JPH0415289B2 - - Google Patents

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JPH0415289B2
JPH0415289B2 JP60179369A JP17936985A JPH0415289B2 JP H0415289 B2 JPH0415289 B2 JP H0415289B2 JP 60179369 A JP60179369 A JP 60179369A JP 17936985 A JP17936985 A JP 17936985A JP H0415289 B2 JPH0415289 B2 JP H0415289B2
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spinning
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Hideyuki Nakajima
Yasuyuki Takai
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Katsumi Takano
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、メソフエーズピツチから製造される
繊維横断面に亀裂のない高強度・高弾性率の炭素
繊維に関する。
更に詳細に述べると、本発明は、繊維構造の基
本要素が炭素六角網平面からなり、その繊維横断
面において、褶曲した皺状をなして主としてラジ
アル状に配列した炭素層の構造を形成し、かつ多
結晶黒鉛に特有の三次元的秩序の発達の抑制され
た、メソフエーズピツチから製造された高強度・
高弾性率の炭素繊維に関する。
(従来の技術) 近年、航空機、自動車、その他の急速な発展成
長の結果、それらに必要な種々の物理的性質を併
せもつ材料を望む声が大きくなつてきている。特
に、強い強度と弾性を持ち、同時に軽量で安価な
材料の出現が強く要求されている。
しかし、現在の技術でかかる材料を多量に安定
して供給することはできないので、これに答える
ために複合材料の製造に関する研究が盛んに行わ
れている。
複合材料に使用するために従来知られている最
も有望な材料の1つは、高強度・高弾性率の炭素
繊維であつた。このような高強度・高弾性率の炭
素繊維は、各種マトリツクス(プラスチツク、金
属、カーボンなど)と配合されると他に全く類例
をみない特性を発揮する材料を得ることができ
る。
しかしながら、このような高強度・高弾性率の
炭素繊維は現在極めて高価であり、このことが、
得られる複合材料によつて示されるその顕著な特
性にもかかわらず、広範囲に使用されることに対
する大きな障害となつている。
現在入手できる高強度・高弾性率の炭素繊維
は、その原料が特殊な製造法によつて製糸される
ポリアクリロニトリル繊維が主体であることは公
知の事実である。このポリアクリロニトリル繊維
は、炭素繊維の前駆体として高価であるばかりで
なく、その前駆体から得られる炭素収率の低いこ
と及びそのために複雑な処理工程が必要なこと、
さらに、副生する有毒ガスを処理しなくてはなら
ないこと等が最終生成物の費用を高くする原因と
なつている。
高強度・高弾性率の炭素繊維を安価に製造する
1つの方法として、メソフエーズを含有するピツ
チを原料として製造することも公知の事実であ
る。
(発明が解決しようとする課題) しかるに、このメソフエーズ含有ピツチを原料
として、出口部が拡大していない円形断面のノズ
ルで溶融紡糸し、常法に従つて製造された炭素繊
維は、高い強度及び高い弾性率を付与させるため
に、高温度、例えば2000℃〜3000℃で加熱炭化さ
れて得られるものである。
この処理によつて得られたメソフエーズピツチ
系炭素繊維は、多結晶黒鉛の特徴である炭素六角
網平面の積層の規則性、即ち三次元的秩序(黒鉛
性)があまりにも強く発揮されるために、繊維断
面構造が主としてラジアル状になり、高温度で加
熱炭化すると、炭素層面間の収縮が繊維横断面内
で一定方向に起こり、亀裂が生じやすくなる。こ
