JPH10176286A - 電着塗装性に優れる有機複合被覆鋼板 - Google Patents

電着塗装性に優れる有機複合被覆鋼板

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JPH10176286A
JPH10176286A JP33675496A JP33675496A JPH10176286A JP H10176286 A JPH10176286 A JP H10176286A JP 33675496 A JP33675496 A JP 33675496A JP 33675496 A JP33675496 A JP 33675496A JP H10176286 A JPH10176286 A JP H10176286A
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JP
Japan
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silica
steel sheet
chromate
plating
coating
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JP33675496A
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English (en)
Inventor
Shigeko Sujita
田 成 子 筋
Naomasa Nakakouji
尚 匡 中小路
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、主に自動車車体用鋼板としてプレス
成形性、スポット溶接性、電着塗装性、耐水二次密着
性、耐食性に優れた有機複合被覆鋼板に関する。 【解決手段】鋼板の少なくとも片面にめっき処理された
Zn−Niめっき皮膜を、H2 PO 4 - 、HPO4 2-
よびH3 PO4 のなかから選ばれるいずれか1種以上を
P濃度として4g/l以上170g/l未満含みかつ
0.1〜50g/lのNiを含有する、pH2.0〜
5.0の後処理液に接触させて得られるZn−Niめっ
き皮膜上に (A)Cr6+量が全Crに対して25%〜70wt% (B)シリカ重量比が全てCrに対して0.5〜3 (C)りん酸重量比が全Crに対して0.25〜2.0 (D)フッ素化合物が全Crに対して0〜0.4 (E)Cr付着量が10〜200mg/m2 であるシリカ添加クロメート被膜を有し、該クロメート
被膜の上層に主として樹脂とシリカからなる有機樹脂層
を有することを特徴とする電着塗装性に優れる有機複合
被覆鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に自動車車体用
鋼板としてプレス成形性、スポット溶接性、電着塗装
性、耐水二次密着性、耐食性に優れた有機複合被覆鋼板
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体の高耐食性化に対する強い社
会的要請に応えて、冷延鋼板上に亜鉛または亜鉛系合金
めっきを施した表面処理鋼板の自動車車体への適用が拡
大してきた。
【0003】これら表面処理鋼板としては、溶融亜鉛め
っき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき
鋼板、および電気亜鉛系合金めっき鋼板などが挙げられ
る。しかしながら、車体組立後に行われる塗装が充分に
行き渡らない車体内板の袋構造部や曲げ加工部(ヘミン
グ部)ではさらに高度な耐食性が要求されてきた。
【0004】このような用途に対応する自動車用鋼板と
して、例えば特開昭57−108292号公報や特開昭58−22
4174号公報などでは、亜鉛および亜鉛合金めっき鋼板上
にクロメートおよび有機高分子樹脂層を有する有機複合
被覆鋼板が提案されている。これらはいずれも水溶性あ
