JPH0414981B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は締具、特に歯科の分野等で使用される
締具に関する。

＜従来の技術＞ 締具の一公知例としてスイス特許581463に開示
されたものがある。この公知締具は球状の締付部
を有する。この締付部は、受スリーブの切欠に半
径方向に変位可能に収められている。予め受スリ
ーブに挿入された被締物シヤフトを、斜路の作用
でこの締付部が押圧する。種々の形状や異なる直
径の被締物シヤフトに対し、握持できることを目
的として、この公知締具は開発された。

しかしながら、実際のところこの公知締具の目
的は十分には達成されていない。それは下記複数
の理由による。

まず、公知締具では締付部が球状であるため、
締付部と被締物シヤフトとは一点接触である。こ
のため、被締物シヤフトを確実に握持するには、
非常に強い押圧力を要する。

また公知締具では、被締物シヤフトの径が変わ
つた場合、締付部を半径方向に大きく変位させる
必要がある。この大きな変位には、当然のことな
がら強い力が必要となる。手によりこのような強
い力を出すのは負担である。

さらに公知締具では、球状締付部と斜路との接
触により、強い軸方向の力が被締物シヤフトにか
かる。このため、この強い力に見合う十分な支持
力を被締物シヤフトと受スリーブの間に発生させ
る必要がある。各部材を大型化してこれに対処す
ることも考えられるが、これは現実的でない。

＜発明が解決しようとする問題点＞ 本発明は上記公知技術の欠点を解消するために
なされたものであり、その目的は被締物を容易か
つ確実に握持でき、しかも小型である締具を提供
することにある。

＜問題点を解決するための手段及び作用＞ 本発明の締具は棒状の締付部を備える。棒状で
あるため締付部は被締具と通常２点接触をする。
前記公知技術における１点接触と比べて、この２
点接触では、接触部における面圧を低くでき、同
時に被締物がより確実に握持される。接触する２
点が被締物の軸方向に離れて位置するよう設定さ
れており、これによつても被締物の確実な握持が
保証される。

また本発明の締具では、締付部が棒状であるた
め、締付部が被締物と接触するのに要する移動距
離を小さくできる。これは同時に、くぼみや凹所
のある被締物を握持することを可能にする。

さらに本発明の締具では、被締物に加わる特に
軸方向の押圧力を低くできる。これは基本的に
は、締付部が棒状であることによる。

また本発明の締具は斜路を有する。この斜路は
締付部に対し半径方向内側への力を付与し、した
がつて締付部を被締物に向かつて押しやるよう作
用する。ここで斜路は締具軸方向に対して傾くよ
う設定されている。したがつて締付部はスイベル
（旋回）変位が可能であり、この変位が規定する
範囲内のいずれかの位置で被締物を握持する。と
ころでドイツ特許905528には、棒状締付部を有す
る締具が開示されている。このドイツ特許の締具
では、締付部と共働する斜路が締具軸線と平行に
形成されている。このドイツ特許における斜路
は、明らかに本発明における斜路と相違する。ド
イツ特許の場合、斜路が締具軸線と平行であるた
め、締付部は軸方向でのみ作用する。したがつ
て、ドイツ特許における締付部は、本発明におけ
る締付部と異なり、スイベル（旋回）変位を行い
得ない。

本発明の締具では、締付部がスイベル（旋回）
変位可能であるため、被締物の形状に応じて締付
部が適宜に移動し、したがつて種々形状の被締物
が確実に握持される。同時に接触部での面圧も低
くすることができる。

本発明の締具では、各締付部に対して斜路を２
つ設け、これら斜路を相対的に軸方向に動けるよ
うに構成してもよい。

本発明の締具では、締付部の支持構造を斜路の
外側から動かし得るよう構成してもよい。また被
締物が挿入される受スリーブ内の空間に、締付部
全体が飛び出してしまわないように構成してもよ
い。

本発明の締具では、ばねにより斜路を締付部方
向へ付勢し、もつて最終的な握持力を得るよう構
成してもよい。この場合、被締物の握持に人力は
不要である。また、被締物の取外しを押圧部を操
作して行うよう構成してもよい。好ましくは、こ
の押圧部は締具握持部に近接させ、締具を持ちな
がら、締具を持つ手の指で押圧部を操作すること
ができるようにする。