のことは実質的に炭素繊維に高い強度を賦与でき
なくなり、生じる炭素繊維は商品価値の無いもの
になつてしまう。
この問題を回避するために、繊維断面構造をラ
ジアル状ではなく、弾性率は低いが亀裂がないラ
ンダム状あるいはオニオン状にすることが研究さ
れており、一般的には、同じピツチであれば紡糸
温度が高くなる程、またノズル内のピツチ流速が
遅くなる程、ラジアル状からランダム状、さらに
オニオン状へ変化すると言われている。
一方、紡糸口金の形状についても研究されてお
り、紡糸ノズル内部の最狭部断面積よりもノズル
出口部断面積が大きい紡糸口金を使用してランダ
ム状あるいはオニオン状の断面構造を有する繊維
を得る方法が開示されている(特開昭59−163422
号公報、特開昭59−168127号公報、特開昭60−
104528号公報)。
また、メソフエーズ含有ピツチから製造される
炭素繊維が、多結晶黒鉛の特徴である三次元的秩
序を有する構造であることは、米国特許4005183
号明細書及び特公昭59−3567号公報に開示されて
いる。
このことは、2500℃より上の温度で加熱炭化さ
れた炭素繊維については、 繊維のX線回折パターンで、特に三次元黒鉛
構造を示す(112)クロス格子線、すなわちシ
ヤープなピークが存在すること、及び 広い(10)帯が2つの異なつた(100)及び
(101)線へ分離することにより明らかであり、
また (002)面の層間隔(d002)も3.37Å以下、通
常3.36〜3.37Åとなり、 電気抵抗も室温で250×10-6Ω・cmより小さ
く、通常150×10-6〜200×10-6Ω・cmである特
徴によつて示されている。
本発明の目的は、前記したようにポリアクリロ
ニトリル繊維から誘導される炭素繊維のように高
価でなく、かつ亀裂の生じないようにしたメソフ
エーズピツチ系高強度・高弾性率の炭素繊維を提
供することにある。
(課題を解決するための手段) 前記の課題は、本発明の特定構造の炭素繊維に
よつて達成される。
すなわち、本発明の炭素繊維は、石油源のピツ
チからメソフエーズ含有ピツチをつくり、その中
のメソフエーズのみを溶融合体させるように熟成
させ、100%メソフエーズを非メソフエーズピツ
チから分離し、紡糸ノズルの最も狭い内部断面積
よりも広い出口部、好ましくは2倍以上広い出口
部の断面積を有する構造の紡糸口金を使用し、
250℃〜350℃の範囲の紡糸温度で、上記分離した
100%メソフエーズピツチを高粘度で、高剪断応
力がかかる適切な条件で溶融紡糸し、紡糸された
100%メソフエーズピツチを不融化炭化すること
によつて得られる。
本発明では、約2000℃以下でのいわゆる炭化処
理及び約2000℃以上でのいわゆる黒鉛化処理を総
称して炭化と言い、この炭化後の繊維を炭素繊維
と言う。
本発明の炭素繊維の構造の基本要素は、 (a) 炭素六角網平面(炭素六角環が縮合環を形成
して出来た平面)で、繊維軸方向にはメソフエ
ーズピツチ系炭素繊維の特徴である炭素六角網
平面が高度に配向した構造をとり、 (b) 繊維横断面内においては、上記炭素六角網平
面が褶曲半径15Å〜200Å、好ましくは20〜150
Åの範囲で褶曲した皺状をなして主としてラジ
アル状に積層・配列した炭素層構造を形成して
おり、 (c) 上記のような構造のために、2000℃〜3000
℃、好ましくは2300℃〜2800℃で加熱炭化され
たものであつても、多結晶黒鉛の三次元的秩序
の発達が抑制され、 (イ) 電子線回折パターン及びX線回折パターン
において、(10)帯が2つの異なる(100)と
(101)線に分離しておらず、 (ロ) (002)面の層間隔(d002)が3.38Å以上、 (ハ) 電気抵抗が室温で250×10-6Ω・cm以上、 (ニ) さらに、繊維軸に直角方向に磁場をかけて
測定される磁気抵抗率が、測定温度4.2〓
(液体ヘリウム温度)〜300〓で、且つ0KG
〜8KGの磁場で常に負の値をとる構造、つ
まり巨視的にも又微視的にも多結晶黒鉛の特
徴を有していないことを特徴とする、高強
度・高弾性率のメソフエーズピツチ系炭素繊
維である。
前記本発明の特定構造の炭素繊維を製造するに
