JPH05138804A - 加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板 - Google Patents
加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板Info
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- JPH05138804A JPH05138804A JP30161891A JP30161891A JPH05138804A JP H05138804 A JPH05138804 A JP H05138804A JP 30161891 A JP30161891 A JP 30161891A JP 30161891 A JP30161891 A JP 30161891A JP H05138804 A JPH05138804 A JP H05138804A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板表面上にCr
6+/全Crが70%以下で、Cr換算で5〜500mg
/m2 のクロメート被膜を有し、クロメート被膜の上層
にシリカおよび有機高分子樹脂を配合してなる樹脂層を
有する有機複合被覆鋼板であって、樹脂層中に有機珪酸
化合物を樹脂100重量部に対して0.01〜10重量
部含有させ、樹脂層が乾燥重量で、0.1〜3g/m2
である加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。シリカ
は、平均一次粒子径が5〜60nmで、樹脂層中で平均
厚み0.2〜2μm、平均径5〜300μmの面状に凝
集し、このシリカ面状凝集体は鋼板上にほぼ均一に分布
するのであれば、有機分散シリカゾルでも疎水性ヒュー
ムドシリカでもよい。 【効果】本発明の有機複合被覆鋼板は加工後においても
高耐食性を有し、スポット溶接性も良好であることか
ら、自動車車体用をはじめとして、同様の品質特性を期
待される広範囲の用途に使用することができる。
6+/全Crが70%以下で、Cr換算で5〜500mg
/m2 のクロメート被膜を有し、クロメート被膜の上層
にシリカおよび有機高分子樹脂を配合してなる樹脂層を
有する有機複合被覆鋼板であって、樹脂層中に有機珪酸
化合物を樹脂100重量部に対して0.01〜10重量
部含有させ、樹脂層が乾燥重量で、0.1〜3g/m2
である加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。シリカ
は、平均一次粒子径が5〜60nmで、樹脂層中で平均
厚み0.2〜2μm、平均径5〜300μmの面状に凝
集し、このシリカ面状凝集体は鋼板上にほぼ均一に分布
するのであれば、有機分散シリカゾルでも疎水性ヒュー
ムドシリカでもよい。 【効果】本発明の有機複合被覆鋼板は加工後においても
高耐食性を有し、スポット溶接性も良好であることか
ら、自動車車体用をはじめとして、同様の品質特性を期
待される広範囲の用途に使用することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に自動車車体用鋼板
としてプレス成形して用いられる、加工後耐食性に優れ
た有機複合被覆鋼板に関する。
としてプレス成形して用いられる、加工後耐食性に優れ
た有機複合被覆鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体の高耐食性化に対する強い社
会的要請に応えて、冷延鋼板面上に亜鉛または亜鉛系合
金めっきを施した表面処理鋼板の自動車車体への適用が
近年拡大している。
会的要請に応えて、冷延鋼板面上に亜鉛または亜鉛系合
金めっきを施した表面処理鋼板の自動車車体への適用が
近年拡大している。
【0003】これらの表面処理鋼板としては、溶融亜鉛
めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっ
き鋼板、および電気亜鉛系合金めっき鋼板などが挙げら
れる。しかしながら、車体組立後に行なわれる塗装が十
分に行き渡らない車体内板の袋構造部や曲げ加工部(ヘ
ミング部)では、さらに高度な耐食性が要求されてき
た。
めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっ
き鋼板、および電気亜鉛系合金めっき鋼板などが挙げら
れる。しかしながら、車体組立後に行なわれる塗装が十
分に行き渡らない車体内板の袋構造部や曲げ加工部(ヘ
ミング部)では、さらに高度な耐食性が要求されてき
た。
【0004】このような用途に対応する自動車用鋼板と
して、例えば特開昭57−108292号公報や特開昭
58−224174号公報などでは亜鉛または亜鉛系合
金めっき鋼板上にクロメートおよび有機高分子樹脂層を
施した有機複合被覆鋼板が提案されている。これらはい
ずれも有機樹脂と水分散シリカゾルを含有した塗料をク
ロメート処理した亜鉛系めっき鋼板の上層に塗布して、
高耐食性を発現することを目的としているが、水分散シ
リカゾルを使用しているために次のような問題点を有し
ていた。 (1)水可溶性成分が成膜後も被膜中に残存するため
に、耐クロム溶出性に劣り、化成処理時にクロムが溶出
して環境汚染の原因となる。 (2)アルカリ脱脂時に樹脂層の剥離を生じ、耐食性の
劣化を招く。 (3)腐食環境下において樹脂層内に水分が侵入し、可
溶性成分が溶解して高アルカリ性になるために、樹脂層
/クロメート間の密着性が劣化する。
して、例えば特開昭57−108292号公報や特開昭
58−224174号公報などでは亜鉛または亜鉛系合
金めっき鋼板上にクロメートおよび有機高分子樹脂層を
