JP2526172B2 - 薄板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接に用いるガスシ―ルドア―ク溶接用ワイヤ - Google Patents
薄板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接に用いるガスシ―ルドア―ク溶接用ワイヤInfo
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は薄板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接に用いるガス
シールドアーク溶接用ワイヤに係り、なかでも、亜鉛メ
ッキが施された亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接をガスシール
ドアーク溶接で実施する際に、ピット、ブローホールな
どの溶接欠陥を低減でき、また、発生させることなく、
ビード外観を良好にできる薄板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶
接に用いるガスシールドアーク溶接用ワイヤに関する。
シールドアーク溶接用ワイヤに係り、なかでも、亜鉛メ
ッキが施された亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接をガスシール
ドアーク溶接で実施する際に、ピット、ブローホールな
どの溶接欠陥を低減でき、また、発生させることなく、
ビード外観を良好にできる薄板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶
接に用いるガスシールドアーク溶接用ワイヤに関する。
従来の技術 鋼板の防錆性を向上させるため熱延あるいは冷延鋼板
の表面に亜鉛メッキを施した亜鉛メッキ鋼板は、屋根板
をはじめ建築材料、電気機器に多く使用されている。近
年では、自動車車体の耐蝕性向上のために、亜鉛メッキ
鋼板が多く使用されるようになり、薄板構造材として、
アーク溶接で接合される機会が多くなっている。亜鉛メ
ッキ鋼板をアーク溶接する場合、亜鉛の沸点(906℃)
が鋼板の融点より低いため、とくに薄板鋼板の溶接が多
く適用される重ね隅肉溶接では、溶接熱影響部から発生
する亜鉛蒸気が溶融池に噴出し、これが溶接金属の凝固
過程で逃げきれずに溶接金属中に残存することによって
ブローホールが形成され、この亜鉛ガスが溶接ビード表
面まで噴出してピットが形成され、これらの溶接欠陥が
多発する傾向がある。これらの欠陥は溶接接合強度の低
下をもたらすだけでなく、開孔したピットは後処理の塗
装での美観を損ない好ましくない。これを防止するため
に、亜鉛メッキ鋼板表面にブローホール防止材を塗布し
たり、鋼板表面の亜鉛メッキ層を機械的に研削除去若し
くはガス炎で燃焼させるなどの鋼板表面の前処理による
方法や、イルミナイト系などの被覆アーク溶接棒を用い
てアーク溶接する方法などがある。
の表面に亜鉛メッキを施した亜鉛メッキ鋼板は、屋根板
をはじめ建築材料、電気機器に多く使用されている。近
年では、自動車車体の耐蝕性向上のために、亜鉛メッキ
鋼板が多く使用されるようになり、薄板構造材として、
アーク溶接で接合される機会が多くなっている。亜鉛メ
ッキ鋼板をアーク溶接する場合、亜鉛の沸点(906℃)
が鋼板の融点より低いため、とくに薄板鋼板の溶接が多
く適用される重ね隅肉溶接では、溶接熱影響部から発生
する亜鉛蒸気が溶融池に噴出し、これが溶接金属の凝固
過程で逃げきれずに溶接金属中に残存することによって
ブローホールが形成され、この亜鉛ガスが溶接ビード表
面まで噴出してピットが形成され、これらの溶接欠陥が
多発する傾向がある。これらの欠陥は溶接接合強度の低
下をもたらすだけでなく、開孔したピットは後処理の塗
装での美観を損ない好ましくない。これを防止するため
に、亜鉛メッキ鋼板表面にブローホール防止材を塗布し
たり、鋼板表面の亜鉛メッキ層を機械的に研削除去若し
