JP2011105654A - 大腸ドラッグデリバリーシステム製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】大腸到達前に薬物が製剤から溶出することを抑制することができ、かつ、大腸で崩壊させることができる大腸ドラッグデリバリーシステム製剤の提供。
【解決手段】薬物と添加剤とを含有する薬物含有固形体を含み、前記薬物含有固形体の表面に、キトサン含有層と、腸溶性基材含有層とを、この順に被覆してなり、前記添加剤が、水不溶性成分を含有する大腸ドラッグデリバリーシステム製剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、薬物含有固形体の表面に、キトサン含有層と、腸溶性基材含有層とを被覆してなる大腸ドラッグデリバリーシステム製剤に関する。
キトサンは、大腸内にて特異的に分解するため、大腸ドラッグデリバリーシステム製剤に用いられている(例えば、特許文献1〜2参照)。具体的には、薬物や添加剤を含有する粉体を造粒した顆粒や、それらを打錠した錠剤を成形し、続いて顆粒や錠剤の表面にキトサンコーティング溶液にてキトサンコーティング層を形成し、更に、キトサンコーティング層表面に腸溶性コーティング層を形成して製剤とするものである。
従来の大腸ドラッグデリバリーシステム製剤では、小腸内で最外層の腸溶性皮膜が溶解した後、大腸に到達する前に、キトサンコーティング層が残っているにもかかわらず、薬物がキトサンコーティング層を通って溶出したり、水分がキトサンコーティング層内に過剰に浸入して薬物含有固形体が膨潤し、最終的に大腸に到達する前に崩壊したりしてしまう場合があるという問題がある。この問題は、特に、親水性で低分子量の薬剤において顕著である。
これは、キトサンコーティング層の微細な孔を経由して水分が薬剤含有固形体に浸入し、これにより、前記固形体内の乳糖等の水溶解性成分が溶解し、その溶液が製剤内部と製剤外部との濃度勾配により製剤外部に流出してしまうためと考えられる。この現象は、製剤内外の濃度勾配がある限り継続し、この溶出の流れに乗って薬剤も溶出してしまうものと考えられる。また、水分の浸入が継続すると、薬剤含有固形体が吸水により膨潤して、キトサンコーティング層が破壊され小腸内で崩壊してしまう場合もある。
これまでに、上記の問題を解決するため、各種の検討がなされており、例えば、キトサンコーティング層に水不溶性の成分を含有させたり(例えば、特許文献3〜4参照)、薬物含有固形体とキトサンコーティング層との間に水不溶性のアンダーコーティング層を設けたり(例えば、特許文献5参照)、キトサンコーティング層の厚みを厚くしたりして水分の浸入を防ぐ試みがなされてきた。
しかしながら、キトサンコーティング層に水不溶性の成分を含有させた場合、キトサンコーティング層自体はより疎水性となるものの、大腸内でキトサンコーティング層が溶解せず、崩壊性が阻害されてしまうという問題がある。
また、薬物含有固形体とキトサンコーティング層との間に水不溶性のアンダーコーティング層を設けた場合、薬物含有固形体への水分の浸入を防ぐことはできるが、大腸内でキトサンコーティング層が溶解した後、薬物含有固形体上に水不溶性のアンダーコーティング層が存在しているため、大腸内で崩壊せずに薬物が放出されないという問題がある。また、アンダーコーティング層を薄くして大腸内である程度溶解させる場合でも、アンダーコーティング工程を設ける必要があり、製造面でも1工程増えてしまうという問題が生じる。
また、キトサンコーティング層の厚みを厚くした場合、コストや生産性の面で現実的ではないという問題がある。
したがって、大腸到達前に薬物が製剤から溶出することを抑制することができ、かつ、大腸で崩壊させることができる大腸ドラッグデリバリーシステム製剤の開発が強く求められているのが現状である。
特公平08−013748号公報 国際公開第2008/075448号 特許第3282832号公報 特開平10−324642号公報 特許第2773959号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、大腸到達前に薬物が製剤から溶出することを抑制することができ、かつ、大腸で崩壊させることができる大腸ドラッグデリバリーシステム製剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、大腸ドラッグデリバリーシステム製剤が、薬物含有固形体の表面に、キトサン含有層と、腸溶性基材含有層とを、この順に被覆してなり、前記薬物含有固形体に含まれる添加剤が、水不溶性成分を含有することにより、小腸でのキトサン含有層の水透過による製剤の膨潤を抑制し、薄いキトサン含有層でも小腸で製剤が崩壊せず、また、小腸での薬物の溶出を抑えることができるという知見である。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 薬物と添加剤とを含有する薬物含有固形体を含み、
前記薬物含有固形体の表面に、キトサン含有層と、腸溶性基材含有層とを、この順に被覆してなり、
前記添加剤が、水不溶性成分を含有することを特徴とする大腸ドラッグデリバリーシステム製剤である。
<2> 日本薬局方崩壊試験法における崩壊試験第1液ついで崩壊試験第2液処理前後の製剤の吸水率が、100質量%以下である前記<1>に記載の大腸ドラッグデリバリーシステム製剤である。
<3> 日本薬局方崩壊試験法における崩壊試験第1液ついで崩壊試験第2液処理前後の製剤の吸水率が、50質量%以下である前記<1>に記載の大腸ドラッグデリバリーシステム製剤である。
