JP3592723B2 - 非崩壊・持続性カプセル製剤 - Google Patents
非崩壊・持続性カプセル製剤 Download PDFInfo
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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、経口投与された後、薬剤の薬理作用を胃や腸内で持続的に発揮させることのできる持続性カプセル製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キチンは、カニ,エビ,オキアミ等の甲殻類や昆虫類の外骨格の構成成分として含まれ、自然界に広く存在する天然の塩基性多糖である。N−アセチル−D−グルコサミンが直鎖に結合したキチン、およびキチンの脱アセチル化によって得られるキトサンは、長い間未利用生物資源として放置されてきた。ところが近年、毒性のないことや物理化学的性質に注目され、キチンやキトサンを有効利用する研究が活発に進められており、凝集剤,イオン交換体,酸素固定剤,頭髪化粧品原料,医用材料,食品添加物,土壌改良剤等の幅広い分野での利用が期待されている。特にキトサンは希塩酸や有機酸水溶液等にも容易溶解すること、および分子鎖を構成するグルコサミン残基が遊離の一級アミン基(−NH2)を有する高分子電解質である等の利点を有することから有望視されている。
【0003】
一方医薬品の分野においては、薬剤の体内での放出を制御しつつ(徐放溶出)、吸収を調整し、薬剤の薬理作用の持続性向上を図る経口投与製剤の技術が様々検討されている。持続性製剤の形態としては、これまで様々なものが提案されており、例えば▲1▼顆粒や錠剤の表面に半透過性被膜を形成したもの、▲2▼水溶性の媒体と、不溶性若しくは難溶性の物質とからなる連続マトリックス中に薬剤を分散させたもの、▲3▼溶解性の物質よりなる連続マトリックス中に薬剤を分散させたもの、等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれまでの持続性製剤では、その調製法が複雑であるばかりでなく、特にマトリックス製剤では使用する薬剤の物性によって製剤の機能が変動するという事態が発生し、特定の薬剤しか使用できず応用性に乏しいという欠点があった。またこれまでの技術では、持続性製剤の効果が必ずしも有効に発揮されていないという問題もあった。例えば薬剤の徐放溶出が確実に行なわれず速やかに溶出することがあり、これでは通常の製剤と同様に早期に吸収されて薬理作用の持続性が図れないばかりでなく、望ましくない副作用が発生することがある。或は薬剤が溶出せず吸収されないままに排泄され、薬剤による薬理作用が発揮されないままに終るということもある。薬剤の溶出の調整を、固形製剤の表面に施した被膜の厚みによって調整することも行なわれているが、膜厚をあまり大きくすると、フィルムコーティングの際に錠剤同士が付着し、作業時間が長くなるという好ましくない事態も発生する。本発明はこうした状況のもとになされたものであって、その目的は、キチンやキトサンを有効に利用し、最適な形態の持続性製剤を実現しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明とは、キチンおよび/またはキトサンを含有する他、結合剤、賦形剤、滑沢剤および崩壊剤の少なくとも1種を含有する基材からなり、厚みが150〜1000μmである硬カプセルに、薬剤を充填したものである点に要旨を有する非崩壊・持続性カプセル製剤である。また硬カプセルの表面に腸溶性高分子化合物からなる被膜を形成することも有効であり、このことによって経口投与された後腸内で溶出を抑制し、下部消化管で作用させる為のカプセル剤として使用できる。
【0006】
【作用】
本発明者らは、毒性のないキチンやキトサンを持続性製剤の素材に有効に利用するという観点に立脚し、最適な形態の持続性製剤について様々な角度から検討した。その結果キチンやキトサンの他、結合剤、賦形剤、滑沢剤および崩壊剤の少なくとも1種を含有する硬カプセルを作製し、このカプセルに主剤となる薬剤を充填すれば、キチンやキトサンの多孔性に由来する溶出制御能力によって、非崩壊性および持続性を有するカプセル製剤が得られることがわかった。またキチンやキトサンの物理的性質(脱アセチル化度や分子量等)や、添加剤の種類若しくは配合割合によって主剤のカプセルから放出速度を制御できるという付加的効果もあることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明で使用されるキチンは、水や一般の有機溶媒に不溶で且つ希酸や希アルカリ溶液にも不溶のものであっても、濃塩酸や濃硫酸、或は濃度が80%以上の燐酸溶液や蟻酸溶液等に溶解するものであればよく、由来生物や精製法等は限定されない。またキトサンを無水酢酸等で処理し、希塩酸に不溶性としたいわゆる再生キチンであってもよい。
【0008】
一方本発明で使用されるキトサンは、希酸溶液に溶解するキチンを脱アセチル化したものであり、脱アセチル化度が60%以上であれば由来生物,精製法および脱アセチル化法等に限定されない。
【0009】
本発明で使用する硬カプセルは、例えば下記の様にして得られる。キチンおよび/またはキトサンを溶解した溶液に、カプセル型を浸漬し、これを引き上げた後乾燥するか、または適当なアルカリ溶液に浸して酸を除去してから乾燥し、型から抜き取って所定の長さに裁断する。キチンを溶解する溶媒としては、前述した濃硫酸,濃塩酸,80%以上濃度の燐酸等が挙げられ、キトサンを溶解する溶媒としては、酢酸,乳酸,クエン酸,リンゴ酸,酒石酸等が挙げられる。またキチンやキトサンを溶媒に溶解せずに粉末状としておき、該粉末をカプセル基剤に練り込んで硬カプセルを形成することもできる。更に、キチンだけでなるカプセルを製造するに当たっては、キトサンを使用して硬カプセルを製作した後、無水酢酸等で処理してアセチル化する様にしてもよい。
