JPH0428429Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、不使用時には天井部に収納すること
ができる電動式昇降ベツドにおける駆動緩衝装置
に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 今日、生活様式の多様化に伴いベツドが備え付
けられる部屋が多くなつている。そしてベツドを
使用しない時には室内を広く有効に確保するた
め、天井に接近せしめて収納できるようにした所
謂電動式昇降ベツドが知られているが、そのベツ
ド架台を昇降せしめるには大きなトルクが必要と
なつて、どうしても装置全体が大型化してしまう
という問題がある。

しかも、駆動装置には電動式であれば当然モー
タを使用することになるが、モータの一般的なト
ルク特性として、第３図に示すモータトルク曲線
図の如く必要な定格トルクが得られるまでにどう
してもタイムラグがある。しかるに従来、モータ
は、始動直後からベツド架台の全荷重が加わつた
ワイヤ等の吊持体を巻取るようになつており、こ
の結果、モータは、まだ始動直後の定格トルクに
達していない不安定な低トルク段階で、静止して
いるベツド架台を急激に持ち上げることとなつ
て、大きな負荷が瞬間的に働き、過負荷状態にな
つてしまうという問題が有り、この問題を乗り越
えるためには、必要以上の大容量モータを用いた
り、始動トルクが特に大きい特殊モータを準備し
たりする必要があつた。

［問題を解決する手段］ 本考案は上記の如き実情に鑑みこれらの欠点を
一掃することができる電動式昇降ベツドにおける
駆動緩衝装置を提供することを目的として創案さ
れたものであつて、ガイドレールに案内されるベ
ツド架台を、駆動装置の駆動に伴う吊持体の巻取
り、巻戻し作動で上下昇降せしめるようにした電
動式昇降ベツドにおいて、前記吊持体のベツド架
台との連結部、またはベツド架台と該ベツド架台
の下限ストツパとのあいだに、吊持体巻取り開始
に伴うベツド架台の上昇に対して緩衝する緩衝体
を設けたことを特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、ベツド架
台を上昇させる際のモータ始動時の負荷が軽減さ
れるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。図面において、１は四辺の側板で長方形状
に形成されたベツド架台であつて、該架台１の四
隅にはアーム２が突設している。３ａ，３ｂは部
屋に立設された断面コ字状をした四本のガイドレ
ールであつて、その内の二本のガイドレール３ａ
は同一壁面に沿つて設けられているものである
が、各ガイドレール３ａ，３ｂの開口部側にはベ
ツド架台１から突出する各アーム２が上下摺動自
在に挿入されるようになつている。また、壁側ガ
イドレール３ａの下部には、巻胴４を正逆駆動す
る駆動装置５が設けられている。

さらに、ガイドレール３ａ，３ｂの上端にプー
リ６ａ、ベツド架台１の四隅にプーリ６ｂ、及び
レール３ａの下端にプーリ６ｃがそれぞれ設けら
れており、前記アーム２の先端には、ベツド架台
１を吊持する合成樹脂等の部材で表面をコーテイ
ング処理されたワイヤ７の一端が後述する緩衝体
１０を介して固定されている。そしてガイドレー
ル３ｂ側のワイヤ７は上方のプーリ６ａから架台
１に設けたプーリ６ｂを経てベツド架台１の側縁
に沿つて他側プーリ６ｂと更にガイドレール３ａ
の下方のプーリ６ｃを経て巻胴４へ、一方、他側
のワイヤ７はガイドレール３ａの上下プーリ６
ａ，６ｃを経て巻胴４へと導かれており、駆動装
置５の正逆駆動によりワイヤ７が巻胴４に巻取
り、巻戻されることによりベツド架台１は昇降す
るようになつている。

さて、本考案に係るベツド架台１の吊持体であ
るワイヤ７の先端部に取付けらる緩衝体１０につ
いて説明する。この緩衝体１０を構成する弾機１
７は円筒状シリンダケース１１に囲まれて配され
ているものである。ここで、１２はシリンダケー
ス１１内を遊嵌状に摺動するピストンであり、こ
のピストン１２の中心部にはワイヤ７の先端部が
貫通して連結部１３でピストン１２に一体的に固
定されている。そして、ピストン１２の上下移動
方向前後にはシリンダケース１１の底板１４、蓋
板１５が備えられ、この両板１４，１５でベツド
架台１の各隅に設けられるアーム２の先端内側に
一体的に組付けられるようになつている。そして
ベツド架台１が下限まで下動して使用姿勢になつ
ているとき、つまり、アーム２がガイドレール３
ａ，３ｂに設けたストツパ１６に接当した状態
で、弾機１７は最も伸長した状態か自然長状態に
なつており、この状態では、ワイヤ７のベツド架
台１を吊持することによる緊張も解除されて、こ
れによつて、ピストン１２は底板１４に接当する
状態まで下降している。そしてベツド架台１を収
納すべく駆動装置５を駆動させ、ワイヤ７を巻取
ると、まずピストン１２が上昇して弾機１７が次
第に押圧されることになり、そしてピストン１２
がＬだけ上昇して弾機１７を大きく押圧した状態
となるとベツド架台１は持ち上げられ、そして上
限位置に達するとベツド架台１は弾機１７の反発
力等の作用により上昇し、これによつて相対的に
はピストン１２がＬだけ下降した状態となつて停
止するように設定されてある。

