JP2976405B2 - 耐水二次密着性と加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板 - Google Patents

耐水二次密着性と加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板

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JP2976405B2 JP7141963A JP14196395A JP2976405B2 JP 2976405 B2 JP2976405 B2 JP 2976405B2 JP 7141963 A JP7141963 A JP 7141963A JP 14196395 A JP14196395 A JP 14196395A JP 2976405 B2 JP2976405 B2 JP 2976405B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に自動車車体用鋼板
としてプレス成形して用いられる、耐水二次密着性と加
工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体の高耐食性化に対する強い社
会的要請に応えて、冷延鋼板上に亜鉛または亜鉛系合金
めっきを施した表面処理鋼板の自動車車体への適用が拡
大している。
【0003】これら表面処理鋼板としては、溶融亜鉛め
っき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき
鋼板、および電気亜鉛系合金めっき鋼板などが挙げられ
る。しかしながら、車体組立後に行われる塗装が充分に
行き渡らない車体内板の袋構造部や曲げ加工部(ヘミン
グ部)ではさらに高度な耐食性が要求されてきた。
【0004】このような用途に対応する自動車用鋼板と
して、例えば特開昭57−108292号公報や特開昭
58−224174号公報などでは、亜鉛または亜鉛合
金めっき鋼板上にクロメートおよび有機高分子樹脂層を
有する有機複合被覆鋼板が提案されている。これらは、
いずれも水溶性あるいは水分散有機樹脂と水分散シリカ
ゾルを含有した塗料をクロメート処理した亜鉛系めっき
鋼板の上層に塗装して、高耐食性を発現することを目的
としているが、次のような問題点を有していた。 (1)水可溶性成分が成膜後も被膜中に残存するため
に、耐クロム溶出性に劣り、化成処理時にクロムが溶出
して環境汚染の原因となる。 (2)アルカリ脱脂時に樹脂層の剥離を生じ、耐食性の
劣化を招く。 (3)腐食環境下において樹脂層内に水分が侵入し、可
溶性成分が溶解して高アルカリ性になるために、樹脂層
/クロメート間の密着性が劣化する。
【0005】このような問題点を解決するために、有機
溶剤中でシリカ表面を有機置換した疎水性シリカとエポ
キシ樹脂などを配合した塗料組成物を用いる方法が特開
昭63−22637号公報に提案されている。この場
合、シリカゾルと有機樹脂との相溶性は確保され、また
優れた塗装後密着性が得られるものの、塗膜の可撓性が
充分でないため、プレス加工などによる成形加工時に加
工部塗膜層に損傷が生じ、この部分の耐食性が劣化する
という問題が指摘されている。
【0006】こういった加工後に耐食性が劣るという問
題点については、ウレタン系樹脂および二酸化珪素を主
成分とする被膜層を設ける方法が特開昭62−2892
74号公報に提案されている。この場合、加工性に対し
て若干の改善効果は得られるものの、より厳しい加工を
施すとやはり耐食性が劣化するという問題点があった。
特に水性樹脂を用いる場合は、樹脂の電荷状態の違いに
よりシリカと組み合わせると、相溶性が得られず、塗料
化できないという問題があった。
【0007】また、現在使用されている塗料は有機溶剤
系が主流であり、この芳香族炭化水素系溶剤は大気汚染
源であり、これの大幅な削減は地球規模の課題となって
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の種々の問題点を解決しようとするもの
で、特に製造過程において地球環境を汚すことがなく、
しかも耐水二次密着性と加工後耐食性に優れた有機複合
被覆鋼板を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は従来技術におけ