【0010】
上記硬カプセルには、結合剤、賦形剤、滑沢剤および崩壊剤の少なくとも1種を含有するものであるが、これらを使用して硬カプセルを作製するには、キチンおよび/またはキトサンの溶液にこれらの添加剤を加えて練った混練物中に、前記カプセル型を浸漬すればよい。上記結合剤としては、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。賦形剤としては、乳酸、コーンスターチ、バレイショデンプン、結晶セルロース等経口製剤用素材として通常用いられているものを用いることができる。滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸塩類等が挙げられる。崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。尚これらの添加剤は、主剤を各種剤形にする際にも添加することができる。
【0011】
硬カプセルの厚みは150〜1000μm程度が適当であり、この厚みはカプセル作製時に同一面積上に塗布するカプセル基剤量によって調整できる。また硬カプセルに含有されるキチンやキトサンの量は、カプセル重量に対して少なくとも1%以上とするのが好ましく、それより少なくなるとキチンやキトサンによる徐放性効果が得られなくなる。
【0012】
硬カプセルの表面には、必要に応じて腸溶性高分子化合物からなる被膜が形成される。即ち硬カプセルは被膜を形成せずに使用して胃内で溶解させる製剤として用いることはできるが、硬カプセルの表面に上記被膜を形成することによって、硬カプセルの胃内での溶解を防止し、下部消化管に至ってから溶解する様な下部消化管放出型経口製剤として適用できる。この様な被膜の素材となる腸溶性高分子化合物としては、例えばメタクリル酸コポリマー(オイドラギットL,オイドラギットS,いずれも商品名),ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP),ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS),セルロースアセテートフタレート(CAP)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC),シェラック等が挙げられる。
【0013】
本発明で主薬として用いる薬剤については特に限定されるものではなく、下記の様に様々なものがある。この様な主薬としては、クローン病,潰瘍性大腸炎,結腸癌等の下部消化管疾患に有効とされる薬剤、例えばサラゾスルファピリジン,酢酸コルチゾン,トリアムシノロン,テガフール,フルオロウラシル等が挙げられる。またインシュリン,カルミトニン,アンギオテンシン,パソプレシン,デスモプレシン,黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH),ソマトスタチン,グルカゴン,オキシトシン,ガストリン,シクロスポリン等の様に下部消化管で吸収されて夫々の生理活性を示すポリペプチド、およびこれらの誘導体も本発明の主薬として用いることができる。上記主薬の形態としては、顆粒剤,細粒剤,散剤等様々なものを用いることができるが、各種剤形に成形する際、必要により前述した様な結合剤,賦形剤,滑沢剤,崩壊剤等を使用することもできる。
【0014】
硬カプセルに主薬が充填され、カプセル接合部を接着剤等でシールされて本発明のカプセル製剤が得られる。この様にして得られるカプセル製剤は、経口投与された後キチンやキトサンの多孔性に由来する透水性によって、薬剤の体内での溶出を持続して行なわせることができ、また溶出速度はキチンやキトサンの物理的性質,添加物等によって容易に制御することができる。以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0015】
【実施例】
実施例1
表1に示す成分のカプセル基剤を用いて、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0016】
【表1】
フナコシ薬品(株)製のキトサンを2%酢酸水溶液に溶解した後、減圧下に脱泡して得た溶液中に、直径6mmおよび6.2mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。次に10%水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、更に水に20分間浸漬して洗浄した後、40℃の乾燥機中で4時間乾燥した。引き続き、型から抜き取って裁断し、内径6mm×膜厚150μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚150μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分(主薬)としてトリアムシノロン10mgを含有する、乳糖60%,コーンスターチ37%およびヒドロキシプロピルメチルセルロース3%よりなる顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン溶液を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0017】
実施例2