るいは水分散有機樹脂と水分散シリカゾルを含有した塗
料をクロメート処理した亜鉛系めっき鋼板の上層に塗布
して、高耐食性を発現することを目的としているが、次
のような問題点を有していた。
【0005】(1)水可溶性成分が成膜後も皮膜中に残
存するために、耐クロム溶出性に劣り、化成処理時にク
ロムが溶出して環境汚染の原因となる。
【0006】(2)アルカリ脱脂時に樹脂層の剥離を生
じ、耐食性の劣化を招く。
【0007】(3)腐食環境下において樹脂層内に水分
が侵入し、可溶性成分が溶解して高アルカリ性になるた
めに、樹脂層/クロメート間の密着性が劣化する。
【0008】このような問題点を解決するために、有機
溶剤中でシリカ表面を有機置換した疎水性シリカとエポ
キシ樹脂などを配合した塗料組成物を用いる方法が特開
昭63− 22637号公報に提案されている。この場合、シ
リカゾルと有機樹脂との相溶性は確保され、また優れた
塗装後密着性が得られるものの、塗膜の可とう性が充分
でないため、プレス加工などによる形成加工時に加工部
塗膜層に損傷が生じ、この部分の耐食性が劣化するとい
う問題が指摘されている。
【0009】こういった加工後に耐食性が劣るという問
題点については、Cr6+量が全Cr量に対して70%以
下でCr:5〜500mg/m2 のクロメート皮膜の上
層に付着量が乾燥重量にして0.1〜3g/m2 である
主として水分散シリカとアニオン系水性樹脂、ノニオン
系水性樹脂およびアニオン系水性ウレタン樹脂のうちの
1種を配合してなる樹脂層を有する方法が特開平6−23
4187号公報に提案されている。この方法によれば、自動
車車体用鋼板として優れたプレス成形性、スポット溶接
性、電着塗装性、耐水二次密着性、耐食性を有する。し
かしながら、この場合、電着塗装時に脱脂不良や電着塗
装液の劣化状況によって電着塗装後の外観が劣るという
問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の問題点を解決しようとするもので、特に
自動車用として電着塗装性に優れた有機複合被覆鋼板を
提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は従来技術におけ
る問題点を解決すべくなされたもので、Zn−Niめっ
き皮膜に適切な後処理を行った後、その上層のクロメー
ト被膜組成およびシリカと有機樹脂からなる上塗り樹脂
層について詳細な検討を行い、特に脱脂不良や電着塗装
液の劣化した時の電着塗装性について検討し、本発明に
到達したものである。
【0012】本発明に従えば、所定の後処理を施したZ
n−Niめっきに特殊配合のシリカ添加クロメート下塗
りとシリカ添加上塗り塗料を使用して電着塗装性および
その他の品質に優れる有機複合被覆鋼板を得ることがで
きる。
【0013】すなわち、本発明は、鋼板の少なくとも片
面にめっき処理されたZn−Niめっき皮膜を、H2
4 - 、HPO4 2- およびH3 PO4 のなかから選ばれ
るいずれか1種以上をP濃度として4g/l以上170
g/l未満含みかつ0.1〜50g/lのNiを含有す
る、pH2.0〜5.0の後処理液に接触させて得られ
るZn−Niめっき皮膜上に (A)Cr6+量が全Crに対して25%〜70wt% (B)シリカ重量比が全てCrに対して0.5〜3 (C)りん酸重量比が全Crに対して0.25〜2.0 (D)フッ素化合物が全Crに対して0〜0.4 (E)Cr付着量が10〜200mg/m2 であるシリカ添加クロメート被膜を有し、該クロメート
被膜の上層に主として樹脂とシリカからなる有機樹脂層
を有することを特徴とする電着塗装性に優れる有機複合
被覆鋼板を提供するものである。また、前記クロメート
層に添加されるシリカが、一次粒子径0.005〜0.
1μmの親水性気相シリカであるのが好ましい。また、
前記クロメート層に添加されるシリカが、0.005〜
0.1μmの一次粒子が凝集し、凝集平均粒子径が0.
