JPH0420720B2

JPH0420720B2 -

Info

Publication number: JPH0420720B2
Application number: JP57228091A
Authority: JP
Inventors: Hirokimi Takeuchi; Masa Nagata; Yoshikazu Tokuwa
Original assignee: Daido Steel Co Ltd
Current assignee: Daido Steel Co Ltd
Priority date: 1982-12-27
Filing date: 1982-12-27
Publication date: 1992-04-06
Also published as: JPS59120395A

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］本発明は、ガスシールドアーク溶接用の低合金
鋼ワイヤの改良に関する。［従来の技術］溶接の対象となる構造物や機械部品の多様化、
複雑化につれ、また自動化の進展に伴ない、立向
き溶接、全姿勢溶接あるいはすみ肉溶接などの、
作業がむつかしい溶接を行なう機会が増えてい
る。従来の溶接用低合金鋼ワイヤは、湯がたれ落ち
やすくてアンダーカツトを生じたり、湯が先行し
て溶け込み不足となつたりする欠陥が出やすいと
いう問題を含んでいた。また、能率を高めるため
に高電流を流して大入熱の条件で作業すると、溶
接部の靭性が低くなりがちである。このほか、ス
パツタを最少限におさえるべきことはアーク溶接
に共通の問題であり、これはとくに炭酸ガスシー
ルド溶接において重要である。ワイヤの送給性が
よいことも、常に要求される。［発明が解決しようとする課題］本発明の目的は、このような技術の現状にかん
がみ、従来品に伴う上記の欠点を解消し、溶融金
属が適度の粘度をもち、溶接作業性が良好であつ
て、しかも溶接部の靭性が高い、低合金鋼溶接ワ
イヤを提供することにある。［課題を解決するための手段］本発明のガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ
は、Ｃ：0.01〜0.09％、Si：0.45〜5.0％、Mn：
2.0〜5.0％、Ti：0.1〜5.0％およびMo：0.01〜0.6
％を含有し、残部が実質上Feからなり、不純物
の量を、Ｓ：0.012％以下、Ｐ：0.015％以下、そ
してＯ：0.006％以下、に規制した材料からなる。より高い靭性を要求する場合は、前記の合金組
成に、Ｂ：0.0003〜0.1％、Al：0.001〜0.5％およ
びＮ：0.0001〜0.009％からえらんだ１種、２種
または３種を添加するとよい。また、衝撃強度および耐熱強度を向上させたい
場合は、前記組成の合金に、またはそれに上記靭
性向上元素を加えた合金に、Ni：3.0％以下、
Cr：3.0％以下のいずれかまたは両方を加えた材
料が有用である。本発明のワイヤは、以上説明した種々の合金組
成の材料のソリツドワイヤとするほか、金属管の
内部にフラツクスを充填したフラツクスコアード
ワイヤとしてもよい。フラツクスの一部または全
部を、合金またはその構成成分の元素の１種また
は２種以上の粉末でおきかえることもできる。粉末の部分は、ワイヤ横断面積比にして27％程
度にまですることが可能であるが、フラツクスを
充填するのであればもつと少ない割合、たとえば
0.1〜4.0％が適当であろう。フラツクスの組成も任意であるが、とくにスパ
ツタの防止効果が高い点で推奨されるフラツクス
は、Csの塩と、Cs以外のアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩との両者をあわせ含有するも
のである。塩は溶接に支障ない限り任意にえらべ
るが、よく用いれる炭酸塩が代表的である。Ti
またはその化合物の存在もスパツタの防止にとつ
て有益であるから、フラツクス中にTi粉末また
はTiO₂を混合することもよい。［作用］本発明の溶接用鋼ワイヤにおいて上記の合金組
成を選択した理由を、以下に説明する。 Mn：2.0〜5.0％常用の溶接用鋼ワイヤにおいては、Mn量0.90
〜1.85％であるが、本発明では湯が垂れ落ちたり
先行したりしないよう、溶融時の粘度の増大を意
図して、少なくとも2.0％、好ましくは2.1〜3.0％
をえらぶ。5.0％を超える多量は、強度上昇のた
め避けるべきである。 Ti：0.1〜5.0％同じ目的で、0.1％以上添加する。一方、5.0％
より多いと、靭性不良となつて不利である。 Mo：0.01〜0.6％靭性の向上をはかつて、0.01％以上を添加す
る。0.6％を超えると硬度が高くなり過ぎて靭性
が低下し、割れやすくなる。Ｓ：0.012％以下、Ｐ：0.015％以下、Ｏ：0.006％
以下不純物ＳおよびＰは、従来品の規格ではそれぞ
れ0.035％および0.025％まで許容され、Ｏについ
ては規定がないが、本発明では湯の垂れ落ちや先
行を防止するため、それぞれ上記の限界を設け
た。Ｓ量の抑制は、靭性の確保にとつても有利で
ある。Ｂ：0.0003〜0.1％、Al：0.001〜0.5％、Ｎ：
0.0001〜0.009％前記したように、より高い靭性を希望する場合
に、これらの１種、２種または３種を添加する。
それぞれ下限に満たない添加量では効果がなく、
一方、上限を超える添加は、かえつて靭性を低く
する。 Ni：3.0％以下、Cr3.0％以下これも前述のように、衝撃強度および耐熱強度
を向上させたいときに、上記の範囲内で添加す
る。上限を超える添加は、ワイヤを低合金鋼のカ
テゴリーから逸脱させる。フラツクス入り溶接ワイヤとする場合、管は、
もちろん継目なしのものが好ましい。金属の細い
管内に粉末を充填するには、たとえば振動を利用
する技術が知られており、それに従えばよい。継
目なし管を用いた複合ワイヤは、送給性において
ソリツドワイヤに劣るところはない。これは、本
発明のワイヤの材料が主として高Mn量に起因す
る高い抗張力（80〜140Kg／mm²）で代表される剛
性をもつているからである。本発明の鋼ワイヤは、ソリツドワイヤおよびフ
ラツクスコアードワイヤのどちらも、たとえば
CO₂，CO₂＋O₂、CO₂＋Ar、Ar＋O₂、Ar＋He、
Ar＋He＋CO₂、Ar＋He＋CO₂＋O₂などの種々
のシールドガスの下で行なうアーク溶接に好適で
ある。［実施例］第１表に示す組成の鋼合金を溶接し、圧延して
直径1.6mmのワイヤを製造した。このワイヤを
用いて、第１図に示すような溶接を行なつた。溶
接条件はつぎのとおりである。溶接電流 480A アーク電圧 37V 溶接速度 35cm／min. EXT 20mm シールドガス CO₂20／min. それぞれの場合について、水平隅肉溶接時のカ
ツトの有無、溶接時ワイヤ先端の速度ムラおよび
開先内の湯の先行の有無を記録した。また、全溶
着金属を採取して、その機械的性質を測定した。結果をあわせて第２表に示す。実施例１、比較
例３および４の、低温における衝撃強度を第２図
のグラフに示す。

