JP5496432B1 - 大腸送達カプセル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

活性成分を胃または小腸で失うことなく大腸まで到達することができ、且つ大腸でその活性成分を速やかに放出することができる大腸送達システムの提供。大腸有用菌、アルギン酸およびカルシウム塩を内包するカプセルと、当該カプセルを被覆するキトサン含有層と、当該キトサン含有層を被覆する腸溶性基材含有層とを含み、該キトサン含有層におけるキトサン質量が該カプセルの質量に対して0.5質量%〜8.0質量%である、大腸送達用組成物。

Description

本発明は、大腸有用菌を含む大腸送達用組成物およびその製造方法に関する。
従来、有用な微生物を配合した医薬品製剤、保健食品、健康補助食品等を服用することで、健康機能を奏功しようとする試みが行われている。ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉腸内細菌は、腸内において大腸菌などの悪玉菌の増殖を抑制して腸内の細菌叢および腸内環境を改善し、整腸作用等の各種保健効果を有することが知られている。これらの菌の生菌を含む経口医薬品製剤やヨーグルト等の種々の食品が市販されている。しかし、生菌を経口摂取した場合、胃や小腸を通過する際に生菌が胃酸や胆汁酸などの消化液により多くが失活してしまう。そのため、作用部位である大腸まで有効量の生菌を到達させるためには、生菌を大量に経口摂取しなければならない。
消化液による生菌の失活を防止する目的で、物理的に保護された生菌を含む経口製剤が開発されている。しかし、保護が強固過ぎると、服用した生菌が大腸を通過して排泄されてしまうため、やはり十分な効果が得られない。したがって、大腸で有用な生菌を胃や小腸で失活させず、生きたまま作用部位である大腸に到達させることができ、且つ大腸に到達した生菌をその場で適切に放出できる大腸送達システムが求められている。
特許文献1および2には、キトサン被膜で被覆された活性成分を含む大腸送達システム製剤が提案されている。キトサンは大腸の微生物によって資化される物質であるため、当該製剤が大腸に到達すると、そこで活性成分を覆うキトサン被膜が分解されて、内包する活性成分が放出される。しかし、キトサンは酸に溶解性であるため、キトサン被膜は胃酸によっても分解してしまう。そのため、上記大腸送達システム製剤では、キトサン被膜の上からさらに耐酸性被膜をコーティングすることにより、胃酸によるキトサン被膜の分解を防止している。耐酸性被膜の材料として、特許文献1および2には、小麦グリアジン、ゼイン等のプロラミン蛋白質、油脂類、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体等のアニオン型アクリル樹脂、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロオキシプロピルメチルセルロースフタレート等のセルロース誘導体などが記載されている。
しかしながら、上述のような耐酸性の被膜を有する製剤でも、胃を通過して小腸に至ると、耐酸性皮膜が崩壊してキトサン被膜が露出する。キトサン被膜には、通常、多数の細孔が存在するため、キトサン被膜が露出した製剤が小腸を通過する間に、当該細孔から腸液などの水分が製剤内部に侵入して、活性成分の一部が失活または流出してしまう。キトサン被膜を厚くすれば、この問題をある程度解決できるが、厚いキトサン被膜は、製造に時間と手間がかかり、また取扱いの際に破損しやすくなるため好ましくない。さらに、キトサンは吸水性が強く水分を保持しやすいという性質があるため、キトサン被膜を厚くするほど、腸内などの水分の多い環境でキトサン被膜が吸水して膨潤することにより、製剤の構造が脆くなり、崩壊しやすくなる。
アルギン酸、およびアルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩は、錠剤の賦形剤や崩壊剤、および増粘剤、ゲル化剤、分散剤などとして医薬品や食品の製造に使用されている。特許文献3および4には、ゼラチンや、寒天、ペクチン、ガム類、アルギン酸等の多糖類を含むフィルムからなる腸溶性カプセルが提案されている。しかしこれらは、胃では崩壊しないが、小腸で崩壊することを目的として製造されたカプセルであり、大腸への物質送達のために製造されたものではない。
特公平08−013748号公報 特開平10−324642号公報 特開2009−185022号公報 特開2009−196961号公報
したがって、胃および小腸での水分の侵入を防ぎ、活性成分が胃または小腸で失活または流出することなく大腸まで到達することができ、且つ大腸でその活性成分を速やかに放出することができる大腸送達システムが待望されている。
本発明者らは、鋭意検討した結果、活性成分をアルギン酸およびカルシウム塩と共にカプセルに内包し、活性成分を内包するカプセルの表面を所定の厚みを有するキトサンを含有する層で被覆し、さらにその上から腸溶性基材含有層で被覆することにより、薄く且つ胃や腸で崩壊しにくいキトサン含有被膜を有し、活性成分を失うことなく大腸まで送達できる組成物を得られることを見出した。本発明者らはまた、当該組成物により、大腸有用菌を、菌数を維持した状態で大腸に送達し、放出することが可能になることを見出した。
すなわち、本発明は、大腸有用菌、アルギン酸およびカルシウム塩を内包するカプセルと、当該カプセルを被覆するキトサン含有層と、当該キトサン含有層を被覆する腸溶性基材含有層とを含み、該キトサン含有層におけるキトサン質量が該カプセルの質量に対して0.5質量%〜8.0質量%である、大腸送達用組成物を提供する。
また本発明は、上記大腸送達用組成物の製造方法を提供する。
本発明の大腸送達用組成物は、有用菌を内包するカプセルが、キトサン含有層および腸溶性基材含有層で被覆されているため、さらに、カプセル内に有用菌とともにアルギン酸およびカルシウム塩を含むことにより、胃や小腸で崩壊することなく、カプセル内に含まれる有用菌を失活または流出させることなく大腸へ送達することが可能な大腸送達システムである。さらに本発明の大腸送達用組成物は、大腸において速やかに分解されてカプセル内の有用菌を放出する。したがって、本発明の大腸送達用組成物は、腸内の細菌叢および腸内環境の改善に有用である。
本発明の大腸送達用組成物は、大腸有用菌、アルギン酸およびカルシウム塩を内包するカプセルと、当該カプセルを被覆するキトサン含有層と、当該キトサン含有層を被覆する腸溶性基材含有層とを含む。
本発明の大腸送達用組成物は、経口摂取された場合、腸溶性基材含有層で胃酸から保護されるため、カプセル内部の大腸有用菌が胃酸により失活することが防止される。本発明の大腸送達用組成物が胃から小腸に移動すると、腸溶性基材含有層は小腸消化液により溶解し、キトサン含有層が露出する。しかし、本発明の組成物においては、該キトサン含有層と、カプセル内部にアルギン酸およびカルシウム塩を有することにより、カプセルが小腸の消化液や他の水分によって膨潤したり崩壊したりすることを防ぎ、且つカプセル内部の大腸有用菌を小腸での失活や流出から保護する。最終的に、大腸において、キトサン含有層とカプセルは大腸に生息する微生物により資化されて崩壊し、カプセル内部の大腸有用菌は大腸に放出される。カプセル内部の大腸有用菌は、胃や腸での失活や流出から保護されたことにより、高い菌数および生物活性を保った状態で大腸に放出される。カプセル内部の大腸有用菌が生菌であっても、高い生菌数を維持したまま大腸に送達される。したがって、本発明の大腸送達用組成物は、腸内細菌叢の改善、腸内環境の改善、または整腸のために有用である。