<4> 水不溶性成分が、20℃の水への溶解性が1g/10,000mL以下であり、
薬物含有固形体における前記水不溶成分の含有量が、10質量%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の大腸ドラッグデリバリーシステム製剤である。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、大腸到達前に薬物が製剤から溶出することを抑制することができ、かつ、大腸で崩壊させることができる大腸ドラッグデリバリーシステム製剤を提供することができる。
図1は、試験例1の崩壊試験後の製剤の側面から見た錠剤1−1−Cの様子を示す図である。 図2は、試験例1の崩壊試験後の製剤の側面から見た錠剤1−3−Cの様子を示す図である。 図3Aは、試験例2の溶出試験における薬物としてエテンザミドを用いた錠剤2−1−A、2−2−A、2−3−A、2−4−A、及び2−5−Aの結果を表すグラフである。 図3Bは、試験例2の溶出試験における薬物としてエテンザミドを用いた錠剤2−1−B、2−2−B、2−3−B、2−4−B、及び2−5−Bの結果を表すグラフである。 図3Cは、試験例2の溶出試験における薬物としてエテンザミドを用いた錠剤2−1−C、2−2−C、2−3−C、2−4−C、及び2−5−Cの結果を表すグラフである。 図4Aは、試験例2の溶出試験における薬物としてアセトアミノフェンを用いた錠剤2−6−A、2−7−A、2−8−A、及び2−9−Aの結果を表すグラフである。 図4Bは、試験例2の溶出試験における薬物としてアセトアミノフェンを用いた錠剤2−6−B、2−7−B、2−8−B、及び2−9−Bの結果を表すグラフである。 図4Cは、試験例2の溶出試験における薬物としてアセトアミノフェンを用いた錠剤2−6−C、2−7−C、2−8−C、及び2−9−Cの結果を表すグラフである。 図5は、試験例2の溶出試験における薬物としてエテンザミドを用いた錠剤2−3−A、2−3−B、2−3−C、2−5−A、2−5−B、及び2−5−Cの結果を表すグラフである。 図6は、試験例2の溶出試験における薬物としてアセトアミノフェンを用いた錠剤2−7−A、2−7−B、2−7−C、2−9−A、2−9−B、及び2−9−Cの結果を表すグラフである。
(大腸ドラッグデリバリーシステム製剤)
本発明の大腸ドラッグデリバリーシステム製剤は、少なくとも、薬物含有固形体を含み、前記薬物含有固形体の表面に、キトサン含有層と、腸溶性基材含有層とを、この順に被覆してなる。
前記大腸ドラッグデリバリーシステム製剤の、日本薬局方崩壊試験法における崩壊試験第1液ついで崩壊試験第2液処理前後の製剤の吸水率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
前記吸水率が100質量%を超えると、吸水による薬物含有固形体の膨張が著しく、キトサン含有層の厚みが充分でない場合にキトサン含有層が崩壊する恐れがある。一方、前記吸水率が50質量%以下であると、薬物含有固形体の膨張も抑えられ、これにより必要なコーティング量が低減できるため、コーティング時間を短縮できる点で、有利である。
前記吸水率は、試験前の製剤の質量と、日本薬局方崩壊試験法における、崩壊試験第1液処理、次いで崩壊試験第2液による処理後の製剤の質量を測定し、下記式(1)により求めることができる。ここでいう吸水率には、腸溶性基剤や水溶解性成分の溶解による減少分も数値に含まれる。
<薬物含有固形体>
前記薬物含有固形体は、少なくとも薬物と、添加剤とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記薬物含有固形体は、添加剤として、少なくとも水不溶性成分を含有する。
ここで、前記水不溶性成分とは、20℃の水への溶解性が「1g/10,000mL以下」であるものをいう。
前記薬物含有固形体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顆粒、錠剤、などが挙げられる。
−薬物−
前記薬物としては、生理活性があり大腸内で吸収が可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インスリンやカルシトニンなどの胃液や腸内プロテアーゼにより容易に分解される生理活性ポリペプチドホルモン、過敏性大腸炎に有効な5-アミノサリチル酸などの抗炎症薬、セファマイシンなどのセファ系抗生物質、などが挙げられる。
−添加剤−
前記添加剤は、少なくとも水不溶性成分を含有する。
前記添加剤としては、各種固形製剤に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記添加剤の具体例としては、糖、糖アルコール、高分子化合物、無機化合物、ワックス、炭素数10以上の有機酸の金属塩、などが挙げられる。
前記糖としては、例えば、蔗糖、乳糖、などが挙げられる。
前記糖アルコールとしては、例えば、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、などが挙げられる。
前記高分子化合物としては、例えば、セルロース誘導体、デンプン類、合成高分子、などが挙げられる。
前記セルロース誘導体としては、例えば、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、エチルセルロース、などが挙げられる。
