JP3730477B2 - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築、橋梁、造船等における各種鋼構造物の溶接に用いるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関し、アーク状態が極めて良好でスパッタの少ない等多くの溶接作業性の優れたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスシールドアーク溶接用ワイヤにはソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤがある。
【0003】
アーク溶接用ソリッドワイヤは使用目的に応じて成分調整がなされた各種のワイヤが開発され、JIS Z3312、他にも規格化されて一般的に使用されている。また、アーク溶接用フラックス入りワイヤはスラグ系と総称されているスラグ成分を主に充填したワイヤとメタル系と総称されている主に金属成分を充填したワイヤが多数開発されており、JIS Z3313、他にも規格化されている。
【0004】
しかしながら、ソリッドワイヤは、さらなる溶接作業性を改善するために微量のアーク安定剤を必要とする場合にアーク安定剤を含有させることができない。
【0005】
また、フラックス入りワイヤにおいては、充填フラックスの改良で溶接作業性がよく、溶接性の良好なワイヤが多数実用化されている。これらはフラックス充填率が10%〜20%のワイヤがほとんどで、充填率5%の技術開示が散見されるが、そのフラックス成分系では溶接スラグ量の過多、ヒューム発生量の過多などの問題があり、このような低充填率ワイヤは実用に供給されていないのが実状である。フラックス入りワイヤにおいて、ソリッドワイヤに近い溶接作業性を持たせた金属粉を主成分とするメタル系フラックス入りワイヤは、アークの安定性、生産性に問題があるのが実状である。
【0006】
以上に述べたように、これらのワイヤには一長一短がありソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤ双方の長所を取り入れたガスシールドアーク溶接用の細径ワイヤが望まれている。
【0007】
フラックス入りワイヤにおいてフラックス充填率が低い、例えばワイヤ断面積率で5〜25%が開示されている特公昭51−1695号公報がある。この発明のフラックスのワイヤ断面積率は5%と低い例が開示されているが、充填フラックスはアーク安定剤としてグラファイトを必須成分とするTi、Al、Mg等からなるものでその配合比2〜10%、さらに脱酸剤を20〜90%含むものであって、且つ実質的に金属酸化物を含まないフラックスを充填するワイヤである。しかし、グラファイトを含むアーク安定剤は、そのグラファイトとワイヤ中の酸素又はワイヤ表面の付着酸素とのCO反応によるアーク不安定化の要因を含み、アークが粗くなり溶接作業性を劣化してスパッタ発生量を増加させる。また、溶接金属中へC量の歩留りが過大となり溶接金属性能の調整が容易でない。
【0008】
また、特開平6−218577号公報ではフラックス充填率が5〜30%、Mn及びSの含有量及びMn/Sの比の含有量を限定した鉄粉を40〜60%、Si、Mn、Tiの鉄合金粉からなる脱酸剤を40〜60%含むフラックスを充填したフラックス入りワイヤが開示されている。これはメタル系フラックス入りワイヤに属するワイヤであって、充填率5%、10%の充填率ワイヤにおいて、この金属粉の充填フラックスでは十分に安定したアークが得られずフラックス入りワイヤとしての優れた溶接作業性と良好な溶接結果は得られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
フラックス入りワイヤにおいて、ソリッドワイヤの高溶着性、低スラグ発生量と、フラックス入りワイヤの安定した溶接作業性等の諸性能とを備えたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、Si、Mnからなる脱酸剤にNaO及びTiOを含む合成物又はNaO、SiO及びTiOを含む合成物を含むアーク安定剤を含有させることにより、溶接時の溶滴の離脱を促進して溶滴の細粒化及び移行回数を増加させてアーク安定化を解決し、フラックス入りワイヤの欠点である溶着効率が低い、溶け込みが浅い、またスラグ発生量が多い等の問題に対してフラックス充填率を3〜7.5%と低くすることで解決し、全く新しいアーク溶接用フラックス入りワイヤとして極めて有効な手段であるとの知見を得て本発明を完成させたものである。