る問題点を解決すべくなされたもので、特に耐水二次密
着性と加工後耐食性に関する水分散シリカと水性有機樹
脂の組み合わせによる水性塗料について詳細な検討を行
い、本発明に到達したものである。本発明に従えば、水
性塗料を使用して加工後耐食性に優れる有機複合被覆鋼
板を得ることができ、耐水二次密着性および耐クロム溶
出性にも優れ、地球環境を汚すことがない。
【0010】すなわち、本発明は、亜鉛または亜鉛系合
金めっき鋼板表面上に、Cr6+量が全Crに対して25
〜70%で、付着量がCr換算で5〜500mg/m2 、R
aが0.02μm以上のシリカ添加クロメート被膜を有
し、該クロメート被膜の上層に主として付着量が0.1
〜3g/m2である、主として水分散シリカとアニオン系水
性樹脂、ノニオン系水性樹脂および界面活性剤が樹脂固
形分に対し10%以下であるアニオン系水性ウレタン樹
脂のうち少なくとも1種を配合してなる水性塗料を塗布
し、焼付け、固形被膜の付着量が0.1〜3g/m2とした
有機複合被覆鋼板であって、該有機複合被覆鋼板に対す
る脱イオン水の接触角が30度を超えることを特徴とす
る耐水二次密着性と加工後耐食性に優れた有機複合被覆
鋼板を提供するものである。この有機複合被覆鋼板にお
ける水性塗料に配合するシリカとして、平均粒子径が
0.005〜2μmである水性シリカゾルを用いること
が好ましい。また、前記有機複合被覆鋼板における水性
塗料に配合するシリカとして、水分散親水性ヒュームド
シリカを用いるのが好ましい。
【0011】前記有機複合被覆鋼板の樹脂層(固形被
膜)中におけるシリカと有機樹脂の乾燥重量比率が、樹
脂100重量部に対してシリカ10〜100重量部であ
ることが好ましい。
【0012】さらに、前記有機複合被覆鋼板における水
性塗料に配合するアニオン系水性ウレタン樹脂として、
伸びが50〜1000%かつ引張強度が200kgf/cm以
上であるアニオン系水性ウレタン樹脂を用いることが好
ましい。
【0013】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。本発明で用い
る鋼板用の素材としては、亜鉛または亜鉛系合金めっき
鋼板を用いる。この鋼板に施されるめっきの種類として
は、純亜鉛めっき、Zn−Ni合金めっき、Zn−Fe
合金めっき、Zn−Cr合金めっきなどの二元系合金め
っき、Zn−Ni−Cr合金めっき、Zn−Co−Cr
合金めっきなどの三元系合金めっきなどを含み、またZ
n−SiO2 めっき、Zn−Co−Cr−Al2 3
っきなどの複合分散めっきを広く包含する。これらのめ
っきは電気めっき法、溶融めっき法、あるいは気相めっ
き法によって施される。
【0014】これらの亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板
の上に、後述の有機高分子樹脂層との密着性を向上さ
せ、また耐食性を付与するためにシリカ添加クロメート
処理を行う。クロメート付着量としてはCr換算で5〜
500mg/m2 、好ましくは10〜150mg/m2 の範囲と
する。Cr付着量が5mg/m2 未満では、耐食性が不十分
であるばかりでなく、樹脂層との密着性も劣るので好ま
しくない。500mg/m2を超えても、これ以上の耐食性
改善効果がなく、また絶縁被膜としての抵抗が高まり、
スポット溶接性および電着塗装性を損なうので好ましく
ない。添加するシリカは液相シリカ、気相シリカのどち
らでも好適に使用できる。ただし、密着性を改善するた
めに、Crに対して50〜300%の範囲でシリカを添
加することが好ましい。
【0015】このようなクロメート処理は、ロールコー
ターなどを用いてる塗布型クロメート法、電解型クロメ
ート法、反応型クロメート法などのいずれの方法によっ
てもよい。また、クロメート中のCr6+比率は全Cr量
に対して25〜70%が好ましい。Cr6+量が25%未
満であると、Cr6+による自己修復効果が望めず、耐食
性が劣化する。また、Cr6+量が70%を超えるとアル
カリ脱脂時の耐クロム溶出性が劣化するので好ましくな
い。
【0016】このような、クロメート被膜の上層には、
水分散シリカと界面活性剤が樹脂に対し10%以下であ
るアニオン系水性樹脂、ノニオン系水性樹脂およびアニ