前記デンプン類としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプンなどのほか、カルボキシメチルスターチナトリウムなどの誘導体、などが挙げられる。
前記合成高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポビドン、などが挙げられる。
前記無機化合物としては、例えば、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、タルク、などが挙げられる。
前記ワックスとしては、例えば、硬化ヒマシ油、硬化ナタネ油、硬化大豆油、硬化綿実油、などが挙げられる。
前記炭素数10以上の有機酸の金属塩における炭素数10以上の有機酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、などが挙げられる。
前記炭素数10以上の有機酸の金属塩における金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、などが挙げられる。
前記添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−水不溶性成分−−
前記添加剤に水不溶性成分を含有させることにより、小腸内で腸溶性基材含有層が溶解した後に、キトサン含有層の微孔を通って薬物含有固形体へ水分が浸入しても、水に溶解する成分が少ないため、薬物含有固形体が過剰に吸水・膨潤することがなく、濃度勾配による製剤内から製剤外への溶出の流れが低減され、薄いキトサン含有層でも、大腸到達前の崩壊の抑制、及び、低分子量の薬物であっても小腸での溶出を抑制することができる。
前記水不溶性成分としては、水に溶解しなければ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高分子化合物、無機化合物、ワックス、炭素数10以上の有機酸の金属塩、などが挙げられる。前記水不溶性成分は、ある程度水を吸水し、膨潤する成分であってもよい。
前記水不溶性成分は、水に溶解しないので、濃度勾配による製剤内から製剤外への溶出の流れが増長されない。そのため、たとえ水不溶性成分が吸水して膨張したとしても、薬物が製剤外へ溶出することはなく、また、水不溶性成分の膨張もキトサン含有層を破壊する前には飽和してしまうので、製剤が崩壊してしまうことがない。
前記水不溶性成分は、高分子化合物、及び無機化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましく、更にワックス、及び炭素数10以上の有機酸の金属塩を含有することがより好ましい。
前記高分子化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃の水への溶解性が1g/10,000mL以下の高分子化合物としては、例えば、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン、クロスポビドン、などが挙げられる。
前記高分子化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記高分子化合物の中でも、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン、クロスポビドンが、大腸に送達した際に薬物含有固形体の崩壊を促進させる効果がある点で、好ましい。
前記無機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃の水への溶解性が1g/10,000mL以下の無機化合物としては、例えば、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、などが挙げられる。
それらの中でも、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウムが好ましい。
前記無機化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機化合物の中でも、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウムが、成形性や流動性の点で、好ましい。
前記ワックスとしては、上述と同様のものを挙げることができる。
前記ワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ワックスの中でも、硬化ヒマシ油、硬化ナタネ油が、打錠を行う際に滑沢剤としても作用する点で、好ましい。
前記炭素数10以上の有機酸の金属塩としては、上述と同様のものを挙げることができる。
前記炭素数10以上の有機酸の金属塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭素数10以上の有機酸の金属塩の中でも、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムが、打錠を行う際に滑沢剤としても作用する点で、好ましい。
前記薬物含有固形体における水不溶性成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%以上99質量%以下が好ましく、15質量%以上99質量%以下がより好ましく、20質量%以上99質量%以下が特に好ましい。