1〜1.0μmである凝集液相シリカであるのが好まし
い。
【0014】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。Zn−Niめ
っき上にクロメート層と有機樹脂層を被覆した有機複合
被覆鋼板の電着塗装における外観不良は、めっき皮膜表
面にZnまたはZn酸化物あるいはZn水酸化物が多く
存在することによって発生する。これをZnリッチ層と
呼ぶ。めっき表面の過剰なZnは、その状態が不均一で
あることが多く、またZn酸化物あるいは水酸化物は電
着塗装時の抵抗となるために、有機樹脂塗装後の電着塗
装性の外観不良を引き起こしやすい。
【0015】そこで発明者らはリン酸系の液にNiを添
加した処理液を用いてZn−Niめっき鋼板を後処理す
ると、リン酸系液による安定したエッチング効果とめっ
き皮膜表面へのNiの置換析出効果により、めっき皮膜
表面でのZnリッチ状態を短時間で解消できることを新
たに知見した。
【0016】そしてさらに発明者らは、この知見に基づ
いて、後処理条件と処理後のめっきへのクロメート被膜
処理および有機樹脂塗装後の電着塗装性の関係について
検討した。その結果、後処理液中のリン酸濃度、Ni含
有量、pH、液温などのZn−Niめっきの処理条件に
よって、有機樹脂塗装後の電着塗装性が大きく異なるこ
とがわかった。
【0017】すなわち、本発明の素材としては、鋼板の
少なくとも片面に、Zn−Niめっき処理を施し、被成
したそのZn−Niめっき皮膜に対し、H2 PO 4 -
HPO4 2- およびH3 PO4 のなかから選ばれるいずれ
か1種以上をP濃度としてZn−Ni系合金めっき鋼板
表面に、4g/l以上170g/l未満含みかつ0.1
〜50g/lのNiを含有する、pH2.0〜5.0に
調整した後処理液を接触させる、ことにより形成する。
【0018】本発明において、処理鋼板として用いるZ
n−Niめっき鋼板のNi含有率は7〜15%、より好
ましくは10〜14%とする。この理由はNi含有率が
7%未満ではZn−Niめっきに求められる耐食性が得
られないばかりか、本発明の処理液を用いても電着塗装
性が劣る場合がある。一方、Ni含有率15%を超える
とめっき密着性が不安定となり、プレス加工時などにパ
ウリングなどの問題が発生し、自動車用鋼板としての致
命的な欠点となるからである。このめっき処理は塩化物
浴あるいは硫酸浴のどちらであってもよい。本発明のZ
n−Niめっきは、Zn,Niの二元素合金めっきの他
に、Zn−Ni−Cr合金めっき等の三元素合金めっき
であってもよい。
【0019】本発明において、めっき後の後処理液はH
2 PO 4 - 、HPO4 2- およびH3PO4 のなかから選
ばれるいずれか1種以上を主成分とするリン酸系の液を
用いる。この時リン酸系の後処理液を調整するのに用い
る塩はNa+ 、K+ 、Mg2+、NH4+、Al2+などいず
れの塩であってもよく陽イオンの種類には関係ない。
【0020】本発明において、後処理液中のH2 PO 4
- 、HPO4 2- またはH3 PO4 の濃度は、P濃度換算
で4g/l以上170g/l未満、好ましくは5〜10
0g/l、より好ましくは10〜80g/lの範囲とす
る。この理由は、処理液中のP濃度が4g/l未満では
処理液によるZnのエッチング効果が小さく、後述する
有機樹脂塗装後の電着塗装性が劣るからである。一方、
処理液中のP濃度が170g/l以上であると、Znの
エッチング量が大きくなりすぎて外観ムラを引き起こす
からである。
【0021】なお、処理液の成分としては、操業におい
て不可避的に入る元素および工業用の薬剤から不可避的
に混入する元素を含むが、その量は特に限定されない。
また、後述するpH調整やNiを添加含有させる際に混
入する硫酸イオンや塩素イオン、酢酸イオンなどの量も
特に限定されない。
【0022】本発明において後処理液中のNi含有率は
0.1〜50g/l、好ましくは0.2〜20g/lと
する。この理由はNi含有率が0.1g/l未満では、
後処理液による後述する有機樹脂塗装後の電着塗装性へ
