JPH0353065Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はデイスクブレーキ用ダストカバーに関
し、特に、エアスクープを備えたダストカバーに
関するものである。

従来技術 デイスクブレーキにおいては、一般に、デイス
クロータを一面側から覆うダストカバーが設けら
れている。かかるダストカバーにおいては、通
常、その外周部に貫通穴を設けるとともにダスト
カバーのデイスクロータ側と反対側の面において
その貫通穴近傍にエアスクープを固着することに
より、車両走行時においてそのエアスクープによ
り外気を前記貫通穴からデイスクロータに向かつ
て導入して制動に伴つて発熱したデイスクロータ
等を冷却するようになつている。そして、かかる
エアスクープをスポツト溶接によりダストカバー
に固着することが行われている。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、上記エアスクープを樹脂または
ゴム製にしようとする場合には、両者をスポツト
溶接により固着し得なくなるとともに、それに伴
つて、製造ライン等において従来から用いられて
いるスポツト溶接用の設備に替えて溶接以外の他
の固着手段に応じた設備を新たに用意せねばなら
ないという問題があつた。

これに対し、エアスクープの固定部をダストカ
バーと金属製板材との間に挟んだ状態でエアスク
ープの固定部に設けられた穴を通して金属製板材
をダストカバーにスポツト溶接することが考えら
れるが、この場合には、金属に比べて耐熱製が劣
る樹脂またはゴム製のエアスクープの固定部がダ
ストカバーと直接当接させられるため、デイスク
ロータ等からの放熱によつてダストカバーが比較
的高温となることによりエアスクープが劣化させ
られる虞があつた。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であつて、その目的とするところは、樹脂または
ゴム製のエアスクープをスポツト溶接に基づいて
ダストカバーに固着する場合において制動に伴つ
て高温となつたダストカバーによりエアスクープ
が劣化させられるのを効果的に抑制する技術を提
供することにある。かかる目的を達成するため
に、本考案は、外周部に設けられた貫通穴と、そ
の貫通穴の近傍に固着されたエアスクープとを備
えてデイスクロータを一面側から覆う状態で配設
され、そのエアスクープにより外気を貫通穴から
デイスクロータに向かつて導入する形式の円板状
のデイスクブレーキ用ダストカバーにおいて、前
記エアスクープを樹脂またはゴムにて成形し且つ
そのエアスクープの固定部の前記ダストカバー側
に位置する面に金属製板材を予め一体的に設ける
一方、前記ダストカバーを金属にて成形し、その
金属製板材をダストカバーにスポツト溶接するこ
とにより前記エアスクープを固定したことを特徴
とする。

作用および考案の効果 このようにすれば、樹脂またはゴム製のエアス
クープの固定部のダストカバー側に位置する面に
予め一体的に設けられた金属製板材をダストカバ
ーにスポツト溶接することによりエアスクープが
ダストカバーに固定されるので、エアスクープを
樹脂またはゴム製のものとした場合においても、
そのエアスクープをスポツト溶接に基づいて従来
と同様の工程にてダストカバーに固定することが
可能となるとともに、それに伴つて、製造ライン
等において従来から用いられているスポツト溶接
用の設備を他の固着用設備と交換することなくそ
のまま使用し得る。

しかも、エアスクープの固定部は金属製板材を
間に挟んだ状態でダストカバーに固定されること
となるため、エアスクープの固定部がダストカバ
ーに直接当接させられる場合に比べてダストカバ
ーから熱伝導を抑制し得て、エアスクープの熱劣
化を効果的に抑制し得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第２図は本考案が適用されたデイスクブレーキ
用ダストカバーを示す図である。ダストカバー１
０は全体として円板状を成し、その内周側におい
て図示しない非回転部材に固定されることによ
り、その非回転部材に回転可能に設けられたデイ
スクロータ１２を一面側から覆つてデイスクロー
タ１２等に泥水等が付着するのを防止する。ダス
トカバー１０の外周側にはデイスクロータ１２の
外周部に跨設された図示しないキヤリパとの干渉
を避けるために切欠１４が設けられている。

ダストカバー１０の外周部であつて切欠１４の
車両前進時におけるデイスクロータ１２回転方向
（第２図中Ａ方向）下流側に位置する部分には、
長穴状の貫通穴１６が複数個互いに隣接して設け
られており、ダストカバー１０のデイスクロータ
１２側と反対側の面であつて貫通穴１６の近傍に
は、車両の前進に伴つて外気を貫通穴１６からデ
イスクロータ１２に向かつて導入する制動時に発
熱したデイスクロータ１２等を冷却するための樹
脂製のエアスクープ１８が固着されている。この
エアスクープ１８は、貫通穴１６の近傍であつて
且つ前記デイスクロータ１２Ａ方向への回転時に
おいて下流側に位置する部分に固定された固定部
２０と、その固定部２０の一端から車両の前進方
向（第２図中左方向）に向かう程デイスクロータ
１２から離隔するように突き出す外気導入部２２
とから成り、この外気導入部２２により車両の前
進走行時に外気が導入されることとなる。

