたすだけでなく、耐食性の劣化等の問題もあ
り、満足のいく性能を持つめっきは得られていない。
【0015】また、車体内面については、Zn,Zn−
Ni,Zn−Feあるいは、それらの二層めっき等の使
用が挙げられるが、ヘム部、袋構造部など塗料のつきに
くい部分では直接腐食性環境にさらされることになり、
容易に穴あきに至る可能性が高い。そこで耐食性を高め
る方法として、めっき付着量を上げる手段があるが、単
にめっき付着量を上げるだけでは溶接性や加工時のパウ
ダリングが劣化し、経済的にも問題がある。
【0016】また、本発明者らは特願平2−24789
3号、同2−247894号で車体内面にZn系めっき
上に所定量のクロメート皮膜および所定のエポキシ系樹
脂とシリカを配合した樹脂組成物を塗布してなる鋼板を
提案したが通常の有機被覆を行った場合、溶接性を著し
く劣化させるという問題点があった。
【0017】本発明は、自動車車体外面は耐衝撃剥離性
・耐外面錆性に優れ、自動車車体内面は穴あき耐食性に
優れた表裏異種表面処理鋼板を提供することを目的とし
ている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明によれば、鋼板の片面に金属CoおよびCo酸
化物を全Co量として0.1〜10wt%、Cr酸化物
およびCr水酸化物を全Cr量として0.05〜5wt
%、Al酸化物およびAl水酸化物を全Al量として
0.05〜8wt%含有させてなるZn系複合電気めっ
きが20〜60g/m2施され、前記鋼板の他面はZn系め
っき上にCr6+量が全クロム量に対して70%以下で付
着量がクロム換算で5〜500mg/m2 のクロメート処理
が施され、その上にシリカおよび数平均分子量が200
0以上の有機樹脂組成物を有する塗料組成物が、 (1)被覆層任意断面におけるシリカ個数が1×10-2
〜1×103 個/μm2 (2)前記シリカが一次粒子を凝集させた二次凝集体を
なし (3)有機複合被膜の付着量が乾燥重量にして0.2〜
3.0g/m2 となるように塗布されてなることを特徴とする耐食性お
よび溶接性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼板が提
供される。
【0019】ここで、前記シリカは、水分含有率が3.
0重量%以下である有機溶剤中に分散され、シリカ表面
に付着した有機物がC換算でシリカ全重量に対して5.
0重量%以下であり、かつ平均粒度が0.05〜3.0
μmで比表面積が50〜800m2/gである有機溶剤分散
シリカゾルであるのが好ましい。
【0020】また、前記有機溶剤中に分散される全アル
カリ金属分は0.01重量%以下であるのが好ましい。
【0021】前記シリカの表面にAl換算にしてシリカ
全重量に対して0.1〜20.0重量%であるAl3+
付着するのが好ましい。
【0022】前記シリカゾル中に、シリカゾル100重
量部に対しシランカップリング剤を20重量部以下配合
するのが好ましい。
【0023】前記樹脂組成物の水酸基価(H)は50重
量部であるのが好ましい。
【0024】前記塗料組成物中シリカと樹脂組成物の乾
燥重量比率が、樹脂100重量部に対してシリカ10〜
100重量部であるのが好ましい。
【0025】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明において鋼板の片面、すなわち車体外面側は、Zn
−Co−Cr−Al 2 3 系複合電気めっきが施され
る。
【0026】具体的には、Znめっき層中に金属Coお
よびCo酸化物を全Co量として0.1〜10wt%含
有し、Cr酸化物およびCr水酸化物を全Cr量として
0.05〜8wt%含有させてなるZn−Al2 3
複合電気めっきが施される。
【0027】Coは、Znめっき中に微量存在すると耐
食性が向上する。これは、めっき層中のZnとCoが腐
食する過程でCo2+が生成し、保護効果の優れた腐食生
成物の生成と、その安定性に寄与するからである。全C
oとしての含有量を0.1〜10wt%とする理由は、
Coが0.1wt%未満では耐食性向上効果が発揮され
ず、10.0wt%を超えると上記効果が飽和するだけ
でなく、合金含有率の上昇とともにめっき層の硬度が高
くなり、耐低温チッピング性が劣化するからである。
【0028】Crは、Co,Alとの共存で腐食初期に
おいて著しい耐食性の改善効果を示す。さらに、Crは
塗膜密着性を向上させる効果が著しい。全Crとしての
含有量を0.05〜5wt%とする理由は、Crが0.