表2に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0018】
【表2】
日本化薬(株)製のキトサンを用いて実施例1と同様にし、内径6mm×膜厚150μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚150μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分として酢酸コルチゾン25mgを含有する他は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン溶液を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0019】
実施例3
表3に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0020】
【表3】
協和油脂工業(株)製のキトサンを用いて実施例1と同様にし、内径6mm×膜厚150μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚150μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてテガフール50mgを含有する他は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合物にキトサン溶液を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0021】
実施例4
表4に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0022】
【表4】
フナコシ薬品(株)製のキトサンを2%酢酸水溶液に溶解した後、タルクを加えて均一に分散し、減圧下に脱泡してキトサン−タルク練合物を得、この練合物に直径6mmおよび6.2mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。次に10%水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、さらに水に30分間浸漬して洗浄した後、40℃の乾燥機内で4時間乾燥した。引き続き、型から抜き取って裁断し、内径6mm×膜厚180μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚180μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてインスリン100単位を含有する他は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン−タルク練合物を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0023】
実施例5
表5に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0024】
【表5】
日本化薬(株)製のキトサンを用いて実施例4と同様にし、内径6mm×膜厚180μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚180μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてカルミトニン20IUを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン−タルク練合物を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0025】
実施例6
表6に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0026】
【表6】
協和油脂工業(株)製のキトサンを用いて実施例4と同様にし、内径6mm×膜厚180μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚180μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてシクロスポリン100mgを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン−タルク練合物を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0027】
実施例7
表7に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0028】
【表7】
乳糖,コーンスターチ,カルボキシメチルセルロースカルシウムをヒドロキシプロピルセルロース中に加えて練合した後、エビ殻由来キトサンを加え練合し、更に酢酸を加えて練合し、減圧下に脱泡し、1%キトサン練合物を得た。これに直径6mmおよび6.4mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。引き続き60℃の乾燥機で1時間、更に40℃の乾燥機で24時間乾燥した後カプセル型より抜き取り、内径6mm×膜厚300μm の本体、および内径6.4mm ×膜厚300μm のキャップを得た。
【0029】
この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてカルミトニン20IUを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部に1%キトサン練合物で接着し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0030】