【0011】
本発明はガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関し、詳しくは鋼製外皮にフラックスを充填したワイヤであり、ワイヤ全質量でSi:0.3〜1.8%(全ワイヤ質量%、以下同じ)、Mn:0.8〜4.0%及びアーク安定剤としてNaO及びTiOを含む合成物、又はNaO,SiO及びTiOを含む合成物:0.15〜2.0%を含み、フラックス充填率が3〜7.5質量%である。
【0012】
アーク安定剤として充填フラックス中にNa2O及びTiO2を含む合成物、又はNa2O、SiO2及びTiO2を含む合成物に加えてさらにNa2O源をNa2O換算値で0.3%以下含み、及び/又は、TiO2源をTiO2換算値で1.5%以下を含むガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤである。
【0013】
さらに、充填フラックスに鉄粉を含むガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤである。
【0014】
また、鋼製外皮に継ぎ目のないこと、又は継ぎ目を有する前記したガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤである。
【0015】
以上の鋼製外皮表面は銅めっきを有すること、又はめっきが施されていない前記したガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のフラックス入りワイヤの成分等限定理由を述べる。
【0017】
Si:0.3〜1.8%について、Siは脱酸剤として使用し、溶接金属中の酸素量を低減させる効果がある。しかし、ワイヤ全質量で0.3%未満では脱酸力が不充分となり溶接金属にブローホールが発生し、また1.8%を超えると溶滴が大きくなりスパッタ低減効果がなくなり、さらに溶接金属中へのSi量が過剰になり、結晶粒が粗大化して靭性が劣化する。Siの添加は鋼製外皮又は充填フラックスのいずれか一方、又は両方からでもその効果は変わらない。
【0018】
Mn:0.8〜4.0%について、Mnは溶接金属の脱酸を促進するとともに、溶融金属の流動性を高め、溶接ビード形状を改善する。また、溶接金属中に歩留まることにより、溶接金属の機械的性質を調整し、引張強度を高める効果がある。これらの効果を得るためには0.8%以上の添加が必要である。しかし、4.0%を超えると溶滴が大きくなりスパッタ低減効果が無くなり、また、溶接金属中のMn量が過大となり、溶接金属の強度が過大となって、割れが発生し易くなる。Mnの添加は鋼製外皮又は充填フラックスのいずれか一方、又は両方からでもその効果は変わらない。
【0019】
充填フラックス中へのSi及びMnは、金属Si、金属Mn又はFe−Si、Fe−Si−Mn、Fe−Mn等鉄合金の状態で添加でき、Si、Mnのそれぞれの換算値が充填フラックス中の含有量である。
【0020】
全ワイヤ質量%におけるSi及びMnの添加量は上記の如くであるが、Si及びMnの添加は、外皮又は充填フラックスのいずれか一方からでも、両方からでも、その効果は変わらず、溶接時の脱酸力や溶接金属への歩留りも大差ない。しかし、Si、Mnのいずれも外皮から多く添加した場合、その量に比例して外皮の電気比抵抗が高くなり、溶接時のワイヤ送給速度は、充填フラックスから添加した場合に比較して大きくなる。Si及びMnを鋼製外皮に含有させる場合は、以下の如く制限することが好ましい。
【0021】
即ち、Siは、1.2%以下が好ましい。その理由は外皮中に添加するSi量が外皮重量に対して1.2%を超えると、硬さが高くまた加工硬化し易くなり加工性が劣化し、成形が困難になるとともに伸線加工時に断線が発生し易いなど歩留りが低下する。従って、生産性確保のため外皮中のSi量は1.2%以下が望ましい。
【0022】