施した有機複合被覆鋼板が提案されている。これらはい
ずれも有機樹脂と水分散シリカゾルを含有した塗料をク
ロメート処理した亜鉛系めっき鋼板の上層に塗布して、
高耐食性を発現することを目的としているが、水分散シ
リカゾルを使用しているために次のような問題点を有し
ていた。 (1)水可溶性成分が成膜後も被膜中に残存するため
に、耐クロム溶出性に劣り、化成処理時にクロムが溶出
して環境汚染の原因となる。 (2)アルカリ脱脂時に樹脂層の剥離を生じ、耐食性の
劣化を招く。 (3)腐食環境下において樹脂層内に水分が侵入し、可
溶性成分が溶解して高アルカリ性になるために、樹脂層
/クロメート間の密着性が劣化する。
【0005】このような問題点を解決するために、有機
溶剤中でシリカ表面を有機置換した疎水性シリカとエポ
キシ樹脂などを配合した塗料組成物を用いる方法が特開
昭63−22637号公報に提案されている。この場
合、シリカゾルと有機樹脂との相溶性は確保され、また
優れた塗装後密着性が得られるものの、表面の潤滑性が
十分でないために、プレス加工などによる成形加工時に
加工部被膜層に損傷が生じ、この部分の耐食性が劣化す
るという問題点が指摘されている。
溶剤中でシリカ表面を有機置換した疎水性シリカとエポ
キシ樹脂などを配合した塗料組成物を用いる方法が特開
昭63−22637号公報に提案されている。この場
合、シリカゾルと有機樹脂との相溶性は確保され、また
優れた塗装後密着性が得られるものの、表面の潤滑性が
十分でないために、プレス加工などによる成形加工時に
加工部被膜層に損傷が生じ、この部分の耐食性が劣化す
るという問題点が指摘されている。
【0006】従来より、表面処理亜鉛系めっき鋼板にお
ける潤滑性を改善する方法として、クロメート被膜の上
に固体潤滑剤を含有する有機樹脂層を形成した有機被覆
鋼板が各種提案されている。
ける潤滑性を改善する方法として、クロメート被膜の上
に固体潤滑剤を含有する有機樹脂層を形成した有機被覆
鋼板が各種提案されている。
【0007】例えば、特開昭60−103185号公報
には、亜鉛系めっき鋼板の表面に、第一層として通常の
クロメート被膜を、その上の第二層として、複合リン酸
アルミニウム、クロム酸塩、防錆顔料、ポリオレフィン
ワックス、二硫化モリブデンおよび非常に少量のシリコ
ーン樹脂を含有するウレタン変性エポキシ樹脂から形成
したクロメート含有樹脂被膜を形成した、耐食性と潤滑
性を備えた二層クロメート処理鋼板が提案されている。
には、亜鉛系めっき鋼板の表面に、第一層として通常の
クロメート被膜を、その上の第二層として、複合リン酸
アルミニウム、クロム酸塩、防錆顔料、ポリオレフィン
ワックス、二硫化モリブデンおよび非常に少量のシリコ
ーン樹脂を含有するウレタン変性エポキシ樹脂から形成
したクロメート含有樹脂被膜を形成した、耐食性と潤滑
性を備えた二層クロメート処理鋼板が提案されている。
【0008】特開昭61−227178号公報には、ク
ロメート被膜の上に、固体潤滑剤を含有するアクリル系
樹脂被膜を形成することにより潤滑性を改善することを
提案している。特開昭61−227179号公報では、
上記表面処理鋼板の上層のアクリル系樹脂被膜に、固体
潤滑剤の他にクロム酸塩およびシリカゾルを含有させる
ことにより耐食性改善を提案している。特開昭62−3
3781号公報では、上層のアクリル系樹脂被膜中に、
クロム酸塩、シリカゾル、固体潤滑剤と潤滑油の混合
物、シランおよび/もしくはチタネートカップリング
剤、および有色顔料を含有させて、被膜密着性の改善を
提案している。
ロメート被膜の上に、固体潤滑剤を含有するアクリル系
樹脂被膜を形成することにより潤滑性を改善することを
提案している。特開昭61−227179号公報では、
上記表面処理鋼板の上層のアクリル系樹脂被膜に、固体
潤滑剤の他にクロム酸塩およびシリカゾルを含有させる
ことにより耐食性改善を提案している。特開昭62−3
3781号公報では、上層のアクリル系樹脂被膜中に、
クロム酸塩、シリカゾル、固体潤滑剤と潤滑油の混合
物、シランおよび/もしくはチタネートカップリング
剤、および有色顔料を含有させて、被膜密着性の改善を
提案している。
【0009】さらに、特開平1−11040号公報には
クロメート被膜の上に、コロイダルシリカ、チタネート
カップリング剤で表面処理された固体潤滑剤、エポキシ
樹脂およびアクリル樹脂からなる有機複合被覆により潤
滑性と耐食性を改善することが提案されている。
クロメート被膜の上に、コロイダルシリカ、チタネート
カップリング剤で表面処理された固体潤滑剤、エポキシ
樹脂およびアクリル樹脂からなる有機複合被覆により潤
滑性と耐食性を改善することが提案されている。
【0010】しかしながら、これらの従来技術は次のよ
うな問題点を有している。 (1)耐食性、潤滑性を改善するためにクロメート被膜
を重ねて厚くすると、耐クロム溶出性が劣り、化成処理
時にクロムが溶出し、環境汚染の原因となる。 (2)固体潤滑剤は粒子の大きさが通常の樹脂層の厚み
より大きいために樹脂との結合が弱く、樹脂層が多孔性
となり、耐食性が劣化する。 (3)チタネートカップリング剤で表面処理された固体
潤滑剤を用いた場合においても、固体潤滑剤の表面にチ
タネートカップリング剤がもっている官能基が導入され
るためにある程度樹脂との結合は形成されるが、固体潤
滑剤そのものが樹脂層の厚みより大きいために樹脂との
結合は不十分であり、耐食性が劣る。
うな問題点を有している。 (1)耐食性、潤滑性を改善するためにクロメート被膜
を重ねて厚くすると、耐クロム溶出性が劣り、化成処理
時にクロムが溶出し、環境汚染の原因となる。 (2)固体潤滑剤は粒子の大きさが通常の樹脂層の厚み
より大きいために樹脂との結合が弱く、樹脂層が多孔性
