JPH042472B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、フロントピラー及びその周辺部を含
む、比較的大なる構造強度をもつて構成される自
動車の前部車体構造に関する。

（従来技術） ホイールエプロンレインフオースメントとフロ
ントピラーとが連結される部分を含む自動車の前
部車体構造は、衝突等により比較的大なる外力を
受ける虞れがあり、このため、構造強度が充分に
大となるように構成される必要がある。斯かる要
求を満たすべく、従来、特公昭54−14005号公報
に記載されている如く、ホイールエプロンレイン
フオースメントとフロントピラーとの結合部にガ
セツトプレート（ステイ部材）を配し、ホイール
エプロンレインフオースメントとフロントピラー
とをガゼツトプレートにより連結するようにした
ものが提案されている。しかしながら、斯かる従
来の自動車の前部車体構造にあつては、ホイール
エプロンレインフオースメントの一端部とフロン
トピラーのアウターパネルとがガセツトプレート
により単に連結されているだけであり、また、フ
ロントピラーがアウターパネルとインナーパネル
との組合せのみによる構造とされているので、充
分な構造強度が得られているとは言えなかつた。
特に、キヤビン内から良好な視界を得るため、フ
ロントピラーが細いもの、即ち、その断面寸法が
小なるものとされる場合には、このような従来の
前部車体構造によつて要求される構造強度を得る
のは困難であつた。

（発明の目的） 本発明は、斯かる点に鑑み、比較的細いフロン
トピラーが採用される場合にも、充分な構造強度
を容易に得ることができ、キヤビン等の変形が生
じにくいようにされた自動車の前部車体構造を提
供することを目的とする。

（発明の構成） 本発明に係る自動車の前部車体構造は、フロン
トピラーアウターがキヤビンサイドアウターパネ
ルと一体に形成されて設けられ、また、フロント
ピラーアウターの内側に配されて、フロントピラ
ーを補強する補強部分と、この補強部分から下方
にフロントピラーアウターの外にまで延びて、そ
こにホイールエプロンレインフオースメントを含
むレインフオースメントメンバーの一端部が結合
される支持部分とを有するフロントピラーレイン
フオースメントが、キヤビンサイドアウターパネ
ルとは別体に形成されて設けられている。

（実施例） 以下、本発明の実施例について図面を参照して
説明する。

第１図は、本発明に係る自動車の前部車体構造
の一例が適用された自動車の全体の構造を示し、
ここで、キヤビンサイドアウターパネル１０は、
フロントピラー２、ヒンジピラー３、ルーフレー
ル４、リヤクオータ５、サイドシル６の各々のア
ウター部が一枚パネルで一体形成されている。ま
た、８はカウルサイドであり、９はホイールエプ
ロンである。

第２図は、本発明に係る自動車の前部車体構造
の一例を示す。ここで、前部ピラー部１は、フロ
ントピラーアウター１１を含むキヤビンサイドア
ウターパネル１０、フロントピラーレインフオー
スメント２０、ヒンジピラーインナー３０及びフ
ロントピラーインナー４０とにより構成され、フ
ロントピラーアウター１１とフロントピラーイン
ナー４０とは閉断面構造をとり、その閉断面内に
フロントピラーレインフオースメント２０の上部
が配されている。以下、第３図及び第４図をも参
照して詳細に説明する。なお、第２図において、
矢印ａは車体前方を示し、また、この例は車体左
側を形成するものである。

一体形成されたキヤビンサイドアウターパネル
１０の一部分は、第３図にて明瞭に示される如
く、フロントピラーアウター１１とされている。
このフロトピラーアウター１１は、車体外方側に
配置され、後述する車体内方側に配置されるフロ
ントピラーインナー４０とともに、車体前部支柱
であるフロントピラー２を形成する。斯かるフロ
ントピラーアウター１１を含むキヤビンサイドア
ウターパネル１０には、帯状の接合部１２，１３
及び１４が設けられている。また、キヤビンサイ
ドアウターパネル１０の他の一部分は、ヒンジピ
ラーアウター１５とされている。

フロントピラーレインフオースメント２０は、
比較的大なる厚さを有する板体で、キヤビンサイ
ドアウターパネル１０とは別体に形成さたもの
で、第３図にも示されている如く、フロントピラ
ー２の補強を担う補強部分２１と、この補強部分
２１から下方に延長されて形成され、後述するホ
イールエプロンレインフオースメント５０を含む
レインフオースメントメンバー６０の一端部が固
着されるようになされた支持部分２２とを有して
いる。そして、フロントピラーレインフオースメ
ント２０にも帯状の接合部２３，２４及び２５が
設けられており、このフロントピラーレインフオ
ースメント２０は、フロントピラーアウター１１
及びヒンジピラーアウター１５の内側に配置され
て、その接合部２３及び２４が、夫々、キヤビン
サイドアウターパネル１０の接合部１２及び１３
に固着されている。また、フロントピラーレイン
フオースメント２０には、その下部にヒンジピラ
ー閉断面を仕切る底壁２６が一体に形成されてい
る。

ヒンジピラーインナー３０は、ヒンジピラーア
ウター１５とともに、ドアヒンジが取り付けられ
るヒンジピラー３を形成するもので、帯状の接合
部３１が設けられている。このヒンジピラーイン
ナー３０は、その上方部分がフロントピラーレイ
ンフオースメント２０の下方部分を包囲するよう
に配置され、フロントピラーレインフオースメン
ト２０の接合部２４及び２５に固着されている。
また、その接合部３１は、ヒンジピラー３の前方
部位において、キヤビンサイドアウターパネル１
０に固着されている。