上記エアスクープ１８は以下のようにしてダス
トカバー１０に固定されている。すなわち、エア
スクープ１８の固定部２０には、第１図および第
２図に示すように、三個の円形穴２４が互いに所
定間隔隔てた位置に設けられているとともに、固
定部２０のダストカバー１０側に位置する面に
は、第１図に示すように、固定部２０と略同形状
の金属製板材２６が前記円形穴２４をそれぞれ覆
う状態で、エアスクープ１８の成形と同時に一体
的に固着されている。金属製板材２６の円形穴２
４内周側に位置する部分には、ダストカバー１０
から離隔する方向へ突き出す環状の突起２８が円
形穴２４の内壁面と隣接する状態で一体に形成さ
れている。そして、金属製板材２６が各円形穴２
４を通してダストカバー１０にそれぞれスポツト
溶接されることにより、エアスクープ１８の固定
部２０が金属製板材２６を間に挟んだ状態でダス
トカバー１０に固定されている。これにより、エ
アスクープ１８を樹脂製のものとした場合におい
ても、そのエアスクープ１８をスポツト溶接に基
づいて従来と同様の工程にてダストカバー１０に
固定することが可能となるとともに、それに伴つ
て、製造ライン等において従来から用いられてい
るスポツト溶接用の設備を他の固着用設備と交換
することなくそのまま使用し得る。

しかも、エアスクープ１８の固定部２０は金属
製板材２６を間に挟んだ状態でダストカバー１０
に固定されているため、エアスクープ１８の固定
部２０がダストカバー１０に直接当接させられる
場合に比べてダストカバー１０からの熱伝導を比
較的抑制し得て、エアスクープ１８の熱劣化を効
果的に抑制し得る。

また、本実施例によれば、金属製板材２６の前
記円形穴２４内周側に位置する部分に環状の突起
２８が設けられているので、この突起２８により
スポツト溶接時に飛散するスパツタが樹脂製のエ
アスクープ１８に付着することが効果的に防止さ
れる利点がある。

また、本実施例によれば、エアスクープ18は樹
脂にて成形されているので、金属製のものに比べ
て軽量となり且つそれに伴つてダストカバー10の
振動強度を向上させ得るとともに、金属製のもの
に比べて比較的弾性を有するためエアスクープ１
８が他の部材等と接触した場合においてもエアス
クープ１８やダストカバー１０の変形（永久変
形）を効果的に防止し得る。

なお、前述の実施例において金属製板材２６は
エアスクープ１８の成形と同時に固定部２０に一
体的に固着されているが、必ずしもその必要はな
く、たとえば、かしめにより固定部２０に予め一
体的に設けられていても良い。

また、前述の実施例において突起２８は必ずし
も必要なものではなく、かかる突起２８が設けら
れていない場合においても本考案の効果が得られ
ることは勿論である。

また、前述の実施例において、金属製板材２６
は全体としてダストカバー１０と当接させられて
いるが、たとえば第３図に示すように構成するこ
とにより、金属製板材３０のスポツト溶接部以外
の部分をダストカバー１０の板面から所定距離離
隔させるようにしても良い。このようにすれば、
エアスクープ１８の固定部２０への熱伝導が一層
好適に抑制されるため、エアスクープ１８の熱劣
化を一層効果的に防止することができる。

また、前述の実施例において、金属製板材２６
は前記固定部２０に設けられた三個の円形穴２４
を通してダストカバー１０にスポツト溶接されて
いるが、必ずしもその必要はなく、たとえば、比
較的長い長穴を一個だけ設け、その長穴を通して
金属製板材を互いに所定距離隔てた複数個所にお
いてダストカバー１０にスポツト溶接するように
しても良いし、あるいは、固定部２０に円形穴２
４等の穴を全く設けることなく、固定部２０のダ
ストカバー１０側の面にそれより大きい形状の金
属製板材を一体的に設け、その金属製板材の固定
部２０からはみ出した部分をスポツト溶接により
ダストカバー１０に固定しても良い。

また、前述の実施例においてエアスクープ１８
は樹脂にて成形されているが、ゴム製のものであ
つても良い。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図における−視断面の要部拡
大図である。第２図は本考案が適用されたダスト
カバーの正面図である。第３図は本考案の他の例
を示す図であつて、第１図に相当する図である。 １０……ダストカバー、１２……デイスクロー
タ、１６……貫通穴、１８……エアスクープ、２
０……固定部、２６，３０……金属製板材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 外周部に設けられた貫通穴と、該貫通穴の近傍
   に固着されたエアスクープとを備えてデイスクロ
   ータを一面側から覆う状態で配設され、該エアス
   クープにより外気を該貫通穴から該デイスクロー
   タに向かつて導入する形式の円板状のデイスクブ
   レーキ用ダストカバーにおいて、 前記エアスクープを樹脂またはゴムにて成形し
   且つ該エアスクープの固定部の前記ダストカバー
   側に位置する面に金属製板材を予め一体的に設け
   る一方、前記ダストカバーを金属にて成形し、該
   金属製板材を該ダストカバーにスポツト溶接する
   ことにより前記エアスクープを固定したことを特
   徴とするデイスクブレーキ用ダストカバー。