となり、耐食性が劣化する。 (3)チタネートカップリング剤で表面処理された固体
潤滑剤を用いた場合においても、固体潤滑剤の表面にチ
タネートカップリング剤がもっている官能基が導入され
るためにある程度樹脂との結合は形成されるが、固体潤
滑剤そのものが樹脂層の厚みより大きいために樹脂との
結合は不十分であり、耐食性が劣る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、上述した従来技術の種々の問題点を解決しよう
とするもので、特に加工後耐食性の優れた有機複合被覆
鋼板を提供しようとするものである。
目的は、上述した従来技術の種々の問題点を解決しよう
とするもので、特に加工後耐食性の優れた有機複合被覆
鋼板を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はこれらの従来技
術における問題点を解決すべくなされたもので、特に加
工後耐食性に関する詳細な検討から到達したものであ
る。有機複合被覆鋼板は亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼
板上にクロメート層とシリカおよび有機樹脂などからな
る樹脂層を有するものであり、平板のままでは優れた耐
食性を有するが、プレス加工等により被膜が損傷を受け
ると耐食性が劣ることが指摘されていた。この被膜損傷
を防止するために、樹脂層中への広範囲の添加物配合に
ついて検討した結果、樹脂層中に有機珪酸化合物を添加
することにより複合被膜表面の潤滑性と複合被膜の密着
性を向上させることが有効であることを見いだし、本発
明に到ったものである。本発明に従えば、加工後耐食
性、耐クロム溶出性およびスポット溶接性などに優れた
有機複合被覆鋼板を得ることができる。
術における問題点を解決すべくなされたもので、特に加
工後耐食性に関する詳細な検討から到達したものであ
る。有機複合被覆鋼板は亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼
板上にクロメート層とシリカおよび有機樹脂などからな
る樹脂層を有するものであり、平板のままでは優れた耐
食性を有するが、プレス加工等により被膜が損傷を受け
ると耐食性が劣ることが指摘されていた。この被膜損傷
を防止するために、樹脂層中への広範囲の添加物配合に
ついて検討した結果、樹脂層中に有機珪酸化合物を添加
することにより複合被膜表面の潤滑性と複合被膜の密着
性を向上させることが有効であることを見いだし、本発
明に到ったものである。本発明に従えば、加工後耐食
性、耐クロム溶出性およびスポット溶接性などに優れた
有機複合被覆鋼板を得ることができる。
【0013】すなわち、本発明は、亜鉛または亜鉛系合
金めっき鋼板表面上にCr6+量が全Cr量に対して70
%以下で、付着量がCr換算で5〜500mg/m2 の
クロメート被膜を有し、該クロメート被膜の上層に主と
してシリカおよび有機高分子樹脂を配合してなる樹脂層
を有する有機複合被覆鋼板であって、 該樹脂層中に有機珪酸化合物を樹脂100重量部に対
して0.01〜10重量部を含有させ、かつ 該樹脂層の付着量が乾燥重量にして、0.1〜3g/
m2 であることを特徴とする加工後耐食性に優れた有機
複合被覆鋼板を提供するものである。 また、前記有機複合被覆鋼板において 構成するシリカの平均一次粒子径が5〜60nmであ
り、 該シリカは該樹脂層中において、平均厚み0.2〜2
μm、平均径5〜300μmの面状に凝集しており、 シリカ面状凝集体は鋼板表面上にほぼ均一に分布する ことが好ましい。 また、前記有機複合被覆鋼板における構成するシリカと
して、平均凝集粒子径が0.05〜2μmである有機溶
剤分散シリカゾルを用いるのが好ましい。また、本発明
の他の態様によれば、前記有機複合被覆鋼板における構
成するシリカとして、疎水性ヒュームドシリカを用いる
のが好ましい。前記有機複合被覆鋼板の有機樹脂層に
は、数平均分子量が2000以上のエピクロールヒドリ
ン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂をベースとした有
機高分子樹脂を用いることが好ましい。また、前記有機
複合被覆鋼板の樹脂層中におけるシリカと有機樹脂の乾
燥重量比率は、樹脂100重量部に対してシリカ10〜
100重量部であることが好ましい。
金めっき鋼板表面上にCr6+量が全Cr量に対して70
%以下で、付着量がCr換算で5〜500mg/m2 の
クロメート被膜を有し、該クロメート被膜の上層に主と
してシリカおよび有機高分子樹脂を配合してなる樹脂層
を有する有機複合被覆鋼板であって、 該樹脂層中に有機珪酸化合物を樹脂100重量部に対
して0.01〜10重量部を含有させ、かつ 該樹脂層の付着量が乾燥重量にして、0.1〜3g/
m2 であることを特徴とする加工後耐食性に優れた有機
複合被覆鋼板を提供するものである。 また、前記有機複合被覆鋼板において 構成するシリカの平均一次粒子径が5〜60nmであ
り、 該シリカは該樹脂層中において、平均厚み0.2〜2
μm、平均径5〜300μmの面状に凝集しており、 シリカ面状凝集体は鋼板表面上にほぼ均一に分布する ことが好ましい。 また、前記有機複合被覆鋼板における構成するシリカと
して、平均凝集粒子径が0.05〜2μmである有機溶
剤分散シリカゾルを用いるのが好ましい。また、本発明
の他の態様によれば、前記有機複合被覆鋼板における構
成するシリカとして、疎水性ヒュームドシリカを用いる
のが好ましい。前記有機複合被覆鋼板の有機樹脂層に
は、数平均分子量が2000以上のエピクロールヒドリ
ン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂をベースとした有
機高分子樹脂を用いることが好ましい。また、前記有機
複合被覆鋼板の樹脂層中におけるシリカと有機樹脂の乾
燥重量比率は、樹脂100重量部に対してシリカ10〜
100重量部であることが好ましい。
【0014】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明
の鋼板用の素材としては、亜鉛または亜鉛系合金めっき
鋼板を用いる。この鋼板に施されるめっきの種類として
は、純亜鉛めっき、Zn−Ni合金めっき、Zn−Fe
合金めっき、Zn−Cr合金めっきなどの二元系合金め
っき、Zn−Ni−Cr合金めっき、Zn−Co−Cr
合金めっきなどの三元系合金めっきなどを含み、またZ
n−SiO2 めっき、Zn−Co−Cr−Al2 O3 め
っきなどの複合分散めっきをも広く包含する。これらの
めっきは電気めっき法、溶融めっき法、あるいは気相め
っき法によって施される。
の鋼板用の素材としては、亜鉛または亜鉛系合金めっき
鋼板を用いる。この鋼板に施されるめっきの種類として
は、純亜鉛めっき、Zn−Ni合金めっき、Zn−Fe
合金めっき、Zn−Cr合金めっきなどの二元系合金め
っき、Zn−Ni−Cr合金めっき、Zn−Co−Cr
合金めっきなどの三元系合金めっきなどを含み、またZ
n−SiO2 めっき、Zn−Co−Cr−Al2 O3 め
っきなどの複合分散めっきをも広く包含する。これらの
めっきは電気めっき法、溶融めっき法、あるいは気相め
っき法によって施される。
【0015】これらの亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板の
上に、後述の有機高分子樹脂層との密着性を向上させ、
また高耐食性を付与するためにクロメート処理を行な
う。クロメート付着量としてはCr換算で5〜500m
g/m2 、好ましくは10〜150mg/m2 の範囲と
する。Cr付着量が5mg/m2 未満では、耐食性が不
十分であるばかりでなく、樹脂層との密着性も劣るので
好ましくない。500mg/m2 を超えても、これ以上
の耐食性改善効果がなく、また絶縁被膜抵抗が高まり、
スポット溶接性および電着塗装性を損なうので好ましく
ない。
上に、後述の有機高分子樹脂層との密着性を向上させ、
また高耐食性を付与するためにクロメート処理を行な
う。クロメート付着量としてはCr換算で5〜500m
g/m2 、好ましくは10〜150mg/m2 の範囲と
する。Cr付着量が5mg/m2 未満では、耐食性が不
十分であるばかりでなく、樹脂層との密着性も劣るので
好ましくない。500mg/m2 を超えても、これ以上
の耐食性改善効果がなく、また絶縁被膜抵抗が高まり、
スポット溶接性および電着塗装性を損なうので好ましく
ない。
【0016】このようなクロメート処理は、ロールコー
ターなどを用いる塗布型クロメート法、電解型クロメー
ト法、反応型クロメート法などのいずれの方法によって
もよい。またクロメート中のCr6+比率は全Cr量に対
して70%以下が好ましい。Cr6+量が70%を超える
とアルカリ脱脂時の耐クロム溶出性が劣化するので好ま
しくない。
ターなどを用いる塗布型クロメート法、電解型クロメー
ト法、反応型クロメート法などのいずれの方法によって
もよい。またクロメート中のCr6+比率は全Cr量に対
して70%以下が好ましい。Cr6+量が70%を超える
とアルカリ脱脂時の耐クロム溶出性が劣化するので好ま
しくない。
【0017】このようなクロメート被膜の上層には、シ
リカと有機高分子樹脂からなる複合被膜が施される。本
発明に用いられる有機樹脂としては特に限定しないが、
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、アル
キッド樹脂、あるいはウレタン樹脂などを例示でき、特
開平2−258335号公報や特願平2−29973号
公報に提案されている数平均分子量2000以上のエピ
クロールヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂を
ベースとする樹脂組成物を用いるのが強靱性および耐食
性の観点からより望ましい。ここで、数平均分子量が2
000未満であると、樹脂長が短くなり、有機高分子樹
脂が網目状の構造をとらないためにシリカのバインダー
としての機能を果たすことができないので、耐食性や塗
料密着性を顕著に損なう結果となる。
リカと有機高分子樹脂からなる複合被膜が施される。本
発明に用いられる有機樹脂としては特に限定しないが、
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、アル
キッド樹脂、あるいはウレタン樹脂などを例示でき、特
開平2−258335号公報や特願平2−29973号
公報に提案されている数平均分子量2000以上のエピ
クロールヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂を
ベースとする樹脂組成物を用いるのが強靱性および耐食
性の観点からより望ましい。ここで、数平均分子量が2
000未満であると、樹脂長が短くなり、有機高分子樹
脂が網目状の構造をとらないためにシリカのバインダー
としての機能を果たすことができないので、耐食性や塗
料密着性を顕著に損なう結果となる。
【0018】次に樹脂層中に含有させる有機珪酸化合物
について説明する。有機複合被覆鋼板の加工後耐食性に
対しては複合被膜表面の潤滑性と複合被膜の密着性が重
要であり、その潤滑性と密着性を向上させることにより
加工後耐食性が改善されるとの実験室的知見に基いて、
広範囲の添加物を検討したところ、樹脂との強固な結合
が期待できる有機珪酸化合物を樹脂中に含有させること
により加工後耐食性を大幅に改善できることを見いだし
たものである。