05wt%未満では、Co,Alと共存しても耐食性向
上効果が認められず、5wt%を超えると上記の効果が
飽和するだけでなく、めっき密着性がやや低下し、耐低
温チッピング性が劣化するからである。
【0029】Alは、めっき層中に酸化物あるいは水酸
化物の共析しており、めっき層中へのCrの共析の促進
と、Co,Crとともに腐食環境下で緻密で安定な腐食
生成物皮膜を形成し、Znの溶出を抑制する効果を有す
る。全Alとしての含有量を0.05〜8wt%とする
理由は、Alが0.05wt%未満では、耐食性の向上
が見られず、8wt%を超えるとめっき密着性がやや低
下し、耐低温チッピング性が劣化するからである。
【0030】また、上記めっき付着量は20〜60g/m2
とする。20g/m2未満では、低温チッピング後の赤錆発
生までの寿命も短く、耐外面錆性が不安定であり、60
g/m2を超えると溶接性が劣化する。
【0031】一方、鋼板の他の片面、すなわち車体内面
側の下地めっきとしては、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜
鉛めっき鋼板、電気亜鉛合金めっき鋼板(Zn−Ni,
Zn−Fe,Zn−Al,Zn−Mnなど)、合金化溶
融亜鉛めっき(Zn−Al,Zn−Fe,Zn−M
g)、溶融アルミめっき鋼板、複合電気めっき鋼板、あ
るいはこれらを多層に施した福層めっき鋼板のいずれを
用いてもよい。
【0032】これらのめっきは鋼板に耐食性を付与する
ために施されるのであって、通常使用される目付量の範
囲で差し支えない。
【0033】これらZn系めっき層の上に、第1には高
耐食性の付与、第2には上層塗膜との密着力を付与する
ためにクロメート処理を行う。
【0034】クロメート付着量としてはクロム換算で5
〜500mg/m2 、好ましくは10〜150mg/m2 の範囲
とする。クロム付着量が5mg/m2 未満であるとクロメー
ト非被覆部が生じ、耐食性および塗膜密着性の観点から
好ましくなく、500mg/m2 超であるとこれ以上の大幅
な耐食性改善効果がなく、また、絶縁皮膜抵抗が著しく
高まり、溶接性および電着塗装性を損なう。10〜15
0mg/m2の範囲では耐食性、密着性、溶接性、電着塗装
性のすべての面で安定して良好な性能が得られる。
【0035】クロメート処理方法としてはロールコー
タ、ロール絞り等を用いる塗布型クロメート法、電解ク
ロメート法、反応型クロメート法等があるが、いずれの
方法にしたがってもよい。
【0036】クロメート処理液は水溶性クロム化合物を
主成分とし、これに適量のリン酸、フッ素等のアニオ
ン、Zn,Ni,Co等の金属イオン、デンプン、メタ
ノール等の有機物を必要に応じて添加する。さらに、耐
食性の向上を目的として、シリカゾルを添加することも
可能である。
【0037】また、クロメート中Cr6+の比率は全クロ
ム量に対して70%以下とする。Cr6+量が70%超で
あるとアルカリ脱脂等の耐クロム溶出性が劣化するため
である。
【0038】上記クロメート皮膜上には、シリカと有機
樹脂組成物からなる複合皮膜が施される。本発明の鋼板
において、複合被覆中シリカは、表面のシラノール基が
腐食環境下に曝されたときに生成するZn系腐食生成物
を安定保持する機能を有するために高耐食性を発現す
る。しかしながら、シリカを単体で鋼板上に塗布するこ
とは不可能であるため、バインダーとしての有機樹脂が
必須である。
【0039】有機樹脂としてはエピクロールヒドリン−
ビスフェノールA型エポキシ樹脂をベースとする樹脂組
成物を用いるのがより望ましい。
【0040】エポキシ樹脂としてはグリシジルエポキ
シ、グリシジルアミン、脂肪族エポキサイド、脂環族エ
ポキサイド等があるが強靱性、耐食性の見地から本発明
鋼板においてはエピクロールヒドリン−ビスフェノール
A型エポキシ樹脂が最も適する。その具体例としてはエ
ピコート1010、1009 1007、1004(い
ずれもシェル化学社製)等の市販品が挙げられる。
【0041】また、望ましくはエポキシ樹脂末端のオキ
シシラン環にジアルカノールアミンを付加する。これ
は、エポキシ樹脂と一級ヒドロキシル基を安定かつより
多く結合させることにより、皮膜中シリカを安定に結合
させることを目的としている。これに用いるジアルカノ
ールアミンとしては、たとえばジエタノールアミン、ジ
プロパノールアミン、ジブタノールアミン等が挙げられ
る。
【0042】さらに、必要に応じて、上記樹脂組成物の
一部をウレタン変性することも可能であるし、また、塗
料中にメラミンやベンゾグアナミンのようなアミン系樹
脂を架橋剤として配合してもよい。