オン系水性ウレタン樹脂のうちの1種を配合してなる水
性塗料の塗布焼付けにより有機複合被膜が施される。
【0017】さて、樹脂の水性化の方法は樹脂骨格中に
親水性基を導入した水溶解型と水分散型、あるいは強制
乳化法によるエマルジョン型樹脂が使用できる。強制乳
化によるエマルジョン型樹脂は乳化剤が残存すること、
一方、水溶解型樹脂は低分子であることに起因する耐食
性不足が懸念されるために、好適には水分散型樹脂が使
用できる。また、水分散型で分散助剤として乳化剤を少
量含有した樹脂も好適に使用可能である。
【0018】本発明に用いられる水性樹脂に関して詳細
な検討を行った結果、アニオン系水性樹脂およびノニオ
ン系水性樹脂が好適に使用できることが判明した。アニ
オン系水性樹脂とは樹脂骨格中にアニオン系の親水基
を、ノニオン系水性樹脂とはノニオン系の親水基を導入
した水性樹脂である。アニオン系の親水基としてはカル
ボキシル基、スルフォン酸基あるいはリン酸エステル基
など、ノニオン系の親水基としてはポリエチレングリコ
ール、水酸基、アミド基、メチロール基などが挙げられ
る。本発明ではこれらのアニオン系親水基あるいはノニ
オン系親水基を樹脂中に導入した樹脂を用いる。アニオ
ン系水性樹脂およびノニオン系水性樹脂を使用するの
は、塗料中において、水性シリカゾルが負の電荷を持ち
分散しているため、カチオン系樹脂であれば、電気的反
発がなくなり、塗料がゲル化するために鋼板上に塗料を
塗布することが困難になるからである。
【0019】本発明においては、アニオン系およびノニ
オン系の親水基を導入し水性化した樹脂であれば樹脂種
類は特に限定しない。たとえば、アクリル樹脂、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル
樹脂などあるいはこれら樹脂の組み合わせによる樹脂、
骨格を一部変性した樹脂(たとえばウレタン変性エポキ
シ樹脂、エポキシ変性ウレタン樹脂、アクリル変性ウレ
タン樹脂など)が好適に使用できる。しかしながら、カ
ルボキシル化ポリエチレン系樹脂に関しては、本発明に
おける試験において、耐食性とスポット溶接性が劣るも
のであり、これは除外する。
【0020】以上の、クロメート層とこれらアニオン系
樹脂および/またはノニオン系樹脂とシリカとからなる
有機被覆層を塗装した有機複合被覆鋼板上での脱イオン
水の接触角は30度を超えたものでなければならない。
接触角が30度を下回ると耐水二次密着性が劣化するか
らである。ここで接触角とは、脱イオン水の1滴を製造
した有機複合被覆鋼板上に落とすと図4のような液滴を
形成する。その時の接触角θは次式で表される。 θ=2tan-1(h/x) 測定は、常温で液滴法により行う。なお、脱イオン水と
は、導電率1us/cm 以下のイオン交換樹脂によって精製
した高純度の水をいう。
【0021】図1に各種水性樹脂(実施例に記載の樹脂
Aと樹脂E)を任意の割合で混合した樹脂を使用して作
製した有機複合被覆鋼板について耐水二次密着性を評価
した結果を示す。 めっき:Zn−12.7%Ni(電気)、目付量=20
g/m2 シリカ添加クロメート:Cr6+/全Cr比=50%、付
着量=40mg/m2 、シリカ/全Cr比=150% 樹脂層:各種水性樹脂と水分散均一シリカ(日産化学工
業(株)製ST−20)、樹脂:シリカ=80:20、
付着量0.7g/m2
【0022】耐水二次密着性を評価するために、日本ペ
イント(株)製SD2500MZLで化成処理を行い、
日本ペイント製電着塗料U−2602をZn−Niめっ
きで20μm電着する条件にて処理し、160℃で10
分の焼き付けを行った。その後、日本ペイント(株)製
中塗り塗料TO4825クロを約40μm厚みにスプレ
ー塗装し140℃で20分の焼き付けを行った。その
後、日本ペイント(株)製上塗り塗料TO650PZク
ロを約40μm厚みにスプレー塗装し140℃で20分
の焼き付けを行った。この塗装後のサンプルを50℃の
純水に10日間浸漬し、取り出してから1時間後に2m
m目碁盤目クロスカット、セロテープ剥離試験を行い、
以下の評価基準に従って耐水二次密着性を調査した。 ◎ : 剥離なし ○ : 剥離面積5%未満でかつ碁盤目の完全剥離がな
いこと △ : 剥離面積5%以上〜35%未満 × : 剥離面積35%以上