前記薬物含有固形体における水不溶性成分の含有量が、10質量%未満であると、水溶解性成分が多いために薬物含有固形体への水の浸入が大きくなり吸水率が上昇する場合がある。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−薬物含有固形体の製造方法−
前記薬物含有固形体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記薬物と、前記添加剤とを含有する粉体混合物を造粒し、顆粒とする方法、前記粉体混合物及び前記造粒した顆粒の少なくともいずれかを打錠し、錠剤とする方法、などが挙げられる。
−−造粒−−
前記粉体混合物を造粒し、顆粒とする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、処方された各粉体成分を混合機により充分混合し、次に湿式造粒機、又は乾式造粒機を用いて造粒して顆粒とする方法が挙げられる。
前記混合機としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができ、例えば、V型混合機、などが挙げられる。
前記湿式造粒機としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができ、例えば、攪拌造粒機、流動層造粒コーティング装置(フローコーター:フロイント産業株式会社製)、遠心転動造粒コーティング装置(CFグラニュレーター、グラニュレックス:フロイント産業株式会社製)、複合型造粒コーティング装置(スパイラフロー:フロイント産業株式会社製)、などが挙げられる。前記湿式造粒を用いて造粒する際のバインダーとしては、一般的に湿式造粒に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて使用することができる。
前記乾式造粒機としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができ、例えば、ローラーコンパクター(フロイント産業株式会社製)、などが挙げられる。
−打錠−
前記粉体混合物及び前記造粒した顆粒の少なくともいずれかを打錠し、錠剤とする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記打錠は、一般的に使用される打錠機を用い、ホッパーに前記粉体混合物及び前記造粒した顆粒の少なくともいずれかを投入して行う。打錠を行う場合は、処方中に滑沢剤を含有させると、打錠機への付着が抑制される点で、好ましい。
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができる。
<キトサン含有層(キトサン皮膜)>
前記キトサン含有層は、少なくともキトサンを含有し、必要に応じて更にその他の成分を含んでなる。
前記キトサン含有層は、前記薬物含有固形体の表面に少なくともキトサンを含有するキトサンコーティング溶液を、塗布したり、噴霧したりすることにより、形成される。
−キトサンコーティング溶液−
前記キトサンコーティング溶液は、少なくともキトサンを含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
−−キトサン−−
前記キトサンの脱アセチル化度、分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記キトサンの脱アセチル化度としては、70モル%以上が、酸への溶解性やコーティング法への適性の点で、好ましい。
前記キトサン含有層の厚みとしては、薬物含有固形体の形状や質量に応じて適宜選択することができるが、前記薬物含有固形体が直径8mmの錠剤である場合、その質量に対して、キトサンの質量が1.0質量%〜6.0質量%に相当する厚みが好ましく、1.5質量%〜5.0質量%に相当する厚みがより好ましく、1.5質量%〜3.0質量%に相当する厚みが特に好ましい。前記厚みが、1.0質量%に相当する厚み未満であると、キトサン含有層が十分な厚みとなっていないため、小腸内において腸溶性基剤含有層が崩壊した後に、薬物含有固形体が大腸へ送達する前にキトサン含有層が崩壊してしまう場合があり、6.0質量%に相当する厚みを超えると、薬物含有固形体の表面にキトサン含有層を形成するためにコーティングを行う際、コーティング時間が長期化する恐れがある。一方、前記厚みが前記のより好ましい範囲内であると、薬物含有固形体の大腸への送達が可能となり、必要なキトサン含有層を得るためのコーティング時間の短縮が図れる点で、有利である。
前記キトサン含有層におけるキトサンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30質量%〜95質量%が好ましい。前記キトサンの含有量が、30質量%未満であると、得られるキトサン皮膜の強度が充分でなく、実用的でなく、95質量%を超えると、有機酸残存量の低下が充分でなかったり、キトサン皮膜の耐水性が低くなったりすることがある。一方、前記キトサンの含有量が前記の好ましい範囲内であると、キトサン含有層の厚みを薄くすることができる点で、有利である。
−−酸−−
前記キトサンは、水や有機溶媒に不溶で、酸を共存させて水に溶解する。
前記酸としては、無機酸、有機酸が挙げられるが、無機酸はキトサンとの相互作用が強く適さないため、有機酸が好ましい。
