JP3934762B2 - 高耐食性燃料タンク用鋼板 - Google Patents

高耐食性燃料タンク用鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料タンク用鋼板に係り、特にアルコールそのもの、あるいはアルコールと蟻酸の混合されたガソリンなどに対する耐食性(以下「内面耐食性」と称す。)に優れるとともに、融雪塩あるいは海塩粒子の飛来する大気環境に対する耐食性(以下「外面耐食性」と称す。)に優れ、かつ、優れたプレス加工性、抵抗溶接性を有する燃料タンク用鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用燃料としては、主にガソリンが用いられてきたが、近年、大気環境保全や価格などの観点から、アルコールあるいはアルコールとガソリンを混合した燃料の検討も進められている。
【0003】
そこで、アルコール単独あるいはアルコール混合ガソリン、とりわけ腐食性の強いアルコールと蟻酸の混合されたガソリンに対する耐食性(内面耐食性)と外の環境に対する耐食性(外面耐食性)を両立させるための提案が、特公平2−18981号、特公平2−18982号、特公平3−25349号などに開示されている。
【0004】
すなわち、特公平2−18981号には、Pb/Sn合金またはSnを主成分とする金属めっき層、上層として金属粉末を含む有機樹脂皮膜を有する鋼板が、特公平2−18982号、特公平3−25349号には、ZnまたはZnを主成分とする金属めっき層、上層として金属粉末を含む有機樹脂皮膜を有する鋼板が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記3つの公報に記載されている金属粉末含有有機樹脂皮膜は、その有機樹脂中の40〜90%がフェノキシ樹脂で占められている。このフェノキシ樹脂自体は耐酸性、耐溶剤性に優れているが、金属粉末との親和性が低いため、プレス加工時に金属粉末の剥離が生じ、ダメージを受けた部分の内面耐食性が悪くなる。またダメージを受けていない部分も、樹脂/金属粉末間に燃料が滞留しやすくなり、内面耐食性が悪くなる。
燃料タンクの外面側も、フェノキシ樹脂と金属粉末との親和性不足に起因する耐食性劣化が生じる。
【0006】
さらにいずれの鋼板も、樹脂皮膜が必須成分として硬化剤を含むため、硬化度が高い場合には、熱分解しづらく、ナゲット生成過程における被膜排除が困難になり、抵抗溶接性が低下する。つまり、金属粉末により通電点を確保しても、残存する皮膜周辺の母材が溶接不良を起こすため、充分なナゲット間のラップが得られず燃料もれが生じる。場合により、充分な溶接強度が得られず剥離が生じる。また、硬化度が低く未反応硬化剤を含む場合には、その部分の凝集力の低さ、親水性などの理由で腐食因子(酸、塩素イオンなど)が侵入し易く、耐食性が低下する。
【0007】
以上のように種々の性能不良を残しており未だ実用化に至らない。
したがって、本発明は、このような現行燃料タンク材料の欠点を解消し、アルコール、特にメタノールそのものあるいはメタノールが酸化して生成した蟻酸の混合されたガソリンに対する内面耐食性と、融雪塩あるいは海塩粒子の飛来する大気環境に対する外面耐食性に優れ、かつ、燃料タンク製造過程において優れたプレス加工性、抵抗溶接性を発揮する燃料タンク用鋼板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、主として有機樹脂と金属粉末との親和性、有機樹脂自体の耐酸性、および抵抗溶接性、潤滑性について鋭意検討した結果、一方の面には、鱗片状Ni粉末、粒状Ni粉末とアミン変性エポキシ樹脂と潤滑剤、必要に応じてシリカを主成分とする樹脂層、他方の面には、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂とシリカと潤滑剤を主成分とする樹脂層を用いることにより、上記の問題を一挙に解決しうるという全く新たな知見を得て本発明を完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、鋼板の両表面に最下層としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層を有し、その両方の上層にクロメート層を有し、
さらにその一方の面の上層にアミン変性エポキシ樹脂と、鱗片状Ni粉末と、粒状Ni粉末と潤滑剤とを主成分とする金属粉末含有潤滑性有機樹脂層を有し、
かつ他方の面の上層に水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂と、潤滑剤と、シリカとを主成分とする潤滑性有機樹脂層を有することを特徴とする高耐食性燃料タンク用鋼板である。
【0010】
また、前記金属粉末含有潤滑性有機樹脂層が、アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対して、鱗片状Ni粉末と粒状Ni粉末の合計が20〜400重量部、潤滑剤が0.1〜5重量部であり、