実施例8
表8に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0031】
【表8】
フナコシ薬品(株)製のキトサンを酢酸水溶液に溶解し、これにカニ殻由来キチン粉末を加えて練合し、減圧下に脱泡してキチン−キトサン練合物を得た。これに直径6mmおよび6.4mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。引き続き10%水酸化ナトリウム水溶液中に10分間浸し、さらに水に30分間浸漬して洗浄した後、40℃の乾燥機で6時間乾燥した。次にカプセル型から抜き取り、内径6mm×膜厚300μm のカプセル本体、および内径6.4mm ×膜厚300μm のキャップを得た。
【0032】
これに薬効成分としてトリアムシノロン5mgを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部をキチン−キトサン練合物で接着し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0033】
実施例9
表1に示した成分のカプセル基剤を用い、実施例1と同様にし、内径6mmおよび6.2mm ×膜厚150μm のカプセルを得た後、このカプセル1g を無水酢酸10g にメタノール10g を加えた混液に投入し、室温で2時間撹拌し、再生キチンカプセルを得た。
【0034】
このカプセルに薬効成分としてシクロスポリン50mgを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填し、シアノアクリレート系接着剤を用いてカプセル接合部を接着し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0035】
実施例10
表9に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0036】
【表9】
ナカライテスク(株)製のキチンを80%リン酸に溶解し、直径6mmおよび6.4mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。引続き水中に1時間浸漬し、更に水を取り換えて2時間浸漬してよく洗浄し、40℃の乾燥機で24時間乾燥した。次に型より抜き取り、内径6mm×膜厚350μm のカプセル本体、および内径6.4mm ×膜厚350μm のキャップを得た。これに薬効成分として酢酸コルチゾン50mgを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、シアノアクリレート系接着剤を用いてカプセル接合部を接着し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0037】
実施例11
実施例1〜8で得られたカプセル製剤を用い、オイドラギットL100g ,ヒマシ油20gおよびエタノール500g よりなる溶液を用いて流動層コーティング機でコーティングを施し、カプセル表面に膜厚50μm の腸溶性被膜を施したカプセル製剤を得た。
【0038】
実施例12
実施例1〜3で得られたカプセル製剤において、薬効成分の代りに食用色素赤色106号を用い、第11改正日本薬局方溶出試験法第1法に従い、試験液にpH6.8 の崩壊試験第2液を使用して溶出試験を行った。食用色素赤色106号の565nmにおける吸光度を測定し、溶出量を測定した。結果を図1に示すが、様々な溶出速度で溶出しているのがわかる。
【0039】
実施例13
実施例4〜7で得られたカプセル製剤において、薬効成分の代りに食用色素赤色106号を用い、実施例12と同様に溶出試験を行なった。結果を図2に示すが、様々な速度で溶出しているのがわかる。
【0040】
実施例14
実施例8〜10で得たカプセル製剤において、薬効成分の代りに食用色素赤色106号を用い、実施例12と同様に、溶出試験を行なった。結果を図3に示すが、様々な速度で溶出しているのがわかる。
【0041】
実施例15
実施例6で得られたカプセル製剤に、実施例11で示した腸溶性被膜を施し、第11改正日本薬局方の崩壊試験法により崩壊試験を行なった。その結果pH1.2 の崩壊試験第1液においては1時間経過後も腸溶性被膜の溶解やカプセルの崩壊は認められなかったが、pH6.8 の崩壊試験第2液においては10分経過後より腸溶性被膜の溶解がおこり、20分経過時にはカプセル表面の被膜は完全に溶解除去された。しかし試験開始2時間後においても内容物の溶出は進行するものの、カプセルの崩壊は全く起こらなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の非崩壊・持続性カプセル製剤は使用するキチンやキトサンの由来生物種や物理的性質により、内容物の放出速度の制御が可能な上、併用される添加剤によってより精緻な制御を行うことができる。また錠剤に比べて放出速度が遅くなる傾向があるため、特に小腸下部ないし大腸においての放出制御を容易に行え、組合わせ方により大腸のみを目標にした放出制御製剤となることができるなどの効果を有し、最適な形態の非崩壊・持続性カプセル製剤が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3で得られたカプセル製剤の溶出試験結果を示すグラフである。
【図2】実施例4〜7で得られたカプセル製剤の溶出試験結果を示すグラフである。