【0043】このような樹脂組成物の数平均分子量Mn
としては2000以上が必要であり、また水酸基価H
(KOH mg/ 樹脂g )としては、 H≧50 であることが望ましい。
【0044】数平均分子量が2000未満であると樹脂
長が短くなり、樹脂が編目状の構造をとらないため、シ
リカのバインダーとしての機能を果たさず、耐食性およ
び塗料密着性を著しく損なう。また、塗料中でのシリカ
との相溶性も劣化する。また、数平均分子量の上限は特
に定めないが100000超であると、被膜の抵抗が高
まり、電着塗装性およびスポット溶接性を阻害する場合
もあるので好ましくは100000以下であるのが良
い。
【0045】有機樹脂中のヒドロキシル基は、密着性に
寄与する官能基であるが、本発明者らの研究の結果、前
記Hが50未満であると、下地クロメート層との間に
強固な密着性を確保できず、カチオン電着塗装後の鋼
板と電着塗膜間に良好な密着性を得難い場合がある。こ
のため、アルカリ脱脂時にクロメート中のクロムが溶
出する、上層に電着塗装および上塗り塗装した後、湿
潤環境に曝されると、クロメート−有機複合被膜間もし
くは電着塗膜−有機複合被膜間の密着が不良となり、塗
膜剥離が生じるという問題が発生する場合がある。した
がって、水酸基価Hの上限は特に定めないが、この値が
高くなると塗料化したときのシリカとの相溶性を失い、
塗料の凝集・ゲル化をもたらす場合がある。
【0046】一般に、塗料組成物中に配合するシリカと
しては、水分散シリカゾル、ヒュームドシリカ、および
シリカ表面を有機置換した疎水性シリカ等が知られてい
る。
【0047】水分散シリカゾルはシリカ粒子表面に水分
子が水和したかたちで吸着しているために上記樹脂組成
物と調合した場合、直ちに沈澱・ゲル化してしまい、塗
料組成物としての使用が困難である。
【0048】ヒュームドシリカは粒子間にシロキサン結
合を持ち粒子表面にシラノール基を有するシリカ凝集微
粉末であるが、これを塗料中に配合すると、塗料中に
機械的剪断力を与えた場合急激に塗料粘度が上昇し、工
業的に安定して塗布できない、有機溶剤中添加量を増
加して行くと増粘・沈澱・ゲル化するため添加量が限定
される。
【0049】一方、シリカゾルを塗料中に安定して分散
させるため、粒子表面シラノール基を有機化することに
より疎水化して有機溶剤中に分散した疎水性シリカを用
いることが知られている。しかしながら、疎水性シリカ
を塗料中に配合した場合、有機樹脂との相溶性は確保さ
れ、また良好な塗装後密着性が得られるものの、粒子表
面の自由シラノール基が僅少なため、腐食環境下に曝さ
れたときの塗膜下で生成するZn系腐食生成物を安定保
持する能力を喪失し、このため耐食性が著しく劣る。
【0050】本発明鋼板に用いるシリカは上述したシリ
カの抱える問題点を解消するため、有機溶剤分散シリカ
ゾルが用いられる。すなわち、水分量3.0重量%以下
の有機溶剤中に分散することにより、樹脂組成物との相
溶性を保持する。また、シリカ表面に付着する有機物を
C換算でシリカ全重量に対して5.0重量%以下、かつ
比表面積を50〜800m2/g、望ましくは100〜40
0m2/gと規定し、シリカ表面の自由シラノール基を確保
することにより、良好な耐食性を発現することを可能と
するものである。
【0051】有機溶剤中の水分量が3.0重量%超であ
ると樹脂組成物との相溶性を失い、また、シリカ表面に
付着する有機物がC換算で5.0重量%超であると腐食
生成物を安定保持するところの自由シラノール基が僅少
になるため耐食性不良となる。
【0052】さらに、シリカ比表面積が800m2/g超で
あるとシラノール基の数が必要以上に増大しゲル化しや
すくなり、塗料の調製が困難となり、したがって鋼板上
への塗布も事実上不可能に近くなる。なお、比表面積が
400m2/g超、800m2/g以下の範囲では、塗料に使用
する樹脂によっては一部ゲル化し、鋼板上への塗布に若
干の困難を生じることがあるので、好ましくは400m2
/g以下であるのがよい。また、シリカ比表面積が50m2
/g未満ではシリカ自由シラノール基が僅少になるため耐
食性不良となる。100〜400m2/gの範囲では、耐食
性、安定性のすべての面で良好な性能が得られる。
【0053】また、通常シリカゾルの粒度は0.05μ
m未満であり、しかも、二次凝集することなく溶媒中に
均一に分散した状態である。しかしながら、本発明者ら
の研究によると、このような均一に分散したシリカゾル
を用いると、鋼板をスポット溶接する際に、溶接電極
チップ磨耗が促進されて電極面積が減少するために溶接
電流密度が低下し、ナゲットが形成されない、700