本発明の大腸送達用組成物は、大腸有用菌を内包するカプセルを含有する。当該カプセルに含まれる大腸有用菌としては、大腸で生体に好ましい機能を発揮する菌であればよい。当該大腸有用菌の例としては、善玉腸内細菌、例えば、ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌などが挙げられる。
上記ビフィズス菌としては、人に対して有用な作用をもたらすものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ビフィズス菌の例としては、ビフィドバクテリウム サーモフィラム(Bifidobacterium Thermophilum)、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)などのビフィドバクテリウム属に属する菌が挙げられる。これらの中でも、食品として利用可能な菌であるビフィドバクテリウム ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(B.bifidum)、およびビフィドバクテリウム ブレーベ(B.breve)が好適である。上記ビフィズス菌は、いずれか1種を単独で使用してもよく、またはいずれか2種以上を併用してもよい。
上記乳酸菌としては、人に対して有用な作用をもたらすものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。乳酸菌の好適な例としては、ラクトバチルス属やストレプトコッカス属の菌、例えば、ラクトバチルス ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)、およびラクトバチルス ラムノーサ(Lactobacillus rhamnosus)、ならびに植物乳酸菌、例えば乳酸菌RIE株などが挙げられる。上記乳酸菌は、いずれか1種を単独で使用してもよく、またはいずれか2種以上を併用してもよい。
上記納豆菌としては、人に対して有用な作用をもたらすものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。納豆菌の好適な例としては、市販の納豆に由来する納豆菌、ならびに市販の納豆菌、例えば高橋菌(高橋祐蔵研究所製、山形)、成瀬菌(株式会社成瀬醗酵化学研究所製、東京)、宮城野菌(有限会社宮城野納豆製造所製、仙台)、朝日菌(株式会社朝日工業製、東京)、日東菌(株式会社日東薬品工業製、京都)、目黒菌(株式会社目黒研究所製、大阪)などが挙げられる。上記納豆菌は、いずれか1種を単独で使用してもよく、またはいずれか2種以上を併用してもよい。
好ましくは、本発明の大腸送達用組成物に含まれる大腸有用菌は、上記に挙げたビフィズス菌、乳酸菌および納豆菌から選択される少なくとも1種を含み、より好ましくは、上記に挙げたビフィズス菌から選択される少なくとも1種を含み、さらに好ましくは上記に挙げたビフィズス菌から選択される少なくとも1種である。当該本発明の組成物に含まれる大腸有用菌は、生菌、死菌、それらの菌破砕物、およびそれらの混合物であり得るが、好ましくは生菌を含む。より好ましくは、当該大腸有用菌は、生菌の状態で本発明の組成物に充填され、大腸に送達されたときにも高い生菌数を維持している。
本発明の大腸送達用組成物に含まれる上記カプセルには、上記大腸有用菌とともに、アルギン酸とカルシウム塩が含まれている。当該アルギン酸は、カプセル内部の水分およびカルシウムと反応してゲル化し、カプセルの内壁側と大腸有用菌の周囲に壁を形成する。したがって、カプセル内にアルギン酸とカルシウム塩があれば、胃液、腸液などの外部の液体がキトサン含有層を通過してカプセル内部に侵入した場合でも、カプセルの膨潤、崩壊や大腸有用菌の死滅や流出を最小限に抑えることができ、また菌を消化液から保護して、菌の失活を防ぐことができる。
上記アルギン酸としては、アルギン酸、アルギン酸塩およびアルギン酸のエステルからなる群より選択される少なくとも1種を選択することができる。当該アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等の1価塩;アルギン酸マグネシウム等の2価塩;アルギン酸アンモニウム等の塩基性塩が挙げられる。当該アルギン酸のエステルとしては、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。上記の中でも、ゲル化の性能やゲルの性質の点から、アルギン酸塩が好ましく、アルギン酸ナトリウムがより好ましい。
上記カルシウム塩としては、食品または医薬に添加することが許容されているカルシウム塩であればよく、例えば、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。このうち、炭酸カルシウムが好ましい。
上記カプセルに充填するアルギン酸の量は、カプセル充填物中0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜6質量%がより好ましい。あるいは、上記カプセル中のアルギン酸の含有量は、カプセル中の大腸有用菌、またはそれを含む液状物もしくは固形物の全質量に対して0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜6質量%がより好ましい。上記カプセル中のカルシウム塩の量は、カプセル充填物中0.02質量%〜8質量%が好ましく、0.05質量%〜3質量%がより好ましい。あるいは、上記カプセル中のカルシウム塩の量は、アルギン酸100質量%に対して2質量%〜40質量%が好ましく、5質量%〜35質量%がより好ましい。アルギン酸およびカルシウム塩は、各々を別途に上記カプセルに充填してもよいが、アルギン酸およびカルシウム塩が上記割合で予め混合されている混合粉体を上記カプセルに充填してもよい。
本発明の大腸送達用組成物において、大腸有用菌を内包するカプセルとしては、通常医薬品や食品の製造に用いられるカプセルが挙げられ、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、シームレスカプセル等であり得る。