【0023】図1に示すように脱イオン水の接触角が3
0度を超えると耐水二次密着性が良好となる。脱イオン
水の接触角を上げるためには、樹脂の水性化のために樹
脂中に導入されている、水酸基、カルボキシル基、スル
フォン基などの親水基や界面活性剤の量を適正量化する
ことが必要である。特に界面活性剤の量は、樹脂固形分
に対して10%未満であることが好ましい。さらに、こ
れら樹脂の親水基とクロメート層とが水素結合すること
により密着性を保持しており、クロメート層との密着に
寄与していないフリーの樹脂中の親水基が多く存在する
と脱イオン水の接触角が小さくなる。したがって、シリ
カ添加クロメートは、クロメート層自身の表面積を増大
させると、さらにシリカ自身と樹脂中親水基と水素結合
するために、実質、樹脂中のフリーな親水基を減少させ
ることになり、脱イオン水の接触角を上げるために必要
である。クロメート層の表面積を増大させる方法には、
気相シリカや粒子径の大きいあるいは凝集した形態の液
相シリカを添加するなどの方法があり、表面粗度はRa
で0.02μm以上、より好ましくは0.04μm以上
にするのが好ましい。
【0024】さらに、本発明に用いられる水性樹脂とし
て、アニオン系水性ウレタン樹脂も好適に使用できる。
ウレタン系樹脂とはウレタン結合を多数分子内に有する
高分子化合物であり、樹脂骨格の一部をアクリル、エポ
キシ、アルキッド、エステル樹脂などで変性したものも
好適に使用できる。
【0025】アニオン系ウレタン樹脂の場合は樹脂の伸
びと引張強度のバランスが重要である。すなわち、その
範囲は伸びが50〜1000%かつ引張強度が200kg
f/cm 2 以上である。図2に以下の条件にてウレタン樹脂
の伸びと引張強度を変え、加工後耐食性試験を行った結
果を示す。 めっき:Zn−13.0%Ni(電気)、目付量=20
g/m2 シリカ添加クロメート:Cr6+/全Cr比=50%、付
着量=40mg/m2 、シリカ/全Cr比=150% 樹脂層:アニオン系水性ウレタン樹脂と水分散鎖状シリ
カ(日産化学工業(株)製ST−UP)、樹脂:シリカ
=80:20、付着量0.7g/m2 脱イオン水の接触角:38度
【0026】加工後耐食性を評価するために円筒絞り試
験(絞り比2.0、しわ押さえ圧1000Kg)を行っ
た試験片を5%NaCl水溶液噴霧(35℃)4時間、
乾燥(60℃)2時間、湿潤環境(RH95%、50
℃)2時間を1サイクルとする複合サイクル腐食試験に
供し、200サイクルでの試験片側壁の赤錆発生状況を
判定した。評価方法は実施例に記載の通りである。
【0027】図2より伸びが50〜1000%かつ引張
強度が200kgf/cm2 以上という範囲で加工後耐食性が
良好となることがわかる。
【0028】また、耐クロム溶出性をさらに向上させる
ために、ギ酸、タンニン酸、およびヒドラジン水和物の
うち少なくとも1種を有機樹脂との重量比が樹脂100
重量部に対して0.1〜3部を水性樹脂塗料中に配合し
てもよい。これは、ギ酸とヒドラジン水和物、タンニン
酸とヒドラジン水和物の2種の組み合わせ、あるいは3
種であってもよい。
【0029】また、本発明の有機複合被覆中のシリカに
関しては、シリカ表面に適量のシラノール基を確保する
が腐食環境下での亜鉛系腐食生成物を安定に保持し、高
耐食性を確保するために重要である。水分散型のシリカ
は充分なシラノール基を確保できるために非常に好適で
ある。
【0030】具体的には、水分散シリカゾル表面に荷
電状態をアルカリ金属イオン量や多価金属イオン量を調
整することによって制御して平均0.005〜2μmに
した水性シリカゾル、あるいは適切な分散剤により水
分散させた親水性ヒュームドシリカが好適に使用可能で
ある。
【0031】の平均粒子径としては、0.005〜2
μmの範囲であることが好ましい。平均粒子径が0.0
05μm未満であると、樹脂層中においてもシリカは均
一に分散し、スポット溶接性の劣化が生じた。また、平
均粒子径が2μmを超えると、相当数のシリカ粒子が樹
脂層の外側まで裸出し、スポット溶接時に電極/鋼板間
の電気抵抗が著しく増大して、溶接時スパークを発生し
電極の損傷を助長することになり、スポット溶接を劣化
させる。シリカ形状は均一な粒状であっても、一次粒子
が上記平均粒子径範囲に凝集した形状であってもよい。
【0032】のヒュームドシリカも水分散させること