〜800℃程度の溶接温度では有機樹脂が熱分解される
のに対し、シリカは熱分解されず、また電導性がないた
めにスポット溶接時抵抗として作用する。したがって被
膜層中均一なシリカの存在は、溶接通電路の僅少をもた
らして溶接スパークを誘発し、電極の損傷を助長するこ
とによりスポット溶接性を著しく劣化するということが
判明した。そこで、良好な溶接性を確保するためには、
シリカの均一な分散を妨げ、通電路を確保する必要があ
る。本発明者らはこの観点に鑑みて、有機複合被覆層中
のシリカの存在形態について、検討を行った結果、有機
複合被覆断面におけるシリカの任意単位面積当たりのシ
リカ個数を規定することにより、溶接性を大幅に改善し
得ることを見いだした。
【0054】すなわち、有機複合被覆層任意断面におけ
るシリカ個数を1000個/μm2 以下とすることによ
り、溶接時の通電路が確保され、溶接性を大幅に改善し
得る。
【0055】ここで有機複合被覆層任意断面におけるシ
リカ個数を0.01個/μm2 未満とすると、溶接性は
良好であるが、シリカ表面のシラノール基数が僅少とな
り、耐食性が劣化する。すなわち、耐食性を確保するた
めに、有機複合被覆層任意断面におけるシリカ個数を
0.01個/μm2 以上とする。
【0056】良好な耐食性を確保するために所要のシリ
カ比表面積を保持し、かつ有機複合被覆層中の溶接通電
路を確保するために、被覆層中のシリカはその一個一個
の一次粒子が二次凝集してなることが必要である。
【0057】このような有機複合被覆層を形成させるた
めに、シリカゾル一次粒子を塗料中で二次凝集させるこ
とが有効である。一次粒子を凝集させて、形成される二
次粒子の平均粒子径を0.05μm以上とし、良好な溶
接性を確保する。一方、二次粒子の平均粒子径が3.0
μm超であると塗膜の均一塗布性を損なうために好まし
くない。粒子を二次凝集させる手段としては、特に限定
するものではないが、上記の粒度範囲に調整し得る好ま
しい方法として、有機溶剤分散シリカゾルの有機溶剤中
全アルカリ金属分を0.01重量%以下とする方法また
はシリカ表面にAl換算にしてシリカ全重量に対して
0.1〜20.0重量%であるAl3+を付着させる方法
が使用できる。
【0058】通常のシリカゾルにおいては、アルカリ金
属イオン(例えばNa2 Oの形でNa+ )が0.05重
量%程度含まれている。シリカゾル中にNa2 Oなどの
アルカリ酸化物が含まれると、シリカ粒子表面に対イオ
ンとしてNa+ などのアルカリ金属が配位し、さらにそ
のまわりに水和層を持った電気二重層を形成するため、
シリカ粒子の反発によりコロイド状態を維持し、均一に
分散され、二次凝集が妨げられる。しかるに有機溶剤中
のアルカリ金属量を0.01重量%以下とすることによ
り、シリカ表面に電気二重層を形成させて電荷を持つこ
とを防止し、一次粒子同士を二次凝集させ、0.05〜
3.0μmの平均粒度範囲をもつ二次粒子を好適に得る
ことができる。
【0059】また、シリカゾル中に例えば塩基性塩化ル
ミニウムなどを用いてAl3+を添加することにより、シ
リカ表面にAl換算にしてシリカ全重量に対して0.1
重量%以上のAl3+を結合させると、部分的に正に帯電
する部位を生じる。シリカ自身の電荷は負であるため、
シリカ粒子全体としての電荷は相殺される。ここで、A
l換算にしてシリカ全重量に対して20重量%以上の付
着は耐食性に有効なシラノール基の僅少を招来し、望ま
しくない。こうして、シリカ表面にAl換算にしてシリ
カ全重量に対して0.1〜20.0重量%であるAl3+
を付着させる方法によってもシリカ表面の電気二重層の
形成による電荷を持つことを防止し、一次粒子同士を二
次凝集させ0.05〜3.0μmの平均粒度範囲をもつ
二次粒子を好適に得ることができる。
【0060】このようなシリカゾルは、水分散シリカゾ
ル中に有機溶剤を添加した後、水分3重量%以下になる
まで蒸留し、水を除去することにより製造される。した
がって、シリカゾルを分散する溶媒としての有機溶剤と
しては水よりも蒸発速度が遅いことが必要であり、例え
ば、n−ブタノール、イソブタノール、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、キシレン、キシレンn−ブタノ
ール、エチレングリコール、エチレングリコールn−プ
ロピルエーテル、ジメチルアセトアミド等を単独または
2種以上混合して用いることができる。なお蒸留の際必
要以上に加熱すると、例えばシリカ表面のシラノール基
がアルコール類と反応しエステル化するなどして、シリ
カ表面に付着する有機物量がシリカ全重量に対して5.