くはガス炎で燃焼させるなどの鋼板表面の前処理による
方法や、イルミナイト系などの被覆アーク溶接棒を用い
てアーク溶接する方法などがある。
しかし、ブローホール防止剤を塗布する方法は溶接前
処理だけでなく更に塗装前に洗浄工程が必要になるなど
余分な工程を必要である。亜鉛メッキ層を研削などする
方法は溶接能率の低下や熱による鋼板の歪みの問題など
がある。
処理だけでなく更に塗装前に洗浄工程が必要になるなど
余分な工程を必要である。亜鉛メッキ層を研削などする
方法は溶接能率の低下や熱による鋼板の歪みの問題など
がある。
また、イルミナイト系などの被覆アーク溶接棒を用い
て防止する方法としては、特開昭63−183794号公報に、
添加したBiにより、溶融池の粘性を高めて、亜鉛蒸気の
溶融池中への侵入を防止する方法、特開平1−202394号
公報には、Ni添加、特開平2−20690号公報には、高C
ワイヤ、特開平2−59195号公報には、Nb、Vの添加ワ
イヤが示されている。
て防止する方法としては、特開昭63−183794号公報に、
添加したBiにより、溶融池の粘性を高めて、亜鉛蒸気の
溶融池中への侵入を防止する方法、特開平1−202394号
公報には、Ni添加、特開平2−20690号公報には、高C
ワイヤ、特開平2−59195号公報には、Nb、Vの添加ワ
イヤが示されている。
しかし、はじめのBi添加は、高速溶接を行なった場合
や亜鉛の目付け量が多く噴出するガス量が多くなった場
合には、ブローホールの防止効果が低下し、併せて、発
生するピットも大きくなる。次の高Cワイヤは溶融池で
のCO反応によるスパッタの発生が増加し溶接ビードの外
観が劣化するとともに溶接金属が硬化して好ましくな
い。次のNi、Nb、Vの添加は高価なNi、Nb、Vを多量に
添加するために非常に高価なワイヤとなるだけでなく、
溶接金属が著しく硬化して好ましくない。
や亜鉛の目付け量が多く噴出するガス量が多くなった場
合には、ブローホールの防止効果が低下し、併せて、発
生するピットも大きくなる。次の高Cワイヤは溶融池で
のCO反応によるスパッタの発生が増加し溶接ビードの外
観が劣化するとともに溶接金属が硬化して好ましくな
い。次のNi、Nb、Vの添加は高価なNi、Nb、Vを多量に
添加するために非常に高価なワイヤとなるだけでなく、
溶接金属が著しく硬化して好ましくない。
また、特開昭63−194891号公報には、溶接金属の融点
を1340℃以上になるよう、調整した被覆アーク溶接用ワ
イヤが示されている。
を1340℃以上になるよう、調整した被覆アーク溶接用ワ
イヤが示されている。
しかしながら、合金鋼のように多元成分系を示す溶接
金属では、液相線温度と固相線温度とがへだたり、融点
を明確に定義できないばかりか、求められない。仮り
に、溶接金属を成す合金の一部が溶け出す固相線温度を
融点と見ても、同号証の各実施例に記載されるワイヤの
融点は1343〜1368℃であって、合金鋼としても非常に低
い融点である。従って、この融点は、実施例に記載され
たワイヤ合金成分はそれ以外にも多量の合金成分類が添
加されている場合の融点である。
金属では、液相線温度と固相線温度とがへだたり、融点
を明確に定義できないばかりか、求められない。仮り
に、溶接金属を成す合金の一部が溶け出す固相線温度を
融点と見ても、同号証の各実施例に記載されるワイヤの
融点は1343〜1368℃であって、合金鋼としても非常に低
い融点である。従って、この融点は、実施例に記載され
たワイヤ合金成分はそれ以外にも多量の合金成分類が添
加されている場合の融点である。
このところから、実施と同等の融点を得るために、実
施例に示す成分組成以外に多量のNi、Crを添加したワイ
ヤを作成し確認したところ、ブローホール、ピットの発
生は少なかったものの、高価な合金を2.5%以上も添加
しなければならず、軟鋼の溶接ワイヤとしては適さない
ものであった。また、融点が一般的な軟鋼および低合金
鋼の融点(固相線温度)である1440℃以上の場合には、
