JPH0424203Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、車両用シヨツクアブソーバにおけ
る防振ゴムとマウントブロツクとの接着部構造を
改良する技術に関するものである。

（従来の技術） 一般に、ストラツト型のシヨツクアブソーバに
おいて、懸架装置と、車体との連結部構造は、第
２図に示すように、ピストンロツド１の上端部に
その周方向に沿つてリング状に形成された防振ゴ
ム２がフランジ体６、保持筒体７等を介して取付
けられており、この防振ゴム２の外周を囲繞して
鋼板製のマウントブロツク３が設けれられ、防振
ゴム２の外周面とマウントブロツク３の内周面と
が互いに加硫接着されている。マウントブロツク
３は車体側固定部材４にボルト等の締結手段５に
よつて固定されており、これらの構造によつて懸
架装置に車体が載置されるように双方の構造が連
結される。

また、車体側の重量は懸架装置に対してピスト
ンロツド１の軸方向に支承されるので、通常はマ
ウントブロツク３の内周面が上方向に漸次径小と
なる円すい形状に構成されており、その中に充填
された防振ゴム２は車体側重量を支えることによ
つてマウントブロツク３内に楔状に喰い込む構造
に構成されている。

さらに、防振ゴム２とマウントブロツク３との
接着部がピストンロツド１側からの軸方向荷重作
用位置よりも径方向外方側に位置すべく、マウン
トブロツク３の上端部内径はフランジ体６の直径
よりも大径に構成されており、ここに、径方向に
対し、一定距離Ｌ離隔した構成とされている。

従つて、上記寸法差Ｌにより防振ゴム２は純せ
ん断タイプとして機能し、良好な乗り心地が確保
できると共に、マウントブロツク３が円すい形状
に構成されており、防振ゴム２が楔状に喰い込む
方式であるため、悪路等において大きく撓む場合
にあつては、防振ゴム２の所謂バネ定数が大きく
なるように機能し、操縦安定性も良好に確保でき
る利点があつた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、防振ゴム２に作用する荷重、す
なわち車体側重量および路面からの反力が常に変
動するため、防振ゴム２自体はその変動乃至振動
を吸収すべくマウントブロツク３内で弾性変形を
常時繰り返すことになる。そして、その弾性変形
の方向は、荷重の作用方向すなわちピストンロツ
ド１の軸方向である。すなわち、防振ゴム２はマ
ウントブロツク３内に喰い込むように楔状に構成
されてはいるのだが、互いの接着面はピストンロ
ツド１の軸方向にほぼ沿つて上下方向に伸びてい
るため、防振ゴム２の弾性変形によつて互いの接
着面にせん断力を生じ、特に防振ゴム２の外周面
下端部２ａがマウントブロツク３の内周面から剥
離する可能性があるという問題があつた。

そこで、この考案は上記問題点に鑑み、上記乗
り心地や操縦安定性を確保しつつ、防振ゴムの外
周面下端部がマウントブロツクの内周面側から剥
離するのを有効に防止できる車両用シヨツクアブ
ソーバの防振ゴムとマウントブロツクとの接着部
構造を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するための技術的手段は、シヨ
ツクアブソーバのピストンロツド上端部に取付け
られた防振ゴム外周面側と、車体側固定部材に連
結される上方向に径小となる円すい形状のマウン
トブロツク内周面側とが互いに接着されると共
に、その互いの接着位置が防振ゴムに対するピス
トンロツド側からの軸方向荷重作用位置よりも径
方向外方側に離隔した位置とされてなる車両用シ
ヨツクアブソーバの防振ゴムとマウントブロツク
との接着部構造において、前記マウントブロツク
はその高さ方向中途部に径方向外方へ且つ上方へ
アールを有して折り返された折り返し部を一体に
備え、防振ゴムの外周面下端部が前記折り返し部
に沿つて下方側より前記マウントブロツクに接着
されてなる点にある。

（作用） この考案によれば、防振ゴムに対するピストン
ロツド側からの軸方向荷重作用位置と、防振ゴム
とマウントブロツク側との接着位置とが前記軸方
向に対して互いにオーバーラツプしないように寸
法差を有しており、またマウントブロツクが上方
向に小径となる円すい形状とされているため、従
来同様、良好な乗り心地が確保できると共に操縦
安定性も良好に確保できる。