上記カプセルは、好ましくは、従来から汎用されているゼラチン、または動物もしくは植物由来のセルロースを変性させて得られたセルロース誘導体を材料とする基材から製造される。当該セルロ−ス誘導体としては、例えば、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース等)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等)などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが好ましく、さらにカプセルとしての強度に優れる点および大腸内で速やかに溶解する点で、HPMCがより好ましい。上記基材材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記カプセルは、内容物の量などに応じて所望の形状およびサイズとすればよい。当該カプセルのサイズとしては、例えば、一般に使用される00号、0号、1号、2号、3号、4号、5号などのサイズが挙げられ、形状としては、長楕円型、フットボール型、球形などが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、上記カプセルには、上記大腸有用菌の生菌を充填する。また好ましくは、上記大腸有用菌の生菌を上記カプセルに充填し、その後カプセル内で当該菌をさらに増殖させる。上記カプセルに充填する際の大腸有用菌の形態は、カプセル内に充填できる形態である限り特に制限されず、菌の種類や本発明の大腸送達用組成物の使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、大腸有用菌は、適切な培地に懸濁した液状物、乾燥粉末、当該乾燥粉末と硬化油脂等とを混合して得られた固形物等の形態で、上記カプセルに充填され得る。カプセルへの大腸有用菌の充填の手順は、大腸有用菌の形態およびカプセルの種類に応じて、当業者が適切な方法を選択すればよい。
内包すべき大腸有用菌が高温に弱い菌である場合や失活しやすい菌である場合は、ハードカプセルを採用すると、温度条件などが比較的温和な条件下でカプセルを製造することができるため好ましい。ハードカプセルは、上述した基材から製造されたボディ部とキャップ部とを嵌合させることにより製造される。当該ボディ部およびキャップ部は、一般的なハードカプセルの製造方法に従って製造すればよい。例えば、当該ボディ部およびキャップ部は、上記セルロース誘導体の水溶液に、ボディ部およびキャップ部の形状に成形した金属製のピンを浸して表面にセルロース誘導体水溶液を付着させた後、ピンを液から引き上げ、乾燥させることによって製造することができる。
上記ハードカプセルに大腸有用菌を充填する際には、当該カプセルのボディ部に大腸有用菌を充填すればよい。充填の方法としては、例えば、大腸有用菌を含む液状物をカプセルのボディ部に注入または滴下する方法、粉末状の大腸有用菌をフィーダーを振動させながらカプセルのボディ部に落し込む方法などが挙げられるが、これらに限定されない。大腸有用菌のカプセル内への充填は、公知のカプセル充填機、例えば、全自動カプセル充填機(例えば、クオリカプス株式会社社製、LIQFIL super 40型)、全自動カプセルシール機(例えば、クオリカプス株式会社製、HICAPSEAL 40型)などを用いて実施することができる。大腸有用菌を充填したボディ部に、キャップ部を嵌合することによって、大腸有用菌を内包するハードカプセルを得ることができる。
上記カプセルの嵌合部には、さらにバンドシールを施してもよい。バンドシールの材料としては、特に制限なく公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。当該セルロース誘導体としては、上記に挙げたカプセル基材の材料が挙げられる。好ましくは、バンドシールは、シールするハードカプセルの材料と同じ材料から製造される。カプセルにバンドシールを施す手順は、一般的な方法に従えばよい。例えば、上記バンドシール材料の水溶液を、ハードカプセルのボディ部とキャップ部の嵌合部に塗布し、乾燥させることによりバンドシールを形成することができる。バンドシールは、カプセルをキトサン含有層でコーティングする際にコーティング剤が嵌合部からカプセル内部に侵入することを防止し、且つカプセル嵌合部を平滑化して、薄く均等な厚さのキトサン含有被膜の形成を容易にする。しかし、バンドシールは必要に応じて行えばよく、嵌合や被膜形成が有効になされていれば、必ずしも必要ではない。
上記カプセルに充填する大腸有用菌の量は、当該カプセルに充填する際の菌の形態、カプセルのサイズなどに応じて適宜変更すればよい。好ましくは、当該カプセルに充填する大腸有用菌の量は、カプセル充填物中3質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜60質量%がより好ましい。大腸有用菌の充填量が少なすぎると、本発明の大腸送達用組成物の腸内環境の改善効果や整腸効果が低下する。他方、大腸有用菌の充填量が多すぎると、腸内細菌叢のバランスが崩れ、下痢などの副作用を生じるおそれがある。あるいは、大腸有用菌が乾燥粉末形態の場合、カプセルに充填する際の大腸有用菌濃度は、1×10cfu/g以上が好ましく、1×1010cfu/g以上がより好ましい。なお、cfuは、コロニー形成単位を表す。大腸有用菌が培地懸濁物等の液状物の形態である場合は、菌濃度が高すぎると、液状物の粘度が高くなってカプセルに充填しにくくなるため、低い菌濃度で培地とともにカプセルに充填した後、カプセル内で菌を所望の濃度に増殖させることが好ましい。液状物中の大腸有用菌濃度は、1×10cfu/g以上が好ましく、1×10cfu/g〜1×1012cfu/gがより好ましい。
必要に応じて、上記カプセルには、さらに他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、大腸有用菌を液状物とする場合に使用される菌懸濁用の培地;大腸有用菌を固形物とする場合に使用される硬化油脂;大腸有用菌を乾燥粉末にする場合に使用される乳糖、デンプン、乾燥馬鈴薯でんぷん等の倍散剤;カラギーナン、寒天、ペクチン、アラビアガム、微粒酸化ケイ素、微結晶セルロース、鉄塩、ヘミロース、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、乳蛋白、乳蛋白ペプチド類、乳たんぱく消化物、プルラン、ジェランガム、ラクトフェリン、植物油脂、硬化油脂類、糖類、ホエイ、マルトデキストリン、カルメロースナトリウム、α化デンプン、加工デンプン等の水分活性が低いかまたは水分活性を低下させる成分;および、オリゴ糖、水溶性食物繊維、水不溶性食物繊維等の腸内環境の改善に有用な他の有効成分が挙げられる。上記に挙げた他の成分は、いずれか1種を単独で使用してもよく、またはいずれか2種以上を併用してもよい。
本発明の大腸送達用組成物は、上記のような手順で得られる大腸有用菌と、アルギン酸とカルシウム塩とを内包するカプセルを、キトサン含有層で被覆し、次いで、当該キトサン含有層で被覆したカプセルを、さらに腸溶性基材含有層で被覆することによって製造される。本発明の大腸送達用組成物では、活性成分を含むカプセルがキトサン含有層で被覆されている。
上記キトサン含有層に含まれるキトサンの脱アセチル化度や分子量などの性状には特に制限はないが、脱アセチル化度が60モル%以上であると、コーティング溶液調製の際の酸溶液への溶解性および造膜性の点で好ましい。当該キトサン含有層(乾燥物)におけるキトサンの含有量は、全質量中25質量%以上、好ましくは25質量%〜85質量%、さらに好ましくは35質量%〜80質量%であり得る。
