JP2003094196A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤInfo
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Abstract
ワイヤの高生産性、低スラグ発生量、およびフラックス
入りワイヤの安定した溶接作業性等の諸性能とを兼ね備
えたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを
提供する。 【解決手段】 鋼製外皮にフラックスを充填したアーク
溶接用ワイヤであり、ワイヤ全重量でアーク安定剤:
0.05〜1.8%(全ワイヤ質量%、以下同じ)、
C:0.02〜0.15%、Si:0.3〜1.5%、
Mn:0.8〜3.0%、Ti:0.1〜0.35%、
B:0.002〜0.02%を含み、かつ、Al:0.
05〜0.3%、Mg:0.05〜0.5%の1種又は
2種以上を含み、その量がMn+Si+3Al+4M
g:2.5〜5を含有し、フラックス充填率が3〜10
%であるワイヤである前記した成分に加える合金剤は、
Mo:0.5%以下、Ni:3.5%以下の1種又は2
種以上を含有させたワイヤである。
Description
地向け構造物、海洋構造物などに使用される低温用アル
ミキルド鋼、造船用E級鋼の溶接に用いるガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤに関し、アーク状態
が極めて良好で、スパッタが少なく、溶接金属の低温靭
性が安定して得られるガスシールドアーク溶接用フラッ
クス入りワイヤに関する。
造物などに使用される低温用アルミキルド鋼、造船用E
級鋼の溶接には高能率性と利便性から、ガスシールドア
ーク溶接が広く使われており、その溶接用ワイヤにはソ
リッドワイヤとフラックス入りワイヤがある。
に規格化されている。フラックス入りワイヤには大きく
分けてスラグ系フラックス入りワイヤと称されるスラグ
成分を主としたフラックスを充填したワイヤと、メタル
系フラックス入りワイヤと称される金属成分を主とした
フラックスを充填したワイヤがあり、JIS Z 33
13他に規格化されている。
が安定して得られる、溶接金属の溶け込みが深い、スラ
グ生成量が非常に少ない、ヒューム発生量が少ないなど
の利点がある。ソリッドワイヤを使用してアーク溶接し
た溶接金属の酸素量は低いため、ミクロ組織の適正化に
有効なTi、B、Ni、Moといった合金成分を添加す
ることによって、厳しい要求スペックに応えるのが比較
的容易である。しかし、フラックス入りワイヤに比べて
溶着量が少ない、スパッタ発生量が多く大電流での溶接
ではそれが顕著になるなどの欠点がある。また、ソリッ
ドワイヤにはNa、Kなどといったフラックス入りワイ
ヤに広く流用されているアーク安定剤をワイヤ中に添加
することはできない。
の主成分がルチールであるルチール系が一般的であり、
スパッタ発生量が少ない、溶着量が多い、広範囲の溶接
条件で全姿勢溶接が可能であるなど溶接作業性に優れる
利点があるが、ソリッドワイヤに比べて溶接金属の溶け
込みが浅い、スラグ生成量が多い、ヒューム発生量が多
い、ワイヤ内に充填されるフラックスが酸化物を多く含
むため溶接金属の酸素量が高く低温靭性を得るのが難し
いなどの欠点がある。このルチール系フラックス入りワ
イヤの低温靭性を改善するために種々の手法が試みられ
ており、例えば特開平5−329684号公報や特開平
5−269593号公報に開示されているように充填フ
ラックス内にAl、Mgなどを添加し脱酸を強化した
り、金属弗化物、炭酸塩などを添加してスラグの塩基度
を高めたりして、溶接金属の酸素量を低減する試みがな
されている。しかし、この手法を用いるとアーク状態が
不安定になり、スパッタ発生量が顕著に増加するなどフ