【表】

【表】［発明の効果］本発明のワイヤを使用して溶接を行なえば、湯
のたれ落ちが少ないから、立向き、全姿勢あるい
は隅肉などの溶接が容易にでき、湯が先行しない
から溶け込み十分で欠陥は生じない。大入熱溶接
を行なつても溶接部の靭性が劣ることはなく、ま
たスパツタが顕著に抑えられ、安定な作業ができ
る。ソリツドワイヤはもちろん、フラツクスコア
ードワイヤにしても、送給性はすこぶる良好であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の実施例および比較例におけ
る溶接の態様を示す断面図である。第２図は、第１図に示した溶接部の金溶着金属
の低温衝撃強度を示すグラフである。

Claims

【特許請求の範囲】１Ｃ：0.01〜0.09％、Si：0.45〜5.0％、Mn：
2.0〜5.0％、Ti：0.1〜5.0％およびMo：0.01〜0.6
％を含有し、残部が実質上Feからなり、不純物
の量を、Ｓ：0.012％以下、Ｐ：0.015％以下、そ
してＯ：0.006％以下、に規制した材料からなる
ガスシールドアーク溶接用の低合金鋼ワイヤ。２上記組成に、Ｂ：0.0003〜0.1％、Al：0.001
〜0.5％およびＮ：0.0001〜0.009％の１種、２種
または３種を加えた材料からなる特許請求の範囲
第１項のガスシールドアーク溶接用の低合金鋼ワ
イヤ。３上記組成に、Ni：3.0％以下および（または）
Cr：3.0％以下を加えた材料からなる特許請求の
範囲第１項または第２項のガスシールドアーク溶
接用の低合金鋼ワイヤ。４上記組成の合金の管内に、Csの塩と、Cs以
外のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩と
を含有するフラツクス、または合金成分の１種ま
たは２種以上の粉末を充填してなる特許請求の範
囲第１項ないし第３項のいずれかのガスシールド
アーク溶接用の低合金鋼ワイヤ。