上記キトサン含有層は、好ましくは、キトサンおよびゼインを含有する層(以下、キトサン−ゼイン層とも称する)である。当該キトサン含有層がキトサン−ゼイン層であると、キトサンおよびゼインを両方含有することにより、従来の製剤等に使用されていたキトサン被膜と同様の良好な大腸崩壊性を示す一方で、従来のキトサン被膜と比べて造膜性が向上し、且つより高い耐水性を有し、腸内での吸水による本発明組成物の膨潤や崩壊を防止する。
ゼイン(Zein)は、トウモロコシから抽出される非水溶性の蛋白質であり、別名トウモロコシ蛋白ともいわれている。精製されたゼインは、通常、白色〜淡黄色の粉末である。ゼインは、水やエタノールにはほとんど溶けないが、含水エタノールやアセトンには溶けやすく、また、強アルカリ性領域またはタンパク分解酵素の作用により溶解する。ゼインは、安全性が高く、食品や医薬品の添加物として多く用いられている。ゼインは、従来のキトサンコーティング製剤にも使用されていたが、胃酸耐性被膜としてキトサンコーティングの上層に別途被覆されるのが一般的であり(例えば特許文献1)、大腸溶性層であるキトサン含有層に添加されることはなかった。
上記キトサン−ゼイン層におけるゼインの含有量は、キトサン100質量部に対して0.5質量部〜100質量部、好ましくは5質量部〜80質量部であり得る。ゼインの含有量が上記の量よりも少ないと、造膜性が低下し、また得られた被膜の耐水性が低下して崩壊しやすくなる。他方、ゼインの含有量が上記の量よりも多い場合、得られたキトサン膜が硬くなりすぎやはり崩壊性が悪くなる。
上記キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層は、上記キトサン、またはキトサンおよびゼインを公知の方法によって液体に溶解させてコーティング溶液を調製し、得られたコーティング溶液をカプセルの表面に付着させ、次いで乾燥させることによって形成することができる。キトサンは、酸性水溶液に溶解させることができる。当該酸性水溶液に共存させる酸としては、無機酸および有機酸が挙げられるが、無機酸はキトサンとの相互作用が強いため、有機酸が好ましい。有機酸としては、特に制限はないが、常圧において十分な揮発性を有する点で、ギ酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸、プロピオン酸およびトリクロロ酢酸が好ましい例として挙げられる。これらの中でも、安価であり、取り扱い易く、且つキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層に残留しても人体への影響が少ない点で、酢酸がより好ましい。当該酸性水溶液のpHは、3.5〜6.5の範囲であればよい。当該酸性水溶液のpHが3.5未満であると、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層に酸が残留し、得られた被膜の耐水性が低下することがある。他方、当該溶液のpHが6.5より高くなると、キトサンの溶解性が低下する。
ゼインは水には溶解し難いため、有機溶媒を含む溶液とすると取扱いが容易になる。キトサン−ゼイン層用のコーティング液を作製する場合、上記で調製したキトサン酸性水溶液に有機溶媒を添加し、これにゼインを溶解させることが好ましい。または、水/エタノール溶液にゼインを溶解した後、キトサン溶解液と混和してもよい。またキトサンを含む酸性溶液に有機溶媒を添加すると、酸の揮発性が高まるため被膜形成工程での酸の除去が容易になり、また被膜の乾燥温度を下げることができるのでカプセル内部の大腸有用菌の生存にとって好ましい。当該有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、エーテル類が挙げられるが、キトサンとの相互作用の点からエタノールが好ましい。
調製されたキトサンまたは、キトサンおよびゼインを含むコーティング溶液中、キトサンの濃度は、該溶液の全質量の0.05質量%〜12質量%程度であればよく、好ましくは1質量%〜5質量%程度である。当該溶液中のゼインの濃度は、該溶液の全質量の0.01質量%〜12質量%程度であればよく、好ましくは0.1質量%〜5質量%程度であり、あるいはキトサン100質量部に対して0.5質量部〜100質量部、好ましくは5質量部〜80質量部であり得る。当該溶液中のエタノールの濃度は、該溶液の全質量の40質量%〜90質量%、好ましくは50質量%〜80質量%であり得る。当該コーティング溶液の粘度は、室温状態で5〜500mPa・sが好ましい。本明細書における粘度とは、C型粘度計(TOKIMEC INC等から購入可能)によって測定された値である。
必要に応じて、上記キトサンまたは、キトサンおよびゼインを含むコーティング溶液は、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層に含まれ得るその他の成分をさらに含有することができる。当該その他の成分としては、造膜性基材、フィラー、可塑剤等が挙げられるが、これらに限定されない。当該コーティング溶液に造膜性基材を添加すると、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層の被膜形成がより容易となる。好ましくは、当該基材は、造膜性に加えて乳化力を有するものが好ましい。造膜性および乳化力を有する基材としては、水溶性セルロース、例えば、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等);プルラン、アラビアガム、カラギーナン、微粒酸化ケイ素、微結晶セルロース、ヘミロース、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、乳蛋白質、オリゴ糖、マルトデキストリン、カルメロースナトリウム、澱粉、α化デンプン、加工デンプン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、コーンファイバー、グアーガムおよびペクチンなどのゲル化剤、増粘剤または水溶性多糖類、などが挙げられる。当該コーティング溶液における造膜性基材の含有量は、該溶液中のキトサン100質量部に対して0.1質量部〜100質量部であり得る。
フィラーとしては、特に制限はないが、例えば、タルク、沈降炭酸カルシウム、二酸化珪素、微結晶セルロース、還元麦芽糖、ベントナイト、炭素数10以上の有機酸の金属塩などが挙げられる。当該コーティング溶液におけるフィラーの含有量は、該溶液中のキトサン100質量部に対して0.06質量部〜60質量部であり得る。
可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン誘導体、有機酸モノグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ショ糖エステルなどが挙げられる。当該コーティング溶液における可塑剤の含有量は、該溶液中のキトサン100質量部に対して0.05質量部〜100質量部であり得る。