全く効果が認められなかった。
施例に示す成分組成以外に多量のNi、Crを添加したワイ
ヤを作成し確認したところ、ブローホール、ピットの発
生は少なかったものの、高価な合金を2.5%以上も添加
しなければならず、軟鋼の溶接ワイヤとしては適さない
ものであった。また、融点が一般的な軟鋼および低合金
鋼の融点(固相線温度)である1440℃以上の場合には、
全く効果が認められなかった。
発明が解決しようとする課題 本発明は上記欠点の解決を目的とし、具体的には、亜
鉛メッキ鋼板をガスシールドアーク溶接する際に、ピッ
ト、ブローホールなどの溶接欠陥がなく、又は最小限に
削減でき、しかも、高能率で達成できるワイヤを提案す
る。
鉛メッキ鋼板をガスシールドアーク溶接する際に、ピッ
ト、ブローホールなどの溶接欠陥がなく、又は最小限に
削減でき、しかも、高能率で達成できるワイヤを提案す
る。
課題を解決するための手段ならびにその作用 そこで、本発明者はこの問題を解決するために、ワイ
ヤの組成について、種々の観点から検討したところ、 重量%で、C:0.12%以下、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.30
〜2.20%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、B:0.0003〜
0.0200%、Ti:0.30%以下、Bi、Seの1種若しくは2種
を0.05%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物か
ら成ること、 C、Si、Mn、P、Sは、上記範囲内において、その上
に、以下の(1)式から算出された固相線温度(℃)
(S.T℃)が1485℃以上になるように、含まれること、 であった。
ヤの組成について、種々の観点から検討したところ、 重量%で、C:0.12%以下、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.30
〜2.20%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、B:0.0003〜
0.0200%、Ti:0.30%以下、Bi、Seの1種若しくは2種
を0.05%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物か
ら成ること、 C、Si、Mn、P、Sは、上記範囲内において、その上
に、以下の(1)式から算出された固相線温度(℃)
(S.T℃)が1485℃以上になるように、含まれること、 であった。
S.T(℃)=1536−{415.5(%C)+12.3(%Si) +6.8(%Mn)+124.5(%P)+183.9(%S)} ……
(1) 以下、これらのところを更に具体的に説明すると、次
の通りである。
(1) 以下、これらのところを更に具体的に説明すると、次
の通りである。
C:C量が多くなると、Cの脱酸反応で発生するCO若しく
はCO2ガスによってスパッタが増大するとともに、溶接
ビードが劣化する。このため、Cは0.12%以下でなけれ
ばならない。
はCO2ガスによってスパッタが増大するとともに、溶接
ビードが劣化する。このため、Cは0.12%以下でなけれ
ばならない。
Si:Siは溶接金属の脱酸剤として必要であるが、0.05%
以下では効果がなく、1.0%を越えると溶接金属の表面
張力が低下し、大きなピットが発生して好ましくない。
以下では効果がなく、1.0%を越えると溶接金属の表面
張力が低下し、大きなピットが発生して好ましくない。
Mn:Mnは、Siと同じように溶接金属の脱酸効果と溶接金
属の強度を向上させる効果がある。しかしながら、0.30
%未満ではその効果がなくブローホールが増大する。2.
20%を越えると溶接金属の強度が上がり過ぎ、薄板溶接
でも継手疲労面で好ましくない。
属の強度を向上させる効果がある。しかしながら、0.30
%未満ではその効果がなくブローホールが増大する。2.