Mnは、2.5%以下が好ましい。その理由は外皮中に添加するMn量が外皮重量に対して2.5%を超えると、硬さが高くまた加工硬化し易くなり加工性が劣化し、成形は困難になるとともに伸線時に断線が発生し易いなど歩留りが低下する。従って生産性確保のため外皮中のMn量は2.5%以下が望ましい。
【0023】
Si及びMnを併せて含む場合は3%以下が好ましい。それは外皮中に添加するSiとMnの合計量が外皮重量に対して3.0%を超えると、硬さが高くまた加工硬化し易くなり加工性が劣化し、成形は困難になるとともに伸線時に断線が発生し易いなど歩留りが顕著に低下する。従って生産性確保のために外皮中のSiとMnの合計量は3.0%以下が望ましい。
【0024】
Na2O及びTiO2を含む合成物又はNa2O、SiO2及びTiO2を含む合成物:0.15%〜2.0%について、0.15%未満ではソリッドワイヤでの溶接と同様に溶滴が大きくなるとともに大きさのばらつきも大きくなり、アーク状態が不安定となり、スパッタ発生量が増加してソリッドワイヤ以上の改善はできない。一方、2.0%を超えるとアーク長が必要以上に長くなり、その結果スパッタ発生量が増加し、またヒュームの発生量も増加する。よって、0.15〜2.0%においては溶接中のアーク状態が非常に良好で溶滴が小さく、スパッタ発生量が極めて少ない。Na2O及びTiO2を含む合成物の原料として、SiO2を含む三成分系の合成物、Na2OとTiO2の割合が種々変化した合成物であっても同様な効果が得られ、本発明技術思想に含まれる。Na2O及びTiO2を含む合成物の代表例はチタン酸ソーダ(mNa2O・nTiO2)であり、例えば、水酸化ナトリウムとルチールを所望の割合で配合して高温処理することなどで得られる合成物であって、Na2Oが10〜50%でTiO2が50〜90%の範囲内の割合での合成物とすることが好ましい。また、SiO2を含む場合は、SiO2を30%以下とすることが好ましい。例えば、13Na2O−80TiO2、20Na2O−73TiO2、42Na2O−53TiO2、Na2O−TiO2、Na2O−3TiO2、Na2O−6TiO2、或は13Na2O−25SiO2−58TiO2を主要成分とする合成物等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、Na2OとTiO2との比は任意に調整することができる。また、13Na2O−25SiO2−58TiO2(チタン酸珪酸ソーダ)のようにSiO2を含有する合成物はチタン酸ソーダに比較してスラグの流動性が増してビード表面を均一に覆ってビード形成を良好にする。
【0025】
アーク安定剤中にNa2O換算値:0.3%以下の添加について、このNa2Oは、Na2O及びTiO2、又はNa2O、SiO2及びTiO2を含む合成物以外の添加物であり、溶接中のアーク長変動を少なくし、溶滴移行回数の増加、即ち溶滴の細粒化を促進させる効果を有する。しかしながら、0.3%を超えると溶滴移行回数は減少し、アーク長のみが長くなる傾向があり、その結果スパッタ発生量が増加する。Na2O源としては、炭酸ソーダ、ソーダガラス等がある。
【0026】
TiO2:1.5%以下の添加について、このTiO2は、Na2O及びTiO2を含む合成物又はNa2O、SiO2及びTiO2を含む合成物以外の添加物であり、アーク安定剤として溶滴先端に発生するアークの発生面積を拡大させることにより、溶滴移行を安定させる下向きの電磁ピンチ効果を促進させる効果を有する。しかし、1.5%を超えると下向きの電磁ピンチ効果が過大となり溶滴移行を不安定にする。また、溶接金属への還元Ti量の歩留りが過剰となり溶接金属の性能に影響する。TiO2源としてはルチール、チタンスラグ、イルミナイト等がある。
【0027】
充填フラックスに含有させる鉄粉は溶着速度を上げる及び/又は充填率調整等の目的で添加する。その好ましい添加量はワイヤ全質量で鉄成分が5%以下となるように含ませることができる。この鉄成分は脱酸剤のSi及びMnの原料である鉄合金の鉄成分及び鉄粉の合計値である。なお、充填フラックス中に添加するSi及びMn源を金属Si、金属Mn、又はSi−Mn合金を使用することによって、充填フラックス中へのSi及びMn添加によってもたらされる鉄成分を無くすこともできる。
【0028】