について説明する。有機複合被覆鋼板の加工後耐食性に
対しては複合被膜表面の潤滑性と複合被膜の密着性が重
要であり、その潤滑性と密着性を向上させることにより
加工後耐食性が改善されるとの実験室的知見に基いて、
広範囲の添加物を検討したところ、樹脂との強固な結合
が期待できる有機珪酸化合物を樹脂中に含有させること
により加工後耐食性を大幅に改善できることを見いだし
たものである。
【0019】有機珪酸化合物とは、有機基をもつ珪素が
シキロサン結合(Si−O−Si)によって連なってで
きた人工の高分子である。これは耐熱性および耐水性に
優れ、表面張力が小さいことから、特に潤滑性の優れる
ものである。本発明に用いられる有機珪酸化合物として
は特に限定しないが、有機基としてメチル基、フェニル
基を有するもの、あるいは末端に一級の水酸基やNH2
基などの反応性基を付加したものなどが例示できる。ま
た溶剤にあらかじめ希釈されているものも好適に使用で
きる。
シキロサン結合(Si−O−Si)によって連なってで
きた人工の高分子である。これは耐熱性および耐水性に
優れ、表面張力が小さいことから、特に潤滑性の優れる
ものである。本発明に用いられる有機珪酸化合物として
は特に限定しないが、有機基としてメチル基、フェニル
基を有するもの、あるいは末端に一級の水酸基やNH2
基などの反応性基を付加したものなどが例示できる。ま
た溶剤にあらかじめ希釈されているものも好適に使用で
きる。
【0020】具体的には、樹脂層中に有機珪酸化合物を
樹脂100重量部に対して有機珪酸化合物0.01〜1
0重量部に限定して添加する。ここで、有機珪酸化合物
の樹脂に対する重量比率が0.01未満であると、潤滑
性を向上させる効果がなかった。また、10重量部を超
えても、これ以上の潤滑性改善効果がないばかりでな
く、上層の電着塗装膜との密着性を劣化させる結果とな
る。
樹脂100重量部に対して有機珪酸化合物0.01〜1
0重量部に限定して添加する。ここで、有機珪酸化合物
の樹脂に対する重量比率が0.01未満であると、潤滑
性を向上させる効果がなかった。また、10重量部を超
えても、これ以上の潤滑性改善効果がないばかりでな
く、上層の電着塗装膜との密着性を劣化させる結果とな
る。
【0021】有機樹脂、有機珪酸化合物およびシリカを
配合してなる塗料組成物をクロメート被膜上に塗布する
方法としては、工業的に広範囲に用いられているロール
コーター法やエアナイフ法などの方法を用いることがで
きる。本発明における有機樹脂層の塗布量は乾燥重量に
して、0.1〜3g/m2 に限定する。0.1g/m 2
未満であると耐食性が劣り、3g/m2 を超えると、被
膜抵抗が高まりスポット溶接性および電着塗装性が劣化
するためである。本発明の有機複合被覆鋼板を裸のまま
で腐食環境に晒す場合には、0.3g/m2 以上の塗布
量を確保することが耐食性の観点から好ましいが、その
上層にさらに電着塗装などを施す場合には0.1g/m
2 以上の有機樹脂層が存在すれば、十分な耐食性を獲得
できることを確認した。
配合してなる塗料組成物をクロメート被膜上に塗布する
方法としては、工業的に広範囲に用いられているロール
コーター法やエアナイフ法などの方法を用いることがで
きる。本発明における有機樹脂層の塗布量は乾燥重量に
して、0.1〜3g/m2 に限定する。0.1g/m 2
未満であると耐食性が劣り、3g/m2 を超えると、被
膜抵抗が高まりスポット溶接性および電着塗装性が劣化
するためである。本発明の有機複合被覆鋼板を裸のまま
で腐食環境に晒す場合には、0.3g/m2 以上の塗布
量を確保することが耐食性の観点から好ましいが、その
上層にさらに電着塗装などを施す場合には0.1g/m
2 以上の有機樹脂層が存在すれば、十分な耐食性を獲得
できることを確認した。
【0022】また、本発明における樹脂中のシリカに関
して詳細な検討を行なった結果、シリカ表面に適量のシ
ラノール基を確保することが腐食環境下での亜鉛系腐食
生成物を安定に保持し、高耐食性を確保するために重要
であることがわかった。シラノール基を確保するために
は、シリカの一次粒子が極めて微細であるとともに、多
数の一次粒子が相互に凝集して、周囲の有機高分子に直
接接触しない表面シラノール基を保持させることが必要
であった。
して詳細な検討を行なった結果、シリカ表面に適量のシ
ラノール基を確保することが腐食環境下での亜鉛系腐食
生成物を安定に保持し、高耐食性を確保するために重要
であることがわかった。シラノール基を確保するために
は、シリカの一次粒子が極めて微細であるとともに、多
数の一次粒子が相互に凝集して、周囲の有機高分子に直
接接触しない表面シラノール基を保持させることが必要
であった。
【0023】具体的には、構成するシリカの平均一次粒
子径を5〜60nmにして、これらのシリカを有機樹脂
層中において、平均厚み0.2〜2μm、平均径5〜3
00μmの面状に凝集させることが望ましい。ここで、
シリカの平均一次粒子径を5nm未満にすると、塗料中
で過剰の凝集が進行してしまい、塗料の調整や鋼板への
塗布作業などに適した適度の凝集サイズに保持すること
が極めて困難であった。また、60nmを超えると、必
要な表面シラノール基を確保できない。
子径を5〜60nmにして、これらのシリカを有機樹脂
層中において、平均厚み0.2〜2μm、平均径5〜3
00μmの面状に凝集させることが望ましい。ここで、
シリカの平均一次粒子径を5nm未満にすると、塗料中
で過剰の凝集が進行してしまい、塗料の調整や鋼板への
塗布作業などに適した適度の凝集サイズに保持すること
が極めて困難であった。また、60nmを超えると、必
要な表面シラノール基を確保できない。
【0024】このような微細な粒子の寸法は比表面積で