本発明の締具では、斜路は好ましくは簡単な構
造であり、したがつてその形成は容易である。ま
た、被締物を振動回転するように構成してもよ
い。この場合、受スリーブは回転シャフトとして
作用する。

本発明の締具では、駆動シヤフトの一方向の回
転運動が被締物の振動回転運動もしくは揺動運動
に変換されるように構成してもよい。この場合、
駆動シヤフトに偏心カムが設けられ、このカムが
受スリーブに形成された縦溝に嵌込み、受スリー
ブに係合するよう構成される。

本発明の締具では、過負荷などの場合に駆動機
構内の結合が切れるように構成してもよい。具体
的には、駆動機構内の偏心カムが付勢ばねに抗し
て変位でき、異常時等に駆動結合が切れるように
構成してもよい。

＜実施例＞ 図示されるように、握持部１はヘツドスリーブ
２と握持スリーブ３を備える。駆動シヤフト４，
５がこの握持部１内に設けられ、また角駆動部７
が曲折部６に配置されている。本発明の締具は、
ヘツドスリーブ２の頭部８に設けられている。こ
の頭部８内には、被締物１１を受けるスリーブ９
が収められている。受スリーブ９は摩擦ベアリン
グを介して頭部８に支持され、被締物１１の軸１
２を中心として回転できるようになつている。そ
して受スリーブ９は、連結駆動部１３を通じて駆
動される。

本発明締具の主部１４は、受スリーブ９、アダ
プタ１５、３つの締付部１６、および２つの斜路
１７，１８を有する。アダプタ１５は同心的に受
スリーブ９内に収められている。各締付部１６は
部分円に沿つて等間隔に配置されている。後述す
るように、斜路１７，１８は締付部１６の端面１
９，２１と共働する。斜路１７，１８は締具軸線
もしくは被締物軸線１２に対して傾くように設定
されている。

受スリーブ９は外部分２３と内部分から構成さ
れている。この内部分はアダプタ１５により形成
されている。アダプタ１５は、外部分２３内で軸
方向に変位可能に支持されている。

互いに対向するような角度に設定された傾斜面
２５，２６により斜路１７，１８が形成されてい
る。被締物１１の先端２２からは遠方に位置する
斜路１７は、受スリーブ９の内面（シヨルダ２
０）に形成されている。一方、被締物１１の先端
２２から近い位置にある斜路１８は、斜路１７に
対向する環状シヨルダ２４の端面に形成されてい
る。ここで環状シヨルダ２４はアダプタ１５上に
支持されており、シヨルダ２４上の斜路２６は環
状である。

締付部１６は棒状、例えば両先端が細く中央が
太い葉巻たばこ形状であり、被締物軸１２方向に
延びている。締付部１６の端面１９，２１には丸
みがつけられており、またこれら端面が部分的に
斜路１７，１８と同一形状になつている。アダプ
タ１５には半径方向に切欠２９が設けられ、一方
受スリーブ９の内側には凹所３０が設けられてい
る。締付部１６はこれら切欠２９と凹所３０に収
められている。ここで凹所３０の前方面が、円錐
状の斜路１７，１８を形成している。したがつ
て、被締物のシヤフト２７，２８を収容する受空
間３１内に突出する位置に締付部１６が配されて
いる。締付部１６の断面は円形である。切欠２９
の幅は締付部１６の直径ｄよりもやや小さく設定
され、したがつて締付部１６の全体が受空間３１
内に飛出す恐はない。

各締付部１６を均一に半径方向内側に変位させ
ると、被締物のシヤフト２７，２８がこれらの間
で締付けられる。軸方向に可動である可動斜路を
形成する斜路１８を斜路１７に向かつて変位させ
ると、締付部１６が内側へ動く。

締付部１６は半径方向の面内で軸旋回可能であ
つて、第７図円弧状矢印で示されるように、軸１
２に対する角度が変わり得るようになつている。
したがつて、被締物のシヤフト２７，２８の形状
に応じて、この形状に合つた位置へ締付部１６が
移動する。第２図は、円形シヤフト２８を有する
一般的な被締物３２の場合を示している。この場
合、締付部１６が棒状であるため、締付部１６は
直線に沿つてシヤフト２８の握持面に接触する。