本発明の大腸送達用組成物において大腸有用菌を含むカプセルを被覆するキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層は、上記のキトサン、またはキトサンおよびゼインを含むコーティング溶液を、塗布、噴霧、浸漬等の手段によって、当該カプセルの表面に付着させ、次いで乾燥させることによって形成することができる。あるいは、ソフトカプセルの被膜形成時にキトサン、またはキトサンおよびゼインを含有する組成物を一緒に配合し、乾燥させることにより、キトサン含有膜、またはキトサンおよびゼイン含有膜を製造することができる。
カプセルの被覆は、通常使用されるコーティング装置、例えば、通気式コーティング装置(例えば、パウレックコーター:株式会社パウレック社製)、流動層造粒コーティング装置(例えば、フローコーター、フロイント産業株式会社製)、遠心転動造粒コーティング装置(例えば、CFグラニュレーター、グラニュレックス、フロイント産業株式会社製)、複合型造粒コーティング装置(例えば、スパイラフロー、フロイント産業株式会社製)、糖衣フィルムコーティング装置(例えば、ハイコーター、アクアコーター:フロイント産業株式会社製)などを用いて行うことができる。詳細には、上記装置内で大腸有用菌を含むカプセルを流動させながら、乾燥空気を給気および排気させつつ、スプレーなどを用いて当該カプセルの表面にキトサン、またはキトサンおよびゼインを含むコーティング溶液を噴霧し、その後乾燥させて酸を除去することによって、当該カプセルの表面にキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層を形成することができる。
上記装置を用いたキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層の形成(コーティング)工程における給気温度としては、特に制限はないが、40〜90℃が好ましい。当該給気温度が40℃未満であると、酸が十分に除去されないため、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層の被膜に耐水性が十分に付与されない。他方、当該給気温度が90℃を超えると、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層に着色、変形などの外観上の問題が生じ、またカプセル内の大腸有用菌に過度の熱負荷がかかるため好ましくない。上記装置を用いたキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層形成工程における排気温度は、30℃〜85℃であればよく、コーティング溶液の組成等に応じて適宜選択することができる。
本発明の大腸送達用組成物におけるキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層の厚さは、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層中のキトサン質量に換算して、内容物を含むカプセルの質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは0.5質量%〜8.0質量%、より好ましくは0.8質量%〜6.0質量%、さらに好ましくは0.8質量%〜4.0質量%である。キトサン質量がカプセルの質量の0.5質量%相当未満である場合、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層が薄いため、小腸内において腸溶性基材含有層が崩壊するとまもなくキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層も崩壊し、大腸有用菌を含むカプセルが大腸へ送達されないことがある。他方、キトサン質量がカプセルの質量の8.0質量%相当を超える場合、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層の形成に時間がかかり、カプセル内の大腸有用菌が長時間加熱されてしまうことになるため好ましくない。
本発明の大腸送達用組成物では、上記のキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層の上に、さらに腸溶性基材含有層の被膜が形成されている。当該腸溶性基材含有層の材料は、耐酸性を有し胃で溶解しにくいが小腸では溶解する材料、いわゆる腸溶性基材であれば特に限定されない。当該腸溶性基材の例としては、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、メタクリル酸コポリマー、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、ゼイン、アルコールセラック、水性セラックなどが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸コポリマー、ゼイン、HPMCPおよびアルコールセラックが、カプセル内部への水の浸入を防ぐ効果が高いため好ましい。
必要に応じて、上記腸溶性基材含有層は、上記腸溶性基材以外のその他の成分をさらに含有することができる。当該その他の成分としては、腸溶性基材含有層の耐酸性を損なわない限り特に制限はないが、水不溶性の添加剤が好ましい。当該水不溶性の添加剤としては、タルク、ベントナイト、炭素数10以上の有機酸の金属塩などが挙げられる。
上記腸溶性基材含有層の被膜は、上述したキトサン含有層またはキトサン−ゼイン層と同様の手順で形成することができる。すなわち、腸溶性基材を含むコーティング溶液を、塗布、噴霧、浸漬等の手段によって、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層で被覆したカプセルの表面に付着させ、次いで乾燥させることによって腸溶性基材含有層を形成することができる。当該腸溶性基材を含むコーティング溶液中の腸溶性基材の濃度は、好ましくは、該溶液の全質量の0.1質量%〜12質量%である。腸溶性基材溶液の粘度は、室温において、10mPa・s〜500mPa・s程度が好ましい。層の形成には、上述した通常使用されるコーティング装置を用いることができる。層形成工程におけるコーティング装置の給気温度は30℃〜80℃が好ましく、排気温度は30℃〜80℃が好ましい。当該給気温度が、30℃未満であると、乾燥効率が低くなってコーティングの時間が長くなるため好ましくない。他方、当該給気温度が高すぎると、カプセル内の大腸有用菌に過度の熱負荷がかかるため好ましくない。