ラックス入りワイヤの特徴である良好な溶接作業性が劣
化する。
ックスの主成分が金属粉であり、その最大の特徴はスパ
ッタの発生量が少なく、溶着量の多いことにある。しか
し、その特徴は充填率が10%以上と高充填率である場
合に効果が現れるものであって、本発明のような低充填
率の場合はその特徴が生かされない。
保ちつつ溶接金属の良好な低温靭性を得るためにはソリ
ッドワイヤおよびフラックス入りワイヤ双方の長所を取
り入れたガスシールドアーク溶接用のワイヤが望まれ
る。
て、フラックス入りワイヤの低スラグ化、低ヒューム
化、溶け込み深さなどの改善を目的とした、フラックス
充填率5%という低充填率フラックス入りワイヤの技術
開示が散見される。しかしながら、従来のフラックス成
分系では溶接スラグ量の過多、ヒューム発生量の過多な
どの問題があり、このような低充填率ワイヤは実用に供
給されていないのが実状である。
断面積率で5〜25%が開示されている特公昭51−1
659号公報がある。この発明の充填フラックスのワイ
ヤ断面積率は5%と低い例が開示されているが、充填フ
ラックスはアーク安定剤としてグラファイトを必須成分
とするTi、Al、Mg等からなるもので、その配合比
2〜10%、さらに脱酸剤を20〜90%含むものであ
って、かつ実質的に金属酸化物を含まないフラックスを
充填するワイヤである。しかし、グラファイトを含むア
ーク安定剤は、そのグラファイトとワイヤ中の酸素又は
ワイヤ表面の付着酸素とのCO反応によるアーク不安定
化の要因を含み、アークが粗くなり溶接作業性を劣化さ
せスパッタ発生量を増加させる。また、溶接金属へC量
の歩留りが過多となり溶接金属の機械的性質の調整が容
易でない。
フラックス充填率が5〜30%、MnおよびSの含有量
そしてMnとSの比を限定した鉄粉を40〜60%、S
i、Mn、Tiの鉄合金粉からなる脱酸剤を40〜60
%含むフラックスを充填したフラックス入りワイヤが開
示されている。これはメタル系フラックス入りワイヤに
属するワイヤであり、フラックス充填率が5%、10%
のワイヤにおいて、このような金属粉からなる充填フラ
ックスでは十分に安定したアークが得られずフラックス
入りワイヤとしての優れた溶接作業性は得られない。
は、一次防錆剤であるプライマが塗布された鋼板のすみ
肉溶接時におけるピット、ガス溝の発生防止のために、
TiO2をベースとしてNa2Oを含有し、金属弗化物お
よび水分をも必須とするワイヤである。これはワイヤ質
量比%で、低充填量のTiO2、Na2Oを必須として含
むフラックス入りワイヤであり、金属弗化物および水分
をも必須とするもので、その水分とガス放出の調整が容
易ではなく、また、スラグの流動性が高く、ビード形成
性、溶接金属の性能に問題がある。
け構造物、海洋構造物等に使用される低温用アルミキル
ド鋼、造船用E級鋼などの溶接に用いるガスシールドア
ーク溶接用フラックス入りワイヤに関し、ソリッドワイ
ヤの高溶着性、低スラグ発生量、フラックス入りワイヤ
の安定した溶接作業性、高生産性等の諸性能とを備えた
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供
することにある。
りワイヤ中にアーク安定剤および特定限定されたC、S
i、Mn、TiおよびBを含み、AlおよびMgの単独
又は複合、MoおよびNiを単独又は複合添加し、さら
にフラックス充填率を3〜10%と低充填化することに
より、広い溶接条件範囲において、アーク状態が極めて
良好で、スパッタが少なく、溶着金属の強度、靭性が安
定して得られることを見いだし、これを完成させた。
クス入りワイヤは、鋼製外皮にフラックスを充填したア
ーク溶接用ワイヤであり、ワイヤ全質量でアーク安定
剤:0.05〜1.8%(全ワイヤ質量%、以下同
じ)、C:0.02〜0.15%、Si:0.3〜1.