の効果が小さく、一方、Ni含有率が50g/lを超え
るとNi添加の効果が飽和してしまい、Niの置換析出
量が過剰となってめっきの色調が悪くなるばかりでな
く、添加による後処理液コストが高くなるからである。
なお、Ni源としては、処理液中でNiイオンとして解
離するものであればよく、硫酸Ni、塩酸Ni、炭酸N
i、酢酸Niなどを用いることができる。
【0023】本発明において、後処理液の温度は好まし
くは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃とする
ことが望ましい。この理由は、後処理液の温度が30℃
未満では、後処理によるめっきのエッチング効果が小さ
く、十分な効果を得るのに長時間を有し生産性が悪い。
つまり、後処理液の温度は高い方が後述する有機樹脂塗
装後の電着塗装性の改善効果が大きくなる。しかしなが
ら、後処理液の温度が70℃を超えると、Znのエッチ
ングが激しくなるのでめっきの外観ムラを生じる。その
ため、本発明では後処理液の温度は30〜70℃の範囲
にすることが望ましい。
【0024】本発明において、後処理液のpHは2.0
〜5.0、より好ましくは2.5〜4.0とする。この
理由は、後処理液のpHが2.0未満では後処理による
Znのエッチング量が大きくなりすぎる。そのため、ラ
イン速度が遅くなると処理時間が長くなって過エッチン
グとなり、めっきの変色や外観ムラが発生する場合があ
る。一方、後処理のpHが5.0を超えると、添加した
Niのほとんどが処理液中で沈殿物となり、配管などの
詰まりの原因となる。そこで、安定操業の観点よりpH
は2.0〜5.0の範囲にすることが望ましい。なお、
本発明方法において、後処理の時間は0.5秒以上であ
ればよい。
【0025】また、Zn−Niめっきに後処理液を接触
させる方法としては、浸漬処理やスプレー処理それらの
混合処理のいずれを用いてもよい。スプレー処理はノズ
ル詰まりなどの予期せぬトラブルが生じやすいので、安
定操業の観点からは浸漬処理、特にカウンターフローな
どの液攪拌を併用する浸漬処理が最も適している。
【0026】これらの後処理された亜鉛または亜鉛系合
金めっき鋼板の上に、後述の有機樹脂層との密着性を向
上させ、また耐食性を付与するためにシリカ添加クロメ
ート処理を行う。クロメート付着量としてはCr換算で
10〜200mg/m2 好ましくは20〜150mg/
2 の範囲とする。Cr付着量が10mg/m2 未満で
は耐食性が不十分であるばかりでなく、樹脂層との密着
性も劣るので好ましくない。200mg/m2 を超えて
も、これ以上の耐食性改善効果がなく、また絶縁被膜と
しての抵抗が高まり、スポット溶接性および電着塗装性
を損なうので好ましくない。
【0027】クロメート層のCr6+量は全Crに対し2
5〜70wt%でなければならない。Cr6+量が25w
t%未満であると、6価Crによる自己修復効果が望め
ず耐食性に劣る。また、Cr6+量が70wt%を超える
とアルカリ脱脂時、耐クロム溶出性が劣化するので好ま
しくない。
【0028】クロメート層へ添加するシリカは液相シリ
カ、気相シリカのどちらでも好適に使用できる。液相シ
リカとはけい酸ソーダと酸との反応により合成されるも
の、アルコキシシランの加水分解によるもの、カルシウ
ムシリケートと酸との反応により合成されるものがあ
り、シリカ粒子の表面にはシラノール基およびOH-
オンが存在し、アルカリイオンにより電気二重層が形成
され、粒子間の反発により安定化されている。気相シリ
カはハロゲン化珪素の酸水素焔中での高温加水分解によ
り合成されるもの、石英から精製される電気アーク法に
より合成されるものがあり、液相シリカと同様に表面に
はシラノール基を有する。
【0029】クロメート層に添加されるシリカとして、
一次粒子径0.005〜0.1μmの親水性気相シリカ
を用いることが好ましい。気相シリカはクロメート層中
で三次元に凝集し、クロメート層の表面積を増大させる
ことにより、上層樹脂層との密着性を強化する。一次粒
子径が0.005μm未満であるとクロメート層中で凝
集しても、表面積増大の効果がなく、一方0.1μmを
