JPH0427067B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は操舵輪の操舵操作によつて前輪と後輪
とを転舵できるようにした車両の操舵装置に関す
る。

本出願人は先に操舵輪の操舵操作により前輪と
ともに後輪を転舵することができる車両の操舵装
置を提供した。具体的には該操舵装置において
は、車両の高速走行中に一般的に行われる操舵輪
の小操舵角操作では後輪を前輪と同じ方向へ転舵
するように構成され、低速走行中に行われる操舵
輪の大操舵角操作では後輪を前輪とは逆方向へ転
舵し若しくは後輪の転舵角を零に戻すように構成
されている。これにより高速走行中における車両
の操縦性を向上させるとともに、低速走行中にお
いては旋回半径を減少させることができるなど操
舵輪のとりまわし操作性を向上させ若しくは前輪
のみが転舵される一般車両並みにすることができ
る。

本発明は以上の操舵輪の操舵角の大きさに応じ
て成される前輪に対する後輪の転舵作動を実現し
つつ、これを新規な機構によつて行わせることが
できるように成されたものである。

本発明の目的は、操舵輪の操舵操作によつて前
輪とともに後輪を転舵するようにした車両の操舵
装置において、前輪転舵機構のラツク軸に操舵軸
とは車両左右方向に異なつた位置で係合するピニ
オン軸に取り付けられ、水平面を回動するレバー
と、該レバーに一端が連結され、車両前後方向に
進退自在な作動部材と、該作動部材の他端と後輪
転舵用タイロツドとを連結し、作動部材の車両前
後方向への移動を後輪転舵用タイロツドの車両左
右方向への移動に変換する変換機構とからなり、
上記操舵輪を操舵操作すると行われる上記作動部
材の車両前後方向の移動により後輪を転舵させる
ことができ、車両前部と車両後部との間に延設さ
れる作動部材を後輪転舵のための荷重が軸線方向
に作用する進退部材として用いることが可能な車
両の操舵装置を提供する処にある。

以下に本発明の好適実施例を添付図面に基づい
て詳述する。

第１図はエンジン、車体フレーム等を省略し、
本発明に係る装置の構造を示した車両の全体斜視
図である。左右の前輪１，１は左右回動自在なナ
ツクルアーム２，２の車軸部２ａ，２ａで支持さ
れ、該前輪用ナツクルアーム２，２には左右の前
輪転舵用タイロツド３，３の外端部が連結され、
タイロツド３，３が車両左右方向へ移動すること
によりナツクルアーム２，２の回動によつて前輪
１，１の転舵が成される。又、左右の後輪４，４
は左右回動自在な後輪用ナツクルアーム５，５の
車軸部５ａ，５ａで支持され、該ナツクルアーム
５，５には左右の後輪転舵用タイロツド６，６の
外端部が連結され、タイロツド６，６が車両左右
方向へ移動するとナツクルアーム５，５が回動し
て後輪４，４の転舵が成される。前輪用及び後輪
用ナツクルアーム２，２，５，５はロアーアーム
７，７，８，８、緩衝器９，９，１０，１０等か
らなる懸架機構によつて車体に懸架されている。

運転者が回動操作する操舵輪１１には操舵軸１
２の上端が結合され、操舵軸１１の下部はギヤボ
ツクス１３の内部に臨んでいる。ギヤボツクス１
３の内部にはラツクアンドピニオン方式による運
動方向変換機構が組み込まれ、該変換機構によつ
て操舵輪１１を操舵操作した際の操舵軸１２の回
動がロツド１４の車両左右方向への移動に変換さ
れ、前記前輪転舵用タイロツド３，３の内端部が
ロツド１４の両端に連結されているため、操舵輪
１１によつてタイロツド３，３の車両左右方向へ
の移動がなされて前輪１，１の転舵が行われる。

以上のギヤボツクス１３、ロツド１４、タイロ
ツド２，２からなる前輪転舵機構は周知のものと
同じであり、ギヤボツクス１３をパワーシリンダ
とすることにより操舵輪１１の操舵操作を該パワ
ーシリンダの補助動力で補助しつつ行えるように
してもよい。