叙述の如く構成された本考案の実施例におい
て、図示しない操作スイツチにより駆動装置５を
駆動せしめてると、巻胴４が四本のワイヤ７を同
時に、かつ均等に巻取り又は巻戻し作動をしてベ
ツド架台１が昇降することになり、そしてベツド
架台１は、アーム２がストツパ１６によつて支持
される下限位置と天井直下に収容される上限位置
とに移動して該位置にセツトされることになる。

この様に本考案においては、ベツド架台１の昇
降を電動によつて行うものであるが、下限位置に
有るベツド架台１を収納のため持ち上げるに際
し、駆動装置５を駆動させた当初は、ベツド架台
１が直ちに持ち上がること無く、ピストン１２が
弾機１７を弾圧する状態でＬだけ上昇し、しかる
後、ベツド架台１は上昇させることになる。この
結果、駆動装置５は、従来の如く静止状態の重い
ベツド架台１を急激に持ち上げることがなく、ピ
ストン１２がＬだけ上昇するあいだの時間的な余
裕ができ、そうして、押圧される弾機１７による
緩衝作用も働くことになるから、その駆動当初の
定格トルクに達していない不安定な低トルク状態
において、ベツド架台１を急激に持ち上げる大き
な負荷が働いてしまうことが無く、もつて駆動装
置５は、仮令始動トルクが小さい小形汎用のもの
であつても確実な架台１の上昇制御を行うことが
でき、駆動装置５の軽量コンパクト化に大いに寄
与できることになる。

更に、実施例においては、ベツド架台１を吊持
するワイヤ７のうち駆動装置５側ではなく、反対
側のアーム２まで配線されるワイヤ７は、架台１
を一端から他端側に通して配線されているため、
これを床や天井等に這わせてわざわざ配線する必
要が無く、従つて架台１の有効利用が計れると共
に、床等に這わせた配線をカバーする等の配慮も
不要になつて、外観的にすつきりしたものにでき
ると共に、構造の簡略化にも大いに寄与できるこ
とになる。しかも駆動装置５をベツド架台１に装
着せず、壁側に配したので、架台１は軽量化され
ることとなり、従つてモータ及び駆動装置５への
負担を軽減でき、もつて安全正を向上せしめるこ
とができるものである。

尚、本考案は前記実施例に限定されないもので
あることは勿論であつて、第４図、第５図に示す
第二、第三の実施例のようにしたものであつても
よい。ここで、第４図の第二実施例のものは、緩
衝体を、ベツド架台側のアーム２とストツパ１６
とのあいだに位置するようストツパ１６側に設け
たものであるが、このものは、ストツパ１６に屈
曲リンク１９によつて持ち上げストロークＬが規
制された構造になつており、そして、このものも
弾機１７による付勢力でモータ始動時のトルク対
策が計れるように設定されている。また、第５図
に示す第三実施例のものは、弾機１７とガスダン
パ１８とを用いて緩衝体１０を構成したものであ
るが、これら弾機１７およびガスダンパ１８は、
ベツド架台１側のアーム２に横向きに設けられて
いる。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成したも
のであるから、駆動装置を駆動させて下限に位置
するベツド架台を上昇せしめる場合、該駆動装置
の駆動開始当初、ベツド架台の上昇に対して緩衝
する緩衝体による緩衝作用が働くことになつて、
始動当初に定格トルクに達しない不安定な低トル
ク段階でベツド架台を急激に持ち上げることがな
く、従つて、モータの始動時負荷が確実に軽減さ
れ、従来のように始動トルクの大きいモータを用
いたり必要以上に大きなトルクのモータを用いた
りする必要がなくなつて、小型汎用のモータで良
いことに成り、もつて駆動装置の軽量コンパクト
が計れる許りでなく、構造の簡略化も達成でき、
さらにコストダウンにも大いに寄与できることに
なる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る電動式昇降ベツドにおける
駆動緩衝装置の一実施例を示したものであつて、
第１図はベツド架台の概略側面図、第２図は要部
側断面図、第３図はモータのトルク曲線図、第４
図は第二実施例の緩衝体が示されたストツパ部の
側面断面図、第５図は第三実施例の緩衝体が示さ
れたベツド架台部の側面断面図である。 図中、１はベツド架台、２はアーム、３ａ，３
ｂはガイドレール、５は駆動装置、７はワイヤ、
１０は緩衝体、１１はシリンダ、１２はピスト
ン、１７は弾機である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガイドレールに案内されるベツド架台を、駆動
   装置の駆動に伴う吊持体の巻取り、巻戻し作動で
   上下昇降せしめるようにした電動式昇降ベツドに
   おいて、前記吊持体のベツド架台との連結部、ま
   たはベツド架台と該ベツド架台の下限ストツパと
   のあいだに、吊持体の巻取り開始に伴うベツド架
   台の上昇に対して緩衝する緩衝体を設けたことを
   特徴とする電動式昇降ベツドにおける駆動緩衝装
   置。