超えるとCr付着量として50〜200mg/m2 のク
ロメート層ではシリカ粒子をクロメート層中に保持でき
なくなり、造膜性が劣り、耐水二次密着性が低下するの
で好ましくない。
【0030】また、同じくクロメート層に添加されるシ
リカとして、一次粒子径0.005〜0.1μmの一次
粒子が凝集し形成する凝集平均粒子径0.1〜1.0μ
mの液相シリカも好適に使用できる。この場合も、クロ
メート層中でシリカが大きい凝集した形態となって、ク
ロメート層の表面積を増大させ、上層との密着性を強化
し、耐水二次密着性を大きく改善できる。凝集平均粒子
径が0.1μm未満であると表面積増大の効果がなく、
一方1.0μmを超えるとクロメート層あるいは樹脂層
からシリカが裸出しスポット溶接性が劣化するので好ま
しいくない。
【0031】クロメート層中のシリカ重量比はCrに対
し0.5〜3でなければならない。0.5〜2のシリカ
重量比がより好ましい。0.5未満では耐水二次密着性
が不充分であり、3を超えても、これ以上の耐水二次密
着性改善効果がなく、絶縁物であるシリカによりスポッ
ト溶接性と電着塗装性を損なうので好ましくない。
【0032】クロメート層中のりん酸重量比は全Crに
対し0.25〜2.0でなければならない。0.4〜
0.6のりん酸重量比がより好ましい。りん酸重量比は
0.25未満であると充分な亜鉛系めっきのエッチング
効果がなくめっきとの密着性に劣り、クロメート液の安
定性も劣り、有機樹脂塗装後の電着塗装性も劣る。一
方、りん酸重量比が2.0を超えると、耐クロム溶出性
に劣るクロメート層となる。
【0033】さらに、クロメート層のめっきとの密着性
を向上させるために、フッ素化合物を添加したものを好
適に使用できる。フッ素化合物は、短時間で亜鉛系めっ
き表面をエッチングし、めっき面との密着性を高める効
果、さらには有機樹脂塗装後の電着塗装性を改善する効
果を有する。フッ素化合物はCrに対する重量比とし
て、0.4以下添加されることが好ましい。フッ素化合
物とはH2 ZrF6 、H 2 TiF6 、H2 SiF6 等が
例示され好適に使用できる。フッ素化合物が0.4を超
えると亜鉛系めっきのエッチング過多をおこし、耐水二
次密着性が低下するので好ましくない。
【0034】このようなクロメート処理は、ロールコー
ターなどを用いる塗布型クロメート法、電解型クロメー
ト法、反応型クロメート法などのいずれの方法によって
もよい。
【0035】このようなクロメート層の上層には、主と
して樹脂とシリカからなる有機樹脂層を有する。樹脂と
シリカは地球環境保全の観点から水性樹脂とシリカが水
に分散された水性塗料であることが好ましいが、有機溶
剤に樹脂とシリカが分散された有機溶剤系塗料であって
も好適に使用できる。
【0036】また、本発明におけるシリカ添加上塗り樹
脂塗料には、製造の焼き付け条件に応じた架橋剤が配合
されてもよい。
【0037】以上のように配合してなる本発明の樹脂組
成物をめっき鋼板のクロメートの層の上層に被覆する方
法は、ロールコート、スプレー、シャワーコート、エア
ナイフ法などいずれであってもよく、また、乾燥のため
の加熱処理の板温としては90〜200℃、より好まし
くは100〜160℃が好適である。
【0038】シリカ含有上塗り塗料の焼き付け後の付着
量としては0.1〜3g/m2 であることが好ましい。
より好ましくは0.4〜1.5g/m2 である。0.1
g/m2 未満においては充分な耐食性が得られず、また
3g/m2 を超えると皮膜抵抗が高まりスポット溶接性
及び電着塗装性が劣化するためである。
【0039】クロメート層とその上層の有機樹脂層は、
その用途に応じて両面、あるいは片面のみの被覆であっ
てもよい。片面のみの被覆の場合は、非被覆面は、亜鉛
系めっき、亜鉛系めっきの上層にクロメート処理した
面、あるいは冷延面などである。
【0040】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。本実施例では、表1に示すようにまず、塩化物
浴あるいは硫酸浴のZn−Niめっき液を用いる電気め