前記有機酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、常圧において十分な揮発性を有する点で、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸が好ましい。これらの中でも、経済性、取り扱い性、安全性の点で、酢酸がより好ましい。
前記有機酸の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、キトサンのアミノ基当たり0.8モル当量〜2.0モル当量が好ましい。前記有機酸の使用量が、0.8モル当量未満であると、キトサンの溶解性が低く、2.0モル当量を超えると、酸の除去が効率良く行えず、耐水性を示すキトサン皮膜(キトサン含有層)を得ることが困難となることがある。
前記キトサンコーティング溶液は、前記有機酸を効率良く除去することができる点で、グリセリン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルとは、脂肪酸とグリセリン又はポリグリセリンのエステル及びその誘導体を含む。前記グリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、などが挙げられる。
前記グリセリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、などが挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステル中のグリセリンの重合数としては、単量体から20量体の範囲であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、などが挙げられる。脂肪酸単体では、水への溶解が困難となることがあり、21量体以上のものは、製造に掛かるコストが高くなる。
前記脂肪酸の置換度としては、前記グリセリン脂肪酸エステルが水に溶解又は分散可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、モノエステルからトリエステルの範囲が好ましい。
前記キトサン皮膜におけるグリセリン脂肪酸エステルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、キトサンの質量に対して、5質量%〜200質量%が、有機酸の残存量を低下させることができる点で、好ましい。前記グリセリン脂肪酸エステルの含有量が、5質量%未満であると、有機酸残存量の低下が充分でなく、キトサン皮膜の耐水性が低くなることがあり、200質量%を超えると、得られるキトサン皮膜の強度が充分ではなく、実用的でない。
また、グリセリン脂肪酸エステルによる界面活性効果により、キトサンコーティング溶液をキトサン皮膜形成前、又は形成時に強力に攪拌することにより直径数μm程度の大きさの泡を安定して含ませることができる。この時、泡を含むことでキトサンコーティング溶液の体積は増大するが、この泡を含む溶液体積を、元の泡を入れる前の溶液体積で除した値を発泡倍率とし、発泡倍率が1.0倍を超えて4.0倍以下の範囲にある時、更に酸の残存量の低下が認められ、より良い耐水性や経時安定性を有するキトサン皮膜が得られる。なお、発泡倍率が4.0倍を超えることは難しく現実的でない。この泡は、キトサン皮膜形成時にもミスト中に含まれることから、乾燥時の表面積が増大し有機酸を非常に良く揮発する。よって、キトサン皮膜中の有機酸残存量を、泡を含まない場合よりも更に低減することができる。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、可塑剤、などが挙げられる。
前記フィラー、可塑剤を用いることにより、より薬物含有固形体への水分の浸入を防ぐことができ、大腸到達前の崩壊、及び、薬物の溶出をより抑制することができる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、ベントナイト、炭素数10以上の有機酸の金属塩、などが挙げられる。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、などが挙げられる。これらの中でも、医薬品分野で用いるため、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましい。
−キトサン含有層の形成−
前記キトサン含有層は、前記薬物含有固形体の表面に少なくともキトサンを含有するキトサンコーティング溶液を、塗布したり、噴霧したりすることにより、形成される。
例えば、流動層造粒コーティング装置(フローコーター:フロイント産業株式会社製)、遠心転動造粒コーティング装置(CFグラニュレーター、グラニュレックス:フロイント産業株式会社製)、複合型造粒コーティング装置(スパイラフロー:フロイント産業株式会社製)、糖衣フィルムコーティング装置(ハイコーター、アクアコーター:フロイント産業株式会社製)などの各種コーティング装置を用いて、薬物含有固形体を装置内で流動させ、乾燥空気を給気させつつスプレーなどを用いて薬物含有固形物表面に前記キトサンコーティング溶液を噴霧し、コーティングする方法が挙げられる。
前記キトサンコーティング溶液の粘度、キトサン濃度としては、コーティング装置に適したものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記キトサンコーティング溶液の粘度としては、溶液温度23℃において、10mPa・s〜1,000mPa・sが好ましい。
前記キトサンコーティング溶液のキトサン濃度としては、0.1質量%〜20質量%が好ましい。