は、その繊維の紡糸段階において、紡糸ノズルの
最も狭い内部断面より広い出口部の断面を有する
構造の紡糸ノズルを使用し、口金形状に応じて適
切に選定した紡糸条件、例えば、250〜350℃の範
囲の紡糸温度で、紡糸温度を低くすると共に紡糸
速度(ノズル内のピツチ流速)を速くすると言う
紡糸条件で紡糸を行つて、メソフエーズピツチが
従来の紡糸条件に比較して極めて高粘度となりか
つノズル内の剪断応力が極めて大きくなる条件を
採用した。
これまでは、繊維横断面構造がラジアル状にな
るのを避け、また紡糸を容易にするために、一般
に粘度が約10〜300ポイズの範囲でできるだけ低
くなり、ノズル内の剪断応力が小さくなる紡糸条
件を選定するのが通常であつたのに対して、本発
明では逆に粘度を高くし紡糸速度を速くすること
によつてノズル内の剪断応力を大きくし、出口径
の拡大された紡糸口金を使用した結果、繊維横断
面構造が主としてラジアル状であるにもかかわら
ず、炭素層が褶曲しているために亀裂のない新し
い構造の繊維が得られたのである。
本発明の繊維がこのような特異な構造となる理
由として、次のことが考えられる。
ノズル内のピツチの粘度が高く、ノズル内のピ
ツチの流速が速いので、ノズル内のせん断応力が
大きくなつて、ノズル内の最狭部では炭素層のラ
ジアル配向が強められる。そして、ノズル出口部
の流路拡大部では、せん断応力が急激に減少する
ので、ピツチの粘度が低ければ炭素層が動き易
く、通常の紡糸の場合と同様に配向が乱れてラン
ダム構造に向かうと考えられる。
ところが、紡糸温度が低く調整されているの
で、ピツチの粘度が高くなり、また、ピツチは出
口部では急速に冷却されるので、益々粘度が高く
なる。その結果、炭素層は配向の大きな変動を起
こすことができなくて、主としてラジアル配向の
まま固化されてしまう。この結果、剪断応力の急
激な減少による影響が炭素層の褶曲などの特異な
断面構造となつて現れたものと考えられる。
なお、ノズル出口部での急激な冷却のために、
例えば特開昭59−163423号公報に開示されている
ように、紡糸口金に直接冷却気体を吹きつける方
法が効果的である。
本発明の炭素繊維を製造するのに用いることの
できる紡糸ノズル、即ち、前記紡糸ノズルの最も
狭い内部断面よりも広い出口部の断面を有する構
造の紡糸ノズルの例を示すと、添付の第1図、第
5図又は第6図の如きものである。
繊維断面の製造について更に詳細に説明する。
炭素六角網平面が褶曲し、皺状の炭素層面をなす
構造を観察するには、走査電子顕微鏡(SEM)
のような表面のみの観察では確認できず、通常透
過型電子顕微鏡(TEM)による(002)回折線を
用いた暗視野像観察によつて確認され、その褶曲
した大きさ(褶曲半径)もその像から求められ
る。
すなわち、上記の構造は、繊維を樹脂に含浸さ
せ、次いでこれをミクロトームにより繊維軸方向
に薄片として切り出し、TEM内の試料位置にセ
ツトし、電子顕微鏡の光学系を(002)面の暗視
野像観察する位置にセツトすることにより観察さ
れる。また、繊維試料をめのう乳鉢で粉砕し、こ
れを電子顕微鏡グリツト上にマウントして上記と
同様に観察することもできる。
通常、透過型電子顕微鏡の像は、光軸上に対物
絞りを挿入し、試料を透過した電子線のみによつ
て像を作製する。これを明視野像とよび、回折を
起こした部分は像の上で暗く見える。これに対し
て対物絞りをずらせて、回折を起こした電子線に
より像を作るものを暗視野像といい、暗い背景の
中に、回折を起こした部分が明るく像として観察
され、これにより回折を起こした結晶面の形状
(厚さ、長さ、褶曲半径)を知ることができる。
褶曲した構造をとると、この(002)面の暗視
野像の中に繊維軸に沿つて白く輝く領域が観察さ
れ(添付の第8図参照)、その白く輝く領域の間
隔が続々と狭く観察されればされる程褶曲する度
合いが激しいことを表しており、その間隔の長さ
を測定することにより、褶曲直径が求められる。
このような現象は、A.オバランらによつてポ
リアクリロニトリル繊維から製造した高弾性率の
炭素繊維(Fibre Science and Technology 20
