JPH0413460Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はデイスクブレーキ用ダストカバーに関
し、特に、エアスクープを備えたダストカバーに
関するものである。

従来技術 デイスクブレーキにおいては、一般に、デイス
クロータを一面側から覆うダストカバーが設けら
れている。かかるダストカバーにおいては、通
常、その外周部に貫通穴を設けるとともにダスト
カバーのデイスクロータ側と反対側の面において
その貫通穴近傍にエアスクープを固着することに
より、車両走行時においてそのエアスクープによ
り外気を前記貫通穴からデイスクロータに向かつ
て導入して制動に伴つて発熱したデイスクロータ
等を冷却するようになつている。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、上記エアスクープは、通常、金
属にて形成されており且つ外気を効果的に導入す
るためにダストカバーから比較的大きく突き出し
た状態で設けられるので、エアスクープの重量が
比較的重くなるとともにそれに伴つてダストカバ
ーの振動強度が低下させられることが避け難い一
方、車両の組付けライン等においてエアスクープ
の突出端側が他の部品、工具、あるいは作業者等
と接触してそのエアスクープや前記ダストカバー
が変形させられたり或いは作業者がけがをさせら
れる虞があつた。

これに対し、エアスクープを金属に比べて比較
的軽量であつて且つ比較的弾性のある樹脂または
ゴムにて成形すれば上述の問題を効果的に改善し
得ると考えられるが、この場合においても未だ解
決すべき問題を有している。すなわち、かかるエ
アスクープの耐熱性は通常金属に比べて劣つてい
るため、ダストカバーがデイスクロータ等からの
放熱によつて比較的高温となることによりエアス
クープのダストカバーに固定されている部分が劣
化させられる虞がある。

かかるエアスクープの熱劣化を抑制するため
に、たとえば実開昭60−51328号公報の第２図に
記載の技術を参考にして、金属製のダストカバー
の外周部にデイスクロータから離隔する方向へ突
き出す膨出部を絞り加工により一体に設け、その
膨出部に樹脂またはゴム製のエアスクープを固着
することが考えられるが、この場合には、エアス
クープは膨出部によりデイスクロータから一層離
隔させられるものの、その膨出部は金属製のダス
トカバーに一体成形されたものであることからデ
イスクロータの熱がダストカバーを介してエアス
クープに伝達されるため、エアスクープの熱劣化
を充分に抑制できない場合がある。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景として為されたもの
であつて、その目的とするところは、樹脂または
ゴム製のエアスクープを金属製のダストカバーに
固着した場合においてそのエアスクープの熱劣化
を好適に抑制し得るデイスクブレーキ用ダストカ
バーを提供することにある。かかる目的を達成す
るために、本考案は、外周部に設けられた貫通穴
と、その貫通穴の近傍に車両走行中の風上側へ斜
めに突き出すように固着された樹脂またはゴム製
のエアスクープとを備えてデイスクロータを一面
側から覆う状態で配設され、そのエアスクープに
より外気を貫通穴からデイスクロータに向かつて
導入する形式の金属製かつ円板状のデイスクブレ
ーキ用ダストカバーにおいて、 そのダストカバーの外周部に、前記デイスクロ
ータから離隔する方向へ所定距離突き出し、前記
風上側に位置する部分に風下側へ向かう程そのデ
イスクロータから離隔する方向へ傾斜する傾斜面
を有する膨出部を絞り加工により一体に設け、そ
の膨出部の傾斜面に前記貫通穴を設けるとともに
その膨出部の前記風下側に位置し且つその風の流
通方向においてその傾斜面と対向する部分に前記
エアスクープを固着したことを特徴とする。

作用および考案の効果 このようにすれば、金属製のダストカバーの外
周部に絞り加工によりデイスクロータから離隔す
る方向へ所定距離突き出す膨出部が一体成形さ
れ、その膨出部の風上側に位置する部分に設けら
れて風下側へ向かう程デイスクロータから離隔す
る方向へ傾斜する傾斜面に貫通穴が設けられると
ともに、その膨出部の風下側に位置し且つ風の流
通方向においてその傾斜面と対向する部分に樹脂
またはゴム製のエアスクープが固着されるので、
膨出部により樹脂またはゴム製のエアスクープが
デイスクロータから一層離隔した位置に設けられ
ることとなつてそのエアスクープの熱劣化を抑制
することができる一方、膨出部の傾斜面に設けら
れた貫通穴にはエアスクープにより案内されなく
ても直接的にある程度の風が入り込み、この貫通
穴に直接的に入り込んだ風が膨出部のエアスクー
プが固着された部分に好適に突き当てられるた
め、その膨出部のエアスクープが固着された部分
を好適に冷却することができ、これにより、デイ
スクロータからの熱がダストカバーを介してエア
スクープに伝達されるのを効果的に抑制し得て、
エアスクープの熱劣化を一層好適に抑制し得る。

また、上述のように膨出部の傾斜面に設けられ
た貫通穴にはエアスクープにより案内されなくて
も直接的にある程度の風が入り込むため、ダスト
カバー内への風入り性を一層向上させ得る利点が
ある。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第３図は本考案が適用されたデイスクブレーキ
用ダストカバーを示す図である。ダストカバー１
０は全体として円板状を成し、その内周側におい
て図示しない非回転部材に固定されることによ
り、その非回転部材に回転可能に設けられたデイ
スクロータ１２を一面側から覆つてデイスクロー
タ１２等に泥水等が付着するのを防止する。ダス
トカバー１０の外周側にはデイスクロータ１２の
外周部に跨設された図示しないキヤリパとの干渉
を避けるために切欠１４が設けられている。