前記キトサン含有層の形成(コーティング)における給気温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜95℃が好ましい。前記給気温度が、40℃未満であると、有機酸の除去が充分ではないため、キトサン皮膜に耐水性が付与できず、100℃を超えると、キトサン皮膜に着色や変形などの外観上の問題が生じるため、好ましくない。また、水系のコーティングで給気温度が100℃を超えることは一般的ではなく、コーティング装置にかかる負担も大きくなるため、現実的ではない。
前記キトサン含有層の形成(コーティング)における排気温度としては、30℃〜90℃であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<腸溶性基材含有層>
前記腸溶性基材含有層は、少なくとも腸溶性基材を含有し、必要に応じて更にその他の成分を含んでなる。
前記腸溶性基材含有層は、前記キトサン含有層表面に少なくとも腸溶性基材を含有する腸溶性基材含有溶液を、塗布したり、噴霧したりすることにより、形成される。
−腸溶性基材含有溶液−
前記腸溶性基材含有溶液は、少なくとも腸溶性基材を含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
−−腸溶性基材−−
前記腸溶性基材は、胃で溶解せず、小腸で溶解する皮膜を形成する成分である。
前記腸溶性基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、メタクリル酸コポリマー、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、水性セラック、などが挙げられる。これらの中でも、CMECやHPMCPが、薬物含有固形体内部への水の浸入を最も防ぐことができる点で、好ましい。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水不溶性の添加剤を含有することが好ましい。
製剤は、小腸内で腸溶性基材含有層が溶解した後、キトサン含有層を経由して薬物含有固形体に水分が浸入することを述べたが、腸溶性基材含有層が溶解する前でも、ある程度の水分は腸溶性基材含有層を経由してキトサン含有層に浸入してくる。よって、腸溶性基材含有層をより疎水化したり、水不溶性成分を含有させたりすることにより、腸溶性基材含有層を経由してくる水分量を抑えることができるため、キトサン含有層を経由した薬物含有固形体への水の浸入を抑制することができる。
前記水不溶性の添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、ベントナイト、炭素数10以上の有機酸の金属塩、などが挙げられる。これらの中でも、ベントナイトが、コーティング液への分散が容易であるという点で、好ましい。
前記腸溶性基材含有層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−腸溶性基材含有層の形成−
前記腸溶性基材含有層は、前記キトサン含有層表面に少なくとも腸溶性基材を含有する腸溶性基材含有溶液を、塗布したり、噴霧したりすることにより、形成される。
例えば、流動層造粒コーティング装置(フローコーター:フロイント産業株式会社製)、遠心転動造粒コーティング装置(CFグラニュレーター、グラニュレックス:フロイント産業株式会社製)、複合型造粒コーティング装置(スパイラフロー:フロイント産業株式会社製)、糖衣フィルムコーティング装置(ハイコーター、アクアコーター:フロイント産業株式会社製)などの各種コーティング装置を用いて、薬物含有固形体を装置内で流動させ、乾燥空気を給気させつつスプレーなどを用いてキトサン含有層表面に前記腸溶性基材含有溶液を噴霧し、コーティングする方法が挙げられる。
前記腸溶性基材含有溶液の粘度、腸溶性基材濃度としては、コーティング装置に適したものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記腸溶性基材含有溶液の粘度としては、溶液温度23℃において、10mPa・s〜1,000mPa・sが好ましい。
前記腸溶性基材含有溶液の腸溶性基材濃度としては、0.1質量%〜20質量%が好ましい。
前記腸溶性基材含有層の形成(コーティング)における給気温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜95℃が好ましい。前記給気温度が、40℃未満であると、乾燥効率が低いことから送液速度を低く抑えなければならず、コーティング時間が長期化することがある。
前記腸溶性基材含有層の形成(コーティング)における排気温度としては、30℃〜90℃であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下に実施例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び試験例に何ら限定されるものではない。また、以下の実施例及び試験例中、特に明記のない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を表す。
(試験例1)
薬物含有固形体に添加剤として水不溶性成分を含有させた場合における製剤の、日本薬局方崩壊試験法の崩壊試験第2液に対する耐性を以下のようにして試験した。ただし、本試験例では、水不溶性成分添加による前記第2液に対する耐性への影響を試験するため、薬物を含まないもので試験した。