っき法により各種の両面Zn−Niめっき鋼板(板厚
0.8mm)を製造した。次いで、これらめっき鋼板に
対し、表に示す各種条件に調整した後処理液を用いて、
スプレー方式または浸漬方式にて後処理を行った。その
後、脱脂後ロールコーターで各種塗布型クロメート処理
を施し、最高到達板温120℃で焼き付けた。次に種々
の水性樹脂と平均粒子径の異なる各種シリカを混合する
ことにより調整した塗料をロールコータで塗布した。そ
の後最高到達板温150℃で焼き付けた。
【0041】クロメート層に添加するシリカ種は次の通
りである。 A:親水性気相シリカ A−1:一次粒子径 0.007μm A−2:一次粒子径 0.03μm A−3:一次粒子径 0.15μm
【0042】B:液相シリカ B−1:一次粒子径0.015μm 凝集二次粒子径
0.6μm B−2:一次粒子径0.005μm 凝集二次粒子径
0.3μm B−3:一次粒子径0.015μm 凝集二次粒子径
1.5μm
【0043】クロメート層に添加するフッ素化合物の種
類は次の通りである。 A:H2 ZrF6 B:H2 TiF6 C:H2 SiF6
【0044】上層樹脂層の樹脂種は次の通りである。 A:カルボキシル基含有アニオン系ウレタン樹脂(酸価
50、重量平均分子量20000)のジエチルアミン中和物 B:カルボキシル基含有アニオン系エポキシ樹脂(酸価
45、重量平均分子量12500)のジエチルアミン中和物 C:カルボキシル基含有アニオン系ウレタン樹脂(酸価
48、重量平均分子量15000)のトリエチルアミン中和
物 D:ノニオン系アクリル樹脂(重量平均分子量 28000、
ガラス転移温度18℃) E:ノニオン系アクリル変性エポキシ樹脂(重量平均分
子量 35000、ガラス転移温度42℃) F:カルボキシル基含有アニオン系ウレタン樹脂(酸価
48、重量平均分子量7800)のトリエチルアミン中和物 G:カルボキシル基含有エポキシ変性ウレタン樹脂(酸
価60、重量平均分子量38000)のジエチルアミン中和物 H:カチオン系ウレタン樹脂(アミン価45、重量平均
分子量35000)の酢酸中和物 I:ウレタン変性エポキシ樹脂のプロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート分散体 J:エポキシ樹脂のキシレン分散体
【0045】上層樹脂層中のシリカ種は次の通りであ
る。 A:水分散液相均一シリカゾル(日産化学工業(株)
製) B:水分散液相凝集形態シリカゾル(日産化学工業
(株)製) C:水分散液相鎖状シリカゾル(日産化学工業(株)
製) D:親水性気相シリカ(日本アエロジル(株)製) E:気相シリカ(日本アエロジル(株)製) F:エチレングリコールモノnプロピルエーテル分散液
相均一シリカゾル(日産化学工業(株)製) G:エチレングリコールモノnプロピルエーテル分散液
相凝集シリカゾル(日産化学工業(株)製)
【0046】(電着塗装性)これらの有機複合被覆鋼板
製品の性能評価のために次のような試験を行った。電着
塗装性を評価するために、日本ペイント(株)製サーフ
ダインSD2500で化成処理を行い、日本ペイント製
電着塗料パワートップU−2600をZn−Niめっき
で20μm電着する条件にて処理し、160℃で10分
の焼き付けを行った。
【0047】焼き付け後の電着塗膜のガスピン状の不具
合を以下の基準で評価した。 ○:不具合なし △:不具合面積率10%未満 ×:不具合面積率10%以上50%未満 ××:不具合面積率50%以上
【0048】(耐水二次密着性)耐水二次密着性は上記
電着塗装後、日本ペイント製中塗り塗料OP−2クロを
約40μm厚みにスプレー塗装し140℃で20分の焼
き付けを行った。その後、日本ペイント製上塗り塗料O
S−30クロを約40μm厚みにスプレー塗装し140
℃で20分の焼き付けを行った。この塗装後のサンプル
を50℃の純水に10日間浸漬し、取り出してから1時
間後に2mm碁盤目クロスカット、セロテープ剥離試験
を行い、以下の評価基準に従って耐水二次密着性を調査
した。 ◎:剥離なし ○:剥離面積5%未満でかつ碁盤目の完全剥離がないこ