本発明のフラックス入りワイヤの断面形状を図3(a)及び(b)に示す。同図(a)は鋼製のパイプの鋼製外皮1に充填フラックス2を振動充填した後、縮径して素線とし、さらに伸線加工して0.8〜2.0mmの所定径に製造する。又は、帯鋼を成形工程で順次、U字形、フラックス充填、O形に成形し、次いで溶接、縮径して素線とし、引き続いて伸線加工してワイヤとすることにより、鋼製外皮に継ぎ目のないガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを製造することができる。この鋼製外皮に継ぎ目のないことにより、大気中の水分を吸湿することなく、良好な溶接金属性能を得ることができる。
【0029】
また、図3(b)に示す継ぎ目3を有する鋼製外皮1にフラックス2を充填したワイヤは、帯鋼を成形工程で順次、U字形、フラックス充填、O形に成形し、引き続いて縮径して素線とし、さらに伸線加工する。このワイヤにおいても充填率が低いことから外皮継ぎ目の接触面積が広くなり、充填フラックスと大気との遮断効果が大きくて大気中の水分の吸湿が極めて少ない。また、鋼製外皮の継ぎ目の形状は、図示に限られるものでなく斜め継ぎであってもよく、外気との遮断効果はさらに向上する。
【0030】
鋼製外皮表面に銅めっきを有することにより、外皮表面の耐錆性が向上する。また、ワイヤ送給性、通電性を良好にすることができる。また、ワイヤ表面にめっきを施さないワイヤはワイヤ表面に防錆剤、潤滑剤を適宜付着させて防錆性とワイヤ送給性を確保する。
【0031】
本発明フラックス入りワイヤの充填フラックス充填率は、3〜7.5%とする。充填率が3%未満であるとフラックス充填及び成形が困難となり生産性が悪くなる。充填率が7.5%を超えるとスラグ生成量、スパッタ発生量が増えてワイヤの性能改善ができず、またワイヤ製造時の伸線性が劣り断線による生産性の低下をきたす。充填率は、さらなる生産性、低スラグ化、作業性のためには3.5〜7.0%が好ましい。
【0032】
以上が本発明を構成する基本成分であるが、Ti、Al、Mg、Zr等の脱酸剤は通常のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤと同様に溶接金属の脱酸不足によるブローホールの発生防止及び、又は機械的性質の調整のために含有させる。しかし、これらが過剰に含有されるとスラグ焼き付きによるスラグ剥離性不良、ビード外観不良、又は溶接金属の強度が過大となり耐割れ性が劣化する。なお、脱酸剤は溶接金属中に歩留り合金剤として働く以外にもスラグ化し、溶融スラグの組成及び生成量にも影響し本発明の目的効果を損なう場合があるので、種類、含有量は適宣制限することが望ましい。
【0033】
本発明は溶接金属の機械的性質を調節する目的、被溶接鋼板を合わせた溶接用ワイヤとして充填フラックス及び/又は鋼製外皮中にNi、Mo、Cr、Ti、B等の合金成分、Bi、S等のスラグ剥離剤やAl、Mg等の脱酸剤等は、本発明の基本的な技術思想に影響を与えない範囲で適宣添加できる。なお、生産効率からすれば、充填フラックス中に添加するのが好ましい。
【0034】
即ち、Ni:0.4〜3.0%添加すると溶接金属の強度、靭性が向上でき、Mo:0.5%以下添加すると溶接金属の強度、耐熱性が向上でき、また、Cr:0.5〜3.0%を添加すると溶接金属の耐熱性、耐食性、耐候性が向上、Ti:0.3%以下、好ましくは0.25%以下、B:0.010%以下の添加によって溶接金属の機械的性質の向上、調節を行う。これらの合金成分は、溶接金属の機械的性質、物性値の改善目的に応じて単独或は複合して添加することができる。また、これら合金成分は加工性が許される範囲内で、歩留りを考慮して鋼製外皮の成分に含有させることで同様な目的効果が得られる。
【0035】
本発明フラックス入りワイヤの径は溶接時の電流密度を高くし、高溶着率を得るために細径の0.8〜2.0mmが望ましい。フラックス低充填率の細径ワイヤとしたことにより、溶接電流範囲を広く、例えば、1.2mm径のワイヤで120〜550Aとすることが可能となり、作業効率を大幅に向上させることが出きる。
【0036】
本発明フラックス入りワイヤを使用するアーク溶接時のシールドガスはCO2ガスを使用して十分な溶接作業性が得られるが、さらに溶接作業環境面からヒューム発生量が少なくなるAr−CO2混合ガスを使用してもよい。