本発明の大腸送達用組成物における腸溶性基材含有層の厚さは、被覆するカプセルの形状、大きさ、質量等に応じて適宜選択することができる。例えば、腸溶性基材含有層の厚さは、該層中の腸溶性基材の質量に換算して、内容物を含むカプセルの質量に対して、好ましくは0.5質量%〜10.0質量%、より好ましくは0.5質量%〜7.0質量%、さらに好ましくは0.8質量%〜5質量%である。腸溶性基材含有層の厚さが腸溶性基材0.5質量%相当未満である場合、薄い腸溶性基材含有層が小腸内において速やかに崩壊することにより、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層も小腸内で崩壊して、大腸有用菌を含むカプセルが大腸へ送達されないことがある。他方、腸溶性基材含有層の厚さが腸溶性基材10.0質量%相当を超える場合、腸溶性基材含有層の形成に時間がかかり、カプセル内の大腸有用菌が長時間加熱されてしまうことになるため好ましくない。
本発明の大腸送達用組成物は、上述した大腸有用菌、アルギン酸およびカルシウム塩を含むカプセルと、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層と、腸溶性基材含有層に加えて、さらに当該腸溶性基材含有層の上に、ミツロウ、カルナウバロウなどを基材とする被覆層を有していてもよい。
本発明の大腸送達用組成物は、カプセル内部の成分を小腸での失活や流出から保護し、大腸に放出することができる。したがって、本発明の大腸送達用組成物は、上記大腸有用菌以外にも、小腸で失活しやすい有効成分や、小腸で吸収されやすく大腸に到達しにくい有効成分の大腸送達に適用することが出来る。そのような有効成分としては、例えば、ビタミンC、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン(ニコチン酸)、葉酸等の水溶性ビタミン、大腸で放出されることを目的とした薬理成分、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。当該有効成分は、それら単独で、または上記大腸有用菌とともに本発明の大腸送達用組成物に適用することができる。したがって、本発明の大腸送達用組成物は、カプセル内に、上記大腸有用菌に代えて、または上記大腸有用菌とともに、上記有効成分を含有していてもよい。
本発明の大腸送達用組成物は、経口投与用組成物である。好ましくは、本発明の大腸送達用組成物は、経口投与される、動物の腸内環境を改善するためまたは動物の整腸のための組成物である。本発明の大腸送達用組成物は、食品や飼料に添加されて提供されてもよく、または医薬品やサプリメントとして提供されてもよい。例えば、本発明の大腸送達用組成物は、腸内環境改善または整腸用の医薬品またはサプリメントであり得る。当該腸内環境改善または整腸用の組成物、医薬品またはサプリメントは、上述した手順で、大腸有用菌、アルギン酸およびカルシウム塩を内包するカプセルを、キトサン含有層またはキトサン−ゼイン層で被覆し、次いでその上から腸溶性基材含有層で被覆することによって製造される。あるいは、本発明の大腸送達用組成物は、腸内環境改善または整腸用の医薬品またはサプリメントの製造のために使用され得る。
本発明の大腸送達用組成物、医薬品またはサプリメントは、動物に経口で与えられ、当該動物の腸内細菌叢や腸内環境を改善し、または当該動物に整腸作用をもたらす。本発明の大腸送達用組成物を与えられる動物としては、ヒトまたは非ヒト動物が挙げられ、非ヒト動物としては、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、げっ歯類などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
<参考例1>大腸有用菌含有カプセル
(カプセルNo.1)
ビフィズス菌の生菌粉末(森永乳業株式会社製、森永ビフィズス菌末)520gを、乾燥馬鈴薯でんぷん(松谷化学工業株式会社製)550g、乳蛋白(日本新薬株式会社製)390g、アルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ製)30g、炭酸カルシウム(白石工業株式会社製)10gで均一に倍散し、混合し、カプセル充填用の粉末とした。
菌含有粉末を充填するハードカプセルとして、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル(クオリカプス株式会社製、クオリ−V(R)−N、3号、カプセル質量:46mg)を用いた。
カプセル充填機(クオリカプス株式会社製、LIQFIL super 40型)に、上記ビフィズス菌含有粉末とハードカプセルとをセットし、ハードカプセル内にビフィズス菌含有粉末を230mg充填した。1カプセルあたりのビフィズス菌濃度は、1.1×1010cfu/gであった。
(カプセルNo.2)
ビフィズス菌の生菌粉末(森永乳業株式会社製、森永ビフィズス菌末)520gを乾燥馬鈴薯でんぷん(松谷化学工業株式会社製)940g、アルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ製)30g、炭酸カルシウム(白石工業株式会社製)10gで均一に倍散し、混合し、カプセル充填用の粉末とした。
菌含有粉末を充填するハードカプセルとして、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル(クオリカプス株式会社製、クオリ−V(R)−N、3号、カプセル質量:46mg)を用いた。
カプセル充填機(クオリカプス株式会社製、LIQFIL super 40型)に、上記ビフィズス菌含有粉末とハードカプセルとをセットし、ハードカプセル内にビフィズス菌含有粉末を230mg充填した。1カプセルあたりのビフィズス菌濃度は、1.0×1010cfu/gであった。
(カプセルNo.3)
ビフィズス菌の生菌粉末(森永乳業株式会社製、森永ビフィズス菌末)520gを乾燥馬鈴薯でんぷん(松谷化学工業株式会社製)980gで均一に倍散し、混合し、カプセル充填用の粉末とした。
菌含有粉末を充填するハードカプセルとして、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル(クオリカプス株式会社製、クオリ−V(R)−N、3号、カプセル質量:46mg)を用いた。
カプセル充填機(クオリカプス株式会社製、LIQFIL super 40型)に、上記ビフィズス菌含有粉末とハードカプセルとをセットし、ハードカプセル内にビフィズス菌含有粉末を230mg充填した。1カプセルあたりのビフィズス菌濃度は、1.0×1010cfu/gであった。
<参考例2>コーティング溶液
(溶液No.1:キトサン−ゼイン含有コーティング溶液)
精製水に酢酸を加えpHを約4の酸性水を調製した。この酸性水に、脱アセチル化度が80モル%以上であるキトサン(フローナックC:日本水産株式会社製)を溶解した。得られたキトサン溶解液に、グリセリン(花王株式会社製)を添加し、次いでエタノールを加え、さらにゼイン(小林ツエインDP(小林香料株式会社製))を添加した。キトサンの最終濃度が2.5質量%、ゼインの最終濃度が0.5質量%になるように精製水で調整し、キトサンとゼインを含有するコーティング溶液を調製した。
(溶液No.2:キトサン含有コーティング溶液)
参考例2と同様にして、ただしエタノールおよびゼインを添加せずに、グリセリン脂肪酸エステル(阪本薬品工業株式会社製:デカグリセリンモノエステル)をキトサン100質量部に対して50質量部となるよう添加し、キトサン含有コーティング液を調整した。