【図3】実施例8〜10で得られたカプセル製剤の溶出試験結果を示すグラフである。
【産業上の利用分野】
本発明は、経口投与された後、薬剤の薬理作用を胃や腸内で持続的に発揮させることのできる持続性カプセル製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キチンは、カニ,エビ,オキアミ等の甲殻類や昆虫類の外骨格の構成成分として含まれ、自然界に広く存在する天然の塩基性多糖である。N−アセチル−D−グルコサミンが直鎖に結合したキチン、およびキチンの脱アセチル化によって得られるキトサンは、長い間未利用生物資源として放置されてきた。ところが近年、毒性のないことや物理化学的性質に注目され、キチンやキトサンを有効利用する研究が活発に進められており、凝集剤,イオン交換体,酸素固定剤,頭髪化粧品原料,医用材料,食品添加物,土壌改良剤等の幅広い分野での利用が期待されている。特にキトサンは希塩酸や有機酸水溶液等にも容易溶解すること、および分子鎖を構成するグルコサミン残基が遊離の一級アミン基(−NH2)を有する高分子電解質である等の利点を有することから有望視されている。
【0003】
一方医薬品の分野においては、薬剤の体内での放出を制御しつつ(徐放溶出)、吸収を調整し、薬剤の薬理作用の持続性向上を図る経口投与製剤の技術が様々検討されている。持続性製剤の形態としては、これまで様々なものが提案されており、例えば▲1▼顆粒や錠剤の表面に半透過性被膜を形成したもの、▲2▼水溶性の媒体と、不溶性若しくは難溶性の物質とからなる連続マトリックス中に薬剤を分散させたもの、▲3▼溶解性の物質よりなる連続マトリックス中に薬剤を分散させたもの、等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれまでの持続性製剤では、その調製法が複雑であるばかりでなく、特にマトリックス製剤では使用する薬剤の物性によって製剤の機能が変動するという事態が発生し、特定の薬剤しか使用できず応用性に乏しいという欠点があった。またこれまでの技術では、持続性製剤の効果が必ずしも有効に発揮されていないという問題もあった。例えば薬剤の徐放溶出が確実に行なわれず速やかに溶出することがあり、これでは通常の製剤と同様に早期に吸収されて薬理作用の持続性が図れないばかりでなく、望ましくない副作用が発生することがある。或は薬剤が溶出せず吸収されないままに排泄され、薬剤による薬理作用が発揮されないままに終るということもある。薬剤の溶出の調整を、固形製剤の表面に施した被膜の厚みによって調整することも行なわれているが、膜厚をあまり大きくすると、フィルムコーティングの際に錠剤同士が付着し、作業時間が長くなるという好ましくない事態も発生する。本発明はこうした状況のもとになされたものであって、その目的は、キチンやキトサンを有効に利用し、最適な形態の持続性製剤を実現しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明とは、キチンおよび/またはキトサンを含有する他、結合剤、賦形剤、滑沢剤および崩壊剤の少なくとも1種を含有する基材からなり、厚みが150〜1000μmである硬カプセルに、薬剤を充填したものである点に要旨を有する非崩壊・持続性カプセル製剤である。また硬カプセルの表面に腸溶性高分子化合物からなる被膜を形成することも有効であり、このことによって経口投与された後腸内で溶出を抑制し、下部消化管で作用させる為のカプセル剤として使用できる。
【0006】
【作用】
本発明者らは、毒性のないキチンやキトサンを持続性製剤の素材に有効に利用するという観点に立脚し、最適な形態の持続性製剤について様々な角度から検討した。その結果キチンやキトサンの他、結合剤、賦形剤、滑沢剤および崩壊剤の少なくとも1種を含有する硬カプセルを作製し、このカプセルに主剤となる薬剤を充填すれば、キチンやキトサンの多孔性に由来する溶出制御能力によって、非崩壊性および持続性を有するカプセル製剤が得られることがわかった。またキチンやキトサンの物理的性質(脱アセチル化度や分子量等)や、添加剤の種類若しくは配合割合によって主剤のカプセルから放出速度を制御できるという付加的効果もあることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明で使用されるキチンは、水や一般の有機溶媒に不溶で且つ希酸や希アルカリ溶液にも不溶のものであっても、濃塩酸や濃硫酸、或は濃度が80%以上の燐酸溶液や蟻酸溶液等に溶解するものであればよく、由来生物や精製法等は限定されない。またキトサンを無水酢酸等で処理し、希塩酸に不溶性としたいわゆる再生キチンであってもよい。
【0008】
一方本発明で使用されるキトサンは、希酸溶液に溶解するキチンを脱アセチル化したものであり、脱アセチル化度が60%以上であれば由来生物,精製法および脱アセチル化法等に限定されない。
【0009】
本発明で使用する硬カプセルは、例えば下記の様にして得られる。キチンおよび/またはキトサンを溶解した溶液に、カプセル型を浸漬し、これを引き上げた後乾燥するか、または適当なアルカリ溶液に浸して酸を除去してから乾燥し、型から抜き取って所定の長さに裁断する。キチンを溶解する溶媒としては、前述した濃硫酸,濃塩酸,80%以上濃度の燐酸等が挙げられ、キトサンを溶解する溶媒としては、酢酸,乳酸,クエン酸,リンゴ酸,酒石酸等が挙げられる。またキチンやキトサンを溶媒に溶解せずに粉末状としておき、該粉末をカプセル基剤に練り込んで硬カプセルを形成することもできる。更に、キチンだけでなるカプセルを製造するに当たっては、キトサンを使用して硬カプセルを製作した後、無水酢酸等で処理してアセチル化する様にしてもよい。