20%を越えると溶接金属の強度が上がり過ぎ、薄板溶接
でも継手疲労面で好ましくない。
P、S:P、Sは溶接金属の割れ性能を劣化させる成分で
あり、出来る限り少ないことが望ましいが、0.030%以
下であれば問題はない。
あり、出来る限り少ないことが望ましいが、0.030%以
下であれば問題はない。
B:Bは、一般に溶接金属の靭性を改善、向上するもので
あるが、本発明ではBがブローホール、ピットの防止に
最も効果のある成分であるところに着目し、このところ
から添加する。
あるが、本発明ではBがブローホール、ピットの防止に
最も効果のある成分であるところに着目し、このところ
から添加する。
すなわち、Bを添加すると、ブローホール、ピットは
大幅に低減する。0.0005%未満では効果がなく、0.0200
%を超えると、ビード外観が劣化するとともに高温割れ
の危険性があり好ましくない。
大幅に低減する。0.0005%未満では効果がなく、0.0200
%を超えると、ビード外観が劣化するとともに高温割れ
の危険性があり好ましくない。
Bi、Se:Bi、Seは少量添加で溶接金属の表面張力を大幅
に低下させるために、ブローホールの発生数な多少減少
する。しかしながら、1m/min以上の如き溶接速度で高速
溶接を行なった場合には残存したブローホールが大きく
開孔し、大きなピットになりやすくビード外観が劣化す
る。このため、Bi又はSeのうちの一種又は総量で0.05%
以下に制限する必要がある。
に低下させるために、ブローホールの発生数な多少減少
する。しかしながら、1m/min以上の如き溶接速度で高速
溶接を行なった場合には残存したブローホールが大きく
開孔し、大きなピットになりやすくビード外観が劣化す
る。このため、Bi又はSeのうちの一種又は総量で0.05%
以下に制限する必要がある。
Ti:CO2溶接でのアーク特性を改善するために、Tiを添加
する。しかしながら、添加量が0.30%を超えると、逆に
アーク特性が劣化してスパッタが増大するとともに、溶
接金属が硬化して好ましくない。
する。しかしながら、添加量が0.30%を超えると、逆に
アーク特性が劣化してスパッタが増大するとともに、溶
接金属が硬化して好ましくない。
固相線温度(℃)(S.T):ブローホールの発生には溶
接金属の凝固温度が影響することに着目した。
接金属の凝固温度が影響することに着目した。
そこで、この影響について研究したところ、まず、亜
鉛ガスの噴出は熱影響部での亜鉛の蒸発が主体である。
このため、亜鉛ガスの時間当りの最大噴出時期は、溶接
アークの通過時点よりも遅れる。その上で、溶接金属の
凝固が亜鉛ガスの最大噴出時期に合致した場合に、最も
ブローホールが発生しやすい。これに反し、溶接金属の
凝固亜鉛ガスの最大噴出時期よりも早いか、あるいは亜
鉛ガスの最大噴出時期よりも遅れる場合に、ブローホー
ルの発生は減少する。
鉛ガスの噴出は熱影響部での亜鉛の蒸発が主体である。
このため、亜鉛ガスの時間当りの最大噴出時期は、溶接
アークの通過時点よりも遅れる。その上で、溶接金属の
凝固が亜鉛ガスの最大噴出時期に合致した場合に、最も
ブローホールが発生しやすい。これに反し、溶接金属の
凝固亜鉛ガスの最大噴出時期よりも早いか、あるいは亜
鉛ガスの最大噴出時期よりも遅れる場合に、ブローホー
ルの発生は減少する。
しかし、溶接金属の凝固は、使用する溶接ワイヤの組
成のみで定めることができず、このほかに、母材の組
成、母材の希釈率、溶接条件などに影響されるため、溶
接金属の凝固温度自体は、溶接ワイヤの組成から必ずし
も一義的に定めることができない。
成のみで定めることができず、このほかに、母材の組
成、母材の希釈率、溶接条件などに影響されるため、溶
接金属の凝固温度自体は、溶接ワイヤの組成から必ずし
も一義的に定めることができない。
そこで、本発明者は、薄板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接
に限ると、溶接金属は凝固条件を、上記(1)式に示す
ように、ワイヤ組成中のC、Si、Mn、PならびにSの各
成分量から求められるワイヤの固相線温度(℃)(S.
T)で規制し、この固相線温度にもとずいて、ブローホ
ールの発生しない条件を求めた。
に限ると、溶接金属は凝固条件を、上記(1)式に示す
ように、ワイヤ組成中のC、Si、Mn、PならびにSの各
成分量から求められるワイヤの固相線温度(℃)(S.