と。 △:剥離面積5%以上〜35%未満 ×:剥離面積35%以上
【0049】(平板耐食性)平板耐食性を評価するため
に5%NaCl水溶液噴霧(35℃)4時間、乾燥(6
0℃)2時間、湿潤環境(RH95%、50℃)2時間
を1サイクルとする複合サイクル腐食試験に供し、20
0サイクルでの試験片の赤錆発生状況を観察した。平板
耐食性の評価基準は以下に示す。 ◎:赤錆発生なし ○:赤錆発生面積率10%未満 △:赤錆発生面積率10〜20%未満 ×:赤錆発生面積率20%以上
【0050】(加工後耐食性)加工後耐食性を評価する
ため円筒絞り試験(絞り比2.0、しわ押さえ圧100
0kg)を行った試験片を5%NaCl水溶液噴霧(3
5℃)4時間、乾燥(60℃)2時間、湿潤環境(RH
95%、50℃)2時間を1サイクルとする複合サイク
ル腐食試験に供し、200サイクルでの試験片側壁の赤
錆発生状況を観察した。加工後耐食性への評価基準は以
下に示す。 ◎:赤錆発生なし ○:赤錆発生面積率10%未満 △:赤錆発生面積率10〜20%未満 ×:赤錆発生面積率20%以上
【0051】(耐クロム溶出性)耐クロム溶出性を評価
するために、脱脂、水洗、表面調整、化成処理の4工程
を行い、処理前後のクロム付着量の変化を蛍光X線分析
により測定した。 ◎:1mg/m2 未満 ○:1以上〜2mg/m2 未満 △:2以上〜4.5mg/m2 未満 ×:4.5mg/m2 以上
【0052】(スポット溶接性)スポット溶接性を評価
するために、先端6mmφのA12 3 分散銅合金製の
溶接チップを用い、加圧力200kgf,溶接電流9k
A、溶接時間0.2秒で連続溶接を行い、ナゲット径が
基準値を下回るまでの連続溶接打点数を測定した。評価
基準は以下に示す。 ◎:3000点以上 ○:2000〜3000点未満 △:1000〜2000点未満 ×:1000点未満 表にZn−Niめっき層、めっき後処理条件、クロメー
ト層、樹脂層の条件、使用したシリカの粒子径と試験結
果をまとめた。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【発明の効果】これまでに説明したように、本発明の有
機複合被覆綱板は優れた電着塗装性、耐水二次性密着
性、平板耐食性、加工後耐食性、耐クロム溶出性および
スポット溶接性を有し、自動車車体用をはじめとして、
同様の品質特性を期待される広範囲の用途に使用するこ
とができるので、工業的な価値は極めて高い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の少なくとも片面にめっき処理された
    Zn−Niめっき皮膜を、H2 PO 4 - 、HPO4 2-
    よびH3 PO4 のなかから選ばれるいずれか1種以上を
    P濃度として4g/l以上170g/l未満含みかつ
    0.1〜50g/lのNiを含有する、pH2.0〜
    5.0の後処理液に接触させて得られるZn−Niめっ
    き皮膜上に (A)Cr6+量が全Crに対して25%〜70wt% (B)シリカ重量比が全てCrに対して0.5〜3 (C)りん酸重量比が全Crに対して0.25〜2.0 (D)フッ素化合物が全Crに対して0〜0.4 (E)Cr付着量が10〜200mg/m2 であるシリカ添加クロメート被膜を有し、該クロメート
    被膜の上層に主として樹脂とシリカからなる有機樹脂層
    を有することを特徴とする電着塗装性に優れる有機複合
    被覆鋼板。
  2. 【請求項2】前記クロメート層に添加されるシリカが、
    一次粒子径0.005〜0.1μmの親水性気相シリカ
    である請求項1に記載の電着塗装性に優れる有機複合被
    覆鋼板。
  3. 【請求項3】前記クロメート層に添加されるシリカが、
    0.005〜0.1μmの一次粒子が凝集し、凝集平均
    粒子径が0.1〜1.0μmである凝集液相シリカであ
    る請求項1に記載の電着塗装性に優れる有機複合被覆鋼
    板。
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