鱗片状Ni粉末/粒状Ni粉末=20/80〜80/20(重量比)である。
さらに本発明は、鋼板の両表面に最下層としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層を有し、その両方の上層にクロメート層を有し、
さらにその一方の面の上層にアミン変性エポキシ樹脂と、鱗片状Ni粉末と、粒状Ni粉末と潤滑剤とシリカを主成分とする金属粉末含有潤滑性有機樹脂層を有し、
かつ他方の面の上層に水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂と、潤滑剤と、シリカとを主成分とする潤滑性有機樹脂層を有することを特徴とする高耐食性燃料タンク用鋼板である。
【0011】
また、前記金属粉末含有潤滑性有機樹脂層が、アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対して、鱗片状Ni粉末と粒状Ni粉末の合計が20〜400重量部、潤滑剤が0.1〜5重量部、シリカが40重量部以下であり、
鱗片状Ni粉末/粒状Ni粉末=20/80〜80/20(重量比)であり、
前記アミン変性エポキシ樹脂が、エポキシ基1当量に対し、0.3〜1.0モルのアミン化合物を付加してなる複合体樹脂であり、かつ重量平均分子量が5000〜50000の範囲であり、
前記鱗片状Ni粉末が平均長径8〜25μm、平均短径が1〜12μm、平均厚みが0.5〜5.0μmであり、
前記粒状Ni粉末が平均粒径1〜9μmであり、
前記潤滑剤が、ポリオレフィンワックスおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであり、平均粒径1〜10μmであり、軟化点が70〜150℃である高耐食性燃料タンク用鋼板である。
【0012】
さらに、前記潤滑性有機樹脂層が、前記樹脂100重量部に対して、潤滑剤が1〜40重量部と、シリカが5〜80重量部であり、
前記潤滑性有機樹脂層中の潤滑剤がポリオレフィンワックスおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであり、該潤滑剤の軟化点が70〜150℃、かつ平均粒径1〜7μmであり、
該潤滑性有機樹脂層のガラス転移温度(Tg)が0〜90℃である高耐食性燃料タンク用鋼板である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明する。
本発明の鋼板は、両面ともに3層からなる被覆層で形成される。鋼板の最下層(第1層)とその上層(第2層)の被覆構成は表裏とも同じとし、鋼板表面の第3層の被覆層は燃料タンクの内面側に用いる一方の面と、外面側に用いるもう一方の面とで異なるものとする。
【0014】
(金属めっき層)
本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板は鋼板表面の最下層(第1層)としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層を有する。
該金属めっき層は、アルコールおよびアルコール混合燃料中において鉄素地より卑な電位を示す金属層であるから、めっき層が損傷したプレス加工部においてもZnの犠牲防食作用により赤錆、穴あきの発生を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。
【0015】
特に、Zn−Ni合金めっき、Zn−Co合金めっき、Zn−Fe合金めっき、Zn−Al合金めっき、Zn−Ni−Cr合金めっき、Zn−Ni−Co合金めっきなどのZnを主成分とする金属めっき層は、犠牲防食的な性能を維持しつつ、めっき層自体の耐食性が高いため、さらに一層の耐穴あき性の向上が可能である。これらのめっき層は、公知の電気めっき法や溶融めっき法で形成される。
【0016】
このようなZnまたはZnを主成分とする金属めっき層の目付量は10〜200g/m2 が好ましい。より好ましくは20〜100g/m2 である。めっき目付量が10g/m2 未満では鋼板表面の隠蔽効果が不充分となり、下層に必要とされる耐食性が不足する。また200g/m2 を超えると下層に必要とされる耐食性が飽和する。めっき層の目付量は、燃料タンクの内面に用いる側と外面に用いる側で同一でもよいが、外面耐食性向上の理由から外面側のめっき厚みを内面側よりも厚くしてもよい。
【0017】
(クロメート層)
次に第2層(金属めっきの上層)として、表裏の両面ともクロメート層を形成させる。クロメート層は、ZnあるいはZnを主成分とする金属めっき層と最上層の樹脂層の接着性を向上させるために形成させる。クロメート層はクロム水和酸化物を主要構成成分とした、3価クロムと6価クロムからなる被膜である。
【0018】
