JPH04225922A - 大腸崩壊性ポリペプチド系経口製剤 - Google Patents

大腸崩壊性ポリペプチド系経口製剤

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JPH04225922A
JPH04225922A JP3100304A JP10030491A JPH04225922A JP H04225922 A JPH04225922 A JP H04225922A JP 3100304 A JP3100304 A JP 3100304A JP 10030491 A JP10030491 A JP 10030491A JP H04225922 A JPH04225922 A JP H04225922A
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polypeptide
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尊 藤井
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和唐 孝彦
Tsutomu Suzuki
鈴木 ▲つとむ▼
Takayuki Matsumoto
隆幸 松本
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生理学的に活性なポリペ
プチド(以下、単にポリペプチドと言う)を含む経口投
与製剤を、大腸で崩壊させるための大腸崩壊性ポリペプ
チド系経口製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】インスリンやカルシトニンなどの生理活
性ポリペプチドホルモンは胃液やペプシンおよびトリプ
シンなどの腸内プロテアーゼにより容易に分解される水
溶性の高分子化合物である。そのため、これらのポリペ
プチドが経口投与されたときには、上記のプロテアーゼ
によって分解されて消化管粘膜から安定して吸収される
ことは殆どなく、従って有効な薬理作用を期待すること
はできない。
【0003】こうしたことから、これらポリペプチドの
生理学的活性を得るためには、通常、注射薬としてのみ
調剤されている。しかしながら、とりわけ定期的、頻繁
に投与しなければならないときには、注射による投与で
は患者に多大の苦痛を強いることになるので、近年は上
記ポリペプチドについても、注射以外の投与方法の開発
に努力が注がれている。これまで鼻腔または経膣投与用
ポリペプチド製剤については様々なものが開発されてお
り、ポリペプチドの吸収促進作用を示す添加剤について
も、各種のものが提案されている。しかしながら、上記
投与形態は、その実用上の不便さがあることは否めず、
できるだけ経口投与の形態であることが望まれている。 こうしたことから、下部消化管から吸収されにくいポリ
ペプチドを吸収され易い形態にするための様々な研究が
進められ、こうした技術も幾つか見いだされている。
【0004】しかしながら、これまでの経口製剤は十二
指腸吸収を想定したものが多く、このような手法によっ
て製剤化したポリペプチド経口製剤は、最近では胃液に
不溶な種々の腸溶性コーティング剤が開発されていて、
胃内におけるポリペプチドの加水分解を避けることは一
応可能になったが、これらのコーティング剤は十二指腸
内では溶解するので、ポリペプチドも十二指腸において
は、プロテアーゼにより分解されるため、未だ十二指腸
から後の大腸で有効に吸収させる方法は見いだされてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした状況
のもとになされたものであって、その目的は、ポリペプ
チドを経口投与できるようにするための、大腸崩壊性経
口製剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得る本
発明は、ポリペプチドを含む経口投与製剤を大腸で崩壊
させるための経口製剤であって、キトサンを含有するポ
リペプチド系薬剤の賦形体、または該薬剤をキトサンで
被覆した賦形体、若しくは該薬剤をキトサンからなるカ
プセルで外包した賦形体の表面にpHが5以上の液に可
溶な重合体の被覆層を形成したことを特徴とする大腸崩
壊性ポリペプチド経口製剤である。さらに、本発明では
、キトサンに粉末セルロースおよび/またはでん粉を混
合、分散して用い製剤の大腸内微生物による崩壊を促進