表現することが可能であるが、前述の平均一次粒子径5
〜60nmは比表面積ではほぼ40〜500m2 /gに
対応する。
表現することが可能であるが、前述の平均一次粒子径5
〜60nmは比表面積ではほぼ40〜500m2 /gに
対応する。
【0025】本発明におけるシリカは、有機樹脂の乾燥
過程において、溶媒中におけるシリカ濃度が増大し、シ
リカ凝集体同士が十分に接近し、相互作用を及ぼしあう
ことにより一次粒子が二次凝集へ進展するものである。
この結果として、有機樹脂層中で平均厚み0.2〜2μ
m、平均径5〜300μmの面状に凝集している。ここ
で、面状凝集体の平均厚みが0.2μm未満になると、
腐食環境下に晒されたときに被膜中に形成される亜鉛系
腐食生成物を安定に保持する能力に欠け、高耐食性を獲
得することはできなかった。また、2μmを超えると、
樹脂層の外側までシリカの凝集体が裸出することにな
り、スポット溶接時に電極/鋼板間の電気抵抗が著しく
増大して、溶接スパークを発生し電極の損傷を助長する
ことになり、スポット溶接性を劣化させる。
過程において、溶媒中におけるシリカ濃度が増大し、シ
リカ凝集体同士が十分に接近し、相互作用を及ぼしあう
ことにより一次粒子が二次凝集へ進展するものである。
この結果として、有機樹脂層中で平均厚み0.2〜2μ
m、平均径5〜300μmの面状に凝集している。ここ
で、面状凝集体の平均厚みが0.2μm未満になると、
腐食環境下に晒されたときに被膜中に形成される亜鉛系
腐食生成物を安定に保持する能力に欠け、高耐食性を獲
得することはできなかった。また、2μmを超えると、
樹脂層の外側までシリカの凝集体が裸出することにな
り、スポット溶接時に電極/鋼板間の電気抵抗が著しく
増大して、溶接スパークを発生し電極の損傷を助長する
ことになり、スポット溶接性を劣化させる。
【0026】一方、有機溶剤中に均一に分散するシリカ
を用いると、有機樹脂層中でも二次凝集することなく、
均一にシリカ粒子の分散した状態を形成することができ
るが、この場合にも、スポット溶接時に溶接スパークを
発生して電極の損傷を助長することになり、スポット溶
接性を著しく劣化させることを知見した。塗布後の乾燥
焼き付け段階で有機樹脂層中において凝集の進行するシ
リカを用いた場合でも、シリカ面状凝集体の平均径が5
μm未満になると、均一に分散したシリカと同様な現象
が生じてスポット溶接性の劣化が生じた。また、平均径
が300μmを超えると、やはりこの部分での電気抵抗
が問題になるばかりでなく、シリカの不足した有機樹脂
部分の面積が大きくなり、耐食性の劣化が顕著になるこ
とが判明した。なお、面状凝集体の平均径とは、単一粒
子の場合は長径と短径の平均値の意味であり、帯状に連
なる凝集体の場合は幅の平均値の意味である。以上に述
べたようなスポット溶接性と耐食性の観点から、有機樹
脂層中のシリカの分布状態として、平均厚み0.2〜2
μm、平均径5〜300μmの面状凝集体を好適範囲と
した。
を用いると、有機樹脂層中でも二次凝集することなく、
均一にシリカ粒子の分散した状態を形成することができ
るが、この場合にも、スポット溶接時に溶接スパークを
発生して電極の損傷を助長することになり、スポット溶
接性を著しく劣化させることを知見した。塗布後の乾燥
焼き付け段階で有機樹脂層中において凝集の進行するシ
リカを用いた場合でも、シリカ面状凝集体の平均径が5
μm未満になると、均一に分散したシリカと同様な現象
が生じてスポット溶接性の劣化が生じた。また、平均径
が300μmを超えると、やはりこの部分での電気抵抗
が問題になるばかりでなく、シリカの不足した有機樹脂
部分の面積が大きくなり、耐食性の劣化が顕著になるこ
とが判明した。なお、面状凝集体の平均径とは、単一粒
子の場合は長径と短径の平均値の意味であり、帯状に連
なる凝集体の場合は幅の平均値の意味である。以上に述
べたようなスポット溶接性と耐食性の観点から、有機樹
脂層中のシリカの分布状態として、平均厚み0.2〜2
μm、平均径5〜300μmの面状凝集体を好適範囲と
した。
【0027】また、本発明に用いるシリカの原料として
は、前述したシリカ粒子径および分布状態などの有機樹
脂層中における存在状態を満足するものであれば、特に
限定するものではない。しかしながら、水分散シリカゾ
ル表面の荷電状態をアルカリ金属イオン量や多価金属イ
オン量を調整することによって制御して二次凝集させた
のち、ブタノール、キシレン、エチルセロソルブ、プロ
ピルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの有機溶媒中に
置換分散させた有機溶剤分散シリカゾルは好適に用いる
ことができる。この場合、平均凝集粒子径としては0.
05μm〜2μmの範囲であることが好ましい。平均凝
集粒子径が0.05μm未満であると、樹脂層中におい
てもシリカは均一に分散し、スポット溶接性の劣化が生
じた。また、平均凝集粒子径が2μmを超えると、相当
数のシリカ凝集体が樹脂層の外側まで裸出し、スポット
溶接時に電極/鋼板間の電気抵抗が著しく増大して、溶
接時スパークを発生し電極の損傷を助長することにな
り、スポット溶接性を劣化させる。
は、前述したシリカ粒子径および分布状態などの有機樹
脂層中における存在状態を満足するものであれば、特に
限定するものではない。しかしながら、水分散シリカゾ
ル表面の荷電状態をアルカリ金属イオン量や多価金属イ
オン量を調整することによって制御して二次凝集させた
のち、ブタノール、キシレン、エチルセロソルブ、プロ
ピルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの有機溶媒中に
置換分散させた有機溶剤分散シリカゾルは好適に用いる
ことができる。この場合、平均凝集粒子径としては0.