T)で規制し、この固相線温度にもとずいて、ブローホ
ールの発生しない条件を求めた。
なお、ここで、固相線温度は、第3版鉄鋼便覧、第1
巻基礎(社団法人日本鉄鋼協会 昭和58年3月3日第3
刷発行)205頁右欄表4・6に示されるものである。ま
た、この固相線温度は、デンドライト樹間の液相内にお
ける溶質の濃縮に注目し、その凝固点降下度から導かれ
たものである。
巻基礎(社団法人日本鉄鋼協会 昭和58年3月3日第3
刷発行)205頁右欄表4・6に示されるものである。ま
た、この固相線温度は、デンドライト樹間の液相内にお
ける溶質の濃縮に注目し、その凝固点降下度から導かれ
たものである。
この結果、固相線温度が1485℃以上か若しくは1420℃
以下の範囲にあるように、ワイヤ中にC、Si、Mn、Pな
らびにSを配合すると、溶接金属の凝固を亜鉛ガスの最
大噴出時期より早めるか、遅らすことができ、ブローホ
ールの発生を低減できることがわかった。
以下の範囲にあるように、ワイヤ中にC、Si、Mn、Pな
らびにSを配合すると、溶接金属の凝固を亜鉛ガスの最
大噴出時期より早めるか、遅らすことができ、ブローホ
ールの発生を低減できることがわかった。
更に、この条件を吟味したところ、固相線温度が1420
℃以下にしたように配合するには、このほかに、Niなど
の高価な成分を多量に添加しなければならず、実用的に
は、固相線温度が1485℃以上になるように配合するのが
最も好ましかった。
℃以下にしたように配合するには、このほかに、Niなど
の高価な成分を多量に添加しなければならず、実用的に
は、固相線温度が1485℃以上になるように配合するのが
最も好ましかった。
なお、C、Si、Mn、P、Sを上記のように配合するほ
かに、Ni、Cr、Alなどを添加し、後記の(2)式に示す
ワイヤの固相線温度(S.T)が1485℃以上になるように
すると、ブローホールを低減させることができる。しか
し、これら成分は、添加量が多いと高価になるため、こ
れらの添加量の総計は5%以下が望ましい。
かに、Ni、Cr、Alなどを添加し、後記の(2)式に示す
ワイヤの固相線温度(S.T)が1485℃以上になるように
すると、ブローホールを低減させることができる。しか
し、これら成分は、添加量が多いと高価になるため、こ
れらの添加量の総計は5%以下が望ましい。
Ni、Cr、Alなどの成分が添加されたときの固相線温度
(S.T)は、(2)式に示し、(2)式は(1)式と同
様に導かれたものである。
(S.T)は、(2)式に示し、(2)式は(1)式と同
様に導かれたものである。
S.T(℃)=1536−{415.5(%C)+12.3(%Si) +6.8(%Mn)+124.5(%P)+183.9(%S) +4.3(%Ni)+1.4(%Cr)+4.1(%Al)} ……
(2) また、シールドガスはCO2ガスシールドだけでなく、A
r+CO2(5〜50%)混合ガスの所謂MAG溶接においても
同様の効果が認められる。
(2) また、シールドガスはCO2ガスシールドだけでなく、A
r+CO2(5〜50%)混合ガスの所謂MAG溶接においても
同様の効果が認められる。
更に、MAG溶接で使用する溶接用電源は従来のサイリ
スタ電源だけでなく、インバータ制御電源、インバータ
パルス電源でも同等の効果が認められる。
スタ電源だけでなく、インバータ制御電源、インバータ
パルス電源でも同等の効果が認められる。
実 施 例 第1表のA〜Eの本発明に係る組成のものとF〜Kの
比較例の組成との鋼を、5.5mmφのロッドに圧延後、焼
鈍、銅メッキを施しながら冷間伸線で1.2mmφの溶接用
ワイヤにした。これらワイヤを用いて、第2表の溶接条
件で目付け量45g/m2の両面亜鉛メッキ鋼板(厚さ2.0m
m)の重ね隅肉溶接を第1図に示す如く行なった。この
溶接において、溶接ビード表面に発生したピットは目視
で、溶接ビードに内在したブローホールはX線透過試験
で観察した。試験結果は第1表に示す。本発明範囲を満
足するワイヤA〜Eはピット、ブローホールともに少な
く、ビード外観も良好であった。
比較例の組成との鋼を、5.5mmφのロッドに圧延後、焼
鈍、銅メッキを施しながら冷間伸線で1.2mmφの溶接用
ワイヤにした。これらワイヤを用いて、第2表の溶接条
件で目付け量45g/m2の両面亜鉛メッキ鋼板(厚さ2.0m
m)の重ね隅肉溶接を第1図に示す如く行なった。この
溶接において、溶接ビード表面に発生したピットは目視
で、溶接ビードに内在したブローホールはX線透過試験
で観察した。試験結果は第1表に示す。本発明範囲を満
足するワイヤA〜Eはピット、ブローホールともに少な
く、ビード外観も良好であった。
これに対し、比較例のワイヤF〜Kはピット、ブロー
ホールの発生が多く、なかでも、ワイヤKの組成は、本
発明範囲内にあるが、固相線温度が1480℃と低いため、
ワイヤーA、B(固相線温度1485℃、1496℃)と較べる
