JPH0414956B2 - - Google Patents

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JPH0414956B2
JPH0414956B2 JP60061797A JP6179785A JPH0414956B2 JP H0414956 B2 JPH0414956 B2 JP H0414956B2 JP 60061797 A JP60061797 A JP 60061797A JP 6179785 A JP6179785 A JP 6179785A JP H0414956 B2 JPH0414956 B2 JP H0414956B2
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JP
Japan
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fermentation
fruit
acetic acid
vinegar
raw material
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JP60061797A
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Akihiko Saeki
Seiji Kimura
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は生果実の持つ香り、エキス、ビタミン
などの内容成分を豊富に含有している果実酢を効
率的に製造する方法に係り、特に予め特定条件下
で前処理した後、アルコール醗酵と酢酸醗酵とを
同一系内で併行して醗酵させる複醗酵を行うこと
により果実酢、特に柿酢を製造する果実酢の製造
方法に関する。 (従来の技術) 果実酢は米酢と同様、醸造により生成する酢酸
を主体とする酸性調味料であるが、果実酢特有の
香りを出す揮発性有機酸類や、エステル類、ある
いはビタミン類、不揮発性有機酸類、糖類、アミ
ノ酸類等を多量に含み果実酢特有の芳香、味覚を
有している。 そして従来果実酢、特に柿酢を製造するには小
規模方式としては生柿を壷等の容器に入れて自然
醗酵させることによつて製造するか、あるいは、
工場規模方式としては生柿を蔕(へた)や種を除
いてから破砕し、これに種酵母としてアルコール
醗酵酵母を添加してアルコール醗酵させて、まず
柿酒を造り、この柿酒を所定のアルコール濃度に
調製した後、次いでそれに酢酸菌(種酢)を添加
して酢酸醗酵させることによつて柿酢を製造して
いる。 (発明が解決しようとする問題点) これら従来の果実酢の製造方法は醗酵工程がア
ルコール醗酵に次ぐ酢酸醗酵という二工程に分割
されているため、その製造管理が複雑化している
上に、製造期間も長期となり、酢酸収率も不安定
である。また、工程が分割されているので有害野
生微生物が自然界より混入し易く異常醗酵を起こ
したり、品質低下を招くという問題がある。 従つて、この有害野生微生物の混入を防止する
ために例えばアルコール醗酵前の原料処理段階及
び酢酸醗酵工程前の段階の二段階について90〜
100℃の温度で加熱殺菌処理をしている。ところ
が、このような高温度での加熱殺菌処理を実施す
ると原料果実の特性、即ち、生果実特有の香りや
ビタミンなどの内容成分が揮発したり変質してし
まい、果実酢特有の香りやビタミン等の有用成分
が減少してしまうと言つた欠点がある。 (問題点を解決するための手段) 本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、即
ち、生果実を破砕して糖濃度9〜11重量%の果実
液を調製した後、該液に有機酸を添加して水素イ
オン濃度(PH)4.0〜4.5となし、温度40〜50℃で
時々撹拌しながら10〜15時間保持して果肉組織を
軟化させた果実原料を調製し、しかる後、該果実
原料液に、酢酸耐性の強いアルコール醗酵酵母培
養液4〜6容量%及び酢酸菌培養液(種酢)11〜
13容量%を同時に添加して、28〜32℃で、アルコ
ール醗酵と酢酸醗酵とを併行して同一系内で行な
うことを特徴とする果実酢の製造方法を提供する
ものである。 (手段の詳細な説明) 以下に、本発明の果実酢の製造方法について詳
細に説明する。 果実原料液の調製 本発明の果実酢の製造方法の原料に使用される
果実としては、柿、林檎、葡萄、蜜柑、無花果、
梅等が使用され、中でも特に柿が好適で、甘柿、
渋柿いずれをも使用することができる。又、これ
ら果実は蔕(へた)や種は除くことなくそのまま
使用することができる。 これら果実は破砕機で十分に破砕して、破砕液
の果実の糖濃度に応じて、加水し、糖濃度を8重
量%以上、好適には9〜11重量%となるように果
実原料液を調節する。 前処理工程 上記糖濃度が8重量%以上に調製された果実原
料液に、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、