第１図に示される被締物１１は、握持性向上の
ためくびれ構造のシヤフトを有している。この場
合、図示されるように、締付部１６は軸１２に対
して傾いた位置をとり、シヤフト２７とは２点接
触である。圧縮ばね３３が斜路１８に向かつて斜
路１７を付勢しており、これによりシヤフト２７
または２８に締付部１６が押圧される。被締物シ
ヤフトの中心がぶれないようにかつこれが受スリ
ーブと共に回転するように、ここでの締付力が設
定され、弾性的な締付力を得ている。

本発明締具の一利点は、自動かつ弾性的な握持
作用にある。すなわち、本発明締具では、締付部
を握持位置へ動かす作業は不要である。種々の被
締物のそれぞれ異なる直径Ｄのシヤフトに対して
も、本発明締具は中心をぶらすことなくこれらを
握持することができる。

被締物の握持部の形状に合わせて締付部１６が
移動するので、本発明締具は種々形状の被締物を
確実に強固に握持することができる。また、距離
Ｃをもつて互いに隔られかつ軸１２に直交する面
Ｅ１，Ｅ２にてシヤフト２７が締付けられるの
で、被締付物１１が安定して握持され、特に受空
間２９の直径Ｄ１より小さな径Ｄをもつシヤフト
に対しこの安定握持作用は有効である。

第７図において、締付部１６の最外方位置と最
内方位置との差は記号ｆで示されている。この差
ｆにより規定される範囲内を締付部１６は動くこ
とができ、したがつて種々の径のシヤフトを握持
できる。ここで、握持可能なシヤフト２７，２８
の最大径は握持可能なシヤフト２７，２８の最小
径の２倍である。

被締物の先端２２からは遠い側のアダプタ１５
の端部に押圧部３７が設けられている。頭部８内
の凹所３８が押圧部３７の外形に合わせて形成さ
れており、押圧部３７はこの凹所３８に挿入可能
となつている。圧縮ばね３３がこの押圧部３７と
受スリーブ９の間に介装されている。頭部８には
シヨルダ３９が設けられ、ここに受スリーブ９が
支持されている。このようにして、頭部８内にて
受スリーブ９を介して圧縮ばね３３が支持される
と共に、この圧縮ばね３３が被締物先端２２から
は遠い側で押圧部３７を係止する。被締物３２，
１１を挿入し装着するには、まず握持部１を持つ
手の指で押圧部３７を滑らせ、締付部１６を解放
状態にする。ついで、シヤフト２７，２８を挿入
する。締付部１６の端面１９，２１が円錐状であ
るため、シヤフト挿入時に締付部１６は半径方向
外側に押しやられる。押圧部３７を挿入した状態
においても、被締物１１，３２は簡単に取外すこ
とができる。

駆動シヤフト５には偏心カムが設けられてい
る。屋根状の斜面４２がこの偏心カム４１に形成
されている。偏心カム４１は連結駆動部１３内に
収められている。また偏心カム４１はスリーブ４
３に固定されている。スリーブ４３は軸方向に可
動であるが、駆動シヤフト５の回転に対してはこ
れと一体的に動くように構成されている。またス
リーブ４３は圧縮ばね４４により受スリーブ９方
向に付勢されている。受スリーブ９はその周面に
縦溝４５を有する。この縦溝４５は偏心カム４１
のＶ字形状と同一形状に設定され、これにより偏
心カム４１と受スリーブ９がロツク結合される。
駆動シヤフト５と共に偏心カム４１が回転する
と、受スリーブ９が偏心カム４１の動きに追従す
る。この時、偏心カム４１の回転運動が受スリー
ブ９の揺動運動もしくは振動回転運動に変換され
る。

被締物１１，３２への荷重が過大になつた場合
などは、駆動結合は自動的に緩められる。偏心カ
ム４１を支持するスリーブ４３が縦方向に動ける
構成、ならびに斜面４２を設けた構成が、この駆
動結合の自動緩和作用を可能にする。この作用を
信頼性の高いものとするには、圧縮ばね４４の力
特性を適宜に選定する必要がある。