によりシリカ表面ではシラノール基が存在するため、腐
食生成物を安定に保持することが可能になり、これは水
性樹脂との組み合わせにおいて顕著に発揮され、耐食性
が優れるものである。
【0033】なお、以上の水性樹脂と水分散シリカの樹
脂層中における樹脂とシリカの乾燥重量比は、樹脂10
0重量部に対してシリカ10〜100重量部が好まし
い。10重量部よりシリカ配合量が少ないと腐食環境に
晒された時に被膜中に形成される亜鉛系腐食生成物を安
定に保持する能力に欠け、高耐食性を獲得することがで
きなかった。また、100重量部よりシリカ配合量が多
いと樹脂組成物との相溶性が得られなくなり、塗料とし
て鋼板に塗布することが困難になり、たとえ塗布できて
も、鋼板表面の電気抵抗が非常に高くなりスポット溶接
性が劣化したからである。
【0034】図3に以下の条件にて樹脂とシリカの配合
比を変え、平板耐食性試験を行った結果を示す。評価方
法は実施例に記載の通りである。 めっき:Zn−13.5%Ni(電気)、目付量=20
g/m2 シリカ添加クロメート:Cr6+/全Cr比=50%、付
着量=40mg/m2 、シリカ/全Cr比=150% 樹脂層:アニオン系アクリル樹脂と水分散ヒュームドシ
リカ(日本アエロジル(株)製AEROSIL 13
6、粒子径=15nm)、付着量0.5g/m2 脱イオン水の接触角:45度
【0035】図2より、樹脂100重量部に対してシリ
カ10〜100重量部という配合比で平板耐食性が良好
となる。さらに、本発明における水性塗料では、製造の
焼き付け条件に応じた架橋剤が配合されてもよい。
【0036】以上のように配合してなる本発明の樹脂組
成物をめっき鋼板のクロメート被膜の上部に被覆する方
法は、ロールコート、スプレー、シャワーコート、エア
ナイフ法などいずれであってもよく、また、乾燥のため
の加熱処理の板温としては、90〜200℃が好適であ
るが、とりわけ160℃以下の温度でも充分に乾燥する
ので、鋼板のBH性を損なわない著しい効果が得られ
る。樹脂組成物の乾燥膜厚、すなわち固形被膜の付着量
としては、0.1〜3.0g/m2である必要があり、とり
わけ0.5〜2.0g/m2が好ましい。0.1g/m2未満に
おいては充分な耐食性が得られず、また、3.0g/m2
超えると被膜抵抗が高まり、スポット溶接性および電着
塗装性が劣化するためである。
【0037】本発明の有機複合被覆鋼板を裸のままで腐
食環境にさらす場合には、0.3g/m2以上の付着量を確
保することが好ましいが、その上層にさらに電着塗装な
どを施す場合には0.1g/m2以上の有機樹脂層が存在す
れば、充分な耐食性を獲得できることを確認した。有機
樹脂層は、その用途に応じて両面、あるいは片面のみの
被覆であってもよい。片面のみの被覆の場合は、非被覆
面が亜鉛系めっき、亜鉛系めっきの上層にクロメート処
理した面、あるいは冷延面などである。
【0038】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例1〜8および比較例1〜16)各種の両面亜鉛
系めっき鋼板(板厚0.8mm)に脱脂後ロールコータ
ーで各種付着量の塗布型クロメート処理を施し、最高到
達板温120℃で焼き付けた。次に種々の水性樹脂と平
均粒子径の異なる各種シリカと各種添加剤を混合するこ
とにより調整した塗料をロールコーターで塗布した。そ
の後最高到達板温150℃で焼き付けた。
【0039】用いた樹脂は以下の通りである。 A:カルボキシル基含有アニオン系ウレタン樹脂(酸価
50、重量平均分子量20,000)のジエチルアミン
中和物 B:カルボキシル基含有アニオン系エポキシ樹脂(酸価
45、重量平均分子量12,500)のジエチルアミン
中和物 C:カルボキシル基含有アニオン系ウレタン樹脂(酸価
48、重量平均分子量15,000)のトリエチルアミ
ン中和物 D:ノニオン系アクリル樹脂(重量平均分子量28,0
00、ガラス転移温度18℃) E:ノニオン系アクリル変性エポキシ樹脂(重量平均分
子量35,000、ガラス転移温度42℃) F:カルボキシル基含有アニオン系エポキシ変性ウレタ
ン樹脂(酸価60、重量平均分子量38,000)のジ
エチルアミン中和物 G:カルボキシル基含有アニオン系ウレタン樹脂(酸価
48、重量平均分子量7,800)のトリエチルアミン