クロメート層の付着量は、金属クロム換算で片面あたり5〜200mg/m2 が好ましい。より好ましくは10〜100mg/m2 である。5mg/m2 未満の場合、その上層の有機皮膜との密着性が不足するため、プレス加工時、摺動部の皮膜が剥離し、場合によってはめっき層の剥離まで発生する。また付着量が少ないために自己修復に用いられるべき6価クロム成分が不足し、かつ前記めっき層の剥離と相まって内外面の加工部の耐食性が不足する。200mg/m2 超える場合、クロメート層自体が非常に脆くなり、加工部でクロメート層の剥離が発生し、これに伴うその上層の有機皮膜の剥離も生じる。このため、内外面の加工部の耐食性が不足する。クロメート層の付着量は、燃料タンクの内面に用いる側と外面に用いる側で同一でも異なっていてもよい。
【0019】
そして最上層(第3層)として、一方の面は、金属粉末、アミン変性エポキシ、潤滑剤、必要に応じシリカを主成分とする金属粉末含有有機樹脂層で被覆し、他方の面は樹脂、シリカ、潤滑剤からなる潤滑性有機樹脂で被覆する。
金属粉末含有有機樹脂は耐食性、溶接性、潤滑性等に優れ、燃料タンクの内面側(すなわちガソリンと接する側)として用いるのが好ましく、潤滑性有機樹脂は耐食性、潤滑性に優れるので、燃料タンクの外面側として用いるのが好ましい。
【0020】
(金属粉末含有潤滑性有機樹脂層)
金属粉末含有潤滑性有機樹脂層は、アルコール特にメタノールそのものあるいはメタノールが酸化して生成した蟻酸の混合されたガソリンに対してすぐれた耐食性を有する金属粉末と樹脂と潤滑剤成分からなり、金属めっき層およびクロメート層とアルコール系燃料との直接接触を阻止するための防食層の役目をはたす。
【0021】
(アミン変性エポキシ樹脂)
本発明で用いられる樹脂成分は、いうまでもなくガソリンやアルコール系燃料に対してすぐれた耐食性を有し、かつクロメート層に対する塗膜密着性、プレス加工性においてすぐれた特性を発揮するものである。すなわち、アミン変性エポキシ樹脂を用いることにより、すぐれたプレス加工性とアルコール系燃料に対する耐食性およびクロメート層に対する塗膜密着性が確保される。
【0022】
アミン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂をアミン化合物で変性したものであり、好ましくはエポキシ樹脂の末端をアミン化合物で変性したものであり、さらに好ましくは両末端をアミン化合物で変性したものである。ここで、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。これらのエポキシ樹脂のエポキシ当量は180〜5000が好ましい。具体例はエピコート1010、1009、1007、1004、1001(いずれも油化シェルエポキシ(株)製)などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂と、ビスフェノールAまたはビスフェノールFとを反応させた反応生成物を用いても良い。これらのうち、塗料としての安定性やプレス加工性、内面耐食性を安定して得るための製造条件範囲の広さからビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂やビスフェノール型エポキシ樹脂とビスフェノールAまたはビスフェノールFとを反応させたものが好ましい。
【0023】
アミン化合物は、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N−メチルピペラジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、iso−プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、n−プロパノールアミン、エチルエタノールアミン、3−メタノールピペリジンなどを挙げることができる。このうち特に好ましくは、アルカノールアミンやジアルカノールアミンである。
【0024】
エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に付加するアミン化合物のモル数は0.3〜1.0モル、さらには0.5〜0.8モルが好ましい。アミン化合物のモル数が0.3未満の場合、アミン変性度が不足するため、金属粉末とエポキシ樹脂の親和性が低下し、プレス加工時に金属粉末が皮膜から脱離する。その程度が激しい場合には、めっき層の剥離が生じるため、プレス加工性が劣る。また同様の理由から皮膜中の樹脂/金属粉末間に腐食液が滞留しやすくなり、充分な疎水性が得られず蟻酸水溶液を皮膜中に呼び込み易いことも要因となって、腐食性の強いメタノール系燃料に対する内面耐食性が不足する。アミン化合物のモル数が1.0モルを超えるとその超えた分はエポキシ基に付加せず経済的ではなく、余剰アミンが吸水性を高め内面耐食性が低下する。
【0025】
アミン変性エポキシ樹脂の重量平均分子量は5000〜50000が好ましく、さらに好ましくは10000〜40000である。分子量が5000未満の場合、樹脂の分子量が低すぎるため、分子間が不足し、皮膜の強靱性が低下する。このため、プレス加工時に皮膜が削られ、プレス加工性が低下する。分子量が50000超の場合、エポキシ基に付加されているアミンの量が少なくなるため、樹脂と金属粉末との親和性が不足し、プレス加工時に皮膜からの金属粉の脱離が発生したり、内面耐食性が不足する。