フロントピラーインナー４０は、第３図に明示
される如く、帯状の接合部４１及び４２を有すも
のとされて、車体内方側に配置され、その接合部
４１及び４２が、夫々、フロントピラーレインフ
オースメント２０の接合部２３及び２４に固着さ
れ、また、その前面４３全体がフロントピラーレ
インフオースメント２０の支持部分２２の内面に
固着されている。そして、このフロントピラーイ
ンナー４０は、フロントピラーアウター１１と相
俟つて閉断面構造を有するフロントピラー２を形
成している。このように形成されたフロントピラ
ー２は、フロントピラーレインフオースメント２
０の補強部分２１により補強されており、このた
め、例えば、その断面寸法が小なるもの、即ち、
その全体が細いものとされても、充分な強度が得
られるものとされている。

以上の如くに構成された前部ピラー部１に対し
て、ホイールエプン９の上部を補強するレインフ
オースメントメンバー６０の一端部が結合されて
いる。このレインフオースメントメンバー６０は
その上部及び側部を形成するホイールエプロンレ
インフオースメント５０とダツシユアツパーパネ
ル５２とセツト５４とにより形成されて、閉断面
構造となつている。５６はカウルパネルである。
斯かるレインフオースメントメンバー６０は、第
４図に示される如く、その一端部がフロントピラ
ーレインフオースメント２０の支持部分２２に固
着されて、フロントピラーレインフオースメント
２０と結合される。なお、ホイールエプロンレイ
ンフオースメント５０に設けられた帯状の接合部
５１は、キヤビンサイドアウターパネル１０の接
合部１４に固着される。

このように、レインフオースメントメンバー６
０が、フロントピラーレインフオースメント２０
の支持部分２２に結合された状態において、例え
ば、車体前方から車体後方へ向かう方向の外力が
レインフオースメントメンバー６０に対して加え
られるときには、この外力の大部分は、厚板で形
成されて強度が大とされているフロントピラーレ
インフオースメント２０の支持部分２２に作用
し、フロントピラー２に対して直接的に作用する
外力は小とされる。また、フロントピラー２は、
フロントピラーレインフオースメント２０の補強
部分２１により補強されており、斯かる外力によ
るフロントピラー２の変形は、最小限にくい止め
られる。

（発明の効果） 以上の説明から明らかな如く、本発明に係る自
動車の前部車体構造は、フロントピラー内部に配
されてフロントピラーを補強する補強部分と、比
較的大なる面をもつて、ホイールエプロンレイン
フオースメントを含むレインフオースメントメン
バーの一端部を連結支持する支持部分とを有する
フロントピラーレインフオースメントが設けられ
たものとされるので、その全体の構造強度が著し
く増大される。特に、レインフオースメントメン
バーに対して、車体前方から車体後方に向かう方
向に作用する外力に対する構造強度が極めて大と
され、これにより、自動車の正面衝突等におけ
る、フロントピラーの変形、従つて、キヤビンの
変形等を低減することができる。また、本発明に
係る自動車の前部車体構造の構造強度は、フロン
トピラーレインフオースメント板厚を変えること
により調整できるが、斯かるフロントピラーレイ
ンフオースメントは、フロントピラーアウターを
伴うキヤビンサイドアウターパネル及びフロント
ピラーインナーとは、別体の部材として設けられ
るものであるから、比較的容易に構造強度の調整
を行うことができる。さらに、本発明に係る自動
車の前部車体構造においては、キヤビンサイドア
ウターパネルの一部がフロントピラーアウターと
されるので、キヤビンサイドアウターパネルがフ
ロントピラーの部位において、跡切れるというこ
とがなく、フロントピラーアウターを含む、キヤ
ビンサイドアウターパネルを一体成型部材として
形成することができて、製造工数の減少がはから
れる。また、ヒンジピラーの前方にスペースが形
成されるので、ここに、例えば、電装部材等を設
置することができ、好都合である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る自動車の前部車体構造の
一例が適用された自動車の全体構造を示す斜視
図、第２図は本発明に係る自動車の前部車体構造
の一例を示す斜視図、第３図は第２図に示された
例の分解斜視図、第４図は第２図に示された例に
対して、ホイールエプロンレインフオースメント
を含むレインフオースメントメンバーが取り付け
られた状態を示す斜視図である。 図中、１０はキヤビンサイドアウターパネル、
１１はフロントピラーアウター、２０はフロント
ピラーレインフオースメント、２１はフロントピ
ラーレインフオースメント２０の補強部分、２２
はフロントピラーレインフオースメント２０の支
持部分、６０はホイールエプロンレインフオース
メントである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ フロントピラー、ヒンジピラー、ルーフレー
   ル、リヤクオータ及びサイドシルからなるキヤビ
   ンサイドアウター部が一枚のキヤビンサイドアウ
   ターパネルで形成され、上記フロントピラーを形
   成するフロントピラーアウターの車体内側には、
   フロントピラーインナーがフロントピラーレイン
   フオースメントを介して接合され、該フロントピ
   ラーレインフオースメントの下部が延長されて形
   成された支持部分の下端部にヒンジピラーインナ
   ーの上端部が接合され、上記支持部分にホイール
   エプロンレインフオースメントを含むレインフオ
   ースメントメンバーの一端部が接合されているこ
   とを特徴とする自動車の前部車体構造。