(1984)177〜198p)については論じられている
が、メソフエーズピツチ系炭素繊維については今
迄知られていない。
ポリアクリロニトリル繊維からの炭素繊維で
は、A.オバランが示すように断面が褶曲した構
造をとつているが、ポリアクリロニトリル繊維そ
のものが黒鉛化しにくく本来「非黒鉛性」のもの
であり、繊維軸方向に対する結晶の配列性も悪
く、本質的には、高弾性率の特性を賦与しえない
ものである。
前述のように、本発明によると、100%メソフ
エーズピツチを原料として、内部ノズルの最狭部
断面積よりノズル出口部断面積が、好ましくは2
倍以上広い紡糸口金を使用し、口金形状に応じて
適切に選定した条件で紡糸し、常法に従つて不融
化、炭化すると、(002)面暗視野像観察により、
繊維横断面において、その基本要素が炭素六角網
平面からなり、その炭素六角網平面が15Å〜200
Åと短い褶曲半径をもつて褶曲した皺状になつて
主としてラジアル状に積層・配列した炭素層面か
らなる構造をもつ炭素繊維が得られる。
このように褶曲した特異な構造のために、2000
℃〜3000℃に加熱炭化されたものであつても、褶
曲しているので炭素層面間の収縮が内部歪みのた
めに顕著に起こらない。すなわち、これは本来の
黒鉛化性を著しく抑制する効果を賦与せしめ得る
ものである。
また、このように褶曲した特異な構造のため
に、繊維横断面内での収縮が円周方向のみばかり
でなく直径方向にも同時に行われるために、たと
え断面構造が主としてラジアル状の繊維であつて
も、繊維の割れ及び割れの進展が防がれる。これ
は、(002)面の層間隔(d002)の収縮が湾曲した
層面の内部歪のために妨げられているからであ
る。
褶曲半径が200Åを越えると、高温で炭化した
場合の黒鉛化性を抑制する効果が小さくなるので
好ましくない。また、本発明の炭素繊維では、褶
曲半径が15Åより小さいものは余り観察されず、
これは炭素層の構造上何らかの制約を受けるため
ではないかと推測される。
さらに、本発明の炭素繊維は、繊維軸方向につ
いては網平面の配列が通常のメソフエーズピツチ
特有の長い配列をした構造を保持している(添付
の第9図参考)。これらの特異な断面構造により
繊維内に発生しうるマイクロクラツクの伝播抵抗
を著しく増加した構造が付与されるので、炭素繊
維に高い強度及びメソフエーズピツチ特有の高い
配向性がそのまま保持されており、炭素繊維に高
い弾性率を付与することができる。
即ち、従来のメソフエーズピツチ系炭素繊維の
著しい特徴であるその高い黒鉛化性を、褶曲した
特異な層面構造を与えるという微視的構造の制御
によつて顕著に抑制することで、従来のメソフエ
ーズピツチ系炭素繊維にない広い温度範囲での応
用上きわめて有意義な高強度、高伸度を特徴とし
た新しいメソフエーズピツチ系炭素繊維が提供可
能になつた。
紡糸条件と褶曲などの炭素層構造との相関につ
いては、いまだ完全には解明されていないが、適
切な条件を選定することにより、巨視的な構造の
種類にかかわらず褶曲が得られるが、褶曲の効果
がラジアル状の炭素配列をした断面構造の場合
に、著しく得られるこことは明らかである。
本発明の炭素繊維は、2000℃〜3000℃で加熱炭
化されたものであつても、繊維軸方向への網平面
の配列は十分長く、この横断面が褶曲した特異な
構造をとるために、繊維横断面内での収縮が円周
方向の一定方向のみでなく直径方向にも起こり、
更に、炭素層面間の収縮も湾曲した層面の内部歪
みのために著しく妨げられ、多結晶黒鉛の特徴で
ある三次元的秩序を有する炭素繊維よりもその収
縮の割合が少なく、多結晶黒鉛の特徴である三次
元的秩序の発達が抑制された構造になる。
これは、電子線回折パターン及びX線回折パタ
ーンにおいて、 (イ) (10)帯が2つの異なつた(100)と(101)線に
分離していないこと(添付の第10図参照)、
さらに、 (ロ) (002)面の層間隔(d002)も上記の各パタ
ーンから常法に従い求めると、3.38Å以上であ
り、 (ハ) 電気抵抗も室温で250×10-6Ω・cm以上であ
り、かつ (ニ) 繊維軸に直角方向に磁場をかけて測定される
磁気抵抗率も常に負の値をとることから、明瞭