【0026】
(金属粉末)
金属粉末添加の目的は、抵抗溶接性と耐食性の向上である。すなわち有機樹脂皮膜は一般に高い電気絶縁性を有し、しかも樹脂皮膜の膜厚は約0.5〜9μm位であるため、鋼板の凸部の露出を全く期待できず、抵抗溶接が困難である。そこで本発明はガソリンタンク内面側の有機樹脂皮膜中に、金属粉末を必要量分散させ、皮膜の電導性を高める。
【0027】
金属粉末は固有抵抗が高いものの方が発熱量が大きく抵抗溶接性に有用である。Niはメタノールに対して耐食性が優れかつ固有抵抗が高いため最も有用である。そこで、鱗片状の形状により主に耐食性を、粒状の形状により主に抵抗溶接性を向上させる。鱗片状Niと粒状Niを組み合わせることで本願発明の目的が達成できる。特に鱗片状Ni粉末と粒状Ni粉末のみを添加するのが好ましい。
【0028】
鱗片状Ni粉末の寸法は、平均長径が8〜25μm、平均短径が1〜12μm、平均厚みが0.5〜5.0μmである。さらに好ましくは平均長径は10〜20μm、平均短径は5〜10μm、平均厚みが0.8〜3μmである。平均長径、平均短径の少なくとも一方が前記範囲より小さいと、ガソリン、アルコール、蟻酸等の遮蔽性が低くなり、内面耐食性が低下する。一方平均長径、平均短径の少なくとも一方が前記範囲よりも大きくなると、皮膜の強度が低下し、パウダリングが生じ、プレス加工部の内面耐食性が低下する。また平均厚みが0.5μm未満の場合、内面耐食性が低下し、厚みが5μm超えの場合、塗膜表面に露出するNi粉末の割合が多くなるため、成形性が低下する。
【0029】
粒状Ni粉末は、球状もしくは不定形であり、その寸法は平均粒径1〜9μmの粒状のものが好ましい。より好ましくは2〜7μmである。平均粒径が1μm未満の場合、通電点が不足する。平均粒径が9μm超えの場合、通電点は充分に有するため、少量の添加で抵抗溶接性が向上する。ところが、皮膜が多孔質になるため、内面耐食性が劣化し、さらにはプレス加工時における皮膜のパウダリングも問題になる。
【0030】
鱗片状Ni粉末と粒状Ni粉末の合計の添加量は、アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは30〜100重量部である。20重量部未満の場合、通電点が不足し電導性に劣るため抵抗溶接性が低下するからである。400重量部超えの場合、有機皮膜自体が脆弱になりプレス時の耐パウダリング性が低下し内面耐食性が低下する。
【0031】
鱗片状Ni粉末と粒状Ni粉末の割合は、鱗片状Ni粉末/粒状Ni粉末=20/80〜80/20(重量比)が好ましい。更に好ましくは50/50〜75/25である。鱗片状Ni粉末/粒状Ni粉末比が20/80未満の場合、燃料の浸透を抑制する働きを有するNi量が減るため、内面耐食性が低下する。80/20超の場合は、固有抵抗が高いNi量が不足して抵抗溶接性に劣る。
【0032】
本発明では、鱗片状Ni粉末および粒状Ni粉末の少なくとも一方を、さらに好ましくは両方を、シランカップリング剤で表面処理することが好ましい。シランカップリング剤で金属粉末を表面処理をすると、アミン変性エポキシ樹脂との親和性、反応性が高まり、両者の結合が強固となるため、アルコール、蟻酸などの侵入を防止し、耐食性が向上する。さらに、プレス加工時のパウダリング性も向上する。シランカップリング剤として、エポキシシラン、ビニルシラン、メルカプトシラン、アミノシランなどを例示することができる。この中でもアミノシラン、エポキシシランが好適である。
【0033】
アミノシランカップリング剤としては、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが好適である。
エポキシシランカップリング剤としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどが好適である。
シランカップリング剤の表面処理方法は公知の方法で行なうことができる。
【0034】
(潤滑剤)
内面の有機樹脂皮膜に自己潤滑性を付与するため、潤滑剤が添加される。本発明では、潤滑剤を有機皮膜表面に突出させることにより、プレス加工時に鋼板と金型の摩擦を低減し、樹脂皮膜の損傷を防止する。
このような潤滑剤として、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブテン系などのポリオレフィンワックスやポリテトラフルオロエチレンなどが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。これらは潤滑性が優れると共に、ガソリン、アルコール、蟻酸、潤滑油などの耐薬品性に優れるので好ましい。
潤滑剤の平均粒径は1〜10μmが好ましく、さらに好ましくは2〜8μmである。平均粒径が1μm未満の場合、有機皮膜から突出する潤滑剤の量が少なくプレス加工性が低下する。10μm超えの場合、プレス加工時に皮膜から脱離し易くなる。
【0035】