5%、Mn:0.8〜3.0%、Ti:0.1〜0.3
5%、B:0.002〜0.02%を含み、かつ、A
l:0.05〜0.3%、Mg:0.05〜0.5%の
1種又は2種以上を含み、その量がMn+Si+3Al
+4Mg:2.5〜5であり、フラックス充填率が3〜
10%であることを特徴とするワイヤである。
てMo:0.5%以下、Ni:3.5%以下の1種又は
2種以上を含有させたワイヤである。
ては、Na2OとTiO2を含む合成物:1.8%以下、
Na2O源をNa2O換算値で0.6%以下、TiO2源
をTiO2換算値で1.8%以下の1種又は2種以上を
含有させたワイヤである。
ヤである。
イヤである。
されている前記したワイヤである。
Na2OおよびTiO2を含む合成物、Na2O、TiO2
との単独、又は複合添加したアーク安定剤を含有させる
ことにより、溶接時の溶滴の離脱を促進して溶滴の細粒
化および移行回数を増加させてアークが安定することを
見出した。また、適正な範囲のC、Si、Mnと共に、
Ti、B、Al、Mg、Mo、Niを添加することによ
って溶接金属の低温靭性を向上させ、さらに、フラック
ス充填率を3〜10%と低くすることによりスラグ生成
量およびヒューム発生量が少なく、深い溶け込みが得ら
れることも見出した。
ける成分等の限定理由を述べる。
溶接金属の強度、靭性を確保するのに重要である。Cが
0.02%未満ではミクロ組織の粗大化により、靭性が
阻害される。また、必要な強度を得るのが困難になる。
一方、Cが0.15%を超えると、溶接金属のミクロ組
織がマルテンサイト化して強度が過剰に高くなり、靭性
も劣化し、スパッタが多発して溶接作業性が劣化する。
したがって、Cの添加量をワイヤ全重量に対して0.0
2〜0.15%とした。
脱酸剤として溶接金属の酸素量を低減し、靭性を向上さ
せると共に、強度を確保するのに必要である。しかし、
Siが0.3%未満では脱酸力が不足し、ブローホー
ル、ピットなど溶接欠陥が発生しやすくなり、靭性を低
下させる。一方、Siが1.5%を超えると、溶接金属
中への歩留りが過剰となり、過度に固溶硬化させ、靭性
を低下させる。
脱酸剤として溶接金属の酸素量を低減し靭性を向上させ
ると共に、溶接金属の強度を確保する。また、溶融金属
の流動性を高め、溶接ビード形状を改善する。0.8%
未満では脱酸不足となり靭性が低下する。また、3.0
%を超えると、溶接金属への歩留りが過剰となり、硬化
して溶接金属の靭性を劣化させる。
金属Si、金属Mn又はFe−Si、Fe−Si−M
n、Fe−Mnなど鉄合金のSi、Mnの換算値であ
る。
も強脱酸剤として働き溶接金属の酸素量を低減させる。
また、溶接金属の凝固過程の高温域においてBより先に
窒化物を形成してNを固定し、以降の凝固過程における
Bの窒化を抑制しフリーBとしてBをオーステナイト粒
界に偏析させる。このフリーBは粒界に生成する粗大な
フェライトを抑制し、靭性を向上させる。また、溶接金
属に歩留るTiは上記作用の他に、旧オーステナイト粒
内フェライトの核となるTi2O3等の低級酸化物とな
り、微細なアシキュラーフェライトの生成を促進する。
上記効果は0.1%以上の添加によって得られるが、
0.35%を超えると溶接金属の固溶Tiが増え、過度
に硬化し著しく靭性を劣化させる。
は前述のようにオーステナイト粒界に偏析することによ
って、粒界の粗大なフェライトの生成を抑制し、溶接金
属のミクロ組織を微細化し、靭性を大幅に改善させる。
この効果は0.002%以上の添加によって得られる
が、0.02%を超えると、溶接金属に固溶し、過度に
硬化して靭性を著しく劣化させる。
は強脱酸剤として働き、溶接金属の酸素量を低減させ
る。しかし、0.05%未満ではその効果は得られな
い。また、0.3%を超えると、アークが不安定になり
スパッタ発生量も多くなることに加え、生成スラグが過
剰に多くなる。また、溶接金属に過度に固溶し、靭性を