させてもよい。
【0007】本発明者らは、まずポリペプチドの吸収部
位が十二指腸から後の大腸であれば、プロテアーゼによ
る影響をうけにくいのではないかとの着想のもとで、最
適な吸収部位について検討した結果、十二指腸から後の
大腸、特に結腸が最適であることを認めた。そしてこの
結果に基づき、結腸に到達した後崩壊する製剤について
、鋭意研究を重ねたところキトサンおよびキトサンと粉
末セルロースおよび/またはでん粉との複合物はアルカ
リ液には溶解せず、腸内微生物によって分解されること
により、これをポリペプチド系薬剤の内部保護剤として
使用し、胃液から保護するための外部保護剤として、p
Hが5以上の液には可溶であるが、pHが4以下である
胃液には不溶な重合体を用いてポリペプチド系賦形体を
被覆することによって、上記目的が見事に達成されるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明で用いるキトサンは、エビ、カニ等
の甲殻類から得られるキチンを、濃アルカリで処理し、
アセチル基を完全に、あるいは部分的に脱アセチル化し
たものであるが、本発明では、1重量%の酢酸水溶液に
1重量%濃度で溶解して溶液の20℃における粘度が1
00cps以下で、かつ、脱アセチル化度60モル%以
上のものを使用することが好ましい。1重量%溶液の粘
度が100cpsを超え、脱アセチル化度が60モル%
未満のキトサンを用いた場合には、酸性溶液に対する溶
解性が著しく低下し、経口薬剤賦形体の成形や被覆また
はカプセルの成形に用いる溶液の濃度を高くすることが
できないため、成形が著しく困難となる。さらに、いず
れの場合にも、キトサンの大腸内体液のpHによる溶解
性や大腸に生存する微生物や酵素による分解性が悪いた
め、薬剤の放出を可能とする賦形体の崩壊は達成されな
い。一方、脱アセチル化度98モル%を超えると、キト
サンの結晶性が高くなり、この場合も前述と同様の理由
で大腸崩壊性が著しく低下するので好ましくない。なお
、数モル%以下の低置換度のカルボキシメチル化キトサ
ン,ヒドロキシエチル化キトサン、リン酸エステル化キ
トサン、硫酸エステル化キトサン等のキトサン誘導体も
本発明のキトサンに含まれる。
【0009】本発明に用いられるセルロースは、天然セ
ルロースを機械的または化学的に粉砕して得られる粒度
が100メッシュパス、さらに好ましくは、200メッ
シュよりも細かい篩を通過する粉末セルロースが用いら
れる。この粉末セルロースは、キトサン溶液に懸濁して
も、粘度は殆ど上昇しないため、溶液の濃度を高くする
ことができるほか、賦形体の強度を向上し、大腸内微生
物による分解を促進する効果を有する。また、天然セル
ロースより非結晶領域を分解除去した後、微細化した微
結晶セルロースも使用可能であるが、経済性の点で上記
セルロースより劣る。
【0010】さらに、本発明では、でん粉をセルロース
に代えあるいはセルロースと併用して用いてもよい。で
ん粉を用いるとセルロースを用いたときと同様にキトサ
ンに混合、分散することによって大腸内微生物による崩
壊を促進することができる。本発明で用いるでん粉には
、こめでん粉、コーンスターチ、ばれいしょでん粉等を
例示することができる。
【0011】本発明のポリペプチド系薬剤の賦形体の表
面を被覆するpHが5以上の液で可溶な重合体は、該薬
剤の賦形体に耐胃液性を付与することを目的とし、従来
から腸溶性カプセルあるいは錠剤の被覆に使用されてい
る重合体を用いることができる。このような重合体とし
ては、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、メ
タクリル酸−アクリル酸エチル共重合体〔例えばオイド
ラギットS,L(登録商標)Roehm  Pharm
a社製〕等のアニオン型アクリル樹脂、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロ
オキシプロピルメチルセルロースフタレート等を例示す
ることができる。
【0012】本発明のポリペプチド系経口製剤中に含有
されるポリペプチドはあらゆるものを含み得るが、比較
的低分子量のポリペプチドであることが好ましい。この
ようなポリペプチドとしては、インスリン、アンギオテ
ンシン、バソブレシン、デスモブレシン、LH−RH(
黄体形成ホルモン放出ホルモン)、ソマトスタチン、カ
ルシトニン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、