潤滑剤の軟化点は、70〜150℃が好ましい。異なる軟化点のものを混合しても良い。軟化点が70℃未満の場合、発熱を伴う過酷なプレス条件下では、潤滑剤の弾性率が著しく低下し、プレス加工性が劣る。軟化点が150℃超えの場合、潤滑剤の軟化が不足し、プレス加工性が劣る。
潤滑剤の添加量はアミン変性エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましい。より好ましくは0.1〜4重量部である。0.1重量部未満では、潤滑性が不足し、プレス加工時に皮膜がダメージを受けるため、耐食性が低下する。5重量部を超えると、プレス加工時に潤滑剤の脱離が生じやすくなり、耐食性が悪くなる。
【0036】
(シリカ)
シリカは必ずしもの添加する必要はないが、添加するとシリカ表面のシラノール基がクロメート層や有機皮膜中の他の成分との反応などが生じ、皮膜の密着性が向上したり、耐食性が良好になる。
シリカは、コロイダルシリカ(例えば、日産化学(株)製スノーテックス−Oやスノーテックス−N)、オルガノシリカゾル(例えば、日産化学(株)製エチルセロソルブシリカゾル)、シリカ粉末(例えば、アエロジル(株)製気相シリカ粉末)や自身が縮合することによりシリカになる有機シリケート(例えば、エチルシリケート等を酸触媒と併用して用いる)等を用いることができる。シリカ粉末の粒径は、シリカを均一に分散させるために5〜70nmが好ましい。
【0037】
シリカの添加量は、アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対して、40重量部以下、さらには5〜20重量部が好ましい。40重量部超の場合、皮膜のプレス加工性が低下し、皮膜にクラックが生じやすくなり、その結果耐食性が悪くなる。
またその他の添加剤として、顔料、チクソトロピック剤、分散剤、揺変剤、沈殿防止剤等の添加剤を皮膜中に添加することも出来る。
【0038】
金属粉末含有潤滑性樹脂の平均厚みは乾燥後0.5〜9μmが好ましい。0.5μm未満では内面耐食性が不充分である。9μmを超えると、耐食性が飽和し、プレス加工性、抵抗溶接性が低下する。
【0039】
この皮膜の形成方法の一例を示す。アミン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂を各種有機溶剤(炭化水素系、エステル系、ケトン系、アルコール系、エーテル系など)に溶解させた後、アミン化合物を添加し、常温〜100℃で4〜5時間反応させることにより得られる。次に得られるアミン変性エポキシ樹脂溶液に、金属粉末、潤滑剤、シリカ、その他添加剤を添加し、サンドミル、アトライターなどでこれらを分散させ、金属粉末含有潤滑性有機樹脂塗料を作成する。塗料はロールコータ、バーコータなどの公知の方法で塗布し、150〜300℃で乾燥する。
【0040】
(潤滑性有機樹脂層)
次に潤滑性有機樹脂層について説明する。
(有機樹脂)
潤滑性有機樹脂層はシリカが複合された潤滑性樹脂層である。ここで使用する有機樹脂は、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂であればよい。具体的には、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらのうち、耐食性などの点からポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
【0041】
(潤滑剤)
外面の有機樹脂皮膜に自己潤滑性を付与するため、潤滑剤が添加される。本発明では、潤滑剤を有機皮膜表面に突出させることにより、プレス加工時に鋼板と金型の摩擦を低減し、樹脂皮膜の損傷を防止する。
潤滑剤としては金属粉末含有潤滑性有機樹脂層で前述したものが使用可能であり、潤滑剤の軟化点の好適範囲も前述の通りである。
潤滑剤の平均粒径は1〜7μmが好ましく、さらに好ましくは2〜6μmである。平均粒径が1μm未満の場合、有機皮膜から突出する潤滑剤の量が少なくプレス加工性が低下する。7μm超えの場合、プレス加工時に皮膜から脱離し易くなる。外面に用いる潤滑性有機樹脂層中の潤滑剤の粒径が、内面に使用する金属粉末含有潤滑性有機樹脂層中の潤滑剤の粒径よりも小さいのは、内面皮膜に比べて外面皮膜が薄いためである。
【0042】
潤滑剤の添加量は、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂100重量部に対して、1〜40重量部、さらには5〜20重量部が好ましい。1重量部未満では、潤滑性が不足し、プレス加工時に皮膜がダメージを受けるため、耐食性が低下する。40重量部を超えると、プレス加工時に潤滑剤の脱離が生じやすくなり、耐食性が悪くなる。外面皮膜には金属粉末が添加されていないため、内面皮膜よりも多量の潤滑剤の添加が可能である。また、プレス加工時には外面側の方がダメージを受けやすいので、内面側よりも多くの潤滑剤を添加する方が好ましい。
【0043】
(シリカ)
シリカの添加は、シリカ表面のシラノール基と前述の樹脂やクロメート層とを反応させ、高耐食性を有する無機−有機複合皮膜を形成させ、タンク外面の有機樹脂皮膜の密着性を向上させ、耐食性を向上させるからである。