に確認されることである。
ここでいう磁気抵抗率について詳細に説明す
る。磁気抵抗率とは、外部磁界を印加した場合の
炭素繊維の電気抵抗をρHΩ・cm、印加しない場
合の電気抵抗をρ0Ω・cmとすると、次式で表され
る。
磁気抵抗率(%)=ρH−ρ0/ρ0×100 これはM.Endoら(J.Phys.D:Appl.Phys.,15
(1982)353〜363p)によつて述べられているよ
うに、正の磁気抵抗効果は、黒鉛構造が形成さ
れ、三次元的秩序を有している部分が乱層構造を
形成する部分より相対的に多い場合に現れる。一
方、負の磁気抵抗効果は、逆に乱層構造部分が黒
鉛構造部分よりも多い場合に現れ、従つて乱層構
造部分が相対的に多ければ多いほど負の磁気抵抗
効果も大きくなる。
本発明の炭素繊維では、外部磁界を変化させて
も、さらに、磁気抵抗率が測定温度4.2〓〜300〓
間でも常に負の値をとつており、磁気抵抗率から
も多結晶黒鉛の特徴である三次元的秩序の発達が
著しく抑制された乱層構造炭素の特徴が保持され
ていることが明瞭に確認される。
本発明を下記の実施例、比較例により具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を制限するも
のでない。
実施例 1 減圧軽油の熱接触分解(FCC)で副生される
残渣炭素物質の石油系ピツチ(初留404℃乃至終
留560℃以下)の留分にリサイクル低級炭化水素
ガスを送入しながら、加熱温度400℃で2時間加
熱処理し、次にこれを320℃で10時間加熱してメ
ソフエーズを熟成する。
得られたメソフエーズ中に、石油系ピツチ中に
混入している熱接触分解触媒の微少の無機質固形
物及び分子量の大きな有機物を包含せしめて分離
し、精製する。
得られたピツチを加熱温度400℃で6時間熱処
理して、メソフエーズを45.2%含有するピツチを
作る。
さらに、熟成処理して粘度の差(温度308℃で
メソフエーズ108ポイズ、非メソフエーズ10ポイ
ズ)によつて100%メソフエーズを分離する。
これを原料として添付第5図のノズル(ノズル
入口部直径2.5mm、ノズル最狭部直径が0.15mm、
最狭部の長さが0.3mm、出口直径が0.3mm)を使用
し、紡糸温度290℃、紡糸速度500m/分で紡糸
し、このフイラメント原糸を300℃で不融化し、
2800℃で炭化して炭素繊維を得た。
この繊維の断面を走査電子顕微鏡(SEM)を
使用し観察したところ、添付第7図に示すよう
に、主としてラジアル状の形状をとつていた。こ
の炭素繊維の強度は340kgf/mm2、弾性率75×
103kgf/mm2、伸度0.45%であつた。
同じ方法で製作した炭素繊維の薄片をミクロト
ームで作製し、透過型電子顕微鏡で(002)面暗
視野像を観察したところ、添付第8図に示すよう
に、輝く領域の間隔は30〜100Åであり、繊維断
面が短い周期を有し、皺状の層をなし褶曲した構
造をとつていた。
同じ手法で電子線回折パターンを見ると、添付
第10図に示すように、(10)帯が2つの異なつた
(100)と(101)線に分離していなかつた。
同じ方法で製作した炭素繊維のX線回折から構
造パラメーターを測定したところ、層寸法Laが
550Åと繊維軸方向に十分に長く配列しており、
積層高さLc002が350Åであり、(002)面の層間隔
(d002)は3.39Åであつた。
この炭素繊維の電気抵抗は、室温で330×
10-6Ω・cmであつた。また、磁気抵抗率は77〓で
3KGの磁界では−0.07%、8KSの磁界では−0.3
%であつた。
実施例 2 実施例1で使用したメソフエーズピツチを原料
として添付第1図の紡糸口金ノズルを使用し、紡
糸温度290℃、紡糸速度500m/分で紡糸し、この
フイラメント原糸を300℃で不融化し、3000℃で
炭化した。
得られた炭素繊維の断面の炭素の配列が、主と
してラジアル状の層構造をなし、この長繊維の強
度が345kgf/mm2、弾性率が78×103kgf/mm2、伸度
が0.43%で、しかも磁気抵抗率が77〓、8KGで−
0.2%の全く亀裂のない、極めて高強度、高弾性