【0010】
上記硬カプセルには、結合剤、賦形剤、滑沢剤および崩壊剤の少なくとも1種を含有するものであるが、これらを使用して硬カプセルを作製するには、キチンおよび/またはキトサンの溶液にこれらの添加剤を加えて練った混練物中に、前記カプセル型を浸漬すればよい。上記結合剤としては、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。賦形剤としては、乳酸、コーンスターチ、バレイショデンプン、結晶セルロース等経口製剤用素材として通常用いられているものを用いることができる。滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸塩類等が挙げられる。崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。尚これらの添加剤は、主剤を各種剤形にする際にも添加することができる。
【0011】
硬カプセルの厚みは150〜1000μm程度が適当であり、この厚みはカプセル作製時に同一面積上に塗布するカプセル基剤量によって調整できる。また硬カプセルに含有されるキチンやキトサンの量は、カプセル重量に対して少なくとも1%以上とするのが好ましく、それより少なくなるとキチンやキトサンによる徐放性効果が得られなくなる。
【0012】
硬カプセルの表面には、必要に応じて腸溶性高分子化合物からなる被膜が形成される。即ち硬カプセルは被膜を形成せずに使用して胃内で溶解させる製剤として用いることはできるが、硬カプセルの表面に上記被膜を形成することによって、硬カプセルの胃内での溶解を防止し、下部消化管に至ってから溶解する様な下部消化管放出型経口製剤として適用できる。この様な被膜の素材となる腸溶性高分子化合物としては、例えばメタクリル酸コポリマー(オイドラギットL,オイドラギットS,いずれも商品名),ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP),ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS),セルロースアセテートフタレート(CAP)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC),シェラック等が挙げられる。
【0013】
本発明で主薬として用いる薬剤については特に限定されるものではなく、下記の様に様々なものがある。この様な主薬としては、クローン病,潰瘍性大腸炎,結腸癌等の下部消化管疾患に有効とされる薬剤、例えばサラゾスルファピリジン,酢酸コルチゾン,トリアムシノロン,テガフール,フルオロウラシル等が挙げられる。またインシュリン,カルミトニン,アンギオテンシン,パソプレシン,デスモプレシン,黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH),ソマトスタチン,グルカゴン,オキシトシン,ガストリン,シクロスポリン等の様に下部消化管で吸収されて夫々の生理活性を示すポリペプチド、およびこれらの誘導体も本発明の主薬として用いることができる。上記主薬の形態としては、顆粒剤,細粒剤,散剤等様々なものを用いることができるが、各種剤形に成形する際、必要により前述した様な結合剤,賦形剤,滑沢剤,崩壊剤等を使用することもできる。
【0014】
硬カプセルに主薬が充填され、カプセル接合部を接着剤等でシールされて本発明のカプセル製剤が得られる。この様にして得られるカプセル製剤は、経口投与された後キチンやキトサンの多孔性に由来する透水性によって、薬剤の体内での溶出を持続して行なわせることができ、また溶出速度はキチンやキトサンの物理的性質,添加物等によって容易に制御することができる。以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0015】
【実施例】
実施例1
表1に示す成分のカプセル基剤を用いて、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0016】
【表1】
フナコシ薬品(株)製のキトサンを2%酢酸水溶液に溶解した後、減圧下に脱泡して得た溶液中に、直径6mmおよび6.2mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。次に10%水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、更に水に20分間浸漬して洗浄した後、40℃の乾燥機中で4時間乾燥した。引き続き、型から抜き取って裁断し、内径6mm×膜厚150μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚150μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分(主薬)としてトリアムシノロン10mgを含有する、乳糖60%,コーンスターチ37%およびヒドロキシプロピルメチルセルロース3%よりなる顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン溶液を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0017】
実施例2
表2に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0018】
【表2】