シリカとしては、金属粉末含有潤滑性有機樹脂層で前述したものが使用可能である。
シリカの添加量は、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂100重量部に対して、5〜80重量部が好ましく、さらに好ましくは20〜60重量部である。5重量部未満では、耐食性が向上せず、80重量部を超えると皮膜が脆弱になり、成形時に型かじりが生じてプレス加工性が低下する。また、シリカは熱分解性が劣るため、抵抗溶接性が低下する。外面に使用する皮膜中には金属粉末が添加されていないので、シリカの添加量を内面側よりも増加させることができ、外面の耐食性も優れたものになる。
【0044】
以上のような潤滑性有機樹脂のガラス転移温度は(Tg)は0〜90℃が好ましく、さらに好ましくは0〜85℃である。この範囲を外れるとプレス加工性が悪く、プレス加工部の耐食性も悪くなる。プレス加工性を要求される有機被膜には、通常Tgの高いこと(たとえば90℃以上)が要求されるが、本発明の皮膜は、潤滑剤が皮膜から突出された構造になっているので、皮膜のTgをさほど高くする必要がない。
またその他の添加剤として、顔料、チクソトロピック剤、分散剤、揺変剤、沈殿防止剤、等の添加剤を皮膜中に添加することも出来る。
【0045】
潤滑性有機樹脂皮膜の平均厚みは乾燥後0.5μm〜1.5μmとすることが好ましい。膜厚が0.5μm未満では鋼板表面の凹凸をうめきれず、耐食性が低下する。また1.5μmを超えると耐食性の向上効果はあるが抵抗溶接性の低下が著しい。また金属ろうとの濡れ性が著しく劣り、ろう付け性も著しく低下する。
【0046】
本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板をプレス成形する場合、潤滑油を塗布しなくても、プレスの難易度に応じて潤滑油を塗布しても全く問題はなく、むしろ皮膜の損傷防止の観点からは潤滑油塗布が有効である。
この皮膜の形成方法の一例を示す。有機樹脂を有機溶媒に溶解後、シリカを添加し、50〜150℃で30分〜6時間反応させる。この溶液に潤滑剤、その他添加剤を添加し、塗料とする。塗料はロールコータ、バーコータなどの公知の方法で塗布し、150〜300℃で乾燥する。
【0047】
(実施例)
以下実施例で具体的に説明する。
板厚0.8mmの冷延鋼板(SPCC)の電解脱脂、電解酸洗を行った後、両面に合金化溶融亜鉛めっき(めっき中Fe10wt%)を施した(付着量は両面とも45g/m2 )。
めっき鋼板の両面にクロメート処理液を塗布、乾燥しクロメート層を得た(付着量は金属クロム換算で両面とも40mg/m2 )。
さらにその両面に塗料をロールコートし、焼き付けた。なお比較材として、特公平3−25349号記載の樹脂塗料も塗布、焼き付けた。塗料の調製方法と皮膜特性の評価方法を以下に示す。また樹脂層の組成と評価結果を表1,2に示す。
【0048】
(各種塗料の調製方法)
(1)アミン変性エポキシ樹脂溶液(1)および金属粉末含有潤滑性樹脂塗料の調製方法
ビスフェノールA型エポキシ樹脂2000g(エポキシ当量=2000)にトルエン1000gを加え、窒素置換の後に80℃まで昇温し、均一溶液とした。次にこの溶液にジエタノールアミン52.5gを30分かけて滴下後、1時間反応させ、アミン変性エポキシ溶液(1)を得た。(アミン変性エポキシ樹脂の重量平均分子量13000、アミン付加量0.5モル)
このようにして得られたアミン変性エポキシ樹脂溶液に後述する表1に示す金属粉末、潤滑剤、シリカ、有機ベントナイト(ベントン34、沈殿防止剤)、シクロヘキサン(希釈調整用)を加えて金属粉末潤滑性樹脂塗料を調製した。
【0049】
(2)アミン変性エポキシ樹脂溶液(2)および金属粉末含有潤滑性樹脂塗料の調製方法
ビスフェノールA型エポキシ樹脂1000g(エポキシ当量=3000)にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート680gを加え溶解した。ついで、ビスフェノールF25gと塩化リチウム1gを加え、200℃1時間反応させ均一溶液とした。この溶液1167gにN−メチルエタノールアミン7.5gを2時間かけて滴下し、さらに70℃、3時間反応させ、アミン変性エポキシ樹脂溶液(2)を得た。(アミン変性エポキシ樹脂の重量平均分子量20000、アミン付加量0.6モル)
このようにして得られたアミン変性エポキシ樹脂溶液に後述する表1に示す金属粉末、潤滑剤、有機ベントナイト(ベントン34、沈殿防止剤)、シクロヘキサン(希釈調整用)を加えて金属粉末潤滑性樹脂塗料を調製した。
【0050】
(3)潤滑性有機樹脂塗料(1)の調製
ポリビニルブチラール樹脂(平均重合度=300)の固形分30%セロソルブ溶液200gに表1に示す各種シリカを添加する。ついでオルトリン酸水溶液30gを徐々に滴下し、しかるのちに混合物を90℃まで昇温し、還流下で4時間反応させた。次に表1に示す各種潤滑剤を添加し、潤滑性有機樹脂塗料(1)を調製した。
【0051】
(4)比較例の塗料の調製