0重量%超になり、良好な耐食性が得られない。
【0061】なお、塗料組成物中シリカゾルと樹脂組成
物の乾燥重量比率は、樹脂100重量部に対してシリカ
ゾル10〜100重量部とする。シリカゾル量が10重
量部未満であると、上述した理由で良好な耐食性が得ら
れないからであり、また100重量部超になると樹脂組
成物との相溶性が得られなくなり、塗料化して鋼板上に
塗布することが困難になるためである。
【0062】また、前記塗料組成物の溶剤としてはアル
コール類・ケトン類・エステル類・グリコールエーテル
類の有機溶剤が挙げられる。この場合、シリカゾルの安
定性の見地から塗料中の水分量は1重量%以下であるこ
とが望ましい。
【0063】本発明の塗料組成物中に必要に応じて、シ
ランカップリング剤を配合することもできる。これによ
り、基体樹脂とシリカゾルの間に橋架けが形成され、シ
リカゾルを安定固定する上で有効である。このようなシ
ランカップリング剤としてはビニルシラン、メタクリロ
キシシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプ
トシラン等が知られているが、このうち、アミノシラン
は本発明で用いられる樹脂組成物との相溶性が不良であ
るため不適である。また、シランカップリング剤は耐食
性に寄与するシリカゾル表面のシラノール基と結合し、
これを消失せしめるために、必要量以上の添加は良好な
耐食性を維持する上で有害である。シリカゾル100重
量部に対して、シランカップリング剤20重量部超の添
加はこの観点から好ましくない。
【0064】以上のように配合してなる本発明の塗料組
成物をクロメート皮膜上に塗布する方法としては、工業
的に一般に用いられるロールコーター法、エアーナイフ
法等の方法が用いられる。本発明鋼板における塗料組成
物の塗布量は、乾燥重量にして0.2〜3.0g/m2とす
る。0.2g/m2未満であると耐食性が劣り、3.0g/m2
超では皮膜抵抗が高まるためスポット溶接性および電着
塗装性が劣化する。
【0065】有機複合皮膜は鋼板表面の最高到達温度と
して、100〜200℃で焼き付ける。100℃未満の
温度では十分乾燥されず溶剤が塗膜中に残存するため耐
食性を損なうからであり、200℃超であると、鋼板に
降状伸びが生じてプレス加工時にストレッチャーストレ
インが生じるという材質上の問題があるためである。
【0066】次に、本発明の表面処理鋼板の好適な製造
方法について述べる。
【0067】電気めっきを行う電気めっきセルは、両面
同時を主体とするセルと片面製造を主体とすうセルとに
分類される。両面同時めっき用に作られた設備でも止む
を得ず片面めっき品を製造する場合はあるが、この場
合、片面だけ通電するのはもちろんであるが、必ず非め
っき面側ではめっき液が浸漬し、汚染するだけでなく、
端面では反対側にも電流が一部まわりめっきされる部分
が発生する。まして両面同時めっきセルで二種のめっき
をする場合は、片面工程で二回通板するか、前半片面通
電、後半他面通電という複雑なプロセスをとらなければ
ならない。
【0068】本発明では、片面順次で両面めっきをする
ラジアル型セルを用いる場合、一工程で容易に両面異な
るめっき種を施すことができる。ラジアル型セルの一例
を述べると、これは図1に示すように、金属ストリップ
1を巻き付ける回転ロール2と、この回転ロール2の金
属ストリップ1の巻き付け部分に対向して回転ロール2
の半径方向に離間設置される不溶性電極3を有するサポ
ート4とで回転ロール2の周方向にめっき液通路5を形
成し、このめっき液通路5にめっき液を流すとともに不
溶性陽極3と金属ストリップ1との間に電位差を与えて
電気めっきする装置である。このめっきセルで片面めっ
きを行ったのち、通板方向を反転して回転ロール2に巻
き付ければ容易に他面をめっきできる。
【0069】ラジアルセルは片面めっき品を製造するた
めの設備であるから、それぞれ順次に独立しためっきを
容易に両面に施すことができる。
【0070】めっき以降のクロメート処理、有機複合被
覆は、めっきラインに対してインラインで処理してもオ
フラインで処理しても構わない。
【0071】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。
【0072】(実施例1) 《車体外面相当面のめっきの調製》冷延鋼板(SPC
C)をアルカリ電解脱脂し、5%塩酸にて酸洗したの
ち、水洗し、下記条件でめっきを行った。攪拌はポンプ
により行い、液流速は約60m/min で、陽極に亜鉛板を