ダストカバー１０の外周部であつて切欠１４の
車両前進時におけるデイスクロータ１２回転方向
（第３図中Ａ方向）下流側に位置する部分には、
第１図および第２図に示すように、絞り加工によ
りデイスクロータ１２から離隔する方向へ所定距
離突き出させられて、互いに反対方向へ傾斜する
傾斜面１６，１８を備えた膨出部２０が一体に設
けられており、一方の傾斜面１６には長穴状の貫
通穴２２が複数個互いに隣接して設けられている
とともに、他方の傾斜面１８には、車両の前進方
向（第１図および第３図中左方向）へ所定角度傾
斜した状態で、樹脂製のエアスクープ２４がその
基部側においてリベツト２６等の固定部材により
固定されている。このエアスクープ２４により車
両の前進走行時に外気が貫通穴２２からデイスク
ロータ１２に向かつて導入される。上記所定距離
は、エアスクープ２４を傾斜面１８において好適
に固定し得かつそのエアスクープ２４をデイスク
ロータ１２から好適に離隔させ得るように決定さ
れている。なお、上記傾斜面１６は、クレームに
おける傾斜面に相当するものであつて、膨出部２
０の車両前進走行中の風上側に位置する部分に風
下側へ向かう程デイスクロータ１２から離隔する
方向へ傾斜させられている。また、上記傾斜面１
８は、膨出部２０の風下側に位置する部分に風上
側へ向かう程デイスクロータ１２から離隔する方
向へ傾斜させられており、その風の流通方向にお
いて傾斜面１６と対向させられている。

このように本実施例によれば、ダストカバー１
０の外周部にデイスクロータ１２から離隔する方
向へ突き出す膨出部２０が絞り加工により一体成
形されており、その膨出部２０の風上側に位置す
る部分に設けられて風下側へ向かう程デイスクロ
ータ１２から離隔する方向へ傾斜する傾斜面１６
に貫通穴２２が設けられているとともに、その膨
出部２０の風下側に位置し且つその風の流通方向
において傾斜面１６と対向する部分の傾斜面１８
に樹脂製のエアスクープ２４が固着されているの
で、膨出部２０によりエアスクープ２４がデイス
クロータ１２から一層離隔した位置に設けられる
こととなつてそのエアスクープ２４の熱劣化を抑
制することができる一方、膨出部２０の傾斜面１
６に設けられた貫通穴２２にはエアスクープ２４
により案内されなくても直接的にある程度の風が
入り込み、この貫通穴２２に直接的に入り込んだ
風が膨出部２０のエアスクープ２４が固着された
部分に好適に突き当てられるため、その膨出部２
０のエアスクープ２４が固着された部分を好適に
冷却することができ、これにより、デイスクロー
タ１２からの熱がダストカバー１０を介してエア
スクープ２４に伝達されるのを効果的に抑制する
ことができて、エアスクープ２４の熱劣化を一層
好適に抑制できる。

また、本実施例によれば、上述のように膨出部
２０の傾斜面１６の貫通穴２２にはエアスクープ
２４により案内されなくても直接的にある程度の
風が入り込むため、ダストカバー１０内への風入
り性を一層向上させることができる利点がある。

また、本実施例によれば、ダストカバー１０の
エアスクープ２４が固定される部分が絞り出され
て膨出部２０とされることにより、その部分の剛
性が増大させられる一方、傾斜面１８の傾斜面１
６と反対側に隣接する部分にも補強用の所定の凹
部や凸部を設けることが可能となつて、ダストカ
バー１０の剛性を一層増大させ得る。

また、本実施例によれば、エアスクープ２４は
樹脂にて成形されているので、金属製のものに比
べて軽量となり且つそれに伴つてダストカバー１
０の振動強度を向上させ得る一方、金属製のもの
に比べて比較的弾性を有するため、車両の組付け
ライン等においてエアスクープ２４が他の部品や
作業者等と接触した場合においてもエアスクープ
２４やダストカバー１０の変形（永久変形）を効
果的に防止し得るとともに作業者がけがをさせら
れるのを効果的に防止し得る。

なお、前述の実施例においてエアスクープ２４
は樹脂にて成形されているが、ゴム製のものであ
つても良い。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第３図におけるＢ矢視図の拡大図であ
つて、一部を切り欠いて示す図である。第２図は
第１図の膨出部を拡大して示す斜視図である。第
３図は本考案が適用されたダストカバーの正面図
である。 １０……ダストカバー、１２……デイスクロー
タ、１６……傾斜面、２０……膨出部、２２……
貫通穴、２４……エアスクープ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 外周部に設けられた貫通穴と、該貫通穴の近傍
   に車両走行中の風上側へ斜めに突き出すように固
   着された樹脂またはゴム製のエアスクープとを備
   えてデイスクロータを一面側から覆う状態で配設
   され、該エアスクープにより外気を該貫通穴から
   該デイスクロータに向かつて導入する形式の金属
   製かつ円板状のデイスクブレーキ用ダストカバー
   において、 該ダストカバーの外周部に、前記デイスクロー
   タから離隔する方向へ所定距離突き出し、前記風
   上側に位置する部分に風下側へ向かう程該デイス
   クロータから離隔する方向へ傾斜する傾斜面を有
   する膨出部を絞り加工により一体に設け、該膨出
   部の傾斜面に前記貫通穴を設けるとともに該膨出
   部の前記風下側に位置し且つ該風の流通方向にお
   いて該傾斜面と対向する部分に前記エアスクープ
   を固着したことを特徴とするデイスクブレーキ用
   ダストカバー。