日本化薬(株)製のキトサンを用いて実施例1と同様にし、内径6mm×膜厚150μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚150μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分として酢酸コルチゾン25mgを含有する他は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン溶液を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0019】
実施例3
表3に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0020】
【表3】
協和油脂工業(株)製のキトサンを用いて実施例1と同様にし、内径6mm×膜厚150μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚150μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてテガフール50mgを含有する他は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合物にキトサン溶液を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0021】
実施例4
表4に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0022】
【表4】
フナコシ薬品(株)製のキトサンを2%酢酸水溶液に溶解した後、タルクを加えて均一に分散し、減圧下に脱泡してキトサン−タルク練合物を得、この練合物に直径6mmおよび6.2mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。次に10%水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、さらに水に30分間浸漬して洗浄した後、40℃の乾燥機内で4時間乾燥した。引き続き、型から抜き取って裁断し、内径6mm×膜厚180μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚180μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてインスリン100単位を含有する他は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン−タルク練合物を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0023】
実施例5
表5に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0024】
【表5】
日本化薬(株)製のキトサンを用いて実施例4と同様にし、内径6mm×膜厚180μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚180μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてカルミトニン20IUを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン−タルク練合物を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0025】
実施例6
表6に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0026】
【表6】
協和油脂工業(株)製のキトサンを用いて実施例4と同様にし、内径6mm×膜厚180μm のカプセル本体、および内径6.2mm ×膜厚180μm のキャップを得た。この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてシクロスポリン100mgを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部にキトサン−タルク練合物を塗布した後乾燥し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0027】
実施例7
表7に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0028】
【表7】
乳糖,コーンスターチ,カルボキシメチルセルロースカルシウムをヒドロキシプロピルセルロース中に加えて練合した後、エビ殻由来キトサンを加え練合し、更に酢酸を加えて練合し、減圧下に脱泡し、1%キトサン練合物を得た。これに直径6mmおよび6.4mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。引き続き60℃の乾燥機で1時間、更に40℃の乾燥機で24時間乾燥した後カプセル型より抜き取り、内径6mm×膜厚300μm の本体、および内径6.4mm ×膜厚300μm のキャップを得た。
【0029】
この様にして得られた硬カプセルに、薬効成分としてカルミトニン20IUを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部に1%キトサン練合物で接着し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0030】
実施例8
表8に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0031】
【表8】