使用し、極間距離10mm、液温は50℃とした。目付
量は30g/m2とした。また、Alは水分散性コロイドゾ
ルをめっき液中に添加した。 めっき浴 塩化亜鉛:200g/l 塩化カリウム:350g/l 塩化コバルト:金属コバルトとして0.3〜10g/l 塩化クロム:金属クロムとして0.2〜5g/l アルミナゾル:アルミナとして0.5〜20g/l 酸化物:SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,Sb3
3 は、それぞれ水分散性コロイドゾルとして20g/l 添
加した。 pH3、浴温50℃、電流密度100A/dm2 このようにして得られためっき層組成が本発明範囲のも
の(本発明例1〜13)および本発明範囲外のもの(比
較例1〜8)について、めっき密着性、耐外面錆性、耐
低温チッピング性、低温チッピング後耐食性、耐水二次
密着性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。な
お、表中めっき層組成の残部はZnである。
【0073】《めっき密着性》デュポン衝撃試験(撃心
径1/2インチ、重さ1kg、高さ50cm)後のめっ
き層の剥離状態で評価した。 ◎:剥離なし ○:極くわずか剥離 △:わずかに剥離 ×:剥離多し
【0074】《耐外面錆性》りん酸塩処理(日本パーカ
ライジング社製:パルボンド3020L)を行った後、
カチオン電着塗装(日本ペイント社製パワートップU−
100)を20μm施し、中塗り(OTOオーロラグレ
ー:35μm)・上塗り(OTOオーロラホワイト:4
0μm)を塗装焼き付けした3コート材を作製した後、
素地に達する傷をナイフを用いて入れ、下記に示すサイ
クルの耐外面錆腐食試験を36か月行い、ナイフカット
部からの塗膜膨れ幅を測定し評価した。 試験方法:海岸(千葉)暴露を行ない、1週間に2回塩
水を散布する。 塗膜膨れ幅 ◎:3mm未満 ○:3mm以上5mm未満 △:5mm以上7mm未満 ×:7mm以上
【0075】《耐低温チッピング性》前記耐外面錆性と
同様にして3コート材を作製し、−20℃に試料を冷却
し下記の条件で御影石を試料にぶつけ、塗膜の最大剥離
径を測定した。 条件:直径5〜13mmの御影石250gをエアー圧2
kg/cm2で試料にぶつける。 最大塗膜剥離径 ◎:5mm未満 ○:5mm以上6mm未満 △:6mm以上7mm未満 ×:7mm以上
【0076】《低温チッピング後耐食性》前記、低温チ
ッピング材について下記の示す耐外面錆腐食試験を9か
月行った後、チッピング部の塗膜膨れ幅を測定し、評価
した。 試験方法:海岸(千葉)暴露を行ない、1週間に2回塩
水を散布する。 塗膜膨れ幅 ◎:3mm未満 ○:3mm以上5mm未満 △:5mm以上7mm未満 ×:7mm以上
【0077】《耐水二次密着性》 (3コート後の塗膜密着性)ED塗装後のサンプルにさ
らに関西ペイント社製アミラックNo.002を30μ
m厚でスプレー塗装して2コート材を作製した。各供試
材を40℃の温純水に240時間浸漬した。その後、取
り出してから10分以内に碁盤目状に2mm間隔で10
0個カッターナイフで傷つけ、粘着テープを用いて剥離
テストを行なった。評価は、剥離個数を測定することで
行った。 ◎:剥離なし ○:剥離個数1以下 △:剥離個数2〜10 ×:剥離個数11以上
【0078】(実施例2)板厚0.7mmの低炭素冷延
鋼板の片面に実施例1の本発明例に従ってめっきを施
し、その反対面に表2に示す所定のZnまたはZn合金
めっきを被覆した試料の表面にロールコーターを用いて
表2に示す所定量の塗布型クロメート処理を行い、最高
到達板温130℃で焼付け、表3に示す有機複合皮膜を
ロールコーターで塗布し、最高到達板温160℃で焼き
付けた後、直ちに水冷・乾燥し、試験に供した。表4に
塗料のベースレジンの明細を、表5に添加するシリカゾ
ルの明細を示した。また、樹脂および塗料の調合は下記
(1)および(2)に表3の塗料番号11について代表
的に示した方法により行った。
【0079】塗料の塗膜量、被膜断面シリカ個数、被膜
中シリカ形態を表2に示す。また、得られた表面処理鋼
板のクロメート、塗料、シリカの条件が本発明範囲のも
の(本発明例21〜36)および本発明範囲外のもの
(比較例21〜30)について、自動車車体内面側要求
性能(耐食性サイクル・溶接性・耐クロム溶出性・耐水
二次密着性・電着塗装性)を以下の方法で評価した。
【0080】結果を表2に示す。なお、表2の原板めっ