(溶液No.3:キトサン含有コーティング溶液)
参考例2と同様にして、ただしエタノールおよびゼインを添加せずにキトサン含有コーティング液を調整した。
(溶液No.4:キトサンおよびアルギン酸ナトリウム含有コーティング溶液)
参考例2と同様にして、ただしエタノールおよびゼインを添加せずに、アルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ製)をキトサン100質量部に対して0.5質量部となるよう添加し、キトサンおよびアルギン酸ナトリウム含有コーティング液を調整した。
<製造例1〜3>
参考例1で製造した大腸有用菌含有カプセルNo.1〜3を、表1記載の組成で調製した溶液No.1(キトサン−ゼイン含有コーティング溶液)を用いて、キトサン−ゼイン層で被覆した。被覆は、フィルムコーティング装置ハイコーターミニ型パン(フロイント産業株式会社製)を用いて、コーティング装置の乾燥温度を一定(65℃)にして行った。カプセル質量に対するキトサン質量が約1.4質量%になるようにキトサン−ゼイン層を形成した。製造したカプセルの一部を抜き出し、キトサン−ゼイン層の組成を調べた。
次いで、キトサン−ゼイン層で被覆したカプセルをさらに腸溶性基材であるセラックで被覆した(カプセル質量に対して約1.2質量%)。得られたカプセルの表面にカルナウバロウを微量塗布し、多重コーティングカプセルを製造した。
<製造例4〜6>
参考例1で製造した大腸有用菌含有カプセルNo.1〜3を、表1記載の組成で調製した溶液No.2(キトサン含有コーティング溶液)を用いて、キトサン含有層で被覆した。被覆は、フィルムコーティング装置ハイコーターミニ型パン(フロイント産業株式会社製)を用いて、コーティング装置の乾燥温度を一定(80℃)にして行った。カプセル質量に対するキトサン質量が約1.7質量%になるようにキトサン層を形成した。製造したカプセルの一部を抜き出し、キトサン層の組成を調べた。
次いで、キトサン層で被覆したカプセルをさらに腸溶性基材であるセラックで被覆した(カプセル質量に対して約1.2質量%)。得られたカプセルの表面にカルナウバロウを微量塗布し、多重コーティングカプセルを製造した。
<製造例7〜9>
参考例1で製造した大腸有用菌含有カプセルNo.1〜3を、表1記載の組成で調製した溶液No.3(キトサン含有コーティング溶液)を用いて、キトサン含有層で被覆した。被覆は、フィルムコーティング装置ハイコーターミニ型パン(フロイント産業株式会社製)を用いて、コーティング装置の乾燥温度を一定(80℃)にして行った。カプセル質量に対するキトサン質量が約1.7質量%になるようにキトサン含有層を形成した。製造したカプセルの一部を抜き出し、キトサン層の組成を調べた。
次いで、キトサン層で被覆したカプセルをさらに腸溶性基材であるセラックで被覆した(カプセル質量に対して約1.2質量%)。得られたカプセルの表面にカルナウバロウを微量塗布し、多重コーティングカプセルを製造した。
<製造例10>
参考例3で製造した大腸有用菌含有カプセルNo.3を、表1記載の組成で調製された溶液No.4(アルギン酸塩およびキトサン含有コーティング溶液)を用いて、キトサン含有層で被覆した。被覆は、フィルムコーティング装置ハイコーターミニ型パン(フロイント産業株式会社製)を用いて、コーティング装置の乾燥温度を一定(80℃)にして行った。カプセル質量に対するキトサン質量が約1.7質量%になるようにキトサン含有層を形成した。製造したカプセルの一部を抜き出し、キトサン層の組成を調べた。
次いで、キトサン層で被覆したカプセルをさらに腸溶性基材であるセラックで被覆した(カプセル質量に対して約1.2質量%)。得られたカプセルの表面にカルナウバロウを微量塗布し、多重コーティングカプセルを製造した。
<製造例11>
キトサン質量がカプセル質量に対して約0.5質量%になるようにした以外は、製造例7と同じ手順で大腸有用菌含有カプセルNo.1をキトサン含有層およびセラックで被覆し、多重コーティングカプセルを製造した。
<製造例12>
キトサン質量が約0.4質量%になるようにした以外は、製造例7と同じ手順で、大腸有用菌含有カプセルNo.1をキトサン含有層で被覆した。得られたカプセルの表面に、ゼイン被覆(カプセル質量に対して約0.3質量%)を施した。ゼイン被覆に用いたゼイン溶液は、ゼイン(小林ツエインDP(小林香料株式会社製))を6質量%濃度となるように60%エタノール溶液に溶解し、可塑剤としてグリセリン(花王株式会社製)をゼインに対し30質量%添加して調製した。次いで、キトサン層とゼインで被覆したカプセルをさらに腸溶性基材であるセラックで被覆した(カプセル質量に対して約1.2質量%)。得られたカプセルの表面にカルナウバロウを微量塗布し、多重コーティングカプセルを製造した。
Figure 0005496432
<試験例1>
(残存酢酸量・膜強度試験) 得られた各カプセルの一部を溶解し、残存酢酸量を、Inertsil ODS−4のカラムを用いたHPLCにて、別に準備した酢酸の標準溶液に対するピーク面積比として求めた。またカプセルの膜強度を、加圧式測定器(ミネベア株式会社製 荷重測定器)でカプセルが割れる圧力として測定した。
(崩壊試験)
製造例1〜12の多重コーティングカプセルの胃、小腸、大腸での崩壊性を調べた。崩壊試験は、各カプセルを6個ずつ用い、日本薬局方の崩壊試験装置を用いて行った。
カプセルを、補助盤無しの条件で、pH1.2の溶液(胃想定液)中で60分間上下運動させ、崩壊したカプセルは取り除き、続いてpH6.8の溶液(小腸想定液)中で120分間上下運動させ、崩壊したカプセルは取り除き、その後、補助盤を用いた条件で、pH3.5の溶液(大腸想定液)中で120分間上下運動させた。各溶液中でのカプセルの崩壊性を下記評価基準に従って3段階で判定した。
−評価基準−(胃想定液、小腸想定液中での崩壊性)
A:6個すべてが形状を維持し、膨潤や崩壊などの変形が認められなかった(適合)
B:6個中で膨潤または変形があるが、崩壊は累計2個以内である(適合)
C:6個中累計3個以上で崩壊が認められる(不適)
−評価基準−(大腸想定液中での崩壊性)
A:6個すべてが試験され、すべてが大腸想定液中で崩壊(適合)
B:6個中5個以上が試験され、すべてが大腸想定液中で崩壊(適合)
C:6個中5個以上が試験され、崩壊しないカプセルがある(不適)
実施せず:6個中4個以下しか試験できない場合(不適)
評価結果を表2に示す。製造例1〜2、4〜5、7〜8のカプセル内にアルギン酸とカルシウム塩を含有し且つキトサン含有層で被覆されたカプセルは、膜強度が高く、また胃や小腸の想定液での崩壊耐性が高い一方で、大腸想定液中では良好に崩壊した。さらに、キトサンおよびゼインを含有する層で被覆された製造例1〜2のカプセルは、胃や小腸の想定液での崩壊耐性がより向上し、またキトサン含有層への酸の残存量が減少した。カプセル内にアルギン酸とカルシウム塩を含有していない製造例3、6、9では、胃および小腸想定液での崩壊耐性が低下し、大腸想定液試験前に崩壊するカプセルが多かった。製造例3のカプセルでは、後述する試験例2において、小腸想定液においてカプセル内への液侵入が示唆された。