劣化させる。
も強脱酸剤として働き、溶接金属の酸素量を低減させ
る。しかし、0.05%未満ではその効果は得られな
い。また、0.5%を超えると、アークが不安定になり
スパッタ発生量も多くなる。
について、この式は脱酸剤であるMn、Si、Al、M
gの適正な添加量を表現している。図1に示すとおり、
溶接金属の−40℃程度における所定の靭性を得るため
には、溶接金属の酸素量を600ppm以下に調整する
ことが重要である。そのためには図2に示すように、充
填フラックスの成分パラメーターとして[Mn+Si+
3Al+4Mg]を2.5以上とすることにより、溶接
金属の酸素量を600ppm以下にすることができる。
一方、成分パラメーター[Mn+Si+3Al+4M
g]が5を超えると、アーク状態が不安定になり、スパ
ッタが多発するようになる。また、生成スラグ量が多く
なる。
金属の組織を微細化し強度を確保する元素である。しか
し、0.3%を超えて添加すると過度に硬化し、著しく
靭性を劣化させる。
金属の強度および靭性を確保し、かつ耐食性も向上させ
る。しかし、3.5%を超えると高温割れが発生しやす
くなる。
て、アーク安定剤が0.05%未満では、ソリッドワイ
ヤの溶接と同様に、溶滴が移行した瞬間に発生するアー
ク切れが防止できず、アーク状態が向上せず、スパッタ
発生量が減少しないので、ソリッドワイヤを超える改善
はできない。一方、1.8%を超えると、アーク切れは
防止できるが、アーク長が必要以上に長くなり、その結
果、スパッタ発生量が増加し、ヒュームの発生量も増加
する。よって、アーク安定剤の添加量は0.05〜1.
8%において溶接中のアーク状態が非常に良好で溶滴が
小さく、スパッタ発生量が極めて少ない。
含む合成物、Na2O源のNa2O換算値およびTiO2
源のTiO2換算値の1種又は2種以上をいう。
8%以下について、Na2OおよびTiO2を含む合成物
が1.8%を超えると、アーク切れは防止できるが、ア
ーク長が必要以上に長くなり、その結果、スパッタ発生
量が増加し、ヒューム発生量も増加する。
て、これらは、SiO2を含む三成分系の合成物、Na2
OとTiO2の割合が種々変化した合成物であっても同
様な効果が得られ、本発明技術思想に含まれる。Na2
OおよびTiO2を含む合成物はチタン酸ソーダであ
り、例えば、水酸化ナトリウムとルチールを所望の割合
で配合して高温処理する方法で得ることができるが、N
a2Oが10〜50%で、TiO2割合が50〜90%の
範囲内の合成物とすることが好ましい。例えば、13N
a2O−80TiO2、20Na2O−73TiO2、42
Na2O−53TiO2、或は13Na2O−25SiO2
−58TiO2を主要成分とする合成物などが挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。13Na2O
−25SiO2−58TiO2(チタン酸珪酸ソーダ)
は、チタン酸ソーダに比較して、スラグの流動性が増し
てビード表面を均一に覆ってビード形成を良好にする。
について、このNa2O源は、Na2OおよびTiO2又
はSiO2を含む合成物以外の添加成分であり、0.6
%を超えると溶滴移行回数は減少し、アーク長のみが長
くなる傾向があり、その結果、スパッタ発生量が増加す
る。Na2O源としては、炭酸ソーダ、ソーダガラスが
ある。
について、このTiO2源は、Na2OおよびTiO2を
含む合成物以外の添加成分であり、アーク安定剤として
溶滴先端に発生するアークの発生面積を拡大させること
により、溶滴移行を安定させる下向きの電磁ピンチ効果
を促進させる効果を有する。しかし、1.8%を超える
と、下向きの電磁ピンチ効果が過大となり、溶滴移行を
不安定にしてスパッタ発生量が多くなる。また、溶接金
属へ還元されるTi量が過剰となり、溶接金属の強度が
高くなり靭性も低くなる。TiO2源としては酸化チタ