き種中のZn−Ni下地めっきのNi分は12wt%、
めっき種AはNi:12wt%、Cr:1wt%、残Z
n、めっき種BはCo:1wt%、Cr:0.8wt
%、Al2 3 :1wt%、残Znを示す。また、被膜
断面シリカ個数は、被膜をミクロトームで500A厚に
スライスした後に透過型電子顕微鏡で観察し計測された
単位面積当たりのシリカ個数、被膜中シリカ形態はその
ときに観察された二次凝集の有無を示す。
【0081】表3、5中のETCはエチルセロソルブ、
NPCはエチレングリコールn−プロピルエーテル、B
Tはn−ブタノール、表3中の表面付着有機物量はシリ
カに対するC換算重量%、樹脂およびシリカの配合量は
乾燥重量%を示す。
【0082】また、表5中のAl量はシリカに対するA
l換算重量%、平均粒度は遠心沈降粒度分布測定による
平均粒度、比表面積はN2 ガスを用いたBET法による
値を示す。
【0083】表2から明らかなように本発明例はいずれ
も耐食性、溶接性等に優れた有機複合被覆鋼板である。
なお、各性能評価法の詳細は以下の通りである。
【0084】《耐食性》 塩水噴霧 4時間 5%NaCl溶液 35℃ 乾燥 2時間 60℃ 湿潤 2時間 95%RH 50℃ を1サイクルにする複合サイクル腐食試験を行い、赤錆
の発生するサイクル数で評価した。
【0085】《溶接性》先端6mmφの銅−クロム合金
の溶接チップを用い、加圧力200kgf 、電流9kA、
溶接時間10Hzで連続溶接を行ない、ナゲットが形成
されない打点数で溶接性を評価した。 ○:3000点超 △:1000〜3000点 ×:1000点未満
【0086】《耐クロム溶出性》日本パーカライジング
(株)製リン酸塩処理液PB L3020を用いて脱
脂、水洗、表面調整、化成の4工程を通じて処理を行
い、処理前後のCr付着量を蛍光X線分析を用いて測定
し、溶出量を算出した。
【0087】《耐水二次密着性》(電着後の塗膜密着
性) 電着塗料パワートップU−100(日本ペイント社製)
を100V、3min、28℃の条件で20μmの膜厚
で電着後さらに関西ペイント社製アミラックNo.00
2を30μm厚でスプレー塗装して2コート材を作製し
た。各供試材を40℃の温純水に240時間浸漬した。
その後、取り出してから10分以内に碁盤目状に2mm
間隔で100個カッターナイフで傷付け、粘着テープを
用いて剥離テストを行なった。評価は、剥離個数を測定
し、剥離なしの個数を百分率で示した。
【0088】《電着塗装性》パワートップU−100
(日本ペイント(株)製)を電着電圧100V、浴温2
8℃、180秒通電した後、170℃×20分焼付を行
い、電着塗膜上に発生したガスピン数を測定し評価し
た。 ○:0〜6個/cm2 △:7〜10個/cm2 ×: 11個/cm2 以上
【0089】(1)末端アミン変性エポキシ樹脂ワニス
の調製 還流冷却器、攪拌装置、温度計および窒素ガス吹き込み
装置を付した反応装置にエピコート1009(シェル化
学(株)製エポキシ樹脂:エポキシ当量3000)30
0gに対してエチルセロソルブ467gを加え、80℃
まで昇温し均一溶液とした。次にこの溶液にジエタノー
ルアミン10.5gを1時間かけて滴下後、80℃3時
間反応させ、エポキシ樹脂ワニス(固形分40%)を調
製した。反応の終点はエポキシ基の消滅を化学分析によ
り確認した。
【0090】(2)溶剤分散シリカ添加塗料の調製 (1)で得られた末端アミン変性エポキシ樹脂ワニス4
5gにエチルセロソルブに分散したシリカゾル(比表面
積:150m2/g、水分:2重量%、Na2 O:0.00
5重量%以下、平均粒度0.3μm、固形分20%)6
0gおよびエチルセロソルブ95gを添加しディスパー
で10分間攪拌し、溶剤分散シリカ添加塗料(固形分1
5%)を調製した。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、本発明の表裏異種表面処理鋼板は、車体外
面側にZn−Co−Cr−Al2 3 系分散めっきを施
すことによって、良好な耐外面錆性・耐低温チッピング
性・耐水二次密着性を示し、車体内面側にZn系めっき
を下地として、クロメート皮膜・有機複合被覆処理を施
すことによって、優れた溶接性・耐食性を示すいという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理鋼板を製造するために用いる
ラジアル型セルの一例を示す線図である。
【符号の説明】