グルコン酸糖から選ばれた少なくとも1種の有機
酸を加え、果実原料液の水素イオン濃度(PH)を
4.0〜4.5に調製し、時々撹拌しながら、果実原料
液の温度を40〜50℃に保つ。この状態で1時間以
上、好ましくは10〜15時間程度保持し、これによ
つて果実原料液中に混入した有害微生物を殺菌す
ることができると共に、果実の果肉組織が軟化さ
れて粘度が下り、次の醗酵工程の醗酵が安定して
行える。 前記水素イオン濃度(PH)が4.5を越える場合
は果実原料液中に混入した有害微生物を殺菌する
ことが困難となつて異常醗酵や品質低下が生じた
り、果実の果肉組織が軟化され難くなるために、
その後の醗酵工程における醗酵が十分行なわれな
くなる。また、水素イオン濃度(PH)が4.0未満
の場合は殺菌作用が強くなりすぎるためにその後
の醗酵工程での醗酵が十分行なわれなくなつた
り、生果実特有の香りやエキス、ビタミン等が破
壊されてしまう。 さらに前記果実原料液の温度が40℃未満の場合
には処理時間を長くしても果実の果肉組織が軟化
され難く、その後の醗酵工程の正常な醗酵が十分
行なわれなくなつたり、十分な殺菌ができなくな
つて、その後の醗酵工程において異常醗酵が発生
し、そして品質の低下を来す。また、温度が50℃
を超える場合には、異常醗酵が起こらず、果肉組
織も十分軟化されるが、生果実が持つ香りやエキ
ス、ビタミン等の豊富な内容成分が変質したり減
少してしまい、その後の醗酵工程での醗酵が最適
条件下で行なわれたとしても生成する果実酢は生
果実特有の香りや内容成分が非常に減少したり、
変質したものとなつてしまう。 また、処理時間が1時間に満たない場合には殺
菌効果が不十分であつたり、果肉組織の軟化が不
十分となつて、次の醗酵工程において有害微生物
による異常醗酵が生成して生成した果実酢の品質
低下を来したり、果肉組成の軟化が不十分である
ため粘度が下がらず醗酵を安定して行えないと言
つたことが起こる。 従つて、本処理工程においては水素イオン濃度
(PH)4.0〜4.5、温度40〜50℃の条件下で少なく
とも1時間保持することが重要である。 なお、果肉の組織の軟化が十分行なわれない場
合は、次の醗酵工程において安定した醗酵を行う
ことができないので、前処理工程で予め果肉組織
を分解可能な酵素、例えばペクチナーゼ、セルラ
ーゼ、等を果実重量に対して、0.02〜0.5重量%
程度添加することが望ましい。 醗酵工程 前記前処理工程に付して殺菌及び果肉を軟化さ
せた果実液を30℃前後に冷却した後、醗酵を行
う。醗酵は予め前培養した酢酸耐性の強いアルコ
ール醗酵酵母液を前記果実液に対し約4〜6容量
%及び酢酸菌培養液(種酢)を前記果実液に対し
て10容量%以上、好ましくは11〜13容量%を同時
に添加して、醗酵温度を通常28〜32℃に保持して
同一系内でアルコール醗酵と酢酸醗酵を併行して
行う複醗酵型として行う。 このように、本発明の醗酵工程は、前処理工程
における水素イオン濃度(PH)が低い状態でアル
コール醗酵酵母によるアルコール醗酵と酢酸菌に
よる酢酸醗酵とを混合された同一系内の同一条件
下で同時に併行して醗酵を行うものであり、通常
のアルコール醗酵における水素イオン濃度(PH)
5〜7よりも低い水素イオン濃度(PH)となる。 そのため、前記アルコール醗酵酵母としては酢
酸耐性の強いアルコール醗酵酵母を用いることが
重要であり、このような酢酸耐性のアルコール醗
酵酵母としてはシゾサツカロマイセス・ポイベ
(例えばIFO 0346)、サツカロマイコデス・ラド
ウジ(例えばAKU 4400)などがあり、これらの
1種または2種以上混合したものを使用する。 また、前記アルコール醗酵と同時に酢酸醗酵が
併行して同一系内で進行するが果糖だけでは酢酸
菌の栄養が不足して醗酵が遅れる場合は第一リン
酸アンモニウム、第一リン酸カルシウム、第二リ
ン酸マグネシウム、硫酸カリなどの混合栄養塩を
少量添加することができる。 その他の醗酵条件は一般に行なわれているアル
コール醗酵及び酢酸醗酵を別々に行う場合の条件
と同一の条件と行なわれる。 醗酵温度は通常28〜32℃で目標とする酢酸濃度
4.5〜7.0重量%に達するには8〜14日程度の期間
を必要とする。 (実施例) 本発明をさらに具体的に説明するために本発明
の実施例を以下に挙げて説明する。 実施例 1 果実原料液の調製 収穫した柿1Kgをホモジナイザーで破砕し、糖
濃度14重量%の果実原料液1リツトルを得た。 前処理工程 前記果実原料液1リツトルに氷酢酸3mlを加え
水素イオン濃度(PH)を4.3に調製し、45℃に加
温して、そのまま撹拌しながら15時間前処理を行
い殺菌と果肉を軟化させた。 醗酵工程 前記処理液を30℃に冷却し、この処理液に別途
で培養した酢酸耐性のアルコール醗酵酵母液(種
酵母)50ml及び酢酸菌培養液(種酢)100mlを添
加し、30℃で静置醗酵する。この時の初発酸度を
測定すると、1.1重量%であつた。 毎日一定時刻に酸度を測定した結果を下記第1
表に示す。
【表】 醗酵開始後12日目で目標とする酸度である7.0