ソマトメジン、セクレチン、h−ANP(ヒト心房性ナ
トリウム利尿ポリペプチド)、ACTH(副腎皮質刺激
ホルモン)、MSH(黒色素胞刺激ホルモン)、β−エ
ンドルフィン、ムラミルジペプチド、エンケファリン、
ニューロテンシン、ボンベシン、VIP(血管作用性腸
ペプチド)、CCK−8(コレシストキニン−8)、P
TH(副甲状腺ホルモン)、CGRP(カルシトニン遺
伝子関連ペプチド)、TRH(チロトロピン放出ホルモ
ン)、エンドセリンおよびこれらの誘導体等が挙げられ
る。
【0013】上記ポリペプチドには、天然のポリペプチ
ドのみならず、薬理学的に活性な誘導体およびこれらの
類似体も含まれる。従って、例えば本発明で対象とする
カルシトニンには、サケカルシトニン、ヒトカルシトニ
ン、ブタカルシトニン、ウナギカルシトニンおよびニワ
トリカルシトニンなどの天然に存在する生成物のみなら
ず、〔Asul,7〕−ウナギカルシトニン(エルカト
ニン)のような類似体も含まれる。
【0014】本発明の大腸崩壊経口製剤には、必要に応
じて吸収促進剤を含有することが好ましいが、このよう
な吸収促進剤としては、非イオン性界面活性剤と、中鎖
脂肪族カルボン酸若しくはそのアルカリ金属塩とを組み
合わせたものが特に好ましい。
【0015】本発明のポリペプチド系経口製剤を調製す
るに当たっては、ポリペプチドを、担体または希釈剤と
しての精製水、若しくは生理食塩水やバッファー溶液中
に溶解し、該溶液に結合剤等を添加して固形化した後各
種剤型に適合させる様に調整することにより行う。この
とき製剤の剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、顆
粒剤、細粒剤、散剤等の各種のものが含まれる。
【0016】本発明の製剤を調製するに当たっては、必
要に応じて動物性または植物性タンパク質を含有させる
ようにしてもよい。上記各タンパク質は、必須成分では
なく、ポリペプチドまたはその誘導体が微量の場合には
ポリペプチドの安定剤となる。
【0017】本発明の製剤におけるpHは、生理学的に
活性なポリペプチド、および必要に応じて添加される吸
収促進剤、動物性タンパク質、植物性タンパク質等を精
製水または生理食塩水またはバッファー溶液中に溶解し
た後、若しくはそれに先立って該溶液のpHを3〜7、
好ましくは5〜7の範囲に調節する。pHを調節するの
に用いる薬剤は、ヒトに対する毒性がなく刺激を起こす
ことのない公知の酸または塩基であればよく、その好ま
しい例としては、酢酸やクエン酸のような有機酸、およ
び炭酸水素ナトリウムや酢酸ナトリウムのような弱塩基
が挙げられる。
【0018】カプセル剤を調製するには、ペプチド系薬
剤をキトサンまたは、キトサンと粉末セルロースおよび
/またはでん粉とを含む材料で作製されたカプセル中に
封入し、pHが5以上の液に可溶な重合体で被覆すれば
よい。また錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤または散剤を調
製するには、ポリペプチド系薬剤を含有する液状調製物
およびキトサンまたはキトサンと粉末セルロースおよび
/またはでん粉とを含む材料を賦形剤、結合剤等の適当
な添加剤とともに充分に混合し、乾燥させ、必要に応じ
て滑沢剤等の他の添加剤を加え、最終の混合物を打錠機
により打錠して錠剤や丸剤にするか粉砕して散剤にした
り、或は更に顆粒剤や細粒剤に調製し、その外層をpH
が5以上の液に可溶な重合体で被覆すればよい。もう一
つの使用法としては、キトサン類を含まない薬剤成分の
みの錠剤を作製し、その表面にキトサンまたは、キトサ
ンと粉末セルロースおよび/またはでん粉とを含む材料
の被覆を施した後、更にその外層にpHが5以上の液に
可溶な重合体で被覆すればよい。
【0019】本発明において、キトサンまたはキトサン
と粉末セルロースおよび/またはでん粉並びにpHが5
以上の液に可溶な重合体の特性および外観を向上させる
ために、添加剤、着色剤、等張剤および酸化防止剤の1
種または2種以上を添加してもよい。例えば、デキスト
リン、マンニトール、シクロデキストリンおよびトラガ
カントガム等の添加剤、β−カロチン、レッドカラーN
o.2およびブルーカラーNo.1等の着色剤、塩化ナ
トリウムおよびグルコース等の等張剤、時としてアスコ
ルビン酸およびエリソルビン酸並びにそれらの塩または
エステル等の酸化防止剤を使用することができる。