また防振ゴムとマウントブロツクとの接着部下
端部側においては、マウントブロツクの折り返し
部に沿つて下方側より接着されているため、防振
ゴムの外周面下端部に作用する力は、せん断方向
ではなく、むしろ圧縮方向へ作用し、ここに外周
面下端部における剥離が防止できる。さらにこの
折り返し部はアールを有して折り返されているた
め、防振ゴムの外周面下端部における亀裂発生も
防止できる。

また折り返し部によつてマウントブロツク自体
の剛性が大きくなり、強度が向上する。

（実施例） 以下にこの考案の一実施例を添付図面に従つて
説明する。

第１図は本考案に係る防振ゴムとマウントブロ
ツクとの接着部構造を示すピストンロツドの軸方
向断面図であり、従来技術を示す第２図に対応す
るものである。したがつて第２図と同様の構成に
は同一符号を付すことによつて重複する説明を省
略する。

図示するように、マウントブロツク３の高さ方
向中途部に径方向外方へ、且つ上方へアールを有
して折り返された折り返し部８が一体に備えられ
ている。また防振ゴム２の外周面下端部２ａは、
折り返し部８の内周面の形状に沿つて径方向外方
へ、且つ上方へ延設状とされ、ここに折り返し部
８位置においては、折り返し部８に沿つて下方側
よりマウントブロツク３に加硫接着された構造と
されている。

この考案の実施例は以上のように構成されてお
り、従来同様、寸法差Ｌによつて防振ゴム２は純
せん断タイプとして機能し、良好な乗り心地が確
保でき、またマウントブロツク３の円すい形状に
よつても操縦安定性が確保できる。

また防振ゴム２に、ピストンロツド１の軸方向
の荷重が作用する際、その外周面下端部２ａに作
用する力は、せん断方向ではなく、むしろ多分に
圧縮方向へ作用する。すなわち、界面部の構造を
第１図のように変形して折り返し部８を設けるこ
とにより、せん断応力に対して非常に有利な境界
を形成することができるのである。従つて、防振
ゴム２の外周面下端部２ａにおいて剥離が生じに
くくなる。さらに折り返し部８は鋭角的でなく、
アールを有して折り返された構造とされているた
め、防振ゴム２の外周面下端部２ａにおける亀裂
発生も有効に防止できる。

また、折り返し部８によつてマウントブロツク
３自体の剛性が大きくなり、ここにマウントブロ
ツク３の強度を向上させることができる。

（考案の効果） 以上のように、本考案の車両用シヨツクアブソ
ーバの防振ゴムとマウントブロツクとの接着部構
造によれば、従来と同様、良好な乗り心地および
操縦安定性を確保した状態で、防振ゴムの外周面
下端部の剥離が防止できると共にその外周面下端
部における亀裂発生も有効に防止できる。またマ
ウントブロツクの折り返し部によつてマウントブ
ロツク自体の強度向上も図れる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る防振ゴムとマウントブロ
ツクとの接着部構造を示す軸方向断面図、第２図
は従来技術の防振ゴムとマウントブロツクとの接
着部構造を示す軸方向断面図である。 １……ピストンロツド、２……防振ゴム、２ａ
……防振ゴムの外周面下端部、３……マウントブ
ロツク、４……車体側固定部材、８……折り返し
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シヨツクアブソーバのピストンロツド上端部に
   取付けられた防振ゴム外周面側と、車体側固定部
   材に連結される上方向に径小となる円すい形状の
   マウントブロツク内周面側とが互いに接着される
   と共に、その互いの接着位置が防振ゴムに対する
   ピストンロツド側からの軸方向荷重作用位置より
   も径方向外方側に離隔した位置とされてなる車両
   用シヨツクアブソーバの防振ゴムとマウントブロ
   ツクとの接着部構造において、 前記マウントブロツクはその高さ方向中途部に
   径方向外方へ且つ上方へアールを有して折り返さ
   れた折り返し部を一体に備え、防振ゴムの外周面
   下端部が前記折り返し部に沿つて下方側より前記
   マウントブロツクに接着されてなることを特徴と
   する車両用シヨツクアブソーバの防振ゴムとマウ
   ントブロツクとの接着部構造。