【0037】
次に本発明品のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造例を説明する。
【0038】
本発明フラックス入りワイヤの製造方法では、鋼製外皮に継ぎ目を有しないワイヤは鋼製のパイプをコイル状に振動装置に設置し、充填フラックスを振動充填した後、縮径して素線とし、さらに伸線加工して0.8〜2.0mmの所定径の製品とする方法、また、帯鋼を成形工程で順次、U字形、フラックス充填、O形、溶接後、縮径して素線とし、引き続いて伸線してワイヤとする製造法である。
【0039】
また、鋼製外皮に継ぎ目を有するワイヤは、帯鋼を成形工程で順次、U字形、フラックス充填、O形した後、縮径して素線とし、引き続いて伸線してワイヤとする製造法である。これらの製造方法における伸線工程の中間において適宣、通常の焼鈍工程を行う方法である。
【0040】
本発明フラックス入りワイヤの基本とするアーク安定剤であるNa2O及びTiO2を含む合成物の実施例として、脱酸剤Si:0.5%、Mn:1.5%をベースに、アーク安定剤としてNa2O及びTiO2で構成させる合成物(13Na2O−80TiO2)を本発明範囲内に調整した0.15%、0.5%、1.0%、1.3%、1.8%の5種類含有させた充填フラックスと、また上記合成物を本発明範囲より下限未満に設定した0%、0.05%、本発明範囲より上限を超えて設定した2.2%、3.0%の4種類含有させた充填フラックスを表1の外皮記号P1のパイプ(化学成分C:0.05%、Si:0.01%、Mn:0.30%、P:0.01%、S:0.01%)にフラックス充填率5%に充填し、外径1.2mmまで伸線したフラックス入りワイヤを試作した。このワイヤを使用して、溶接条件は溶接電流:300A、アーク電圧:33V、溶接速度:30cm/min、ワイヤ突き出し長さ:20mm、シールドガス:炭酸ガス・流量25L/minで溶接を行い、溶接中の溶滴移行回数及びスパッタの発生量を調査した。
【0041】
溶滴移行回数調査は、自動溶接を行いながら溶接部を高速度ビデオカメラで撮影し、その結果をスロー再生し、溶滴がワイヤ先端に発生して離脱するまでを1サイクルとする回数を測定した。溶接部の撮影条件は撮影駒数:1000駒/sec、シャッタースピード:1/3000secで実施し、その結果をスロー再生し、溶滴がワイヤ先端に発生して離脱するまでを1サイクルとする回数と時間を測定し、標準偏差を求めた。その調査結果を図1に示す。
【0042】
図1に示すように、本発明範囲内(Na2O及びTiO2を含む合成物:0.15〜2.0%)において溶滴移行回数は40回/秒以上及び溶滴移行周期からその標準偏差は7以下と求めた結果は良好である。しかし、上記Na2O及びTiO2を含む合成物が本発明範囲より下限未満に設定したワイヤは、その効果が希薄となり、溶滴移行回数は減少し、溶滴移行周期の標準偏差は大きくなる。また、他方、本発明範囲の上限を超えて設定したワイヤも同様に溶滴移行回数は減少し、溶滴移行周期の標準偏差は大きくなる。
【0043】
スパッタ発生量調査は、自動溶接を連続して1分間行い、溶接中に発生したスパッタの捕集を1つのワイヤに対して3回行い、その平均値で評価した。
【0044】
スパッタ発生量を調査した結果を図2に示す。図2に示すように、合成物の含有量が本発明範囲内(0.15〜2.0%)では、スパッタ発生量が1g/min以下と少なく良好な結果を示す。しかし、本発明範囲の下限未満に設定した比較例ワイヤは、上記Na2O及びTiO2を含む合成物の効果が希薄となり、スパッタ発生量は増加する。また、本発明範囲より上限を超えて設定した比較例ワイヤは、アーク雰囲気中の電離が過度に促進され、アーク長が長くなるため溶滴移行が不安定となり、その結果、スパッタ発生量は増加する。
【0045】
以上の結果から、Na2O及びTiO2、又はNa2O、SiO2及びTiO2を含む合成物が本発明範囲内(0.15〜2.0%)であれば、溶滴は小さく安定して移行し、スパッタ発生量は少なくすることができる。しかし、本発明範囲の下限及び上限の双方を逸脱した充填フラックスで試作した比較例ワイヤは、溶滴は大きく、不安定な状態で移行し、スパッタ発生量は増加する。
【0046】
【実施例】