ン、ルチール、チタンスラグ、イルミナイトなどがあ
る。
クス充填率は、3〜10%とする。充填率が3%未満で
あると、フラックス充填および成形が困難となり、生産
性が悪くなる。充填率が10%を超えるとスラグ発生
量、スパッタ発生量が増えて、ワイヤの性能改善ができ
ず、また、ワイヤ製造時の伸線性が劣り、断線による生
産性の低下をきたす。しかし、より高い生産性と、スラ
グ過多、耐吸湿性を考慮した場合、フラックス充填率は
3.5〜8%が好ましい。
て、鉄粉は、溶着効率を上げ、又は、充填率を調整する
目的で添加される。その好ましい添加量は、5%以下で
ある。この鉄成分は、脱酸剤のSiおよびMn等の原料
である鉄合金の鉄成分および鉄粉の合計値である。鉄粉
を添加せず、金属Si、金属Mn、金属Mo、金属B又
はSi―Mn合金を使用する場合には、充填フラックス
中に鉄粉を含まない場合がある。
を図3(a)および(b)に示す。図3(a)は、軟鋼
パイプの鋼製外皮1に充填フラックス2を充填した後、
伸線した断面、又は、帯鋼を成形工程でフラックス充
填、O形に成形し、次いで溶接、伸線したワイヤの断面
の模式図である。この鋼製外皮に継ぎ目のないワイヤ
は、大気中の水分を吸湿することなく、より良好な溶接
金属性能を得ることができる。
目を有するフラックス入りワイヤは、帯鋼を成形工程
で、フラックス充填、O形に成形、さらに伸線したワイ
ヤの断面模式図である。このワイヤにおいても、充填率
が低いことから、外皮継ぎ目の接触面積が広くなり、充
填フラックスと大気との遮断効果が大きく、大気水分の
吸湿が極めて少ない。また、鋼製外皮の継ぎ目の形状
は、図示に限られるものでなく、斜め継ぎであってもよ
く、外気との遮断効果はさらに向上する。
り、外皮表面に錆が発生しない、又は、通電性と共にワ
イヤ送給性を良好にすることができる。また、ワイヤ表
面にめっきを施さないワイヤは、ワイヤ表面に防錆剤、
潤滑剤を適宜付着させて、耐錆性とワイヤ送給性を確保
する。
イヤ構造であるが、充填フラックスに添加できる成分に
はZr等の脱酸剤を通常のガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤと同様に、溶接金属の脱酸不足によ
るブローホールの発生防止および、又は機械的性質の調
整のために含有させる。しかし、過剰に含有されるとス
ラグ焼き付きによるスラグ剥離性不良、ビード外観不
良、又は溶接金属の強度が過大となり靭性、耐割れ性が
劣化する。なお、脱酸剤は溶接金属中に歩留り合金剤と
して働く以外にもスラグ化し、溶融スラグの組成および
生成量にも影響し、本発明の目的効果を損なう場合があ
るので、種類、含有量は適宣制限することが好ましい。
剥離性を向上させる成分として、Bi(酸化Biを含
む)、Sなどを本発明の基本的な技術思想に影響を与え
ない範囲で適宣添加できる。
は鋼製外皮の成分とその含有量を考慮して各限定した範
囲内で配合成分を調整する。
あり、溶接時の電流密度を高くし、高溶着率を得るため
に直径0.8〜2.0mmが好ましい。
ーク溶接時のシールドガスは、CO 2ガスを使用して十
分な溶接作業性が得られるが、さらに溶接作業環境面か
らヒューム発生量が少なくなるAr―CO2混合ガスを
使用しても良い。
用フラックス入りワイヤの製造法を説明する。
は、鋼製外皮に継ぎ目を有しない図3(a)に示すワイ
ヤは軟鋼パイプをコイル状ボビン巻きにして振動装置に
強固に載置し、充填フラックスを振動充填した後、縮径
して素線とし、さらに伸線して0.8〜2.0mmの所
定径の製品とする方法、また、帯鋼を成形工程で順次、
U字形、フラックス充填、O形、溶接後、縮径して素線
とし、引き続いて伸線してワイヤとする。
(b)に示すワイヤの製造方法は、帯鋼を成形工程で順
次、U字形、フラックス充填、O形した後、縮径して素
線とし、引き続いて、伸線してワイヤを製造する。これ