【0020】以上、述べたように本発明の大腸崩壊性ポ
リペプチド経口製剤を経口投与すると、製剤は末崩壊の
まま大腸まで到達して、そこで崩壊し、ポリペプチドは
大腸の粘膜を通して有効に吸収され、その特徴的な生理
学的活性を示す。
【0021】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明する。
【実施例1】ヒトカルシトニン15mgを、2重量%ポ
リオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル〔シ
グマ社製、ノニデットP−40(登録商標)〕750μ
l、1重量%カプリン酸ナトリウム150μlおよび0
.3重量%牛血清アルブミン1500μlからなる混合
水溶液に溶解し、カルシトニン水溶液とした。次いで、
この水溶液に乳糖0.8g、ヒドロキシエチルセルロー
ス0.3g、脱アセチル化度が82モル%のキトサンを
0.35重量%の酢酸水溶液に10重量%溶解した溶液
3.8gおよび軟X線透視用マーカーとして粒度が20
0メッシュの少量の鉛粉を添加し、十分に混合してカル
シトニン製剤の原液を調整した。
【0022】この原液を造粒した後真空乾燥し、直径が
約1mmの顆粒状のカルシトニン製剤を作成した。引き
続き、これにオイドラギットL〔Roehm  Pha
rma社製(登録商標)〕5重量%及びヒマシ油1重量
%のエタノール溶液をスプレーコートし、製剤1g当た
り0.1gの耐胃液製被膜を形成させ、大腸崩壊性カル
シトニン製剤を完成させた。
【0023】こうして得られた顆粒状のカルシトニン製
剤を、カルシトニン量が1匹当たり200μgになるよ
うにラット(体重約250g)経口投与し、経時的に軟
X線透視することによって製剤の崩壊部位を調査した。 また、同時に血清中のカルシトニン濃度およびカルシウ
ム濃度の減少率を測定した。
【0024】その結果、製剤は投与後4時間で胃内を通
過し、10〜12時間後に結腸に移行したが、その間に
はほとんど崩壊は認められず、その後3〜12時間の間
に崩壊することが確認された。また、血清中のカルシト
ニン濃度およびカルシウム濃度は、表1に示すように、
いずれも12時間後に最大値を示し、上記崩壊位置の調
査結果と考え併せて、カルシトニンが大腸において最も
効率的に吸収され、同時にカルシトニンのカルシウム濃
度降下作用が発揮された事を確認した。
【0025】
【表1】               血清中のカルシトニンお
よひカルシウム濃度変化  ────────────
──────────────────────   
                         
                  投与後の時間(
hr)                      
                    ─────
─────────                
                         
     4        6      12  
─────────────────────────
─────────    血清中のカルシトニン濃度
(pg/ml)    7      13     
 24  ────────────────────
──────────────    血清中のカルシ
ウム濃度減少率(%)    0.5    4.3 
   6.2  ─────────────────
─────────────────
【0026】
【実施例2】実施例1と同様に調整したカルシトニン水
溶液に、乳糖0.5g、コーンスターチ0.8g、ヒド
ロキシプロピルセルロース0.3gおよび少量の鉛粉を
添加して製剤原液とした後、それを造粒しカルシトニン
顆粒状の製剤を作成した。次に、この顆粒状製剤に脱ア
セチル化度が86モル%のキトサンを0.8重量%の酢
酸水溶液に2重量%溶解した溶液をスプレーコートして
製剤1g当たり0.05gのキトサン被覆を施し、更に
、実施例1と同様に耐胃液性コートを行った。
【0027】こうして得られたカルシトニン製剤をラッ
トに経口投与し、その崩壊部位を調査したところ、製剤
の大半は大腸に至るまでの間では崩壊せず,大腸内にお
いてのみ崩壊した。
【0028】
【実施例3】脱アセチル化度が82モル%のキトサンを
4重量%の酢酸に12%溶解した粘稠な溶液に、カプセ
ルの形状を有する型を浸漬して、型の表面に一定膜厚の
キトサン溶液膜を形成させた後熱風乾燥することにより