＜発明の効果＞ 以上説明したことから明らかなように、本発明
締具によれば、被締物を簡単に装着でき、また
種々形状の被締物を確実に握持することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明締具を備えた締付装置の要部断
面図である。第２図は一般的なシヤフトの被締物
を握持した状態での本発明締具の要部断面図であ
る。第３図は第１図の被締物を詳細に示す側面図
である。第４図は第２図の被締物を詳細に示す側
面図である。第５図は本発明締具を詳細に示す断
面図である。第６図は第５図−線に沿つての
断面図である。第７図は本発明締具の要部拡大断
面図である。 １……握持部、８……ヘツドスリーブ頭部、９
……受スリーブ、１５……アダプタ、１６……締
付部、１７，１８……斜路、３３……圧縮ばね、
３７……押圧部、４１……偏心カム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 握持部と、該握持部に回転可能に支持されか
   つ被締物が挿入される受スリーブと、該受スリー
   ブに接続され該受スリーブを動かす連結駆動部
   と、前記受スリーブに設けられ軸線に対して互い
   に反対に傾斜して延在する２つの斜路と、前記受
   スリーブと前記被締物との間に配置され軸線方向
   に延びる棒状締付部とを備え、前記２つの斜路が
   夫々前記締付部の両端に対応した位置に形成さ
   れ、前記締付部は横断面が円形で両先端が細く中
   央が太い葉巻たばこ形状に形成され、かつ端面が
   斜路の傾斜になじむ形状に形成され、前記被締物
   の挿入時に前記締付部と前記斜路との接触により
   前記締付部が前記被締物の方へ半径方向内側の押
   圧力を付与されることを特徴とする締具。 ２ 前記締付部が前記受スリーブの内部に軸方向
   に相対移動可能に設けたアダプタに貫通形成され
   た切欠に挿入されることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載の締具。 ３ 前記切欠の幅が、締付部の幅より小さく設定
   されたことを特徴とする特許請求の範囲第２項に
   記載の締具。 ４ 前記斜路の少なくとも一部がアダプタに形成
   されたことを特徴とする特許請求の範囲第２項に
   記載の締具。 ５ 締具の先端の前記斜路が幅方向に可動である
   可動斜路であることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載の締具。 ６ 前記握持部が頭部を備え、また可動斜路に作
   用する調整部が設けられ、そしてこの調整部が被
   締物先端からは遠い方の前記頭部の端部に位置し
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第５項に
   記載の締具。 ７ 前記調整部がアダプタにより構成されている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第６項に記載の
   締具。 ８ 前記可動斜路がばねにより締付部方向に付勢
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第５
   項に記載の締具。 ９ 前記調整部が前記頭部の端部にて押圧部を有
   することを特徴とする特許請求の範囲第６項に記
   載の締具。 １０ 前記ばねが押圧部と頭部の間に介装され
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第９項に
   記載の締具。 １１ 前記ばねが前記受スリーブに支持されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第９項に記載
   の締具。 １２ 前記頭部が被締物先端よりも遠い側にて調
   整部もしくは押圧部によりカバーされていること
   を特徴とする特許請求の範囲第９項に記載の締
   具。 １３ 前記締付部が前記受スリーブに形成された
   凹所に配置され、またこの凹所の軸方向端部が斜
   路により形成されていることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項に記載の締具。 １４ 前記斜路がアダプタ上の環状面により形成
   されることを特徴とする特許請求の範囲第２項に
   記載の締具。 １５ 前記締付部が複数設けられ、これらの締付
   部が部分円に沿つて等間隔に配置されていること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の締
   具。 １６ 前記受スリーブが頭部内に回転可能に支持
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第６
   項に記載の締具。 １７ 連結駆動部が受スリーブに回転運動を付与
   するように構成されていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１６項に記載の締具。 １８ 前記連結駆動部が駆動シヤフトを有し、ま
   たこの駆動シヤフトに偏心カムが設けられ、この
   偏心カムが受スリーブに形成された軸方向長溝に
   嵌め込んでいることを特徴とする特許請求の範囲
   第１７項に記載の締具。 １９ 前記カムが略Ｖ字形の屋根状斜面を有して
   おり、前記長溝がこれと同一形状に設定され、ま
   たカムが駆動シヤフトに沿つての案内部へと変位
   可能に導かれており、さらにばねが長溝方向にカ
   ムを付勢することを特徴とする特許請求の範囲第
   １８項に記載の締具。