1 金属ストリップ 2 回転ロール 3 不溶性電極 4 サポート 5 めっき液通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B32B 15/08 G 7148−4F (72)発明者 本 庄 徹 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 大 和 康 二 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の片面に金属CoおよびCo酸化物を
    全Co量として0.1〜10wt%、Cr酸化物および
    Cr水酸化物を全Cr量として0.05〜5wt%、A
    l酸化物およびAl水酸化物を全Al量として0.05
    〜8wt%含有させてなるZn系複合電気めっきが20
    〜60g/m2施され、前記鋼板の他面はZn系めっき上に
    Cr6+量が全クロム量に対して70%以下で付着量がク
    ロム換算で5〜500mg/m2 のクロメート処理が施さ
    れ、その上にシリカおよび数平均分子量が2000以上
    の有機樹脂組成物を有する塗料組成物が、 (1)被覆層任意断面におけるシリカ個数が1×10-2
    〜1×103 個/μm2 (2)前記シリカが一次粒子を凝集させた二次凝集体を
    なし (3)有機複合被膜の付着量が乾燥重量にして0.2〜
    3.0g/m2 となるように塗布されてなることを特徴とする耐食性お
    よび溶接性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】前記シリカは、水分含有率が3.0重量%
    以下である有機溶剤中に分散され、シリカ表面に付着し
    た有機物がC換算でシリカ全重量に対して5.0重量%
    以下であり、かつ平均粒度が0.05〜3.0μmで比
    表面積が50〜800m2/gである有機溶剤分散シリカゾ
    ルである請求項1に記載の耐食性および溶接性に優れる
    自動車用表裏異種表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】前記有機溶剤中に分散される全アルカリ金
    属分は0.01重量%以下である請求項2に記載の耐食
    性および溶接性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼
    板。
  4. 【請求項4】前記シリカの表面にAl換算にしてシリカ
    全重量に対して0.1〜20.0重量%であるAl3+
    付着する請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性および
    溶接性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼板。
  5. 【請求項5】前記シリカゾル中に、シリカゾル100重
    量部に対しシランカップリング剤を20重量部以下配合
    する請求項2〜4のいずれかに記載の耐食性および溶接
    性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼板。
  6. 【請求項6】前記樹脂組成物の水酸基価(H)は50以
    上である請求項1〜5のいずれかに記載の耐食性および
    溶接性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼板。
  7. 【請求項7】前記塗料組成物中シリカと樹脂組成物の乾
    燥重量比率が、樹脂100重量部に対してシリカ10〜
    100重量部である請求項1〜6のいずれかに記載の耐
    食性および溶接性に優れる自動車用表裏異種表面処理鋼
    板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10130576A (ja) * 1996-10-24 1998-05-19 Nof Corp 塗料組成物
KR100765056B1 (ko) * 2002-12-27 2007-10-09 주식회사 포스코 자동차외판용 이종 수지피복 강판

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JPH10130576A (ja) * 1996-10-24 1998-05-19 Nof Corp 塗料組成物
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