アルギン酸を含有したキトサン層で被覆された製造例10のカプセルは、小腸想定液中でカプセルが崩壊し、大腸までカプセル内の物質を送達できないことが分かった。
キトサン層の厚さが薄くなると、胃や小腸の想定液でのカプセルの崩壊耐性が低下した。さらにキトサン層の厚さがカプセルに対し0.5質量%未満になると、大腸想定液試験前にカプセルが崩壊した(製造例11〜12)。
Figure 0005496432
<試験例2>
製造例1、3、4、6、7および9の多重コーティングカプセルを用いて、胃想定液浸漬後でのカプセル内ビフィズス菌の残存生菌数を調べた。pH1.2の胃想定液中で、試験例1と同様に60分間崩壊試験を行い、崩壊せずに残ったカプセルについて、内部のビフィズス菌の残存菌数を計測した。残存菌数は、カプセルより取り出した内容粉末を希釈液中に懸濁し、無菌的に希釈法により所定濃度まで希釈した後、この菌液を嫌気性培地であるBL寒天培地の表面に接種し嫌気培養し、菌数を計測した。
さらに、製造例1および3のカプセルについて、pH1.2の胃想定液中で60分間崩壊試験を行った後、pH6.8の小腸想定液中で120分間崩壊試験を行い、同様に菌数を計測した。
結果を表3に示す。カプセル内にアルギン酸とカルシウム塩を含有し且つキトサン含有層で被覆された製造例1、4、7のカプセルは、耐水性、耐酸性があり、ビフィズス菌の残存も高かった。カプセル内にアルギン酸とカルシウム塩を充填し、且つキトサンーゼイン層で被覆された製造例1では、生菌数の減少がほとんどなかった。キトサンーゼイン層被覆を有するがカプセル内にアルギン酸とカルシウム塩を含有していない製造例3のカプセルは、胃想定液での試験後には高い生菌数を保持していたが、小腸想定液での試験後には生菌数が大幅に低下していた。
Figure 0005496432
<試験例3>
参考例1の大腸有用菌含有カプセル(カプセルNo.1)のカプセルを用いて、ゼインの添加量について確認した。表4記載の組成で調製されたキトサン−ゼイン含有コーティング溶液を用いて、キトサン−ゼイン層で被覆した。被覆は、フィルムコーティング装置ハイコーターミニ型パン(フロイント産業株式会社製)を用いて、コーティング装置の乾燥温度を一定(65℃)にして行った。カプセル質量に対するキトサン質量が約1.4質量%になるようにキトサン−ゼイン層を形成した。次いで、キトサン−ゼイン層で被覆したカプセルをさらに耐酸性基材であるセラックで被覆した(カプセル質量に対して約1.2質量%)。得られたカプセルの表面にカルナウバロウを微量塗布し、多重コーティングカプセルを製造した。製造した各カプセルを試験例1と同様の手順で評価した。結果を表5に示す。なお、製造例18は、コーティング溶液に沈殿物が発生したため、試験を実施しなかった。
Figure 0005496432
Figure 0005496432
<試験例4>
参考例1の大腸有用菌含有カプセル(カプセルNo.1)のカプセルを用いて、キトサン含有層の厚さがカプセル崩壊性に与える影響について確認した。キトサン含有層でのキトサン質量がカプセル質量に対して表6記載の値になるようにした以外は、製造例7と同じ手順で大腸有用菌含有カプセルNo.1をキトサン含有層およびセラックで被覆し、多重コーティングカプセルを製造した。製造した各カプセルを試験例1と同様の手順で評価した。結果を表7に示す。なお、表6、7には、製造例7および製造例11の例を再掲する。
キトサン含有層が厚くなると、胃および小腸想定液での崩壊耐性が向上した。一方、キトサン含有層の厚さが増すに従って、層形成時の乾燥時間が増大した。特に製造例19では乾燥に時間がかかったため、加熱によるカプセル内のビフィズス菌の残存率の低下のおそれがあった。
Figure 0005496432
Figure 0005496432

Claims (12)

  1. 大腸有用菌、アルギン酸およびカルシウム塩を内包するカプセルと、当該カプセルを被覆するキトサン含有層と、当該キトサン含有層を被覆する腸溶性基材含有層とを含み、該キトサン含有層が、キトサンおよびゼインを含有し、該キトサン含有層におけるキトサン質量が該カプセルの質量に対して0.5質量%〜8.0質量%である、大腸送達用組成物。
  2. 前記カプセルにバンドシールが施されていない、請求項1記載の組成物。
  3. 前記キトサン含有層において、前記ゼインの含有量が前記キトサン100質量部に対して0.5質量部〜100質量部である、請求項1又は2記載の組成物。
  4. 前記アルギン酸が、アルギン酸、アルギン酸塩およびアルギン酸のエステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  5. 前記カプセルに内包される前記アルギン酸の量が、該カプセル内の充填物中0.1質量%〜20質量%であり、且つ該カプセルに内包される前記カルシウム塩の量が、該アルギン酸100質量部に対して2質量部〜40質量部である、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  6. 前記腸溶性基材含有層の量が、該層中の腸溶性基材の質量換算で、前記カプセルの質量に対して0.5質量%〜10.0質量%である、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  7. 大腸有用菌、アルギン酸およびカルシウム塩を内包するカプセルを準備すること;
    該カプセルをキトサン含有層で被覆すること;ならびに
    該キトサン含有層で被覆したカプセルを、さらに腸溶性基材含有層で被覆すること、
    を含む大腸送達用組成物の製造方法であって、
    該キトサン含有層が、キトサンおよびゼインを含有し、
    該キトサン含有層におけるキトサン質量が該カプセルの質量に対して0.5質量%〜8.0質量%である、方法。
  8. 前記カプセルにバンドシールを施さない、請求項記載の方法。
  9. 前記キトサン含有層において、前記ゼインの含有量が前記キトサン100質量部に対して0.5質量部〜100質量部である、請求項7又は8記載の方法。
  10. 前記アルギン酸が、アルギン酸、アルギン酸塩およびアルギン酸のエステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 前記カプセルに内包される前記アルギン酸の量が、該カプセル内の充填物中0.1質量%〜20質量%であり、且つ該カプセルに内包される前記カルシウム塩の量が、該アルギン酸100質量部に対して2質量部〜40質量部である、請求項7〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記腸溶性基材含有層の量が、該層中の腸溶性基材の質量換算で、前記カプセルの質量に対して0.5質量%〜10.0質量%である、請求項7〜11のいずれか1項記載の方法。
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