上述の(1)〜(3)と同様に、ただし表1に示す種類の樹脂を表1に示す量用いて調製した。比較例8については以下の塗料を用いた。
【0052】
(比較例8)
最外層の有機樹脂皮膜として、下記の組成のものを内面(12μm)、外面(12μm)ともに形成させた。
有機樹脂皮膜は、Al粉末(フレーク状、厚さ3μm)45重量%と、ゴム変性エポキシ樹脂とフェノキシ樹脂(それぞれ30重量%、70重量%)との混合物54重量%、ノニオン性フッ素系界面活性剤1重量%の組成とした。ここでゴム変性エポキシ樹脂は、ブタジエンアクリロニトリル共重合ゴム25重量%とノボラック型エポキシ樹脂75重量%との混合物である。
【0053】
(皮膜特性の評価方法)
試作した被覆鋼板のプレス加工性、抵抗溶接性、外面耐食性、内面耐食性の評価を行なった。
【0054】
(1)プレス加工性評価法
(a)円筒成形試験による潤滑性評価
プレス条件:出光石油(株)製防錆油Z5を1g/m2 塗油して評価
・ポンチ径と形状・・・33mmφ平底円筒
・クリアランス・・・1mm
・プランクサイズ・・・種々変化
・しわ押え荷重・・・2t
・絞り速度・・・60mm/sec
上記条件で、鋼板の外面側をダイス側に、内面側をポンチ側にセットして、円筒成形し各サンプルの限界絞り比(絞り抜けたサンプルのダイス径/ポンチ径のうち、最大の値)を求め、この値で潤滑性を評価した。この値が大きなものほど成形性が良いことを示す。
(b)円筒成形試験による皮膜の耐パウダリング性評価
プレス条件:出光石油(株)製防錆油Z5を1g/m2 塗油して評価
・ポンチ径と形状・・・33mmφ平底円筒
・クリアランス・・・1mm
・プランクサイズ・・・66mm
・しわ押え荷重・・・4t
・絞り速度・・・60mm/sec
鋼板の外面側をダイス側に、内面側をポンチ側にセットしカップ成形後の内面側の皮膜のパウダリングの程度を目視観察し評価した。評価基準は、セロテープによる剥離テストにおいてパウダリングが無いレベルを◎、セロテープによる剥離において少しパウダリングがあるが、目視で観察できないレベルを○、少しパウダリングがあるレベルを△、非常にパウダリング量が多い場合を×とした。
【0055】
(2)抵抗溶接性評価法
シーム溶接条件
・電極・・・クロム−銅合金、台形電極(先端R:15mmφ)
・溶接方法・・・二重かさね、ラップシーム溶接
・加圧力・・・400kg
・通電時間・・・2サイクルon、1サイクルoff(2/50秒通電、1/50秒無通電)
・冷却・・・内部、外部水冷
・溶接スピード・・・2.5m/min
・溶接電流・・・種々変化
上記の条件下で内面同士の溶接を行いTピール引っ張り試験による母材破断の有無やナゲットラップの程度から適正な溶接電流(kA)の範囲を求め、シーム溶接性を評価した。
【0056】
(3)外面耐食性評価法
外面に大日本塗料(株)製上塗り塗料エマロンを乾燥膜厚10μmとなるように塗布し、120℃の炉中で20分間焼き付けた後、JASO(塩水噴霧2時間・60℃、20〜30RH%乾燥4時間・50℃、98RH%2時間)条件にて平面部は300サイクル、その他は100サイクルのCCT試験に供し平面部、平面部クロスカットしたものおよび(1)(b)の条件で成形したプレス加工品側壁部の残留板厚(mm)で評価した。なお、試験前板厚は1.0mmである。
【0057】
(4)内面耐食性評価法
平面部および1(b)の条件で成形した平底円筒カップ内面を評価した。平面部を評価する場合は20mm×100mmの試験片を準備し、無鉛ガソリン/500ppm蟻酸水溶液=1/1(重量)の燃料中に前記試験片を80mm浸漬し、常温で1ケ月の浸漬試験を行った後、発錆度を面積率(%)で評価した。
平底円筒カップ内面を評価する際には33mmφ、高さ30mmに成形して試験片とし、前記の燃料をカップ内容積の80%投入し、常温で1ケ月の浸漬を行った後カップ内面の発錆度を面積率(%)で評価した。前記燃料は比重の順列から下層に蟻酸水溶液、上層に無鉛ガソリンと分離するので、それぞれの部位における錆発生面積率で評価した。
【0058】
【表1】
Figure 0003934762
【0059】
【表2】
Figure 0003934762
【0060】
HCA:平均長径13μm、平均短径5μm、平均厚み1μmの燐片状Ni粉末(ノバメット製HCA−1)
HCA* :HCAをγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで表面処理したもの
F95:平均長径20μm、平均短径7μm、平均厚み1μmの燐片状Ni粉末
(福田金属箔粉製Ni−Flake95)
F123:平均粒径5μmの粒状Ni粉末
(福田金属箔粉製カーボニルNi123)
F123* :F123をγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで表面処理したもの
F283:平均粒径2μmの粒状Ni粉末(福田金属箔粉製カーボニルNi283)
S▲1▼ :オルガノシリカゾル平均一次粒径10nm
PE▲1▼:ポリエチレンワックス平均粒径1μm、軟化点120℃