重量%に達したもので醗酵を中止する。 分離工程 前記醗酵液を孔径0.45μmのメンブランフイル
ターでろ過分離を行い固形分を分離して柿酢を得
た。 得られた柿酢は生柿特有の芳香を有しており、
その内容成分を分析した結果以下の成分が含まれ
ていることが判明した。 酸度:7.0重量%、総窒素:0.05重量%、無塩
可溶性固形分(エキス分):5.8重量%、PH:3.20 また製造した柿酢と市販の柿酢について習熟し
たパネラー20名によりおこなつた官能検査の結果
を第2表に示す。
【表】 第2表の結果から、本法により製造した柿酢は
従来法によつて製造された市販の柿酢に比較して
はるかに優れた香りと味を有する柿酢であること
が判る。 比較例 1〜4 実施例1の前処理工程における水素イオン濃度
(PH)及び処理温度、処理時間を第3表に示す条
件で実施した以外は全て実施例1と同様に処理し
た結果を第3表に実施例1の結果と共に示す。
【表】 実施例 2 果実原料液の調製 柿600gをホモジナイザーで破砕し、これに水
300mlを加えて糖濃度を7重量%に調製した果実
原料液を調製した。 前処理工程 上記果実原料液に氷酢酸1.2mlを加え水素イオ
ン濃度(PH)を4.4に調製し、さらに45℃に加温
してそのまま撹拌しながら10時間前処理を行つ
た。 醗酵工程 前記処理液を30℃に冷却し、この処理液に実施
例1で用いたアルコール醗酵酵母50mlと酢酸菌培
養液100mlを添加し、30℃で静置醗酵させた。こ
の時の初発酸度を測定すると0.4重量%であつた。 実施例1と同様に毎日一定時刻に酸度を測定
し、目標酸度が4.3重量%に到達するのに13日経
過した。 分離工程 前記醗酵液と実施例1と同様に固形分を分離し
て柿酢を得た。 得られた柿酢は生柿特有の芳香を有しており、
その内容成分を分析した結果、100ml中、クエン
酸20mg、リンゴ酸30mg、酒石酸66mg、コハク酸18
mg、グルコン酸40mg、アスコルビン酸痕跡の名有
機酸が含まれていた。 実施例 3 果実原料液の調製 柿500gをホモジナイザーで破砕し、これに水
125mlを加えて糖濃度を11重量%に調製した果実
原料液を調製した。 前処理工程 前記果実原料液に氷酢酸2mlを添加し水素イオ
ン濃度(PH)を4.2に調製し、さらに時間を短縮
すると共に酢酸収率を向上させるために市販の酢
酸剤ペクチナーゼ0.25g(柿に対して0.05重量
%)と市販の酵素剤セラーゼ0.5g(柿に対して
0.1重量%)を添加して、45℃に加温し、5時間
撹拌しながら一定温度に保ち前処理を行つた。 醗酵工程 前記前処理した液状物に実施例1で用いたアル
コール醗酵酵母40mlと酢酸菌培養液80mlを添加し
て30℃静置醗酵を行つた。この時の初発酸度を測
定すると0.5重量%であつた。 実施例1と同様に毎日一定時刻に酸度を測定
し、目標酸度が5.0重量%に到達するのに11日経
過した。 (発明の効果) 以上実施例等で詳述したごとく、本願発明方法
によれば、生果実特有の香りの原因となる揮発性
有機酸類や、エステル類、あるいは糖類、ビタミ
ン類、不揮発性有機酸類、アミノ酸類等の有用成
分を豊富に多量に含む内容成分を含有している果
実酢を効率的に製造かることができる。 その製造工程においては、有害野生微生物が自
然界より混入し難く、そのため異常醗酵や品質の
低下が生ずることが無く、製造工程も簡略化され
ているため、製造管理も容易で、かつ製造期間は
短期日で安定した差酸収率が保証される。 さらに最も特徴とするところは、高温度で加熱
殺菌処理をすることが無いので原料果実特有の風
味が損なわれることが無く、生果実特有の香りや
エキス、ビタミン等の内容成分を揮発したり、変
質したりすることが無い。従つて生成した果実酢
には生果実特有の香りやエキス、ビタミン等の有
用成分が残存しており、そのため、本発明の方法
によつて生成した果実酢は栄養価も高く、美味
で、芳香性が良い果実酢であり、食欲を増進し健
康に極めて良好な食品である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 生果実を破砕して糖濃度9〜11重量%の果実
    液を調製した後、該液に有機酸を添加して水素イ
    オン濃度(PH)4.0〜4.5となし、温度40〜50℃で
    時々撹拌しながら10〜15時間保持して果肉組織を
    軟化させた果実原料液を調製し、しかる後、該果
    実原料液に、酢酸耐性の強いアルコール醗酵酵母
    培養液4〜6容量%及び酢酸菌培養液(種酢)11
    〜13容量%を同時に添加して、28〜32℃で、アル
    コール発酵と酢酸醗酵とを併行して同一系内で行
    なうことを特徴とする果実酢の製造方法。
JP60061797A 1985-03-28 1985-03-28 果実酢の製造方法 Granted JPS61224980A (ja)

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