JPH0428559B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、感熱転写材のインキ記録紙に転移し
て印像を形成する転写型の熱記録装置に使用され
る感熱転写材に関する。

前記感熱転写材の使用形態を例示すると、第１
図に示されるごとく、感熱転写材１はベースフイ
ルム４上に設けられる感熱転写性のインキ層３の
表面に記録紙２が重ね合わされてプラテンロール
６により圧力が加えられた状態でベースフイルム
４の裏面から加熱ヘツド５により熱パルスが加え
られ、前記インキ層が選択的に溶融せられて記録
紙２上に転写され、印字像７が形成される。

前記加熱ヘツドの表面温度は入力電力、入力時
間に関係しており、入力電力が小さく、入力時間
が長いときには加熱ヘツドの表面温度がベースフ
イルムの融点以上とならずにインキ層を溶融する
ことができる。しかしながら、記録のスピード化
をはかるためには入力時間を短くする必要があ
る。そのため入力時間を短くすると前記インキ層
を溶融せしめるためには大きな入力電力が必要と
なり、加熱ヘツドの表面温度はベースフイルムの
融点以上となる。その結果、前記加熱ヘツドを摺
接するベースフイルムの裏面が溶融して、加熱ヘ
ツドに融着する現象（この現象をステイツクとい
う）が生じ、感熱転写材と加熱ヘツドとの相対的
摺動が阻害されて、印像の品質が著しく低下する
という欠点があつた。

このような欠点を解消するために、シリコーン
樹脂やフツ素樹脂などの耐熱性の樹脂による層
を、ベースフイルムの裏面に設けることが提案さ
れている。

しかしこれら樹脂層を設けたものでは、加熱ヘ
ツドとの摺動により静電気が生じ易く、この静電
気によつて、加熱ヘツドの制御機器の誤動作を招
くなどの問題が時として生じていた。

本発明は、このような問題を解決することを目
的とする。

そして、この目的を達成するために、ベースフ
イルムの加熱ヘツド摺接側である裏面に、常温で
固体ないし半固体の有機塩類が、ポリビニルブチ
ラール、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢
酸酪酸セルロースおよびカルボキシメチルセルロ
ースよりなる群から選ばれた樹脂バインダー材に
て固着されてなる構成を採用たものである。

このようにすることで、前記有機塩類による滑
性および剥離性により、ベースフイルムの加熱ヘ
ツドの融着を防止しうるのみならず、帯電性を著
しく低下して静電気による加熱ヘツドの制御機器
の誤動作をなくするに至つた。

以下、図面を用いて本発明の感熱転写材を説明
する。

第２図は本発明の感熱転写材の一実施例を示す
概略断面図である。

すなわち本発明の感熱転写材１１は、第２図に
示されるごとく、感熱転写性のインキ層３、ベー
スフイルム材４および樹脂層８からなるものであ
る。かかる本発明の感熱転写材１１は第１図で示
されるごとき従来公知の印字方法に好適に使用し
うるばかりでなく、さらにその印字スピードの高
速化をも達成しうるものである。すなわち本発明
の感熱転写材１１は加熱ヘツド５とベースフイル
ム４との間に有機塩類を含有する特定の樹脂バイ
ンダー材料からなる樹脂層８が介在せられている
ために、感熱転写材１１の加熱ヘツド５に対する
滑性がいちじるしく向上され、かつ前記有機塩類
がいわば剥離剤として作用するためにステイツク
現像の発生が防止せられると共に、該有機塩類に
よつて静電気の発生が防止される。そのため本発
明においては、加熱ヘツドにほこりがたまること
がないので、印字が鮮明であり、かつプリンター
に誤動作を生じさせることがないという顕著な効
果を奏しうる。

本発明における前記樹脂層８内に含有される有
機塩類としては常温で固定ないし半固体であり、
かつHLB（親水性親油性バランス）が４以上、と
りわけ８〜12のものが、樹脂層８に滑性および剥
離性を付与すると共に、樹脂層中での混和性のう
えで好ましい。