以下に本発明の総括した実施例と比較例を用いて総括的に説明する。
【0047】
本発明及び比較例に用いた軟鋼パイプ及び帯鋼の成分を表1に示す。鋼製外皮に継ぎ目のないワイヤは、表1中の外皮番号P1の軟鋼パイプを用い、鋼製外皮に継ぎ目ありのワイヤは、表1中の外皮番号H1の鋼帯を用いて、表2に示す組成のフラックスを充填後、圧延及びダイス伸線、軟化及び脱水素処理として中間焼鈍を施し、ワイヤ記号8、9、22及び23を除いてめっき処理を行い、鋼製外皮に継ぎ目のないフラックス入りワイヤを製造した。
【0048】
【表1】
Figure 0003730477
【0049】
【表2】
Figure 0003730477
【0050】
表2に示すW1〜W14は本発明の実施例であり、W15以降は比較例である。
【0051】
表2に示す本発明例と比較例の溶接条件として、溶接電流:300A、アーク電圧:33V、溶接速度:30cm/min、ワイヤ突き出し長さ:20mm、炭酸ガス流量:25L/minで溶接を行いスパッタ発生量、溶滴移行回数、溶滴移行周期の標準偏差、スラグ状態を調査した。スパッタ発生量については、1分間の溶接を行い、その溶接中に発生したスパッタを捕集し、1つのワイヤに対して3回行い、その捕集量平均値で評価した。
【0052】
溶滴移行回数、溶滴移行周期の標準偏差については、溶接中のアーク現象を高速度ビデオカメラで撮影し、1秒間の溶滴移行回数、溶滴径、アーク幅を計測し、1つのワイヤに対して3回行いその平均値で評価した。スラグ状態については溶接後の溶接ビード上に生成したスラグの発生量及び剥離性については目視及び小ハンマーによる打撃にて調査した。
【0053】
表3に溶接試験結果を示す。
【0054】
【表3】
Figure 0003730477
【0055】
W1〜W14に示す本発明ワイヤは溶滴移行回数及び溶滴移行周期の標準偏差はともに良好で安定した溶接を行うことができ、その結果、スパッタ発生量は少ない。また、ビード表面に生成するスラグは、ソリッドワイヤに比べてやや多いが発生量少なく、ビード表面に全体に薄く均一に生成し、且つその剥離性は軽くハンマーで打撃を加えると容易に剥離して良好な結果が得られた。
【0056】
これに対し、比較例であるW15〜W23は以下の如く、本発明例に比較して問題があって不良になった。
【0057】
W15はNa2O及びTiO2からなる合成物を含まないため、アーク安定性に欠けて作業性が悪くて溶滴移行回数が26回/secと少なくスパッタの発生量は改善されなかった。
【0058】
W16は充填率が2%と低くて必要なフラックスが充填できず、さらにSiが本発明範囲未満であるため、溶接金属中の脱酸効果が得られず、溶接金属にブローホールがビードの一部に発生した。また、アーク安定剤としてNa2O及びTiO2の合成物が本発明範囲未満であるため、アーク安定剤としての効果が希薄で溶滴移行回数は少なく、溶滴移行周期の標準偏差は大きな値を示し、アーク状態は不安定となり結果としてスパッタ発生量も増加した。
【0059】
W17は充填率が10%と高く、アーク安定剤としてNa2O及びTiO2の合性物とは別にNa 2 O源のNa 2 O換算値及びTiO 2 源のTiO 2 換算値が本発明の範囲をこえているため、アーク安定剤としての効果が過大となり、アーク長が必要以上に長くなるため溶滴移行が安定せず、また、溶滴移行周期の標準偏差は大きな値を示し、アーク状態は不安定になり、結果としてスパッタ発生量も多く、従来ワイヤの域を出なかった。また、TiO2が多くてスラグ過多で作業性が悪くなった。
【0061】
W18はアーク安定剤としてNa2O及びTiO2を含む合性物が本発明範囲を超えているため、アーク安定剤としての効果が過大となりアーク長が必要以上に長くなるため溶滴移行が安定せず、また、溶滴移行周期の標準偏差は大きな値を示し、アーク状態は不安定になり、結果としてスパッタ発生量も増加した。
【0062】
W19はMn含有量が低く、溶接金属の脱酸不足でややブローホールが発生し、機械的強度が不足した。
【0065】
W20はNa2O、TiO2及びSiO2を含む合性物の添加であるが、アーク安定剤としての効果が過大となりアーク長が必要以上に長くなり溶滴移行が安定せず、また、溶滴移行周期の標準偏差は大きな値を示し、アーク状態は不安定になりスパッタ発生量も増加した。