ギヤボツクス１３には上下方向を軸方向とする
回動軸１５が組み付けられ、該回動軸１５の下端
には水平面を回動面とするレバー１６が結合され
る。回動軸１５は上記ロツド１４の車両左右方向
への移動に伴つて回動するもので、該回動はロツ
ド１４をラツク軸、回動軸１５をこれと噛合する
ピニオン軸とすることにより成される。このた
め、操舵輪１１を回動操作すると、操舵軸１２、
ロツド１４、回動軸１５を介してレバー１６が操
舵輪１１と連動して回動する。レバー１６の回動
方向は操舵輪１１の回動操作方向によつて決ま
る。レバー１６の先端には長尺な剛体によるロツ
ド１７の前端が連結され、該ロツド１７が車両前
後方向に進退自在な作動部材である。ロツド１７
は車両前部と車両後部との間に延設され、ロツド
１７の後端はリンク１８の第１延出部１８ａの先
端に連結される。該リンク１８は第１延出部１８
ａと第２延出部１８ｂとからなる平面Ｌ字形で、
車体の一部を構成するブラケツト１９の支軸１９
ａを中心として水平面内を回動自在である。後方
へ延びる第２延出部１８ｂの先端に前記後輪転舵
用タイロツド６，６の内端部がジヨイント２０，
２０で連結され、これによりロツド１７とタイロ
ツド６，６とをリンク１８が連結する。

レバー１６の回動は作動部材としてのロツド１
７の車両前後方向への移動を惹起し、このためリ
ンク１８が支軸１９ａを中心として回動して後輪
転舵用タイロツド６，６により後輪４，４の転舵
が成される。ロツド１７は前記前輪転舵機構を構
成する前記ロツド１４に回動軸１５、レバー１６
を介して接続されており、又、リンク１８、後輪
転舵用タイロツド６，６からなる後輪転舵機構が
ロツド１７に接続されているため、該後輪転舵機
構による後輪転舵作動は前輪転舵機構による前輪
転舵作動とともに成される。後輪４，４を転舵さ
せる際、ロツド１７には軸方向の荷重が作用して
ロツド１７は操舵輪１１の操舵方向に応じて前進
或は後退する進退部材となり、このように後輪転
舵力を伝達するロツド１７を該後輪転舵力が単に
軸線方向に作用するだけの部材とすることができ
る。図面では示されていないがロツド１７をスラ
イド軸受により車体に支承し、ロツド１７の支持
を行つてもよい。

ロツド１７を操舵輪１１の回動操作に伴つて車
両前後方向に移動させる機構は第１図の実施例に
限られず、例えば操舵軸１２にレバーを操舵輪１
１と連動させて回動させるベベルギヤやウオーム
ギヤ等を組み込んだギヤボツクスを直接設け、該
レバーに作動部材及び進退部材及び進退部材とし
てのロツドを連結してもよい。又、第１図の実施
例では、ロツド１７の車両前後方向への移動を後
輪転舵用タイロツド６，６の車両左右方向への移
動に変換せしめて後輪４，４の転舵を行わせる変
換機構を平面Ｌ字形リンク１８を用いて構成した
が、該変換機構はこれに限らず任意なものでよ
い。

第２図はレバー１６、ロツド１７、リンク１８
周辺の平面図を示し、レバー１６の回転半径を
ｒ、リンク１８の第１延出部１８ａの長さをｌ、
第２延出部１８ｂの長さをＬとする。操舵輪１１
がニユートラル回動位置にある時換言すると車両
が直進走行している時は図示の通りレバー１６と
リンク１８の第１延出部１８ａとは互いに逆向き
の車両左右方向への延出姿勢となつている。ロツ
ド１７は車両前部から後部に達する長さを有し、
該長さがｌ，Ｌに比して充分長いことを考慮する
と、レバー１６が角度α゜回動した際の後輪転舵用
タイロツド６，６の車両左右方向への変位量ｘは ｘ≒ｒＬ／ｌsinα で表わされる。

第４図は縦軸をｘ、横軸をα゜としたグラフで、
このグラフによつてα゜に対するｘの変化が理解で
きる。α゜が90゜の時ｘは最大値となり、これ以降
α゜の増大につれてｘは減少してα゜が180゜の時にｘ
は零に戻り、α゜が270゜の時にｘは負の最大値とな
り、α゜が270゜を越えるとｘは正の方向へ転じる。
ｘの大きさ即ち後輪転舵角はｒ，ｌ，Ｌの値を適
宜に定めることによつて任意に設定でき、この結
果、望ましいとされる前輪転舵角に対する後輪転
舵角の比率を得られる。又、操舵輪１１の操舵角
に対するレバー１６、リンク１８の回動角の比率
を定める変速機構をギヤボツクス１３やその他の
部所に設けることにより、使用するレバー１６、
リンク１８の回動角範囲を任意に定めることがで
き、これにより操舵輪１１の小操舵角操作時には
後輪４，４を前輪１，１と同じ方向へ転舵しなが
ら操舵輪１１の大操舵角操作時には後輪４，４を
前輪１，１とは逆方向へ転舵すること、又は操舵
輪１１の小操舵角操作時には後輪４，４を前輪
１，１と同じ方向へ転舵しながら操舵輪１１の大
操舵角操作時には後輪４，４の転舵角を零かこれ
の近傍に戻すことを実現できる。