PTFE:ポリテトラフルオロエチレンワックス平均粒径2μm、軟化点125℃
PE▲2▼:ポリエチレンワックス平均粒径5μm、軟化点120℃
S▲2▼ :コロイダルシリカ(日産化学スノーテックスO)平均一次粒径10〜20nm
エポキシ:重量平均分子量13000、エポキシ当量2000、アミン化合物変性なし
【0061】
Figure 0003934762
【0062】
Figure 0003934762
【0063】
【発明の効果】
本発明の鋼板は、表裏で有機被膜組成を違え、一方の面には、アミン変性エポキシ樹脂、潤滑剤、特定形状のNi粉末、必要に応じてシリカが含有された樹脂層、他方の面には、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂とシリカと潤滑剤を主成分とする樹脂層を用いることにより、優れた内面耐食性、外面耐食性、プレス加工性、抵抗溶接性を有する。したがって、本発明の鋼板はアルコールおよびアルコール混合ガソリン用鋼板として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 金属めっき層
3 クロメート層
4 金属粉末含有潤滑性有機樹脂層
5 潤滑性有機樹脂層

Claims (7)

  1. 鋼板の両表面に最下層としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層を有し、その両方の上層にクロメート層を有し、
    さらにその一方の面の上層にアミン変性エポキシ樹脂と、鱗片状Ni粉末と、粒状Ni粉末と潤滑剤とを主成分とする金属粉末含有潤滑性有機樹脂層を有し、
    かつ他方の面の上層に水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂と、潤滑剤と、シリカとを主成分とする潤滑性有機樹脂層を有することを特徴とする高耐食性燃料タンク用鋼板。
  2. 前記金属粉末含有潤滑性有機樹脂層が、アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対して、鱗片状Ni粉末と粒状Ni粉末の合計が20〜400重量部、潤滑剤が0.1〜5重量部であり、
    鱗片状Ni粉末/粒状Ni粉末=20/80〜80/20(重量比)である請求項1に記載の高耐食性燃料タンク用鋼板。
  3. 鋼板の両表面に最下層としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層を有し、その両方の上層にクロメート層を有し、
    さらにその一方の面の上層にアミン変性エポキシ樹脂と、鱗片状Ni粉末と、粒状Ni粉末と潤滑剤とシリカを主成分とする金属粉末含有潤滑性有機樹脂層を有し、
    かつ他方の面の上層に水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基およびアミノ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種の樹脂と、潤滑剤と、シリカとを主成分とする潤滑性有機樹脂層を有することを特徴とする高耐食性燃料タンク用鋼板。
  4. 前記金属粉末含有潤滑性有機樹脂層が、アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対して、鱗片状Ni粉末と粒状Ni粉末の合計が20〜400重量部、潤滑剤が0.1〜5重量部、シリカが40重量部以下であり、
    鱗片状Ni粉末/粒状Ni粉末=20/80〜80/20(重量比)である請求項3に記載の高耐食性燃料タンク用鋼板。
  5. 前記アミン変性エポキシ樹脂が、エポキシ基1に対し、0.3〜1.0の比でアミン化合物を付加してなる複合体樹脂であり、かつ重量平均分子量が5000〜50000の範囲であり、
    前記鱗片状Ni粉末が平均長径8〜25μm、平均短径が1〜12μm、平均厚みが0.5〜5.0μmであり、
    前記粒状Ni粉末が平均粒径1〜9μmであり、
    前記潤滑剤が、ポリオレフィンワックスおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであり、平均粒径1〜10μmであり、軟化点が70〜150℃である請求項1〜4のずれかに記載の高耐食性燃料タンク用鋼板。
  6. 前記潤滑性有機樹脂層が、前記樹脂100重量部に対して、潤滑剤が1〜40重量部と、シリカが5〜80重量部である請求項1〜5のいずれかに記載の高耐食性燃料タンク用鋼板。
  7. 前記潤滑性有機樹脂層中の潤滑剤がポリオレフィンワックスおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであり、該潤滑剤の軟化点が70〜150℃、かつ平均粒径1〜7μmであり、
    該潤滑性有機樹脂層のガラス転移温度(Tg)が0〜90℃である請求項1〜6のいずれかに記載の高耐食性燃料タンク用鋼板。
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