【0066】
W21はワイヤ形状が継ぎ目あり、且つめっき無しであるが、W20と同様にNa2O、TiO2及びSiO2からなる合性物の添加量が多く、アーク安定剤としての効果が過大となりアーク長が必要以上に長くなるため溶滴移行が安定せず、アーク状態は不安定になり、その結果としてスパッタ発生量も増加した。
【0068】
W22はYGW11のソリッドワイヤで、アーク安定剤としてNa2O及びTiO2からなる合性物を含有させることができないため、溶滴移行回数は少なく、より安定したアーク状態は得られずスパッタ発生量は減少しなかった。
【0069】
23は従来の充填率のフラックス入りワイヤでNa2O及びTiO2からなる合性物を含んでいるが、TiO2量が多くてスラグ発生量が多く、溶滴移行回数は少なく、より安定したアーク状態は得られずスパッタ発生量はそれほど減少しなかった。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガスシールドアーク溶接用フラックスワイヤはアークが極めて安定し溶滴移行回数が多く細粒移行してスパッタが少なく、従来のソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤの良い点をさらに向上させ、溶接作業性及び溶接ビード形状が良好であり、合金成分の添加調整が容易であり溶接部の高品質化、溶着効率が優れ、板厚、材質の異なる溶接作業の高能率化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】充填フラックス中のNa2O及びTiO2を含む合成物が溶滴移行回数及び溶滴移行周期の標準偏差に与える影響を調査した図である。
【図2】充填フラックス中のNa2O及びTiO2を含む合成物がスパッタ発生量に与える影響を調査した図である。
【図3】本発明ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの断面を示し、(a)は継ぎ目無しワイヤ、(b)は継ぎ目ありワイヤの断面模式図である。
【符号の説明】
1 鋼製外皮
2 フラックス
3 継ぎ目

Claims (7)

  1. ガスシールドアーク溶接用ワイヤにおいて、鋼製外皮にフラックスを充填したワイヤであり、ワイヤ全質量でSi:0.3〜1.8%(全ワイヤ質量%、以下同じ)、Mn:0.8〜4.0%、アーク安定剤としてNaO及びTiOを含む合成物:0.15〜2.0%を含み、フラックス充填率が3〜7.5質量%であることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. ガスシールドアーク溶接用ワイヤにおいて、鋼製外皮にフラックスを充填したワイヤであり、ワイヤ全質量でSi:0.3〜1.8%(全ワイヤ質量%、以下同じ)、Mn:0.8〜4.0%、アーク安定剤としてNaO、SiO及びTiOを含む合成物:0.15〜2.0%を含み、フラックス充填率が3〜7.5質量%であることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. 充填フラックスはNaOおよびTiOを含む合成物、NaO、SiO及びTiOを含む合成物とは別に、NaO源をNaO換算値で0.3%以下を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  4. 充填フラックスはNaOおよびTiOを含む合成物、NaO、SiO及びTiOを含む合成物とは別に、TiO源をTiO換算値で1.5%以下を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  5. 充填フラックスに鉄粉を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  6. 鋼製外皮に継ぎ目のないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  7. 鋼製外皮表面に銅めっきを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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