と、ピット、ブローホールが多く、ビード外観が劣化し
た。
ホールの発生が多く、なかでも、ワイヤKの組成は、本
発明範囲内にあるが、固相線温度が1480℃と低いため、
ワイヤーA、B(固相線温度1485℃、1496℃)と較べる
と、ピット、ブローホールが多く、ビード外観が劣化し
た。
なお、第1図において、符号1は亜鉛メッキ鋼板、2
は溶接ワイヤ、3は溶接ビードを示す。
は溶接ワイヤ、3は溶接ビードを示す。
<発明の効果> 以上詳しく説明した通り、本発明に係るワイヤは、重
量%で、C:0.12%以下、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.30〜2.
20%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、B:0.0003〜0.02
00%、Ti:0.30%以下、Bi、Seの1種若しくは2種を0.0
5%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からな
って、更に、上記の(1)式から算出された固相線温度
(S.T)が1485℃以上になるよう、C、Si、Mn、P、S
を含むものである。
量%で、C:0.12%以下、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.30〜2.
20%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、B:0.0003〜0.02
00%、Ti:0.30%以下、Bi、Seの1種若しくは2種を0.0
5%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からな
って、更に、上記の(1)式から算出された固相線温度
(S.T)が1485℃以上になるよう、C、Si、Mn、P、S
を含むものである。
従って、このワイヤを用いることにより、薄板亜鉛メ
ッキ鋼板の重ね溶接のガスシールドアーク溶接におい
て、用いるワイヤに高価な成分を添加配合することな
く、ピット、ブローホールの欠陥の少ない高能率な溶接
ができる。
ッキ鋼板の重ね溶接のガスシールドアーク溶接におい
て、用いるワイヤに高価な成分を添加配合することな
く、ピット、ブローホールの欠陥の少ない高能率な溶接
ができる。
第1図は本発明に係るワイヤを用いてガスシールドアー
ク溶接する際の一例の説明図である。 符号1……亜鉛メッキ鋼板 2……ワイヤ 3……溶接ビード
ク溶接する際の一例の説明図である。 符号1……亜鉛メッキ鋼板 2……ワイヤ 3……溶接ビード
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、C:0.12%以下、Si:0.05〜1.00
%、Mn:0.30〜2.20%、P:0.030%以下、S:0.030%以
下、B:0.0003〜0.0200%ならびにTi:0.30%以下を含む
ほか、Bi、Seの1種若しくは2種を0.05%以下を含み、
残部がFeおよび不可避的不純物からなって、更に、C、
Si、Mn、P、Sは、以下の式に示す固相線温度(S.T
℃)が1485℃以上になるように含むことを特徴とする薄
板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接に用いるガスシールドアー
ク溶接用ワイヤ。 S.T(℃)=1536−{415.5(%C)+12.3(%Si) +6.8(%Mn)+124.5(%P)+183.9(%S)}
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2261168A JP2526172B2 (ja) | 1990-09-28 | 1990-09-28 | 薄板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接に用いるガスシ―ルドア―ク溶接用ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2261168A JP2526172B2 (ja) | 1990-09-28 | 1990-09-28 | 薄板亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接に用いるガスシ―ルドア―ク溶接用ワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04138893A JPH04138893A (ja) | 1992-05-13 |
JP2526172B2 true JP2526172B2 (ja) | 1996-08-21 |
Family
ID=17358067
Family Applications (1)
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