05μm〜2μmの範囲であることが好ましい。平均凝
集粒子径が0.05μm未満であると、樹脂層中におい
てもシリカは均一に分散し、スポット溶接性の劣化が生
じた。また、平均凝集粒子径が2μmを超えると、相当
数のシリカ凝集体が樹脂層の外側まで裸出し、スポット
溶接時に電極/鋼板間の電気抵抗が著しく増大して、溶
接時スパークを発生し電極の損傷を助長することにな
り、スポット溶接性を劣化させる。
【0028】また、疎水性ヒュームドシリカも本発明に
用いるシリカの原料として好適に用いることもできる。
このシリカ表面では有機置換されたシラノール基が存在
するため、有機樹脂との相溶性が確保され、また良好な
塗料密着性が得られるばかりでなく、シリカ粒子間の凝
集も適度に進行する性質を有しており、乾燥焼き付け後
の有機樹脂層中においてシリカを平均厚み0.2〜2μ
m、平均径5〜300μmの面状に凝集させ、またシリ
カ面状凝集体を鋼板面状にほぼ均一に分布させることが
可能であった。
用いるシリカの原料として好適に用いることもできる。
このシリカ表面では有機置換されたシラノール基が存在
するため、有機樹脂との相溶性が確保され、また良好な
塗料密着性が得られるばかりでなく、シリカ粒子間の凝
集も適度に進行する性質を有しており、乾燥焼き付け後
の有機樹脂層中においてシリカを平均厚み0.2〜2μ
m、平均径5〜300μmの面状に凝集させ、またシリ
カ面状凝集体を鋼板面状にほぼ均一に分布させることが
可能であった。
【0029】なお、樹脂層中における樹脂とシリカの乾
燥重量比率は、樹脂100重量部に対して、シリカ10
〜100重量部とするのが好ましい。シリカ量が10重
量部未満の場合、腐食環境下に晒された時に被膜中に形
成させる亜鉛系腐食生成物を安定に保持する能力に欠
け、高耐食性を獲得することはできなかった。また、シ
リカ量が100重量部を超えると、樹脂組成物との相溶
性が得られなくなり、塗料として鋼板上に塗布すること
が困難になるからである。
燥重量比率は、樹脂100重量部に対して、シリカ10
〜100重量部とするのが好ましい。シリカ量が10重
量部未満の場合、腐食環境下に晒された時に被膜中に形
成させる亜鉛系腐食生成物を安定に保持する能力に欠
け、高耐食性を獲得することはできなかった。また、シ
リカ量が100重量部を超えると、樹脂組成物との相溶
性が得られなくなり、塗料として鋼板上に塗布すること
が困難になるからである。
【0030】
【実施例】次に本発明の効果を実施例に基づいて具体的
に説明する。
に説明する。
【0031】各種の両面亜鉛系めっき鋼板(板厚0.8
mm)に脱脂後ロールコーターを用いて各種Cr6+/全
Cr比と各種付着量の塗布型クロメートを施し、最高到
達温度130℃で焼き付けた。次に数平均分子量の異な
るエポキシ樹脂(シェル化学(株)製エピコート100
9)およびその一部をウレタン樹脂、アクリル樹脂で変
性した樹脂と平均一次粒子径および平均凝集径の異なる
各種シリカと各種有機珪酸化合物を添加、混合すること
により調整した塗料をロールコーターで塗布した。その
後、最高到達温度160℃で焼き付けた後、直ちに水
冷、乾燥した。
mm)に脱脂後ロールコーターを用いて各種Cr6+/全
Cr比と各種付着量の塗布型クロメートを施し、最高到
達温度130℃で焼き付けた。次に数平均分子量の異な
るエポキシ樹脂(シェル化学(株)製エピコート100
9)およびその一部をウレタン樹脂、アクリル樹脂で変
性した樹脂と平均一次粒子径および平均凝集径の異なる
各種シリカと各種有機珪酸化合物を添加、混合すること
により調整した塗料をロールコーターで塗布した。その
後、最高到達温度160℃で焼き付けた後、直ちに水
冷、乾燥した。
【0032】樹脂中のシリカは次の通りである。 A:エチルセロソルブ中分散シリカゾルETC−ST−
2日産化学工業(株)製 B:プロピルセロソルブ中分散シリカゾルNPC−ST
−2日産化学工業(株)製 C:疎水性ヒュームドシリカ(比表面積:150m2 /
g)
2日産化学工業(株)製 B:プロピルセロソルブ中分散シリカゾルNPC−ST
−2日産化学工業(株)製 C:疎水性ヒュームドシリカ(比表面積:150m2 /
g)
【0033】樹脂層中に添加した有機珪酸化合物は次の
通りである。 A:ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) B:末端OH変性ジメチルポリシロキサン(信越化学工
業(株)製) C:末端NH2 変性ジメチルポリシロキサン(信越化学
工業(株)製)
通りである。 A:ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) B:末端OH変性ジメチルポリシロキサン(信越化学工
業(株)製) C:末端NH2 変性ジメチルポリシロキサン(信越化学
工業(株)製)
【0034】これらの有機複合被覆鋼板製品の性能評価
のために次のような試験を行なった。 (平板耐食性)平板耐食性を評価するために、5%Na
Cl水溶液噴霧(35℃)4時間、乾燥(60℃)2時
間、湿潤環境(50℃)2時間を1サイクルとする複合
サイクル腐食試験に供し、200サイクルでの試験片の
赤錆発生状況を観察した。平板耐食性の評価基準は以下
に示す。 ◎:赤錆発生なし ○:赤錆発生面積率10%未満 △:赤錆発生面積率10〜20% ×:赤錆発生面積率20%以上
のために次のような試験を行なった。 (平板耐食性)平板耐食性を評価するために、5%Na
Cl水溶液噴霧(35℃)4時間、乾燥(60℃)2時
間、湿潤環境(50℃)2時間を1サイクルとする複合
サイクル腐食試験に供し、200サイクルでの試験片の
赤錆発生状況を観察した。平板耐食性の評価基準は以下
に示す。 ◎:赤錆発生なし ○:赤錆発生面積率10%未満 △:赤錆発生面積率10〜20% ×:赤錆発生面積率20%以上
【0035】(加工後耐食性)加工後耐食性を評価する
ために円筒絞り試験(絞り比2.0、しわ押さえ圧10
00kg)を行なった試験片を5%NaCl水溶液噴霧
(35℃)4時間、乾燥(60℃)2時間、湿潤環境
(50℃)2時間を1サイクルとする複合サイクル腐食
試験に供し、50サイクルでの試験片側壁の赤錆発生状
況を観察した。加工後耐食性の評価基準は以下に示す。 ◎:赤錆発生なし ○:赤錆発生面積率10%未満 △:赤錆発生面積率10〜20% ×:赤錆発生面積率20%以上