<薬物含有固形体>
添加剤として、下記表1−1に示す処方の粉体混合物を調製し、単発打錠機(FY−SS−7、富士薬品機械)を用いて、200mg/錠、φ8mm、10R、錠剤硬度60N以上の素錠を作製し、薬物含有固形体1−1〜1−4とした。
前記溶解性の定義は、日本薬局方に基づくものである。表1−2に溶解性の定義を示す。
<キトサン含有層>
−キトサンコーティング溶液−
脱アセチル化度が81モル%のキトサン(片倉チッカリン社製)を、キトサンのアミノ基に対して酢酸が1.0モル当量になるように加え、4質量%の濃度に水に溶解した。そして、キトサンの質量に対して100質量%となるようにデカグリセリンモノパルミチン酸エステル(三菱化学フーズ社製)を添加、十分に撹伴してキトサンコーティング溶液とした。
−キトサン含有層の形成−
前記キトサンコーティング溶液を、フィルムコーティング装置ハイコーターHC−LABO 20型パン(フロイント産業株式会社製)を用いて、前記薬物含有固形体1−1〜1−4にフィルムコーティングし、キトサンの質量が薬物含有固形体の質量に対して、1.5%(A)、3.0%(B)、5.0%(C)に相当する厚みの錠剤1−1−A〜1−4−Cを得た。
なお、コーティング条件は、以下の通りである。
−−コーティング条件−−
仕込量:300g
液速:2.7g/min〜3.0g/min
給気温度:85℃
風量:0.5m/min
品温:60℃
<評価1>
前記錠剤1−1−A〜1−4−Cについて、日本薬局方の崩壊試験第2液を用いて、崩壊試験を行った(浸漬時間3時間、ディスク有)。崩壊試験後の内容物の放出が認められなければ合格とした。更に、崩壊試験後の錠剤の質量を測定し、崩壊試験前の錠剤質量に対する、崩壊試験後の製剤の吸水率を下記式(1)により求めた。結果を表2に示す。また、崩壊試験後の製剤の側面から見た、錠剤1−1−Cの様子を図1に、錠剤1−3−Cの様子を図2に示す。
前記試験例1の結果から、薬物含有固形体中における水不溶性成分の含量が増加することで、崩壊試験第2液処理後の製剤の吸水率が低下していた。これにより、キトサン含有層の厚みが薄い(キトサン含有量が少ない)錠剤でも崩壊試験第2液に対する耐性を示すことがわかった。
(試験例2)
<薬物含有固形体>
下記表3−1〜3−2に示す処方の薬物、及び添加剤の粉体混合物を調製し、単発打錠機(FY−SS−7、富士薬品機械)を用いて、200mg/錠、φ8mm、10R、錠剤硬度60N以上の素錠を作製し、薬物含有固形体2−1〜2−9とした。なお、溶解性の定義は、試験例1と同様である。
なお、モデル薬物として、エテンザミド(分子量165、水への溶解度0.01%以下)、又はアセトアミノフェン(分子量151、水への溶解度1%〜3%)を使用した。
<キトサン含有層>
−キトサンコーティング溶液−
試験例1と同様にして、キトサンコーティング溶液を調製した。
−キトサン含有層の形成−
試験例1において、薬物含有固形体1−1〜1−4を用いていた点を、薬物含有固形体2−1〜2−9に代えた以外は、試験例1と同様にして、キトサンの質量が薬物含有固形体の質量に対して、1.5%(A)、3.0%(B)、5.0%(C)に相当する厚みのキトサン含有層を有する錠剤2−1−A〜2−9−Cを得た。
<腸溶性基材含有層>
−腸溶性基材含有溶液−
腸溶性基材として、HPMCP(HP−55、信越化学工業)を8質量%の濃度に80質量%エタノール水溶液に溶解し、腸溶性基材含有溶液1とした。
−腸溶性基材含有層の形成−
前記腸溶性基材含有溶液1を、フィルムコーティング装置ハイコーターHC−LABO 20型パン(フロイント産業株式会社製)を用いて、前記キトサン含有層を形成した錠剤2−1−A〜2−4−Cにフィルムコーティングし、腸溶性基材含有層の質量がキトサン含有層を有する錠剤の質量に対して、8%に相当する厚みの錠剤2−1−A〜2−9−Cを得た。
なお、コーティング条件は、以下の通りである。
−−コーティング条件−−
仕込量:300g
液速:3.5g/min
給気温度:58℃〜60℃
風量:0.5m/min
品温:42℃〜45℃
以上により、薬物含有固形体を含み、前記薬物含有固形体の表面に、キトサン含有層と、腸溶性基材含有層とを、この順に被覆してなる大腸ドラッグデリバリーシステム製剤を得た。
<評価2−1:崩壊試験>
前記錠剤2−1−A〜2−9−Cについて、日本薬局方崩壊試験法に準じて試験を行った。なお、製剤は、崩壊試験第1液へ2時間浸漬し(ディスク無)、次いで崩壊試験第2液へ3時間浸漬し(ディスク有)、その後、大腸想定液へ1時間浸漬した(ディスク有)。前記大腸想定液には、pH3.5の酢酸緩衝液(Michaelisの緩衝液)を使用した。
各液処理後の内容物の放出が認められなければ合格とした。更に、各液処理後の錠剤の質量を測定し、崩壊試験前の錠剤質量に対する、各液処理後の製剤の吸水率を求め、大腸想定液では崩壊時間も測定した。結果を表4に示す。
表4の結果から、水不溶性成分ではない、乳糖水和物を多く用いた錠剤のキトサン低コート量では、崩壊試験第2液処理中に崩壊してしまったり(2−4−A、2−5−A、2−9−A)、吸水率が100%を超えて、皮膜が非常に薄くなってしまっている(2−4−B、2−5−B、2−8−A〜B、2−9−B)ことがわかった。吸水率を100%以下とするためには、5.0%キトサンコートが必要であることが分かった(2−4−C、2−5−C、2−8−C、2−9−C)。