以上の前輪に対する後輪の転舵作動は操舵輪１
１を右、左のいずれに回動操作しても達成され
る。

第３図は本発明の別実施例を示す。この実施例
においても、操舵輪３１と連動する前輪転舵機構
のラツク軸に操舵軸とは車両左右方向に異なつた
位置で係合するピニオン軸に取り付けられて、水
平面を回動するレバー３６と、後輪転舵用タイロ
ツド２６，２６を作動部材３７の車両前後方向へ
の移動に伴つて車両左右方向へ移動させる変換機
構として、平面Ｌ字形リンク３８が使用されてい
る。

第３図の実施例は第１図の実施例に比して作動
部材３７が変更されている。即ち、この実施例で
は前端がレバー３６に、後端がリンク３８に夫々
連結される作動部材３７として押圧力、引張力を
ともに伝達できるプツシユプルケーブルが使用さ
れており、該ケーブル３７に作用する荷重によつ
て後輪転舵作動が成される。ケーブル３７は撓曲
性を有するため、この実施例の利点は車体に組み
付けられる車両装備機器類等を避けて作動部材３
７を迂回配設し、自由にレイアウトできる処にあ
り、湾曲させても荷重を伝達できるようにケーブ
ル３７はパイプ部材３７ａの内部に摺動自在に挿
通される。

以上の説明で明らかな如く本発明によれば、操
舵輪の小操舵角操作時には後輪を前輪と同じ方向
へ転舵し、大操舵角操作時には後輪を前輪とは逆
方向へ転舵し若しくは後輪の転舵角を零に戻すこ
とができ、従つて高速走行中における車両の操縦
性を向上させ、低速走行中における操舵輪のとり
まわし操作性を向上若しくは前輪のみが転舵され
る一般の車両並みにすることができる他、前輪転
舵機構のラツク軸に操舵軸とは車両左右方向に異
なつた位置で係合するピニオン軸に取り付けら
れ、水平面を回動するレバー、レバーに一端が連
結されて車両前後方向に進退自在な作動部材、作
動部材の他端と後輪転舵用タイロツドとを連結
し、作動部材の車両前後方向への移動を後輪転舵
用タイロツドの車両左右方向への移動に変換する
変換機構によつて達成したため、作動部材を軸線
方向に荷重が作用する進退部材として用いること
ができ、大きな強度を発揮する状態として使用で
きるようになる。

しかも本発明では、前輪転舵機構のラツク軸に
操舵軸とは車両左右方向に異なつた位置で係合す
るピニオン軸を介して、水平面を回動するレバー
を取り付ける構造であり、即ち作動部材に対して
軸線方向の荷重が作用するよう車両左右方向に動
くラツク軸から操舵軸とは車両左右方向に異なつ
た位置でレバーの回転を取り出すため、操舵輪と
前輪転舵機構との関係に影響を与えることなく、
レバーをラツク軸に対して、操舵軸の取付位置・
角度によらず、車両左右方向の任意の位置に配設
して、自由に構成することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の好適実施例を示すもので、第１
図は車両の全体斜視図、第２図はレバー、作動部
材等の周辺平面図、第３図は別実施例を示す第１
図と同様の図、第４図はレバーの回動角に対する
後輪転舵用タイロツドの車両左右方向への変位量
を示すグラフである。 尚、図面中、６，２６は後輪転舵用タイロツ
ド、１１，３１は操舵輪、１４はラツク軸、１５
はピニオン軸、１６，３６はレバー、１７は作動
部材としてのロツド、３７は作動部材としてのプ
ツシユプルケーブル、１８，３８は変換機構を構
成するリンクである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 操舵輪の操舵操作により前輪とともに後輪を
   転舵するようにした車両の操舵装置において、 前輪転舵機構のラツク軸に操舵軸とは車両左右
   方向に異なつた位置で係合するピニオン軸に取り
   付けられ、水平面を回動するレバーと、該レバー
   に一端が連結され、車両前後方向に進退自在な作
   動部材と、該作動部材の他端と後輪転舵用タイロ
   ツドとを連結し、作動部材の前後方向への移動を
   後輪転舵用タイロツドの車両左右方向への移動に
   変換する変換機構とからなることを特徴とする車
   両の操舵装置。 ２ 前記作動部材はロツドである特許請求の範囲
   第１項記載の車両の操舵装置。 ３ 前記作動部材は押圧力、引張力をともに伝達
   可能なプツシユプルケーブルである特許請求の範
   囲第１項記載の車両の操舵装置。