、直径約4.5mm、厚み0.05〜0.1mmのキト
サンカプセルを形成した。
【0029】このカプセルに実施例2で用いたカルシト
ニン顆粒製剤を封入してカプセル製剤とした後、これを
オイドラギットL10g、ヒマシ油2gをエタノール9
0gに溶解した溶液に浸漬し、表面に約0.05mmの
厚みの耐胃液性コートを行った。また、一方で同じキト
サンカプセルに硫酸バリウム粉末を封人し、同様に耐胃
液性コートを行った。
【0030】こうして得たカルシトニンおよび硫酸バリ
ウム封入カプセルを、同時にビーグル犬(体重約12k
g)経口投与した。なお、カルシトニンの投与量は1匹
当たり360μgとした。軟X線透視によりカプセルの
崩壊部位を調べたところ、胃から小腸までの消化管内で
は崩壊せず、投与4〜6時間後に大腸に到達して崩壊す
ることが明らかになった。また、血清中のカルシトニン
濃度は、表2に示すようにカプセルに崩壊時間に対応し
、急激な増加が認められた。
【0031】
【表2】                       血清中
のカルシトニン濃度変化──────────────
──────────────────────投与後
の時間(hr)              0   
 2    4    6      8    10
カルシトニン濃度(pg/ml)  51  44  
70  286  180  47─────────
─────────────────────────
──
【0032】
【実施例4】脱アセチル化度が82モル%のキトサンを
4重量%の酢酸に12%溶解した溶液に、粒度が400
メッシュの粉末セルロースをキトサンと同重量均一に分
散させた原液から、実施例3と同様にカプセルを成形し
た。この場合、原液の濃度はキトサン単独の場合の約2
倍と高くなるため、成形性が向上した。
【0033】このカプセルに、実施例2で用いたカルシ
トニン顆粒製剤および硫酸バリウム粉末を封入してカプ
セル製剤とした後、これをオイドラギットL10g、ヒ
マシ油2gをエタノール90gに溶解した溶液に浸漬し
、表面に約0.05mmの厚みの耐胃液性コートを行っ
た。
【0034】こうして得たカプセル製剤を、絶食および
食餌状態のビーグル犬各6匹に3個ずつ経口投与し、経
時的に軟X線透視を行い、カプセル製剤の崩壊部位を調
べた。
【0035】その結果、カプセル製剤が大腸に到達する
時間は、個体によって2時間から6時間と大きく異なっ
たものの、いずれの場合も大腸までの消化管では崩壊せ
ず、すべてが大腸に滞留中に崩壊した。
【0036】
【実施例5】脱アセチル化度が82モル%のキトサン溶
液に、キトサン100重量部に対し70重量部のこめで
ん粉粒を均一に分散させた液にカプセルの型を浸漬し、
引き上げ、熱風乾燥して直径4.5mm、厚み0.05
〜0.1mmカプセルを成形し、さらに、このカプセル
を1重量%の水酸化ナトリウムの10重量%含水エチル
アルコール溶液に1時間浸漬した後よく洗浄し、キトサ
ンとこめでん粉からなるカプセルを得た。
【0037】このカプセルに実施例4と同様、カルシト
ニン顆粒製剤および硫酸バリウム粉末を封入し、耐胃液
性コートを行い、これをビーグル犬に経口投与してカプ
セルの崩壊位置を調べたところ、このカプセル製剤は大
腸までの消化管では崩壊せず、大腸においてのみ崩壊す
ることが明らかになった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  キトサンを含有する生理活性ポリペプ
    チド系薬剤の賦形体、または該薬剤をキトサンで被覆し
    た賦形体、若しくは該薬剤をキトサンからなるカプセル
    で外包した賦形体の表面にpHが5以上の液に可溶な重
    合体の被覆層を形成させたことを特徴とする大腸崩壊性
    ポリペプチド系経口製剤。
  2. 【請求項2】  キトサンと粉末セルロースおよび/ま
    たはでん粉とを含有する生理活性ポリペプチド系薬剤の
    賦形体、または該薬剤をキトサンと粉末セルロースおよ
    び/またはでん粉とを用いて被覆した賦形体、若しくは
    該薬剤をキトサンと粉末セルロースおよび/またはでん
    粉とからなるカプセルで外包した賦形体の表面にpHが
    5以上の液に可溶な重合体の被覆層を形成させたことを
    特徴とする大腸崩壊性ポリペプチド系経口製剤。
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