中和物 H:カチオン系ウレタン樹脂(アミン価45、重量平均
分子量35,000)の酢酸中和物 I:カルボキシル基含有アニオン系ウレタン樹脂(酸価
60、重量平均分子量40,000)のジエチルアミン
中和物 J:カルボキシル基含有アニオン系ウレタン樹脂(酸価
35、重量平均分子量4,800)のトリエチルアミン
中和物
【0040】樹脂中のシリカは次の通りである。 A:水分散均一シリカゾル(日産化学工業(株)製)S
T−20 B:水分散凝集形態シリカゾル(日産化学工業(株)
製)PT−3025 C:水分散鎖状シリカゾル(日産化学工業(株)製)S
T−UP D:水分散親水性ヒュームドシリカ(比表面積=200
m2/g)(日本アエロジル(株)製)AEROSIL 2
00
【0041】これらの有機複合被覆鋼板製品の性能評価
のために次のような試験を行った。耐水二次密着性を評
価するために、日本ペイント(株)製SD2500MZ
Lで化成処理を行い、日本ペイント製電着塗料U−26
02をZn−Niめっきで20μm電着する条件にて処
理し、160℃で10分の焼き付けを行った。その後、
日本ペイント製中塗り塗料TO4825クロを約40μ
m厚みにスプレー塗装し140℃で20分の焼き付けを
行った。その後、日本ペイント製上塗り塗料TO650
PZクロを約40μm厚みにスプレー塗装し140℃で
20分の焼き付けを行った。この塗装後のサンプルを5
0℃の純水に10日間浸漬し、取り出してから1時間後
に2mm目碁盤目クロスカット、セロテープ剥離試験を
行い、以下の評価基準に従って耐水二次密着性を調査し
た。 ◎ : 剥離なし ○ : 剥離面積5%未満でかつ碁盤目の完全剥離がな
いこと △ : 剥離面積5%以上〜35%未満 × : 剥離面積35%以上
【0042】平板耐食性を評価するために5%NaCl
水溶液噴霧(35℃)4時間、乾燥(60℃)2時間、
湿潤環境(RH95%、50℃)2時間を1サイクルと
する複合サイクル腐食試験に供し、200サイクルでの
試験片の赤錆発生状況を観察した。平板耐食性の評価基
準は以下に示す。 ◎ : 赤錆発生なし ○ : 赤錆発生面積率10%以下 △ : 赤錆発生面積率10〜20% × : 赤錆発生面積率20%以上
【0043】加工性耐食性を評価するために円筒絞り試
験(絞り比2.0、しわ押さえ圧1000kg)を行っ
た試験片を5%NaCl水溶液噴霧(35℃)4時間、
乾燥(60℃)2時間、湿潤環境(RH95%、50
℃)2時間を1サイクルとする複合サイクル腐食試験に
供し、200サイクルでの試験片側壁の赤錆発生状況を
観察した。加工後耐食性への評価基準は以下に示す。 ◎ : 赤錆発生なし ○ : 赤錆発生面積率10%以下 △ : 赤錆発生面積率10〜20% × : 赤錆発生面積率20%以上
【0044】耐クロム溶出性を評価するために、脱脂、
水洗、表面調整、化成処理の4工程を行い、処理前後の
クロム付着量の変化を蛍光X線分析により測定した。 ○ : 1mg/m2 以下 △ : 1〜2mg/m2 × : 2mg/m2 以上
【0045】スポット溶接性を評価するために、先端6
mmφのAl2 3 分散銅合金製の溶接チップを用い、加
圧力200kgf 、溶接電流9kA、溶接時間10Hzで
連続溶接を行い、ナゲット径が基準値を下回るまでの連
続溶接打点数を測定した。評価基準は以下に示す。 ◎ : 3000点以上 ○ : 2000〜3000点 △ : 1000〜2000点 × : 1000点未満
【0046】表1にクロメート層、樹脂層の条件、製品
の有機樹脂層中におけるシリカの分布状態と試験結果を
まとめた。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【発明の効果】これまでに説明したように、本発明の有
機複合被覆鋼板は優れた耐水二次密着性、平板耐食性、
加工後耐食性、耐クロム溶出性カチオン電着塗装性およ
びスポット溶接性を有し、自動車車体用をはじめとし
て、同様の品質特性を期待される広範囲の用途に使用す
ることができるので、工業的な価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 作製した有機複合被覆鋼板の脱イオンの接触
角の耐水二次密着性への影響を示す図である。
【図2】 アニオン系水性ウレタン樹脂の伸びと引張強