率の炭素繊維を製造することができた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、炭素層
は25〜80Åの周期で褶曲しており、(10)帯は(100)
と(101)線に分離しておらず、d002は3.39Å、電
気抵抗は室温で320×10-6Ω・cmであつた。
比較例 1 実施例1で得られた100%メソフエーズピツチ
を原料として出口が拡大していない内径0.3mmφ
の横断面円形の紡糸口金ノズルを使用し、紡糸温
度303℃、紡糸速度280m/分で紡糸する。
このフイラメント原糸を300℃で不融化し、
2800℃で炭化して、製造した炭素繊維の断面は、
炭素の配列がラジアル状であるが(添付第4図参
照)、炭素層は褶曲しておらず、約90゜の角度の亀
裂を生じており、その強度は172Kgf/mm2、弾性
率41tf/mm2、伸度0.42%であつた。
比較例 2 実施例1で得られた100%メソフエーズピツチ
を原料として添付第1図の紡糸口金ノズルを使用
し、比較例1と同じ紡糸条件、不融化条件、炭化
条件で製造した炭素繊維の断面の炭素の配列が、
ランダム状一部分オニオン状の層構造を有し、そ
の長繊維の強度332Kgf/mm2、弾性率75.4tf/mm2
伸度0.44%の、全く亀裂の無い高強度・高弾性率
の炭素繊維を製造することが出来た。
この炭素繊維の炭素層には、短い周期での褶曲
は観測されなかつた。
以上の結果から明らかなように、本発明の特異
な断面構造を有する炭素繊維は、比較例1〜2に
示された従来のそれに対して、その繊維構造の特
異性からみて極めて優れた繊維を提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に使用される紡糸口金ノズル
の一例の中心を通る縦断面図である。第2図は同
じノズルの出口部の詳細を示す拡大断面図であ
る。第3図は、同じノズルを用いて製造された、
比較例2によるランダム構造の炭素繊維の断面図
を表す繊維の形状写真である。第4図は、第1図
のノズルと同形状であるが内径0.3mmの出口拡大
部のない紡糸口金ノズルを用いて製造された比較
例1による、約90゜角の亀裂の入つた炭素繊維の
断面図を表す繊維の形状写真である。第5図、第
6図は、本発明を実施するための他の型の紡糸口
金ノズルの縦断面図である。第7図は、本発明で
出口拡大部のあるノズルを使つて、実施例1で得
られた炭素繊維のフイラメントヤーンの断面図を
表す繊維の形状写真である。第8図は、本発明の
炭素繊維の(002)面の暗視野像からなる結晶構
造写真である。第9図は、本発明の炭素繊維の
(002)面の格子像からなる結晶構造写真である。
第10図は、本発明の炭素繊維の電子回折像から
なる結晶構造写真である。第11図は、ポリクリ
スタリングラフアイトの三次元構造のモデルの透
視図である。 1……ノズル入口、2……ノズル孔の円筒部、
3……ノズル孔2に続く倒立円錐部(円錐角
60゜)、4……ノズル孔3に続く円筒部、5……ノ
ズル孔4に続く倒立円錐形の出口。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (a) 繊維構造の基本要素が炭素六角網平面か
    らなり、 (b) 繊維横断面において、この炭素六角網平面が
    15〜200Åの褶曲半径をもつて褶曲した皺状を
    なして主としてラジアル状に配列した炭素層構
    造を形成しており、かつ (c) 電子線回折パターン及びX線回折パターンに
    おいて(10)帯が2つの異なつた(100)と(101)
    線に分離しておらず、 (d) (002)面の層間隔(d002)が3.38Å以上、 (e) 電気抵抗が室温で250×10-6Ω・cm以上、 (f) 更に繊維軸に直角方向に磁場をかけて測定さ
    れる磁気抵抗率が、測定温度4.2〓(液体ヘリ
    ウム温度)〜300〓でかつ0〜8KGの磁場で、
    常に負の値をとる ことを特徴とする、メソフエーズピツチ系炭素繊
    維。
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