らの製造方法における伸線工程の中間においては適宣、
通常の焼鈍工程を採用する方法である。
いて総括的に説明する。
成分は、表1に示すP1、P2を、また、継ぎ目ありの
ワイヤ用の帯鋼は表1のH1を使用し、表2および表3
に示す組成のフラックスを充填後、圧延およびダイス伸
線、軟化および脱水素処理として中間焼鈍を施し、ワイ
ヤによってはめっき処理を行い、鋼製外皮に継ぎ目な
し、継ぎ目ありのワイヤ径1.2mmのフラックス入り
ワイヤを製造した。
9は本発明の実施例であり、ワイヤ記号W10〜W26
は比較例である。
電流280A、アーク電圧30V、溶接速度25cm/
min、溶接入熱が20kJ/cmとし、予熱温度およ
びパス間温度100±10℃、チップ−母材間距離:2
0mm、炭酸ガス流量:25リットル/min、表4に
示す化学成分の鋼板を用いJIS Z 3111に基づ
いた開先形状で実施した。
11に基づいて引張試験片(JISZ 2201 A1
号)および衝撃試験片(JIS Z 2242 4号)
を作成し、試験した。そして、−40℃における吸収エ
ネルギーが80J以上であれば合格とした。
ラグ状態および溶け込み深さは、溶接電流280A、ア
ーク電圧30V、溶接速度25cm/min、チップ−
母材間距離:20mm、炭酸ガス流量:25リットル/
minで評価をした。スパッタ発生量は、1分間の連続
溶接を行い、その溶接中に発生したスパッタの捕集作業
を1つのワイヤに対して3回行い、その捕集量(g/m
in)平均値で評価し、1.0g/min以下を合格と
した。
ーク現象を高速度ビデオカメラで撮影して1秒間の溶滴
移行回数を計測し、1つのワイヤに対して3回行い、そ
の平均値で評価し、35回/sec以上を合格とした。
ド上に生成したスラグの生成量を目視による官能評価を
行った。
を行い、その溶接ビードをビード長手方向に対して直角
方向に切断し、その断面を研磨、腐食して溶け込み状態
を観察し、鋼板上面表面から溶け込み最下部までの距離
を計測し、3回計測した結果の平均値を溶け込み深さと
して評価し、3mm以上を合格とした。
価結果を示す。
アーク安定剤、Si、Mn、Ti、B、Al、Mg、M
o、Niを適量含み、フラックス充填率が適正であるの
で、アーク安定し溶滴移行回数が多くてスパッタ発生量
少なく、溶接金属の酸素量が少なく引張強さおよび吸収
エネルギーが高く良好であるなど、極めて満足な結果で
あった。
0〜W26は以下に述べるように不良であった。
低く、生産性が悪くなった。したがって、評価を行わな
かった。
Na2OとTiO2を含む合成物、Na2O源のNa2O換
算値およびTiO2源のTiO2換算値の合計量が多いの
で、スパッタおよびヒューム発生量が多くなった。ま
た、Cが少ないので、吸収エネルギーが低値であった。
高いので、スラグ生成量およびスパッタ発生量が多くな
った。また、Siが少ないので、吸収エネルギーが低値
であった。
Na2OとTiO2を含む合成物が少ないので、溶滴移行
回数が少なくスパッタ発生量が多くなった。また、Si
が少ないので、引張試験片にブローホールがあった。
Na2OとTiO2を含む合成物が多いので、スパッタお
よびヒューム発生量が多くなった。また、Mnが多いの
で、引張強さが高くなって吸収エネルギーが低値であっ
た。
換算値が多いので、スパッタ発生量が多くなった。ま
た、Mnが少ないので、吸収エネルギーが低値であっ
た。
換算値が多いので、スパッタ発生量が多く、溶接金属に
Ti還元されて引張強さが高くなって吸収エネルギーが
低値であった。
ッタ発生量が多く、引張強さが高くなって吸収エネルギ
ーが低値であった。
吸収エネルギーが低値であった。
+4Mgが多いので、アーク状態が不安定でスパッタ発
生量およびスラグ量が多くなった。また、Tiが多いの
で、引張強さが高くなって吸収エネルギーが低値であっ
た。
強さが高くなって吸収エネルギーが低値であった。ま