ために円筒絞り試験(絞り比2.0、しわ押さえ圧10
00kg)を行なった試験片を5%NaCl水溶液噴霧
(35℃)4時間、乾燥(60℃)2時間、湿潤環境
(50℃)2時間を1サイクルとする複合サイクル腐食
試験に供し、50サイクルでの試験片側壁の赤錆発生状
況を観察した。加工後耐食性の評価基準は以下に示す。 ◎:赤錆発生なし ○:赤錆発生面積率10%未満 △:赤錆発生面積率10〜20% ×:赤錆発生面積率20%以上
【0036】(耐クロム溶出性)耐クロム溶出性を評価
するために、脱脂、水洗、表面調整、化成処理の4工程
を行ない、処理前後のCr付着量の変化を蛍光X線分析
により測定した。評価基準は以下に示す。 ○:1mg/m2 以下 △:1〜2mg/m2 ×:2mg/m2 以上
するために、脱脂、水洗、表面調整、化成処理の4工程
を行ない、処理前後のCr付着量の変化を蛍光X線分析
により測定した。評価基準は以下に示す。 ○:1mg/m2 以下 △:1〜2mg/m2 ×:2mg/m2 以上
【0037】(スポット溶接性)スポット溶接性を評価
するために、先端6mmφのAl2 O3 分散銅合金製の
溶接チップを用い、加圧力200kgf、溶接電流9k
A、溶接時間10Hzで連続溶接を行ない、ナゲット径
が基準径を下回るまでの連続溶接打点数を測定した。評
価基準は以下に示す。 ◎:3000点以上 ○:2000〜3000点 △:1000〜2000点 ×:1000点未満
するために、先端6mmφのAl2 O3 分散銅合金製の
溶接チップを用い、加圧力200kgf、溶接電流9k
A、溶接時間10Hzで連続溶接を行ない、ナゲット径
が基準径を下回るまでの連続溶接打点数を測定した。評
価基準は以下に示す。 ◎:3000点以上 ○:2000〜3000点 △:1000〜2000点 ×:1000点未満
【0038】第1表にクロメート層、樹脂層の条件、製
品の有機樹脂層中におけるシリカの分布状態と試験結果
をまとめた。
品の有機樹脂層中におけるシリカの分布状態と試験結果
をまとめた。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【0042】
【発明の効果】これまでに説明したように、本発明の有
機複合被覆鋼板は加工後においても高耐食性を有し、ス
ポット溶接性も良好であることから、自動車車体用をは
じめとして、同様の品質特性を期待される広範囲の用途
に使用することができるので工業的な価値は極めて高
い。
機複合被覆鋼板は加工後においても高耐食性を有し、ス
ポット溶接性も良好であることから、自動車車体用をは
じめとして、同様の品質特性を期待される広範囲の用途
に使用することができるので工業的な価値は極めて高
い。
Claims (6)
- 【請求項1】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板表面上に
Cr6+量が全Cr量に対して70%以下で、付着量がC
r換算で5〜500mg/m2 のクロメート被膜を有
し、該クロメート被膜の上層に主としてシリカおよび有
機高分子樹脂を配合してなる樹脂層を有する有機複合被
覆鋼板であって、 該樹脂層中に有機珪酸化合物を樹脂100重量部に対
して0.01〜10重量部を含有させ、かつ 該樹脂層の付着量が乾燥重量にして、0.1〜3g/
m2 であることを特徴とする加工後耐食性に優れた有機
複合被覆鋼板。 - 【請求項2】構成するシリカとして シリカの平均一次粒子径が5〜60nmであり、 該シリカは該樹脂層中において、平均厚み0.2〜2
μm、平均径5〜300μmの面状に凝集しており、 シリカ面状凝集体は鋼板表面上にほぼ均一に分布する 請求項1に記載の加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼
板。 - 【請求項3】構成するシリカとして、平均凝集粒子径が
0.05〜2μmである有機溶剤分散シリカゾルを用い
る請求項1または2に記載の加工後耐食性に優れた有機
複合被覆鋼板。 - 【請求項4】構成するシリカとして、疎水性ヒュームド
シリカを用いる請求項1または2に記載の加工後耐食性
に優れた有機複合被覆鋼板。 - 【請求項5】数平均分子量が2000以上のエピクロー
ルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂をベース
とした有機高分子樹脂を用いる請求項1〜4のいずれか
に記載の加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。 - 【請求項6】樹脂層中におけるシリカと有機樹脂の乾燥
重量比率が、樹脂100重量部に対してシリカ10〜1
00重量部である請求項1〜5のいずれかに記載の加工
後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30161891A JPH05138804A (ja) | 1991-11-18 | 1991-11-18 | 加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30161891A JPH05138804A (ja) | 1991-11-18 | 1991-11-18 | 加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05138804A true JPH05138804A (ja) | 1993-06-08 |
Family
ID=17899116
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30161891A Withdrawn JPH05138804A (ja) | 1991-11-18 | 1991-11-18 | 加工後耐食性に優れた有機複合被覆鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05138804A (ja) |
-
1991
- 1991-11-18 JP JP30161891A patent/JPH05138804A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990204 |