度を変えた場合の加工後耐食性への影響を示す図であ
る。
【図3】 樹脂とシリカの配合比の平板耐食性への効果
を示す図である。
【図4】 脱イオン水の接触角を説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−36475(JP,A) 特開 平5−195243(JP,A) 特開 平6−234187(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 15/08 B05D 3/10 B05D 7/14 B05D 7/24 302 B32B 15/16

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板表面上
    に、Cr6+量が全クロム量に対して25〜70%で、付
    着量がCr換算で5〜500mg/m2 、Raが0.02μ
    m以上のシリカ添加クロメート被膜を有し、該クロメー
    ト被膜の上層に主として、水分散シリカとアニオン系水
    性樹脂を配合してなる水性塗料を塗布し、焼付け、固形
    被膜の付着量が0.1〜3g/m2とした有機複合被覆鋼板
    であって、該有機複合被覆鋼板に対する脱イオン水の接
    触角が30度超であることを特徴とする耐水二次密着性
    と加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。
  2. 【請求項2】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板表面上
    に、Cr6+量が全クロム量に対して25〜70%で、付
    着量がCr換算で5〜500mg/m2 、Raが0.02μ
    m以上のシリカ添加クロメート被膜を有し、該クロメー
    ト被膜の上層に主として、水分散シリカとノニオン系水
    性樹脂を配合してなる水性塗料を塗布し、焼付け、固形
    被膜の付着量が0.1〜3g/m2とした有機複合被覆鋼板
    であって、該有機複合被覆鋼板に対する脱イオン水の接
    触角が30度超であることを特徴とする耐水二次密着性
    と加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。
  3. 【請求項3】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板表面上
    に、Cr6+量が全クロム量に対して25〜70%で、付
    着量がCr換算で5〜500mg/m2 、Raが0.02μ
    m以上のシリカ添加クロメート被膜を有し、該クロメー
    ト被膜の上層に主として、水分散シリカと界面活性剤が
    樹脂固形分に対し10%以下であるアニオン系水性ウレ
    タン樹脂を配合してなる水性塗料を塗布し、焼付け、固
    形被膜の付着量が0.1〜3g/m2とした有機複合被覆鋼
    板であって、該有機複合被覆鋼板に対する脱イオン水の
    接触角が30度超であることを特徴とする耐水二次密着
    性と加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。
  4. 【請求項4】水性塗料に配合するシリカとして、平均粒
    子径が0.005〜2μmである水性シリカゾルを用い
    る請求項1〜3のいずれかに記載の有機複合被覆鋼板。
  5. 【請求項5】水性塗料に配合するシリカとして、水分散
    親水性ヒュームドシリカを用いる請求項1〜3のいずれ
    かに記載の有機複合被覆鋼板。
  6. 【請求項6】樹脂層(固形被膜)中におけるシリカと有
    機樹脂の乾燥重量比率が、樹脂100重量部に対してシ
    リカ10〜100重量部である請求項1〜5のいずれか
    に記載の有機複合被覆鋼板。
  7. 【請求項7】水性塗料に配合するアニオン系水性ウレタ
    ン樹脂として、伸びが50〜1000%かつ引張り強度
    が200kgf/cm2 以上であるアニオン系水性ウレタン樹
    脂を用いる請求項1〜6のいずれかに記載の有機複合被
    覆鋼板。
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