た、Niが多いので、クレータ部に高温割れが生じた。
収エネルギーが低値であった。
張強さが高くなって吸収エネルギーが低値であった。
ークが不安定になりスパッタ発生量およびスラグ生成量
が多くなった。吸収エネルギーが低値であった。
ークが不安定になりスパッタ発生量が多くなった。
+4Mgが少ないので、溶接金属の酸素量が多くなって
吸収エネルギーが低値であった。
るので、アーク状態が不安定でスパッタ発生量が多くな
った。
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、特に貯蔵タ
ンク、寒冷地向け構造物、海洋構造物、等に使用される
低温用アルミキルド鋼、造船用E級鋼の大電流溶接にお
けるアーク状態が極めて安定し、溶滴移行回数が多く、
溶滴が細粒移行してスパッタ発生量が少なく、溶け込み
が深く、従来のソリッドワイヤおよびフラックス入りワ
イヤの良い点をさらに向上させ、溶接作業性およびビー
ド形状が良好であり、合金成分の調整がフラックスによ
り行うことが極めて容易であることから、溶接部の品質
および溶着効率が優れており、溶接作業の高能率化に貢
献できる。
℃における吸収エネルギーの関係を示す図である。
量の関係を示す図である。
ワイヤの断面を示し、(a)は継ぎ目なしワイヤ、
(b)は継ぎ目ありワイヤの断面模式図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 ガスシールドアーク溶接用フラックス入
りワイヤにおいて、鋼製外皮にフラックスを充填したワ
イヤであり、ワイヤ全質量でアーク安定剤:0.05〜
1.8%(全ワイヤ質量%、以下同じ)、C:0.02
〜0.15%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.8
〜3.0%、Ti:0.1〜0.35%、B:0.00
2〜0.02%を含み、かつ、Al:0.05〜0.3
%、Mg:0.05〜0.5%の1種又は2種以上を含
み、その量がMn+Si+3Al+4Mg:2.5〜5
に規定されるフラックス充填率が3〜10質量%である
ことを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス
入りワイヤ。 - 【請求項2】 Mo:0.3%以下、Ni:3.5%以
下の1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1
記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイ
ヤ。 - 【請求項3】 アーク安定剤としてNa2OとTiO2を
含む合成物:1.8%以下、該合成物以外のNa2O源
をNa2O換算値で0.6%以下、該合成物以外のTi
O2源をTiO2換算値で1.8%以下の1種又は2種以
上であることを特徴とする請求項1又は請求項2の記載
のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。 - 【請求項4】 充填フラックスに鉄粉を含むことを特徴
とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガスシ
ールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。 - 【請求項5】 鋼製外皮に継ぎ目のないことを特徴とす
る請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。 - 【請求項6】 鋼製外皮表面に銅めっきを有することを
特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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