フナコシ薬品(株)製のキトサンを酢酸水溶液に溶解し、これにカニ殻由来キチン粉末を加えて練合し、減圧下に脱泡してキチン−キトサン練合物を得た。これに直径6mmおよび6.4mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。引き続き10%水酸化ナトリウム水溶液中に10分間浸し、さらに水に30分間浸漬して洗浄した後、40℃の乾燥機で6時間乾燥した。次にカプセル型から抜き取り、内径6mm×膜厚300μm のカプセル本体、および内径6.4mm ×膜厚300μm のキャップを得た。
【0032】
これに薬効成分としてトリアムシノロン5mgを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、カプセル接合部をキチン−キトサン練合物で接着し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0033】
実施例9
表1に示した成分のカプセル基剤を用い、実施例1と同様にし、内径6mmおよび6.2mm ×膜厚150μm のカプセルを得た後、このカプセル1g を無水酢酸10g にメタノール10g を加えた混液に投入し、室温で2時間撹拌し、再生キチンカプセルを得た。
【0034】
このカプセルに薬効成分としてシクロスポリン50mgを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填し、シアノアクリレート系接着剤を用いてカプセル接合部を接着し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0035】
実施例10
表9に示す成分のカプセル基剤を用い、下記の手順に従って本発明のカプセル製剤を作製した。
【0036】
【表9】
ナカライテスク(株)製のキチンを80%リン酸に溶解し、直径6mmおよび6.4mm のカプセル型を浸漬して引き上げた。引続き水中に1時間浸漬し、更に水を取り換えて2時間浸漬してよく洗浄し、40℃の乾燥機で24時間乾燥した。次に型より抜き取り、内径6mm×膜厚350μm のカプセル本体、および内径6.4mm ×膜厚350μm のキャップを得た。これに薬効成分として酢酸コルチゾン50mgを含有する以外は実施例1と同様の組成の顆粒剤を充填した後、シアノアクリレート系接着剤を用いてカプセル接合部を接着し、本発明のカプセル製剤を得た。
【0037】
実施例11
実施例1〜8で得られたカプセル製剤を用い、オイドラギットL100g ,ヒマシ油20gおよびエタノール500g よりなる溶液を用いて流動層コーティング機でコーティングを施し、カプセル表面に膜厚50μm の腸溶性被膜を施したカプセル製剤を得た。
【0038】
実施例12
実施例1〜3で得られたカプセル製剤において、薬効成分の代りに食用色素赤色106号を用い、第11改正日本薬局方溶出試験法第1法に従い、試験液にpH6.8 の崩壊試験第2液を使用して溶出試験を行った。食用色素赤色106号の565nmにおける吸光度を測定し、溶出量を測定した。結果を図1に示すが、様々な溶出速度で溶出しているのがわかる。
【0039】
実施例13
実施例4〜7で得られたカプセル製剤において、薬効成分の代りに食用色素赤色106号を用い、実施例12と同様に溶出試験を行なった。結果を図2に示すが、様々な速度で溶出しているのがわかる。
【0040】
実施例14
実施例8〜10で得たカプセル製剤において、薬効成分の代りに食用色素赤色106号を用い、実施例12と同様に、溶出試験を行なった。結果を図3に示すが、様々な速度で溶出しているのがわかる。
【0041】
実施例15
実施例6で得られたカプセル製剤に、実施例11で示した腸溶性被膜を施し、第11改正日本薬局方の崩壊試験法により崩壊試験を行なった。その結果pH1.2 の崩壊試験第1液においては1時間経過後も腸溶性被膜の溶解やカプセルの崩壊は認められなかったが、pH6.8 の崩壊試験第2液においては10分経過後より腸溶性被膜の溶解がおこり、20分経過時にはカプセル表面の被膜は完全に溶解除去された。しかし試験開始2時間後においても内容物の溶出は進行するものの、カプセルの崩壊は全く起こらなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の非崩壊・持続性カプセル製剤は使用するキチンやキトサンの由来生物種や物理的性質により、内容物の放出速度の制御が可能な上、併用される添加剤によってより精緻な制御を行うことができる。また錠剤に比べて放出速度が遅くなる傾向があるため、特に小腸下部ないし大腸においての放出制御を容易に行え、組合わせ方により大腸のみを目標にした放出制御製剤となることができるなどの効果を有し、最適な形態の非崩壊・持続性カプセル製剤が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3で得られたカプセル製剤の溶出試験結果を示すグラフである。
【図2】実施例4〜7で得られたカプセル製剤の溶出試験結果を示すグラフである。
【図3】実施例8〜10で得られたカプセル製剤の溶出試験結果を示すグラフである。
Claims (2)
- キチンおよび/またはキトサンを含有する他、結合剤、賦形剤、滑沢剤および崩壊剤の少なくとも1種を含有する基材からなり、厚みが150〜1000μmである硬カプセルに、薬剤を充填したものであることを特徴とする非崩壊・持続性カプセル製剤。
- 硬カプセルの表面に、腸溶性高分子化合物からなる被膜を形成したものである請求項1に記載の非崩壊・持続性カプセル製剤。
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