前記有機塩類としては、たとえばステアリン酸
アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸マグネシウムなどの金属石ケン、ヘキシル
アンモニウムクロライド、スルホサリチル酸ナト
リウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウ
ム、安息香酸カリウム、アジピン酸カリウムなど
の塩類があげられる。

これらの有機塩類を含有せしめる樹脂材として
は、軟化点または融点が100℃以上、なかんづく
200℃以上の樹脂材を用いるのが好ましく、ポリ
ビニルブチラール、エチルセルロース、酢酸セル
ロース酢酸酪酸セルロースおよびカルボキシメチ
ルセルロースの群から選択使用される。これらの
樹脂は前記有機塩類をベースフイルム４に固着さ
せるためのバインダー材として用いられるもので
ある。

樹脂層８は、これらの樹脂材および有機塩類の
所定量を有機溶剤（たとえば、トルエン、エチル
アルコール、ｎ−ブタノール、メタノールなど）
または水に均一に溶解または分散せしめてベース
フイルム４上に塗布乾燥するか、あるいは用いる
樹脂のモノマーまたはオリゴマーに有機塩類を均
一に分散せしめてベースフイルム４上に塗布し、
ついで加熱処理や紫外線照射などで硬化させるな
どして形成される。

樹旨層８中の有機塩類の含有量としては、樹脂
層８の総量に対して有機塩類を0.1〜20重量％の
割合で含有せしめるのが好ましい。有機塩類の含
有量が前記範囲より大なるときは、塗布被膜強度
が不足し、加熱ヘツドの摩擦により剥落が生じ、
かすとなつてヘツドにたまり、また前記範囲より
小なるときは、ステイツク現象や静電気の発生を
有効に防止しえないために、いずれも好ましくな
い。またかかる樹脂層８は約0.3〜5μの厚さで好
適に使用される。

本発明において用いられるベースフイルム４と
しては、従来公知のベースフイルムがそのまま用
いられ、とくにその使用が制限されるものではな
く、たとえばポリエステルフイルム、ポリカーボ
ネートフイルム、トリアセチルセロルースフイル
ム、ナイロンフイルムまたはセロハンなどの厚
さ、3.5〜25μのフイルムがあげられる。また本発
明の薄膜を設ければ従来使用できなかつた低融点
のフイルムもベースフイルム４として使用でき
る。

また本発明における前記感熱転写性のインキ層
３も前記ベースフイルム４と同様に従来公知の感
熱転写性インキ層がそのまま用いられ、とくにそ
の使用が制限されるものではない。かかる熱溶融
性インキ層３は着色剤、ベヒクルなどからなる組
成物をベースフイルム４上にホツトメルトコーテ
イングするか、または該組成物を適宜の溶媒に分
散せしめた塗布液をソルベントコーテイングして
形成される約１〜20μの層である。

前記着色剤としては従来より複写紙の分野で多
用されている各種染料またはカーボンブラツクな
どの顔料がいずれも使用可能である。またベヒク
ルとしては、たとえばカルナバろう、木ろう、ミ
ツろうなどのワツクス類があげられる。

本発明の感熱転写材１１はタイプライターリボ
ン状またはラインプリンター用のごとき広巾のテ
ープ状など、任意の形状で使用できる。

以上詳細に説明したように、本発明の感熱転写
材１１はベースフイルム４の裏面に滑性にすぐれ
た樹脂層８が設けられることにより、加熱ヘツド
の表面温度が増加してもステイツク現象や静電気
を発生させることがなく、それゆえサーマルプリ
ンターなどの高速化に好適に使用しうるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の感熱転写材を用いた印字方法を
示す概略断面図、第２図は本発明の感熱転写材の
概略断面図である。 図面の主要符号、１，１１……感熱転写材、３
……熱溶融性インキ層、４……ベースフイルム、
８……樹脂層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ベースフイルムの表面に感熱転写性のインキ
   層が設けられ、前記ベースフイルムの加熱ヘツド
   摺接側である裏面に、常温で固体ないし半固体の
   有機塩類が、ポリビニルブチラール、エチルセル
   ロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロースお
   よびカルボキシメチルセルロースよりなる群から
   選ばれた樹脂バインダー材にて固着されてなる感
   熱転写材。