一方、乳糖水和物の代わりに水不溶性成分であるリン酸水素カルシウムを用いた錠剤2−1−A〜2−3−C、及び2−6−A〜2−7−Cでは、崩壊試験第1液、及び崩壊試験第2液で崩壊したり、吸水率が100%を超えてしまったりすることがなく、かつ、大腸想定液で崩壊させることができることがわかった。
このように水不溶性成分含量を増やすことで、耐2液性が得られるキトサン含有層の厚みを薄くできることが分かった。
<評価2−2:溶出試験>
前記錠剤2−1−A〜2−9−Cについて、日本薬局方溶出試験法パドル法に準じて試験を行った。なお、製剤は、溶出試験第1液へ2時間浸漬し、次いで溶出試験第2液へ3時間浸漬した。前記錠剤、2−3−A〜C、2−5−A〜C、2−7−A〜C、2−9−A〜Cについては、溶出試験第2液の後、大腸想定液へ15時間浸漬した。なお、各液は、500mL使用した。
各液処理において、サンプリングした溶液の吸光度を測定することにより、薬物の溶出を調べた。なお、測定波長は、薬物としてエテンザミドを用いた場合は292nmとし、アセトアミノフェンを用いた場合は244nmとした。
結果を図3A〜C、図4A〜C、図5、及び図6に示す。
図3Aは、薬物としてエテンザミドを用いた錠剤2−1−A、2−2−A、2−3−A、2−4−A、及び2−5−Aの結果を表すグラフであり、図3Bは、薬物としてエテンザミドを用いた錠剤2−1−B、2−2−B、2−3−B、2−4−B、及び2−5−Bの結果を表すグラフであり、図3Cは、薬物としてエテンザミドを用いた錠剤2−1−C、2−2−C、2−3−C、2−4−C、及び2−5−Cの結果を表すグラフである。
図4Aは、薬物としてアセトアミノフェンを用いた錠剤2−6−A、2−7−A、2−8−A、及び2−9−Aの結果を表すグラフであり、図3Bは、薬物としてアセトアミノフェンを用いた錠剤2−6−B、2−7−B、2−8−B、及び2−9−Bの結果を表すグラフであり、図3Cは、薬物としてアセトアミノフェンを用いた錠剤2−6−C、2−7−C、2−8−C、及び2−9−Cの結果を表すグラフである。
図5は、薬物としてエテンザミドを用いた錠剤2−3−A、2−3−B、2−3−C、2−5−A、2−5−B、及び2−5−Cの結果を表すグラフである。
図6は、薬物としてアセトアミノフェンを用いた錠剤2−7−A、2−7−B、2−7−C、2−9−A、2−9−B、及び2−9−Cの結果を表すグラフである。
図3A〜C、及び図4A〜Cの結果から、リン酸水素カルシウムを主に処方した錠剤2−1−A〜2−3−C、及び2−6−A〜2−7−Cでは、溶出試験第2液3時間後のエテンザミドの溶出率は10%以下、アセトアミノフェンの溶出率は30%以下と非常に低く抑えられていた。
一方、乳糖水和物を主に処方した錠剤2−4−A〜2−5−C、及び2−8−A〜2−9−Cでも、溶出試験第2液3時間後に、エテンザミドの溶出率は30%以下に抑えられており、水溶性の高いアセトアミノフェンでは、キトサンのコート量により、35%〜70%の溶出率となっていた。
水不溶性成分の含量が多い方が、溶出試験第2液中での溶出をより低く抑えていることが分かった。
また、どの処方においても、水溶解性の高いアセトアミノフェンの方が、エテンザミドよりも溶出速度が速くなっていた。
図5及び図6の結果から、大腸想定液では、100%溶出することを確認した。
<評価2−3:安定性試験>
前記錠剤2−1−A〜2−5−Cを、(1)23〜25℃、1ヶ月保存、(2)40℃、密閉状態で1ヶ月保存した後の錠剤について、試験例2の崩壊試験と同様にして、崩壊試験を行った。結果を表5に示す。
表5の結果から、リン酸水素カルシウムを処方した錠剤2−1−A〜2−3−Cでは、保存後であっても、耐第2液性に変化はなかった。
一方、乳糖水和物を処方した錠剤2−4−A〜2−5−Cでは、40℃、1ヶ月保存により、キトサンの質量が5%でも耐第2液性が得られなくなっていた。これは、2−4−C及び2−5−Cの錠剤のinitial(保存前)の吸水率が80%を超えており、吸水率80%以上に膨潤したときのキトサン含有層の厚みは、40℃加速したときには崩壊試験第2液での耐性が得られなくなるものと思われる。
なお、上記錠剤に用いた成分の詳細は、表6に示す通りである。
本発明の大腸ドラッグデリバリー製剤は、大腸到達前に薬物が製剤から溶出することを抑制することができ、かつ、大腸で崩壊させることができるので、大腸の疾患の治療に用いる薬剤に好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 薬物と添加剤とを含有する薬物含有固形体を含み、
    前記薬物含有固形体の表面に、キトサン含有層と、腸溶性基材含有層とを、この順に被覆してなり、
    前記添加剤が、水不溶性成分を含有することを特徴とする大腸ドラッグデリバリーシステム製剤。
  2. 日本薬局方崩壊試験法における崩壊試験第1液ついで崩壊試験第2液処理前後の製剤の吸水率が、100質量%以下である請求項1に記載の大腸ドラッグデリバリーシステム製剤。
  3. 日本薬局方崩壊試験法における崩壊試験第1液ついで崩壊試験第2液処理前後の製剤の吸水率が、50質量%以下である請求項1に記載の大腸ドラッグデリバリーシステム製剤。
  4. 水不溶性成分が、20℃の水への溶解性が1g/10,000mL以下であり、
    薬物含有固形体における前記水不溶成分の含有量が、10質量%以上である請求項1から3のいずれかに記載の大腸ドラッグデリバリーシステム製剤。
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